JP4191384B2 - 患者の体温を管理するための熱伝達ブランケットとその方法 - Google Patents

患者の体温を管理するための熱伝達ブランケットとその方法 Download PDF

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Description

【0001】
1.技術分野
本発明は、患者の体温を管理するための熱伝達システムとその方法とに関する。別の態様において、本発明は、患者の体温を管理するための熱伝達ブランケットとその方法とに関する。さらに別の態様において、本発明は、加温および冷却のための独立管理帯を備える、患者の体温を管理するための熱伝達ブランケットと、異なる温度および速度で患者の種々の部分を加温および冷却するための方法とに関する。
【0002】
2.関連技術の説明
ヒトは、正常な機能には約37℃の体温を必要とする熱帯性の動物であると考えられている。出産時に生理的に与えられる温度ストレスからの防御のみを頼りにすると、快適なヒトの生存には37℃、+/−約1℃の環境が必要であると思われる。1995年、ミカエル マクエワン(Michael McEwan)編集の「低体温症の生理学、徴候、症状および治療に関する考慮(Hypothermia−physiology, Signs, Symptoms and Treatment Considerations)」、サーチ アンド レスキュー ソサイエティ オブ ブリティッシュ コロンビア(Secrch and Rescue Society of British Columbia)を参照。人体は、皮膚の温度センサーの管理による内在の温度調節系の活性化により、温度のわずかな上昇および下降変化を自己補正することができるとマクエワン(McEwan)の論文はさらに記載している。
【0003】
例えば、体温の上昇変化に対する応答は、人体組織から生体表面へ水分を移動させ、人体表面での蒸発により冷却する発汗の開始である。同様に、体温の下降変化に対する応答は、熱を発生しようとうる試みにおける人体の広範囲の筋肉組織の不随意な収縮および膨張である震えである。
【0004】
スティッフ(Stiff)およびシクスタ(Sixta)は、「低体温症の治療と予防(Hypothermia Care and Prevention)」、1997年は、低体温症を、人体の核心温度が正常の37℃より低下したときに生じると規定している。
【0005】
マクエワン(McEwan)の論文は、切迫性低体温症を、核心温度が36℃まで低下したときに生じると規定している。
【0006】
早期段階では、軽度の低体温症は、通常脈拍および呼吸速度の増加を伴う活発な震えを生じる。(皮膚収縮時の血管として)白みを帯びた手足が、血液が四肢にあまり流れていない最初の徴候である。
【0007】
マクエワン(McEwan)の論文は、軽度の低体温症を、核心温度が34〜35℃の範囲に低下したときに生じると記載している。この時点では、管理されない強烈な震えが開始するが、犠牲者は覚醒しており、自己救助可能であるが、運動は協調性を欠き、寒冷は弱冠の疼痛と不快感を生じる。
【0008】
マクエワン(McEwan)の論文は、中等度低体温症を、核心温度が31〜33℃の範囲にあるときに生じると規定している。この時点では震えは緩慢になるか、または停止し、筋肉は硬直が始まり、精神錯乱および感情鈍麻が開始する。会話はゆっくりで、はっきりせず、不明瞭になり、呼吸はより遅く、より浅くなる。
【0009】
マクエワン(McEwan)の論文は、重度の低体温症を、核心温度が31℃より低下したときに生じると規定し、スティッフ(Stiff)およびシクスタ(Sixta)は、重度の低体温症を、体温が33℃より低下したときに生じると規定している。血行不良が継続し、体表面付近の組織の低酸素による青みがかった口唇および指先として発現する。震えが停止し、筋肉硬直に至るまで、血行不良により、四肢の筋肉に酸性代謝物(老廃物)が蓄積する。体中心が30℃まで低下すると、脈拍および呼吸が緩徐になる。心臓は約28℃以下の温度で停止する。
【0010】
低体温症は、任意の野外活動、特に、天候条件が予期せず悪変することがある原野状況、または旅行者が道に迷う、負傷するまたは早期に食料供給が不十分になる原野状況において容易に生じることがある。また、水に関係する屋外活動には、空気中より水中の方が25倍早く身体を冷却する可能性が加わる。
【0011】
軽度な低体温症は、人体への大きな外科手術中にも普通に生じる。このような術中低体温症の通常の原因は、麻酔による体温調節障害、低温への暴露、体熱の異常な分布および室温環境への体腔の外科手術による暴露である。これは、2時間も麻酔下にあり、体内部を室温に露出されている切開部が大きい患者では特に問題である。術中の体熱損失を低下するための日常的な方法には、皮膚の被覆、静脈内流動体および輸血の加温並びに周囲温度の上昇が含まれる。脳を除いたほとんどの手術において、手術中の低体温症は結果に有害な影響を与えることがあるので、低体温症の予防は麻酔管理の主要点である。「Colorectal Surgery Comes in From the Cold」、ザ ニュー イングランド ジャーナル オブ メディスン(The New England Journal of Medicine)、334巻、19号、モルテンセン(Mortensen)ら、1996年5月19日を参照。
【0012】
上記に考察するように、低体温症は事故の結果として生じる場合もあれば、大きい手術中に意図せず生じることもある。奇抜な方法では、低体温症は、種々の症状、通常、脳または心臓を保護することを医師が望む状態の治療の際に医師によって誘発される場合がある。例えば、1996年1月23日にクリフトン(Clifton)に付与された米国特許第5,486,204号は、非貫通性頭部外傷を低体温症で治療する方法を開示している。このような治療プロトコールには、特定の規定された時間、体温、体温の変化速度および薬物療法の導入時期、並びに管理された復温が含まれる。さらに、低体温症は頭蓋内動脈瘤の手術中に誘発されることが多い。
【0013】
マクエワン(McEwan)の論文は、寒冷傷害の治療は長く議論されていると記載している。低体温症の犠牲者を単に暖めるだけでは十分ではなく、管理された復温を提供しなければならないことも明らかである。例えば、ナポレオンの主任軍医であるバロンラレイ(Baron Larrey)は、ナポレオンのロシアからの退却中に、低体温症に罹患し、キャンプファイヤーの最も近くに配置された兵士が死亡したことを観察した。これらの兵士はおそらく急速に復温された。一般原則として、低体温症を治療するための初期管理原則は、さらなる体熱損失の防止、「成功的な」速度で(緩徐に)できるだけ安全に復温すること、および復温中の致死的な副作用の誘発を回避する試みとして、外側の前に体中心を復温することを強調した。低体温症自体は、25℃より高い核心温度では致死的ではない場合があるので、この治療目標は重要であると記載されている。25℃以上での致死は、通常、復温中に生じる。
