JP4189139B2 - リニアエンコーダ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、部材間の相対的な直線位置の検出を行うリニアエンコーダに関する。
【0002】
【従来の技術】
工作機械、産業機械などにおいて、ワークを載置するテーブルや工具を保持するヘッドの直線上の移動量または位置を検出するリニアエンコーダが知られている。このリニアエンコーダには一般的に光学式と磁気式とがある。図1は、これらの方式に共通する従来のリニアエンコーダの一例を示す概略構造図であり、図示矢印方向に移動するテーブル5と、長手方向がテーブル5の移動方向と平行になるように配設されたスケールユニット1と、テーブル5と共に移動するスライダ3と、スライダ3から出力される位置信号Sを位置データPDに変換して出力する信号処理部6とで構成されている。スケールユニット1内には、光学的、あるいは磁気的な目盛が施されたスケール2が含まれており、この目盛をスライダ3の内部に具備された検出部4によって、光学的、あるいは磁気的に検出するようになっている。
【0003】
次に、リニアエンコーダを用いて長いストローク長を検出する場合の構成例について説明する。リニアエンコーダでは、必要な測定長に合わせてスケールの長さが決められるが、製造設備や運搬上の問題により、1本で3mを超えるような長いスケールを適用するのは困難である。そこで、複数本のスケールユニットを長手方向に直列に設置して、長い測定長に対応する方法が提案されている。
【0004】
以下に、その一例を説明する。図2は、2本のスケールユニットを長手方向に配置した場合の概略構造図である。同一構成箇所は同符号を付して説明を省略する。この構成例では、2本のスケールユニット1aと1bが長手方向に配置されている。2本のスケールユニット内には、それぞれスケール片2aと2bが含まれている。二つのスケール片が、個々のスケール片の長さより長いスケールを構成する。一方、テーブル5側には、2つのスライダ3a、3bが、ある間隔を隔てて取付けられている。スケール片に施された目盛は、検出部4a、4bで読み取られ、スライダ3a、3bから2組の位置信号S1,S2として信号処理部6に出力される。ただし、この位置信号S1,S2はそれぞれひとつの信号とは限らず、通常は、スライダの移動によってsin状に変化する周期信号とcos状に変化する周期信号との2つ周期信号が含まれていたり、さらにsin、cosに対して逆位相の周期信号、つまり−sin、−cos状の信号を加えた4つの周期信号が含まれていたりする。また、スケールとスライダに異なった周期の複数の周期信号を得る検出部がある場合は、さらに多くの位置信号からなる場合もある。信号処理部6では、それぞれのスライダからの位置信号S1,S2と、テーブルのおよその位置を示す概テーブル位置データPTABを元に、正確な位置データPDを出力する。
【0005】
次に信号処理部6の処理例を図3を用いて説明する。スライダ3aからの位置信号S1とスライダ3bからの位置信号S2は位置演算部に入力されてそれぞれのスライダの位置データSD1、SD2に変換される。一方、スライダ間隔記憶部13には、あらかじめ2つのスライダの間隔が記憶されており、スケールオフセット記憶部15にはあらかじめ2本のスケール片の位置オフセットが記憶されている。また、スケール隙間位置記憶部20には、あらかじめ2本のスケール片とスケール片の隙間の位置が記憶されている。使用ユニット判定部16には、スケール隙間位置記憶部20のデータに基づいて求められた、テーブルの位置とその時にどのスケール片とスライダを有効にするかの関係が記憶されており、重み係数判定部17には、スケール隙間位置記憶部20のデータに基づいて求められた、テーブルの位置とその時に2つのスライダのデータに与えるべき重みの値が記憶されている。
【0006】
実際の処理例について図3と図4を用いて説明する。図2でテーブルが左端から右端まで移動する場合を、図4の位置P1〜P7に対応させて示す。図4の横軸は、図2のテーブル位置を示している。
【0007】
まず、位置P1〜P2の区間は、2つのスライダが共にスケール片2aに対向している。したがってスライダ3aとスライダ3bは共にスケール片2aに対して位置検出可能でありスケール片2aに対して有効領域である。使用ユニット判定部にはあらかじめ、この区間のテーブル位置においては、2つのスライダがスケール片2aに対して有効であることが記憶されており位置演算部で計算された2つの位置データが重み付け演算部に送られる。ただし、ここで、スライダ3bからの位置データはスライダ3aからの位置データに対して、2つのスライダの間隔の分だけずれている。前述のようにこの距離はあらかじめスライダ間隔記憶部に記憶されている。そこで使用ユニット判定部ではこの距離分をそれぞれのスライダの位置データに加味するように働く。
