JP4191374B2 - 原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置および健全性試験方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置および健全性試験方法に係り、更に詳しくは、原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している状態においても、原子炉冷却水の温度を測定し、その結果から原子炉冷却水用温度計の健全性を判定することが可能な原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置および健全性試験方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
通常、加圧水型原子炉プラント(以下、「PWR」と称する)のような原子力プラントでは、図6に示すように、冷却水1(PWRの場合、水が用いられる。)の温度を測定するために多数の原子炉冷却水用温度計(以下、単に「温度計」と称する)2が、配管3に設けられている。
【0003】
また、この配管3には、冷却水1を冷却水入口6から原子炉容器4内に送り込み、冷却水出口7を介して再び配管3に戻すことによって冷却水1を循環させるポンプ5が設けられている。
【0004】
このポンプ5によって原子炉容器4内に送り込まれた冷却水1は、原子炉の運転中においては、原子炉容器4内の図示しない炉心によって加熱される。つまり、炉心では、核分裂連鎖反応を維持することによって、一定の熱エネルギーが発生しているが、原子炉容器4内に送り込まれた冷却水1は、このような炉心を冷却し、自身は加熱され高温水となって、原子炉容器4の上部に設けられた冷却水出口7を介して配管3に戻る。PWRでは、原子炉容器4は、約170気圧に加圧されており、炉心において加熱された冷却水1は、約286℃の高温水となる。
【0005】
そして、このように高温水となった冷却水1は、原子炉容器4の上部に設けられた冷却水出口7を介して配管3に戻った後には、配管3に設けられた蒸気発生器8に導かれ、蒸気発生器8において蒸気を発生させるために用いられる。すなわち、蒸気発生器8では、高温水となった冷却水1と、2次冷却水9との間での熱交換が行われ、冷却水1が2次冷却水9によって冷却される一方、逆に、2次冷却水9は冷却水1によって加熱され蒸気となってタービンに供給され、その回転に用いられる。
【0006】
冷却水1は、このように蒸気発生器8によって冷却された後に、ポンプ5によって、冷却水入口6を介して再び原子炉容器4内に供給される。
【0007】
PWRでは、上記のような冷却水1の循環作用によって核分裂による熱エネルギーを回収し、その熱エネルギーを蒸気に転換し、この蒸気を用いてタービンを回転させることによって発電している。
【0008】
配管3に設けられた温度計2は、配管3内を流通する冷却水1の温度を測定するものであり、炉心を冷却し、自身は加熱され高温水となった冷却水1は、温度計2(#a〜#d)によってその温度が測定される。一方、蒸気発生器8において冷却され低温水となった冷却水1は、温度計2(#e〜#f)によってその温度が測定される。
【0009】
通常、PWRでは、図6に示すような構成のポンプ5、蒸気発生器8、温度計2を備えた配管3からなるループシステム10を3ないし4備えている。また、図6では、1つのループシステム10に、6つの温度計2(#a〜#f)が設けられている例を示しているが、ループシステム10毎の温度計2の数は、6つに限るものではなく、高温水用の温度計2(図6の場合、温度計2(#a〜#d)に該当する)と低温水用の温度計2(図6の場合、温度計2(#e〜#f)に該当する)との数の組合せも様々である。
【0010】
例えば、図6に示すように6つの温度計2(#a〜#f)を備えたループシステム10を4つ備えたPWRの場合、温度計2の総数は24となる。
【0011】
PWRプラントにおいては、このように配管3内を流通する冷却水1の高温水および低温水のそれぞれの温度を、配管3に設けた複数の温度計2を用いて測定することによって、原子炉の運転状態が的確に把握される。これは、温度計2が健全であり、正しい温度を測定することが前提となるために、温度計2の健全性を確認しておくことは非常に重要である。
【0012】
したがって、定期点検時においては、単体の温度計2(#a〜#f)毎にその健全性試験を行い、これら全温度計2(#a〜#f)の健全性の確認を行っている。
【0013】
この種の健全性試験方法について、図7に示すフローチャートを用いて以下に説明する。
【0014】
すなわち、この種の健全性試験では、先ず冷却水1の温度を一定に保つ必要がある(S21)。また、できるだけ原子炉の運転状態に近い温度で温度計2の健全性を確認することが望ましいことから、この試験は、従来、冷却水1の温度が286℃近傍のところで行われており、また、それ以前の約210℃近傍においても事前確認のために行われている。PWRのような原子力プラントにおいては、定期点検の後半は、次サイクルの運転に備えるために徐々にほぼ一定割合で冷却水1の温度を昇温させて行く。したがって、この健全性試験は、冷却水1の温度が210℃近傍にまで昇温されると、その昇温を停止し、更に、蒸気発生器8に設けられた図示しない弁を開き、その弁開度を調節することによって冷却水1の温度を210℃近傍に一定に保ち、その条件で行っている。
