JP4186044B2 - 高圧放電ランプおよびその製造方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放電ランプに関し、特にはハロゲンサイクルを利用する高圧放電ランプおよびその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
キセノンランプ、高圧水銀ランプ、メタルハライドランプなどに代表される高圧放電ランプは、輝度が高く、演色性も良いことから、複写機やプロジェクター等の光源として広く用いられている。
【0003】
通常、高圧放電ランプは、ハロゲンサイクルを利用してバルブ壁の黒化を防止する構造になっている(特許文献1参照)。図4に、高圧放電ランプの概略構成を示し、以下に、その高圧放電ランプの構成および動作ならびにハロゲンサイクルの原理を説明する。
【0004】
図4を参照すると、この高圧放電ランプは、管状の石英ガラス製バルブ(以下、「石英バルブ」という)101内に、例えばタングステンよりなる一対の電極102a、102bが対向して配置された構造になっている。電極102a、102bは、先端部に冷却コイル104a、104bを備え、基部側がMo(モリブデン)箔103a、103bに接合されている。石英バルブ101の両端は、電極102a、102bの基部およびMo箔103a、103bとともに気密封止されている。電極102a、102bとMo箔103a、103bとの接合は、例えば溶接により行われる。石英バルブ101内には、少量のハロゲンガスが放電発光を維持するのに必要な例えば水銀(Hg)および不活性ガスとともに予め封入される。
【0005】
上記の高圧放電ランプでは、石英バルブ101の両端で封止されたMo箔103a、103bにそれぞれ外部リード線(不図示)が接合されており、これら外部リード線に所定のトリガー電圧が印加される。トリガー電圧が印加されると、石英バルブ101内の不活性ガスの雰囲気下で両電極102a、102b間にグロー放電が誘発され、これにより封入された水銀が気化し、高圧の水銀ガス中でプラズマ放電が生じる。
【0006】
上記の動作状態において、プラズマ放電時に、水銀イオンおよび電子によるスパッタ現象が生じて、両電極102a、102bからタングステン原子(イオン化状態)が放出される。このようにして放出されたタングステン原子が石英バルブ101の内壁に付着してしまうと、バルブ壁が黒化する。
【0007】
ハロゲンサイクルでは、両電極102a、102bから放出されたタングステン原子(イオン化状態)を予め封入しておいたハロゲン原子と結合させてハロゲン化タングステンを形成する。このハロゲン化タングステンは、石英バルブ101内を熱対流により浮遊し、電極102a、102b付近で高温にさらされることによって、タングステン原子とハロゲン原子に分離される。分離したタングステン原子は、電極102a、102bに付着し、これにより電極再生が行われる。一方、分離したハロゲン原子は再びハロゲン化タングステン形成に寄与する。この一連の反応の繰り返しがハロゲンサイクルであり、これにより、上記のバルブ壁の黒化が防止される。
【0008】
【特許文献1】
特開2002−124210号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上述した従来の高圧放電ランプにおいては、ハロゲンガスを取り扱うため、大型のガス供給装置および除害設備が必要である。このため、製造設備が非常に高価なものになっていた。
【0010】
また、ハロゲンサイクルの効率は、
(1)放出されるタングステン原子の量に対してハロゲン原子の量が少ない。
【0011】
(2)石英バルブ内の不純物ガスの量が多いために、タングステン原子がハロゲン原子と結合する確率が少なくなる。
【0012】
(3)動作条件により、スパッタリングされるタングステン原子の量が多くなる。
などの要因により低下する。ハロゲンサイクルを効率良く行うためには、石英バルブ内に適切な量のハロゲン元素を精度良く封入する必要がある。現在、ハロゲン元素の石英バルブ内への封入は、ハロゲン元素を不活性ガスと混合し、その混合ガスを既知の排気台装置を利用して石英バルブ内に封入することで行われているが、石英バルブの排気台装置への取り付け精度や混合ガスの封入精度が悪いため、石英バルブ内に封入されるハロゲンガスの量に数%のばらつきを生じるのが現状である。このため、超高圧水銀ランプのような体積の小さなランプ内に適切な量のハロゲンガスを高精度に封入することは困難であった。