【0008】
以下に具体的に説明する。例として、位置データの増加方向がテーブルが右に進む方向とし、また、テーブル位置基準を2つのスライダの中心点に取る場合を想定すると、スライダ3aからの位置データは、テーブル位置基準から見るとスライダ間隔の1/2だけ小さい値が出力される。同様にスライダ3bからの位置データはスライダ間隔の1/2だけ大きい値が出力される。そこで、使用ユニット判定部16はスライダ3aの位置データに加算器9によってスライダ間隔の1/2を加えてテーブル位置基準の値に修正する。同様に、使用ユニット判定部16はスライダ3bの位置データに加算器10によってスライダ間隔の1/2を減じてテーブル位置基準の値に修正する。この動作によって、重み付け演算部には、テーブル位置基準に修正された2つのスライダの位置データが送信される。
【0009】
この領域での重み係数について説明する。重み係数判定部17には図4に示す重み係数のように、あらかじめこの領域に相当するテーブル位置では、スライダ3aに対する重み係数が1であり、スライダ3bに対する重み係数が0であるように記憶されている。重み係数判定部17ではこの領域に相当する概テーブル位置データPTABの入力の場合、重み付け判定部に対して、それぞれのスライダの重み係数を出力する。
【0010】
結果的にこの領域では、重み付け判定部はスライダ3a、3bの重み係数が1、0であることから、スライダ3bからの位置データSD2’は位置データPDに寄与せず、スライダ3aからの位置データSD1’を位置データPDとして出力する。
【0011】
次に、位置P2〜P3の区間では、スライダ3aはスケール片2aに対向しているが、スライダ3bはスケール片の隙間にさしかかる。したがってスライダ3bは位置検出不可能となり無効領域である。使用ユニット判定部にはあらかじめ、この区間のテーブル位置においては、スライダ3bは無効であることが記憶されておりスライダ無効情報が、重み付け演算部に送られスライダ3bのデータが誤って使用されないようにしている。一方、位置演算部で計算された2つの位置データは位置P1〜P2の区間と同様に、加算器によってテーブル位置基準に修正されて重み付け演算部に送られる。
【0012】
次に、位置P3〜P5の区間では、スライダ3aはスケール片2aに対向しており、スライダ3bはスケール片2bに対向し始めている。したがってスライダ3aはスケール片2aに対して位置検出可能でありスライダ3bはスケール片2bに対して位置検出可能である。使用ユニット判定部にはあらかじめ、この区間のテーブル位置においては、スライダ3aはスケール片2aに、またスライダ3bはスケール片2bに対して有効であることが記憶されている。ただし、ここで、スケール片2bの原点とスケール片2aの原点の間隔距離分だけ読取値を修正しないと2つのスケール片から読み取った位置データの連続性が保たれない。スケールオフセット記憶部には前述のように2つのスケール片の原点の間隔距離が記憶されている。そこで使用ユニット判定部ではこの距離分をそれぞれのスライダの位置データに加味するように働く。
【0013】
例として、それぞれのスケール片の左端が原点であった場合、スライダ3bがスケール片2aから読み取った位置データに対して、スライダ3bがスケール片2bから読み取った位置データには、2つのスケール片の原点間の距離分だけ加算する。なお、原点の位置は必ずしもスケール片左端とは限らないので使用するスケール片に合わせて設定する必要がある。
【0014】
したがってこの領域では、使用ユニット判定部はスライダ3bに対して、前述のスライダ間隔に関する修正分とスケール片の原点距離に関する修正分を加算器によって加算し重み付け演算部に送信する。この領域の重み係数について説明する。この領域ではP3からP5に向かってスライダ3aの重み係数を1から0に向かって減じ、スライダ3bの重み係数を0から1に向かって増加させている。テーブル位置とこの重み係数との関係は重み係数判定部17に記録されており、概テーブル位置データPTABの入力によりその位置に対応した重み係数を重み付け演算部に出力する。重み付け演算部では2つのスライダ位置データにそれぞれ重み付けしたものを位置データとして出力する。
【0015】