【0014】
マクエワン(McEwan)の論文によると、生体が自身を保護し、体熱を維持しようとするとき、低体温症は生体内でいくつかの反応を生じ、これらのうち最も重要なものは血管収縮で、生体の重要な核心領域の体熱を保存するために四肢への血流を停止する。震えは、末梢血管収縮を維持し、復温中の血管崩壊の重傷度を最小にすると記載されている。低体温症患者における血管拡張の誘発は、復温ショックおよび代謝性アシドーシスを引き起こすことがある。体中心(心臓および肺)が加温される前に末梢(下肢および上肢)が加温される場合にこれが生じることがある。さらに、血管拡張の直接的な結果として、四肢から体中心への冷たい血液の急速な流入により対中心温度が下降することがある。血管拡張の予防は、低体温症犠牲者の四肢を体中心より先に復温しないことが必須である理由である。血管拡張が生じると、心臓に戻る冷たい血液が、患者に心室細動を生じることがある。マクエワン(McEwan)の論文を参照。
【0015】
マクエワン(McEwan)の論文は異なる程度の低体温症の治療を記載している。マクエワン(McEwan)によると、軽度の低体温症の治療は頭部および頸部を被覆しておくことを含む。スティッフ(Stiff)およびシクスタ(Sixta)は、軽度の低体温症の治療は、一般に、ホットパック、水筒または熱い濡れタオルで包んだ暖かいキャンプファイヤーの小石を鼡径部、頸部および胸部の横に適用することを含む。マクエワン(McEwan)は、中等度の低体温症の治療は、頭部および頸部を包み、低体温症患者の頭部、頸部、胸部、腋窩および鼡径部にわずかな熱を適用することを含むことを記載している。重度の低体温症では、マクエワン(McEwan)は、治療は、胸部および頸部領域に皮膚を接触させて熱を適用し、吐き出された暖かい空気または蒸気を患者の鼻および口に導入すること含むことを記載している。スティッフ(Stiff)およびシクスタ(Sixta)は、重度の低体温症の治療は低体温症犠牲者の頸部、腋窩、胸部の横および鼡径部にホットパックを適用し、頭部を被覆することを含むことを記載している。
【0016】
手術中適温を維持するための空気加温および冷却式装置が利用可能であり、広範に使用されている。しかし、これらの装置を使用しても10%もの患者が手術中に低体温症となっている。空気加温式および現行の流体加温式装置(図1を参照)は共に同じ限界を有している。脳以外の身体部分の手術中に適温を維持するため、または脳の手術中もしくは頭部損傷後に低体温を安全に誘発するために、それらは体表面に十分に接触しない。患者の体温を効果的に管理する装置が現在利用できないことにより、多くの症例において臨床成果が不良となっている。
【0017】
以下の特許は、患者を加温または冷却するための種々の器具に関する。
【0018】
1937年9月21日にガ−グラ−(Gaugler)に付与された米国特許第2,093,834号は、ベッドに横になっている人を冷却または加温するために、冷却または加温媒体を提供する複数の導管を有するブランケットを一般に備えるベッドと共に使用するための冷蔵装置を開示している。
【0019】
1938年3月1日にクリエスラス(Kliesrath)に付与された米国特許第2,110,022号は、加温または冷却媒体が循環されるベッドカバーを記載している。
【0020】
1950年6月20日にウィリアムス(Williams)に付与された米国特許第2,512,559号は、ベッドに横になっている人を加温または冷却するための熱伝達装置に関連するパッドまたはブランケット等を開示している。
【0021】
1960年5月31日にマクマホン(McMahon)に付与された米国特許第2,938,356号は、寝具類または飛行用スーツを使用して患者を加熱または冷却するために使用することができるシーツ、ブランケットもしくはマットレスの形態の寝具類または飛行用スーツを開示している。寝具類または飛行用スーツは、各種類が少なくとも半導電性である2種のセグメントが埋め込まれた低導電性の可撓性支持材料と記載することができる。電流の方向に応じて、連結部で熱が吸収または放出されるように、直流がこの材料を通過する。
【0022】
1961年に7月11日にスーツ(Suits)に付与された米国特許第2,991,627号は、人体に接近して配置することができる冷却用および加熱用部を開示している。冷却および加熱用ブランケットは、直流が通過して加熱または冷却する複数のペルチェ連結を利用している。このペルチェ効果は、ブランケットの可撓性の管に空気を循環することによって増強することができる。
【0023】
1963年12月3日にコールマン(Coleman)らに付与された米国特許第3,112,792号は、本質的に熱伝達流体が循環する全身スーツである個人用保温装置を開示している。‘792号特許のデザインは、医療手技の実施のために接近する露出された身体部位を区別して加熱および冷却することができない。
【0024】
1964年11月3日にヒルシュホーン(Hirschorn)に付与された米国特許第3,154,926号は、冷たい流体が複数の硬い金属管に注入される冷却用ブランケットを開示している。
【0025】
1965年にコールマン(Coleman)らに付与された米国特許第3,211,216号は、先に記載した特許、米国特許第3,112,792号の分割出願である。
【0026】
1978年6月13日にスグロイ(Sgroi)に付与された米国特許第4,094,357号は、ブランケットの外側のほとんどの層の間に複数の可撓性加熱パイプサンドイッチを有する熱伝達ブランケットを開示している。
【0027】
1977年4月19日にヘルナンデス(Hernandez)に付与された米国特許第4,017,921号は、ブランケット薄層間の複数の細長い接続ブランケットによって通常規定され、氷を収容するために適合される複数の細長いチャンバーを利用する冷却用ブランケットを開示している。
【0028】
1978年9月19日にモーア(Moore)らに付与された米国特許第4,114,620号は、温水または冷却水を循環するための通路を規定する一対の層状プラスチックフィルムパネルを使用する、加温または冷却用途のための患者治療パッドを記載している。
【0029】
1978年10月10日にツビン(Tubin)に付与された米国特許第4,118,946号は、冷却するために人体または身体部位に着せるまたは周囲に配置し、人体から熱を奪うために第1の流体通路において粘性の液体熱伝達媒体、第2の流体通路において加圧ガスを使用する可撓性シートまたは衣類を開示している。しかし、‘946号特許は、高い外部体温状況において装着されるべきで、自身の体温を自己調節できない傷害患者または疾病患者の体温の非常に正確な管理が望まれる医療用途には好適ではない。また、’946号の装置は、人体に適合しない矩形形状を有する。