【0013】
本発明の目的は、上記各問題を解決し、適切な量のハロゲン元素を高精度に封入することのできる、高圧放電ランプおよびその製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明の高圧放電ランプは、気密封止されたガラス製バルブ内に一対の電極が配置された高圧放電ランプであって、前記電極の少なくとも一方に、前記ガラス製バルブ内に放出された状態で10 -8 〜10 -2 μmol/mm 3 となる量のハロゲン元素が注入されていることを特徴とする。この構成によれば、ハロゲン元素の電極への添加量は原子数単位で制御することができるので、バルブ内に所望の量のハロゲン元素を容易、かつ、高精度に封入することが可能となる。
【0015】
上記の場合、前記電極は、前記先端部が互いに対向するように配置されており、当該先端部の表面から少なくとも30nm以上の深さの部分に前記ハロゲン元素が打ち込まれていてもよい。この構成によれば、ランプ組み立て時の電極熱処理における、ハロゲン元素の熱による脱離がないので、バルブ内に封入されるハロゲン元素の量を正確に制御することが可能となる。
【0017】
本発明の高圧放電ランプの製造方法は、少なくとも一方の電極に、気密封止されたガラス製バルブ内に放出された状態で10 -8 〜10 -2 μmol/mm 3 となる量のハロゲン元素を注入した後、一対の電極を前記ガラス製バルブ内に組み込むことを特徴とする。この手法によれば、ハロゲンガスを取り扱う必要がないので、非常に高価で大型のハロゲンガスの関連設備(例えば、ガス供給装置や除外装置など)を導入する必要がない。
【0018】
上記の場合、前記ハロゲン元素を注入する工程は、前記一対の電極のそれぞれの先端部の表面から少なくとも30nm以上の深さの部分に前記ハロゲン元素をイオン注入により打ち込んでいてもよい。この手法によれば、ランプ組み立て時の電極熱処理における、ハロゲン元素の熱による脱離がないので、バルブ内に封入されるハロゲン元素の量を正確に制御することが可能となる。
【0019】
また、前記ハロゲン元素の量は、前記ガラス製バルブ内に放出された状態で10-8〜10-2μmol/mm3の範囲、より望ましくは、10-7〜10-4μmol/mm3の範囲としてもよい。これにより、ハロゲンサイクルをより効率的に機能させることが可能となる。
【0020】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について図面を参照して説明する。
【0021】
図1は、本発明の一実施形態である高圧放電ランプの要部を示す模式図である。本実施形態の高圧放電ランプは、電極2a、2bのそれぞれの先端部21a、21bの表面に所定の量のハロゲン元素がイオン注入により添加されている以外は、基本的には図4に示した従来のものと同じである。図1中、従来のものと同じ部分には同じ符号を付している。
【0022】
電極2a、2bは例えばタングステンよりなり、互いの先端部21a、21bが対向するようにして石英バルブ101内に配置されている。電極2a、2bの基部側は、それぞれMo箔103a、103bに接合されており、この接合部近傍において石英バルブ101の両端が気密封止されている。それぞれの先端部21a、21bには、例えばタングステンよりなる線を密に巻いた冷却コイル104a、104bが隣接して設けられている。先端部21a、21bは、YAGレーザ等により電極の一部と冷却コイルの一部を溶融することにより形成されたものであって、表面が滑らかな半球状(円錐台状)の形状をしている。先端部21a、21bの表面に打ち込まれるハロゲン元素(イオン)としては、例えば塩素(Cl-)、臭素(Br-)、ヨウ素(I-)などがある。
【0023】
石英バルブ101内には、放電発光を維持するのに必要な例えば水銀(Hg)および不活性ガス(例えばアルゴン(Ar)やキセノン(Xe)など)が封入されるが、従来のようなハロゲンガスの封入は行われない。ハロゲンガスの封入の代わりに、電極2a、2bのそれぞれの先端部21a、21bの表面にハロゲン元素が添加されている。水銀の封入量は、例えば0.12〜0.30mg/mm3の範囲が望ましい。不活性ガスの封入量は、分圧で約20kPa程度が望ましい。
