液晶ディスプレイ(LCD;Liquid Cristal Display)は、ブラウン管などと比べて消費電力が小さく、スペースも取らないことから、現在では主要な画像表示装置の1つとなっている。この中でも、TFT(Thin-Film-Transistor)を用いたアクティブマトリクス方式の液晶ディスプレイは、高精細で、大画面化が可能であるため、パーソナル・コンピュータ用ディスプレイやテレビ画面などに用いられる。
図14は、従来のフルカラー液晶表示装置を示す回路図である。
同図に示すように、従来の液晶表示装置は、信号線駆動回路110と、走査線駆動回路112と、表示部(液晶パネル)とを備えている。
そして、表示部は、信号線(ソース)駆動回路110から列方向(図中の縦方向)延びる複数の信号線152a,152b,152c…(以下まとめて信号線152と称す)と、走査線(ゲート線)駆動回路112から行方向(図中の横方向)に延びる複数の走査線(ゲート線)151a,151b,151c…(以下まとめて走査線151と称する)と、信号線152と走査線151との複数の交点付近にマトリックス状に配置されたサブピクセル153とを有している。また、各サブピクセル153は、液晶セル155とホールドコンデンサ156とTFT154とを有している。液晶セル155中の液晶は、画素電極と対向電極との間に挟まれている。ここで、「サブピクセル」とは、画素(ピクセル)の構成要素であって、赤(R)、緑(G)、青(B)のいずれかの色を表示するものである。
信号線駆動回路110は、通常多出力を有する集積回路であって、TFT154のソース電極に出力電圧Vout1,Vout2,Vout3…を供給する。なお、図14ではトランスファーゲートTG101a,TG101b…が隣接する信号線駆動回路110の外部に設けられているように見えるが、実際には信号線駆動回路110内に設けられている。ただし、トランスファーゲートTG101a,TG101b…は、パネル側に設けられていてもよい。このトランスファーゲートTG101は信号線駆動回路110の出力部同士を電気的に接続するためのものであり、これについては後に説明する。
また、走査線駆動回路112も一般には多出力を有する集積回路であって、TFT154のゲート電極に出力電圧を供給する。
この液晶表示装置では、走査線駆動回路112が各サブピクセル153を行単位で選択し、信号線駆動回路110が画像形成用信号を電圧の形で供給することによって画像が表示される。なお、フルカラー表示を行なう場合には、信号線152はR(赤),G(緑),B(青)の各色用に分けられている。
上述のような液晶表示装置では、長時間にわたり直流電圧が印加されると「焼き付き」と呼ばれる残像現象を起こすため、所定周期で液晶に印加される電圧を反転させる必要がある。このような駆動法をフレーム反転駆動と呼ぶ。
フレーム反転駆動には、ライン反転駆動やドット反転駆動などがある。
ドット反転駆動とは、隣接するサブピクセル間で印加される電圧の極性を逆極性とする駆動法であり、フリッカと呼ばれる画面のちらつきをライン反転駆動に比べて抑えることができる。
図15は、ドット反転駆動を用いる場合の従来の信号線駆動回路の一部を示す図である。同図では、信号線駆動回路のうち特に出力回路を示している。
画像信号処理回路や階調電圧発生回路(図示せず)から送られた画像形成用信号、階調信号は、信号線駆動回路に入力される。そして、信号線駆動回路の出力回路からは階調信号に応じた出力電圧Vout1,Vout2…が出力される。
図15に示すように、従来の信号線駆動回路は、その出力回路にオペアンプAmp101,Amp102と出力部out1,out2と、オペアンプAmp101の出力部と出力部out1とを結ぶ電圧供給配線S1と、オペアンプAmp102の出力部と出力部out2とを結ぶ電圧供給配線S2と、電圧供給配線S1上に設けられたスイッチSW1と、電圧供給配線S2上に設けられたスイッチSW2と、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2との間に設けられ、出力部out1と出力部out2とを短絡するためのトランスファーゲートTG101とを備えている。ここでは、隣接する2つの出力部しか示さないが、実際の出力回路では多数本の電圧供給配線に接続された多数の出力部が並んでいる。
次に、従来の信号線駆動回路の動作及び機能を説明する。
図16は、従来の出力回路各部における電圧変化を示すタイミングチャート図である。
同図に示すように、ドット反転駆動において、互いに隣接する出力部out1,out2の電圧Vout1,Vout2は、コモン電圧Vcomを基準として互いに正負逆極性の電圧となっている。そして、各出力部の極性は、水平走査期間HごとにVcomを基準として正と負が入れ替わる。
液晶表示装置を駆動する際には、図14に示す信号線152の寄生容量、ホールドコンデンサ156の容量及び液晶セル155の液晶容量などが負荷容量として生じる。この負荷容量を駆動する電流も液晶表示装置全体の消費電力の一部となるので、従来の信号線駆動回路では、スイッチSW1,SW2と、隣接する出力部out1,out2間を短絡するためのトランスファーゲートTG101とが設けられ、消費電力の低減が図られている。この消費電力の低減効果について、回路動作を交えて説明する。
図16に示すように、ドット反転駆動の従来の信号線駆動回路では、水平走査期間Hは、期間Bと期間Aとに分かれている。
まず、水平走査期間H1において、オペアンプAmp101,Amp102の各出力電圧Vo1,Vo2の極性がそれぞれ(+),(−)から(−),(+)へと変化する際に、期間Bの間スイッチSW1,SW2は共にオフになる。この期間Bでは、トランスファーゲートTG101はオンとなり、出力部out1と出力部out2とは互いに電気的に短絡される。また、期間Bの間にオペアンプAmp101の出力電圧Vo1の極性は(−)に、オペアンプAmp102の出力電圧Vo2の極性は(+)にそれぞれ変化する。
ここで、パネル側には、出力部out1,out2にそれぞれ接続された負荷容量が存在する。そして、出力電圧が期間Bの直前まで(+)であった出力部out1に接続された負荷は、出力部out2に接続される負荷よりも充電量が大きくなっている。そのため、トランスファーゲートTG101がオンであることにより、期間Bでは出力部out1に接続された負荷から出力部out2に接続される負荷へと電流Iが流れ込む。この間、スイッチSW1,SW2はオフになっているため、電力を消費せずに出力部out1の電位を出力部out2の電位に近づけることができる。