【0015】
このように冷却水1の温度が210℃近傍で一定に保たれた条件において、各温度計2について温度測定が4回行われる(S22〜S25)。この温度測定の順番は以下の通りである。
【0016】
たとえば、図6に示すように、1つのループシステム10について温度計2が6個あり、更に、ループシステム10が合計4つあるものとすると、温度計2は合計して24個存在する。まず、この24個の温度計2について、温度を測定する順序を示す番号(#1〜#24)を決定する。
【0017】
そして、この番号にしたがって順に、各温度計2による冷却水1の温度測定が1回ずつ行われ、その結果が記録される。このようにして、第1回目の測定が終了すると、同様にして第2回目、第3回目、第4回目の測定を行う。
【0018】
次に、これら24個の温度計2を用いて4回ずつなされた、すなわち96回測定された温度測定結果の全平均値、および各温度計2毎の平均値が求められる。そして、各温度計2毎の平均値と全平均値とが比較され(S26)、各温度計2毎に健全性が評価される(S27)。4回の測定の平均値と全平均値との差が所定温度(例えば、0.2℃)以上であるような温度計2については、異常な温度計2であるものと判定し、異常箇所のチェック、および必要な場合には温度計2の交換が行われる。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法では、以下のような問題がある。
【0020】
すなわち、この種の健全性試験は、定期点検の後半において、次サイクルの運転に備えて冷却水1の温度を徐々にほぼ一定割合で昇温していたところを、一旦その昇温を停止し、更に、蒸気発生器8に設けられた図示しない弁を開き、その弁開度を調節することによって冷却水1の温度を210℃近傍に一定に保たねばならない。そして、この温度において一連の温度測定を行い、しかる後に、冷却材1の加熱を再開始して冷却水1の温度を286℃まで昇温している。
【0021】
仮に、この制約を無くして、冷却水1の温度を、一旦210℃近傍において一定に保つことなく、286℃までほぼ一定割合での昇温を継続した場合、次サイクルの運転開始を1〜2時間程度短縮させることが可能である。
【0022】
しかしながら、このように冷却水1の温度をほぼ一定割合で昇温させている状態において、温度測定を行った場合、図8に示すように、各測定回において、測定順が前半の温度計2(例えば1番目の温度計2)による測定結果と、測定順が後半の温度計2(例えば24番目の温度計2)による測定結果とでは、そもそも測定対象としている冷却水1の温度自体が異なっていることから、上述したような、全平均値と、各温度計2の平均値との差から、その温度計2の異常を判定するようなことはできない。
【0023】
例えば、各測定回において1番目に測定する温度計2は、その測定回の中で常に最も低い温度を測定しており、逆に、各測定回において24番目に測定する温度計2は、その測定回の中で常に最も高い温度を測定している。したがって、これら温度計2によって測定された温度の平均値は、図9に示すように、いずれも全平均値からの差が大きくなってしまい、4回の測定の平均値と全平均値との差が所定温度(例えば、0.2℃)以上であるような温度計2は異常であるものと判定するような判定方法を採用している限りにおいては、仮に、正しい温度を測定している場合であっても、異常と判定されてしまう恐れがある。
【0024】
このような理由で、従来の健全性試験においては、冷却水1の温度が210℃近傍になると昇温を一旦停止し、更に、蒸気発生器8の弁の弁開度を調節することによって、昇温停止後の温度を温度測定期間中一定に保たなければならない訳であるが、これがネックとなり、次サイクルの運転開始までの期間が延びてしまい、PWRプラントの稼働率を低下させてしまうという問題がある。
【0025】
本発明はこのような事情に鑑みてなされたものであり、原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している状態においても、原子炉冷却水の温度を測定し、その結果から原子炉冷却水用温度計の健全性を判定することができ、もって、プラント稼働率の向上を図ることが可能な原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置および健全性試験方法を提供することを目的とする。
【0026】
【課題を解決するための手段】
上記の目的を達成するために、本発明では、以下のような手段を講じる。
【0027】
