JP4191444B2 - 多孔質吸音材の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、多数の連続気孔を内在させた多孔質吸音材の製造方法において、優れた吸音性能と圧縮強度とを兼ね備えた多孔質吸音材の製造方法である。
より詳しくは、多孔質吸音材内部における連続気孔の形状に歪みまたは粗大気泡が少ないとともに、完成品の多孔質吸音材に亀裂の発生が少ない多孔質吸音材の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
連続気孔を多数内在させたケイ酸カルシウム水和物系の多孔質吸音材の製造方法として、次に示す方法が知られている。
すなわち、ケイ酸質原料および石灰質原料とを主原料とする粉体原料に、増粘剤と水とを添加して混練することにより水性原料スラリーを生成する。そして、水性原料スラリー中に、界面活性剤および発泡剤としてアルミニウム粉末を添加して撹拌する。そして、この原料スラリーを補強筋が配設された型枠内に打設する。
スラリー内部では、アルミニウム粉末の反応で発生した水素ガスにより多数の気泡が生成されて成長する。さらに周囲温度の影響による膨張も加わるため、隣接する気泡と接触するようになる。この時、界面活性剤と増粘剤の作用により隣接する気泡同士が合体して一つの粗大気泡となることが抑制され、複数の気泡同士の泡膜が接触した連続気泡がスラリー内部に形成される。
【0003】
このとき、同時に、セメントを含む石灰質原料の水和反応が進むことにより原料スラリーが半硬化状態となる。その後、形成された半硬化体を脱型して、補強筋の配設位置に対応した複数のパネル状にピアノ線で切断する。
さらに、半硬化体を高温・高圧下でオートクレーブ養生することにより本硬化させて、多数の連続気孔が内在した多孔質吸音材を得る。なお、気泡同士を連接している泡膜は、半硬化体の形成過程またはオートクレーブ養生時に消失する。
【0004】
また、補強筋が埋設された多孔質吸音材の製造工程において、半硬化体の温度が十分に高くならないとセメントの水和反応による硬化が遅延し、その結果として線膨張の大きな補強筋の引っ張り力に硬化不十分な母材が耐え切れずに亀裂が発生してしまう問題があった。これを解決する方法として、出願人は特願2001−080034を出願している。
その内容は、半硬化体の温度を75〜95℃までに上昇させることにより、セメントの水和反応を促進して母材の強度発現を早め、これにより補強筋の線膨張による引っ張り力が多孔質吸音材の亀裂を発生させることを減少させるものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
半硬化体の温度を一度でも75〜95℃まで上昇させると亀裂の発生は抑制できる。しかし、スラリーの打設温度を高くしたり、打設後に急激な温度上昇をさせたりすると、気泡の泡膜が不安定となり隣接する気泡同士が合体して一つの粗大気泡が形成されたり、気泡形状の歪み(球形状とならない)が発生したり、それらの分布に不均一が生じたりすることがあった。
さらに、粗大化した気泡が原料スラリー上層部へ浮上していくことにより、原料スラリー上層部における母材の比重が極端に小さくなることもあった。その結果、気泡形状の歪みや粗大気泡のために多孔質吸音材の圧縮強度が低下したり、低比重部分が欠けやすくなったり、さらに吸音率が不均一になったりする等の問題があった。
【0006】
気泡の粗大化や形状の歪みの発生を減少させるために、原料スラリーの初期温度を低くするとともに温度変化を極力小さくすることにより、気泡をゆっくり成長させる方法が良いと考えられる。
【0007】
ところが、この方法は、補強筋の線膨張に起因する母材の亀裂を防止するために温度を上昇させる先の方法とは相反する。
原料スラリーの打設温度を低くするとともに温度上昇の速度を小さくすると、石灰質原料の水和反応が遅延してしまうため、脱型に必要な硬度の半硬化体が形成されるまでに長時間の養生が必要となり、生産性が著しく低下して製造コストが増大する。
また、打設温度を低い状態で生産性を向上させようとすると、急激な温度上昇変化が必要となるため、気泡の粗大化や形状の歪みが発生しやすくなる。
さらに、打設温度が低すぎると、石灰質原料の水和反応に比べてアルミニウム粉末による発泡速度が遅延してしまうため、スラリー粘度の上昇した状態で気泡が形成されるようになる。このため、多数の独立した小さな気泡がスラリー内に形成されて、連続気泡はほとんど形成されなくなってしまう。
一方、生産性を低下させずに温度上昇の速度を小さくしようとすると、打設温度を高くせざるを得ないため、スラリー粘度の低い初期段階においてアルミニウム粉末の反応が過度に促進されて急激な発泡が生じてしまう。
その結果、気泡間距離が狭くなるとともにアルミニウム粉末そのものの反応熱も影響して、気泡の粗大化や形状の歪みが発生しやすくなる
