JP4187973B2 - ディジタル放送受信装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ディジタル放送を受信する装置において、待機電力を極力削減するディジタル放送受信装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
現在、テレビジョン放送において、既に一部でディジタル放送が始まっており、最近ではディジタル放送の多チャンネル化が急速に進められている。
そのようなディジタル放送において、受信側では、アナログ放送用テレビジョン装置に接続された宅内受信装置であるIRD(Integrated Reciever Decoder )によって受信する。現状ではアナログ変換したものを視聴するのが主流である。
【0003】
上記IRDに対して、送信側からデータのスクランブルを解くための制御情報EMM(Entitlement Management Message,鍵個別情報)やユーザ個人に宛てたメッセージであるメールなどが送信される。該EMMは、受信側の各IRDに応じて異なるものが送信され、また、いつ送信されるかわからない。このことは、上記メールについても同様である。したがって、上記IRDは、送信側からいつ送信されるかわからないEMM等を監視し、いつでも受信できるように常に電源を入れた状態になっている。また、アナログ放送で実施されているような、津波発生などに対する緊急警報放送が実施される可能性も大いにあり、これに対応する場合にも、該緊急警報放送がいつでも受信できるようになっていなければならない。
【0004】
ところで、昨今、地球温暖化防止が叫ばれ、個人消費用の家電製品においても、産業界からだけでなく消費者側からも省エネ仕様のものが要求されるようになってきた。そこで、当然、テレビジョン受信装置、特に需要拡大が見込まれるディジタル放送用受信装置についても、省エネ対策が講じられたものが要求される。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述のように、IRDではEMM等を監視するため、受信しないときでも常に電源オン状態であり、該IRDのパワーセーブが求められる。
そこで、IRDにおいて、EMM等を監視する部分にだけ電力を供給し、その他の部分へはEMM等が送信されたときだけ供給するようにすることが考えられる。ここで、IRDでは、FE(Front End ,フロントエンド)およびCPUの部分がEMM等を監視する。したがって、FEおよびCPUの部分だけは常時電源オン状態にしなければならない。
【0006】
ところが、FEは、IRDの消費電力において支配的で、確実にその電力の50%を越え、IRDによっては約80%も占めるため、この方法では省エネ効果は上がらない。すなわち、IRDのパワーセーブには、FEの電力消費を抑えることができなければならない。
【0007】
本発明は、かかる問題点を解決するためになされたもので、ディジタル放送を受信する装置において、待機電力を極力削減することができるディジタル放送受信装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するために、本発明(請求項1)にかかるディジタル放送受信装置は、緊急警報放送を含む放送番組が多重化されたトランスポートストリームを受信する第1受信部と、前記トランスポートストリームに含まれる前記緊急警報放送に関するビデオパケット及び/又はオーディオパケットを抽出するトランスポート処理部と、抽出された前記ビデオパケット及び/又は前記オーディオパケットを復号するAV復号処理部と、前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信する第2受信部と、前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、前記第2受信部から前記緊急警報信号が入力されたときに前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を行なうものである。
【0009】
また、本発明(請求項2)にかかるディジタル放送受信装置は、請求項1に記載のディジタル放送受信装置において、前記第1受信部が受信する前記トランスポートストリームは、少なくともディジタル放送受信装置が利用する利用情報が送信される送信時刻を含む送信予定情報を含み、前記トランスポート処理部は、前記トランスポートストリームに含まれる前記送信予定情報を抽出し、前記制御部は、前記送信予定情報に含まれる前記送信時刻を抽出し、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、抽出した前記送信時刻に前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を行うものである。
【0010】
また、本発明(請求項3)にかかるディジタル放送受信装置は、請求項2に記載のディジタル放送受信装置において、前記送信予定情報は、前記利用情報のバージョン情報を更に含み、前記制御部は、前記送信予定情報に含まれる未取得の前記バージョン情報に対応する前記送信時刻を抽出し、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、抽出した前記送信時刻に前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を行なうものである。
【0011】
また、本発明(請求項4)にかかるディジタル放送受信装置は、請求項1乃至3のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、前記第2受信部は、前記第1受信部とは異なる伝送路で前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信するものである。
【0012】
また、本発明(請求項5)にかかるディジタル放送受信装置は、 請求項1乃至3のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、前記第2受信部は、前記第1受信部とは異なる搬送波で前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信するものである。
【0017】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づき詳細に説明する。
【0018】
実施の形態1.