次に位置P5〜P6区間においては、スライダ3aはスケール片の隙間になるので読取不可能となり、使用ユニット判定部ではスライダ3aが無効である情報を重み付け判定部に送る。また、この区間での重み係数はスライダ3aが0でスライダ3bが1となっておりスライダ3bからの位置データが結果的に重み付け演算部から出力される。
【0016】
位置P6〜P7区間においては、2つのスライダが共にスケール片2bに対向している。したがってスライダ3aとスライダ3bは共にスケール片2bに対して位置検出可能でありスケール片2bに対して有効領域である。使用ユニット判定部にはあらかじめ、この区間のテーブル位置においては、2つのスライダがスケール片2aに対して有効であることが記憶されており位置演算部で計算された2つの位置データが重み付け演算部に送られる。この領域では、2つのスライダのスライダ間隔に関する補正と、両方のスライダに対してスケール片2bのオフセットが加算器によって加えられてから、重み付け演算部に送られる。また、重み係数については、スライダ3aが0でスライダ3bが1となっておりスライダ3bからの位置データが結果的に重み付け演算部から出力される。このような処理によって、複数のスライダを用いて、複数のスケール片からの位置データを滑らかにつなぎ、長ストロークの位置検出をすることができる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような構成のリニアエンコーダで、全長に渡って連続した位置データを求めるためには、使用ユニットの判定と重み係数の判定を正確に行う必要があり、そのためには、2本のスケール片の隙間の位置や、隙間の大きさを正確にスケール隙間位置記憶部20に記憶しておく必要がある。理想的には、設計値通りの正確な位置にスライダを取り付け、また、複数のスケール片も設計値通りの正確な位置関係で機械に取り付ける必要がある。また、取付後に測定器等で物理的に測定してその値を設定することも可能であるが、スケールは機械の内部に組み込まれるために、正確な測定は困難である。
【0018】
本発明は上記課題を解決するために、スライダやスケールを機械に取り付けた後で、複数のスケール片の間の隙間の位置や大きさを正確に測定することを目的とする。
【0019】
【課題を解決するための手段】
前述の課題を解決するために、本発明のリニアエンコーダは、複数のスケール片で構成されたスケールの、スケール片間の隙間の位置や大きさを測定するために、位置測定のための周期信号を用い評価関数を生成している。
【0020】
この評価関数は、前記位置測定のための周期信号に含まれる、スケール目盛に相当する周期成分をほぼ含まない関数とすることができる。これによれば、隙間による指示値の変化を精度良く検出することができ、隙間の検出精度が向上する。
【0021】
また、スケール片間の隙間を検出する動作をあらかじめ記憶し、必要に応じて隙間検出動作を実行させるようにすることができる。
【0022】
さらに、検出された隙間の情報を記憶しておくことができ、この記憶された情報に基づき位置検出のための信号処理を精度よく行うことができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
以下、本発明実施の形態を図面に従って説明する。スケールやテーブルなどの構成は、すでに、図1に示した構成とほぼ同じである。信号処理部の構成は、前述した図3の構成に比して、図5の構成を有している。図5について、すでに述べた構成については、同一の符号を付し、その説明を省略する。本実施形態では、2組の位置信号S1,S2と概テーブル位置データPTABを入力とするスケール隙間位置検出部21が設けられている。以下にそれらを用いて2つのスケール片の隙間の位置や大きさを計測する方法を説明する。
【0024】
図6は、位置信号S1、あるいは位置信号S2を構成する周期信号を表している。位置信号S1,S2のそれぞれは、cos、sin、−cos、−sin(それぞれ、a相、b相、a/相、b/相と呼ぶ)の4つの周期信号より構成されている。この4つの変位信号を得るための信号検出部が、スケール片とスケール片の隙間を通過するときの、それぞれの周期信号の挙動を表している。本図では例として周期信号の周期が1であり信号検出部の幅が2であり、スケール片とスケール片との隙間が4である場合を表している。図中A1、A5で示される領域では、4つの信号検出部はスケール片に対向しており、それぞれ一定の振幅とオフセットを維持している。A2、A4の領域では信号検出部がスケール片とスケール片の隙間の両方にまたがっている。したがって、振幅が減少していくと共にスケール片上の格子を通らずに光が直接、受光素子に入射するため、オフセットが増加している。A3の領域では信号検出部が完全にスケール片の無い部分に対向しているため、振幅は現れず光量も最大値となる。
