JP4189735B2 - 樹脂被覆金属板の製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は樹脂被覆金属板の製造方法に関するものである。さらに詳細には、製缶性(例えば、絞り・しごき加工性)とフレーバー性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法に関するものであって、かつ温水殺菌処理が実施される金属缶に好適な樹脂被覆金属板の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来、金属缶の缶内面及び缶外面は腐蝕防止を目的として、エポキシ系,フェノール系等の各種熱硬化性樹脂を溶剤に溶解又は分散させたものを塗布し、金属表面を被覆することが広く行われてきた。しかしながら、この熱硬化性樹脂の被覆方法では塗料の乾燥に長時間を要するため生産性が低下したり、多量の有機溶剤による環境汚染など好ましくない問題を発生させることが多いという欠点があった。
【0003】
かかる欠点を解決するため、金属板に熱可塑性樹脂を溶融押出法で被覆する方法が開示されている(例えば、特許文献1参照。)。又、溶融押出した熱可塑性樹脂を一旦冷却固化させた後、加熱された金属板に圧着する方法が開示されている(例えば、特許文献2参照。)。又、溶融押出法で作製したポリエチレンテレフタレート及び/又はポリブチレンテレフタレートの未配向フィルムを加熱された金属板に圧着する方法が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。しかしながら、これらの熱可塑性樹脂の被覆方法では、Tダイから層状に溶融樹脂を押出す際、溶融樹脂膜の巾減少(ネックインと称す)が大きく、被覆に必要な樹脂巾に対して数10cm広い巾で製膜する必要があり、経済性の点から満足される方法ではなかった。
【0004】
かかる欠点を解決するため、三官能以上の多塩基酸又は多価アルコール成分を共重合させたポリエステルを配合してなるポリエステルを使用することによりネックインを小さくする方法が開示されている(例えば、特許文献4、5参照。)。しかしながら、これらの被覆方法では、三官能以上の多塩基酸又は多価アルコール成分を共重合させたポリエステルが押出機からTダイに至る溶融工程で熱劣化しやすく、熱安定剤を併用しても得られた溶融樹脂膜に異物(例えば、ゲル状異物又は劣化物を核とした異物)が発生しやすく、製缶時に樹脂被覆層に異物を起点とした亀裂が入るため、製缶用の樹脂被覆金属板として満足されるものではなかった。
【0005】
【特許文献1】
特開昭57−203545号公報
【特許文献2】
特開平10−309775号公報
【特許文献3】
特開2001−1447号公報
【特許文献4】
特開平10−86308号公報
【特許文献5】
特開2000−71388号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は前記従来技術の問題点を解消することを目的とするものである。即ち、溶融押出時のネックインが小さく、かつ得られた溶融樹脂膜に異物が発生しにくいため、経済性と製缶性に優れ、かつ得られた金属缶のフレーバー性に優れ、かつ内容物を充填後に実施される温水殺菌処理で金属缶外面の外観不良(樹脂膜の白化)が発生しにくい樹脂被覆金属板の製造方法を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、金属板の片面に融点180℃以上の結晶性ポリエステルとオレフィン系ポリマーよりなる樹脂膜(A)を被覆しもう一方の面に融点180℃以上の結晶性ポリエステルよりなる樹脂膜(B)を被覆する製造方法において、Tダイを用いて両端部にオレフィン系ポリマーが合流された状態で得た溶融樹脂膜を冷却固化後に両端部を切断除去して樹脂膜(A)と樹脂膜(B)を得る方法と樹脂膜(A)及び樹脂膜(B)を加熱された金属板にラミネートする方法よりなる樹脂被覆金属板の製造方法であって、かつ樹脂膜(A)はポリエチレンテレフタレートとポリブチレテレフタレートが60:40〜30:70重量%のポリエステルとオレフィン系ポリマーが70:30〜100:0重量%よりなるものであり、樹脂層(B)はポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートが60:40〜30:70重量%のポリエステルよりなるものであることを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法によって達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明ではポリエチレンテレフタレート及びポリブチレンテレフタレートの特性を損なわない範囲でテレフタル酸以外のジカルボン酸成分とエチレングリコール及びブタンジオール以外のグリコール成分を使用できる。例えば、ジカルボン酸として、イソフタル酸,オルソフタル酸,ナフタレンジカルボン酸,ジフェニルスルホンジカルボン酸,5−ナトリウムスルホイソフタル酸等の芳香族ジカルボン酸、シュウ酸,コハク酸,アジピン酸,セバシン酸,デカンジカルボン酸,マレイン酸,フマル酸,ダイマー酸等の脂肪族ジカルボン酸、p−オキシ安息香酸等のオキシカルボン酸、シクロヘキサンジカルボン酸等の脂環族ジカルボン酸が使用できる。又、エチレングリコール及びブタンジオール以外のグリコール成分として、プロパンジオール,ペンタンジオール,ヘキサンジオール,ネオペンチルグリコール等の脂肪族グリコール、シクロヘキサンジメタノール等の脂環族グリコール、ビスフェノールA,ビスフェノールS等の芳香族グリコールが使用できる。