本発明の実施の形態1によるディジタル放送方法は、受信側IRDに必要な情報が送信されたときだけ、該情報を受信する受信部を含むフロントエンドの電源をオンにするため、該IRDに必要な制御情報などの情報が送信される時刻等についての送信予定情報を前もって送信側から送信するものである。
【0019】
図1は本発明の実施の形態1によるディジタル放送方法において送信される送信予定情報の一例を示す図である。ここでは、該送信予定情報をPreinform Table と称す。
【0020】
図において、11はdata typeであり、IRDに必要な情報のうち送信される情報の種類を示す。例えば、データのスクランブルを解くための制御情報であるEMM(Entitlement Management Message,鍵個別情報)やIRDにあるソフトウェアのバージョンアップ情報,バグフィックス情報などのダウンロードデータが挙げられる。12はird id rangeであり、送信される情報の送付対象となる複数のIRDの識別子であるird idをまとめて示す。13はtimeであり、情報が送信される送信時刻を示す。
【0021】
ここで、上記EMMは、受信側の各IRDに対して個別に送信される情報であって、各EMMにはそれぞれ送付先IRDが有する固有のird idが埋め込まれている。そこで、各EMMごとに、送信先の個々のIRDに対応するird idを記述することもできるが、送信予定情報(Preinform Table)の記述内容が膨大になるので、複数のird idをまとめて示すものとした。
【0022】
なお、上記送信時刻は、IRD側で何度か情報取得に失敗しても時間内に最終的に取得できるように、情報を繰り返し何回か送信できるだけの余裕をもって設定することが望ましい。また、上述のように、上記EMMについては、複数の送付先IRDのird idに向けたものがまとめて送信されるので、該送付先の数によっても送信時間に配慮する必要がある。すなわち、一斉に多数のIRDが起動されると電力事情に混乱が生じる恐れがあり、後述する図4に示すように、本発明では、機種毎、あるいは地域毎などで起動されるIRDを分散させるように、各起動時間をずらせている。
【0023】
図2は図1に示した送信予定情報(Preinform Table)を多重化したトランスポートストリームの一例を示す概略図である。
図2において、21はビデオパケットであり、映像データが送信されるパケットである。22はオーディオパケットであり、音声データが送信されるパケットである。23は送信予定情報パケットであり、上記送信予定情報(Preinform Table)がマッピングされている。
【0024】
なお、上記送信予定情報をTSに多重する頻度は、任意に設定することができる。また、上記送信予定情報は、DUB(Dijital Video Broadcatsting )、ARIB(社団法人電波産業会)規格によるSI(Service Information ,サービス情報)やMPEG規格によるPSI(Program Specific Information,プログラム特定情報)などにおけるテーブルの1つとして送信するものとしてもよい。
【0025】
図3はIRDに必要な情報を多重化したトランスポートストリームの一例を示す概略図である。
【0026】
図3において、図2と同一符号は同一又は相当部分を示す。また、24,25および26はそれぞれEMM(#1001あて),EMM(#1002あて)およびEMM(#1003あて)であり、個々のird idを有するIRDに対応するEMMが送信されるパケットである。具体的には、図1に示した,ird id(#1001〜#2000)のIRDに対応するEMMが多重化されたトランスポートストリームを示している。すなわち、各ird idを有するIRDに対応するEMMが、別個のパケットで送信される。したがって、多重化されるIRDに必要な情報が図1に示したダウンロードデータである場合、受信側のすべてのird idを有するIRDに対応するものであるため、1つのダウンロードデータがトランスポートストリームに多重化されることになる。
【0027】