【0008】
また、スラリーの打設温度が高過ぎると、スラリー粘度の低い初期段階においてアルミニウム粉末の反応が過度に促進されて急激な発泡状態が生ずる。
その結果、気泡間の距離が狭くなるとともに温度上昇による気泡安定剤の機能が低下するため、気泡同士が合体して粗大気泡が多数形成されたり、急激な気泡の膨張圧により気泡形状が球形状とならずに歪形状になる。
【0009】
そこで、本発明の目的は、多孔質吸音材の製造時に発生する亀裂および気泡の粗大化や形状歪みを減少させて、優れた吸音性能と十分な圧縮強度とを有する多孔質吸音材の製造方法を提供することにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明は、前記課題を解決するために、
セメントを含む石灰質原料およびケイ酸質原料を主原料とし、さらに増粘剤と界面活性剤および発泡剤としてアルミニウム粉末を配合した水性原料スラリーを補強筋が配設された型枠内に打設した後、スラリー中に発生する相隣接した複数の気泡同士が界面活性剤と増粘剤との作用により接触してその気泡間に泡膜が形成された状態で、スラリーを水和反応により半硬化させるとともにその半硬化体をオートクレーブ養生により本硬化させ、該気泡間の泡膜を消失させて形成される連続気孔の総容積が全体積の30%以上を占めている多孔質吸音材の製造方法において、
前記型枠に打設時の水性原料スラリーの打設温度を35℃〜45℃にするとともに、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を75℃以上とする多孔質吸音材の製造方法を採用した。
【0011】
さらに、本発明の効果をより発揮するために、以下の項目をより好ましい条件とした。
1)石灰質原料は、生石灰を含有している。
2)生石灰の含有量は、主原料の1〜10重量%である。
3)界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩塩である。
4)水性原料スラリー中における水/固形成分の重量比は、0.70〜0.85である。
なお、本発明における固形成分とは、石灰質原料およびケイ酸質原料からなる主原料の成分とした。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明は、先ずセメントを含む石灰質原料およびケイ酸質原料を主原料として、増粘剤、界面活性剤および水を配合し、さらに発泡剤としてアルミニウム粉末を添加して攪拌することにより水性原料スラリーを得る。そして、打設温度を35℃〜45℃とした原料スラリーを補強筋が配設された型枠内に打設し、さらに、3時間後の半硬化体の経過温度を75℃以上として養生する。その後、半硬化体をオートクレーブにより本硬化させる多孔質吸音材の製造方法である。
【0013】
ケイ酸質原料としては、石英、珪砂、クリストバライトなどの非晶質シリカ鉱物、フライアッシュ、スラグ、シリカフュームなどから一種類あるいは二種類以上の混合物が使用できる。
石灰質原料としては、生石灰、消石灰、普通ポルトランドセメント、早強ポルトランドセメント、中庸熱ポルトランドセメント、シリカセメント、高炉セメント、フライアッシュセメントなどから一種または二種以上の混合物を使用できる。そして、発泡の安定性または硬化時間の短縮を図るために、普通あるいは早強などのポルトランドセメントが好ましい。
また、ケイ酸質原料または石灰質原料の他に、水和反応を予め進行させた半硬化性物や、軽量気泡コンクリート(以下、ALCとする。)の製造工程で得られる半硬化体を崩したものを追加しても良い。
【0014】
増粘剤は、気泡間の原料粒子や水の移動抵抗を大きくすることによって接触した気泡の合体を防ぐとともに、物質移動の抑制によって気泡の連続性を付与する作用がある。
本発明に係る増粘剤としては、メチルセルロース、ポリビニルアルコール等が特性面で好ましく、添加量は固形成分の0.2〜0.5重量%が望ましい。
補強筋としては、鉄筋、ステンレス、または炭素繊維もしくはアラミド繊維の収束物などの棒状または網状の部材が可能である。
【0015】
多孔質吸音材の製造方法において、本発明は水性原料スラリーの型枠への打設時におけるスラリー打設温度を35℃〜45℃にするとともに、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を75℃以上とすることを特徴とした。
スラリー打設温度を35℃〜45℃とすることにより、アルミニウム粉末の反応が過度に遅延して独立性の高い小さな気泡が多数形成されたり、あるいは、初期段階の粘度が低いスラリー内部において反応が過度に促進されて急激な発泡を生じたりすることがなくなる。
