JP4188789B2 - 固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は固体高分子型燃料電池に使用される電解質膜に関する。
近年技術の進歩により固体高分子型燃料電池が注目されている。その理由としては、固体高分子型燃料電池を構成する固体高分子型燃料電池用電解質膜として高導電性の膜が開発されたこと、又、同様に固体高分子型燃料電池を構成する、ガス拡散電極層中の触媒がカーボンに担持された状態のままイオン交換樹脂で被覆されることにより高い活性が得られるようになったこと、などがあげられる。
しかしながら、現在の固体高分子型燃料電池用電解質膜として用いられる膜は、プロトン電導性が高く、電気抵抗が低いため高い電池性能を発現する一方で、電池使用の際、含水時の膜の面積(縦×横)方向の寸法変化が生じ電池寿命が短かくなるという問題が生じている。
具体的には、固体高分子型燃料電池のセル内で発生した水や、燃料ガスと共に供給される水蒸気等により膜が膨潤したり乾燥したりするため、膜のシワ、破れ、変形、折り重なり、ピンホール等の原因となり、電池の寿命が短くなるのである。
従って、固体高分子型燃料電池用電解質膜としては、低電気抵抗で且つ含水率の変化や温度変化に伴う面積方向の寸法変化が少ないことが望まれているのである。
また、固体高分子型燃料電池用電解質膜を一対のガス拡散電極層の間に挟んで接合した膜電極接合体を作製する際には、通常加熱下で行うので、加熱中の収縮による寸法変化や厚みムラが少ない事も望まれている。
上記の問題を解決する方法として、固体高分子型燃料電池用電解質膜をガラス転移温度から融点までの温度範囲で二軸延伸して薄膜化と同時に膜の強度を向上させる方法が開示されている(例えば特許文献1参照)。しかし、この方法では、強度物性向上のためには有効であるかもしれないが、上記延伸温度範囲で延伸しても含水率の変化や温度変化(熱収縮)による寸法変化を抑制することは困難である。
また、延伸により膜面積を5〜200%増大させ、含水時の寸法変化率を−5〜+5%にする固体高分子型燃料電池用電解質膜も開示されているが(例えば、特許文献2参照)、開示の手法による延伸倍率と含水時の寸法変化では膜電極接合体作製時の寸法変化や厚みムラの発生を抑制することは困難である。
さらに、特許文献3には、パーフルオロカーボン重合体の末端がスルホン酸基およびスルホン酸基の前駆体であるSOF基を有する膜を延伸し、延伸配向後α分散温度以上で拘束熱処理する方法等が記載されているが、実用時の寸法安定性が不十分である。
特開平11−354140号公報 特開2002−343380号公報 国際公開WO02−062879号パンフレット
即ち、本発明は固体高分子型燃料電池製造時及び使用時の、加熱及び含水状態での、両者での実質的な(面積方向に対する)寸法変化が少ない固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法を提供することを目的とする。
本発明者らは、前記課題を解決するために、燃料電池に使用される固体高分子型燃料電池用電解質膜に要求される性能、特に膜強度について鋭意検討を行ったところ、特定の延伸工程と特定の熱処理工程を施した場合にのみ本発明の課題を解決できる固体高分子型燃料電池用の電解質膜を製造することができることを見出し本発明を完成するにいたった。
すなわち、本発明は、
1、イオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜を
(1)該重合体のα分散温度より20℃低い温度以上で、α分散温度より20℃高い温度以下の領域に含まれる第一の延伸温度下で、一軸延伸する第一の延伸工程と、
(2)該重合体のα分散温度より20℃低い温度以上で、α分散温度より40℃高い温度以下の領域に含まれる延伸温度であって、かつ、第一の延伸温度より高い第二の延伸温度下で、第一の延伸工程の延伸方向と直交する方向に一軸延伸する第二の延伸工程と、
(3)引き続き、膜を固定した状態で第二の延伸温度より少なくとも高い温度で熱処理する熱処理工程と、
を経て成る固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
2、該イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする1に記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
3、第一の延伸工程が縦軸延伸であって、第二の延伸工程が横軸延伸である事を特徴とする1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
4、第一の延伸工程の延伸倍率及び、第二の延伸工程の延伸倍率が各々独立に1.2倍以上2.5倍以下であり、かつ、面積延伸倍率が2〜6倍であることを特徴とする1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