【0025】
次に、スケール片の隙間の位置を検出する方法について説明する。方法としては、ひとつ以上の周期信号によって変化する評価関数を定めて、その評価関数がある状態になったときの位置を検出することによって可能となる。簡単な方法としては周期信号の内あるひとつの信号、例えば、a相信号がある光量以上になった時の位置、そして、再びある光量以下になったときの位置を求めそれらの中点を計算することによってスケール隙間の中心位置をおよそ求めることも可能であるが、厳密には左右非対称であり特に信号の周期が大きくなるとその量は顕著となる。また、評価関数として見た場合、信号の振幅が大きいため何らかの原因で誤った場所で隙間であると認識する可能性がある。
【0026】
したがって、評価関数としては、複数の信号の演算結果を用いること、そして、通常の位置ではなるべく一定のレベルとなる信号であることが望ましい。そこで、ここでは、例として、互いに90°位相の異なる4つの信号a、b、a/、b/を使った3種の評価関数を、図7を使って、説明する。評価関数G1は、G1=a+b+a/+b/によって得られるものであり、通常の場所、つまり信号検出部がスケール片に対向している場所では、一定値を示す。しかし、スケール片の隙間の部分にさしかかるとそれぞれの信号の光量が増加するため、評価関数G1は大きくなる。したがって、しきい値TH1を用いて評価関数G1を判定することにより、正確にスケール片間の隙間の位置を知ることができる。なお、この評価関数G1がスケール隙間部分で取る値は、発光部の光量等により変わることがあるため、しきい値TH1をあらかじめ適切な位置にセットしたり、発光部の光量等に合わせて変更できるようにすることも考えられる。また、図から分かるように評価関数G1は、ほぼ−2.0の位置でしきい値を超えて、ほぼ2.0の位置で再びしきい値以下にもどる。つまり、しきい値を超えている長さは、ほぼ4である。この値は隙間の大きさに対応しており、隙間が大きくなるとしきい値を超えている長さも増える。したがって、実際の隙間の大きさと、しきい値を超えている長さとの関係を事前に求めておけば、しきい値を超えている長さから実際の隙間の大きさを求めることができる。また、隙間の位置は、評価関数としきい値が交差する2点の中点とすることができる。また、隙間の位置は、評価関数としきい値が交差する2点の中点とすることができる。なお、以下に様々な評価関数を用いた隙間位置の検出方法を説明するが、この方法と同様なやり方で、隙間の大きさも求めることができる。
【0027】
次に、評価関数G2を用いた場合を説明する。評価関数G2は、(a−a/)と(b−b/)の2乗和である。この評価関数も、通常の場所では、一定値を示す。しかし、スケール片の隙間の部分にさしかかるとそれぞれ信号の振幅が減少するため、評価関数G2は減少し、ゼロになる。したがって、しきい値TH2を用いて評価関数G2を判定することにより、正確にスケール片間の隙間の位置を知ることができる。
【0028】
次に、評価関数G3を用いた場合を説明する。評価関数G3は、(a−a/)、(b−b/)、それぞれの絶対値の和である。この評価関数は、通常の場所では、ある一定の範囲の中で変動している、しかし、スケール片の隙間の部分にさしかかるとそれぞれ信号の振幅が減少するため、評価関数G3は減少し、ゼロになる。従って、しきい値TH2を用いて評価関数G3を判定することにより、正確にスケール片間の隙間の位置を知ることができる。なお、この評価関数G3の長所として、データ処理上で2乗の計算が不要であること、そして、スケール片の隙間では、評価関数がほぼゼロとなることにより、上述の評価関数G1のように発光部の光量等に影響を受けることが無い等があげられる。
【0029】
また、評価関数は場合によっては原信号の影響を受け細かい増減を含む場合がある。その場合は、何らかのフィルタリング機能を付加したり、検出信号のオン時とオフ時のしきい値を変えるシュミットトリガ機能を付加することによって、細かい増減の影響を排除することも可能である。
【0030】
