JP4192016B2 - 釣合い試験機 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、回転速度に応じた状態変化を検出し、得られたサンプリングデータの処理を行う釣合い試験機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
回転試験装置の一例として、試料を回転させて当該試料の両端部を軸支する支軸の振動状態を検出し、中心線に対する重心の傾きを検出する釣合い試験機が挙げられる。
かかる釣合い試験機は、試料を支持する支軸と、試料に予め設定された試験回転速度で回転力を付与する回転駆動手段と、支軸を中心とする円周の半径方向に沿った振動変位を検出する変位検出手段と、試料の中心線を中とする円周の任意の一点に設定された基準位置を回転毎に検出し基準パルスを出力するパルス発生手段とを、各変位検出手段とパルス発生手段との出力から試料の中心線に対する釣り合いの傾きを算出する演算処理手段とを備えている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
上記釣合い試験機では、変位検出手段の出力をデジタル化して得られたサンプリングデータに対して、基準パルスに基づいて生成した基準余弦波データと基準正弦波データとを別々に乗算して得られた相関関数から、試料の不釣り合いの大きさと方向の算出を行っている。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−141594号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、特許文献1に記載の釣合い試験機は、試験回転速度に応じてその処理方法は一定であり、試験回転速度が変えられても処理の画一的にしか行うことができなかった。このため、試験回転速度に応じて低回転時には不釣り合いの検出の精度を高め、高回転時には処理速度を優先する等のように、試験回転速度に応じた適切な処理を行うことができなかった。
本発明は、試験回転速度の変動に対処可能な釣合い試験機の提供を図ることを、その目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の発明は、予め設定された試験回転速度で回転状態にある試料に対して所定のサンプリング周波数で状態検出を行う釣合い試験機であって、前記状態検出により取得されるサンプリングデータの算出手段を、少なくとも低回転速度帯域と高回転速度帯域の二種の回転速度帯域に対応して二種備え、前記試料の現在の回転速度に従って定まるいずれかの前記算出手段を選択し実行する演算処理手段を備え、前記低回転速度帯域における算出手段は、一周期分の処理データが得られるたびにそれらを平均して中間平均値を算出すると共に当該中間平均値を前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行い、前記高回転速度帯域における算出手段は、一の処理データが得られるたびに、既に記憶された前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行う、という構成を採っている。
【0007】
上記構成では、回転試験が行われる試験回転速度の範囲を複数の回転速度帯域に分けると共に各帯域ごとにその回転速度に応じた処理を実行する複数の算出手段を備え、現在回転速度に好適な算出手段によりサンプリングデータの処理が行われる。
特に、試験回転速度が低回転速度帯域に属する場合は、試料の一回転周期で得られる処理データ単位でその平均化が行われると共にそれにより得られる中間平均値が一番最初に取得されたものであればそのまま最終平均値として扱われ、そうでない場合には直前の最終平均値と中間平均値との平均化が図られ、これが新たな最終平均値として更新される。
また、試験回転速度が高回転速度領域に属する場合は、中間平均値を求めることなく、処理データが一番最初に取得されたものであればそのまま最終平均値として扱われ、そうでない場合には直前の最終平均値と処理データに基づく数値との平均化が図られ、これが新たな最終平均値として更新される。
なお、「サンプリングデータ」とは、サンプリングデータそのものの他に、サンプリングデータに対して所定の係数の加減乗除を行ったデータや、所定の処置・加工を加えたデータ、変換されたデータ等のように、サンプリングデータに基づく何らかの変化を遂げたデータを含むものとする。以下、他の請求項においても同様とする。
【0008】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明と同様の構成を備えると共に、演算処理手段は、現在の試料の回転速度が、各回転速度帯域の境界となる回転速度から所定範囲内で超えた場合でも、もとの回転速度帯域に基づく算出手段に従って演算処理を実行する、という構成を採っている。