5、1〜4に記載のいずれか1つの製造方法により製造された固体高分子型燃料電池用電解質膜であって、かつ、160℃加熱時の収縮率が1〜35%の範囲内にあり、80℃湿潤時の寸法変化率が、23℃で関係湿度50%での乾燥時状態に対して、−10〜30%の範囲内にあることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電解質膜。
6、1〜4に記載のいずれか1つの製造方法により製造された固体高分子型燃料電池用電解質膜を少なくとも一層有する固体高分子型燃料電池用電解質膜の積層体であって、かつ、160℃加熱時の収縮率が1〜35%の範囲内にあり、80℃湿潤時の寸法変化率が、23℃で関係湿度50%での乾燥時状態に対して、−10〜30%の範囲内にあることを特徴とする固体高分子型燃料電池用電解質膜の積層体に関する。
本発明によれば、含水時及び加熱時の面積方向に対する寸法変化率が小さい固体高分子型燃料電池用電解質膜が得られるので、固体高分子型燃料電池製作時、実用時に該膜の、シワ、破れ、変形、ピンホール等が発生しにくく、長寿命で安定した電池性能が得られる固体高分子型燃料電池とすることが出来る。そして、本発明により製造された固体高分子型燃料電池用電解質膜は、電池使用時に特にシワ等の発生しやすい燃料電池セルのガスケットの直ぐ内側部分でもシワ等の発生を抑制した膜とすることができる。
本発明について、以下に具体的に説明する。
本発明において用いるイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体には、従来より公知の重合体が広く採用され、例えば、フッ化オレフィン化合物と、イオン交換基含有フッ化ビニル化合物との共重合体を挙げることができる。
フッ化オレフィン化合物には、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレンといった化合物をあげることができ、イオン交換基含有フッ化ビニル化合物にはCF2=CF−(OCF2CFX)−O−(CF2−Yで表される化合物を挙げることができる。(式中、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数、nは1〜12の整数、pは0又は1であり、m+n≧1であり、n=0の場合はp=0である。Yはカルボン酸基、スルホン酸基、リン酸基等のイオンと交換反応を行う公知のイオン交換基である。)
尚、本発明においては、フッ化オレフィン化合物としてはテトラフルオロエチレンが好ましく、イオン交換基含有フッ化ビニル化合物としては、スルホン酸基をイオン交換基とした下記式(1)〜(4)に示す化合物が好ましい。
CF=CFO(CFSOH (1)
CF=CFOCFCF(CF)O(CFSOH (2)
CF=CF(CFSOH (3)
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFSOH (4)
但し、上記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整数、sは1〜8の整数、tは1〜5の整数を示す。
次に、本発明のイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の製造方法の一例として、SOF基を有するフルオロビニル化合物からスルホン酸基をイオン交換基とする重合体を製造する方法について説明する。
本発明は、先ずCF2=CF−(OCF2CFX)−O−(CF2−SOFで表されるフルオロビニル化合物(式中、Xはフッ素原子又はトリフルオロメチル基であり、mは0〜3の整数、nは1〜12の整数、pは0又は1であり、m+n≧1であり、n=0の場合はp=0である。)とフッ化オレフィン化合物とから共重合してパーフルオロカーボン重合体の前駆体(以下、前駆体と称する)とすればよく、特にフルオロビニル化合物として下記式(5)〜(8)で表されるものを用いることが好ましい。
CF=CFO(CFSOF (5)
CF=CFOCFCF(CF)O(CFSOF (6)
CF=CF(CFSOF (7)
CF=CF(OCFCF(CF))O(CFSOF (8)
但し、上記式中、qは1〜8の整数、rは1〜8の整数、sは1〜8の整数、tは1〜5の整数を示す。
そして、本発明では、上記のフルオロビニル化合物とフッ化オレフィン化合物とを溶液重合、乳化重合、塊状重合、懸濁重合といった公知の重合方法で共重合して前駆体とすることができる。
尚、本発明において、前駆体は、エーテル結合性の酸素分子等を含んでいてもよい。
また、前駆体を構成するフルオロビニル化合物とフッ化オレフィン化合物の組成比は後述する方法で前駆体を本発明のスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体とした状態のイオン交換容量、つまりスルホン酸基(SOH基)を有するパーフルオロカーボン重合体中のスルホン酸基の濃度が、0.5〜2.0ミリ当量/g乾燥樹脂、特に0.7〜1.6ミリ当量/g乾燥樹脂となるよう組成されていることが好ましい。イオン交換容量がこの範囲より低い場合には膜の電気抵抗が大きくなり、高い場合には膜の機械的強度が弱くなる。