【0009】
本発明におけるポリエステルには、必要に応じて酸化防止剤,熱安定剤,紫外線吸収剤,可塑剤,顔料,帯電防止剤,潤滑剤,結晶核剤,無機又は有機粒子よりなる滑剤等を配合させてもよい。
【0010】
本発明におけるポリエステルの製造方法については特に限定しない。即ち、エステル交換法又は直接重合法のいずれの方法で製造されたものであっても使用できる。又、分子量を高めるために固相重合法で製造されたものであってもかまわない。さらに缶に内容物を充填後に実施されるパストライズ処理,レトルト処理等でのポリエステル樹脂からのオリゴマー量を少なくする点より、減圧固相重合法で製造されたオリゴマー含有量が低いポリエステルを使用することは好ましい。
【0011】
樹脂膜(A)と樹脂膜(B)のポリエステルのポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド比率が同一であることが好ましい。その理由は、樹脂の無駄を省く観点から層状に押出された樹脂を冷却固化後に切断除去して得た両端部を含む樹脂を樹脂膜(A)の中央部で再使用した場合、金属板に被覆された樹脂膜の品質が安定するためである。
【0012】
本発明で使用されるポリエステルの融点は180℃以上であることが製缶性(絞り・しごき加工において、缶内面側の樹脂ではポンチの離型性の確保、缶外面側の樹脂ではかじり抑制[樹脂皮膜での縦方向のキズ])から必要である。
【0013】
ポリエステルとブレンドされるオレフィン系ポリマーは特に限定しない。低密度ポリエチレン,中密度ポリエチレン,高密度ポリエチレン,直鎖状低密度ポリエチレン,超高分子量ポリエチレン,ポリプロピレン,エチレンープロピレン共重合体,エチレンーブテン共重合体,エチレンー酢酸ビニル共重合体,エチレンーエチルアクリレート共重合体,エチレンービニルアルコール共重合体,アイオノマー等が使用できる。
【0014】
Tダイから押出された層状の樹脂膜(A)の両端部と中央部で使用するオレフィン系ポリマー及び樹脂膜(B)の両端部で使用するオレフィン系ポリマーは同一であることが好ましい。その理由は、樹脂の無駄を省く観点から層状に押出された樹脂を冷却固化後に切断除去して得た両端部を含む樹脂を樹脂膜(A)の中央部で再使用した場合、金属板に被覆された樹脂膜の品質が安定するためである。
本発明では両端部を含む樹脂を樹脂膜(A)の中央部で再使用する場合、再使用比率は特に限定しないが、5〜60重量%が好ましい。
【0015】
本発明ではポリエステルとオレフィン系ポリマーをTダイから層状に押出す際、両端部(片側が5cm以下の部分)にオレフィン系ポリマーを使用することが必要である。
【0016】
本発明ではポリエステルとオレフィン系ポリマーをドライブレンド又は溶融混合して得たポリマーを公知の1軸又は2軸押出機内で溶融させた後、エッジラミネーションタイプ等の公知のマルチマニホールドダイを使用して層状の溶融樹脂膜を得る。
【0017】
本発明では冷却固化方法として、回転させた冷却ロールにTダイから層状に溶融した樹脂を接触させる公知の方法が使用できる。溶融樹脂を冷却ロールに接触させる際、強制的にエアーを吹き付ける方法又は静電気で密着させる方法を採用することが好ましい。又、強制エアー吹き付け法,静電密着法のいずれにおいても層状樹脂の両端部と中央部を独立させて実施する方法がより好ましい。
【0018】
本発明では冷却固化させた後、両端部を切断除去して得た樹脂膜を加熱された金属板に直接ラミネートする方法、又は冷却固化させた後、両端部を切断除去して得た樹脂膜を一旦巻取った後、別工程で加熱された金属板にラミネートする方法のいずれも使用できる。
【0019】
後者の被覆方法においては、冷却固化物を縦延伸(例えば、ポリエステルのガラス転移点以上かつ冷結晶化温度未満の温度で2.0〜6.0倍延伸)を実施し、さらに緊張下で熱処理(例えば、50℃以上かつポリエステルの融点−20℃の温度で1〜20秒間)を実施することが好ましい。その理由は、巻取った樹脂膜ロールを保管した後、この樹脂膜ロールを加熱金属板に被覆する際、巻出し張力による樹脂膜の破断と樹脂膜ロールの保管時における経時収縮に起因したシワ,ブロッキング等を抑制するのに好ましいためである。
【0020】
本発明では金属板として、ティンフリースティール等の表面処理鋼板あるいはアルミニウム板又はアルミニウム合金板あるいは表面処理を施したアルミニウム板又はアルミニウム合金板が使用できる。これらの金属板をポリエステルの融点−20℃以上かつ融点+150℃に加熱した後、ラミネートロールを使用して樹脂膜(A)と樹脂膜(B)を金属板に同時ラミネート又は逐次ラミネートし、引き続いてこのラミネート金属板をポリエステルの融点+10℃以上かつ融点+60℃で加熱した後、水冷及び/又は空冷して樹脂被覆金属板を得る。
【0021】
