JP2004290212A - 集塵装置及びそれを用いた電気掃除機 - Google Patents

集塵装置及びそれを用いた電気掃除機 Download PDF

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Sadao Fukushima
定男 福島
Noriyuki Murao
則行 村尾
Sadamoto Kodera
定基 小寺
Tomio Tanigawa
富夫 谷川
Takaya Azumi
喬哉 安積
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Abstract

【課題】サイクロン空間に装着されるフィルタのメッシュの目詰まりを抑えることができ、またサイクロン空間の旋回流の流れがスムーズになって集塵効率が向上する集塵装置及びそれを用いた電気掃除機を提供する。
【解決手段】吸引経路に配置されるダストボックス内に、メッシュ状のフィルタが装着された筒状のフィルタ枠体を配設し、このフィルタ枠体とダストボックスとの間にサイクロン空間を形成すると共に、前記フィルタを構成するメッシュ14に熱プレス加工やカレンダー処理を施した。また、サイクロン空間内の旋回流の方向に対して、前記フィルタを構成するメッシュ14の巻き終わり部が順方向になるように巻き始め部上に重ね合わせた。
【選択図】 図11

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本願発明は、サイクロン式の集塵装置及びそれを用いた電気掃除機に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来より、使い捨ての集塵用紙パックを用いずに、掃除機本体の吸引経路に着脱自在に装着され、内部で渦巻状の空気の流れ(いわゆる、サイクロン)を発生させる集塵ケース内に筒状のフィルタを備えて、サイクロンによる遠心分離とフィルタにより濾過された塵埃を集塵ケース内に蓄積できるようにしたサイクロン式の集塵装置を用いた電気掃除機が知られている。
【0003】
サイクロン式の電気掃除機としては、例えば特許文献1に関わる塵埃分離装置を備えた電気掃除機等が知られている。
【0004】
特許文献1に示されたサイクロン式の電気掃除機は、ダストボックス内部に内側サイクロンケースを設けることにより、2重のサイクロンを発生させるものである。内側サイクロンケースの下部は、サイクロンチューブによってダストボックスの第1サイクロン空間に対して気密的に閉じられている。内側サイクロンケースの上部は、通気性を有するシュラウドを介してダストボックスの第1サイクロン空間に連通している。
【0005】
内側サイクロンケース上端の排気口に接続された電動送風機などによって発生される負圧により、塵埃を含んだ空気は、外部から吸気管を通してダストボックス内部の第1サイクロン空間へ導入され、第1サイクロン空間内部で旋回し、比較的大きな塵埃が落下してサイクロンチューブ上に堆積する。さらに、シュラウドを介して内側サイクロンケース内部の第2サイクロン空間へ導入され、第2サイクロン空間内部で旋回し、微細塵埃が落下してサイクロンチューブ内の下側に堆積する。塵埃を除去された空気は、内側サイクロンケース上端の排気口から排出される。
【0006】
また、本願出願人は、特願2002−325474号等において、ダストボックス内に外側フィルタフィクスチャと内側フィルタフィクスチャを配設して、ダストボックス内壁と外側フィルタフィクスチャとの間に第1サイクロン空間を形成し、内側フィルタフィクスチャ内に第2サイクロン空間を形成する集塵装置及びそれを用いた電気掃除機を提案している。上記外側フィルタフィクスチャには、メッシュ状のフィルタが装着されている。
【0007】
【特許文献1】
特表平10−511880号公報(図1)
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記外側フィルタフィクスチャに装着されるフィルタを構成するメッシュは、図22(a)に示すように縦線材14aと横線材14bが交互に上下する格子織りで、同図(b)に示すように断面形状が凹凸になっており、細塵や綿ごみなどが引っ掛かって付着し易いため、目詰まりを起こす原因となっている。
【0009】