【0030】
1979年1月2日にウィベル(Wibell)に付与された米国特許第4,132,262号は、ブランケット内に配置された、ブランケットに熱を適用するために電気的にエネルギーを与えられる複数の可撓性要素を含む加熱手段と、ブランケットが室温より低い温度に維持されるように、ブランケット内に配置された、熱伝達流体が流動することができる複数の導管を含む冷却手段とを有する加熱および冷却用ブランケットを開示している。これらの加熱および冷却用要素は、それぞれ独立に管理可能なゾーンを有し、ゾーンがブランケットの使用者を同時に加熱および冷却することができる加熱ブランケットを提供するように、提供される。‘262号発明は、独立に加熱および冷却することができるゾーンを開示している。しかし、’262号装置のゾーンは、人体に適合せず、手術または医療行為のために人体に接近できない、矩形ブランケット中の矩形ゾーンである。
【0031】
1979年4月17日にガモンズ(Gammons)らに付与された米国特許第4,149,541号は、患者を治療するための熱いまたは冷たい液体を循環するための相互接続した内部通路を有する流体循環パッドを開示している。
【0032】
1987年4月28日にグリーンJr.(Greene Jr.)に付与された米国特許第4,660,388号は、空気が冷却用カバーの使用者の人体に向けられる複数の小さいエアージェットを有する冷却用カバーを開示している。
【0033】
1987年5月5日にカーン(Cahn)らに付与された米国特許第4,662,433号は、冷却媒体として安定な循環泡沫を利用する冷却用ブランケットを開示している。
【0034】
1989年8月22日にブイスト(Buist)に付与された米国特許第4,859,250号は、加熱または冷却のための防寒用下着、ブランケットまたは治療装置などの可撓性または非可撓性基材上に、使用するための薄いフィルムまたは厚いフィルムから製造されたP−型およびN−型要素を提供した加温用電動ヒートポンプまたは動力源装置を記載している。
【0035】
1991年5月14日にベナク(Benak)らに付与された米国特許第5,014,695号は、医療手技中に心臓および腎臓などの生理的臓器を封じ込めるための冷却/加温用ジャケットパッドを開示している。しかし、‘695号特許は、人体内部の臓器を包むようにデザインされている。
【0036】
1992年6月30日にラガン(Ragan)らに付与された米国特許第5,125,238号は、使い捨ての患者加熱または冷却用ブランケットを開示している。患者を包み、ブランケットの下側の層の多数の開口部を通過する条件下された空気並びに開口部のサイズおよび位置は、しわになる妨害を予防し、ブランケット領域全体の開口部を通過する空気の流れを確実に均一にするために、十分な圧力がブランケット内に存在するようにする。
【0037】
1992年11月24日にニコルソン(Nicholson)に付与された米国特許第5,165,127号は、循環する熱伝達流体を利用する加熱および冷却用ブランケットを開示している。
【0038】
1993年11月30日にステフェンソン(Stephenson)らに付与された米国特許第5,265,599号は、空気分布が管理された患者の体温管理ブランケットを開示している。ブランケットには、患者の体温を調節するために管理された加圧空気が患者の身体に導入される複数の開口部が提供されている。
【0039】
1995年2月28日にステフェンソン(Stephenson)に付与された米国特許第5,392,847号は、患者に加熱された空気または冷却用空気を分布する加温医療用ブランケットを開示している。
【0040】
1992年には、発明者の1人が、低体温症の検討にロトレスト(RotoRest)ベッドの改良型未市販実施態様を利用した(カイネティック コンセプツ、インク(Kinetic Concepts, Inc.))。このベッドには、腹部および胸部を包むための冷却用パネルが装備されていた。残念なことに、このベッドは異なる人体表面を同時に加温および冷却する能力を有さず、冷却用器具をベッドから独立して使用することができず、ロトレスト(RotoRest)ベッドによって患者に与えられる限界のためにベッドを手術室または術後室で使用することができない。
【0041】
しかし、従来技術におけるこれらの進歩にもかかわらず、これらの従来技術の参照文献のどれも、血管拡張の出現を最小にするために、異なる速度および異なる温度で種々の身体部位を復温するための低体温症患者の選択的復温のための器具を開示または示唆していない。さらに、これらの従来技術の参照文献のどれも、上肢、臀部、会陰部および頭部を露出して、体幹および下肢を包むスーツを開示していない。さらに、従来技術の参照文献のどれも、手術部位を露出するため、または必要な医療を実施するためにこれらの部位に接近するために胸部、腹部、下肢または背部に接近するために開閉することができるパネルを記載していない。
【0042】
例えば、低体温症に罹患している患者の場合、または低体温が故意に誘発された患者の場合、上肢は必要な静脈ラインの挿入のための一次部位であるので上肢の露出は必要である。頭部の露出は気道管理を維持するために必要である。胸部、背部および腹部(体中心)への接近のしやすさは、心肺蘇生が要求される場合には、心音および呼吸音を聴診し、腹部音を聴診し、または胸部、背部または腹部の手術部位を露出するために必要である。下肢の露出は、衛生のため、または下肢の手術のために必要である。会陰部は、常に尿管に接近するため、および人体の老廃物が排泄されるこれらの部位の十分な衛生問題のために、常に露出しておく。しかし、ブランケットが体幹および下肢にきちんと接触していることが、低体温の誘発、低体温の管理または復温であろうが体温を管理するのに必要である。しかし、医療状況では、体幹および下肢への容易な接近並びにヘッドアームの露出が必要である。従来技術の装置のどれもこれらの要件を満たしていない。
【0043】
従って、種々の身体部位を異なる速度および異なる温度で加温および冷却することができるように、低体温症に罹患している患者の種々の身体部位を選択的加温または冷却するための器具が当技術分野において必要となっている。
【0044】
患者は加温および/または冷却されながら、手術または日常の患者の治療のために患者の身体に容易に接近するために提供される、冷却/加温表面に大部分の身体表面が接触している、患者を加温および冷却するための器具も当技術分野においてさらに必要となっている。
【0045】
当技術分野におけるこれらの要件および他の要件は、本発明の図面および請求の範囲を含む本発明の明細書を参照すると、当業者に明らかになる。