また、前駆体のメルトフローレイト(MFR)も前駆体の分子量に関連した指数を表すファクターで、膜諸強度、またはフイルム或いはシート状に押し出し加工成膜する上では重要な因子である。
該MFRは、JIS K−7210に準じて測定され、温度270℃、荷重2.16kgで10分間に流出する相当量をg数で表した値であり、0.05〜50g/10分の範囲にあることが好ましい。MFRが50gを超えると分子量が小さくなり強度が低下する場合があり、0.05g未満では該前駆体の成膜が困難となる。好ましい範囲は、0.5〜30g/10分の範囲である。
なお、イオン交換容量で示されるパーフルオロビニル化合物とテトラフルオロエチレンの共重合体の組成比と、その共重合体のMFR値には直接の相関関係はなく、同じイオン交換容量であっても、分子量を調整しMFR値を変えることは出来る。
以上のようにして得られる前駆体はTダイで溶融押出しして成膜し、膜状とした後、引き続き、加水分解及び酸処理をして本発明のイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜とすることができる。
尚、本発明では溶融押し出し法で成膜する際、同一種同士あるいは異種の重合体の膜を多層状に積層して前駆体の膜を含む積層体とした後、加水分解・酸処理をしてイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の積層体としてもかまわないし、さらに、前駆体を本発明のイオン交換基を有するパーフルオロ共重合体にした後溶媒で溶解又は、必要により乳化、懸濁分散させた規定濃度の該液から、キャスト成膜した後、同一種同士あるいは異種の重合体の膜と積層してイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の積層体としてもかまわない。
尚、本発明におけるスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体は、該重合体以外にフィブリル、織布、不織布、多孔体なる補強材を含んでいてもよい。補強材を含む場合、補強材は含フッ素重合体からなることが好ましく、テトラフルオロエチレン、ヘキサフルオロプロピレン、クロロトリフルオロエチレン又はパーフルオロ(アルキルビニルエーテル)に基づく重合単位を含む単独重合体又は共重合体が好ましく使用できる。
具体的な補強材としては、ポリテトラフルオロエチレン(以下、PTFEという)、テトラフルオロエチレン/ヘキサフルオロプロピレン共重合体(以下、FEPという)、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(プロピルビニルエーテル)共重合体(以下、PFAという)、テトラフルオロエチレン/エチレン共重合体(以下、PETFEという)、ポリクロロトリフルオロエチレン、テトラフルオロエチレン/パーフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)共重合体、ポリパーフルオロ(ブテニルビニルエーテル)等が挙げられる。なかでも特にPTFE、FEP、PFA又はPETFEが機械的強度及び化学的安定性などの特性上好ましい。
さらに、本発明における固体高分子型燃料電池用電解質膜はイオン交換容量やMFRの特性を前述の範囲から外れない範囲内で、各種耐熱性ポリマー、エンジニアプラスチック、含窒素成分を含むポリマー等と混合しても良い。
以上、本発明に用いるイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体について説明した。
本発明では、上記のイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜を特定の延伸処理、熱処理を施すことによって固体高分子型燃料電池用電解質膜とすることで上記課題を解決せしめたものである。そこで以下に、本発明の延伸処理、熱処理の条件について詳細に説明する。
先ず、延伸処理条件について説明する。
本発明の延伸処理は逐次二軸延伸により延伸処理されることを特徴とする。逐次二軸延伸とは、パーフルオロカーボン重合体の膜を先ず一軸延伸する第一の延伸工程の後、第一の延伸工程の延伸方向と直行する方向に一軸延伸する第二の延伸工程をすることを言う。
第一の延伸工程の延伸方向と第二の延伸工程の延伸方向とは、膜の縦方向、横方向のいずれを先に延伸してもかまわないが、第一の延伸工程は縦方向、第二の延伸工程を横方向に行うことが長尺の膜を延伸する上で生産効率の点から好ましい。本発明において縦方向とは押出し成膜、キャスト成膜して長尺の膜状にする際の巻き取り方向をいい(MD方向)、横方向とは、該巻き取り方向と直交する方向(いわゆるTD方向)を言う。