また、上記メッシュの巻き始め部と巻き終わり部の重ね合わせ接合部において、メッシュの巻き終わり部をサイクロン風(旋回流)の流れに対して逆方向に重ね合わせると、メッシュの段差部分によりサイクロン風に乱流を起こし、スムーズな流れにならず、集塵効率が低下する。また、メッシュの段差部分に塵埃が引っ掛かって付着し、その部分のメッシュが目詰まりを起こしてしまう。
【0010】
また、上記メッシュの目の大きさは、100メッシュ以上(1平方インチ当たりの目の数が100以上)の非常に細かい目を採用しており、塵埃の多くを濾過するフィルタの役割を果たしていたため、細塵などがメッシュを通り抜けられず、目詰まりがすぐに発生し、フィルタのメンテナンスを頻繁に行っていた。
【0011】
そこで、本願発明はこのような課題を解決するためになされたものであり、サイクロン空間に装着されるフィルタのメッシュの目詰まりを抑えることができ、またサイクロン空間の旋回流の流れがスムーズになって集塵効率が向上する集塵装置及びそれを用いた電気掃除機を提供することを目的とするものである。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上記のような目的を達成するために、本願発明に係る集塵装置は、吸引経路に配置されるダストボックス内に、メッシュ状のフィルタが装着された筒状のフィルタ枠体を配設し、このフィルタ枠体と前記ダストボックスとの間にサイクロン空間を形成すると共に、前記フィルタを構成するメッシュに熱プレス加工を施したことを特徴とするものである。
【0013】
さらに、前記フィルタを構成するメッシュに熱プレス加工を施した後にカレンダー処理を施したことを特徴とするものである。
【0014】
また、前記サイクロン空間内の旋回流の方向に対して、前記フィルタを構成するメッシュの巻き終わり部が順方向になるように巻き始め部上に重ね合わせたことを特徴とするものである。
【0015】
また、前記フィルタを構成するメッシュに撥水処理を施したことを特徴とするものである。
【0016】
また、前記フィルタを構成するメッシュに帯電防止処理を施したことを特徴とするものである。
【0017】
また、前記フィルタを構成するメッシュとして略20メッシュのものを用いたことを特徴とするものである。
【0018】
一方、本願発明に係る電気掃除機は、電動送風機を内蔵し、その吸引経路に上記のいずれかに記載の集塵装置を配置したことを特徴とするものである。
【0019】
【発明の実施の形態】
以下、本願発明の一実施形態を図1〜図19を参照して詳細に説明する。
【0020】
本実施形態の電気掃除機は、図1〜図4に示すように、キャニスタータイプの掃除機本体1の前部に、サイクロン式の集塵装置2が上方から挿入されることにより着脱自在に設けられ、掃除機本体1の後部には電動送風機3が内蔵されている。また、掃除機本体1の前面部の連結口4には、図示しない吸込ホースや延長管を介して吸込具が連結されるようになっている。また、掃除機本体1には、床面を容易に移動できるように、キャスター式の前輪5と一対の大径の後輪6,6が備えられている。
【0021】
上記掃除機本体1は、図4に示すように、下ケース1aと上ケース1bで電動送風機3を囲っていて、電動送風機3からの排気は矢印で示すように、上ケース1bの後部に形成された排気スリット1cから上ケース1b外に排出されようになっている。また、上記排気スリット1cを含む上ケース1b後部側を覆うようにケースカバー1dが設けられて、このケースカバー1dの背面側上部に多数の排気孔1eが形成されている。上ケース1bの排気スリット1cとケースカバー1dの排気孔1eは連通しており、ケースカバー1dの排気孔1eは上ケース1bの排気スリット1cよりも高い位置にあると共に、排気孔1e自体に斜め上向きの角度がつけられている。
【0022】
排気孔1eに上向きの角度をつけただけでは、排気の風向きを十分に上向きに変えるのは難しく、床面の埃の舞い上がりを確実に防ぐことができなかったが、上記のように構成することにより、排気スリット1cから排気孔1eに至る経路で上方向に風向きが規制され、排気孔1eを通過した後も上方向に向かって広がってゆくので、床面の埃の舞い上がりを確実に防ぐことができるようになっている。
【0023】