【0024】
本実施形態の高圧放電ランプでは、Mo箔103a、103bにそれぞれ接続された外部リード線(不図示)に所定のトリガー電圧が印加されると、石英バルブ101内の不活性ガスの雰囲気下で両電極2a、2b間にグロー放電が誘発され、これにより封入された水銀が気化し、高圧の水銀ガス中でプラズマ放電が生じる。また、トリガー電圧の印加と同時に、両電極2a、2bが所定の温度(2000℃以上)まで瞬時に加熱され、それぞれの先端部21a、21bからハロゲン元素(イオン)が放出される。このようにして放出されたハロゲン元素(イオン)によってハロゲンサイクルが行われ、バルブ壁の黒化が防止される。
【0025】
石英バルブ101内に放出されるハロゲン元素(イオン)の量は、ハロゲンサイクルを効率的に機能させる範囲、例えば10-8〜10-2μmol/mm3の範囲、より望ましくは、10-7〜10-4μmol/mm3の範囲である。ハロゲン元素(イオン)の放出量がその範囲から外れると、黒化が生じてしまい、安定したランプ動作は困難となる。本実施形態では、電極2a、2bへのハロゲン元素のイオン注入を制御することで、そのような好適な範囲でのハロゲン元素(イオン)の放出量を実現している。
【0026】
以下、電極2a、2bへのハロゲン元素のイオン注入について説明する。
【0027】
電極2a、2bに添加されたハロゲン元素は熱によって脱離することから、ハロゲン元素を電極2a、2bにイオン注入する際は、ランプ組み立ての際に行われる熱処理を考慮する必要がある。具体的には、そのような熱処理工程における電極加熱処理温度は最大で1100℃程度であることから、イオン注入されたハロゲン元素は、その電極加熱処理温度より十分に高く、ランプ動作時の温度(例えば、2000℃程度)以下においてそのほとんどが放出されるようにする必要がある。
【0028】
ハロゲン元素を、例えば、表面から50nm程度の深さにイオン注入した場合、注入されたハロゲン元素は、1100℃程度の温度では放出されず、ランプ動作時における温度(2000℃程度)においてそのほとんどが放出される。しかし、ハロゲン元素の注入深さが表面から20nm以下である場合は、注入されたハロゲン元素は、1100℃程度の温度で脱離してしまう。実験的には、1100℃程度の温度でハロゲン元素の脱離を生じない注入深さの臨界点は、電極材料がタングステンの場合で30〜40nmであり、少なくともこの臨海点以上の注入深さでハロゲン元素をイオン注入する必要がある。例えば、タングステン電極に臭素(Br)イオンを注入深さ50nmで打ち込んだ場合は、電極加熱処理後において、注入した臭素(Br)イオンは電極内に99.9%の確率で残存することがこれまでの実験で確認されている。
【0029】
注入深さは、イオン注入電圧(加速電圧)によって制御することができる。図2に、タングステン電極に臭素(Br)をイオン注入した場合の、注入電圧と注入深さの関係を示す。この図2に示した関係から分かるように、注入電圧が小さければ、注入深さは浅くなり、注入電圧が大きければ、注入深さは深くなる。このように、注入電圧を制御することで、ハロゲン元素を所望の注入深さでイオン注入することができる。例えば、注入電圧を約300keVとすることで、注入深さを表面から50nm程度にすることが可能である。
【0030】
本実施形態の高圧放電ランプでは、電極2a、2bのそれぞれの先端部21a、21bに注入されるハロゲン元素の注入深さは、表面から50nm程度としている。このため、イオン注入されたハロゲン元素は、ランプ組み立て工程における電極加熱処理温度でも脱離することがなく、ランプ動作時の温度(例えば、2000℃程度)においてそのほとんどが放出される。この場合、石英バルブ101内に放出されるハロゲン元素(イオン)の量は、イオン注入されたハロゲン元素の量に応じて決まる。したがって、石英バルブ101の体積に応じてハロゲン元素の注入量を制御すれば、石英バルブ101内に放出されるハロゲン元素(イオン)の量を10-8〜10-2μmol/mm3の範囲(より望ましくは、10-7〜10-4μmol/mm3の範囲)内に抑えることができる。
【0031】