次に、期間Aでは、スイッチSW1,SW2は共にオンとなり、トランスファーゲートTG101はオフとなる。すると、図15に示すように、オペアンプAmp101,Amp102の各出力部がそれぞれ出力部out1,out2に接続される。この時、出力部out1に接続された負荷は出力部out1からオペアンプAmp101へと流れる電流を放電するとともに、出力部out2に接続された負荷はオペアンプAmp102から出力部out2へと流れる電流により充電される。このため、期間Aの開始から少し遅れてから、Vout1が(−)に、Vout2が(+)の状態になる。
期間AではオペアンプAmp101,Amp102に電流が流れるため電力を消費するが、期間Bにおいて液晶表示装置の隣接する負荷間で電荷が分配される分、消費電力を小さくすることができる。
この効果は、続く水平走査期間H2でも同様である。すなわち、期間BではスイッチSW1,SW2がオフ、トランスファーゲートTG101がオンになるので、トランスファーゲートTG101には水平走査期間H1の時とは逆方向に電流Iが流れ、出力部out2に接続された負荷から出力部out1に接続される負荷へと電荷が分配される。
続いて、水平走査期間H2の期間AではスイッチSW1,SW2がオン、トランスファーゲートTG101がオフとなる。これにより、オペアンプAmp101から出力される電流により出力部out1に接続された負荷が充電されるとともに、出力部out2に接続された負荷は出力部out2からオペアンプAmp102へと流れる電流を放電する。
従来の信号線駆動回路では、以上のような動作が繰り返される。
以上のように、従来の信号線駆動回路では、ドット反転駆動を行なう際の省電力化が図られている。このような信号線駆動回路の出力同士を短絡する構成は、例えば特開平11−95729号公報や特開2000−39870号公報に記載されている。
なお、図17は、従来の信号線駆動回路のうち、出力回路のマスクレイアウト配置を模式的に示したブロック図である。
以上で説明した従来の信号線駆動回路は、例えば384出力程度が1つのチップに集積化された形で供給される。
その回路配置は、図17に示すように、n出力(nは自然数)の場合、n個のオペアンプが列状に配置され、隣接するオペアンプに接続された出力部はオペアンプと同じ順番で列状に配置される。出力部を短絡するためのトランスファーゲートは、1対のオペアンプに対して1個配置され、オペアンプ,出力部と同じ順番で配置される。
なお、液晶表示装置がフルカラーの場合、R−G−B−R−G−B…などと、3色を1組みとした順番で配置されている。そのため、従来の信号線駆動回路では、例えばR(赤)とG(緑)、B(青)とRなど、異なる色用の出力部同士が短絡されていた。
(第1の実施形態)
本発明の第1の実施形態に係る液晶表示装置は、信号線駆動回路(表示装置用駆動回路)の出力部間を短絡する手段に特徴を有している。
図1は、本発明の第1の実施形態に係るドット反転駆動方式の液晶表示装置を示す回路図である。
同図に示すように、本実施形態の液晶表示装置は、額縁部のうち上辺部または下辺部に配置された信号線駆動回路18と、額縁部のうち左辺部または右辺部に配置された走査線駆動回路19と、表示部(液晶パネル)とを備えている。
表示部の構成は従来と同様であり、信号線(ソース)駆動回路18から列方向(図中の縦方向)延びる複数の信号線62a,62b,62c…(以下まとめて信号線62と称す)と、走査線(ゲート線)駆動回路19から行方向(図中の横方向)に延びる複数の走査線(ゲート線)61a,61b,61c…(以下まとめて走査線61と称する)と、信号線62と走査線61との複数の交点付近にマトリックス状に配置されたサブピクセル63とを有している。また、各サブピクセル63は、液晶セル65とホールドコンデンサ66とTFT64とを有している。液晶セル65中の液晶は、画素電極と対向電極との間に挟まれている。
信号線駆動回路18は、通常多出力を有する集積回路であって、TFT64のソース電極に出力電圧Vout1,Vout2,Vout3…を供給する。ここで、出力電圧Vout1,Vout2,Vout3…は、それぞれR用、G用、B用…のサブピクセルを駆動する。図1では、この信号線駆動回路18は、液晶表示装置の額縁部のうちの上辺部または下辺部のみに配置されているが、額縁部の上下2辺に分けて配置されていてもよい。なお、この場合、上辺部に配置された信号線駆動回路18では、任意の偶数列の信号線62に信号を供給するための出力部と、任意の奇数列の信号線62に信号を供給するための出力部とが互いに隣接するように設けられている。同様に、下辺部に配置された信号線駆動回路18でも、任意の偶数列の信号線62に信号を供給するための出力部と、任意の奇数列の信号線62に信号を供給するための出力部とが互いに隣接するように設けられる。
また、走査線駆動回路19も一般には多出力を有する集積回路であって、TFT64のゲート電極に出力電圧を供給する。
なお、図1において、第1の制御トランジスタ1,第2の制御トランジスタ3及び短絡用トランジスタ5から構成される短絡手段は信号線駆動回路18の外部に設けられているように見えるが、実際には信号線駆動回路18内に設けられている。この短絡手段は、信号線駆動回路18の隣接する出力部同士を電気的に短絡するためのものであり、本実施形態では例えばR階調用出力部とG階調用出力部、B階調用出力部とR階調用出力部が短絡される。ここで、同色階調用の出力部同士を短絡してもよいが、これについては後の実施形態で詳述する。
次に、本実施形態の特徴部分である信号線駆動回路18(以下、「本実施形態の信号線駆動回路」と呼ぶ)について、説明する。
図2は、本実施形態の信号線駆動回路の構成の一例を概略的に示すブロック図である。
同図に示すように、本実施形態の信号線駆動回路は、順に接続された双方向シフトレジスタ71と、データレジスタ72と、D/Aコンバータ73と、出力回路74とを有している。なお、図示しないが、データレジスタ72は一段目ラッチと二段目ラッチとから構成されている。
この信号線駆動回路において、双方向シフトレジスタ71は、スタートパルスHSTR(またはHSTL)を受けて順次データを転送するためのシフトパルスを水平クロックHCKに同期して発生する。データレジスタ72のうち一段目ラッチは、このシフトパルスを受けて各サブピクセルに対応した信号電圧を出力するためのデジタルデータDA1−6,DB1−6,DC1−6をラッチする。次いで、データレジスタ72がデータロード信号LOADを受けると、デジタルデータDA1−6,DB1−6,DC1−6は二段目ラッチに転送され、それと同時にD/Aコンバータ73に出力される。D/Aコンバータ73は、データレジスタ72でホールドされたデジタル信号をアナログ信号に変換する。そして、アナログ信号に変換された画像形成用信号は、出力回路74から出力される。
なお、本実施形態の信号線駆動回路は、出力回路74の内部に特徴があり、図2に示す以外の構成をとっていても構わない。
図3は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の構成を示す回路図である。