一方、図5〜図19等に示すように、集塵装置2は、図8に示す如く横断面形状が略Dカット形状に形成されたダストボックス10の内側に、第1サイクロン筒体となる略円筒状の外側フィルタフィクスチャ(フィルタ枠体)11と、第2サイクロン筒体となる内側フィルタフィクスチャ12が配置されており、ダストボックス10は内部に溜まった塵埃や塵埃の旋回が外から見えるように透明又は半透明の合成樹脂などで形成されている。
【0024】
上記外側フィルタフィクスチャ11は、図9に示すように、その上部外周面に形成された開口部13を覆うように斜線で示したメッシュ(フィルタ)14をインサート成形している部品である。
【0025】
上記メッシュ14は、前記従来技術の図22に示したものと同様に縦線材14aと横線材14bが交互に上下する格子織りであるが、本実施形態においては、図10に示すように、表裏から矢印で示す如く熱プレス加工が施され、更に熱プレス加工後にローラ間等を通して平滑化するカレンダー処理が施され、図11に示すように断面形状に凹凸の無い滑らかなものとなっている。熱プレス加工により断面形状に凹凸が無くなって、細塵や綿ごみなどが付着し難くなり、目詰まりを抑えることができると共に、カレンダー処理により更に平滑化されているので、細塵や綿ごみなどが更に付着し難くなって、より効果的に目詰まりを抑えることができる。
【0026】
また、図12に示すように、上記メッシュ14は、外側フィルタフィクスチャ11に巻き始め部14cより貼り付けられ、巻き終わり部14dは巻き始め部14cの外側に矢印で示すサイクロン風(旋回流)の風の流れに対して順方向になるように貼り付けられている。これにより、サイクロン風の流れがスムーズになって集塵効率が向上すると共に、塵埃の引っ掛かりもなくなって、その部分のメッシュ14の目詰まりを抑える作用効果がある。
【0027】
さらに、図示はできないが、上記メッシュ14には、特殊フッ素撥水材のコーティング処理が施され、更に帯電防止コーティング処理が施されている。特殊フッ素撥水材をコーティング処理することにより、細塵や綿ごみなどの除去性を向上させ、目詰まりを抑える作用効果がある。また、帯電防止コーティング処理することにより、帯電し難く放電性に優れ、細塵や綿ごみなどが付着し難くなって、目詰まりを抑える作用効果がある。
【0028】
また、本実施形態では、メッシュ14の目の大きさを、前述した従来の100メッシュ以上の細かいものから20メッシュ程度に大きくしており、これにより、細塵などがメッシュ14を通り抜けるようになるので、この点においても目詰まりを抑える作用効果がある。上述したような各種の目詰まり防止対策を施したことにより、メッシュ(フィルタ)14のメンテナンスが大幅に軽減される。
【0029】
一方、前記ダストボックス10の略Dカット形状における直線部である前面上部には吸気管15が突設され、この吸気管15の先端側開口16は、掃除機本体1の前面側中央部に形成された前記連結口4と直接連結できるように、ダストボックス10の前面側上部の略中心付近に形成されている。
【0030】
また、図8に示すように、ダストボックス10内面に開口する吸気管15の吸込口17には、片側に壁18が設けられていて、上記のように吸気管15が中央部に形成されていても矢印で示すように吸込風の流れを変えて、ダストボックス10内部で発生する旋回流(サイクロン風)の流れる方向(図8においては時計回り方向)へ案内するようになっている。
【0031】
上記ダストボックス10は、横断面形状が略Dカット形状に形成されているので、ダストボックス10内壁と外側フィルタフィクスチャ11間に形成される後述の第1サイクロン空間22は、ダストボックス10の吸込口17の両側に流路幅(断面積)が他より広く形成された幅広部22aを有し、吸込口17とその反対側が幅狭部22bとなる。従って、第1サイクロン空間22における流速に変化が生じ、幅狭部22bでは流速が速くなり、幅広部22aでは流速が遅くなる。流速が速い幅狭部22bでは遠心分離作用が大きくなって塵埃がダストボックス10内壁側に分離され、この分離された塵埃が幅広部22aで流速が遅くなる旋回流の澱みによって落下して塵埃の溜まりになる。
【0032】
また、ダストボックス10の横断面形状が略Dカット形状であるので、ダストボックス10の前後方向の小型化を実現でき、これが装着される掃除機本体1の小型化も実現できるが、この場合、外側フィルタフィクスチャ11のフィルタ14への塵埃(綿ごみ等)の貼り付きと細塵の捕集効率に影響を及ぼす値である,外側フィルタフィクスチャ11とダストボックス10内壁との距離A(図14参照)をある程度確保することと、Dカット前の吸込仕事率を維持するために後述の排気筒26の内径B(図14参照)を確保することが困難になる。