本発明の延伸とは、膜に外力を加えることにより膜面積を増大させる加工のことであり、成形、薬品処理、乾燥等の製造工程の各段階において物理的な外力を加えられない場合の膜面積の変化は含まない。
延伸工程は、例えば回転速度が異なる二本のロールの間を通過させて一方向に膜を延伸させる一軸延伸法を用いて、第一の延伸工程及び第二の延伸工程を行うことが可能である。
本発明における延伸方法は、第一の延伸工程と第二の延伸工程で独立に延伸倍率を設定できることが可能であるが、含水時及び加熱時の両方の寸法安定性を保持させるためには第一の延伸倍率×第二の延伸倍率で表される面積延伸倍率が2〜6倍の範囲、さらには2〜4倍の範囲にあることが好ましい。面積延伸倍率が2倍以下では、含水時及び加熱時の両方の寸法安定性を保持させることが難しい。また、面積延伸倍率が6倍を超えると、量産ベースにて収縮率が過大になり、又均一厚みに延伸することが困難になり、製造コストや連続生産性を前提とした品質安定性の面で問題が生じる。
また、第一の延伸倍率と第二の延伸倍率の個々の倍率については、又それぞれの延伸倍率を掛けた面積延伸倍率が上記に示した範囲内であればかまわないが、含水時及び加熱時の両方の寸法安定性を保持させるために1.2〜2.5倍の範囲が好ましい。1.2倍以下では延伸効果が得難く、さらに2.5倍以上では、加熱収縮率が過大になり、厚み制御が難しく、量産には適さない。尚、これらの延伸倍率は原膜の押し出し条件、膜組成等で生じる成形時の配向性比等を勘案考慮して最適値に制御される。尚、本発明では第一の延伸工程及び第二の延伸工程の目標とする延伸倍率を得るために、延伸を複数回行ってもかまわない。
また、本発明の逐次二軸延伸をおこなう延伸工程での延伸温度は、第一の延伸温度と第二の延伸温度に特定の温度を用いることが特徴である。そこで、次に、本発明の延伸工程の延伸温度について説明する。
本発明ではイオン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜を先ず、該重合体のα分散温度より20℃低い温度以上で、α分散温度より20℃高い温度以下の領域に含まれる温度を第一の延伸温度とすることが好ましく、次に、該重合体のα分散温度より20℃低い温度以上で、α分散温度より40℃高い温度以下の領域に含まれる温度を第二の延伸温度とすることが好ましく、加えて、第一の延伸温度より第二の延伸温度が高いことが好ましい。
イオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜のα分散温度とは動的粘弾性測定装置にて測定される、重合体の主鎖が熱運動を開始すると考えられる温度を示している。例えば、ナイロン等の重合体のα分散温度は一般的に室温よりもはるかに高いため、延伸終了後にα分散温度以下に冷却することによって主鎖の熱運動を大きく減少させることが可能であり、これによって延伸配向を効果的に安定化させることができる。
例えば、イオン交換基がスルホン酸基の場合のパーフルオロカーボン重合体のα分散温度は110〜140℃近傍に存在する。そこで、α分散温度を仮に140℃とした場合、第一の延伸工程の延伸温度は120〜160℃の温度領域から設定すればよく、第二の延伸工程の延伸温度は120〜180℃の温度領域から設定すればよい、加えて、第一の延伸温度より第二の延伸温度が高ければよい。
以上、本発明の延伸工程の条件について説明した。
本発明では、延伸工程によって延伸した膜を引き続き膜固定した状態で特定の温度で熱処理することを特徴とする。以下に説明する。
膜の固定とは、延伸処理した膜が延伸緩和されないよう膜の周囲を固定した状態を施すことを言い、具体的には、膜の端が固定された状態であればかまわず、チャック式テンターのような方法を挙げることができる。
上記のような膜固定をした状態で、本発明では、第二の延伸温度より少なくとも高い温度であればかまわないが、好ましくは第二の延伸温度より5℃以上40℃以下の範囲で高く、より好ましくは第二の延伸温度より10℃以上30℃以下の範囲で高く、最も好ましくは第二の延伸温度より15℃以上25℃以下高いことである。
以上、本発明における延伸工程、熱処理工程の条件について説明した。
尚、本発明の延伸、熱処理工程は、上記したイオン交換基含有のパーフルオロカーボン重合体の単一層の膜に対して実施することが可能なことはもちろんであるが、単一層の膜同士を積層した積層体であっても実施することは可能である。また、少なくとも単一層の膜を有する積層体、例えば、イオン交換基含有のパーフルオロカーボン重合体の単一層の膜と異種の重合体の膜との積層体の場合であっても、α分散温度がほぼ同じであれば積層体の状態で延伸工程・熱処理工程を実施することが可能である。尚、α分散温度に差異があった場合には、同一種の各々の膜に延伸工程・熱処理工程を実施した後に積層して積層体とすれば良い。