同図に示すように、本実施形態の信号線駆動回路は、出力が入力に帰還されたオペアンプAmp1,Amp2と、液晶パネルに出力電圧Vout1,Vout2をそれぞれ供給するための出力部out1,out2と、オペアンプAmp1の出力部と出力部out1とを接続する電圧供給配線S1と、オペアンプAmp2の出力部と出力部out2とを接続する電圧供給配線S2と、電圧供給配線S1上に設けられたスイッチSW1と、電圧供給配線S2上に設けられたスイッチSW2と、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2との間に設けられ、出力部out1と出力部out2とを短絡するための短絡手段2とを有している。ここで、出力部とは、電圧供給配線のうち、表示部の信号線62との接続部分を指している。
この短絡手段2は、電圧供給配線S1のうちスイッチSW1−出力部out1間の部分と電圧供給配線S2のうちスイッチSW2−出力部out2間の部分との間に設けられており、従来の短絡手段とは異なった構成を有している。
すなわち、短絡手段2は、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2とを結ぶ配線上に設けられた第1の制御トランジスタ1及び第2の制御トランジスタ3と、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2とを結ぶ短絡用配線上に設けられ、ゲート電極が第1の制御トランジスタ1と第2の制御トランジスタ3との間に接続された短絡用トランジスタ5とから構成されている。ここで、第1の制御トランジスタ1,第2の制御トランジスタ3はそれぞれ制御信号Vb,Vaによって制御されるPチャネル型MISFETであり、短絡用トランジスタ5は、Nチャネル型MISFETである。なお、短絡用トランジスタ5が設けられる短絡用配線には、後に説明するように出力部間の短絡時に電流が流れる。
次に、出力回路の動作について説明する。
図4は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の各部における電圧変化及び短絡用配線に流れる電流変化を示すタイミングチャート図である。なお、オペアンプAmp1,Amp2の出力波形は該オペアンプへの入力波形と同じである。
本実施形態の信号線駆動回路は、ドット反転駆動用であるので、水平走査期間ごとに、オペアンプAmp1,Amp2への入力電圧の極性が反転する。また、互いに隣接する出力部out1,out2の電圧Vout1,Vout2は、コモン電圧Vcom(図示せず)を基準として互いに逆極性の電圧となっている。
まず、図4に示すように、水平走査期間H1のうち期間B(オペアンプAmp1,Amp2のハイインピーダンス期間)では、オペアンプAmp1,Amp2への各入力電圧Vin1,Vin2の極性がそれぞれ(+),(−)から(−),(+)へと変化する。この期間Bでは、スイッチSW1,SW2は共にオフになる。
そして、制御電圧Vbはロー(低電圧)、制御電圧Vaはハイ(高電圧)となる。これにより、期間Bにおいて第1の制御トランジスタ1はオン、第2の制御トランジスタ3はオフとなる。
ここで、期間Bの開始時にはVout1の極性は(+)、Vout2の極性は(−)となるために、高電圧のVout1が短絡用トランジスタ5のゲート電極に入力され、短絡用トランジスタ5はオンとなる。このため、出力部out1に接続されたパネル側負荷から出力部out2に接続されたパネル側負荷へ、短絡用トランジスタ5を通って電流Iが流れ込む。
なお、本実施形態の信号線駆動回路では、Vout1>Vout2の時には、Vth<(Vout1−Vout2)、Vout1<Vout2の時には、Vth<(Vout2−Vout1)を満足する期間に短絡用トランジスタ5はオンとなる。ここで、Vthは短絡用トランジスタ5の基板基準のしきい値電圧である。
このように、少なくとも負荷に充電された電荷の分配が完了するまで短絡用トランジスタ5はオフになることはない。
以上の動作により、電力を消費せずに出力部out1の電位を出力部out2の電位に近づけることができる。なお、この時、電圧供給配線S1の電位は出力部out1の電位と等しくなっており、電圧供給配線S2の電位は出力部out2の電位に等しくなっているとみなす。
次に、水平走査期間H1のうち期間Aでは、スイッチSW1,SW2が共にオンになり、オペアンプAmp1,Amp2の出力がそれぞれ出力部out1,out2へと伝達される。この時、出力部out1に接続された負荷は出力部out1からオペアンプAmp1へと流れる電流を放電するとともに、出力部out2に接続された負荷はオペアンプAmp2から出力部out2へと流れる電流により充電される。
また、期間Aでは、期間Bと同じく制御電圧Vbがロー、制御電圧Vaがハイになっているので、引き続き短絡用トランジスタ5のゲート電極は出力部out1に接続されている。そのため、図4に示すように、期間Aの開始直後にVout1とVout2の電位差がVthより低くなると、短絡用トランジスタ5は自律的にオフとなる。
次に、水平走査期間H1に続く水平走査期間H2では、Vout1,Vout2の極性やVin1,Vin2の極性などが水平走査期間H1とは逆になっている。
期間Bにおいて、スイッチSW1,SW2は共にオフになり、短絡用トランジスタ5はゲート電極が出力部out2に接続されるためにオン状態になる。そして、電流Iは、短絡用トランジスタ5を介して、出力部out2から出力部out1へと流れる。
そして、期間Aでは、スイッチSW1,SW2がオンとなり、短絡用トランジスタ5は、Vout1とVout2の電位差がVthより低くなるとオフとなる。
以後、水平走査期間H1,H2が繰り返される。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路によれば、パネル側の負荷に充電された電荷を隣接する負荷に無駄なく分配することができるので、消費電力が低減される。
特に、本実施形態の信号線駆動回路の省電力機能が発揮されるのは、パネル側の負荷容量が大きい場合である。
パネル側の負荷容量が大きい場合には、例えば水平走査期間H1の期間B内では、負荷間の電荷の分配が完了しないおそれがある。この場合、本実施形態の信号線駆動回路においては、期間AであってもVout1とVout2の極性が入れ替わるまで短絡用トランジスタ5がオン状態になっているので、負荷間の電荷の分配は引き続き行われる。このため、オペアンプAmp2の出力による充電量が少なくて済む。
これに対し、従来の信号線駆動回路では、期間Bの終了と同時に短絡用のトランスファーゲートがオフになる。1水平走査期間は一般に10μsec程度で、そのうち期間Bは40〜50nsec程度と非常に短いので、パネル側の負荷にたまった電荷の再分配を完了することは難しい。