なお、EMMやダウンロードデータなどがトランスポートストリームに多重される頻度についても、上記送信予定情報と同様、任意に設定することができる。ここで、ディジタル放送としては、現在実用化されているものに加え、種々のもの(例えば、地上波テレビジョン放送やケーブルテレビジョン放送におけるディジタル放送など)が検討されているが、その放送方式は異なるものとなることも予想される。例えば、複数の番組供給会社からの番組を1つの放送事業者がまとめて、共通のEMMやダウンロードデータなどを採用する場合であれば、すべてのトランスポートストリームに上記送信予定情報を多重化でき、受信側では、いずれかのトランスポートストリームで送信される番組を視聴すれば、該送信予定情報を取得することができる。しかしながら、複数の番組供給会社が、異なるEMMやダウンロードデータを採用し、専用のトランスポートストリームで独自のダウンロードデータなどを送信することも想定される。この場合には、すべてのトランスポートストリームで送信されるEMM等についてまとめた送信予定情報を用意して、該送信予定情報をすべてのトランスポートストリームで送信するようにすれば、受信側では、容易にもれなく送信予定情報を取得することができる。
【0028】
図4は本発明の実施の形態1によるディジタル放送方法において送信される送信予定情報(Preinform Table )のその他の一例を示す図である。
図において、図1と同一符号は同一又は相当部分である。また、14はversion noであり、EMMやダウンロードデータのバージョン番号を示す。すなわち、上述のように、複数の番組供給会社が、異なるバージョンのEMMやダウンロードデータを採用し、各番組供給会社がそれぞれバージョンを上げるたびにEMM等を送信すれば、受信側では、同じバージョンのEMM等を重複して受信することになる。また、送信側では、確実な受信側での取得を確保するため、EMMやダウンロードデータを、time13に記述された一定時間内に繰り返し送信するだけでなく、その後再び同じものを繰り返し送信するものとする場合もある。そこで、上記バージョン番号が示されていれば、受信側では、同じバージョンのEMMやダウンロードデータを重複して受信することを避けることができる。
【0029】
このように、本発明の実施の形態1によるディジタル放送方法は、送信側において、送信側から送信されて受信側IRDが利用する情報についての情報の種類,情報の送付対象の識別子および情報が送信される送信時刻を記述した送信予定情報を送信するものとしたから、これらの情報を受信側で利用すれば、番組非視聴時には、CPU以外の部分の電源をオフにし、自己のIRD宛ての情報の送信時刻にのみ上記部分の電源をオンにして、待機電力を最小限にして自己のIRD宛ての情報は確実に取得することができる。
【0030】
また、送信側において、さらにバージョン番号について記述した送信予定情報を送信するものとしたから、これらの情報を受信側で利用すれば、自己のIRD宛の情報を既に記憶しているか否かを確認して、重複して情報を取得することがなくなれば、より待機電力を抑えて節電効果を上げることができる。
【0031】
図5は上記ディジタル放送方法を実現するためのディジタル放送送信装置の構成を示すブロック図である。
図において、50は映像および音声情報をMPEG規格によりトランスポートストリーム化するMPEG−TS部、51はPreinform Table 生成部であり、IRD製造時にメーカが付与したり、IRD販売時に各IRDに割り付けされたりして決まる各IRD情報によってPreinform Table を作成する。また、52はMPEGストリームおよびPreinform Table からTSパケットを生成するTSパケット合成部、53はTSパケットを多重化して送出部54から送出するための多重化/変調部である。Preinform Table の内容については図1で示したとおりである。以上のような構成を有するディジタル放送送信装置を用いることで、各IRDは自分宛てのEMM情報を何時受け取るかを知ることができるようになる。
【0032】