【0009】
上記構成では、請求項1記載の発明と同様の動作が行われると共に、試験回転速度がある回転速度帯域内であった場合、試験開始後に回転速度に変動を生じて隣接する他の回転速度帯域内に入った場合でも、もとの回転速度帯域を超える回転速度が所定範囲内であれば、他の回転速度帯域の算出手段に基づく処理を行わず、もとの回転速度帯域の算出手段に基づく処理を継続して行う。
なお、境界を超えることを許容すべき回転速度の幅は、予め設定により定めておくことが望ましい。
【0010】
請求項3記載の発明は、請求項1又は2記載の発明と同様の構成を備えると共に、演算処理手段は、回転速度に基づく周期に従って基準正弦波データと基準余弦波データとを生成し、低回転速度帯域における算出手段は、サンプリングデータに対して基準正弦波データを乗算した処理データと基準余弦波データを乗算した処理データの各々一周期分の処理データが得られるたびにそれらを平均して中間平均値を算出すると共に当該中間平均値を前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行い、高回転速度帯域における算出手段は、サンプリングデータに対して基準正弦波データを乗算した処理データと基準余弦波データを乗算した処理データの各々一の処理データが得られるたびに、既に記憶された前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行う、という構成を採っている。
【0012】
【発明の実施の形態】
(実施形態の全体構成)
本発明の実施形態たる釣合い試験機10について図1乃至図4に基づいて説明する。図1は釣合試験機10の構成を示すブロック図である。
釣合い試験機10は、その中心線が既知である回転体を試料とし、実際に回転させたときに生じる不釣り合いを原因とする遠心力を検出することで、いかなる方向にいかなる大きさの不釣り合い荷重(不釣り合いおもりの重量)を生じているかを算出する。
【0013】
上記釣合い試験機10は、図1に示すように、試料Sの中心線方向両端部においてそれぞれ支持を行う支軸11,12と、支軸11に回転駆動力を付与する軸駆動手段20と、各支軸11,12をそれぞれ回転自在に支持すると共に図1の上下又は前後方向に沿った振動量を検出する二つの振動検出手段30と、試料Sの外周面上に付された基準位置設定用のマーキングMを検出する基準位置検出手段40と、各振動検出手段30及び基準位置検出手段40の出力に基づいて不釣り合いの方向及び大きさを算出する演算処理手段50とを備えている。
【0014】
(支軸及び軸駆動手段)
各支軸は11,12は、その中心線が試料Sの中心線と一致するように当該試料Sの支持を行う。
軸駆動手段20は、支軸11に対して回転駆動力を付与しつつ当該支軸11の上下動を許容する。即ち、この軸駆動手段20は、駆動源たる駆動モータ21と、この駆動モータ20の出力軸と支軸11とを連結する伝達機構22とを有する構成となっている。駆動モータ20は、演算処理手段50により設定された回転速度で駆動を行う。伝達機構22は、回転力を伝達しつつ支軸11の上下動を許容するために、駆動モータ21の出力軸と支軸11との間に設けられる中間軸23と、中間軸23の一端部で駆動モータ21の出力軸と連結される自在継ぎ手24と、中間軸23と、中間軸23の他端部で支軸11と連結される自在継ぎ手25とを備えている。これにより、駆動モータ21の出力軸と支軸11とは平行状態を維持しつつ回転駆動力の伝達が行われる。
なお、伝達機構22は、上述のような自在継ぎ手を用いる構成に限らず、例えば特許文献1に記載されているベルト機構のような、試料Sの振動を許容しつつも回転駆動力を伝達可能な他のいかなる手段を使用しても良い。
【0015】
(振動検出手段)
釣合い試験機10は、振動検出手段30を、支軸11と支軸12とに個別に対応して二つ有している。即ち、釣合い試験機10は、二つの修正面における釣り合い状態を検出し二面釣り合わせを行うためのものである。
各振動検出手段30は、支軸11(12)を上下動,左右動及び回転可能に支持する軸受け部31と、軸受け部31を介して支軸11(12)の上下動又は左右動変位を検出する変位検出手段としてのピックアップ32と、このピックアップ32の出力信号をデジタル化して演算処理手段50に入力するA/D変換器33とを備えている。
上記振動検出手段30では、軸受け部31を介して支軸11(12)の上下振動が伝達されると、ピックアップ32はその振動変位に応じた信号を出力する。これをA/D変換器33は100[kHz]の周波数でサンプリングして当該周波数間隔の無数の変位量データに変換した上で演算処理手段50に出力する。
【0016】
(基準位置検出手段)
基準位置検出手段40は、試料SのマーキングMを検出する光センサ41と、光センサ41の検出信号を受けてパルス信号を演算処理手段50に出力するパルス形成回路42とを備えている。