【0046】
発明の概要
本発明の目的は、患者に選択的な加熱および冷却をもたらす装置を提供することで、それにより身体の種々の部分を様々な温度および様々な程度で加熱および冷却することを可能にするものである。
【0047】
本発明のもう一つの目的は、患者の加熱および冷却をする際に、患者の種々の身体部分に対して容易に処置が可能な加熱および冷却装置を提供することである。
【0048】
本発明のこれらおよび他の目的については、本明細書、図面や請求項を含むが、の評価に関する技術の記述で明らかになるであろう。
【0049】
本発明応用の実施例として、胴体、脚、腋窩、および腸骨を持つ人体に対して加熱および冷却をもたらす装置で、腋窩間を走る腋窩線、および腸骨間を走る腸骨線を持つものが挙げられる。本装置は、胴体を包むのに適したものであり、腋窩を支える受け台であることを特徴とする、少なくとも1個の胴体用パネル、を含んでおり、その胴体用パネルの少なくとも一部は腋窩線の上まで延びており、かつ、少なくとも一つの液体伝達システムが胴体用パネルの内部に液体循環を提供するものである。
【0050】
本発明応用のもう一つの実施例として、胴体、脚、腋窩、および腸骨を持つ人体に対して加熱および冷却をもたらす装置で、腋窩間を走る腋窩線、および腸骨間を走る腸骨線を持つものが挙げられる。本装置は、胴体を包むのに適した少なくとも1個の胴体用パネルを含んでおり、その胴体用パネルは腸骨を支える曲線性のサドルとして特徴づけられ、少なくともその一部は腸骨線の下まで延びており、かつ、液体伝達システムが胴体用パネルの内部に液体循環を提供するものである。
【0051】
更に本発明応用のもう一つの実施例として、胴体、脚、腋窩、および腸骨を持つ人体に対して加熱および冷却をもたらす装置で、腋窩間を走る腋窩線、および腸骨間を走る腸骨線を持つものが挙げられる。本装置は、腋窩を支える受け台として特徴づけられ、少なくともその一部は腋窩線の上まで延びている、胴体を包むのに適した一番目の胴体用パネル、腸骨を支える曲線性のサドルとして特徴づけられ、少なくともその一部は腸骨線の下まで延びている、胴体を包むのに適した二番目の胴体パネル、および、一番目および二番目の胴体用パネルの内部に液体循環を提供する少なくとも一つの液体伝達システムを含む。
【0052】
更に本発明応用のもう一つの実施例として、胴体を持つ人体に対して加熱および冷却をもたらす装置が挙げられる。本装置は、左右の外部端を持ち、左部分、中央部分、および右部分の間で位置づけられているパネルを含んでおり、更に、左右両部分が上部および底部部分を持っており、これら左部分の上部および底部部分は、左の外部端から中央部分の左端であるパネルの左分割点に向かって走る左側分割線を規定しており、右部分の上部および底部部分は、右の外部端から中央部分の右端であるパネルの右分割点に向かって走る右側分割線を規定している。また、中央部分は胴体の少なくとも一部を支えるのに適しており、上部および下部部分は胴体の少なくとも一部を包み込むのに適している。
【0053】
更に本発明応用のもう一つの実施例として、上部脚、膝、および下部脚からなる脚を持つ人体に対して加熱および冷却をもたらす装置が挙げられる。本装置は、左右の外部端を持ち、左部分、中央部分、および右部分の間で位置づけられているパネルを含んでおり、更に、左右両部分は、上部脚および下部脚をそれぞれ包み込むのに適した上部および底部部分を持っており、これら左部分の上部および下部脚部分は、左の外部端から中央部分の左端であるパネルの左分割点に向かって走る膝開口を規定しており、右部分の上部および下部脚部分は、右の外部端から中央部分の右端であるパネルの右分割点に向かって走る右側分割線を規定している。また、中央部分は脚の少なくとも一部を支えるのに適している。
【0054】
図面の簡単な説明
図1は、先行技術である毛布B上に位置した患者10を示したものである。
【0055】
図2は、本発明の一実施例である加熱および冷却毛布100を示したものであり、メインパネル150、胸用パネル111、腹部用パネル131、上部脚用パネル141、下部脚用パネル171、パネル141および171間の切除部分175、腋窩線113の上に延びている投射線115および腸骨線133の下まで延びている投射線135を示している。
【0056】
図3は、加熱および冷却毛布100上に位置した患者10の背後面を示したものであり、メインパネル150、胸用パネル111、腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および下部脚用パネル171を示しており、これらはそれぞれ、胸、腹部、上部および下部脚を包み込んでいる。また、連結部位123および切除部分175を示している。
【0057】
図4は、毛布100の正面図あるいは他の実施例である毛布200および300(図8に記載)の正面図を示したものであり、毛布100および200上に位置した患者10、と共に、胸用パネル111、腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および下部脚用パネル171の全て閉じたものを示している。
【0058】
図5は、加熱および冷却毛布200および300上にうつむけに位置した患者10を示したものであり、患者の背中5に外科的処置が可能なように開口した腹部用パネル131を示している。毛布200は逆さまにしてメインパネル150を患者10の前面に置き腹部用パネル131を記載した切開口で背中に外科的処置が可能なよう開口したものである。
【0059】
図6は、加熱および冷却毛布100あるいは200および300上に位置した患者10を示したものであり、患者の腹部7に外科的処置が可能なように開口した腹部用パネル131を示している。この方角からは、毛布100の連結パネル123および毛布100および200のメインパネルは見えない。
【0060】
図7は、加熱および冷却毛布100あるいは200および300上に横たわって位置した患者10を示したものであり、患者の胸9の右上部に開口した胸用パネル111を示している。メインパネル150(見えない)は、患者10の脊椎付近に外科的処置が可能なように胸パネル111の開口を可能にしている。
【0061】
図8は、加熱および冷却毛布200および本発明の加熱および冷却毛布300上に位置した患者10を示したものであり、脚の包み300はお互いや胴体の包み200からは独立している。
【0062】
図9は、加熱および冷却毛布200および図8に記載した毛布300上に位置した患者10の背面図を示したものである。図9の前面図は図4のものと同じである。
【0063】
図10は、加熱および冷却毛布100あるいは毛布200および300上に位置した患者10の正面図を示したものであり、延長部分112をつけた胸用パネル111、延長部分132をつけた腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および延長部分172をつけた下部脚用パネル171を示しており、これらはそれぞれ、胸、腹部、および上部および下部脚を包み込んでいる。