以上のような消費電力の低減効果は、水平走査期間H2においても同様である。
このように、本実施形態の信号線駆動回路によれば、従来と比べパネルの容量が大きい場合でも、消費電力を効果的に低減することができる。つまり、本実施形態の信号線駆動回路を用いれば、消費電力が抑えられた、大画面の液晶表示装置を実現することができる。
また、オペアンプAmp1,Amp2を流れる電流量を低減できるので、信号線駆動回路での発熱を抑えることができ、熱による動作不良を起こしにくくなっている。
さらに、本実施形態の信号線駆動回路において、省電力化のためには短絡用トランジスタ5のオン抵抗のみを小さくすればよいので、第1の制御トランジスタ1及び第2の制御トランジスタ3は最小サイズとすることができる。そのため、従来の信号線駆動回路に比べて小面積化を図ることもできる。
なお、本実施形態の信号線駆動回路において、パネル側負荷の電荷を無駄なく再分配するために、オペアンプAmp1,Amp2の応答速度は十分に高いことが望ましい。
なお、図3を参照し、第1の制御トランジスタ1に接続される配線の電圧供給配線S1からの分岐点、及び第2の制御トランジスタ3に接続される配線の電圧供給配線S2からの分岐点は、それぞれ短絡用トランジスタ5に接続される配線の電圧供給配線S1,S2からの分岐点よりも出力部寄りに設けられていてもよい。
なお、本実施形態の信号線駆動回路の説明では、第1の制御トランジスタ1及び第2の制御トランジスタ3がPチャネル型MISFETで短絡用トランジスタ5がNチャネル型MISFETである例を示したが、両制御トランジスタが共にNチャネル型MISFETで、短絡用トランジスタ5がPチャネル型MISFETであっても同様の効果が得られる。
また、第1の制御トランジスタ1、第2の制御トランジスタ3及び短絡用トランジスタ5はバイポーラトランジスタであってもよい。
なお、本実施形態の信号線駆動回路において、短絡手段2は隣接する全ての電圧供給配線間に設けてもよく、特定の電圧供給配線間にのみ設けてもよい。
また、本実施形態の信号線駆動回路は、液晶表示装置以外にもEL(Electro Luminescence)など、パネル側負荷に電荷が保持される表示装置に使用することができる。これは、以後の実施形態についても同様である。
なお、本実施形態では、出力部間の短絡手段が信号線駆動回路内に設けられる例を説明したが、液晶パネル内に設けられていてもよい。この場合、短絡手段を構成するトランジスタは、サブピクセル中TFTと同一基板上に設けられ、ポリシリコンまたはアモルファスシリコンで形成されていてもよい。このことも、以下の実施形態で共通である。
また、信号線駆動回路は、半導体チップの形でユーザーに提供してもよいし、TCPやCOF(Chip on film)の形で提供してもよい。
なお、本発明の信号線駆動回路で用いられるMISFETは、製造の容易さなどから、実際にはMOSFETであることが最も好ましい。
(第2の実施形態)
本発明の第2の実施形態として、第1の実施形態と同一構成の短絡手段を有し、該短絡手段が同一色階調用の出力部同士を短絡する信号線駆動回路について説明する。
なお、信号線駆動回路の出力回路以外の構成、及び信号線駆動回路によって駆動される液晶パネルの構成は第1の実施形態と同様である。
図5は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の構成を示す回路図である。
同図に示すように、本実施形態の信号線駆動回路は、出力が入力に帰還されたオペアンプAmp1,Amp2…,AmpN(Nは1チップの信号線駆動回路あたりの出力数)と、液晶パネルに出力電圧Vout1,Vout2,…VoutNをそれぞれ供給するための出力部out1,out2,…outNと、K番目(1≦K+3≦N;Kは自然数)のオペアンプAmpKの出力部と出力部outKとを接続する電圧供給配線SKと、電圧供給配線SK上に設けられたスイッチSWKと、電圧供給配線SKと電圧供給配線SK+3との間に設けられ、出力部outKと出力部outK+3とを短絡するための短絡手段2a,2b,…(以下まとめて短絡手段2と呼ぶ)とを有している。1チップ上に設けられた信号線駆動回路あたりの出力数Nは、例えば384、あるいは480出力である。
また、本実施形態の信号線駆動回路はフルカラーの液晶表示装置用であるので、N本の電圧供給配線に接続されたN個の出力部は、回路上においては、例えばR−G−B−R−G−Bといったように、一定の色順に配置されている。なお、本実施形態の信号線駆動回路においては、短絡手段がオンになる場合には、電圧供給配線S1とS4,S7とS10とが電気的に短絡される。ただし、S4とS7をさらに短絡する構成であってもよく、同一の色階調用の出力部に接続する電圧供給配線がすべて短絡される構成であってもよい。また、何本かの電圧供給配線を一セットにして短絡することもできる。
この短絡手段2の各々は、第1の実施形態で説明した短絡手段2と同一の素子構成を有している。
すなわち、短絡手段2は、K番目の電圧供給配線SKと(K+3)番目の電圧供給配線SK+3とを結ぶ配線上に設けられた第1の制御トランジスタ1及び第2の制御トランジスタ3と、電圧供給配線SKと電圧供給配線SK+3とを結ぶ短絡用配線上に設けられ、ゲート電極が第1の制御トランジスタ1と第2の制御トランジスタ3との間に接続された短絡用トランジスタ5とから構成されている。ここで、第1の制御トランジスタ1,第2の制御トランジスタ3はそれぞれ制御信号Vb,Vaによって制御されるPチャネル型MISFETであり、短絡用トランジスタ5は、Nチャネル型MISFETである。
なお、第1の制御トランジスタ1は、それぞれ図5に示す第1の制御トランジスタ1a,1b…のうちの1つを表しており、第2の制御トランジスタ3も第2の制御トランジスタ3a,3b…のうちの1つを表している。短絡用トランジスタ5も複数の短絡用トランジスタのうちのいずれか1つを示している。
また、本実施形態において、各第1の制御トランジスタ1のゲート電極には同一の制御信号Vbが入力され、各第2の制御トランジスタ3のゲート電極には同一の制御信号Vaが入力される。
なお、本実施形態の信号線駆動回路における出力回路の動作は、基本的に図4に示す第1の実施形態に係る信号線駆動回路と同じである。
ただし、本実施形態の信号線駆動回路では同じ色用の出力部同士を短絡しているので、図4においてVin1をK番目の電圧供給配線への入力信号VinKに、Vin2をVinK+3に、Vout1をVoutKに、Vout2をVoutK+3にそれぞれ読み替えればよい。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路では、同じ色階調用の全ての出力部を所定のタイミングで短絡するので、パネル側負荷に蓄えられた電荷の分配を第1の実施形態に比べてより効率的に行うことができる。