さらに、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を75℃以上まで上昇させるために急激な温度変化をさせる必要もなくなる。
その結果、粗大気泡や気泡形状の歪みの発生が抑えられて、球形状に整った気泡による連続気泡が形成されるようになる。
【0016】
ミキサーから型枠に打設する際の原料スラリー打設温度を35℃〜45℃に設定するためには、原料スラリーの混合または攪拌中における石灰質原料や発泡剤の反応による発熱量を予め算出しておくとともに、添加する水の温度を所定の値に設定しておくことにより可能である。
すなわち、水を含めた各原料の比熱、温度、反応による発熱量および型枠の雰囲気温度を予め考慮しておくことにより、原料スラリー打設温度を容易に調整し設定することが可能となる。
【0017】
また、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を75℃以上とすることにより、セメントの水和反応が促進されて母材の強度発現が早期から得られるようになり、線膨張率の大きな補強筋との差で発生する半硬化体内部からの亀裂発生が減少する。
さらに、半硬化体の経過温度を80℃以上とすると、母材の強度発現が早まり、より望ましい。
また、半硬化体の最高温度は95℃以下にすることが好ましい。それは、半硬化体内部の水分の急激な蒸発による亀裂発生や、急激な温度上昇による気泡の粗大化および形状の歪みを防ぐことができるためである。そして、90℃以下にするとさらに望ましい。
【0018】
さらに、体積膨張終了時(打設後約80分)の半硬化体温度を50〜70℃とすると、打設から打設後3時間の間において急激な温度上昇がなくなり、より好ましい。
【0019】
本発明によれば、埋設される補強筋長が長尺となる長さ2m以上の多孔質吸音材の半硬化体であっても、その中央部付近における亀裂の発生を減少させることが可能となる。なお、母材と比べて補強筋の線膨張が小さい場合においても、線膨張が大きい場合と同様に、母材の亀裂発生を防止する効果が得られる。
【0020】
このように、スラリーの打設温度と3時間後の半硬化体の経過温度とを共に所定の範囲に設定することにより、半硬化体内部に球形状に整った気泡による連続気泡が形成されるとともに、半硬化体の亀裂発生も抑制することができる。さらに、原料スラリーの型枠内への打設から脱型までに要する時間を短縮して生産性を向上させることができる。
【0021】
打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を75℃以上とするためには、次に示す方法が考えられる。
▲1▼原料の種類および配合を調整してスラリーの水和反応による発熱を利用する。
▲2▼原料スラリーが流し込まれた型枠を所定の雰囲気温度(例えば40℃〜80℃)に保つ。すなわち、型枠からの放熱を減少させる、または熱量を外部より供給する。
【0022】
前項▲1▼記載の原料の種類および配合を調整してスラリーの水和反応による発熱を利用する方法として、生石灰を含有させた石灰質原料を使用することが好ましい。すなわち、生石灰は水和反応における発熱量が大きいとともに、型枠の外部より加熱する方法に比べてスラリー内部から全体にわたって均等に発熱していくため、打設してから3時間後の半硬化体全体の経過温度を均等にしかも容易に75℃以上とすることができる。
これにより、原料スラリーの半硬化反応が促進されるとともに生石灰の水和反応による構造強化も加わり、非常に短い養生時間で脱型可能な硬度を有する半硬化体を得ることができる。また、半硬化体内部における連続気泡の分布およびその形状が均一に形成されるようになる。
【0023】
また、これは水和反応における発熱量が大きな生石灰を使用することにより半硬化体の経過温度が75℃以上となっても、安定した多数の連続気泡を形成することが可能となる。石灰質原料に生石灰を含有させて使用することにより、気泡の安定、半硬化までの時間短縮、半硬化体の強度UP、作業が容易、さらに設備の改修なども不要となり、費用対効果の面で最も望ましい。
【0024】
ケイ酸質原料と石灰質原料の総重量に対する(内割として)生石灰の含有量を1〜10重量%とすると、原料スラリーの水和反応熱により打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を容易に75℃以上に設定でき、さらに4〜7重量%とするとより望ましい。
生石灰が1重量%より少ないと、水和反応熱による半硬化体の経過温度が高くなり難く、また、10重量%を越えると経過温度が高くなり過ぎて、隣接した気泡同士の合体による粗大気泡の形成が抑制され難くなる。
【0025】
界面活性剤は、気泡膜を強化して相隣接する気泡同士が接触しても合体して一つの粗大気泡となることを防ぐとともに、接触している気泡間に泡膜を残した状態で連続気泡を形成させる作用がある。