本発明では金属板上の樹脂膜厚みは特に限定されないが、10〜50μmが被覆効果(防錆性)と経済性の点から好ましい。
【0022】
【実施例】
以下、実施例をもとに本発明を説明する。
[評価方法]
【0023】
(1)ポリエステルの融点
ポリエステル組成物を300℃で5分間加熱溶融した後、液体窒素で急冷して得たサンプル10mgを用い、窒素気流中、示差走査型熱量計(DSC)を用いて10℃/分の昇温速度で発熱・吸熱曲線(DSC曲線)を測定したときの、融解に伴う吸熱ピークの頂点温度を融点Tm(℃)とした。
【0024】
(2)ネックイン量
Tダイの吐出口巾(60cm)とn=3で測定した冷却固化後の樹脂膜巾(両端部を切断除去する前の樹脂膜巾)の平均値(Acm)を用い、次式でネックイン量(cm)を求めた。ネックイン量が5cm以下を実用性ありと評価した。
ネックイン量(cm)=60−A
【0025】
(3)樹脂被覆金属板の作製方法
250℃に加熱したアルミニウム合金板(厚み:0.26mmの3004系合金板)の片面に樹脂膜(A),もう一方の面に樹脂膜(B)を同時にラミネートした後、275℃で加熱した後に水中急冷してラミネートアルミニウム板を作製した。
【0026】
(4)缶内面樹脂と加工ポンチの離型性
ラミネートアルミニウム板をn=10で製缶し、成形缶上部に起る座屈程度を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:缶開口部の座屈未発生
△:缶開口部円周の約1/3に座屈発生
×:缶開口部円周の1/3以上に座屈発生
【0027】
(5)缶外面の耐かじり性(缶外面樹脂における縦方向のキズ)
ラミネートアルミニウム板をn=10で製缶し、成形した缶体胴壁部外面樹脂のキズ発生程度を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定し、○を実用性ありと評価した。
○:キズ未発生
△:外面の約1/3にキズ発生
×:外面の1/3以上に激しいキズ発生
【0028】
(6)フレーバー性
密閉型のガラス容器に充填したd−リモネン中に5cm角のラミネートアルミニウム板を浸漬させた後、40℃の恒温室で10日間静置し、d−リモネンを吸着させる。表面に付着しているd−リモネンをキムワイプで拭き取り重量W1を測定する。重量W1測定後のラミネートアルミニウム板を60℃で24時間真空乾燥させた後、重量W2を測定する。さらに、ラミネートアルミニウム板のアルミニウム板を酸溶解後乾燥して得た剥離フィルムの重量W3を測定する。d−リモネン吸着量を次式により求め重量%で表示する。D−リモネン吸着量が3重量%以下のものを実用性ありと評価する。
d−リモネン吸着量(重量%)=(W1−W2)/W3×100
【0029】
(7)温水処理後の缶外面の白化程度
アルミニウムラミネート板を製缶して得た缶を270℃で40秒間加熱した後水中急冷したものをサンプルとする。このサンプルを80℃の温水中に10分間浸漬した後、水中急冷して得た缶外面を目視観察した。評価基準は以下のとおり設定 し、○を実用性ありと評価した。
○:白化が目立たない
△:明らかに白化しているが、アルミニウム合金板の色が見える
×:白化によりアルミニウム合金板の色がみえない
【0030】
[実施例・比較例に用いたポリエステルとオレフィン系ポリマーの略号と内容]
(1)PET:ポリエチレンテレフタレート
(2)PBT:ポリブチレンテレフタレート
(3)CO−PES:テレフタル酸とエチレングリコール/シクロヘキサンジメタノール(モル% 70/30)との共重合ポリエステル
(4)オレフィン:タフマーA−4085(三井化学社製、商品名)
(5)アイオノマー:ハイミラン1706(三井デュポンポリケミカル社製、商品名)
【0031】
[実施例 1]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=40/60重量%のポリエステル87重量%とオレフィン13重量%を280℃で溶融させ、樹脂膜(A)の両端部の原料としてオレフィン単体を250℃で溶融させ、エッジラミネーションタイプのTダイ(オレフィンの吐出口巾/中央部の吐出口巾/オレフィンの吐出口巾=2cm/56cm/2cm、260℃に加熱)を用いて、層状に冷却ロール(周速20m/分)へキャスト(Tダイから冷却ロールでの溶融樹脂の接地点までの距離15cm、中央部と両端部は別々の装置で強制的にエアーを吹付け)した後、両端部(片側5cm)を切断除去して巻取り、樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状の樹脂膜を得た。
【0032】
又、樹脂膜(B)の中央部の原料としてPET/PBT=40/60重量%のポリエステルを280℃で溶融させ、樹脂膜(B)の両端部の原料としてオレフィン単体を250℃で溶融させ、エッジラミネーションタイプのTダイ(オレフィンの吐出口巾/中央部の吐出口巾/オレフィンの吐出口巾=2cm/56cm/2cm、260℃に加熱)を用いて、層状に冷却ロール(周速 20m/分)へキャスト(Tダイから冷却ロールでの溶融樹脂の接地点までの距離 15cm、中央部と両端部は別々の装置で強制的にエアーを吹付け)した後、両端部(片側5cm)を切断除去して巻取り、樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状の樹脂膜を得た。