これは、液晶パネルにおいて、色の異なるサブピクセルの階調よりも同色のサブピクセルの階調の方がより近いことが多いためである。
例えば64階調の液晶表示装置の場合、全赤表示を行なう場合には、Rの階調レベルは64、GとBの階調レベルは共に0となっている。このような場合には、第1の実施形態のようにR階調用とG階調用の出力部を短絡しても、Rの負荷に充電される電荷量はGの負荷に充電される電荷量より大きくなるため、パネル側負荷を効果的に再配分することができない。
これに対し、本実施形態の信号線駆動回路によれば、R階調用の出力部同士、G階調用の出力部同士、B階調用の出力部同士が短絡されるので、同じ階調レベルの負荷同士で電荷のやり取りが行われ、効率的に電荷の再配分を行うことができる。このため、本実施形態の信号線駆動回路によれば、従来よりも消費電力の小さい液晶表示装置を実現することができるのである。ちなみに、ここでは全赤表示を例にとったが、一般に近傍に位置する同色サブピクセルの階調レベルは比較的揃っているので、通常の表示状態においても同様の省電力効果が得られる。
また、図5に示す例では、最寄りの同色用の出力部間を短絡しているが、2つ以上の任意の数の同色用出力部間を電気的に短絡してもよく、全ての同色用の出力部同士を同時に短絡してもよい。同色用の全出力部が電気的に短絡されると、出力部の電位はより平均化されて中間電位(コモン電圧)に近づくので、より確実に電荷の再分配を行うことが可能になる。
なお、本実施形態における短絡手段は集積化が容易なMISFETで構成されており、第1の実施形態と同様に第1の制御トランジスタ1及び第2の制御トランジスタ3は最小サイズとすることができるので、従来の信号線駆動回路に比べて小面積化を図ることができる。
なお、第1の制御トランジスタ1,第2の制御トランジスタ3が共にNチャネル型MISFETで、短絡用トランジスタ5がPチャネル型MISFETであってもよい。
また、第1の制御トランジスタ1,第2の制御トランジスタ3及び短絡用トランジスタ5がバイポーラトランジスタであってもよい。
なお、本実施形態で用いられた、同じ色階調用の出力部同士を短絡する構成は、それ自体で省電力効果を発揮するので、従来のように、短絡手段がトランスファーゲートのみである場合に用いても有効である。
なお、図5に示す回路構造を実現するための実際の回路配置については後の実施形態で説明する。本実施形態において、回路上では近傍に位置する一対の同色用の出力部間には他の色用出力部が配置されるように見えるが、実際の回路配置では同色用の出力部同士が隣接して設けられる場合もある。ただし、パネル側の信号線は、通常R−G−B−R…のように、色順に配置されている。
(第3の実施形態)
本発明の第3の実施形態に係る信号線駆動回路は、第1の実施形態で用いられた短絡手段の構成に一部変更を加えたものである。
図6は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の構成を示す回路図である。
同図に示すように、本実施形態の信号線駆動回路は、出力が入力に帰還されたオペアンプAmp1,Amp2と、液晶パネルに出力電圧Vout1,Vout2をそれぞれ供給するための出力部out1,out2と、オペアンプAmp1の出力部と出力部out1とを接続する電圧供給配線S1と、オペアンプAmp2の出力部と出力部out2とを接続する電圧供給配線S2と、電圧供給配線S1上に設けられたスイッチSW1と、電圧供給配線S2上に設けられたスイッチSW2と、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2との間に設けられ、出力部out1と出力部out2とを短絡するための短絡手段30とを有している。この短絡手段30は、電圧供給配線S1のうちスイッチSW1−出力部out1間の部分と電圧供給配線S2のうちスイッチSW2−出力部out2間の部分との間に設けられている。
そして、短絡手段30は、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2とを結ぶ配線上に設けられた第1の制御トランジスタ21及び第2の制御トランジスタ23と、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2とを結ぶ配線上に設けられ、ゲート電極が第1の制御トランジスタ21−第2の制御トランジスタ23間を結ぶ配線に接続された短絡用トランジスタ25と、制御信号Vcによって制御され、接地と短絡用トランジスタ25のゲート電極との間に設けられた第3の制御トランジスタ34とから構成されている。ここで、第1の制御トランジスタ21,第2の制御トランジスタ23はそれぞれ制御信号Vb,Vaによって制御されるPチャネル型MISFETであり、短絡用トランジスタ25は、Nチャネル型MISFETである。また、第3の制御トランジスタ34はNチャネル型MISFETであり、第3の制御トランジスタ34と短絡用トランジスタ25のゲート電極とを接続する配線は、第1の制御トランジスタ21と第2の制御トランジスタ23とを結ぶ配線に接続されている。
なお、図6では2本の電圧供給配線S1,S2及び2つの出力部のみを示しているが、実際には1つの信号線駆動回路が、多数本(例えば512本)の電圧供給配線と多数個の出力部を有している。そして、回路図の上では、出力部はR−G−B−R−G−B…のように一定の順番で配置されている。実際の配線及び出力部の配置については後の実施形態で説明する。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路が第1の実施形態と異なるのは、短絡用トランジスタ25を制御するための第3の制御トランジスタ34をさらに設けた点である。
次に、出力回路の動作を通して第3の制御トランジスタ34を設ける効果について説明する。
図7は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の各部における電圧変化及び短絡用配線に流れる電流変化を示すタイミングチャート図である。
まず、図7に示すように、水平走査期間H1のうち期間Bでは、オペアンプAmp1,Amp2への各入力電圧Vin1,Vin2の極性がそれぞれ(+),(−)から(−),(+)へと変化する。期間Bでは、スイッチSW1,SW2は共にオフになる。
そして、制御電圧Vbはロー、制御電圧Vaはハイ、制御電圧Vcはローとなる。これにより、期間Bにおいて第1の制御トランジスタ21はオン、第2の制御トランジスタ23はオフ、第3の制御トランジスタ34はオフとなる。
ここで、期間Bの開始時には高電圧のVout1が短絡用トランジスタ25のゲート電極に入力され、短絡用トランジスタ25はオンとなる。このため、出力部out1に接続されたパネル側負荷から出力部out2に接続されたパネル側負荷へ、短絡用トランジスタ25を通って電流Iが流れ込む。