光センサ41は、マーキングMの周回線上に配置され、マーキングMを照射するためのLED等の光源とその反射光からマーキングMを検出する受光素子とを備えている。
マーキングMは試料Sの外周をなす円周の範囲における基準位置を示すためのものである。後述する演算処理手段50は、この基準位置に基づいて所定の処理を行い、基準位置に対して角度が何度の方向に不釣り合い荷重を生じているかを算出する。
また、演算処理手段50は、試料Sが回転状態にある場合に、光センサ41のパルス間隔を計時し又はパルス周波数を計数することで試料Sの現在回転速度や周期を算出することができる。
【0017】
(演算処理手段)
演算処理手段50
次に演算処理手段50について図1乃至4に基づいて説明する。この演算処理手段50は、各種設定入力を行うための設定入力手段51と、演算処理手段50による処理結果,各種画像等の表示を行う表示モニタ52とが併設されている。そして、この演算処理手段50は、後述する各種プログラムに従い演算処理を行うCPUと、各種の処理及び制御を行うためのプログラムや各種の設定データを記憶するROMと、各種の処理において一時的にデータ等を格納する作業領域となるRAMとを備えている(いずれも図示略)。
【0018】
前述したように釣合い試験機10は予め設定された回転速度で回転する試料Sにおけるその両端部での振動変位を各ピックアップ32を介して検出し、その検出データと基準位置を示すパルス信号の入力を受けて試料Sの両端部における不釣り合い荷重の生じる方向とその大きさを算出する。
そのために、演算処理手段50は、ROMに記憶された各種のプログラムをRAMを用いてCPUが処理することで各種の機能を実行する。以下、演算処理手段50が実行する各種の機能について説明する。
【0019】
▲1▼演算処理手段50のCPUは、ROMに格納されたプログラムに従い、パルス信号の入力があると、現在と一つ前のパルス信号の信号間隔から試料Sの周期を求めると共に当該周期に従って基準正弦波データと基準余弦波データとを生成し、RAMに記憶する基準波生成手段としての処理を行う。
▲2▼演算処理手段50のCPUは、ROMに格納されたプログラムに従い、パルス信号の入力があると、一つ前のパルス信号と現在のパルス信号との間で取得された支軸11(12)の振動変位を示す無数のサンプリングデータに対して基準正弦波データの対応値を乗算する処理と、同サンプリングデータに対して基準余弦波データの対応値を乗算する処理とを行う乗算手段としての処理を行う。
▲3▼演算処理手段50のCPUは、ROMに格納されたプログラムに従い、乗算手段により順次算出される処理データをRAM内に設けた第一の記憶領域に試料Sの1周期分を一単位として順次足し算しそこから中間平均値データを算出すると共に、RAM内に設けた第二の記憶領域に先行して既に記憶されている最終平均値データと新たな中間平均値データを平均した値を新たな最終平均値データとして更新する第一の算出手段としての処理を行う。
なお、この処理は、正弦波データを乗算して得られる処理データと余弦波データを乗算して得られる処理データの各々について行われる。
▲4▼演算処理手段50のCPUは、ROMに格納されたプログラムに従い、乗算手段により順次算出される処理データとRAM内に設けた第二の記憶領域に先行して既に記憶されている最終平均値データとを足し算し平均した値を新たな最終平均値データとして更新する第二の算出手段としての処理を行う。
なお、この処理は、正弦波データを乗算して得られる処理データと余弦波データを乗算して得られる処理データの各々について行われる。
▲5▼演算処理手段50のCPUは、ROMに格納されたプログラムに従い、現在と一つ前のパルス信号の信号間隔から試料Sの回転速度を算出する回転速度算出手段としての処理を行う。
▲6▼演算処理手段50のCPUは、ROMに格納されたプログラムに従い、設定入力手段51により予め設定された第一又は第二の算出手段を実行すべき回転速度帯域及び当該帯域の境界におけるヒステリシスに従って、第一と第二のいずれの算出手段を実行すべきかを選択する選択手段としての処理を行う。
▲7▼演算処理手段50のCPUは、ROMに格納されたプログラムに従い、サンプリングデータに基づく処理データが全て平均化を終了すると、余弦波データを乗算して得られる処理データの最終平均値データと正弦波データを乗算して得られる処理データの最終平均値データとをそれぞれX−Y座標系におけるX成分とY成分のベクトルとして得られる合成ベクトルの示す方向を不釣り合い荷重の方向とし、合成ベクトルの大きさを不釣り合い荷重の大きさとして算出する合成手段としての処理を行う。
【0020】