【0033】
250℃に加熱した3004系アルミニウム合金板(厚み 0.26mm)の片面に樹脂膜(A)を圧着し、もう一方の面に樹脂膜(B)を圧着し275℃に加熱した後、水中急冷してラミネートアルミニウム板を得た。
【0034】
こうして得られたラミネートアルミニウム板に成形用潤滑剤を塗布した後、加熱して板温70℃で樹脂膜(A)が缶内面側となるようにして絞り加工を実施した。次いで、得られたカップの温度を40℃にして金型温度80℃でしごき加工を実施し、350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0035】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂膜とポンチの離型性と缶外面樹脂膜のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。本実施例の方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、製缶性とフレーバー性が優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、さらに外面の耐温水白化性が優れた金属缶が得られる樹脂被覆金属板の製造方法であるといえる。
【0036】
[実施例 2]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=50/50重量%のポリエステル87重量%とオレフィン13重量%とし、樹脂膜(B)の中央部の原料としてPET/PBT=50/50重量%とした以外は実施例1と同様にして樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状樹脂膜と樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状樹脂膜を得た。
【0037】
ついで、実施例1と同様にラミネートアルミニウム板を作製し、製缶して350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0038】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂膜とポンチの離型性と缶外面樹脂膜のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。本実施例の方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、製缶性とフレーバー性が優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、さらに外面の耐温水白化性が優れた金属缶が得られる樹脂被覆金属板の製造方法であるといえる。
【0039】
[実施例 3]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=40/60重量%のポリエステル87重量%とアイオノマー13重量%とし、樹脂膜(A)の両端部と樹脂膜(B)の両端部の原料をアイオノマーとした以外は実施例1と同様にして樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状樹脂膜と樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状樹脂膜を得た。
【0040】
ついで、実施例1と同様にラミネートアルミニウム板を作製し、製缶して350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0041】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂膜とポンチの離型性と缶外面樹脂膜のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。本実施例の方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、製缶性とフレーバー性が優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、さらに外面の耐温水白化性が優れた金属缶が得られる樹脂被覆金属板の製造方法であるといえる。
【0042】