【0064】
図11は、加熱および冷却毛布200および300上に位置した患者10の背面図を示したものであり、延長部分112をつけた胸用パネル111、延長部分132をつけた腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および延長部分172をつけた下部脚用パネル171を示しており、これらはそれぞれ、胸、腹部、および上部および下部脚を包み込んでいる。
【0065】
発明の詳細な記述
発明の詳細を論じる前に、最初に一般的に用いられている先行技術の毛布に言及する。先ず図1を参照すると、先行技術毛布B上に位置した患者10が示されている。図1に一般的に示されている先行技術毛布の形状は、現在のところ全身表面の冷却をもたらすために購入可能な形状のみである。熱移動溶媒は毛布Bへそれぞれ配管11および12を用いて流入および流出され循環している。毛布Bは一般的に患者10の皮膚表面の限られた部分、一般的には患者10が休んでいる際の身体の背後あるいは前面部、のみに接触していることを認識すべきである。仰向けの位置では、先行技術毛布Bは身体の輪郭と接触はしない。毛布Bが患者10の後部表面に接触する時は、肩甲骨、臀部、および下部脚後部表面のみでしか接触しない。前面で接触する時は、先行技術毛布Bは胸筋あるいは胸肉の部分、腹部前面部、および上部脚および膝の前面部のみでしか接触しない。加えて、患者が横たわる手術室では、先行技術毛布10は患者の横にしか接触しない。更に、その長方形の形のため先行技術毛布10は脚や胴体を包むことが出来ない。そのために、身体表面の大部分は毛布と接触していないままである。上記のどんな状態においても、熱移動領域は改良の余地がある。
【0066】
本発明は、図2−11の解説により説明する。最初に図2に言及すると、本発明の一実施例である加熱および冷却毛布100を示したものであり、メインパネル150、上部脚用パネル141、および下部脚用パネル171と連結領域123を示している。加熱および冷却毛布100は、胸、腹部、および上部および下部脚を、それぞれ種々のパネル111、131、141および171を用いて包み込んでいる。これら種々のパネルは、外科的、医学的、あるいは衛生処置が可能であるように開口されている。
【0067】
図8に言及すると、本発明のもう一つの実施例である加熱および冷却毛布200および300を示している。冷却毛布200は、メインパネル150に連結している胸用パネル111および腹部用パネル131を含んでおり、胸および腹部を包み込んでいる。冷却毛布300は、膝開口部175を介して上部脚パネル141に連結している下部脚パネル171を含んでおり、膝の上で毛布の接触や圧迫点無しで包み込んでいる。膝開口部175は適当ないかなる形もとり得る。膝開口部175の無制限な適当な形の標本として、円形、楕円形、長方形、四角形、いかなるn−辺形の規則的あるいは不規則的な幾何学形、あるいはそれらの結合形が含まれる。
【0068】
図3に加えて言及すると、加熱および冷却毛布100上に位置した患者10の背後面を示したものであり、連結部位123および曲線部115および175を伴った、胸用パネル111、腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および下部脚用パネル171を示しており、これらはそれぞれ、胸、腹部、上部および下部脚を包み込んでいる。この図では、毛布100の全てのパネル111、131、141および171は閉じられており、外科的あるいは医学的な処置が患者の治療に必要ではない間は身体表面領域を最大に覆っている。
【0069】
図4に言及すると、毛布100の正面図あるいは毛布200および300(図8に記載)の正面図を示したものであり、単一の毛布100、あるいは胸用パネル111、腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および下部脚用パネル171を伴った、分離した毛布200および300上に位置した患者10を示している。この図では、毛布100あるいは毛布200および300の全てのパネル111、131、141および171は閉じられており、外科的あるいは医学的な処置が患者の治療に必要ではない間は身体表面領域を最大に覆っている。曲線部分175が膝の上で本発明の毛布の接触や圧迫点無しでパネル141および171の閉鎖を可能にしていることは注意すべきである。
【0070】
図5に言及すると、加熱および冷却毛布200および300上にうつむけに位置した患者10を示したものであり、患者の背中5に外科的処置が可能なように開口した腹部用パネル131を示している。毛布200を逆さまにして手術用の切開口を示している。支持領域あるいはメインパネル150(図8に記載)はを患者10の前面を支持し、毛布200のパネル111および131が患者10の後部表面を開口するようにしたものである。このように毛布200上に患者10が位置すると、手術中に患者10がうつむけの状態で加熱/冷却毛布200が患者10の身体表面を最大に覆っていても手術用の切開口を提供することが可能である。図5において、毛布300は、パネル141および171が膝上の圧迫点を無くすために前面に開口されるように位置づけられていることを注意すべきである。
【0071】
図6に言及すると、単一の加熱および冷却毛布100、あるいは患者の腹部7に外科的処置が可能なように開口した腹部用パネル131を伴った、分離加熱および冷却毛布200および300上に位置した患者10を示したものである。この位置で毛布100あるいは毛布200および300上に患者10が位置すると、パネル131の開口のみで手術用の切開口の代りとして腹部7への外科的処置を可能にする。このように毛布100あるいは毛布200および300上に患者10が位置すると、手術中に患者10があおむけの状態で、加熱/冷却毛布100あるいは加熱/冷却毛布200および/あるいは300が患者10の身体表面を最大に覆っていても、腹部7への外科的処置を可能にする。
【0072】
図7に言及すると、加熱および冷却毛布100あるいは200および300上に横たわって位置した患者10を示したものであり、患者の胸9の右上部に開口した胸用パネル111を示している。好ましくは、図2および図8に示したメインパネル150は、後の気管切開手術がうまく行くのには充分な狭さであらねばならない。本発明の加熱および冷却毛布に特有であるが、患者10が横たわった状態においても毛布と患者10の身体表面との最大接触が可能である。先行技術毛布Bは、同様な位置では患者10の身体のある部分によってのみ接触している。
【0073】
