JP4190640B2 - 土留パネル用切梁ロッド装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、掘削される溝の両側に沿って立設される土留パネルを土圧に抗するように支持させるために設ける切梁ロッド装置に係り、特に、その伸縮手段の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば、下水道管等の埋設物を地中へ埋設する場合、地面を掘削して掘削溝を作り、掘削中及び掘削後の溝の両側の土が掘削溝内へ崩落しないようにするために複数の土留パネルを掘削溝の両側に沿って立設することが行われている。なお、土留パネルは、溝の掘削に伴って沈降する。ここで、これらの立設された土留パネルが掘削作業中に土圧によって掘削溝内側へ倒れないようにするために、両側の土留パネル間に切梁ロッドが横方向に設けられる。そして、埋設管、例えば、下水道管を掘削溝内へ下降させるときには、切梁ロッドが邪魔になるので、切梁ロッドに設けられている流体圧式伸縮装置(水圧シリンダ)により切梁ロッドを縮めて切梁ロッドの一端を一方の土留パネルから外し、土留パネルに連結されている切梁ロッドの他端部近傍に設けられた旋回可能な支持部のピンを中心として切梁ロッドを土留パネルの面に平行となる方向に旋回させることが行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、従来技術の切梁ロッドでは、その伸縮のために流体圧シリンダのみを用いる方式またはターンバックルのような螺合伸縮装置のみを用いる方式が採用されている。ところが、流体圧シリンダのみを用いる方式では、流体圧シリンダ内の圧力が強いうちはシリンダが伸長し続け、また流体圧シリンダは内部圧力がある間は圧縮に対し安定的に抗するが、それを収縮させるために内部圧力を除去すると収縮動作が不安定になる欠点がある。このため、両側の土留パネルを溝幅に合わせて切梁ロッドで連結するため切梁ロッドの長さを微調整するのが難しく、また、両側の土留パネルまたは土留パネル用ガイドレールに切梁ロッドの両端部を連結する作業も安定的に行いにくい。さらにまた、上述のように埋設管を掘削溝内へ下降させるために切梁ロッドを縮めて旋回させる作業も容易には行い難い。
【0004】
一方、前記螺合伸縮装置のみを用いる方式では、切梁ロッドの長さの微調整が可能で、溝幅に合わせた切梁ロッド長さの調節や、切梁ロッド両端部と土留パネルまたは土留パネル用ガイドレールとの着脱作業をし易い利点があるが、両側の土留パネルに土圧が作用した状態での螺合伸縮装置の伸縮操作は容易ではなく、しかもこの伸縮操作を行う作業は掘削中の溝の中へ作業員が入って行わなければならないので危険である。そして、埋設管を掘削溝内へ下降させるための切梁ロッドの収縮旋回作業の場合も同様の問題がある。
【0005】
本発明は、上述の課題を解決するためになされたもので、その目的は、流体圧シリンダ方式および螺合伸縮方式を組み合せ、両方式の短所を補い合うことができ、所望長への長さの微調節が容易で、土圧の掛かった状態でも簡単に伸縮でき、伸縮動作が安定的で、前述の旋回も容易でしかも安全な作業を可能にする土留パネル用切梁ロッド装置を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記従来技術の課題を解決するため、本発明の土留パネル用切梁ロッド装置は、切梁ロッド装置を旋回可能にその一端で支持する旋回支持部と、切梁ロッド装置の両端部にあってそれを土留パネルに着脱可能に連結する連結装置と、切梁ロッド装置の軸線方向の伸縮手段を構成する流体圧式伸縮装置と、螺合伸縮装置とを備え、流体圧式伸縮装置は流体圧の除去により収縮するように構成されている。
【0007】
前記流体圧式伸縮装置は流体圧シリンダとし、その内部に、流体圧導入によるシリンダの伸長時にシリンダを収縮方向に付勢する力を蓄えるばねを設けることができる。
【0008】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の土留パネル用切梁ロッド装置の一つの実施の形態を図1〜図5を参照して説明する。
【0009】