なお、本実施形態の信号線駆動回路においても、短絡用トランジスタ25のしきい値電圧Vthが、Vout1とVout2の差よりも小さい時には短絡用トランジスタ25はオンになる。このため、期間Bでは、負荷に充電された電荷の再分配が完了するまで短絡用トランジスタ25はオフにならない。ここまでは第1の実施形態と同様の動作である。
次に、水平走査期間H1のうち期間Aでは、スイッチSW1,SW2が共にオンになり、オペアンプAmp1,Amp2の出力がそれぞれ出力部out1,out2へと伝達される。この時、出力部out1に接続された負荷は出力部out1からオペアンプAmp1へと流れる電流を放電するとともに、出力部out2に接続された負荷はオペアンプAmp2から出力部out2へと流れる電流により充電される。
また、期間Aでは制御電圧Vb,Vcがハイに変化し、制御電圧Vaはハイのままとなる。このため、第1の制御トランジスタ21及び第2の制御トランジスタ23はオフ、第3の制御トランジスタ34はオンとなり、短絡用トランジスタ25のゲート電極は接地される。その結果、短絡用トランジスタ25は速やかにオフ状態となる。
そして、次の水平走査期間では出力部out1,out2の電圧の極性が水平走査期間H1と入れ替わった状態で、同様の動作が繰り返される。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路の動作上の特徴は、図7に示す期間Aにおいて短絡用トランジスタ25が速やかにオフになることである。
オペアンプAmp1,Amp2の動作が遅い場合や、出力負荷が特定の条件にある場合は、短絡用トランジスタ25を介してパネル側負荷に再分配させた電荷をオペアンプAmp1,Amp2が抜くことがある。例えば、オペアンプAmp1,Amp2からの各出力の電圧変化が出力部の電圧Vout1,Vout2の変化よりも遅く、水平走査期間H1の期間Aの開始時にオペアンプAmp2の出力電圧がVout2よりも低いままである場合、短絡用トランジスタ25がオンのままだと電流IがオペアンプAmp2に抜かれてしまう。また、出力負荷は、出力回路を構成するオペアンプの抵抗や配線抵抗などによって決まり、kの設計次第では短絡手段を通過する電流がオペアンプへと流れてしまう。
しかし、本実施形態の信号線駆動回路では、期間Aで短絡用トランジスタ25が速やかにオフになるため、パネル側負荷の電荷の再分配を、電荷をロスすることなく確実に行えるようになっている。
このように、本実施形態の信号線駆動回路によれば、出力負荷の最適化を行なう必要がないので回路設計が容易になる。また、オペアンプの応答速度によって消費電力の低減効果が左右されにくくなる。
これに加えて、集積化が容易なMISFETのみで短絡手段30が構成されるので、回路面積も比較的小さくすることができる。
また、本実施形態の信号線駆動回路は、従来の液晶表示装置で用いられていたコントローラー(信号の周期を生成する装置)に対応可能であるので、外部の回路を変更することなく消費電力の低減を図ることができる。
(第4の実施形態)
本発明の第4の実施形態として、第3の実施形態と同一構成の短絡手段を有し、該短絡手段が同一色階調用の出力部同士を短絡する信号線駆動回路について説明する。
なお、信号線駆動回路の出力回路以外の構成、及び信号線駆動回路によって駆動される液晶パネルの構成は第1〜3の実施形態と同様である。
図8は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の構成を示す回路図である。
同図に示すように、本実施形態の信号線駆動回路は、出力が入力に帰還されたオペアンプAmp1,Amp2…,AmpN(Nは1チップの信号線駆動回路あたりの出力数)と、液晶パネルに出力電圧Vout1,Vout2,…VoutNをそれぞれ供給するための出力部out1,out2,…outNと、K番目(1≦K+3≦N;Kは自然数)のオペアンプAmpKの出力部と出力部outKとを接続する電圧供給配線SKと、電圧供給配線SK上に設けられたスイッチSWKと、電圧供給配線SKと電圧供給配線SK+3との間に設けられ、出力部outKと出力部outK+3とを短絡するための短絡手段30a,30b,…(以下まとめて短絡手段30と呼ぶ)とを有している。1チップ上に設けられた信号線駆動回路あたりの出力数Nは、例えば384あるいは480出力である。
また、本実施形態の信号線駆動回路はフルカラーの液晶表示装置用であるので、N本の電圧供給配線に接続されたN個の出力部は、回路上においては、例えばR−G−B−R−G−Bといったように、一定の色順に配置されている。なお、本実施形態の信号線駆動回路においては、短絡手段がオンになる場合には、電圧供給配線S1とS4,S7とS10が電気的に短絡される。ただし、S4とS7がさらに短絡される構成であってもよいし、同一の色階調用の出力部に接続する電圧供給配線がすべて電気的に短絡される構成であってもよい。なお、同時に短絡される出力部の数は、2つ以上であれば任意である。
そして、この短絡手段30は、K番目の電圧供給配線SKと(K+3)番目の電圧供給配線SK+3とを結ぶ第1の配線上に設けられた第1の制御トランジスタ21及び第2の制御トランジスタ23と、電圧供給配線SKと電圧供給配線SK+3とを結ぶ短絡用配線上に設けられ、ゲート電極が第1の制御トランジスタ21と第2の制御トランジスタ23との間に接続された短絡用トランジスタ25と、第1の制御トランジスタ21−第2の制御トランジスタ23間の配線に接続され、且つ短絡用トランジスタ25のゲート電極と接地との間に設けられた第3の制御トランジスタ34とから構成されている。ここで、第1の制御トランジスタ21,第2の制御トランジスタ23はそれぞれ制御信号Vb,Vaによって制御されるPチャネル型MISFETであり、第3の制御トランジスタ34は制御信号Vcによって制御されるNチャネル型MISFETである。また、短絡用トランジスタ25は、Nチャネル型MISFETである。
なお、本実施形態の信号線駆動回路における出力回路の動作は、基本的に図7に示す第1の実施形態に係る信号線駆動回路と同じである。
ただし、本実施形態の信号線駆動回路では同じ色用の出力部同士を短絡しているので、図7においてVin1をK番目の電圧供給配線への入力信号VinKに、Vin2をVinK+3に、Vout1をVoutKに、Vout2をVoutK+3にそれぞれ読み替えればよい。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路では、同じ色階調用の全ての出力部を所定のタイミングで短絡するので、パネル側負荷に蓄えられた電荷の分配を第3の実施形態に係る信号線駆動回路よりもより効率的に行なうことができる。
このように、本実施形態の信号線駆動回路を用いれば、消費電力の小さい大画面の液晶テレビやパーソナルコンピュータ用の液晶ディスプレイなどが実現される。