【0033】
そこで、本実施形態においては、図14に示すように、フィルタフィクスチャ11,12の中心軸C1をDカット前のダストボックス10の中心軸C2に対して略Dカット形状の円弧部側(図14の右側)に偏心させることにより、外側フィルタフィクスチャ11とダストボックス10内壁との距離Aを十分に全周確保し、かつ排気筒26の内径Bを確保することを可能にしている。これにより、細塵の捕集効率や吸込仕事率等の性能に影響なく、ダストボックス10の小型化を実現することができ、掃除機本体1の小型化も実現できる。
【0034】
一方、図7等に示すように、外側フィルタフィクスチャ11の上下方向中央部には、内側フィルタフィクスチャ12の外壁及びダストボックス10の内壁に向かって延びる鍔部20が形成され、ダストボックス10の内壁に向かって延びる鍔部20の外周は下方に曲げられて、ダストボックス10内壁との間に隙間21が形成されるようになっている。また、外側フィルタフィクスチャ11の鍔部20の内周部から下方に延びた部分は滑らかに絞り込まれてやや小径に形成され、後述する底蓋43まで達している。従って、ダストボックス10内壁と外側フィルタフィクスチャ11との間には、ダストボックス10内壁上部と外側フィルタフィクスチャ11上部及びその鍔部20とによって囲まれて、旋回流による遠心分離とフィルタ14による濾過とによって比較的大きな塵埃(粗塵)を効率良く分離する第1サイクロン空間22が形成され、その下部側に第1サイクロン空間22と隙間21を介して連通し、分離された塵埃を捕集する外側集塵部23が形成されている。鍔部20の先端部分が下方に曲げられているため、塵埃が第1サイクロン空間22から隙間21を介して外側集塵部23へ移動するとき、大きな塵埃が先端部分に引っ掛かるのを防いでいる。
【0035】
また、上記外側フィルタフィクスチャ11は、ダストボックス10の上端開口を開閉する上蓋24の下面を成す中蓋25に垂れ下がった状態に着脱可能に取り付けられるようになっている。上蓋24の下面を成す中蓋25の中央部には、下方に延びる短めの排気筒26が形成されており、この中蓋25が当該中蓋25の外周に装着されたパッキン27を挟んだ状態で上蓋24の内壁に嵌合している。また、中蓋25とダストボックス10の上端間も、上記中蓋25の外周に装着されたパッキン27によって密閉されるようになっている。すなわち、本実施形態では、図15等に示すように、ダストボックス10と中蓋25と上蓋24間を1つのパッキン27で密閉するように構成されている。従来技術で述べた本願出願人が提案したものでは、ダストボックスと中蓋と上蓋間が2〜3個の複数のシール部材で密閉されるようになっていた。シール部材を複数使用する場合、部品点数が増える為、組立工数が増え、また、コストアップや部品検査作業の負担増といった問題が発生し、生産面・コスト面で大きなマイナスとなる。このように、従来、ダストボック10内の気密性保持の為に複数使用していたシール部材を本実施形態では1個で対応できるようになり、従来負担となっていた組立及び部品検査作業の時間削減や、部品や組立費の低減などで大きな効果が得られる。なお、上蓋24の上面には取手部28が設けられている。
【0036】
また、上蓋24と中蓋25との間には、排気筒26の上部開口(排気口)29を覆うようにして細塵を濾過するダストフィルタ30が、中蓋25の外周上端にパッキン31を介して配置されるフィルタ枠体32に装着されて取り付けられている。上記ダストフィルタ30は、図16〜図18に示すように構成されて装着される。ここで、このダストフィルタ30が目の粗い仕様だと、細塵の中でも小さな塵埃は通ってしまい、逆に目の細かい仕様だと、細塵の中で大きな塵埃も小さな塵埃も一緒に蓄積され、ダストフィルタ30の目詰まりが早くなる。そこで、本実施形態では、ダストフィルタ30を2層構造に形成すると共に、2層構造の吸入側に排出側より目の粗いフィルタを配置したものである。具体的には、図16(b)に示すように、空気の吸入側(風の流れの上流側)に目の粗いウレタンフィルタ(例えばポリエーテル系ウレタンフォームのタイプCFH−50)30aを使用し、排出側(風の流れの下流側)に目の細かいウレタンフィルタ(例えばポリエーテル系ウレタンフォームのタイプCFS)30bを使用した2層構造とした。