JP4191540B2 - サイクロン集塵装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、例えば家庭用の電気掃除機に用いられるサイクロン集塵装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のサイクロン集塵装置は、サイクロン集塵部内に流入した吸気が遠心力により塵埃を分離した後、サイクロン集塵部から排気される排気口が排気筒本体の外周面に設けられている。排気口は、複数の窓状の開口部に、多数の貫通孔から成るメッシュを被着して形成されている。また、メッシュはナイロン系等の薄い樹脂により形成され、排気筒本体に固定されている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
【特許文献1】
特開2001−269297号公報(第5頁、第2図)
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
従来のサイクロン集塵装置では、フィルタにナイロン系のメッシュを使用しているため空気や塵埃との摩擦により帯電し、フィルタと塵埃との間に電気力(以下、クーロン力と記す)が働き、塵埃がフィルタに引きつけられ、付着してしまうという課題があった。また、付着した後も電荷の移動が起こりにくいためクーロン力により付着しつづけるという課題があった。
【0005】
また、ナイロン系のメッシュは強度が弱く支柱が必要であるため、フィルタの真円度を高くすることはできず、フィルタ付近の旋回流が乱れてしまい、塵埃がフィルタに付着しやすいという課題もあった。さらにサイクロン室内の旋回力を弱めてしまうという課題もあった。
【0006】
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、フィルタの帯電を緩和させることができ、また、サイクロン室の旋回力を高めることができるサイクロン集塵装置を得るものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
この発明に係るサイクロン集塵装置は、塵埃を含んだ空気を旋回させる旋回室と、旋回により分離された塵埃を集積する集塵室と、前記旋回室の空気を排出する排気口と、前記排気口から前記旋回室内に向けて配置された円筒状のフィルタとを備え、前記フィルタを、金属材料で形成したものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
実施の形態1.
図1はこの発明の実施の形態1におけるサイクロン集塵装置を示す上面構成図、図2はサイクロン集塵装置を示す斜視図である。図において、サイクロン集塵部1は、床ブラシ(図示せず)と連通し、塵埃を含んだ空気が通過する吸気管2と接続される吸気口3と、例えば電動送風機等の吸引駆動部(図示せず)と連通する排気管4と接続される排気口5が形成されている。また、サイクロン集塵部1は、塵埃と空気を旋回させる旋回室6と遠心力により分離した塵埃を蓄積する集塵室7とが設けられている。旋回室6と集塵室7は仕切部8により区画され、一部は連結穴9により連通している。遠心力により分離した塵埃は旋回室6から連結穴9を介して集塵室7に蓄積される。また、排気口5には、排気口5から旋回室1内側に向かって円筒状のフィルタ部10が設けられており、実施の形態1では、フィルタ部10を金属材料の円管で形成した例を示している。
【0009】
なお、図中、矢印は空気の流れを示している。
【0010】
電動送風機(図示せず)の駆動によって吸気管2から流れ込む塵埃は、吸気管2の壁面や空気との摩擦により帯電する。帯電した塵埃は、吸気口3からサイクロン集塵部1に流れ込み、旋回室6でフィルタ部10の回りを旋回する。そして、遠心力により旋回室6の壁面、仕切部8に押し付けられ、連結穴9から集塵室7に流れ込んで蓄積する。一方、塵埃と分離した空気は、フィルタ部10を通過し、排気口5より排気管4に流れ出て、電動送風機(図示せず)に吸引される。
【0011】
また、塵埃は、旋回室6内を旋回中にフィルタ部10に衝突したり、排気管4に排出される空気の流れに乗ってフィルタ部10を通過するときフィルタ部10と衝突したりする。そして、これら衝突により、フィルタ部10は空気との摩擦で帯電し、フィルタ部10と塵埃との間でクーロン力が発生してお互いに引き付け合う状態となる。
【0012】
ここで、クーロン力について説明する。
クーロン力は、2つの電荷の間に働く電気力であり、その大きさは次の数式にて表される。
【0013】
Figure 0004191540
【0014】
Fはクーロン力、q1とq2は電荷、rは電荷の距離、kはクーロン定数(=8.9875×109(Nm2/C2))を示す。この数式から、帯電量が多いほど(電荷が大きいほど)クーロン力は強くなることが理解できる。また、お互いの距離が近いほどクーロン力は強くなるもことがわかる。
【0015】
実施の形態1によれば、フィルタ部10を金属材料で形成することにより、フィルタ部10の帯電量が大幅に減少すると共に、フィルタ部10と塵埃間の電荷の移動が容易となる。これにより、フィルタ部10との接触時、クーロン力による吸着力はナイロン材フィルタの場合と比べて大幅に弱まるので、塵埃は旋回風に乗りやすく、集塵室7への蓄積効率は向上する。
【0016】
また、フィルタ部10に金属材料で形成された円管を用いたので、真円度の高い円管、つまり真円度の高いフィルタ部10を形成できるので、集塵室7内の旋回がスムーズになり、旋回力が強くなることによって遠心力による分離性能が高まるという効果がある。また、真円度が高いため、凹凸による塵埃の引っかかりを減少することができるという効果もある。さらに、金属材料であるため、フィルタ部10を支える支柱が不要となり、フィルタ部の開口率を増やすことができ、集塵性能が向上する。
【0017】
実施の形態2.