すなわち、請求項1の発明では、原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している場合に行われる原子炉冷却水用温度計の健全性試験を行う原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置であって、原子炉冷却水の温度を測定する複数の原子炉冷却水用温度計と、複数の原子炉冷却水用温度計を用いて、予め定められた所定の測定順序に従って順に一定の所要時間で原子炉冷却水の温度を測定し、更に、所定の測定順序の逆順序に従って順に一定の所要時間で原子炉冷却水の温度を測定する測定処理を所定回数行う測定処理手段と、測定処理手段によって各原子炉冷却水用温度計毎に所定回数の2倍の回数測定された測定結果から、各原子炉冷却水用温度計毎の測定結果の個別平均値を演算する演算手段と、演算手段によって演算された各個別平均値に基づいて全原子炉冷却水用温度計の測定結果の全平均値を演算し、この全平均値と、各個別平均値との差を求め、差が、所定の判定基準値以内である場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全であるものと判定し、差が、所定の判定基準値を超える場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全ではないと判定する健全性判定手段とを備える。
【0028】
請求項2の発明では、請求項1の発明の原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置において、測定処理を、原子炉の起動前における、原子炉冷却水の昇温時に行う。
【0029】
請求項3の発明では、原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している場合に行われる原子炉冷却水用温度計の健全性試験を行う原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法であって、原子炉冷却水の温度を測定する複数の原子炉冷却水用温度計を用いて、予め定められた所定の測定順序に従って順に一定の所要時間で原子炉冷却水の温度を測定し、更に、所定の測定順序の逆順序に従って順に一定の所要時間で原子炉冷却水の温度を測定する測定処理を所定回数行い、所定回数の2倍の回数測定された測定結果から、各原子炉冷却水用温度計毎の測定結果の個別平均値を演算し、各個別平均値に基づいて全原子炉冷却水用温度計の測定結果の全平均値を演算し、全平均値と、各個別平均値との差を求め、差が、所定の判定基準値以内である場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全であるものと判定し、差が、所定の判定基準値を超える場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全ではないと判定する。
【0030】
請求項4の発明では、原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している場合に行われる原子炉冷却水用温度計の健全性試験を行う原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法であって、原子炉冷却水の温度を測定する複数の原子炉冷却水用温度計が、予め定められた所定の測定順序に従って順に一定の所要時間で原子炉冷却水の温度を測定し、更に、所定の測定順序の逆順序に従って順に一定の所要時間で原子炉冷却水の温度を測定する測定処理を所定回数行って得られる測定結果に基づいて、各原子炉冷却水用温度計毎の測定結果の個別平均値を演算し、各個別平均値に基づいて全原子炉冷却水用温度計の測定結果の全平均値を演算し、全平均値と、各個別平均値との差を求め、差が、所定の判定基準値以内である場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全であるものと判定し、差が、所定の判定基準値を超える場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全ではないと判定する。
【0031】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明の実施の形態について図面を参照しながら説明する。
【0032】
なお、以下の実施の形態の説明に用いる図中の符号は、図6と同一部分については同一符号を付して示すことにする。
【0033】
本発明の実施の形態を図1から図5を用いて説明する。
【0034】
図1は、本発明の実施の形態に係る原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法を適用した健全性試験装置の一例を示す機能ブロック図である。
【0035】
すなわち、本実施の形態に係る原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法を適用した健全性試験装置11は、パソコン等の計算機からなり、内部バス12を介して互いに接続されたデータ取得部13、制御部14、記憶部15、演算部16、健全性判定部17とを備えている。
【0036】
データ取得部13は、図6に示すように、配管3に備えられ冷却水1の温度を測定する複数の温度計2から、温度測定データを取得する。
【0037】