なお、本実施形態では、厚みの比率を、目の粗いウレタンフィルタ30aを2、目の細かいウレタンフィルタ30bを1としたが、掃除機の性能及びダストボックス10の形状や大きさ等により任意に選択できる。また、集塵性能を考慮して、3層構造以上の構成も任意に選択できるものとする。以上のように構成することにより、空気の浄化が1層に比べて長期にわたって安定的に行われ、また、ダストフィルタ30の取換え寿命が大幅に伸び、使用時の負担が低減されるなどの大きな効果が得られる。
【0037】
また、上記のように、ダストボックス10内で分離できなかった細塵の中で大きなものを第1層で捕り、小さなものを第2層で捕るようにした場合、目詰まりは第2層の表面で起こる。ここで、2種類のウレタンフィルタ30a、30bの張り合わせをフィルタ全面で接着して行っている場合、第2層の表面で起こった目詰まりは、水洗いによって目詰まりのない状態に復帰させなければならないので、メンテナンス性に課題が残る。そこで、本実施形態では、図17に網掛け図示したように、ダストフィルタ30の2層の張り合わせ部30cを一部分30dを除いた外周側のみの接着とした。このように構成することにより、ダストフィルタ30が目詰まりした時、2層目表面に溜まった細塵を、接着していない部分30dから落とすことが可能になる。これにより、水洗いすることなくダストフィルタ30を目詰まりのない状態に復帰させることが可能となり、ダストフィルタ30のメンテナンス性向上という効果が得られる。
【0038】
また、上記のようにダストフィルタ30を粗密の2層(多層)構造とした場合、フィルタ枠体32に装着する際に、表裏(粗密)を注意せずに、吸入側(流路の上流側)に密フィルタ30bを配して装着すると、塵埃が付着しやすくなって直ぐに目詰まりを起こしてしまう。そこで、本実施形態においては、図18に示すように、2層構造のダストフィルタ30の外形形状を非対称に形成し、このダストフィルタ30が装着されるフィルタ枠体32を上記フィルタ形状に合わせて形成したものである。すなわち、2槽構造のダストフィルタ30は、略Dカット形状に形成されると共に、その直線部の一端側を切り欠くようにして凹部30eと凸部30fを形成して非対称形状としている。そして、ダストフィルタ30が装着されるフィルタ枠体32も、略Dカット形状に形成すると共に、フィルタ装着部32aには上記ダストフィルタ30の凹部30eと凸部30fに対応する位置にそれらが嵌合する凸部32eと凹部30fを形成して非対称形状としている。これにより、ダストフィルタ30の表裏(粗密)を注意することなく、正しい装着を容易に行うことができるようになる。
【0039】
このように構成された上蓋24は、前部下端側に形成された係止爪33がダストボックス10の前部上端側に形成された突出部34に係合し、後部下端側に形成された係合部にダストボックス10の後部上端側に設けられてスプリング等で付勢されたクランプ(いずれも図示せず)が係合することにより、開閉可能に構成されている。
【0040】
一方、内側フィルタフィクスチャ12にはフィルタは装着されておらず、旋回流による遠心分離のみによって細かな塵埃(細塵)を分離するもので、上端から上記外側フィルタフィクスチャ11の鍔部20の下端部付近までが、内側にある排気筒26と略平行になるよう軸方向にほぼ同径に形成された大径の遠心分離部35と、その下部側から前記外側フィルタフィクスチャ11の内壁に嵌合するように滑らかに絞り込まれて形成された小径の遠心分離部36とを有している。大径の遠心分離部35には、外側フィルタフィクスチャ11の鍔部20の内周縁に引っ掛かる段部37が形成されている。従って、内側フィルタフィクスチャ12は、その大径の遠心分離部35の下部側が外側フィルタフィクスチャ11の対応部分に嵌合すると共に、外周に形成された段部37が外側フィルタフィクスチャ11の鍔部20の内周縁に引っ掛かることにより支持され、上端縁は上蓋24下面の中蓋25に当たって密接するようになっている。
【0041】