図6は上記ディジタル放送送信装置により送出された信号を受信するためのディジタル放送受信装置(IRDの)の構成を示す図である。図において、60はIRDである。61はFE(フロントエンド)であり、電波のビットストリームを復調するディジタル復調部およびビット誤りを正す誤り訂正部に相当する。62はTD(Transport Decorder,トランスポートデコーダ)であり、FE61から出力される1本のトランスポートストリームから送信予定情報を取り出すとともに、ビデオ,オーディオなどのパケットを抽出する。63はAVD(AVデコーダ)であり、TD62で抽出されたビデオパケットおよびオーディオパケットをそれぞれ復号して映像および音声を再生し、外部表示部へ出力する。64はCPU(制御手段に対応する)であり、送信予定情報に基づいてFE61,TD62およびAVD63への電力供給を制御する。また、65は上記CPU64の処理時に使用されるメモリである。さらに、上記TD62には番組パケット抽出部62a,Preinform Table 抽出部62b,EMMデータ抽出部62cが含まれる。66は電源に接続され、後述する制御部の出力によってFE61,TD62への電源の供給を制御するための電力制御部である。また、上記CPU64には、ird id range抽出部64a,送信時刻抽出部64b,制御部64cが含まれる。
【0033】
図7は本発明の実施の形態1によるディジタル放送受信装置における処理動作を示すフローチャートを示す図である。
次に、本発明の実施の形態1によるディジタル放送受信装置において、図1に示したPreinform Table を取得して、当該Preinform Table からの情報に基づいて行う処理動作について、図7に示したフローチャートに沿って説明する。
【0034】
まず、FE61で、受信した電波のビットストリームを復調してビット誤りを訂正し、ユーザによって選択されたサービス(番組)を含むトランスポートストリームを出力する。当該トランスポートストリームから、TD62を構成するPreinform Table 抽出部62bによってPreinform Table のパケットが抽出され、番組パケット抽出部62a によってビデオパケットおよびオーディオパケットが抽出され、さらに、EMMデータ抽出部62cによってEMM情報が抽出される。なお、ここでは、TD62からEMデータの抽出を示しているが、ダウンロードデータ等の他のデータも抽出できることはいうまでもない。
【0035】
上記抽出されたPreinform Table のパケットから、CPU64がPreinform Table を解析する(ステップS1)。すなわち、CPU64を構成するird id range抽出部64aは、自己のIRD60が有するird idが含まれるird id range12を探し、送信時刻抽出部64cによって、これに対応する情報の種類をdata type 11を参照して当該情報の送信時刻をtime13によって認識することができ(ステップS2)、該送信時刻をメモリ65に記憶しておく。例えば、自己のIRD60のird idが#1003であれば、10:00〜10:10に送信されるEMM,および11:00〜12:00に送信されるダウンロードデータを取得すべきことを認識し、これらの送信時刻をメモリ65に記憶することになる。このとき、TD62で抽出されて出力されたビデオパケットおよびオーディオパケットは、AVD63で復号されて外部表示画面等に出力され、ユーザはこれを視聴する。
【0036】
ユーザが上記番組の視聴を終了すると、CPU64を構成する制御部64cは、FE61,TD62およびAVD63への電力供給を停止し(ステップS3)、IRD65の内部時計,すなわちCPU64の時計によって、記憶した送信時刻と現在時刻とを比較して、送信時刻のチェックを行なう(ステップS4)。そして、該送信時刻の直前になったことを確認して、制御部64cは電力制御部66を制御して、FE61およびTD62への電力供給を開始し(ステップS5)、自己のIRD60にあてられたデータを取得する(ステップS6)。
【0037】
例えば、CPU64が10:00の数秒前になったことを確認して、電力制御部を制御して、FE61およびTD62への電力供給を開始し、10:00〜10:10に送信されるトランスポートストリーム(図3参照)を受信する。そして、TD62にて該トランスポートストリームからEMMデータ抽出部62cによってEMM(#1003あて)のパケットを抽出して、当該パケットのデータ,すなわちEMMをCPU64で処理する。
【0038】
このように、本発明の実施の形態1によるディジタル放送受信装置は、送信側から送信される送信予定情報を取得解析し、自己のIRD宛ての情報の送信時刻を記憶して、番組非視聴時には、CPU以外の部分の電源をオフにし、上記送信時刻には該部分の電源をオンにするCPUを備えたから、自己のIRD宛ての情報を確実に取得し、待機電力を最小限にして節電効果をもたらすことができる。
【0039】
実施の形態2.