上記▲1▼の処理について補説する。図2(A)はピックアップ32の出力信号に基づくパルス信号の一区間におけるサンプリングデータの波形を示しており、図2(B)これに対応して生成された基準正弦波データの波形を示している。以下基準正弦波データの説明を行うが、基準余弦波データについても半位相分ずれている点を除いて同様であることからその説明は省略するものとする。
基準波生成手段により生成される基準正弦波データに基づく正弦波は、一位相を32等分すると共に等分された各領域については均一化されている。また、1〜32番目までの各領域の値は、便宜上sin(0)〜sin(31)と示すものとする。また、これら各値の実際的な数値は、sin(n)=sin(2π・n/32)で求められる。
【0021】
上記▲2▼の処理について補説する。例えば、試料Sの回転速度が25[Hz]の場合、前述したようにサンプリング周波数は100[kHz]であることから一回転でサンプリングされるサンプリングデータ数は4000個となる。この1〜4000個までのデータ数値を、便宜上P(0)〜P(3999)と示すものとする。そして、乗算手段では、これら4000個のデータを順番に基準正弦波データの各領域の値sin(0)〜sin(31)に対して割り振りを行い、順番に乗算処理を行っている。つまり、P(0)〜P(124)についてはsin(0)が乗算され、、その後順番にサンプリングデータが125個ずつsin(1)〜sin(31)に乗算される。
また、各サンプリングデータP(0)〜P(3999)に対して基準余弦波データの各領域の値cos(0)〜cos(31)も同様に乗算される。
【0022】
上記▲3▼の処理について補説する。図3(A)は第一の算出手段の処理を概念的に示した説明図である。上記▲2▼と同じ具体例を用いて説明すると、乗算手段により乗算されて出力されたデータP(n)・sin(m)(以下処理データとする)は、順番に第一の記憶領域53において足し算される。そして一周期分の足し算が完了するとその足し算値が一周期分(試料Sの一回転分)の処理データ数で除算されて平均化される。この一周期分の平均値を中間平均値とする。これにより求められた中間平均値データは第二の記憶領域54に記憶される。このとき、先行する処理データに基づく最終平均値データが記憶されていた場合は、当該最終平均値データと中間平均値データとが平均化され、その値が新たな最終平均値データとして更新される。
上記処理は、サンプリングされた全ての周期単位で行われる。そして、図3(A)に示すような一周期分に満たない余りの処理データについては第一の記憶領域53で足し算されるが平均化が行われないため、第二の記憶領域54における最終平均値データには反映されない。
また、各基準余弦波データに基づく処理データP(n)・cos(m)についても同様に最終平均値データが求められる。
【0023】
上記▲4▼の処理について補説する。図3(B)は第二の算出手段の処理を概念的に示した説明図である。上記▲2▼と同じ具体例を用いて説明すると、乗算手段により乗算されて出力された処理データ(P(n)・sin(m)は、順番に第二の記憶領域54に記憶される。このとき、先行する処理データに基づく最終平均値データが記憶されていた場合は、当該最終平均値データと新たに記録される処理データとが平均化され、その値が新たな最終平均値データとして更新される。即ち、かかる第二の算出手段による処理では、第一の算出手段による処理と異なり、一周期ごとの中間平均値データが算出されず、個々の処理データが逐次第二の記憶領域54で平均処理される。このため、第一の算出手段のように、一周期分に満たない余りの処理データについても区別なく全て平均処理され、最終平均値データに全て反映されることとなる。
また、各基準余弦波データに基づく処理データP(n)・cos(m)についても同様に最終平均値データが求められる。
【0024】
上記▲6▼の処理について補説する。演算処理手段は、▲5▼の処理で求められた試料Sの回転速度に応じて前述した第一の算出手段の処理と第二の算出手段の処理のいずれを行うかを決定する。即ち、現在回転速度が低回転速度帯域のときには第一の算出手段の処理を行い、高回転速度帯域のときには第二の算出手段の処理を行う。この低回転速度帯域と高回転速度帯域とは隣接しており、その境界となる回転速度を設定入力手段51により設定入力することで決定される。また、この境界値についてはヒステリシスを設定することができ、これら境界値及びヒステリシスを示すデータは試験前に予め設定入力され、RAMに記憶される。