内側フィルタフィクスチャ12に上記のような大径の遠心分離部35と共に小径の遠心分離部36を形成することにより、小径の遠心分離部36で旋回流の流速が大きくなるので、細塵の捕集効率を向上することができる。また、小径の遠心分離部36の下面側は塞がれており、その側面側に図7,図13に示すような開口部38を形成して、この開口部38から遠心力により塵埃を外側フィルタフィクスチャ11の下部内壁で囲まれた内側集塵部39にはじき飛ばすようにしている。はじき飛ばされた塵埃は底蓋43側に落下して捕集されるので、捕集された後は巻き上がらない。この開口部38の幅寸法は、巻き上げを確実に防ぐため遠心分離部内径の1/2以下にするのが望ましい。
【0042】
また、上記内側フィルタフィクスチャ12の大径の遠心分離部35には、図8等に示すように、第1サイクロン空間22からの空気流を内側フィルタフィクスチャ12内の第2サイクロン空間40に導入するための導入部41が形成されている。
【0043】
また、図6等に示すように、ダストボックス10の底部には、吸気管15の下部に設けられたヒンジ(開閉支点)42により開閉自在に構成された底蓋43が取り付けられている。この底蓋43は、ダストボックス10の後面側の取手部44の上部に設けられたボタン45を押すことにより、取手部44に内装されて上記ボタン45に連動するクランプ等が底蓋43側の係止爪等より外れて、図19に示すようにダストボックス10の下端開口46を開放するようになっている。また、底蓋43の上面外周側には、ダストボックス10の下端縁に圧接して底蓋43を密閉するパッキン47が装着されており、その内側には外側フィルタフィクスチャ11の下端縁に圧接して外側集塵部23と内側集塵部39間を密閉するパッキン48が設けられている。
【0044】
従って、ダストボックス10内の外側集塵部23や内側集塵部39に堆積した塵埃は、ごみ箱等の上で図19に示すように底蓋43を開ければ、ごみ箱内に落下させて捨てることができる。また、この状態で、ダストボックス10内を容易に清掃することができる。
【0045】
次に、本実施形態の電気掃除機における塵埃及び空気のそれぞれの流れについて説明する。
【0046】
掃除機本体1の外部から吸引される塵埃を含む空気は、図3に示されるように、連結口4から吸気管15を通してダストボックス10内に入り、ダストボックス10の内壁に沿って旋回する。具体的には、第1サイクロン空間22内部において、空気が旋回しながら外側フィルタフィクスチャ11のフィルタ内部へ流れ、分離された塵埃は隙間21を通って下方に落ち、ダストボックス10底部の外側集塵部23に堆積する。
【0047】
同様に、外側フィルタフィクスチャ11のフィルタ内部に流れた空気もさらに旋回する。具体的には、第2サイクロン空間40内部において、空気が旋回しながら遠心分離によって細塵を分離し、分離された細塵は内側フィルタフィクスチャ12の内壁に沿って下方に落下し、内側集塵部39に堆積する。
【0048】
本実施形態においては、図10〜図12に示したように、外側フィルタフィクスチャ11のメッシュ(フィルタ)14に、熱プレス加工やカレンダー処理を施して、縦線材14aと横線材14bが交差する部分の凹凸を無くし、更にメッシュ14の巻き終わり部14dをサイクロン風の流れに対して順方向とすると共に、特殊フッ素撥水材コーティング処理や帯電防止コーティング処理を施し、メッシュ14の大きさも20メッシュ程度と大きくする等の各種の目詰まり防止対策を施しているので、メッシュ14の目詰まりを効果的に抑えることができ、また、サイクロン風に乱流を起こすこともなく流れがスムーズになって、集塵効率を向上することができる。
【0049】
また、図8に示したように、第1サイクロン空間22の幅広部22aで多くの塵埃を捕集することにより、第1サイクロン空間22から外側フィルタフィクスチャ11のメッシュ(フィルタ)14を介して内側フィルタフィクスチャ12内の第2サイクロン空間40へ流れ込む塵埃の量を少なくすることにより、上記メッシュ14やダストフィルタ30の目詰まりの頻度を少なくすることができる。特に本実施形態では、幅広部22aがダストボックス10の吸込口17の両側に形成されているので、より効果的である。
【0050】
上記のようにして、ダストボックス10内で塵埃が濾過された空気は、排気筒26から吸引されて上蓋24内部のダストフィルタ30により更に濾過されたのち、上蓋24後端の排気口50より集塵装置2外に出る。そして、掃除機本体1内の連絡通路7を介して電動送風機3に取り込まれる。図4に示したように、電動送風機3から排出される排気は、矢印で示す如く上ケース1bの排気スリット1cからケースカバー1dの排気孔1eに至る経路で上方向に風向きが規制され、排気孔1eを通過した後も上方向に向かって広がってゆくので、床面の埃の舞い上がりを確実に防ぐことができる。