[実施例 4]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=40/60重量%のポリエステル87重量%とオレフィン13重量%を70重量%と実施例1で樹脂膜(A)を得る前に切断除去した両端部を造粒して得たポリマーを30重量%とした以外は実施例1と同様にして樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状樹脂膜と樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状樹脂膜を得た。ついで、実施例1と同様にラミネートアルミニウム板を作製し、製缶して350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0043】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂膜とポンチの離型性と缶外面樹脂膜のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。本実施例の方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、製缶性とフレーバー性が優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、さらに外面の耐温水白化性が優れた金属缶が得られる樹脂被覆金属板の製造方法であるといえる。
【0044】
[実施例 5]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=40/60重量%のポリエステル87重量%とオレフィン13重量%を70重量%と実施例1で樹脂膜(A)を得る前に切断除去した両端部を造粒して得たポリマーを15重量%と実施例1で樹脂膜(B)を得る前に切断除去した両端部を造粒して得たポリマーを15重量%とした以外は実施例1と同様にして樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状樹脂膜と樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状樹脂膜を得た。ついで、実施例1と同様にラミネートアルミニウム板を作製し、製缶して350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0045】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂膜とポンチの離型性と缶外面樹脂膜のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。本実施例の方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、製缶性とフレーバー性が優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、さらに外面の耐温水白化性が優れた金属缶が得られる樹脂被覆金属板の製造方法であるといえる。
【0046】
[実施例 6]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=40/60重量%のポリエステル87重量%とオレフィン13重量%を70重量%と実施例1で樹脂膜(B)を得る前に切断除去した両端部を造粒して得たポリマーを30重量%とした以外は実施例1と同様にして樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状樹脂膜と樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状樹脂膜を得た。ついで、実施例1と同様にラミネートアルミニウム板を作製し、製缶して350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0047】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂膜とポンチの離型性と缶外面樹脂膜のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。本実施例の方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、製缶性とフレーバー性が優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、さらに外面の耐温水白化性が優れた金属缶が得られる樹脂被覆金属板の製造方法であるといえる。
【0048】
[比較例 1]
樹脂膜(A)と樹脂膜(B)の両端部の原料をPET/PBT=40/60重量%とした以外は実施例1と同様にしてロール状樹脂膜を得ようとしたが、ネックイン量が大きく,かつ両端部を18cm切断除去しなければ、厚み分布が一様な中央部が得られないため、経済性に劣る樹脂膜製造方法であった。
【0049】
[比較例 2]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=20/80重量%のポリエステル87重量%とオレフィン13重量%とし、樹脂膜(B)の中央部の原料としてPET/PBT=20/80とした以外は実施例1と同様にして製膜しようとしたが、冷却ロールと巻取ロール間で樹脂膜が割れることが多く、ロール状の樹脂膜を安定して得られないため、樹脂膜製造方法として好ましくない。
【0050】
[比較例 3]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=70/30重量%のポリエステル87重量%とオレフィン13重量%とし、樹脂膜(B)の中央部の原料としてPET/PBT=70/30とした以外は実施例1と同様にして樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状樹脂膜と樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状樹脂膜を得た。