制御部14は、健全性試験装置11の全体制御を司る装置であり、予め定められた所定の測定順序に従って1つずつ順に温度計2が測定する冷却水1の温度測定データを、データ取得部13を介して取得し、測定回数(例えば、第1回目測定)および温度計番号(例えば、1番目の温度計)と関連付けて記憶部15に記憶させる。
【0038】
なお、このとき、冷却水1の温度は、上述した従来の技術で説明したような210℃近傍で一旦温度を一定に保つようなことはせず、図2に示すように、ほぼ一定の割合で昇温されているものとする。更に、第1回目測定において温度計2の番号の1番から順番で24番まで温度測定すると、第2回目測定では温度計2の番号の24番から1番まで逆の順番に温度測定する。図2に示す例では、測定回数として4回の例を示しているが、測定回数は4回に限らず、偶数であれば良い。
【0039】
制御部14は、このように、データ取得部13に、所定の順番にしたがって複数の温度計2から連続的に温度測定データを取得させ、更に、データ取得部13によって取得された温度測定データを測定回数(例えば、第1回目測定)および温度計番号(例えば、1番目の温度計)と関連付けて記憶部15に記憶させる。このような一連の処理は、1つの温度測定データに対して0.3〜0.4秒程度の時間間隔で連続的に行われるようにしており、図2に示すように、24個の温度計2に対して4回ずつ測定を行う場合、すなわち、96回の温度測定を行う場合、温度測定に要する総所用時間は30〜40秒程度である。
【0040】
演算部16は、一連の温度測定が終了すると、記憶部15に記憶された温度測定データに基づいて、全平均値および24個の各温度計2毎の平均値とを算出する。そして、各温度計2の平均値について、全平均値との差を算出する。
【0041】
図2に示すように、冷却水1の温度が時間に対してほぼ一定の割合で上昇しており、かつ、各温度測定に要する時間も一定である場合、各温度計2について偶数回数行われた温度測定の結果を平均して得られる平均値は、図3に示すように、温度計2の測定順番に関わらず全ての温度計2について同一となる。したがって、全平均値もこれと同一となる。
【0042】
これによって、冷却水1の温度をほぼ一定割合で上昇させながら温度測定を行った場合であっても、ある温度計2について測定された温度の平均値と、全平均値との差を比較することによって、その温度計2が健全か否かを判定することができるようにしている。
【0043】
健全性判定部17は、演算部16によって算出された各温度計2の平均値と全平均値との差が、所定温度(例えば、0.2℃)以内であるような温度計2については、正常に作動する温度計2であるものと判定し、その結果を表示する。一方、演算部16によって算出された各温度計2の平均値と全平均値との差が、所定温度(例えば、0.2℃)以上であるような温度計2については、異常な温度計2であるものと判定し、その結果を表示する。
【0044】
作業員は、この異常表示に基づいて、当該温度計2のチェック、および必要な場合には温度計2の交換を行うようにする。
【0045】
次に、以上のように構成した本発明の実施の形態に係る原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法を適用した健全性試験装置の作用について、図4に示すフローチャートを用いて説明する。
【0046】
すなわち、本発明の実施の形態では、冷却水1の温度を一定に保つ必要はなく、冷却水1の温度はほぼ一定割合で上昇している(S11)。
【0047】
ステップS12からステップS15において行われる各測定においては、各温度計2によって測定された測定結果は、制御部14による指示に基づいて、一定の時間間隔でデータ取得部13に取得される。
【0048】
先ず、第1回目測定においては、制御部14からの指示に基づいて温度計番号1の温度計2から順に、温度計番号24の温度計2まで、その温度測定データがデータ取得部13によって取得され、更に、測定回数(第1回目測定)および温度計番号(例えば、1番目の温度計)と関連付けて記憶部15に記憶される(S12)。
【0049】
次に、第2回目測定においては、制御部14からの指示に基づいて今度は逆に温度計番号24の温度計2から、温度計番号1の温度計2まで、その温度測定データがデータ取得部13によって取得され、同様に、測定回数(第2回目測定)および温度計番号(例えば、1番目の温度計)と関連付けて記憶部15に記憶される(S13)。
【0050】
同様に、第3回目測定においては、第1回目測定と同様に温度計番号1の温度計2から温度計番号24の温度計2まで(S14)、第4回目測定においては、第2回目測定と同様に温度計番号24の温度計2から温度計番号1の温度計2まで、その温度測定データがデータ取得部13によって取得され、測定回数および温度計番号と関連付けて記憶部15に記憶される(S15)。
【0051】
このようにして偶数回なされる温度測定が終了し、温度測定データの全てが記憶部15に記憶されると、演算部16によって、記憶部15に記憶された温度測定データに基づいて、全平均値および24個の各温度計2毎の平均値とが算出される。更に、各温度計2の平均値毎に、全平均値との差が算出される(S16)。