図8に言及すると、加熱および冷却毛布200および本発明の加熱および冷却毛布300上に位置した患者10を示したものであり、全てのパネルは開口している。
【0074】
図9に言及すると、加熱および冷却毛布200および図8に記載した毛布300上に位置した患者10の背面図を示したものである。図9の前面図は図4のものと同じである。
【0075】
図10言及すると、加熱および冷却毛布100あるいは毛布200および300上に位置した患者10の正面図を示したものであり、延長部分112をつけた胸用パネル111、延長部分132をつけた腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および延長部分172をつけた下部脚用パネル171を示しており、これらはそれぞれ、胸、腹部、および上部および下部脚を包み込んでいる。延長部分172は、パネル141の上位部分あるいは171の下位部分に位置づけされる。
【0076】
図11言及すると、加熱および冷却毛布200および300上に位置した患者10の背面図を示したものであり、延長部分112をつけた胸用パネル111、延長部分132をつけた腹部用パネル131、上部脚用パネル141、および延長部分172をつけた下部脚用パネル171を示しており、これらはそれぞれ、胸、腹部、および上部および下部脚を包み込んでいる。延長部分172は、パネル141の上位部分あるいは171の下位部分に位置づけされる。
【0077】
選択的な延長パネル112、132、および172は、毛布100あるいは毛布200および300の大きさを身体の大きさに合わせてより広い範囲で適合させることを可能にする。例えば、図10および11に示したように、小さな人間に対して、パネル112、132、および172は折り畳んだり、上方に巻き上げたり出来る。それらはそれ自身の重量やそれぞれのファスナー114、134、および174の選択的な使用により固定される。より大きな個人に対しては、パネル112、132、および172のいずれかが個別に延ばしたり展開したりして身体のより大きい部分を覆うことを可能にする。上記のように、延長パネル112、132、および172は、折り畳んだり巻き上げたりすることにより、外科的、医学的あるいは衛生的な処置をとることを可能にする。
【0078】
延長パネル112、132、および172は、それ自身の重量や、粘着テープ、あるいは適当なファスナー114、134、および174のいずれかを使用することにより固定される。ファスナーには、留め金、ボタン、フック、ジッパー、およびフックおよび輪穴組、例えば市販のVELCRO等のもの、が挙げられる。
【0079】
延長パネル112、132、および172は、いかなる形状もとり得るし望ましい覆いを可能にする。延長パネル112、132、および172は、先細になっているか、さもなければ、身体の形状に合わせて作られていることが理解される。
【0080】
本発明の毛布は、頭部および首、腕、足、および会陰への完全な接触を可能にする。必ずしも必要ではないが、加熱および冷却毛布100、200および300は、裏表利用可能で、即ち、患者10は毛布100、200あるいは300のどちらか一方の面上に位置づけられる。
【0081】
図2および図8に言及すると、メインパネル150は、手術中に横たわった状態で開口した一つ以上のパネルと共に加熱および冷却毛布100あるいは200を選択的に用いて、手術で胸部や脇腹への処置を可能にする。メインパネル150は、一般的には首から臀部まで広がっており、約2ないし約12インチ、望ましくは約4ないし6インチの間隔で、たたみ線151および152で束縛される。
【0082】
更に、図4、6および7に言及すると、中央あるいはメインパネル150の目的はパネル111およびパネル131に対する取り付け場所を提供することでもあり、パネル間のわずかな隙間がパネル111あるいは131を独立して開口させることが可能である。このことは、胸や脇腹の側面への外科的処置を施すのに邪魔にならない。この特徴は、患者10に最大の接触をもたらしながらも、患者10が横たわり、うつむけ、および仰向けの姿勢で胸および/あるいは腹部に外科的処置を施すことを可能にする。
【0083】
胸用パネル111および腹部用パネル131との間に隙間をもたらすことが一般的には望ましく、側腹切開術の際に腹部への処置を可能にする。示した実施例において、胸用パネル111の上部端のみが先細になっており、パネル111および131間の隙間をもたらすようにわずかな先細か角度をもったパネル111および131の一つあるいは両方を提供することにおいて完成する。
【0084】
好ましくは、より大きな表面積をカバーするために、図に示すように、パネルIIIは、一つ以上の腋の下部分の曲線状部位115を有する場合もあり、パネルIIIで身体を包み込んだ際に、一つ以上の曲線状部位115は、腋の下113A及び113Bの下部近くに位置する腋の下の枠115A及び115Bとなり、パネルIIIの少なくとも一部分が、腋の下113Aと113Bの間に引かれたライン113の上に伸びることになる。加えて、パネル131は、一つ以上の腸骨の曲線部位135を含んでいるので、パネル131が身体を包み込んだ際には、一つ以上の曲線状部位135は、腸骨の頂133A及び133Bの上部近くに位置する腸骨サドル135A及び135Bとなり、少なくともパネル131の一部分が、腸骨の頂133A及び133Bの間に引かれたライン133の下方へ伸びることになる。枠115A及び115Bとサドル135A及び135Bは、通常、形で曲線として示されるが、それらは、それぞれ腋の下や腸骨を受け止めるのために適した形であったり、もしくは一部切り取る場合もあるということを認識する必要がある。枠115A及び115B、サドル135A及び135Bに用いる適切な形は多様に有り、方形、四角形、楕円、規則的もしくは不規則的な幾何学形状、もしくはそれらを組み合わせたものが含まれている。
【0085】
Fig.2に示すように、当て布100の股部分開口部82は、股部分の衛生のため、及びカテーテルを出すための前方及び後方のアクセスとなっている。本発明の加熱及び冷却用当て布100は、当て布100が汚れるのを防ぐために、股部分に使い捨ての表面をあてがっている。
【0086】
本発明の加熱及び冷却装置100、200及び300に、熱伝達液体をあてがい、加熱及び冷却を行わしめている場合がある。通常、熱伝達液体(もっとも一般的には水である)を、通例、内部に通路、管、導管などを有する加熱及び冷却当て布100、200もしくは300の中を循環させる。この熱伝達液体は、望ましい温度で提供され、望ましい速さで循環し、患者10に望ましい加熱もしくは冷却を提供することになる。
【0087】
加熱及び冷却当て布100、200もしくは300全体は、単独唯一の液体相互連絡領域からなる場合がある。そのような配置では、本質的には全体を通して、液体の流動パターンに依存する小さな温度偏差で、単一の温度となる。