(第5の実施形態)
本発明の第5の実施形態に係る信号線駆動回路は、出力部同士を短絡した場合に、電流が流れる短絡用配線が2本設けられていることを特徴としている。
図9は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の構成を示す回路図である。
同図に示すように、本実施形態の信号線駆動回路において、短絡手段40以外の構成は第1、第3の実施形態と同一であるので、以下短絡手段40の説明のみを行なう。
短絡手段40は、電圧供給配線S1と電圧供給配線S2とを接続し、出力部out1と出力部out2とが短絡される際に電流通路となる第1の短絡用配線及び第2の短絡用配線と、両短絡配線上に設けられた素子とを有している。
第1の短絡用配線上にはS1に近い側から第1の短絡用トランジスタ41、CMOS構成の第1のトランスファーゲートTG1がそれぞれ設けられており、第2の短絡用配線上にはS1に近い側からCMOS構成の第2のトランスファーゲートTG2、第2の短絡用トランジスタ43がそれぞれ設けられている。
また、第1の短絡用トランジスタ41及び第2の短絡用トランジスタ43は共にNチャネル型MISFETである。そして、第1の短絡用トランジスタ41のゲート電極は、第1の短絡用配線のうち第1の短絡用トランジスタ41と電圧供給配線S1との間の部分に接続されており、第2の短絡用トランジスタ43のゲート電極は、第2の短絡用配線のうち第2の短絡用トランジスタ43と電圧供給配線S2との間の部分に接続されている。
そして、第1のトランスファーゲートTG1のうちのPチャネル型MISFETは制御信号Vbに、Nチャネル型MISFETはVbの逆相信号により制御される。また、第2のトランスファーゲートTG2のうちのPチャネル型MISFETは制御信号Vaに、Nチャネル型MISFETはVaの逆相信号により制御される。
なお、図9では2本の電圧供給配線S1,S2及び2つの出力部のみを示しているが、実際には1つの信号線駆動回路が、多数本(例えば512本)の電圧供給配線と多数個の出力部を有している。そして、回路図の上では、電圧供給配線及び出力部はR−G−B−R−G−B…のように一定の順番で配置されている。実際の配線及び出力部の配置については後の実施形態で説明する。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路が第1及び第3の実施形態と異なるのは、短絡用配線を電流の流れる方向によって2つに分けた点である。
次に、出力回路の動作を通して短絡用配線を2本に分けた効果について説明する。
図10は、本実施形態の信号線駆動回路のうち、出力回路の各部における電圧変化及び各短絡用配線に流れる電流変化を示すタイミングチャート図である。
まず、図7に示すように、水平走査期間H1のうち期間Bでは、オペアンプAmp1,Amp2への各入力電圧Vin1,Vin2の極性がそれぞれ(+),(−)から(−),(+)へと変化する。期間Bでは、スイッチSW1,SW2は共にオフになる。
このとき、制御電圧Vbはロー、制御電圧Vaはハイとなる。これにより、期間Bにおいて第1のトランスファーゲートTG1はオンになり、第2のトランスファーゲートTG2はオフになる。
そのため、第1の短絡用トランジスタ41の各不純物拡散領域(ソースまたはドレイン)はそれぞれ出力部out1,out2に電気的に接続される。よって、期間Bにおいて、第1の短絡用トランジスタ41は出力部out1の電圧Vout1により制御されることとなり、オン状態となる。そして、出力部out1に接続されたパネル側負荷から出力部out2に接続されたパネル側負荷へ、第1の短絡用トランジスタ41を通って電流I1が流れ込む。
一方、第2の短絡用トランジスタ43のゲート電極及び一方の不純物拡散領域は出力部out2と電気的に接続しているが、他方の不純物拡散領域は出力部out1と電気的に接続されない。そのため、期間Bでは第2の短絡用トランジスタ43はオフ状態となっている。
次に、水平走査期間H1のうち期間Aでは、スイッチSW1,SW2が共にオンになり、オペアンプAmp1,Amp2の出力がそれぞれ出力部out1,out2へと伝達される。この時、出力部out1に接続されたパネル側負荷は出力部out1からオペアンプAmp1へと流れる電流を放電するとともに、出力部out2に接続されたパネル側負荷はオペアンプAmp2からの出力により充電される。
また、期間Aでは制御電圧Vbがハイに変化し、制御電圧Vaはハイのままとなる。このため、第1のトランスファーゲートTG1,第2のトランスファーゲートTG2は共にオフとなる。よって、第1の短絡用配線にも第2の短絡用配線にも電流は流れない。
これにより、オペアンプAmp1の応答速度が遅い場合などでも、第1の短絡用配線を流れる電流I1がオペアンプAmp1側に流れることを防ぐことができる。すなわち、パネル側負荷に蓄えられた電荷をロスすることなく再配分することができる。
次に、水平走査期間H2では、水平走査期間H1の時とはVin1,Vin2,Vout1及びVout2の各極性が逆になっており、回路動作も逆になる。
すなわち、期間Bにおいては、第1のトランスファーゲートTG1及び第1の短絡用トランジスタ41が共にオフになり、第2のトランスファーゲートTG2及び第2の短絡用トランジスタ43が共にオンになる。その結果、第2の短絡用配線には電流I2が流れ、出力部out2に接続されたパネル側負荷から出力部out1に接続されたパネル側負荷へと電流が流れ込む。
次いで、期間Aにおいては、オペアンプAmp1の出力により出力部out1に接続されたパネル側負荷が充電されるとともに、出力部out2に接続されたパネル側負荷からオペアンプAmp2方向に電流が流れる。
このとき、第1のトランスファーゲートTG1及び第1の短絡用トランジスタ41が共にオフになり、第2のトランスファーゲートTG2及び第2の短絡用トランジスタ43も共にオフになる。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路によれば、期間Bでは隣接するパネル側負荷間の電荷の再配分をすることができる。また、オペアンプAmp1,Amp2の応答速度や回路の出力負荷によらず電荷の再配分を効率的に行うことができるので、回路設計を容易にすることができる。
また、オペアンプAmp1,Amp2の応答速度が十分に速い場合や回路の出力負荷が適当である場合には、水平走査期間H1の期間Aにおいて制御信号Vbをローのままにし、水平走査期間H2の期間Aでは制御信号Vaをローのままにしてパネル側負荷からの電荷の回収を継続してもよい。この場合、例えば水平走査期間H1では、第1の短絡用トランジスタ41は出力部out1と出力部out2の電位が逆転すると自動的にオフ状態となるので、パネル側負荷に充電された電荷をロスすることなく利用することができる。これは、水平走査期間H2でも同様である。よって、信号線駆動回路から補充する電流を低減することができる。
