JP4186244B2 - 自動車のフロア構造 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、自動車特に、多目的車両いわゆるレクレーショナル・ビークル車等に好適な車体構造に関するものである。
【0002】
【従来技術】
一般に、車両のステアリング位置は、その操作性および乗降性に大きな影響を与える。すなわち、操作性を重視した比較的低いステアリング位置のレイアウトでは、乗降性、特に降車性が犠牲になる。つまり、ドライバーは降車時に降り易い体勢を取るため足を引く動作を示し、この動作により膝とステアリングホイールとの干渉が生じる可能性がある。この傾向は、地上高の高い車両、特に上記多目的車両いわゆるレクレーショナル・ビークル車において顕著である。詳細には、レクレーショナル・ビークル車では、一般的に地上高が高く設定されるため、右ハンドル車であれば乗降のために右足をドアから外に出しても地面に右足が接地せず、乗員は左足を引き、左足で踏ん張ってお尻をシ−トからずらすように体重移動を行って右足を接地させるようにする必要がある。そのため、左足をシ−ト側に引いて踏ん張る動作が必然的に必要とされるレクレーショナル・ビークル車で上記問題は顕著となる。
【0003】
従来、車両のフロア構造では、車室フロアを構成する車体パネルに補強のための凹凸が設けられていた(例えば実開平2−33183号公報参照)。しかしながら、この補強のため車室フロアに凹凸を設ける従来のものは、該凹凸の大きさが足の大きさとの関係で決定されていないことや、フロアマットで覆われることを考えれば、その最終使用状態でフロア面はほぼ平面状であり、上記操作性と乗降性とを両立されることはできなかった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記したステアリングの操作性を犠牲にすることなく乗降性を向上させるためには、乗降時ステアリングを乗降の妨げとならない位置に移動させることが考えられるが、ステアリング機構が複雑化する。つまり、ステアリングの操作性と乗降性とを両立させるため、ステアリング側の構造で対応すれば、構造が複雑化してしまう問題がある。
【0005】
この発明は、このような点に鑑み、上記ステアリングの操作性と乗降性とを両立させるため、車両のフロア構造側の構造で対応するようにしステアリング機構の複雑化等の問題を生じることなく、上記した両特性を両立させることを目的とするものである。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するため、この発明の解決手段では、操作性と乗降性とが両立する形状に車室フロアを形成したものである。
具体的には、請求項1の発明は、車室フロアにドライバー席が設けらるとともに、その前方にステアリングが設けられた車両において、上記車室フロアの少なくとも上記ドライバー席シートの前方には、略平坦なペダル設置部が設けられ、該ペダル設置部の車両後方でかつシートクッション先端部の略鉛直下には、車両前方の前傾斜部、該前傾斜部の車両後方に連続しステアリングのステアリングホイールの略直下に位置する段下げ部、および該段下げ部の車両後方に連続する後傾斜部からなる凹所が設けられ、上記前傾斜部は、上記ペダル設置部から段下げ部へ向かい下方に傾斜しているとともに、上記後傾斜部は、段下げ部から車両後方の車室フロアへ向かい上方に傾斜しており、上記前傾斜部および段下げ部を合わせた車両前後方向の長さは、一般的な靴の大きさと近似する所定幅に設定され、乗員がドライバー席から降車するとき、足を上記前傾斜部から段下げ部へと車両後方へ向けて移動させて降車可能なように構成されていることを特徴とする。
【0007】
また、請求項2の発明は、請求項1の自動車のフロア構造において、上記車両は、レクレーショナル・ビークル車であることを特徴とする。
【0008】
また、請求項3の発明は、請求項1の自動車のフロア構造において、上記凹所は、車幅方向中心線を基準とした左右対称位置の2箇所に設けられていることを特徴とする
【0009】
これにより、右ハンドル車、左ハンドル車の車体共通化が可能になる。
【0010】
さらに、請求項4の発明は、請求項1の自動車のフロア構造において、上記後傾斜部の傾斜が、上記前傾斜部の傾斜よりも急勾配であることを特徴とする。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、この発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。
図1〜図3は、この発明の実施形態に係る車両のフロア構造を示し、図1はこの発明が適用された車両の断面図、図2は要部断面図、図3は要部の斜視図である。
【0012】
において、1はレクレーショナル・ビークル車であり、車室フロア2にはドライバー席3が設置されるとともに、上記ドライバー席3の前方にはステアリングのステアリングホイール4が設けられている。
【0013】
上記ドライバー席3は、プロペラシャフトを収容するよう車室フロア2のほぼ中央に車体前後方向に設けられたトンネル部21と一方のサイドシル22との間に形成され、ドライバー席シート31が設置されている。
【0014】