【0051】
ついで、実施例1と同様にラミネートアルミニウム板を作製し、製缶して350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0052】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂皮膜とポンチの離型性と缶外面樹脂のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。この方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であり、製缶性とフレーバー性が優れた樹脂被覆金属板の製造方法であったが、外面の耐温水白化性が劣るため、樹脂被覆金属板の製造方法として好ましくない。
【0053】
[比較例 4]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてCO−PES87重量%とオレフィン13重量%とし、樹脂膜(B)の中央部の原料としてCO−PES単体とした以外は実施例1と同様にして樹脂膜(A)に用いる厚みが25μmのロール状樹脂膜と樹脂膜(B)に用いる厚みが16μmのロール状樹脂膜を得た。
【0054】
ついで、実施例1と同様にラミネートアルミニウム板を作製し、製缶して350mlサイズのシームレス缶を得た。
【0055】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,製缶性(缶内面樹脂皮膜とポンチの離型性と缶外面樹脂のキズ発生程度),フレーバー性,温水処理後の缶外面の白化程度を表1に示す。この方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂被覆金属板の製造方法であったが、この樹脂膜を被覆した金属板(ラミネートアルミニウム板)を製缶したが、缶内面樹脂と加工ポンチが粘着し缶開口部の全周にわたって座屈が発生し、さらに缶外面樹脂の全周にキズが発生したため製缶性が劣っており、又樹脂被覆金属板(ラミネートアルミニウム板)のフレーバー性も劣っていたため、樹脂被覆金属板の製造方法として好ましくない。
【0056】
[比較例 5]
樹脂膜(A)の中央部の原料としてPET/PBT=40/60重量%のポリエステル50重量%とオレフィン50重量%とした以外は実施例1と同様にしてロール状樹脂膜を得た。
【0057】
ポリエステルの融点,キャスト時のネックイン量,を表1に示す。この方法は、ネックイン量が小さく経済性に優れた樹脂膜製造方法であったが、得られた樹脂被覆金属板(ラミネートアルミニウム板)のフレーバー性が劣り、さらに加工ポンチの抜けが悪く缶内面開口部の約1/3に座屈が発生したため、樹脂被覆金属板の製造方法として好ましくない。
【0058】
【表1】
Figure 0004189735
【0059】
【発明の効果】
本発明の樹脂被覆金属板の製造方法は原料の無駄を省けるため、経済性に優れた製造方法であるばかりでなく、フレーバー性に優れた樹脂被覆金属板が得られる製造方法である。さらに、製缶性(特に、缶内面樹脂膜と加工ポンチの離型性と缶外面樹脂膜の耐キズつき性)に優れた樹脂被覆金属板が得られる製造方法である。さらに、内容物を充填後に実施される温水殺菌処理で金属缶外面の外観不良(樹脂膜の白化)が発生しにくいため、極めて有用な樹脂被覆金属板の製造方法といえる。

Claims (3)

  1. 金属板の片面に融点180℃以上の結晶性ポリエステルを主体とする樹脂膜(A)を被覆しもう一方の面に融点180℃以上の結晶性ポリエステルよりなる樹脂膜(B)を被覆された樹脂被覆金属板の製造方法であって、
    樹脂膜(A)はポリエチレンテレフタレートとポリブチレテレフタレートが60:40〜30:70重量%のポリエステルとオレフィン系ポリマーが70:30〜100:0重量%よりなるものであり、
    樹脂膜(B)はポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートが60:40〜30:70重量%のポリエステルよりなるものであり、
    Tダイを用いて両端部にオレフィン系ポリマーが合流された状態で得た溶融樹脂膜を冷却固化後に両端部を切断除去して樹脂膜(A)と樹脂膜(B)を得る工程と、
    樹脂膜(A)及び樹脂膜(B)を加熱された金属板にラミネートする工程よりなることを特徴とする樹脂被覆金属板の製造方法。
  2. 樹脂膜(A)の両端部と中央部のオレフィン系ポリマー及び樹脂膜(B)の両端部のオレフィン系ポリマーが同一であることを特徴とする請求項1に記載された樹脂被覆金属板の製造方法。
  3. 樹脂膜(A)と樹脂膜(B)のポリエステルのポリエチレンテレフタレートとポリブチレンテレフタレートのブレンド比率が同一であることを特徴とする請求項1に記載された樹脂被覆金属板の製造方法。
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