界面活性剤としては、高級アルコール硫酸エステル塩やアルキルベンゼンスルホン酸塩を含めて多種類の界面活性剤が使用可能である。その中でも、石灰等のアルカリ雰囲気に対してその機能を低下させることがなく、かつ温度上昇に対しても特性が安定しているポリオキシンエチレンアルキルエーテル硫酸塩[RO(CH2CH2O)nSO3M ;Rはアルキル基、Mは対イオン]が、本発明の効果を発揮するために好ましい。
【0026】
これは、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩の(CH2CH2O)n成分により、界面活性剤の溶解性が向上するとともに、硬水中、すなわち、カルシウム成分を多量に含む原料スラリー中における起泡力および泡安定性が向上するためと推察される。
また、高級アルコール硫酸エステル塩等と比べて、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩は低濃度であっても十分な効果が得られるため、その添加量を従来の1/5〜1/10に減らすことができる。この添加量の減少により原料スラリー中のセメント粒子表面に吸着される界面活性剤の量が減少するため、セメント表面を疎水化しない。これにより、セメント水和反応を遅延させる作用がより小さくなる。
このようにポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩を使用すると、セメントの水和反応が遅延され難くなる。そして、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を容易に75℃以上に上昇させるようになり、また経過温度が75℃以上となっても、気泡膜が十分に安定した連続気泡を形成して、さらに、それらを維持することが可能となる。
【0027】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩 RO(CH2CH2O)nSO3M は、そのアルキル基Rが直鎖状と分岐状、飽和と不飽和など様々な形態を取り得るが、価格、入手のしやすさの面で、炭素数が11〜18の直鎖状飽和アルキルであることが望ましい。
また、エチレンオキサイト (CH2CH2O)n の付加モル数nは、低濃度での起泡性および気泡安定性の面で2〜4が最も効果があり望ましい。対イオンMは、特に限定されないが、-Na、-NH4、−N(CH2CH2OH)3 などがある。
具体的には、エチレンオキサイトとしてはジオキシエチレン、トリオキシエチレン、テトラオキシエチレンがあり、直鎖状飽和アルキル基としてはラウリル基、セチル基、ステアリル基、また直鎖状不飽和オレイル基があり対イオンMとしては、トリエタノールアミン、ナトリウム、アンモニウム、ジエタノールアミンがあり、これらの組み合わせによるポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩が使用できる。また、その中でもトリオキシエチレンラウリルエーテル硫酸エステルトリエタノールアミンが、性能、価格、入手の容易さの面で優れており好ましい。
【0028】
ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩としては、トリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミンが、最も好ましく、その添加量はケイ酸質原料と石灰質原料の総重量の0.1〜5.0重量%が望ましい。
0.1重量%より少ないと気泡安定効果が十分に得られないため、相隣接する気泡が合体して粗大気泡となってしまう。また、5.0重量%より多いとセメント粒子表面への界面活性剤の吸着量が多くなり、疎水性を増大させて水和反応を阻害するようになる。
さらに、0.2〜1.0重量%とすると、界面活性剤の効果とそのコスト面において最適となる。
【0029】
また、水/固形成分の重量比を0.70〜0.85にすると、気泡間距離が比較的狭くなり連続気泡が形成され易くなるとともに水に奪われる熱量が少なくなるため、半硬化体の温度を75℃以上にすることがより容易となる。
なお、本発明における固形成分とは、石灰質原料およびケイ酸質原料からなる成分のことであり、水和反応を予め進行させた半硬化性物やALCの製造工程で得られる半硬化体を崩したものは除く。
【0030】
セメントを含む石灰質原料およびケイ酸質原料のほかに、半硬化体の硬化速度を調整したり、水熱反応を促進させたりするために、石膏やアルミナセメント、アルミナ、アルカリ質などを主原料に配合することができる。
そして、セメントの水和反応が遅延したり、オートクレーブ後の完成品における圧縮強度が減少しないために、ケイ酸質原料および石灰質原料の総重量に対する各原料の添加量を、石膏は1 0 重量% 以下、アルミナは2 0 重量% 以下、アルカリ物質は5 重量% 以下とすることが好ましい。