上記車室フロア2の上記ドライバー席シート31の設置部23の前方に、その車幅とほぼ等しく、所定の前後幅を有する概略矩形の範囲にわたり凹所5が形成されている。
【0015】
6はドライバーにより操作されるペダルであり、このペダル6は、上記車体パネル2のほぼ平坦部に形成されたペダル設置部24の上方に位置している。
上記ペダル設置部24の後方には、傾斜部25が設けられ、これを介して上記ペダル設置部24の後方に段下げした形で上記凹所5が形成されている。
【0016】
上記実施形態において、上記凹所5の前後幅Aは一般的な靴の大きさに近似する寸法(例えば約250mm)に、前後幅Bは一般的な靴の踵の大きさをカバーする寸法(例えば約110mm)に設定されている。また、上記凹所5の窪み量Cは、車室フロア2上にフロアーカーペット(一般的には20〜30mmの厚さ)が敷かれても、後述するように上記ドライバー席シート31に着座した乗員が降車しようとして足を引いた時ステアリング4と膝の干渉が回避される寸法(例えば約20mm程度)に設定されている。
【0017】
なお、上記凹所5は、右ハンドル車、左ハンドル車の車体共通化のためトンネル部21を中心に左右対称に設けられている。
次に、上記の実施形態における車両の乗降性について説明する。
【0018】
この発明が適応されて好適なレクレーショナル・ビークル車1においては、着座中心HP〜地上までの高さ、または着座中心HP〜ペダル設置部24までの高さが高いため、ドライバーは乗降時特に降車時、脹ら踵をドライバー席シート31のシートクッション31Cの先端付近まで引き、引いた足で踏ん張ってお尻をスライドさせるよ体重移動を行い、車外に出した足を地面に接地させるよう動作を行うのが一般的である。
【0019】
この動作時ドライバーの膝は、ステアリング4と干渉する方向に変位することになり、従来のフロア構造では図2において破線で示すように、ステアリングホイール4との干渉が避け難い。
【0020】
これに対して、この実施形態では、脹ら踵を上記ドライバー席シート31のシートクッション31Cの先端付近まで引いても、上記凹所5により踵部が下がり、膝とステアリングホイール4との干渉が回避される方向に作用する。
【0021】
即ち、上記ステアリングホイール4はその操作性の観点から比較的低い設置位置(上記ステアリング4と上記シートクッション31Cとの間隔が比較的狭い約200mm前後)に設けても、足を引いた時、ステアリングホイール4と干渉することがなく、上記ステアリングホイール4と車室フロア2との間隔Dは、一般的な足の膝より下の長さを収容するに十分な約730mm前後が確保される。
【0022】
また、乗降時ドライバーは、足(踵部)をペダル設置部24と凹所5との間で移動させることになるが、上記ペダル設置部24の後方には、傾斜部25が設けられ、これを介して上記ペダル設置部24の後方に段下げした形で上記凹所5が形成されているため、上記足の移動はスムーズに行うことができる。
【0023】
また、言うまでもなくペダル操作部24の部分は、段下げすることなく、ペダル操作に好適な間隔を確保しているため、その操作性に何等支障を来すものではない。
さらに、上記の実施形態においては、ステアリング側の構造については特別な変更は必要なく、機構が複雑化することもない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施形態に係る車両のフロア構造を示す断面図である。
【図2】同要部断面図である。
【図3】同要部斜視図である。
【符号の簡単な説明】
1‥レクレーショナル・ビークル車
2‥車室フロア
3‥ドライバー席
4‥ステアリングホイール
5‥凹所
6‥ペダル

Claims (4)

  1. 車室フロアにドライバー席が設けらるとともに、その前方にステアリングが設けられた車両において、
    上記車室フロアの少なくとも上記ドライバー席シートの前方には、略平坦なペダル設置部が設けられ、該ペダル設置部の車両後方でかつシートクッション先端部の略鉛直下には、車両前方の前傾斜部、該前傾斜部の車両後方に連続しステアリングのステアリングホイールの略直下に位置する段下げ部、および該段下げ部の車両後方に連続する後傾斜部からなる凹所が設けられ、
    上記前傾斜部は、上記ペダル設置部から段下げ部へ向かい下方に傾斜しているとともに、上記後傾斜部は、段下げ部から車両後方の車室フロアへ向かい上方に傾斜しており、
    上記前傾斜部および段下げ部を合わせた車両前後方向の長さは、一般的な靴の大きさと近似する所定幅に設定され、
    乗員がドライバー席から降車するとき、足を上記前傾斜部から段下げ部へと車両後方へ向けて移動させて降車可能なように構成されていることを特徴とする自動車のフロア構造。
  2. 請求項1の自動車のフロア構造において、
    上記車両は、レクレーショナル・ビークル車であることを特徴とする自動車のフロア構造。
  3. 請求項1の自動車のフロア構造において、
    上記凹所は、車幅方向中心線を基準とした左右対称位置の2箇所に設けられていることを特徴とする自動車のフロア構造。
  4. 請求項1の自動車のフロア構造において、
    上記後傾斜部の傾斜が、上記前傾斜部の傾斜よりも急勾配であることを特徴とする自動車のフロア構造。
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