本実施形態の信号線駆動回路によれば、以上のような駆動方法を採ることにより、液晶表示装置の負荷容量が大きい場合などでも消費電力の削減を図ることができる。
なお、本実施形態の信号線駆動回路では2本の短絡用配線を電圧供給配線S1,S2の間に設けたが、3本以上設けてもよい。
また、図9に示す信号線駆動回路の例では、第1の短絡用トランジスタ41のゲート電極が電圧供給配線S1側に接続されているが、第1のトランスファーゲートTG1側に接続されていても同様の機能を果たす。同様に、第2の短絡用トランジスタ43のゲート電極は、第2の短絡用配線の第2のトランスファーゲートTG2側に接続されてもよい。
また、第1の短絡用配線上に設けられている第1のトランスファーゲートTG1と第1の短絡用トランジスタ41との配置を入れ替えても効果は変わらない。同様に、第2の短絡用トランジスタ43と第2のトランスファーゲートTG2との配置を入れ替えてもよい。
また、本実施形態の信号線駆動回路で用いられた第1の短絡用トランジスタ41及び第2の短絡用トランジスタ43を、ダイオード特性を有するデバイスで置き換えることも可能である。
図11は、短絡用トランジスタの代わりにダイオードを用いた場合の本実施形態の信号線駆動回路を示す回路図である。同図に示すように、第1の短絡用トランジスタ41に代えて出力部が第1のトランスファーゲートTG1に接続されるダイオード(第1のダイオード50)を用い、第2の短絡用トランジスタ43に代えて出力部が第2のトランスファーゲートTG2に接続されるダイオード(第2のダイオード51)を用いても、MISFETを用いる場合と同様の省電力効果を発揮できる。この際、第1のダイオード50と第2のダイオード51とは出力部out1,out2に対して互いに逆方向に配置される。
また、第1の短絡用トランジスタ41及び第2の短絡用トランジスタ43をバイポーラトランジスタに置き換えることも可能である。
なお、本実施形態では短絡手段がR−GやB−Rなど、隣接する異なる色階調用の出力部を接続する例を示したが、第2及び第4の実施形態のように同じ色階調用の2つ以上の出力部同士を接続することにより、さらに効果的に消費電力を低減することができる。この場合の実際の回路及び配線の配置は後の実施形態で説明する。
(第6の実施形態)
本発明の第6の実施形態として、第1〜第5の実施形態に係る信号線駆動回路の出力回路の配線構造の例について説明する。
図12(a)は、本発明の信号線駆動回路の回路配置の一例を示すブロック図であり、(b)は、接続手段の配置の例を示す図であり、(c)は、本発明の信号線駆動回路の出力部における配線構造を示す図である。
まず、図12(a)に示すように、本発明の信号線駆動回路の出力部においては、例えばR用、G用、B用の画像形成用信号を出力するオペアンプAmp1,2…が一列に配置されている。そして、2本の電圧供給配線間を接続する接続手段を挟んで、順にR用、G用、B用の出力部が順に配置されている。なお、図12(b)に示すように、実際のレイアウトでは接続手段同士は、ずれて配置されているわけではなく、分割された状態で一列に配置される。
本実施形態の信号線駆動回路の特徴は、電圧供給配線が2層に分割されたアルミ配線であり、且つ隣接する配線間の電位差が大きくなるように設けられていることである。
図12(c)に示す例では、第1層目には左側から順に出力部out2、出力部out3、出力部out6が配置され、第2層目には左側から順に出力部out1、出力部out4、出力部out5が配置されている。言い換えれば、隣接するパネル側の信号線(またはサブピクセル)に接続される出力部同士、または同一色用のパネル側の信号線(またはサブピクセル)に接続される出力部同士が隣接するように配置される。
ドット反転駆動方式では隣接するパネル側の信号線には互いに極性の異なる信号が印加される。
それ故、本実施形態の信号線駆動用回路の出力部では、隣接する配線間の電位差が大きくなっている。加えて、第1層内と第2層内の互いにオーバーラップする配線間の電位差も大きくなっている。この結果、製品検査の際に、隣接する配線間の電位差が小さい場合に比べて不良品の検出が容易になっている。
なお、本実施形態の配線の配置方法は、第1、第3の実施形態に係る信号線駆動回路や、従来の信号線駆動回路に適用しても同様の効果を得ることができる。
また、配線層が3層以上の場合にも、奇数番目の出力部同士、偶数番目の出力部同士を隣接するように配置することで、製品検査を容易にすることができる。
以上のように、本実施形態の信号線駆動回路によれば、製品検査が容易になっているので、規格に合格する製品をより確実にユーザーに供給することが可能となる。
(第7の実施形態)
本発明の第7の実施形態として、回路配置を改良した信号線駆動回路について説明する。
図13は、本実施形態の信号線駆動回路の回路配置を示すブロック図である。
同図に示す回路配置は、第2,第4の実施形態など、K番目(1≦K+3≦N;Kは自然数)と(K+3)番目の出力部同士、言い換えれば同色用の出力部同士を短絡した場合に有効である。
図13に示すように、本実施形態の信号線駆動回路のうちの出力回路では、同一色用のオペアンプAmp1とオペアンプAmp4とが互いに隣接するように設けられている。同様に、オペアンプAmp2とオペアンプAmp5、オペアンプAmp3とオペアンプAmp6とがそれぞれ隣接して設けられている。
そして、第2の実施形態の回路構成を例にとると、オペアンプAmp1とオペアンプAmp4とに接続された接続手段2a、オペアンプAmp2とオペアンプAmp5とに接続された接続手段2b、オペアンプAmp3とオペアンプAmp6とに接続された接続手段2cとが順に配置されている。
そして、各接続手段2に接続された出力部out1,out2…はパネルの信号線の順に配置される。ここで、接続手段2と出力部out1,out2…との間では、2つの配線層内に設けられた電圧供給配線が交差することによって出力部の配置をパネルの信号線に揃えている。
なお、図13では6出力分しか示していないが、画素がR,G,Bの場合、このような6出力ずつの配置が繰り返されて多出力の信号線駆動回路が構成される。
本実施形態に示す回路配置によれば、オペアンプ−接続手段間での配線の交差が少なくて済み、接続手段のレイアウトを容易にすることができる。
なお、このレイアウトによれば、接続手段と出力部とを接続する配線を交差する必要があるが、接続手段のレイアウトが容易になることの利点の方が大きい。
また、本実施形態に示す回路配置によれば、図12(a)に示す回路配置に比べて配線の引き回し等が削減されるので、面積を縮小することが可能になる。
なお、本実施形態の信号線駆動用回路の出力部にも第6の実施形態で説明した配線方法を適用することができる。