【0051】
次に、本願発明の他の実施形態について、図20、図21に基づき説明する。尚、前述した実施形態と同一構成については同一番号を付与し、説明を省略する。
【0052】
図20は、本願発明の他の実施形態に係る集塵装置を下方から見た斜視図、図21は、同じく、側面側から見た中央縦断面図である。
【0053】
100は、前記中蓋25に略90度間隔で形成され、前記第1サイクロン空間22に向かって延びるリブである。
【0054】
101は、前記中蓋25の中央部から前記外側フィルタフィクスチャ36の段部37の位置まで延びる排気筒で、該排気筒101は、下部開口に向かって漸次径小に形成されている。
【0055】
102、102は、前記上蓋24の内面に複数形成された整流板で、先端が前記ダストフィルタ30に当接し、フィルタ枠体103、前記中蓋24とともに前記フィルタを保持している。そして、整流板102と整流板102との間、整流板102と前記上蓋24の内壁との間には空間104、104が形成され、前記排気筒101の上部開口29から排気される空気は、前記空間104、104を通って排気口50に案内されるので、空気流の流れを前記整流板102、102によって整流でき、空気を円滑に前記排気口50から前記集塵装置2外へ吹き出すことができる。
【0056】
上記構成によって、前記吸気管15を通して前記ダストボックス10内に入った空気の一部は、前記第1サイクロン空間22での旋回中に前記リブ100に衝突する。この衝突によって、比較的大きな塵埃は隙間21を通って下方に落ち、前記ダストボックス10底部の外側集塵部23に堆積するため、集塵効率を向上させることができる。また、空気流の流れは、前記リブ100より前記開口部13に向かって偏向されるので、前記第2サイクロン空間40に多くの空気が入り、吸込仕事率を向上させることができる。
【0057】
そして、前記第2サイクロン空間40に侵入した空気は、前記内側フィルタフィクスチャ12の内壁面に沿って旋回するが、前記排気筒101が下部開口に向かって漸次径小となっているため、前記内側フィルタフィクスチャ12の内壁面と前記排気筒101が下部開口との距離が長くなり、旋回する空気が前記排気筒101の下部開口に巻き込まれることを防止できる。よって、前記第2サイクロン空間40で、細塵を遠心分離によって確実に分離させることができ、集塵効率を向上させることができる。
【0058】
【発明の効果】
以上のように、本願発明の集塵装置によれば、吸引経路に配置されるダストボックス内に、メッシュ状のフィルタが装着された筒状のフィルタ枠体を配設し、このフィルタ枠体とダストボックスとの間にサイクロン空間を形成すると共に、前記フィルタを構成するメッシュに熱プレス加工を施したことにより、熱プレス加工によって断面形状に凹凸が無くなって、細塵や綿ごみなどが付着し難くなるので、目詰まりを抑えることができる。
【0059】
さらに、前記フィルタを構成するメッシュに熱プレス加工を施した後にカレンダー処理を施したことにより、カレンダー処理によって更に平滑化されているので、細塵や綿ごみなどが更に付着し難くなって、より効果的に目詰まりを抑えることができる。
【0060】
また、前記サイクロン空間内の旋回流の方向に対して、前記フィルタを構成するメッシュの巻き終わり部が順方向になるように巻き始め部上に重ね合わせたことにより、旋回流の流れがスムーズになって集塵効率が向上すると共に、塵埃の引っ掛かりもなくなって、その部分のメッシュの目詰まりを抑える効果がある。
【0061】
また、前記フィルタを構成するメッシュに撥水処理を施したことにより、細塵や綿ごみなどの除去性を向上させ、目詰まりを抑える効果がある。
【0062】
また、前記フィルタを構成するメッシュに帯電防止処理を施したことにより、帯電し難く放電性に優れ、細塵や綿ごみなどが付着し難くなって、目詰まりを抑える効果がある。
【0063】
また、前記フィルタを構成するメッシュとして略20メッシュのものを用いたことにより、細塵などがメッシュを通り抜けるようになるので、この点においても目詰まりを抑える効果がある。
【0064】