【0088】
それとは異なり、加熱及び冷却当て布100及び200と300は、各々無関係に独立して、望ましいように加熱及び/もしくは冷却される、二つ以上の液体相互連絡領域を有する場合もある。例えば、メインパネル150に向かう液体は、コネクター211及び212を通って、この使用に呈せられる可能性がある。脚部パネル141及び171へ向かう液体は、コネクター221及び222を通って、この使用に呈せられる可能性がある。例えば、任意の伸張部112を有するパネル111、任意の伸張部132を有する131、141及び任意の伸張部172を有する171は、各々無関係に、独立した液体循環を有し、各々無関係に、独立して希望するように加熱及び/もしくは冷却することになる。もう一つの例では、上半身の温度が身体の下半身の温度から独立して制御されることを求められるような外科手術工程では、上半身胸部パネル111と腹部パネル131は、互いに及び/もしくはメインパネル150を通して液体が連絡しあい、下半身上部脚部パネル141と下部脚部パネル171は、互いに連絡しあう。その際、上半身パネルと下半身パネルでは、液体が連絡しあわずにいる。
【0089】
加熱及び/もしくは冷却されることになる、各々の液体が連絡しあう領域(液体連絡領域)には、内部導管、通路、管などのようなものがあり、その領域を通って加熱もしくは冷却を行なう熱伝達媒体がその中に入っている。例えば、加熱及び冷却領域は、熱伝達媒体がその中を流れる一つ以上の媒体移動導管がある。そうでなければ、各々の熱伝達領域には、十文字状のワッフル様碁盤目をしている通路多数があり、各熱伝達領域の中で多方面に不規則に熱伝達媒体が流れていく;このことは、1979年4月17日にGammoms等に与えられたU.S.Patent No.4149541に開示されており、ここでは参照に示されている。
【0090】
本発明の加熱及び冷却装置100、200及び300の様々な液体連絡領域には、熱伝達媒体をそれぞれの領域に導入するのに用いる熱伝達取り入れ口、様々な加熱及び冷却領域から熱伝達媒体がこれを通って出てくる熱伝達媒体取り出し口がある。通常、熱伝達媒体取り入れ口及び熱伝達媒体取り出し口には、スクリュー式はめあい、スナップ式はめあい、もしくは他のタイプの摩擦式はめあい機構があり、管、パイプ、ホース、もしくは他のタイプの導管と噛み合っており、熱伝達媒体を熱伝達領域に供給し、そのような熱伝達媒体を熱伝達領域から運び去ることになる。
【0091】
少なくとも1セットの熱伝達媒体入り口と熱伝達媒体出口は、加熱及び冷却当て布100、200もしくは300の一方の側面上に置かれるのが一般的に望ましい、なぜならば、通常液体が供給される方向は戻ってくる方向でもあるからである。少なくとも1セットの熱伝達媒体入り口及び熱伝達媒体出口は、加熱及び冷却当て布100、200及び300の各側面上に置かれるのが好ましい、なぜならば、通常当て布100、200もしくは300を、急いで置く際には、熱伝達液体の源の位置を決めることに注意を払うことはないからである。
【0092】
例えば、Fig.2〜5で示す具体例では、上半身胸部パネル111と腹部パネル131は、互いに液体が連絡し合っており、管211を通って熱伝達液体は導入され、管212を通って戻って来るのである。熱伝達液体は、管211を通って入り、身体胸部パネル111と腹部パネル131を通って循環し、管212を通って戻ってくるのである。同様に、下半身上部脚部パネル141と下部脚部パネル171は、互いに連絡しあっている。熱交換液体は管211を通って入り、パネル141と171を通って循環し、管222を通って戻ってくるのである。当て布300は、各々外部の液体源とつながっている場合がある。もしくは、コネクター221及び222は、当て布300に入っていて、外部の液体源と接続しているホースの追加セットで互いにつながっている場合がある。僅かな違いを有する、それに代わる非−限定的位置づけの管211と212、管221と222の具体例を、Fig.2〜7に示している。
【0093】
当て布100、200及び300の内部の液体連絡が、複数のパネルとパネルの延長部分によって、液体の流れを妨げられずに、それらの上に折り重ねられるのに適しているということも、また望ましいことである。この事は通常、破壊に耐えるに適した構造の完成度を有する液体通路を用いることによって、そして、それに代わる液体連絡ルートを確保するように、通路に多様性を持たせることによって、達成されることになる。
【0094】
Fig.2〜5に示されているように、一つもしくは二つの領域が、加熱及び冷却当て布の具体例に描かれているが、希望するだけの複数の領域数が、本発明を実施する際に用いられる場合があるということを、理解しておかなければならない。
【0095】
Fig.2〜5に示す加熱及び冷却当て布の具体例を作動させる、その他の方法として、出口管212を入り口管221と接続して、二つの領域を有する例を、一つの液体連絡領域を有する例に変更することもある。
【0096】
本発明を実施する際に、用いる熱伝達媒体は、適当な液体、気体、ゲル、泡状物、エマルジョンもしくは熱伝達に適するその他の流動し得る媒体である。本発明で用いる熱伝達媒体は、水であるのが好ましい。本発明において用いられる熱伝達媒体には、防腐剤、殺菌剤、着色料、抗−腐食剤、抗−酸化剤、界面活性剤、シーリング剤などのような、その他の物質が含まれる場合もあることを認識しなければならない。
【0097】
本発明の液体連絡系は、一つ以上の様々な異なる循環ループを有する、単一液体連絡系からなる場合があるということ、もしくは液体連絡系は、各々が一つ以上の循環ループを有する一つ以上の独立した系からなる場合がある、ということを理解しなければならない。加熱及び冷却当て布の加熱/冷却領域の各々が、一つ以上の液体循環ループと液体連絡を取合っている場合があること、一つ以上の他の加熱/冷却領域と、その液体循環ループのいくつかのもの、もしくは全てを共有する場合があること、なにも共有しない場合があることを理解しなければならない。
【0098】
本発明を実施する際に、各々のパネル及び/もしくは任意のパネル拡張部分は、それら自身の重量によって、粘着テープによって、もしくはスナップ、ボタン、ホック、ジッパーなどの他の適当な留め具や、VELCROなど市販で入手できるホックとループ型システムの使用によって、適所に止められる場合がある。
【0099】
本発明の加熱及び冷却装置100、200及び300は、患者10の身体の特定場所へのアクセスを行なうのに、一つ以上のアクセスポイントを、任意に有する場合がある。例えば、パネルもしくは任意のパネル拡張部分は、大きなパネルを開けたり、取り外したりしないで患者10にアクセスできる、より小さなサイズの、開けることができる、もしくは取り外すことができるパネルを有する場合がある。より小さいサイズのこれらパネルの各々は、それら自身の重量によって、粘着テープによって、もしくはスナップ、ボタン、ホック、ジッパー、そしてVELCROなど市販で入手できるホックとループシステムを含む適当な留め具によって、適所に付けられている場合がある。