次に本発明の実施の形態2によるディジタル放送受信装置について説明する。
【0040】
図8は本発明の実施の形態2によるディジタル放送受信装置(IRD)の構成を示すブロック図であり、図において、図6と同一符号は同一、又は相当部分を示し、80はIRD、64’はCPUであり、Preinform Table から情報の種類のバージョンを抽出するバージョン情報抽出部64dが備わっている点が実施の形態1で示した構成と異なる。
【0041】
以下、図4に示したPreinform Table を取得して、当該Preinform Table からの情報に基づいて処理動作する場合について説明する。
まず、上述の図1に示したPreinform Table を取得する場合と全く同様にして、図4に示したPreinform Table を取得解析する。CPU64’は、自己のIRD80が有するird idが含まれるird id range12を探し、これに対応する情報の種類をdata type 11より、当該情報の送信時刻をtime13によって認識し、さらに、該情報の種類のバージョンを認識することができる。したがって、CPU64’では、自己のIRD80あてのものであると認識した情報の種類に加えて、そのバージョンを認識するとともに、認識されたバージョンのものが既に取得されているか否かを判断する。取得済みのものについての送信時刻は記憶せず、取得されていないバージョンの情報の送信時刻のみを記憶する。具体的には、自己のIRD80のird idが#5700であれば、10:10〜10:20に送信されるダウンロードデータB,11:00〜12:00に送信されるダウンロードデータA,および13:00〜15:00に送信されるダウンロードデータBが自己のIRD80あての情報であることと、これらの情報のバージョンを認識する。そして、例えば、ダウンロードデータBについて、バージョン10のものは取得済みで、バージョン11のものは取得されておらず、バージョン2のダウンロードデータAについても取得されていない場合、CPU64’は、バージョン11のダウンロードデータB,およびバージョン2のダウンロードデータAを取得すべきことを判断し、これらの送信時刻を記憶することになる。TD62で抽出されたビデオパケット等については、上述の図1に示したPreinform Table を取得する場合と全く同様であり、番組視聴終了後の処理動作についても同様である。
【0042】
このように本実施の形態2によれば、送信側から送信されるバージョン情報を含む送信予定情報を取得解析し、自己のIRD宛の情報であって既に記憶しているか否かを判断して、記憶していないものの送信時刻のみを記憶するものとしたから、上記実施の形態1に示した効果に加えて、自己のIRDに必要な情報を重複して取得することなく、より待機電力を抑えて節電効果を上げることができる。
【0043】
実施の形態3.