具体的に説明すると、回転速度の境界値を100[Hz]、ヒステリシスを10[%]に設定すると、低回転速度帯域は0〜100[Hz]、高回転速度帯域は100[Hz]より大きな回転速度が対応することとなる。このとき、試験回転速度が境界値と同一又はそれに近い回転速度、例えば、100[Hz]と設定され、試験が行われると、試料Sが設定通り100[Hz]を維持している限りは第一の算出手段が選択され、それに応じた処理が行われるが、回転速度に不安定状態が発生して100[Hz]の前後で変動した場合、第一の算出手段と第二の算出手段による処理が繰り返し入れ替わることとなるのは処理の安定化の面から好ましくない。従って、ヒステリシスを設定することで、このような不安定状態の発生を防止している。即ち、100[Hz]で低回転速度帯域であるとして第一の算出手段が選択されている場合は、プラス10[%]である110[Hz]を超えるまではその選択状態が維持される。また、回転速度がこれを超えて第二の算出手段が選択された状態にあっては、マイナス10[%]である90[Hz]以下となるまではその選択状態が維持される。これにより、低回転速度領域と高回転速度領域との境界付近において試験回転速度が選択された場合であっても、処理の安定化を図ることが可能となる。
【0025】
上記▲7▼の処理について補説する。図4は合成ベクトルを求めるための概念を示す説明図である。即ち、▲3▼又は▲4▼の処理により取得された余弦波データに基づく処理データから算出された最終平均値HxをX−Y直交座標系のX成分を示すベクトルとし、正弦波データに基づく処理データから算出された最終平均値HyをX−Y直交座標系のY成分を示すベクトルとする。そして、その場合おいて、その合成ベクトルHの傾き角度αが、基準位置に対する不釣り合い荷重の生じている方向を示す。ちなみに、角度αは、α=tan-1(Hy/Hx)から算出される。
【0026】
(釣合い試験機の動作説明)
上記構成からなる釣合い試験機10の動作説明を行う。図5は釣合い試験機10の演算処理手段50に基づく処理及び動作を示すフローチャートである。
釣合い試験機10には予め、低回転速度帯域と高回転速度帯域の境界値となる回転速度とそのヒステリシスが設定されており、試験回転速度も設定されているものとする。
【0027】
まず、試料Sが試験回転速度に基づいて回転駆動されると、ピックアップ32の検出に基づくサンプリングデータの取得が開始される(ステップS1)。また、これと前後して光センサ41の検出に基づくパルス信号により試料の回転速度及び周期の算出が行われる(ステップS2)。
【0028】
そして、算出された試料Sの周期に基づいて基準正弦波データ及び基準余弦波データが生成される(ステップS3)。これら基準正弦波データと基準余弦波データは個別に一周期分のサンプリングデータに乗算され、処理データが生成される(ステップS4)。
また、算出された試料Sの回転速度がヒステリシスを考慮した上で低回転速度帯域に属するか否かが判定される(ステップS5)。
【0029】
回転速度が低回転速度帯域に属する場合は、第一の算出手段の処理に基づいて一周期分のサンプリングデータに対応する処理データの平均処理が行われる(ステップS6)。また、回転速度が低回転速度帯域に属さない場合は高回転速度帯域に属するものとして、第二の算出手段の処理に基づいて一周期分のサンプリングデータに対応する処理データの平均処理が行われる(ステップS7)。
【0030】
そして、いずれかの算出手段により算出された最終平均値から不釣り合い荷重の方向及び大きさが算出され(ステップS8)、その算出結果が表示手段52に表示されて(ステップS9)、処理が完了する。
【0031】
(釣合い試験機の効果)
以上のように、釣合い試験機10は、演算処理手段50が選択手段としての処理を行うことにより、試料Sの試験回転速度に応じて適宜処理データの算出手段が選択されることから、回転速度の変動にかかわらず処理が画一的となることを防止し、試験回転速度の変動に対処して適切な処理を行うことが可能となる。
【0032】
また、演算処理手段50が選択手段としての処理を行うに際し、各回転速度帯域の境界にヒステリシスを持たせて、その境界をそのヒステリシスの範囲内で超えてももとの回転速度帯域に応じた処理を継続するため、境界値に近い試験回転速度で試験を行った場合でも、回転速度変動により処理方法の切替が頻繁に行われず、処理の安定化を図ることが可能となる。
【0033】
さらに、演算処理手段50が第一の算出手段に基づく処理を行うことから、低回転速度帯域では一周期単位での中間平均値を求めてからさらに最終平均値を求める処理を行うが、高回転速度帯域では直接処理データから直接的に最終平均値を導き出すため、低回転での試験では、一周期分に満たない余りの処理データについては平均値の算出にかかわらない。従って、低回転速度帯域では、その処理の精度向上を図ることが可能となる。
【0034】
また、演算処理手段50が第二の算出手段に基づく処理を行うことから、高回転速度帯域では一周期ごとの中間平均値を算出する工程が減るので処理の簡易化による高速化を図ることが可能となる。