【0052】
図2に示すように、温度測定がなされている間は、冷却水1の温度が時間に対してほぼ一定の割合で上昇している。また、データ取得部13によって取得されるデータ取得に要する時間間隔も一定であるため、各温度計2について偶数回数行われた温度測定データの平均値は、図3に示すように、温度計2の温度計番号に関わらず全ての温度計2について同一となる。つまり、全平均値もこれと同一となるために、各温度計2の平均値と全平均値との差が有意であるような温度計2については、異常な温度計2であるものと判定することができる。
【0053】
図5は、本発明の実施の形態に係る原子炉冷却材用温度計の健全性試験方法を適用した健全性試験装置を用いて、冷却水1の温度がほぼ一定割合で上昇している条件において得られた各温度計2の温度平均値と、上述した従来の技術で説明したような冷却水1の温度を一定とした条件で得られた各温度計2の温度平均値との比較図である。図5において、縦軸は、温度平均値の差分を%表示したものである。図5を見てわかるように、両データは極めて良く一致しており、本健全性試験方法の妥当性を確認することができる。
【0054】
温度計2が異常であるか否かの判定は、健全性判定部17によってなされる。すなわち、健全性判定部17によって、演算部16によって算出された各温度計2の平均値と全平均値との差が比較され、その差が、所定温度(例えば、0.2℃)以内であるような温度計2については、正常に作動する温度計2であるとの判定がなされ、一方、その差が、所定温度(例えば、0.2℃)以上であるような温度計2については、異常な温度計2であるものとの判定がなされ、その旨が作業員に報知される(S17)。
【0055】
このように異常と判定された温度計2については、作業員によって、異常箇所のチェック、および必要な場合には温度計2の交換が行われる。
【0056】
上述したように、本発明の実施の形態に係る原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法を適用した健全性試験装置においては、上記のような作用により、冷却水1の温度がほぼ一定割合で変動している状態においても、冷却水1の温度を測定し、その結果から温度計2の健全性を判定することができる。
【0057】
これによって、温度計2の健全性評価だけのために、わざわざ、冷却水1の温度上昇を停止し、更に、冷却水1の温度を一定に保つような対策を講じるような必要は無くなる。
【0058】
すなわち、原子炉を運転再開可能な状態にまでするのに要する時間を従来よりも短縮することができるために、定期点検期間を短縮すると共に、次サイクルの運転を早めることが可能となる。その結果、プラント稼働率の向上を図ることが可能となる。
【0059】
以上、本発明の好適な実施の形態について、添付図面を参照しながら説明したが、本発明はかかる構成に限定されない。特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇において、当業者であれば、各種の変更例及び修正例に想到し得るものであり、それら変更例及び修正例についても本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0060】
尚、本明細書では、210℃の温度を対象に説明しているが、210℃に限定されるものではなく、一定の昇温率で昇温しているプラントのいずれかの温度においても適用されるものである。
【0061】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している状態においても、原子炉冷却水の温度を測定し、その結果から原子炉冷却水用温度計の健全性を判定することができる。
【0062】
以上により、プラント稼働率の向上を図ることが可能な原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置および健全性試験方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態に係る原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法を適用した健全性試験装置の一例を示す機能ブロック図
【図2】同実施の形態において、冷却水温度を一定の割合で上昇させた場合における、冷却水温度の測定開始から測定終了までの時間と冷却水温度との関係を示す図
【図3】同実施の形態において、原子炉冷却水用温度計毎の平均温度と全平均値との関係を示す図
【図4】同実施の形態における健全性試験方法の動作を示すフローチャート
【図5】各温度計の温度平均値を、同実施の形態における健全性試験方法で得られた場合と、上述した従来の技術で説明したような方法で得られた場合との差(%)で比較した比較図
【図6】原子炉冷却水用温度計の配管における配置例を示す模式図
【図7】従来技術による健全性試験方法の動作を示すフローチャート
【図8】従来の技術において、冷却水温度を一定の割合で上昇させた場合における、冷却水温度の測定開始から測定終了までの時間と冷却水温度との関係を示す図