本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜の厚みに関しては、一般的に、薄いと電解質膜の強度が弱くハンドリング性が悪く、水素透過率が上がり、又膜電極接合体を作製する場合に電解質膜が破れるおそれがある。
また厚すぎると発電中に電解質膜中の水の移動が阻害され発電特性が低下する。発電中は膜のアノード側とカソード側では含水率が異なり、厚さ方向に含水率の分布が出来ることになる。これが発電特性を低下させる原因の一つになっており、電解質膜が厚いほどこの現象が顕著となる。つまり、固体高分子型燃料電池用電解質膜の厚み制御は電池特性を左右する重要な因子であるといえる。従って、厚みの範囲は一汎に5〜300μmであり、好ましくは10〜200μm、より好ましくは15〜100μmである。
尚、上記の膜厚は積層体の場合も同じ理由から上記の同じ値を取ることが好ましい。
本発明の製造方法により製造された固体高分子型燃料電池用電解質膜は、160℃における熱収縮率が1〜35%の範囲内にあり、好ましくは1〜30%の範囲内にあり、さらに好ましくは2〜20%の範囲内にあることである。そして、80℃湿潤時の寸法変化率が−10〜30%の範囲内にあり、好ましくは−5〜20%の範囲内にあり、さらに好ましくは−2〜15%の範囲内にあることである。熱収縮率、寸法変化率がこれらの範囲内であれば、膜電極接合体作製時のシワ発生や厚みムラ、燃料電池発電時の電解質膜の弛みや厚みムラといった問題の発生を防ぐことができる。
また、本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜は当該膜を複数積層した積層体であっても、当該膜とは異種の重合体の膜との積層体であっても上記の熱収縮率、寸法変化率を満足するものである。
尚、160℃とは膜電極接合体を作製する際に熱プレスで必要とする温度の範囲であり、80℃湿潤状態とは燃料電池の動作温度範囲である。
本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜は、160℃での熱収縮率と80℃湿潤時の寸法変化率の両特性がともに優れた値を示すことを特徴とする。即ち、本発明の電解質膜が燃料電池の製造時及び使用時の実質的な寸法変化が少ない事をあらわすものである。
この両特性ともに優れた値とすることは、本発明の特定の延伸工程・熱処工程を経た場合にのみ達成されるものである。
又、本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜および積層体は経時的に何回(例えば20回)も乾燥状態、湿潤状態を繰り返しても、乾湿寸法変化や熱収縮率の値が変化することがなく、安定している。
以上の方法で得られた本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜および積層体は、当該膜および積層体を用いて固体高分子型燃料電池を製造する際、および、固体高分子型燃料電池を使用する際に効果を奏するので、以下に固体高分子型燃料電池の製造方法とその使用方法の一例について説明する。
固体高分子型燃料電池用電解質膜は、通常の既知の方法により膜の両面に触媒を含むガス拡散電極を密着接合させて膜電極接合体(MEA)となす。
ガス拡散電極と固体高分子型燃料電池用電解質膜とは、加熱プレス法等により強固に密着させる工程を必要とするため、本発明の製造方法により得られる固体高分子型燃料電池用電解質膜を用いると、加熱下での熱収縮率が小さいので、膜厚のバラツキを小さく出来、電流密度の均一なガス拡散電極との密着性に優れたものとすることができる。
尚、ガス拡散電極は、通常、白金触媒粒子又は白金合金触媒粒子を担持させた導電性のカーボンブラック粉末をPTFE等の疎水性樹脂結着材で保持してなるシート状の多孔質体を用いることができる。
該多孔質体にはスルホン酸基を有するパーフルオロカーボン重合体を含む物を用いることができ、重合体には本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜を構成するパーフルオロカーボン重合体として挙げた重合体と同じ種類の重合体を用いることができる。尚、カーボンブラック粉末は、上記パーフルオロカーボン重合体と触媒に被覆されていてもかまわない。
得られたMEAは、必要に応じて複数積層した後、通常の既知の方法により集電体(バイポーラプレート)を最外側に配置して、いわゆる燃料電池セルとなす。尚、本発明では、一つのMEAから構成した燃料電池セルを燃料電池単セルと称する。
又、集電体は、表面などにガス流路を有するグラファイト製又は金属製のフランジのことであり、電子を外部負荷回路へ伝達する他に水素や酸素をMEA表面に供給する流路としての機能を持っている。
以上のようにして得られた燃料電池セルは、さらに燃料電池フレーム、ガス供給装置等と組み合わせて燃料電池として作動することが可能となる。