次に本発明の実施の形態3によるディジタル放送受信装置について説明する。
【0044】
図9は本発明の実施の形態3によるディジタル放送受信装置(IRD)の構成を示すブロック図であり、図において、図8と同一符号は同一又は相当部分を示し、90はIRD、91は制御部64cに接続された第2伝送路受信部であり、ラジオなどの緊急警報信号を受信する。すなわち、津波や地震などの緊急事態発生時において、ディジタルのテレビジョン信号が放送される、FE61、TD62、AVD63、CPU64’から構成される第1の伝送路とは別に、ラジオなどの第2の伝送路で放送される緊急警報信号を受信するように構成されている。
【0045】
なお、CPU64’を構成する制御部64cは、図8に示したものと同じく、送信予定情報に基づいて、FE61,TD62およびAVD63への電力供給を制御するが、これに加えて、第2伝送路受信部91が受信した緊急警報信号を受けて、FE61,TD62およびAVD63を作動させるようになっている。
【0046】
図10は本発明の実施の形態3によるディジタル放送受信装置における動作を示すフローチャートを示す図である。
以下、動作について、図10に示したフローチャートに沿って説明する。
まず、実施の形態2と同様にして、図1あるいは図4に示したPreinform Table を取得解析して、CPU64’が自己IRD52に宛てられた情報の種類,送信時刻等を認識し、当該送信時刻を記憶した後、ユーザが番組の視聴を終了する。このとき、CPU64’は、当該CPU64’および第2伝送路受信部91以外の、FE61,TD62およびAVD63の電源をオフ状態とし(ステップS101)、IRD90の内部時計によって記憶した送信時刻と現在時刻とを比較して、送信時刻のチェックを行なう。
【0047】
この状態で、第2の伝送路であるラジオ電波などにより緊急警報信号が伝送されると、第2伝送路受信部91は、該緊急警報信号を受信し(ステップS102)、該緊急警報信号を受信した旨をCPU64’に通知する(ステップS103)。この通知を受けて、CPU64’では、FE61,TD62およびAVD63の電源を入れて作動させる(ステップS104)。このとき第1の伝送路で伝送される緊急警報放送を、FE61にある第1伝送路の受信部が受信する。そして、該緊急警報放送が含まれるトランスポートストリームから、TD62は上記緊急警報放送の映像および音声がそれぞれ入ったビデオパケットおよびオーディオパケットを抽出し、AVD63で復号されて外部表示部に出力される(ステップS105)。ここで、上記緊急警報放送は、緊急事態発生時用に作成された映像等の番組であってもよいし、通常のテレビ番組の映像の一部に緊急事態発生を警告する文字等が入ったものなどでもよい。前者のような緊急警報放送を受信する場合、例えば、第1の伝送路の送信側で該緊急警報放送を送信するトランスポートストリームをあらかじめ設定し、第2伝送路受信部91で上記緊急警報信号を受信したとき、CPU64’が、FE61等の電源を入れるだけでなく、該緊急警報放送が送信されるあらかじめ設定されたトランスポートストリームを選択するようFE61のトランスポンダを切り替えさせるようにする。また、後者のような緊急警報放送を受信する場合であれば、緊急事態発生時に放送される番組すべてが緊急警報放送になるものとして、第2伝送路受信部91で上記緊急警報信号を受信したとき、CPU64はFE61等の電源を入れるだけとし、FE61が前回視聴終了時に選択していたトランスポートストリームに含まれる緊急警報放送の信号を出力する。
【0048】
また、上記緊急警報信号と上記緊急警報放送とは、必ずしもリンクしていなければならないというものではない。すなわち、上述のように、ディジタルテレビジョン放送およびラジオ放送という異なる伝送路で、それぞれ別個独立して上記緊急警報信号および上記緊急警報放送が送信されるものであっても、津波や地震などの緊急事態発生時には、送信開始時刻にずれはあっても両者共送信されるので、ユーザは上記緊急警報放送を視聴することができる。
【0049】
なお、第2伝送路受信部91は、常に電源オン状態であり、CPU64’による電力制御を受けるものではないので、該第2伝送路受信部91の電源をCPU64’などのIRD90の電源とは別の乾電池等にすることも可能である。
【0050】
また、上記第2の伝送路91としては、ラジオ電波に限らず、緊急警報信号を伝送するものであればよく、例えば有線などを採用してもよい。ただし、第2伝送路受信部91が簡易なものとなるような伝送路を選択することが好ましい。すなわち、本実施の形態3において、第2伝送路受信部91では緊急警報信号のみを受信して利用し、緊急警報に対する詳細な情報(映像,音声など)については上記第1の伝送路からのものを受信するものであるため、第2伝送路受信部91としては、簡易な装置であって、電力消費が少なく安価なラジオなどがより好ましい。
【0051】