次に、複数の変位検出部がスケール長手方向に関して、異なった位置に検出部が配置されている場合について説明する。図8は、その一例の周期信号を表している。図では、a相とb相の対は変位方向に対して同じ位置に配置されている、また、a/相とb/相の対も変位方向に対して同じ位置に配置されている。ただし、それぞれの対どうしは変位方向に3ずれた位置に配置されている。したがって、図1においてスライダが右に移動する場合、a相とb相とが、スケール片の隙間に入り始めることで振幅が減少し始める位置から3あとに、a/相、b/相が減少し始める。つまりスケール隙間による振幅やオフセットの変化がちょうど3ずれた形となっている。
【0031】
このような配置の検出部に対応する評価信号を図9を用いて説明する。評価関数G4は、a+b+a/+b/の式によってもとめられる。したがって、しきい値TH4によって判定することにより、スケール隙間の位置を求めることができる。また、評価関数G5は(a−a/)+(b−b/)の式によって求められる。したがって、しきい値TH5によって判定することにより、スケール隙間の位置を求めることができる。評価関数の例としては、他にも、それぞれの信号同士の演算によって一番適切なものを選べばよい。このように、評価関数を、あるしきい値や特定の条件によって判定することにより、スケール片の隙間位置を検出する。
【0032】
上記の機能を用いて、実際にスケール隙間位置を設定する方法を具体的に説明する。まず、図1でテーブルが左端に位置するとき設定機能をスタートさせると共に、テーブルを右方向に移動させる。スライダ3bがスケール片間の隙間にさしかかると周期信号の振幅やオフセットが変化することにより、評価関数も変化しあらかじめ決められたしきい値を超える。スケール隙間位置検出部21ではこのときの概テーブル位置データPTABを記憶する。さらにテーブルを移動させてスライダ3bがスケール隙間を通り過ぎてスケール片2bに対向し始めると、周期信号の振幅やオフセットが通常の状態に遷移することにより、評価関数は再びしきい値を超えて元の状態に戻る。スケール隙間位置検出部21ではこのときの概テーブル位置データPTABを再び記憶する。ここで記憶された2カ所の概テーブル位置データPTABの中点がスケール隙間位置の中心である。この値はスケール隙間位置記憶部20に送られて記憶される。このようにスライダ3bとスケール隙間位置との関係が求められ記憶される。さらにテーブルが右に進むと今度は、スライダ3aがスケール片間の隙間にさしかかり、前述のスライダ3bの場合と同様に処理が行われ、スライダ3aとスケール隙間位置との関係が求められる。なお、ここでは、2つのスライダ3a、3bそれぞれに対して、スケール隙間位置を求める方法を説明したが、その代わりに、この機能で求めたスライダ3bとスケール隙間の中心の関係と、あらかじめスライダ間隔記憶部に記憶されている2つのスライダの距離からスライダ3aとスケール隙間の中心との位置関係を求めることも可能である。
【0033】
次に、一連の上記スケール隙間位置検出と設定が、テーブル制御装置と連動して自動的に行われる装置に関して説明する。ブロック図を図10に示す。本実施形態では、テーブル制御装置に対してスケール隙間位置自動設定コマンドAGSを指令すると、以下のようなステップで自動測定を実行する。
【0034】
[ステップ1]テーブルは2つのスライダがスケール片2aに対向する位置に移動する
[ステップ2]テーブルは右方向に移動しながら信号処理部に対してスケール隙間位置計測指令SGCを送る。その指令によって、スライダ間隔検出部はスライダからの周期信号を観測してそれらの評価関数があらかじめ決められたしきい値をクロスする時の概テーブル位置データを記憶することにより、スケール隙間位置を検出する
[ステップ3]スケール隙間位置が検出できたら、スケール隙間位置記憶部20にデータを記憶させる
[ステップ4]スケール隙間位置の設定が完了したら、テーブルの移動を停止する。
【0035】
上述のような機能により、実際の機械にリニアエンコーダを取り付けた後で、正確に、かつ、自動的にスケール隙間位置を計測し設定することができるため、テーブルの位置検出の高精度化と省力化が実現できる。また、保守上の理由からスケール片やスライダを交換した場合でも特別な測定装置無しで正確なスケール隙間位置の設定ができるため、ユーザ先での設定等も誤りなく自動的に実施することができる。さらに、本発明は、特別なハードウェアを付加することなくソフトウェア処理の追加で実現可能なので、コストアップも無い。
【0036】
なお、実施形態の説明では、スライダとスケール片が2つの例を説明したが、個数は限定されるものではなく、それぞれが2つ以上のシステムにも対応可能であるし、逆にスライダがひとつの場合でも利用可能である。
【0037】