【0031】
なお、連続気孔とは、多孔質吸音材の任意切断面において、気孔が数珠状に3つ以上連通しているものをいう。図1に、多孔質吸音材10の任意切断面における詳細部分のイメージ図を示す。
また、気孔3が3つ以上連通している連続気孔1の具体例を図2に示す。
すなわち、
1a:3つの気孔断面が連続している。
1b:気孔断面は1つであるが、その奥に2つ以上の気孔が連通している。
1c:気孔断面は2つであるが、その奥に1つ以上の気孔が連通している。
1d:気孔断面が3つ以上連通しているとともにその奥に別の気孔が連通している。
さらに、これ以外にも気孔3が3つ以上連通している状態は多数考えられるため、この図示には限定されない。
【0032】
【実施例】
以下、本発明の実施例および比較例を説明する。
(実施例1)
ケイ酸質原料として珪石粉末51重量%および石灰質原料として早強セメント47重量%と石膏2重量%とからなる固形成分を100重量%とし、外割としてALCのオートクレーブ養生前の半硬化体の崩壊物5重量%と60℃の水78重量%を配合し、さらに増粘剤としてメチルセルロース0.4重量%を添加して2分間混合攪拌した一次スラリーを得る。
この原料スラリーの水/固形成分の重量比は0.78である。
【0033】
この一次スラリーに発泡剤として金属アルミニウム粉末0.12重量%、および界面活性剤としてトリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸トリエタノールアミン0.5重量%を添加し、均一に混合攪拌して40℃に温度調整した2次スラリーを得る。
【0034】
縦鉄筋(直径5.5mm、長さ2914mm)6本、横鉄筋(直径5.5mm、長さ485mm)12本を格子状に溶接した鉄筋マットを2枚接合したカゴ状補強鉄筋を30セット(パネル30枚分)作成し、それを型枠内(長さ6m、幅1.5m、高さ0.7m)に配設する。
型枠内に2次スラリーを打設したのち、型枠の雰囲気温度を40℃に調整された養生ヤードに静置して、発泡・硬化させることにより脱型可能な硬さの半硬化体を得る。
なお、脱型可能な硬さとは、先端が円錐形(直径25mm、高さ25mm)のプッシュプル・ゲージを用いて、半硬化体を押したときに8Kg・f以上の値を示すものとした。
【0035】
これらの工程において、スラリー温度および半硬化体の温度を連続的に測定した。具体的には、型枠の長さ方向の中央部であって幅方向の型枠壁より30cm内側の深さ23cmの位置における温度を、熱伝対温度計を用いて測定した。
【0036】
型枠を外した半硬化体を長さ2960mm×幅600mm×厚さ100mmの大きさにピアノ線で切断した後、180℃、10気圧に調整したオートクレーブで4時間養生し、完全に本硬化させた多孔質吸音材を得た。
【0037】
完成した多孔質吸音材の表面を目視により観察して、次の何れかの亀裂が観察された場合は、「亀裂あり」としてカウントした。
▲1▼長さ20cm以上の亀裂が1本以上ある。
▲2▼長さ20cm以下の亀裂が2本以上ある。
▲3▼表裏貫通した亀裂が1本以上ある。
なお、各実施例および比較例ともに60枚を観察して、(「亀裂あり」/観察枚数)の比率を亀裂発生率とした。
【0038】
さらに、50℃に調整した乾燥機内で3日間かけて乾燥させたのち、円筒(直径90mm×厚さ50mm)の試験体を切り出した。そして、JIS−A−1405に準じて中心周波数800Hzにおける垂直入射吸音率を測定した。
【0039】
また、完成品の多孔質吸音材内部において粗大気泡の存在あるいは気泡の均一性を調べるために、型枠内において粗大気泡が浮上する原料スラリーの上層部および中央部の位置であった母材を、それぞれ完成品の多孔質吸音材から一辺100mmの立方体として切り出す。
そして、50℃に調整された乾燥機内で含水率が10重量%になるまで乾燥させた後、JIS−A−5416に準じて圧縮強度を測定した。さらに、この測定後の供試体を105℃に調整した乾燥機内で重量変化がなくなるまで乾燥させて、絶乾嵩比重を測定した。
【0040】
(実施例2)
ケイ酸質原料として珪石粉末46重量%、石灰質原料として早強セメント47重量%、石膏2重量%、生石灰5重量%からなる固形成分を100重量%とした以外は、実施例1と同じ条件および方法とした。
【0041】
(比較例1)
打設温度を30℃とした以外は、実施例1と同じ条件および方法とした。
(比較例2)
ケイ酸質原料として珪石粉末39重量%、石灰質原料として早強セメント47重量%、石膏2重量%、生石灰12重量%からなる固形成分を100重量%とし、かつ打設温度を30℃とした以外は、実施例1と同じ条件および方法とした。
(比較例3)
打設温度を50℃とした以外は、実施例1と同じ条件および方法とした。
(比較例4)