図1に示すように、切梁ロッド装置1は、掘削する溝2の両側に沿って立設される土留パネル3,3の間に突張り材として横方向に架設される。切梁ロッド装置1は、図2に示すように、ロッド4と、流体圧式伸縮装置としての水圧シリンダ5と、螺合伸縮装置としてのねじ装置6と両端の2つの連結装置7と、旋回支持部8とを備えている。
【0010】
ロッド4は、パイプ材よりなり、その一端には水圧シリンダ5が、他端にはねじ装置6が長手方向に連結されている。そして、水圧シリンダ5の外端には一方の連結装置7が固設され、ねじ装置6の外端には前記旋回支持部8を介して他方の連結装置7が固着されている。
【0011】
水圧シリンダ5は、図1及び図2に示すように、ロッド4の一端と一方の連結装置7との間に連結され、シリンダ9と、ピストン10と、ピストンロッド11と、ばね12と、ブッシュ13とを備えている。
【0012】
シリンダ9の内端にはシリンダ頭部14が螺着されている。そして、このシリンダ頭部14の軸線上には空所15が形成されており、この空所15に直交して流路16が形成され、この流路16には、水を空所15内に流入させかつ空所15より流出させるためのスイベルジョイント17が固着されている。そして、このスイベルジョイント17は配管21を介して図示しない水圧供給源に接続されている。また、シリンダ9の外端にはブッシュ13が固着されてシリンダ9内のチャンバを閉塞している。
【0013】
ピストン10は、その外径がシリンダ9の内径とされ、その軸線方向には円板状のピストンリング18がボルト19によりピストン10を介して後述のピストンロッド11に固着されるとともに、外周面の溝内にはパッキン20がはめ込まれている。
【0014】
ピストンロッド11は、シリンダ9の内径よりも小径であって、その内端にはボルト19により前記ピストンリング18と、ピストン10が固着され、他端には径方向に挿脱可能なピン21を介して連結装置7が固着されている。
【0015】
ブッシュ13のフランジ部22は、シリンダ9の外径部23にはめられて固着され、その孔24にはピストンロッド11の外周面25が摺接している。ばね12はコイルばねであって、シリンダ9の内周面26と、ピストンロッド11の外周面25との間で、かつ、ピストン10と、ブッシュ13との間に圧縮状態で挿入されている。
【0016】
ねじ装置6は、おねじパイプ27と、おねじ先端ロッド28と、めねじ付き回転部30等とを備えている。
【0017】
おねじパイプ27は所定の長さを有し、その外端の内面にはおねじ先端ロッド28が挿入固着されている。そして、おねじパイプ27の外面の全長にわたって、おねじ31が形成されている。一方、おねじパイプ27の内端は、シリンダ頭部14に当接している。おねじ先端ロッド28は、その外端に軸線方向に円柱形凹部33が形成されている。そして、おねじ先端ロッド28には円柱形凹部33に直交する径方向にピン孔34が貫設されている。
【0018】
前記シリンダ頭部14の水圧シリンダ5と反対の側には、フランジ14aが形成され、このフランジ14aの内側には支持パイプ35がねじ込みにより固定されている。
【0019】
29は、土留パネル3,3の間隔に合わせて用いる継足しパイプであり、これに前記めねじ付き回転部30の支承パイプ32が固定されている。支持パイプ35、継足しパイプ29、支承パイプ32は溶接により互いに一体化されている。前記めねじ付き回転パイプ30の内面にはおねじパイプ27のおねじ31に螺合されるめねじ36が形成されている。めねじ付き回転パイプ30の内端は半割り可能の円筒状回転カバー38に固着されており、回転カバー38は前記支承パイプ32の外周面の環状突起及び環状凹溝に回転可能に係合している。めねじ付き回転パイプ30の外周面には周方向に間隔をおいて例えば3か所にスパナ用凹穴37が形成されている。
【0020】
連結装置7は公知のもので、水圧シリンダ側連結装置7aと、ねじ装置側連結装置7bとからなり、それぞれ、頭部部材40と、スリーブ部材41と、当接部材42と、コッタ43とを備えている。頭部部材40は、円柱形状の本体44の外端部にT字形状の頭部45を本体44に一体的に形成したものであって、本体44にはコッタ孔46が軸線に直交する径方向に貫設されている。スリーブ部材41は、円筒形状をなし、外端部には環状外フランジ47が形成され、このフランジ47に接してコッタ孔48が径方向に貫設されている。また、フランジ47の反コッタ孔側にはゴム材よりなるリング形状の当接部材42が固着されている。そして、コッタ43をコッタ孔46,48に挿入することにより頭部部材40は、スリーブ部材41から外方へ抜けないようになっている。