なお、高回転速度帯域では周期ごとの処理が行われないため、一周期分に満たない余りのサンプリングデータについても処理が行われ、算出された最終平均値に反映されることになるが、そもそも高速回転時には、一周期が非常に短くなるので余りのサンプリングデータの発生量が少なく、従って、かかる余りのサンプリングデータによる影響は十分に小さくなり、その精度にほとんど影響を及ぼさない。
【0036】
【発明の効果】
請求項1記載の発明は、試料の回転速度に応じて適宜サンプリングデータの算出手段が選択されることから、従来のように画一的な処理に限られず、試験回転速度の変動に対処して適切な処理を行うことが可能となる。
特に、低回転速度帯域では一周期単位での中間平均値を求めてからさらに最終平均値を求める処理を行うが、高回転速度帯域では直接処理データから直接的に最終平均値を導き出すため、低回転での試験では、一周期分に満たない余りのサンプリングデータについては平均値の算出にかかわらない。従って、低回転速度帯域では、その処理の精度向上を図ることが可能となる。
また、高回転速度帯域では一周期ごとの中間平均値を算出する工程が減るので処理の簡易化による高速化を図ることが可能となる。なお、高回転速度帯域では周期ごとの処理が行われないために一周期分に満たない余りのサンプリングデータについても最終平均値に反映されることになるが、高速回転時には、一周期が短いので余りのサンプリングデータの発生量が少なく、試験精度に与える影響は十分に低減される。
【0037】
請求項2記載の発明は、各回転速度帯域の境界に幅を持たせて、その境界をある程度超えてももとの回転速度帯域に応じた処理を継続するため、境界値に近い試験回転速度で試験を行った場合でも、回転速度変動により処理方法の切替が頻繁に行われず、処理の安定化を図ることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】発明の実施形態である釣合試験機の構成を示すブロック図である。
【図2】図2(A)はピックアップ32の出力信号に基づくパルス信号の一区間におけるサンプリングデータの波形を示しており、図2(B)これに対応して生成された基準正弦波データの波形を示している。
【図3】図3(A)は第一の算出手段の処理を概念的に示した説明図であり、図3(B)は第二の算出手段の処理を概念的に示した説明図である。
【図4】合成ベクトルを求めるための概念を示す説明図である。
【図5】釣合い試験機の演算処理手段に基づく処理及び動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 釣合い試験機
20 軸駆動手段
30 振動検出手段
40 基準位置検出手段
50 演算処理手段
S 試料

Claims (3)

  1. 予め設定された試験回転速度で回転状態にある試料に対して所定のサンプリング周波数で状態検出を行う釣合い試験機であって、
    前記状態検出により取得されるサンプリングデータの算出手段を、少なくとも低回転速度帯域と高回転速度帯域の二種の回転速度帯域に対応して二種備え、
    前記試料の現在の回転速度に従って定まるいずれかの前記算出手段を選択し実行する演算処理手段を備え、
    前記低回転速度帯域における算出手段は、一周期分の処理データが得られるたびにそれらを平均して中間平均値を算出すると共に当該中間平均値を前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行い、
    前記高回転速度帯域における算出手段は、一の処理データが得られるたびに、既に記憶された前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行うことを特徴とすることを特徴とする釣合い試験機
  2. 前記演算処理手段は、現在の試料の回転速度が、前記各回転速度帯域の境界となる回転速度から所定範囲内で超えた場合でも、もとの回転速度帯域に基づく算出手段に従って演算処理を実行することを特徴とする請求項1記載の釣合い試験機。
  3. 前記演算処理手段は、前記回転速度に基づく周期に従って基準正弦波データと基準余弦波データとを生成し、
    前記低回転速度帯域における算出手段は、サンプリングデータに対して基準正弦波データを乗算した処理データと基準余弦波データを乗算した処理データの各々一周期分の処理データが得られるたびにそれらを平均して中間平均値を算出すると共に当該中間平均値を前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行い、
    前記高回転速度帯域における算出手段は、サンプリングデータに対して基準正弦波データを乗算した処理データと基準余弦波データを乗算した処理データの各々一の処理データが得られるたびに、既に記憶された前回の最終平均値と平均して順次最終平均値を更新する処理を行うことを特徴とする請求項1又は2記載の釣合い試験機。
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