養生ヤード内の温度を低くすることで、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を70℃とした以外は、実施例1と同じ条件および方法とした。
【0042】
以上の実施例及び比較例における、原料スラリーの打設温度、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度、打設から脱型までに要した時間、垂直入射吸音率、亀裂発生率、圧縮強度、絶乾嵩比重を表1に示す。
【0043】
【表1】
Figure 0004191444
【0044】
実施例1および実施例2では、スラリー打設温度が40℃であり、かつ半硬化体の経過温度が75℃以上であるため、十分な吸音率が得られたとともに亀裂の発生率も低く抑えられた。また、スラリー打設から脱型可能な硬さになるまでに3時間〜5.5時間であった。
実施例2では、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度が80℃以上であったため、十分な吸音率が得られたとともに、亀裂の発生率は0%となり脱型までの時間も著しく短縮された。
【0045】
比較例1では、表1に示すように、打設温度が30℃と低かったため、連続気泡が十分に形成されておらず垂直入射吸音率が低い結果となった。さらに、打設温度が低いため、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度が67℃となり、亀裂の発生率が48.3%と非常に高くなった。また、スラリー打設から脱型可能な硬さになるまでに約8時間を要しており生産性が著しく低下した。
【0046】
比較例2では、打設温度が30℃と低かったが、生石灰を12重量%添加したため、脱型可能な硬さになるまでは4時間と短く、3時間後の半硬化体の経過温度も80℃まで上昇して亀裂の発生率は3.3%と低かった。しかし、急激な温度上昇により気泡の粗大化や形状の歪み生じており、圧縮強度が低下した。
【0047】
比較例3では、吸音率は0.72と高く、亀裂の発生率も1.7%と低かったが、原料スラリーの打設温度が50℃と高かったために気泡の粗大化や形状の歪みが生じてしまい、原料スラリーの上層部となっていた母材の圧縮強度が著しく低下していた。
【0048】
比較例4では、打設温度が40℃であったため、吸音率も圧縮強度も十分であった。しかし、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度が70℃と低かったため、亀裂の発生率は30.0%と高くなった。
【0049】
【発明の効果】
本発明によれば、優れた吸音性能と圧縮強度とを兼ね備えた多孔質吸音材の製造が可能となる。
すなわち、連続気孔の形状に歪みが少ないとともに、亀裂の発生が少ない多孔質吸音材を製造することができる。
さらに、多孔質吸音材内部における、母材の比重および連続気孔の形状が均一な多孔質吸音材を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明における多孔質吸音材の任意切断面の詳細部分を示すイメージ図。
【図2】本発明における連続気孔の具体例を示す説明図。
【符号の説明】
1、1a、1b、1c、1d 連続気孔
2 連通孔
3 気孔
10 多孔質吸音材

Claims (5)

  1. セメントを含む石灰質原料およびケイ酸質原料を主原料とし、さらに増粘剤と界面活性剤および発泡剤としてアルミニウム粉末を配合した水性原料スラリーを補強筋が配設された型枠内に打設した後、スラリー中に発生する相隣接した複数の気泡同士が界面活性剤と増粘剤との作用により接触してその気泡間に泡膜が形成された状態で、スラリーを水和反応により半硬化させるとともにその半硬化体をオートクレーブ養生により本硬化させ、該気泡間の泡膜を消失させて形成される連続気孔の総容積が全体積の30%以上を占めている多孔質吸音材の製造方法において、
    前記型枠に打設時の水性原料スラリーの打設温度を35℃〜45℃にするとともに、打設してから3時間後の半硬化体の経過温度を75℃以上とすることを特徴とする多孔質吸音材の製造方法。
  2. 前記石灰質原料は、生石灰を含有する請求項1記載の多孔質吸音材の製造方法。
  3. 前記主原料の1〜10重量%は、生石灰である請求項2記載の多孔質吸音材の製造方法。
  4. 前記界面活性剤は、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩である請求項1、2または3記載の多孔質吸音材の製造方法。
  5. 前記水性原料スラリー中における水/固形成分の重量比が0.70〜0.85である請求項1〜4のいずれか1項に記載の多孔質吸音材の製造方法。
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