また、本実施形態においては隙間の位置、大きさの双方を算出する装置について説明した。しかし、位置、大きさの一方を単独に算出することも可能である。例えば、装置の構造上一方が設計値を用いて十分な精度を得られる場合他方のみを算出するようにできる。
【0038】
【発明の効果】
本発明のリニアエンコーダによれば、複数のスケール片によって位置を検出する場合に必要なスケール片間の隙間の位置を実機上で正確かつ簡単に計測し設定することができるので、テーブルの位置検出の高精度化と省力化が実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】リニアエンコーダの基本構成を示す図である。
【図2】スケール片を複数使用してスケールを構成したリニアエンコーダの構成を示す図である。
【図3】従来のリニアエンコーダの信号処理部の構成ブロック図である。
【図4】図2に示すリニアエンコーダの測定原理を説明する図である。
【図5】本実施形態のリニアエンコーダの信号処理部の構成ブロック図である。
【図6】リニアエンコーダの位置測定用周期信号の例を示す図であり、特にスケール片の隙間およびその前後を示す図である。
【図7】図6の周期信号を元にした評価関数の例を示す図である。
【図8】リニアエンコーダの位置測定用周期信号の他の例を示す図である。
【図9】図8の周期信号を元にした評価関数の例を示す図である。
【図10】本実施形態のリニアエンコーダの制御部の構成を示す図である。
【符号の説明】
1,1a,1b スケールユニット
2,2a,2b スケール片
3,3a,3b スライダ
4,4a,4b 検出部
5 テーブル
6,26,36 信号処理部
7 位置演算部
8 位置演算部
9 加算器
10 加算器
11 重み付け演算部
13 スライダ間隔記憶部
15 スケールオフセット記憶部
16 使用ユニット判定部
17 重み係数判定部
18 制御装置
19 テーブル駆動部
20 スケール隙間位置記憶部
21 スケール隙間位置検出部。
Claims (4)
- 目盛が形成されたスケール片を長手方向に複数配列して、形成したスケールと、
工作機械のテーブルに固定されたスライダと、
前記スケールの長手方向に前記スケールと相対移動するスライダ上に配置され、前記目盛に対応した電気信号を出力する検出部と、
前記テーブルのおよその位置を示す概テーブル位置データを取得するテーブル位置取得部と、
を有するリニアエンコーダであって、
前記検出部の出力する電気信号は、位相が90°ずつ相違する4個の周期信号であり、
さらに、前記スライダを移動させて得られる前記4個の周期信号のうち位相が180°異なる信号同士の差の2乗の和である評価関数を生成し、この評価関数の変化と、前記取得されたおよそのテーブル位置とに基づき隣り合うスケール片の隙間の位置および隙間の大きさのうち、少なくとも一方を検出する隙間検出部、
を有するリニアエンコーダ。 - 目盛が形成されたスケール片を長手方向に複数配列して、形成したスケールと、
工作機械のテーブルに固定されたスライダと、
前記スケールの長手方向に前記スケールと相対移動するスライダ上に配置され、前記目盛に対応した電気信号を出力する検出部と、
前記テーブルのおよその位置を示す概テーブル位置データを取得するテーブル位置取得部と、
を有するリニアエンコーダであって、
前記検出部の出力する電気信号は、位相が90°ずつ相違する4個の周期信号であり、
さらに、前記スライダを移動させて得られる前記4個の周期信号のうち位相が180°異なる信号同士の差の絶対値の和である評価関数を生成し、この評価関数の変化と、前記取得されたおよそのテーブル位置とに基づき隣り合うスケール片の隙間の位置および隙間の大きさのうち、少なくとも一方を検出する隙間検出部、
を有するリニアエンコーダ。 - 請求項1または2に記載のリニアエンコーダであって、前記隙間検出部は、前記評価関数が所定のしきい値となる2カ所のスライダ位置に基づき隙間の位置もしくは隙間の大きさのうち、少なくとも一方を算出するものである、リニアエンコーダ。
- 請求項1〜3のいずれか1項に記載のリニアエンコーダであって、スライダを前記スケール片の隙間を含む範囲で移動させ、その間前記検出部の出力する周期信号を受信して前記評価関数を算出し、算出された評価関数と前記取得されたおよそのテーブル位置とに基づき前記スケール片の隙間の位置および隙間の大きさのうち、少なくとも一方を検出する、一連の動作を行うためのプログラムを記憶し、隙間検出の指令に基づき、前記プログラムに従い一連の動作を行う、リニアエンコーダ。
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