【0100】
任意に、加熱及び冷却当て布100、200もしくは300のどのような部分も透明で、当て布100、200もしくは300を取り外すことなく下に横たわっている患者の身体を、目視で観察することができる場合がある。
【0101】
本発明の熱伝達媒体は、本発明の加熱及び冷却装置100、200もしくは300の近くに置かれた、閉鎖されたループ加熱もしくは冷却系を通って循環する場合がある。循環熱伝達媒体を加熱及び冷却する方法は、よく知られており、本発明は、如何なる特定の型のシステムにも限定されるものではない。それに代えて、熱伝達媒体は、病院用加熱もしくは冷却システムのような、より大きなシステムから提供される場合がある。
【0102】
製作に適した材料は如何なるものも、本発明の加熱及び冷却装置100、200もしくは300の製作に用いることが可能である。殆どの場合、稼動温度の範囲は、水が液体の段階にある温度範囲である。一般的には、製作材料は、冷温で曲げや折りに対して抵抗が強すぎないものが望ましい。通常、製作材料は、熱プラスティック、熱熱硬化性物質、エラストマー、及びゴムから選択されることになる。
【0103】
患者10に接触する、加熱及び冷却当て布100、200もしくは300の表面は、吸収性材料からなるのが望ましい。
【0104】
本発明の加熱及び冷却当て布は、胸部、腹部、及び上部と下部脚部に用いるパネルを有してのみ示されてきているが、頭部、首、腕、手、足に用いるその他のパネルを、望まれ、もしくは必要とされるに応じて任意に用いる場合があるということを理解しなければならない。加えて、患者10の望まれる場所は如何なる所でも覆う、適切にパネルを組み合せたものを、用いる場合がある。
【0105】
本発明の図に示した具体例は、細心の注意をもって描かれているが、様々なその他の修正ができることは明白であり、この分野の専門家によって、発明の精神と領域から離れることなく容易に作られるということが理解されるであろう。従って、ここに添えられたクレームの領域を、ここに述べる例と記述に限定するものではなく、むしろクレームを、本特許の中に備わっている特許を取れる新規性の全ての特徴を包含するものとして解釈することを意図するものであり、それは、この発明が関係する分野の専門家によって、それに等しいものとして扱われる全ての特徴を含むことになる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 図1は、先行技術である毛布B上に位置した患者10を示したものである。
【図2】 図2は、本発明の一実施例である加熱および冷却毛布100を示したものである。
【図3】 図3は、加熱および冷却毛布100上に位置した患者10の背後面を示したものである。
【図4】 図4は、毛布100の正面図あるいは他の実施例である毛布200および300(図8に記載)の正面図を示したものである。
【図5】 図5は、加熱および冷却毛布200および300上にうつむけに位置した患者10を示したものである。
【図6】 図6は、加熱および冷却毛布100あるいは200および300上に位置した患者10を示したものである。
【図7】 図7は、加熱および冷却毛布100あるいは200および300上に横たわって位置した患者10を示したものである。
【図8】 図8は、加熱および冷却毛布200および本発明の加熱および冷却毛布300上に位置した患者10を示したものである。
【図9】 図9は、加熱および冷却毛布200および図8に記載した毛布300上に位置した患者10の背面図を示したものである。
【図10】 図10は、加熱および冷却毛布100あるいは毛布200および300上に位置した患者10の正面図を示したものである。
【図11】 図11は、加熱および冷却毛布200および300上に位置した患者10の背面図を示したものである。

Claims (9)

  1. 体幹を有する人体を加温および冷却するための器具であって、
    左側および右側の外側端部と、それらの間配置される左側部分と、中央部分と、右側部分とを備えるパネルであって、左側部分および右側部分は共に上側部分と下側部分とをさらに有し、左側部分の上側部分および下側部分は中央部分の左側端部を決定するパネルの左側の外側端部から左側スプリット点まで及ぶ左側スプリットを規定し、右側部分の上側部分および下側部分は、中央部分の右側端部を規定する、パネルの右側の外側端部から右側スプリット点におよぶ右側スプリットを規定し、中央部分は体幹の少なくとも一部を収容するのに好適であり、上側部分および下側部分は体幹の少なくとも一部を包むのに好適であるパネルを備える器具。
  2. 人体が腋窩をさらに有し、腋窩腺は腋窩間を通過すると規定され、パネルの一部は腋窩を収容するための受け台を規定し、パネルの少なくとも一部は腋窩腺の上方に延在することを特徴とする請求項記載の器具。
  3. 受け台が曲線からなる形状を有することを特徴とする請求項記載の器具。
  4. 人体が腸骨をさらに有し、腸骨腺は腸骨間を通過すると規定され、パネルの一部は腸骨を収容するためのサドルを規定し、パネルの少なくとも一部は腸骨腺の下方に延在することを特徴とする請求項記載の器具。
  5. 受け台が曲線からなる形状を有することを特徴とする請求項記載の器具。
  6. パネルと流体連通し、パネル内に流体循環を提供する流体循環システムをさらに備えることを特徴とする請求項記載の器具。
  7. 上脚、膝および下腿を含む下肢を有する人体を加温および冷却するための器具であって、
    左側および右側の外側端部と、それらの間配置される左側部分と、中央部分と、右側部分とを備えるパネルであって、左側部分および右側部分は共に、それぞれ、上脚および下腿を包むのに好適な上脚部分と下腿部分とをさらに有し、左側部分の上脚部分および下腿部分は、中央部分の左側端部を規定する、パネルの左側の外側端部から左側スプリット点まで及ぶ膝開口部を規定し、右側部分の上脚部分および下腿部分は、中央部分の右側端部を規定する、パネルの右側スプリット点の右側の外側端部から右側スプリットを規定し、中央部分は下肢の少なくとも一部を収容するのに好適であるパネルを備える器具。
  8. パネルと流体連通し、パネル内に流体循環を提供する流体循環システムをさらに備えることを特徴とする請求項記載の器具。
  9. 膝開口部が、円形、卵形、矩形、四角形、正n−角形幾何学的形状、n−角形幾何学的形状またはそれらの組み合わせからなる群から選択される形状を有することを特徴とする請求項記載の器具。
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