燃料電池の作動は、一方の電極に水素を、他方の電極に酸素あるいは空気を供給することによって行われる。燃料電池の作動温度は高温であるほどガス拡散電極中の触媒活性が上がるため好ましいが、通常は水分管理が容易な50〜100℃で作動させることが多い。また、酸素や水素の供給圧力は高いほど燃料電池出力が高まるため好ましいが、膜の破損等によって両者が接触する確率も増加するため、適当な圧力範囲に調整することが好ましい。本発明の燃料電池の作動条件は上記の記載に基づき以下に示す条件として、本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜の燃料電池評価を行った。
以下に、本発明の物性値及び燃料電池の評価方法について説明する。
(1)MFRの測定(JIS K−7210に準じて測定)
前述のスルホン酸基前駆体の共重合体組成物、約8gを用いて、東洋精機(株)製MELT INDEXER C−50590型にて、温度270℃、荷重2.16kgで10分間に流出する量を求め、g/10分で表す。
(2)イオン交換容量の測定
イオン交換膜およそ2〜10cmを50mlの25℃の飽和NaCl水溶液(イオン交換水に過飽和状態になるまでNaClを溶解し、上澄み液を使用する)に浸漬し、攪拌しながら10分間放置した後、フェノールフタレインを指示薬として0.01N水酸化ナトリウム水溶液を用いて中和滴定する。中和後得られたNa型イオン交換膜を純水ですすいだ後、10kPa以下、110℃、1時間真空乾燥して秤量する。中和に要した水酸化ナトリウム当量と真空乾燥重量より、イオン交換容量を算出する。
(3)α分散温度の測定
動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御(株)製、DVA−225)を用いて、所定のサンプル(長さ30mm、幅5mm)形状に切り出し、室温から250℃までの温度範囲を昇温速度5℃/分、空気中、周波数35Hzの条件下で測定し、横軸に温度、縦軸にtanδをプロットし、変化率のピーク温度をα分散温度とする。
(4)膜厚の測定
延伸前後の固体高分子型燃料電池用電解質膜を23℃、関係湿度50%の恒温室に1時間以上放置した後、膜厚計(東洋精機製作所製:型式B−1)を用いて測定する。また、延伸前後の膜厚により平均延伸面積倍率(縦延伸倍率×横延伸倍率)を算出する。
(5)160℃における熱収縮率の測定
固体高分子型燃料電池用電解質膜(5cm×4cm)を23℃、関係湿度50%の恒温室で12時間以上放置した後、加熱前の縦方向及び横方向の長さを測定する。その後、160℃に加熱したオーブンの中に水平方向に試料をフリーの状態(未拘束状態)で10分間放置したあと、オーブンから取り出し、23℃、関係湿度50%の恒温室で1時間以上放置した後、加熱後の縦方向及び横方向の長さを測定し、加熱前後の長さから熱収縮率を算出する。
(6)80℃における含水時の寸法変化測定
固体高分子型燃料電池用電解質膜(5cm×4cm)を23℃、関係湿度50%の恒温室で12時間以上放置した後、含水前の縦方向及び横方向の長さを測定する。その後、80℃熱水に30分間浸漬させ、取り出し後水中にて、含水後の縦方向及び横方向の長さを測定する。含水前後の長さより含水時の寸法変化率を算出する。
(7)燃料電池性能評価
本発明で得られた固体高分子型燃料電池用電解質膜を用いて、通常の既知の方法で、燃料電池単セルを製造し、水素ガスと酸素ガスを用いて常圧下80℃で電池発電テストを行い、初期セル電圧が30%低下するまでの時間を求める。
次に、実施例及び比較例に基づいて本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらの実施例にのみ限定されるものではない。
[実施例1]
CF=CF−O−(CF−SOFで表されるフッ化ビニル化合物とCF=CFで表される4フッ化エチレンを共重合体の繰り返し単位とする前駆体を、Tダイを用いて溶融押出しで幅60cm、両耳部を幅10cmスリットした後巻き取って幅40cmのロール状の前駆体膜を成膜した。長さは100mで平均厚さは45μmの長尺の原反である。尚、成膜前に測定した前駆体のMFRは3だった。
得られた前駆体膜は80℃に加温した加水分解浴(DMSO:KOH:水=5:30:65)に原反から巻きだしながらケン化し、水洗、55℃に加温した酸性浴(2N−HNO)、水洗(40℃)、乾燥工程を経て、ポリエチレンテレフタレレート(PET)のフィルムを片面に積層するラミネート及びスリット後、再び巻き取り延伸工程に用いるイオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜延伸用原膜(未延伸膜)を得た。なお、膜延伸用原膜のPETフィルムを除く部分の厚みは49μmであり、α分散温度は135℃であった。またイオン交換容量は1.4ミリ当量/gであった。