【図9】従来の技術において、原子炉冷却水用温度計毎の平均温度と全平均値との関係を示す図
【符号の説明】
1…冷却水
2…原子炉冷却水用温度計(温度計)
3…配管
4…原子炉容器
5…ポンプ
6…冷却水入口
7…冷却水出口
8…蒸気発生器
9…2次冷却水
10…ループシステム
11…健全性試験装置
12…内部バス
13…データ取得部
14…制御部
15…記憶部
16…演算部
17…健全性判定部
Claims (4)
- 原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している場合に行われる原子炉冷却水用温度計の健全性試験を行う原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置であって、
前記原子炉冷却水の温度を測定する複数の原子炉冷却水用温度計と、
前記複数の原子炉冷却水用温度計を用いて、予め定められた所定の測定順序に従って順に一定の所要時間で前記原子炉冷却水の温度を測定し、更に、前記所定の測定順序の逆順序に従って順に前記一定の所要時間で前記原子炉冷却水の温度を測定する測定処理を所定回数行う測定処理手段と、
前記測定処理手段によって各原子炉冷却水用温度計毎に前記所定回数の2倍の回数測定された測定結果から、各原子炉冷却水用温度計毎の測定結果の個別平均値を演算する演算手段と、
前記演算手段によって演算された各個別平均値に基づいて全原子炉冷却水用温度計の測定結果の全平均値を演算し、この全平均値と、各個別平均値との差を求め、前記差が、所定の判定基準値以内である場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全であるものと判定し、前記差が、前記所定の判定基準値を超える場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全ではないと判定する健全性判定手段とを備えたことを特徴とする原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置。 - 請求項1に記載の原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置において、前記測定処理を、前記原子炉の起動前における、前記原子炉冷却水の昇温時に行うようにしたことを特徴とする原子炉冷却水用温度計の健全性試験装置。
- 原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している場合に行われる原子炉冷却水用温度計の健全性試験を行う原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法であって、
前記原子炉冷却水の温度を測定する複数の原子炉冷却水用温度計を用いて、予め定められた所定の測定順序に従って順に一定の所要時間で前記原子炉冷却水の温度を測定し、更に、前記所定の測定順序の逆順序に従って順に前記一定の所要時間で前記原子炉冷却水の温度を測定する測定処理を所定回数行い、前記所定回数の2倍の回数測定された測定結果から、各原子炉冷却水用温度計毎の測定結果の個別平均値を演算し、各個別平均値に基づいて全原子炉冷却水用温度計の測定結果の全平均値を演算し、前記全平均値と、各個別平均値との差を求め、前記差が、所定の判定基準値以内である場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全であるものと判定し、前記差が、前記所定の判定基準値を超える場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全ではないと判定するようにしたことを特徴とする原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法。 - 原子炉冷却水の温度がほぼ一定割合で変動している場合に行われる原子炉冷却水用温度計の健全性試験を行う原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法であって、
前記原子炉冷却水の温度を測定する複数の原子炉冷却水用温度計が、予め定められた所定の測定順序に従って順に一定の所要時間で前記原子炉冷却水の温度を測定し、更に、前記所定の測定順序の逆順序に従って順に前記一定の所要時間で前記原子炉冷却水の温度を測定する測定処理を所定回数行って得られる測定結果に基づいて、各原子炉冷却水用温度計毎の測定結果の個別平均値を演算し、各個別平均値に基づいて全原子炉冷却水用温度計の測定結果の全平均値を演算し、前記全平均値と、各個別平均値との差を求め、前記差が、所定の判定基準値以内である場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全であるものと判定し、前記差が、前記所定の判定基準値を超える場合には、この個別平均値の原子炉冷却水用温度計は健全ではないと判定するようにしたことを特徴とする原子炉冷却水用温度計の健全性試験方法。
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