例えば、体積が150mm3の石英バルブ101を用いて高圧放電ランプを作製する場合は、タングステンよりなる電極2a、2bのそれぞれの先端部21a、21bに9×1013個(これはモル数にして1.5×10-4μmolに相当する)の臭素(Br)イオンを表面から50nmの深さに打ち込むことで、ランプ動作時における、石英バルブ101内のハロゲン元素の含有量をほぼ1×10-4μmol/mm3にすることができる。
【0032】
以上のように、本実施形態の高圧放電ランプによれば、ランプ動作時における、石英バルブ101内のハロゲン元素の含有量を、イオン注入されるハロゲン元素の量によって制御することが可能である。この場合、原子数単位での注入量の制御が可能であるので、石英バルブ101内に、所望の量のハロゲン元素を容易、かつ、高精度に封入することができる。
【0033】
次に、本実施形態の高圧放電ランプの製造手法を具体的に説明する。図3に、図1に示した高圧放電ランプの製造工程を示す。以下、図1および図3を参照して製造工程を説明する。
【0034】
(バルブ形成工程:S1)
石英ガラス管を用いて、中央に膨らみ部を持つ石英バルブ101を作製する。この時点では、石英バルブ101の両端は未だ封止されていない。
【0035】
(電極組み立て工程:S2)
タングステンよりなる棒状の電極2a、2bにそれぞれの先端部21a、21b近傍に所定の金属よりなる冷却コイル104、104bを取り付けるとともに、それぞれの基部をMo箔103a、103bに溶接する。さらに、Mo箔103a、103bのそれぞれにリード線を接続する。そして、既存のイオン注入装置を用いて、電極2a、2bのそれぞれの先端部21a、21bに、ハロゲン元素を表面から50nmの深さまでイオン注入する。こうして、ハロゲン元素がイオン注入された一対の電極アセンブリを作製する。なお、ハロゲン元素をイオン注入する工程は、熱的な問題(熱による脱離)がないのであれば、どのタイミングで行ってもよい。
【0036】
(第1の電極組み込み工程:S3)
上記電極組み立て工程で作製した一対の電極アセンブリのうちの一方(以下、第1の電極アセンブリという)を、石英バルブ101の一端の開口(以下開口Aという。)から挿入し、所定の位置に配置する。
【0037】
(第1の排気工程:S4)
第1の電極アセンブリが配置された石英バルブ101の開口Aを周知の排気台に取り付け、例えば10-2Pa以下の真空度まで排気する。その後、不活性ガスを導入し、開口A端を封じ切る。
【0038】
(第1の封止工程:S5)
上記第1の排気工程で封じ切った、石英バルブ101の封止部分をガスバーナ等の局部加熱治具で加熱し、第1の電極アセンブリの、リード線、Mo箔、および電極基部を封止部分に埋設する。
【0039】
(水銀導入工程:S6)
石英バルブ104の他端の開口(以下開口Bという)から、所定の量の水銀(Hg)を専用治具を用いて導入する。
【0040】
(第2の電極組み込み工程:S7)
もう一方の電極アセンブリ(以下、第2の電極アセンブリという)を石英バルブ101の開口Bから挿入し、周知の治具を用いて、第1、第2の電極アセンブリの電極(電極2a、2b)が所定の間隔となるように配置する。
【0041】
(第2の排気工程:S8)
石英バルブ101の開口B側を排気台に取り付け、バルブ内の酸素分圧が例えば2.0×10-3Paになるまで排気する。
【0042】
(不活性ガス導入工程:S9)
石英バルブ101の開口Bから、不活性ガスとして、例えば分圧で20kPaとなる量のアルゴンガスを導入する。従来は、この不活性ガス導入工程の後、ハロゲンガスの導入が行われるが、本実施形態の高圧放電ランプの作製では、そのようなハロゲンガスの導入工程は不要である。不活性ガス導入後、石英バルブ101の開口B端をガスバーナで封じ切る。
【0043】
(第2の封止工程:S10)
石英バルブ101の封止部分(開口B側)をガスバーナ等の局部加熱治具で加熱し、第2の電極アセンブリの、リード線、Mo箔、および電極基部をその封止部分に埋設する。
【0044】
上述の製造工程において、電極2a、2bのそれぞれの先端部21a、21bは、数回1000℃以下の熱履歴を受けるが、ハロゲン元素は表面から50nm程度の深さにイオン注入されているので、それらの熱履歴において熱による脱離はほとんど生じない。
【0045】
上述した製造工程によれば、ランプ組み立て時にハロゲンガスを取り扱う必要がないので、従来使用されていたような、非常に高価で大型のハロゲンガスの関連設備(例えば、ガス供給装置や除外装置など)を導入する必要がなくなる。よって、非常にコンパクトな製造ラインでの製造が可能となる。