次にこの膜延伸用原膜を巻きだし・巻取り装置を備えた延伸装置を用いて、PETフィルムを取り除きながら巻きだし、延伸温度140℃で巻きだし方向(縦方向)に縦延伸倍率1.6倍の第一延伸工程を施した後、引き続き、今度は巻きだし方向に直交する方向(横方向)に延伸できるチャックテンターを用いて延伸温度160℃、延伸速度0.3m/minで、延伸倍率1.5倍となるように第二の延伸工程をほどこした。
以上の延伸工程を経て得られた膜は、引き続き、延伸工程で用いた装置を用いて、チャックテンターで横方向を固定しながら180℃で熱処理工程を行い本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜を得た。
このようにして得られた膜の平均厚みは延伸処理工程後、熱処理工程後とも21μmであった。また縦延伸倍率×横延伸倍率の面積延伸倍率も延伸処理工程後、熱処理工程後とも2.4倍であった。
また、熱処理工程を経て得られた本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜の160℃の熱収縮率の縦方向、横方向の平均値は10.0%であった。また、80℃の湿潤寸法変化率の縦方向、横方向の平均値は7.5%であった。
得られた固体高分子型燃料電池用電解質膜を用いて160℃の熱プレスにて膜電極接合体を作製したが、熱収縮によるシワ発生や破れは観察されなかった。また、室温にて金枠に固定し80℃温水中に浸漬させたが、厚みムラ、シワや破れの発生、弛みは観察されず、寸法安定性に優れた固体高分子型燃料電池用電解質膜であることがわかった。
また、運転温度80℃で燃料電池評価をしたところ初期電池発電テストでは168hr(1週間)の運転でもセル電圧低下は30%以内であった。
[実施例2]
CF=CFO−CFCF(CF)O−O−(CF−SOFで表されるフッ化ビニル化合物とCF=CFで表される4フッ化エチレンを共重合体の繰り返し単位とするフッ素系イオン交換樹脂前駆体を実施例1と同様にTダイを用いて押出し成膜し、耳部をスリットし、巻き取つて厚さ45μmのロール状前駆体膜とした。前駆体のMFRは8だった。
得られた前駆体膜を実施例1と同様に80℃に加温した加水分解浴(DMSO:KOH:水=5:30:65)でケン化し、水洗、55℃に加温した酸性浴(2N−HNO)、水洗(40℃)、乾燥工程を経て、PETフィルムでラミネート及びスリット後、延伸用原膜(未延伸膜)を得た。延伸用原膜のPETフィルムを除いた厚みは49μmであった。この延伸用原膜のPETフィルムを除いた部分のα分散温度を測定したら
112℃であった。またイオン交換容量は0.9ミリ当量/gであった。
次にこの延伸用原膜を実施例1と同様の延伸装置を用いて、PETフィルムを除きながら縦延伸倍率1.6倍、縦延伸温度120℃で第一の延伸工程を施した後、引き続き、横延伸倍率1.5倍、横延伸温度140℃、で第二の延伸工程を施した。以上の延伸工程を経て得られた膜は引き続き実施例1と同様の装置を用いて横方向を固定しながら熱処理温度が160℃で熱処理工程を施し、本発明の固体高分子型燃料電池用電解質膜を得た。得られた膜の厚みは延伸工程後も熱処理工程後も22μmであり、縦延伸倍率×横延伸倍率の面積延伸倍率は延伸工程後も熱処理工程後も2.4倍であった。
また、得られた電解質膜の160℃の熱収縮率(縦方向と横方向の平均値)は8.0%であった。また、80℃の湿潤寸法変化率(縦方向と横方向の平均値)は5.0%であった。
得られた固体高分子型燃料電池用電解質膜を用いて120℃の熱プレスにて膜電極接合体を作製したが、熱収縮によるシワ発生や破れは観察されなかった。また、室温にて金枠に固定し80℃温水中に浸漬させたが、厚みムラ、シワや破れの発生、弛みは観察されず、寸法安定性に優れた固体高分子型燃料電池用電解質膜であることがわかった。
また、実施例1と同様に燃料電池評価を行ったが実施例1と同様の結果を得た。
[実施例3]
実施例1で得られた縦延伸倍率×横延伸倍率の面積延伸倍率2.4倍の固体高分子型燃料電池用電解質膜1枚と、実施例2で得られた縦延伸倍率×横延伸倍率の面積延伸倍率2.4倍の固体高分子型燃料電池用電解質膜1枚を積層した後、さらに、最外側がポリイミドフィルムとなるように2枚のポリイミドフィルムで挟み込み熱ロールプレスを用いて、ロール通過時の膜温度が210℃、線圧150kg/cmの条件下でプレスを実施した。
得られた固体高分子型燃料電池用電解質膜の積層体の160℃の熱収縮率(縦方向、横方向の平均値)は9.0%であった。
また、80℃の湿潤寸法変化率(縦方向と横方向の平均値)は6.0%であった。
以上のようにして得られた固体高分子型燃料電池用電解質膜の積層体を用いて、160℃の熱プレスにて膜電極接合体を作製したが、熱収縮によるシワ発生や破れは観察されなかった。
また、室温にて金枠に固定し80℃温水中に浸漬させたが、厚みムラ、シワや破れの発生、弛みは観察されず、寸法安定性に優れた固体高分子型燃料電池用電解質膜の積層体であることがわかった。