【0021】
前記旋回支持部8は、図2及び図3に示すようにU字形状の旋回部材50と、2本の鉛直方向ピン51とを備えている。そして、旋回部材50は、ピン51により連結装置7(7b)のスリーブ部材41に固着されており、1本のピン51を外すと、他方のピン51を鉛直方向回転軸として切梁ロッド装置1を所要の方向へ水平方向に旋回させることができるようになっている。
【0022】
この切梁ロッド装置1を図1に示すように土留パネル3,3(のガイドレール52)に組み付けるには、水圧シリンダ5内へスイベルジョイント17を経て圧力水を供給し、ピストン10を図2において右方へ変位させることにより、ピストンロッド11をばね12を圧縮しつつ連結装置7(7a)側へ移動させる。これによって水圧シリンダ5は、土留パネル3,3間の所定間隔に近い長さに切梁ロッド装置1が伸長するまで伸長される。水圧シリンダ5内の水圧を維持して水圧シリンダ5を閉め切った後、ねじ装置6の凹穴37にスパナ等の工具を挿入してめねじ付き回転パイプ30を回転させる。この時、回転カバー38は支承パイプ32の周りで回転パイプ30と共に回転する。したがって、水圧シリンダ5の伸長量に差があっても、回転パイプ30の回転により、それと螺合するおねじパイプ27が軸方向に進退してねじ装置6の長さが所定値に調節され、切梁ロッド装置1の全長が溝幅に適した所定の寸法となるようにセットされる。
【0023】
次いで、例えば地表に立てた土留パネル3,3(のガイドレール52)の細長い形状の窓孔53(図4)内に切梁ロッド装置1の両端の連結装置7(7a,7b)のT字形状頭部45を図5に示すようにそれぞれ溝内側から外側へ向かって挿入した後、ほぼ90゜回動させる。これによって、バヨネット結合の原理によりT字形状頭部45は窓孔53から抜けなくなり、土留パネル3,3間に切梁ロッド装置1が連結、装着される。なお、窓孔53は図4に仮想線で示すようにパネル3自体に設ける場合もある。このような土留パネル3,3の組み立ては、切梁ロッド装置1の長さ調節の容易性と安定性によって地表において可能になる。分解についても同様である。
【0024】
次に、溝2の底へ下水道管等を上方から入れる場合の切梁ロッド装置1の作用を説明する。
【0025】
先ず、土圧下で土留パネル3,3間に突張られている切梁ロッド装置1の水圧シリンダ5と連結装置7(7a)との間のピン21を抜いて切梁ロッド装置を片持ち状態にし、水圧シリンダ5の水圧を抜くと、圧縮されているばね12の付勢力によりピストンロッド11はねじ装置6側へ(図2の左方へ)安定的に後退する。したがって、螺合伸縮装置6を土圧に抗して回動させたり、土圧を軽減させたりしなくても、また作業員が危険を冒して掘削溝内に降りて作業をしなくても、水圧シリンダ5の安定的な収縮によって切梁ロッド装置1自体が自動的に収縮する。そして、旋回支持部8の2本のピン51のうち1本を外し、切梁ロッド装置1を掘削溝2の長手方向と平行になるように残るピン51を回転軸として旋回させることにより、切梁ロッド装置1を退避させると、下水道管等を溝2の上方から溝2内へ下降させることができる。
【0026】
なお、本実施の形態では流体伸縮装置は、水圧シリンダによるものとしたが、油圧シリンダでもよい。
【0027】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の土留パネル用切梁ロッド装置は、それを旋回可能に一端で支持する旋回支持部を有するので、掘削溝内でどの方向に対しても自由に旋回させることができる。そして、切梁ロッド装置の端部には連結装置を設けているので、切梁ロッド装置の土留パネルまたはそのガイドレールへの連結を確実に行なえる。さらに、この切梁ロッド装置は、その軸線方向の伸縮手段を構成する流体圧式伸縮装置と、螺合伸縮装置とを有しており、切梁ロッド装置の旋回時には、流体圧の除去により流体圧式伸縮装置を自動的に収縮させて、土留パネルへの土圧の軽減をしなくても切梁ロッドの旋回を可能にし、また土留パネルの組立て、分解時には、螺合伸縮装置で切梁ロッド装置の長さを微調整して対応することができる。