図3はこの発明の実施の形態2におけるサイクロン集塵装置のフィルタ部の要部拡大図である。実施の形態1ではフィルタを金属材料の円管で形成した例を示したが、実施の形態2では、開口処理を施した金属材料のプレートでフィルタを形成する例を示す。図を用いて、金属材料のプレートを円筒状に湾曲させて形成するフィルタ部11の詳細について説明する。まず、プレートに開口処理を施し、その後プレートの端部を折り曲げて折り曲げ部12を形成する。そして、プレートを湾曲させて円筒状にし、両端の折り曲げ部12をそれぞれ当接させる。次に、折り曲げ部12と略同じ長さで構成された金属製の押え部13で図3に示すように折り曲げ部12を挟持するように固定して円筒状のフィルタ部11を形成する。
【0018】
なお、フィルタ部11を円筒状に形成する方法は、プレートの端部を押え部13で固定する方法に限ったものではなく、例えば溶接処理を施しても固定してもよい。
【0019】
また、金属材料への開口処理方法については、特に限定しないが、その代表的なものをいくつか記載する。
【0020】
例えば、不要部分を化学的あるいは電気化学的に除去するエッチング、またはエッチング処理を施した部材に対して再度エッチングを施し角を除去するソフトエッチング、または金型を形成し、プレス機械で加圧打ち抜きするパンチングプレス、またはレーザービームを一点に集中させ材料を熱し、蒸発させて加工するレーザー加工、などがある。
【0021】
実施の形態2によれば、実施の形態1と同様に、フィルタ部11を金属材料で形成することにより、フィルタ部11の帯電量が大幅に減少すると共に、フィルタ部11と塵埃間の電荷の移動が容易となる。これにより、フィルタ部11との接触時、クーロン力による吸着力はナイロン材フィルタの場合と比べて大幅に弱まるので、塵埃は旋回風に乗りやすく、集塵室への蓄積効率は向上する。
【0022】
また、金属材料であるため、フィルタ部11を支える支柱が不要となり、フィルタ部の開口率を増やすことができ、集塵性能が向上する。
【0023】
さらに、金属材料のプレートに開口処理を施してから円筒状に成形するので、例えば開口処理方法として比較的容易な手段であるパンチングプレスやエッチング技法を用いることができる。
【0024】
実施の形態3.
図4はこの発明の実施の形態3におけるサイクロン集塵装置のフィルタ部の要部拡大図である。図において、上述の各実施の形態と同じの構成には同一の符合を付し、説明を省略する。図に示すように、フィルタ部10(11)に形成する開口14を、角15が形成されないように、多角形または円形に形成する。これにより、フィルタ部10(11)に衝突した塵埃が開口14に引っかかりにくなり、集塵性能が向上する。
【0025】
実施の形態4.
図5はこの発明の実施の形態4におけるサイクロン集塵装置の構成を示す説明図である。図において、上述の各実施の形態と同じの構成には同一の符合を付し、説明を省略する。図5に示すように、掃除機本体16内にはサイクロン集塵部1と電動送風機17が内蔵されている。フィルタ部10(11)にはアース配線18が施されている。これにより、フィルタ部10(11)での帯電を防止することができる。したがって、フィルタ部10(11)と塵埃との間でクーロン力の発生を防ぎ、クーロン力の働きによる塵埃のフィルタ部10(11)への付着を防止することができ、集塵性能を向上させることができる。
【0026】
ところで、上述した各実施の形態では、サイクロン集塵部の一部に集塵室を設けたサイクロン集塵装置について述べたが、集塵室と旋回室を別々に設けてもよく、その他形状のサイクロン集塵装置にも利用できることは言うまでもない。
【0027】
また、上述した各実施の形態では、円筒形状のフィルタを用いたサイクロン集塵装置について述べたが、その他円形状のサイクロン集塵装置にも利用できることは言うまでもない。
【0028】
【発明の効果】
この発明は以上説明したように、サイクロン集塵部の旋回室に設けるフィルタ部を金属材料で形成したことにより、フィルタ部での帯電を緩和し、クーロン力による塵埃のフィルタ部への付着を防ぐことができ、集塵性能が向上するという効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】 この発明の実施の形態1におけるサイクロン集塵装置を示す上面構成図である。
【図2】 この発明の実施の形態1におけるサイクロン集塵装置を示す斜視図である。
【図3】 この発明の実施の形態2におけるサイクロン集塵装置のフィルタ部の要部拡大図である。
【図4】 この発明の実施の形態3におけるサイクロン集塵装置のフィルタ部の要部拡大図である。
【図5】 この発明の実施の形態4におけるサイクロン集塵装置の構成を示す説明図である。
【符号の説明】
1 サイクロン集塵部、2 吸気管、3 吸気口、4 排気管、5 排気口、6 旋回室、7 集塵室、8 仕切部、9 連結穴、10 フィルタ部、11 フィルタ部、12 折り曲げ部、13 押さえ部、14 開口、15 角、16 掃除機本体、17 電動送風機、18 アース配線。

Claims (3)

  1. 塵埃を含んだ空気を旋回させる旋回室と、旋回により分離された塵埃を集積する集塵室と、前記旋回室の空気を排出する排気口と、前記排気口から前記旋回室内に向けて配置された円筒状のフィルタ部とを備え、前記フィルタ部を、金属材料で形成したことを特徴とするサイクロン集塵装置。
  2. 前記フィルタ部に形成される開口を、多角形状または円形状としたことを特徴とする請求項1記載のサイクロン集塵装置。
  3. 前記フィルタ部にアース配線を施したことを特徴とする請求項1記載のサイクロン集塵装置。
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