さらに、図6や図9に示したような構成において、緊急警報信号を受信した際に、それぞれ図11(a),図11(b)に示すような構成として、緊急警報に対する詳細な情報(映像,音声など)を出力するのに代えて、Beep音発生器110およびスピーカー111に電源を投入してビープ音を発生するようにしてもよい。このようにすることで、より、視聴者に注意を促すことができるとともに、例えば、表示装置に不具合等が生じて表示不能のような場合においても、緊急放送を認識することができる。なお、図9では、説明を簡略化するために電源、メモリ、およびCPUの詳細な構成については省略している。
【0052】
このように、本発明の実施の形態3によるディジタル放送受信装置は、ディジタル放送を受信するFEとは別に、当該ディジタル放送とは異なる伝送路で送信される緊急警報信号を受信する第2伝送路受信部91と、該第2伝送路受信部91からの通知を受けてFE等の電源をオンするCPU64’とを備えたから、番組非視聴時に、FE61の電源がオフの状態でも緊急事態発生を知ることができ、このことによって、FE61の電源を入れて緊急警報放送を受信することができる。すなわち、待機電力を最小限にしつつ、確実に緊急警報放送を受信することができる。
【0053】
なお、本実施の形態3では、緊急警報信号を受信した際にビープ音を発生することにより緊急事態を通報するようにしたが、音声発生以外に、発光,振動動作を行う場合や、所定のセンターなどへ公衆電話回線網などを介して通報を行う場合も考えられる。
【0054】
【発明の効果】
以上のように、本発明(請求項1)にかかるディジタル放送受信装置によれば、緊急警報放送を含む放送番組が多重化されたトランスポートストリームを受信する第1受信部と、前記トランスポートストリームに含まれる前記緊急警報放送に関するビデオパケット及び/又はオーディオパケットを抽出するトランスポート処理部と、抽出された前記ビデオパケット及び/又は前記オーディオパケットを復号するAV復号処理部と、前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信する第2受信部と、前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、前記第2受信部から前記緊急警報信号が入力されたときに前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を行なうものとしたことにより、待機電力を最小限にしつつ、確実に緊急警報放送を受信することができる効果がある。
【0055】
また、本発明(請求項2)にかかるディジタル放送受信装置によれば、請求項1に記載のディジタル放送受信装置において、前記第1受信部が受信する前記トランスポートストリームは、少なくともディジタル放送受信装置が利用する利用情報が送信される送信時刻を含む送信予定情報を含み、前記トランスポート処理部は、前記トランスポートストリームに含まれる前記送信予定情報を抽出し、前記制御部は、前記送信予定情報に含まれる前記送信時刻を抽出し、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、抽出した前記送信時刻に前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を行うことにより、緊急警報放送だけでなく、自己のIRD宛ての情報をも確実に取得しながら、待機電力を最小限にして節電効果を上げることができる効果がある。
【0056】
また、本発明(請求項3)にかかるディジタル放送受信装置によれば、請求項2に記載のディジタル放送受信装置において、前記送信予定情報は、前記利用情報のバージョン情報を更に含み、前記制御部は、前記送信予定情報に含まれる未取得の前記バージョン情報に対応する前記送信時刻を抽出し、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、抽出した前記送信時刻に前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を行なうようにしたことにより、自己のIRDにあてられた情報を重複して取得することなく、緊急警報放送、及び自己のIRD宛ての情報を確実に取得することができ、より待機電力を抑えて節電効果を上げることができる効果がある。
【0057】
また、本発明(請求項4)にかかるディジタル放送受信装置によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、前記第2受信部は、前記第1受信部とは異なる伝送路で前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信することとしたことにより、待機電力を最小限にしつつ、確実に緊急警報放送を受信することができる効果がある。
【0058】
また、本発明(請求項5)にかかるディジタル放送受信装置によれば、請求項1乃至3のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、前記第2受信部は、前記第1受信部とは異なる搬送波で前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信するものとしたことにより、待機電力を最小限にしつつ、確実に緊急警報放送を受信することができる効果がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態1によるディジタル放送方法において送信される送信予定情報の一例を示す図である。