そして、埋設管を掘削溝内へ降ろす時には、切梁ロッド装置の旋回支持部と反対の側の連結装置を外し、流体圧式伸縮装置の流体を抜くと、それが自動的に収縮するので、土圧下でも切梁ロッド装置を土留パネルに沿う向きに容易に旋回させ、退避させることができる。また、螺合伸縮装置は、流体圧式伸縮装置を流体の導入により適宜に伸長させた後における切梁ロッド装置の長さの調節を正確に行うことを可能にする。そして、螺合伸縮装置は溝の掘削幅に対応して切梁ロッド装置の長さを容易に調節することを可能にするので、地表での土留パネルの組み立てが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】掘削溝に土留パネルを立設し、切梁ロッド装置を装着した場合の溝長手方向に見た図。
【図2】切梁ロッド装置の断面図。
【図3】切梁ロッド装置の旋回状態を示す説明図。
【図4】土留パネルと切梁ロッド装置の組立て斜視図。
【図5】図4の一部の分解状態斜視図。
【符号の説明】
1 切梁ロッド装置
5 流体圧式伸縮装置(水圧シリンダ)
6 螺合伸縮装置(ねじ装置)
7(7a,7b) 連結装置
8 旋回支持部
9 シリンダ
10 ピストン
11 ピストンロッド
12 ばね
13 ブッシュ
14 シリンダ頭部
15 空所
16 流路
27 おねじパイプ
28 おねじ先端ロッド
30 めねじ付き回転パイプ
32 支承パイプ
35 支持パイプ
37 回転工具用凹穴
38 円筒状回転カバー
40 頭部部材
41 スリーブ部材
43 コッタ
44 本体
45 T字形頭部
Claims (2)
- 掘削溝の両側に沿って立設される土留パネルの間にあって土圧に抗するように設けられる土留パネルの切梁ロッド装置において、
切梁ロッド装置を鉛直方向回転軸の回りに水平方向で旋回可能にその一端で支持する旋回支持部と、
切梁ロッド装置の両端部にあってそれを土留パネルに着脱可能に連結する連結装置と、
切梁ロッド装置の軸線方向の伸縮手段を構成する流体圧式伸縮装置と、
前記流体圧式伸縮装置に直列に連結され前記流体圧式伸縮装置による軸線方向の伸縮量を調整可能な螺合伸縮装置と
を備え、
前記流体圧式伸縮装置のシリンダが前記螺合伸縮装置に連結され、前記流体圧式伸縮装置のピストンロッドが前記螺合伸縮装置の反対側で可動であり、
流体圧式伸縮装置は、流体圧の除去により収縮するように構成されている
ことを特徴とする土留パネル用切梁ロッド装置。 - 前記流体圧式伸縮装置は流体圧シリンダであり、内部に、流体圧導入によるシリンダの伸長時にシリンダを収縮方向に付勢する力を蓄えるばねを有していることを特徴とする請求項1記載の土留パネル用切梁ロッド装置。
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Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP02860399A JP4190640B2 (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 土留パネル用切梁ロッド装置 |
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Family
ID=12253172
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
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JP02860399A Expired - Lifetime JP4190640B2 (ja) | 1999-02-05 | 1999-02-05 | 土留パネル用切梁ロッド装置 |
Country Status (1)
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1999
- 1999-02-05 JP JP02860399A patent/JP4190640B2/ja not_active Expired - Lifetime
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