また、得られた固体高分子型燃料電池用電解質膜の積層体を運転温度80℃で燃料電池評価したところ、初期電池発電テストでは168hr(1週間)の運転でもセル電圧低下は30%以内であり、実施例1及び2と同様の結果となった。
[比較例1]
実施例1と同じ前駆体膜を用いて熱処理工程の温度が160℃である以外は実施例1と同様にして電解質膜を得た。得られた電解質膜の160℃の熱収縮率(縦方向と横方向の平均値)は39.0%であった。また、80℃の湿潤寸法変化率(縦方向と横方向の平均値)は0.7%であった。
得られた電解質膜を用いて、160℃の熱プレスにて膜電極接合体を作製しようとしたが、熱収縮によりセル内相当部の厚み偏差が倍近くなり、厚み斑が発生しており、膜電極接合体は作製出来なかった。尚、室温にて、金枠に固定し80℃温水中に浸漬させたが、シワや破れの発生や弛みは観察されなかった。
[比較例2]
実施例1と同じ前駆体膜を用いて、延伸工程の延伸倍率が縦方向及び横方向とも1.1倍である事以外は実施例1と同様の方法で電解質膜を得た。尚、得られた電解質膜の延伸後、熱処理後の厚みはいずれも40μmであった。
得られた電解質膜の160℃の熱収縮率(縦方向と横方向の平均値)は2.0%であった。また、80℃の湿潤寸法変化率(縦方向と横方向の平均値)は33.7%であった。
得られた電解質膜を用いて、160℃の熱プレスにて膜電極接合体を作製したが、熱収縮はなくシワや破れの発生や弛みは観察されなかった。また、室温にて金枠に固定し80℃温水中に浸漬させたが、破れはないが、シワやや弛みが大量に発生している事が観察された。
また、得られた電解質膜を用いて燃料電池評価をしたところ、初期発電電圧が低く、更には7時間で、発電しなくなった。
[比較例3]
実施例2と同じ前駆体膜を用いて、熱処理温度が140℃である以外は実施例2と同様にして電解質膜を得た。電解質膜の延伸後、熱処理後の厚みはいずれも22μmであった。
得られた電解質膜の160℃の熱収縮率(縦方向と横方向の平均値)は38.0%であった。また、80℃の湿潤寸法変化率(縦方向と横方向の平均値)は0.8%であった。
得られた電解質膜を用いて、160℃の熱プレスにて膜電極接合体を作製したが、熱収縮により延伸前に近い厚みに戻っており、膜電極接合体(MEA)は作製出来なかった。また、室温にて金枠に固定し80℃温水中に浸漬させたが、シワや破れの発生や弛みは観察されなかった。
[比較例4]
実施例2と同じ前駆体膜を用いて、延伸倍率が縦方向・横方向ともに1.1倍であること、熱処理温度が140℃である事以外は実施例2と同様にして電解質膜を得た。
得られた電解質膜の160℃の熱収縮率(縦方向と横方向の平均値)は1.0%であった。また、80℃の湿潤寸法変化率(縦方向と横方向の平均値)は35.0%であった。
得られた電解質膜を用いて、160℃の熱プレスにて膜電極接合体を作製したが、熱収縮はなくシワや破れの発生や弛みは観察されなかった。また、室温にて金枠に固定し80℃温水中に浸漬させた。破れはないが、シワやや弛みが大量に発生している事が観察された。
また、得られた電解質膜を用いて燃料電池評価をしたところ、初期発電電圧が低く、更には8時間で、発電しなくなった。
本発明の電解質膜製造方法及び製造膜は、寸法安定性に優れた固体高分子型燃料電池用電解質膜として、燃料電池の分野で好適に利用できる。

Claims (4)

  1. イオン交換基を有するパーフルオロカーボン重合体の膜を
    (1)該重合体のα分散温度より20℃低い温度以上で、α分散温度より20℃高い温度以下の領域に含まれる第一の延伸温度下で、一軸延伸する第一の延伸工程と、
    (2)該重合体のα分散温度より20℃低い温度以上で、α分散温度より40℃高い温度以下の領域に含まれる延伸温度であって、かつ、第一の延伸温度より高い第二の延伸温度下で、第一の延伸工程の延伸方向と直交する方向に一軸延伸する第二の延伸工程と、
    (3)引き続き、膜を固定した状態で第二の延伸温度より少なくとも高い温度で熱処理する熱処理工程と、
    を経て成る固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
  2. 該イオン交換基がスルホン酸基であることを特徴とする請求項1に記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
  3. 第一の延伸工程が縦軸延伸であって、第二の延伸工程が横軸延伸である事を特徴とする請求項1又は2に記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
  4. 第一の延伸工程の延伸倍率及び、第二の延伸工程の延伸倍率が各々独立に1.2倍以上2.5倍以下であり、かつ、面積延伸倍率が2〜6倍であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の固体高分子型燃料電池用電解質膜の製造方法。
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