一方、本願発明に係る電気掃除機は、電動送風機を内蔵し、その吸引経路に上記のいずれかに記載の集塵装置を配置したものであるから、上述した効果が得られる電気掃除機が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本願発明の実施形態に係る集塵装置を備えた電気掃除機における掃除機本体の側面図。
【図2】同じく、掃除機本体の背面図。
【図3】同じく、掃除機本体全体の側面側から見た中央縦断面図。
【図4】同じく、掃除機本体の後部側の要部縦断面図。
【図5】上記集塵装置の一実施形態を示す斜視図。
【図6】同じく、側面側から見た中央縦断面図。
【図7】同じく、前面側から見た中央縦断面図。
【図8】同じく、上面側から見た要部横断面図。
【図9】上記集塵装置に内蔵された外側フィルタフィクスチャを示す側面図。
【図10】上記外側フィルタフィクスチャに装着されるメッシュ(フィルタ)の熱プレス加工を模式的に示す説明図。
【図11】上記熱プレス加工後にカレンダー処理されたメッシュを示す図で、(a)は一部拡大断面図、(b)は一部拡大平面図。
【図12】上記メッシュの巻き始め部と巻き終わり部の風の流れに対する重ね合わせ構造を示す説明図。
【図13】内側フィルタフィクスチャを示す側面図。
【図14】上記フィルタフィクスチャの中心軸とDカット前のダストボックスの中心軸の偏心状態を説明するための縦断面図。
【図15】上記ダストボックスと中蓋と上蓋間を1つのシール部材で密閉した構成を説明するための縦断面図。
【図16】上蓋と中蓋間に装着される2層構造のダストフィルタを示す図で、(a)は平面図、(b)は縦断面図。
【図17】同じく、2層構造のダストフィルタの接着部を説明するための図。
【図18】同じく、2層構造のダストフィルタの非対称構成を説明するための図で、(a)はダストフィルタの平面図、(b)はそのフィルタ枠体の平面図。
【図19】上記集塵装置の底蓋を開いた状態を示す中央縦断面図。
【図20】本願発明の他の実施形態に係る集塵装置を下方から見た斜視図。
【図21】同じく、側面側から見た中央縦断面図。
【図22】従来のメッシュを示す図で、(a)は一部拡大平面図、(b)は一部拡大断面図。
【符号の説明】
1 掃除機本体
2 集塵装置
3 電動送風機
4 連結口
10 ダストボックス
11 外側フィルタフィクスチャ
12 内側フィルタフィクスチャ
14 メッシュ(フィルタ)
14a 縦線材
14b 横線材
14c 巻き始め部
14d 巻き終わり部
15 吸気管
17 吸込口
22 第1サイクロン空間
22a 幅広部
22b 幅狭部
23 外側集塵部
24 上蓋
25 中蓋
26 排気筒
27 パッキン
29 上部開口(排気口)
30 ダストフィルタ
30a 目の粗いウレタンフィルタ
30b 目の細かいウレタンフィルタ
32 フィルタ枠体
38 開口部
39 内側集塵部
40 第2サイクロン空間
41 導入部
42 ヒンジ
43 底蓋

Claims (7)

  1. 吸引経路に配置されるダストボックス内に、メッシュ状のフィルタが装着された筒状のフィルタ枠体を配設し、このフィルタ枠体と前記ダストボックスとの間にサイクロン空間を形成すると共に、前記フィルタを構成するメッシュに熱プレス加工を施したことを特徴とする集塵装置。
  2. 前記フィルタを構成するメッシュに熱プレス加工を施した後にカレンダー処理を施したことを特徴とする請求項1記載の集塵装置。
  3. 前記サイクロン空間内の旋回流の方向に対して、前記フィルタを構成するメッシュの巻き終わり部が順方向になるように巻き始め部上に重ね合わせたことを特徴とする請求項1又は請求項2記載の集塵装置。
  4. 前記フィルタを構成するメッシュに撥水処理を施したことを特徴とする請求項1ないし請求項3のいずれかに記載の集塵装置。
  5. 前記フィルタを構成するメッシュに帯電防止処理を施したことを特徴とする請求項1ないし請求項4のいずれかに記載の集塵装置。
  6. 前記フィルタを構成するメッシュとして略20メッシュのものを用いたことを特徴とする請求項1ないし請求項5のいずれかに記載の集塵装置。
  7. 電動送風機を内蔵し、その吸引経路に前記請求項1ないし請求項6のいずれかに記載の集塵装置を配置したことを特徴とする電気掃除機。
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