【図2】図1に示した送信予定情報(Preinform Table )を多重化したトランスポートストリームの一例を示す概略図である。
【図3】IRDに必要な情報を多重化したトランスポートストリームの一例を示す概略図である。
【図4】本発明の実施の形態1によるディジタル放送方法において送信される送信予定情報(Preinform Table )のその他の一例を示す図である。
【図5】上記実施の形態1によるディジタル放送方法を実現するためのディジタル放送送信装置の構成を示すブロック図である。
【図6】上記実施の形態1によるディジタル放送受信装置(IRD)の構成を示すブロック図である。
【図7】上記実施の形態1によるディジタル放送受信装置における処理動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図8】本発明の実施の形態2によるディジタル放送受信装置(IRD)の構成を示すブロック図である。
【図9】本発明の実施の形態3によるディジタル放送受信装置(IRD)の構成を示すブロック図である。
【図10】上記実施の形態3によるディジタル放送受信装置における動作を説明するためのフローチャートを示す図である。
【図11】上記実施の形態3によるディジタル放送受信装置の変形例を示すブロック構成図である。
【符号の説明】
11 data type(情報の種類)
12 ird id range(情報の送付対象)
13 time(送付時刻)
14 version no(バージョン番号)
21 ビデオパケット
22 オーディオパケット
23 送信予定情報パケット
24 EMM(#1001あて)
25 EMM(#1002あて)
26 EMM(#1003あて)
60,80,90 IRD
61 FE
62 TD
63 AVD
64,64’ CPU
65 メモリ
66 電力制御部
91 第2伝送路受信部
110 ビープ音発生器
111 スピーカー
Claims (5)
- 緊急警報放送を含む放送番組が多重化されたトランスポートストリームを受信する第1受信部と、
前記トランスポートストリームに含まれる前記緊急警報放送に関するビデオパケット及び/又はオーディオパケットを抽出するトランスポート処理部と、
抽出された前記ビデオパケット及び/又は前記オーディオパケットを復号するAV復号処理部と、
前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信する第2受信部と、
前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、前記第2受信部から前記緊急警報信号が入力されたときに前記第1受信部、前記トランスポート処理部及び前記AV復号処理部への電源供給を行なうことを特徴とするディジタル放送受信装置。 - 請求項1に記載のディジタル放送受信装置において、
前記第1受信部が受信する前記トランスポートストリームは、少なくともディジタル放送受信装置が利用する利用情報が送信される送信時刻を含む送信予定情報を含み、
前記トランスポート処理部は、前記トランスポートストリームに含まれる前記送信予定情報を抽出し、
前記制御部は、前記送信予定情報に含まれる前記送信時刻を抽出し、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、抽出した前記送信時刻に前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を行うことを特徴とするディジタル放送受信装置。 - 請求項2に記載のディジタル放送受信装置において、
前記送信予定情報は、前記利用情報のバージョン情報を更に含み、
前記制御部は、前記送信予定情報に含まれる未取得の前記バージョン情報に対応する前記送信時刻を抽出し、放送番組非視聴時には前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を停止し、抽出した前記送信時刻に前記第1受信部、前記トランスポート処理部、及び前記AV復号処理部への電源供給を行なうことを特徴とするディジタル放送受信装置。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、
前記第2受信部は、前記第1受信部とは異なる伝送路で前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信することを特徴とするディジタル放送受信装置。 - 請求項1乃至3のいずれかに記載のディジタル放送受信装置において、
前記第2受信部は、前記第1受信部とは異なる搬送波で前記緊急警報放送に関連した緊急警報信号を受信することを特徴とするディジタル放送受信装置。
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