【0046】
なお、上述した製造工程は、一例であって、適宜、工程を入れ替えても良い。例えば、水銀導入工程、不活性ガス導入工程はその順序が逆になってもよい。
【0047】
以上説明した実施形態において、イオン注入を行う電極は一対の電極のいずれか一方だけでもよい。
【0048】
また、所定の量のハロゲン元素を電極に添加して、石英バルブ101内のハロゲン元素の含有量を所望の値に制御することができるのであれば、イオン注入の他、どのような添加手法を用いてもよい。例えば、半導体製造工程で良く用いられている熱的な方法(溶融状態での添加や熱拡散など)を用いて、所定の量のハロゲン元素を電極に添加してもよい。この場合は、電極全体にハロゲン元素が添加されることになるので、組み立て工程における熱よって放出されるハロゲン元素が放出された後の、ランプ動作時において放出されるハロゲン元素の量を予め実験により取得しておき、その結果から、最適な添加量を推定する必要がある。
【0049】
さらに、一対の電極は図1に示した構造に限定されるものではなく、高圧放電ランプに適用することができ、ハロゲン元素を添加することが可能なものであれば、どのような形状、構造のものを用いてもよい。
【0050】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、ハロゲン元素の電極への添加量は原子数単位で制御することで、石英バルブ内に所望の量のハロゲン元素を容易、かつ、高精度に封入することができる。この結果、黒化等の不具合のバラツキが非常に少なく、動作の安定した高圧放電ランプを提供することができる。
【0051】
さらに、本発明によれば、ハロゲンガスを取り扱う必要がないので、非常に高価で大型のハロゲンガスの関連設備(例えば、ガス供給装置や除外装置など)を導入する必要がない。よって、従来のものと比べて、よりコンパクトで安価な製造設備でランプの生産を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態である高圧放電ランプの要部を模式的に示す断面図である。
【図2】図1に示す高圧放電ランプにおける注入電圧と注入深さの関係を示すグラフである。
【図3】図1に示す高圧放電ランプの一連の製造手順を示す工程図である。
【図4】従来の高圧放電ランプの概略構成を模式的に示す断面図である。
【符号の説明】
2a、2b、102a、102b 電極
21a、21b 先端部
101 石英バルブ
103a、103b Mo箔
104a、104b 冷却コイル

Claims (6)

  1. 気密封止されたガラス製バルブ内に一対の電極が配置された高圧放電ランプであって、
    前記電極の少なくとも一方に、前記ガラス製バルブ内に放出された状態で10 -8 〜10 -2 μmol/mm 3 となる量のハロゲン元素が注入されていることを特徴とする高圧放電ランプ。
  2. 記電極は、前記先端部が互いに対向するように配置されており、当該先端部の表面から少なくとも30nm以上の深さの部分に前記ハロゲン元素が打ち込まれていることを特徴とする請求項1に記載の高圧放電ランプ。
  3. 前記ハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかであることを特徴とする請求項1または2に記載の高圧放電ランプ。
  4. 少なくとも一方の電極に、気密封止されたガラス製バルブ内に放出された状態で10 -8 〜10 -2 μmol/mm 3 となる量のハロゲン元素を注入した後、一対の電極を前記ガラス製バルブ内に組み込むことを特徴とする高圧放電ランプの製造方法。
  5. 前記ハロゲン元素を注入する工程は、前記一対の電極のそれぞれの先端部の表面から少なくとも30nm以上の深さの部分に前記ハロゲン元素をイオン注入により打ち込むことを特徴とする請求項に記載の高圧放電ランプの製造方法。
  6. 前記ハロゲン元素は、塩素、臭素、ヨウ素のいずれかであることを特徴とする請求項4または5に記載の高圧放電ランプの製造方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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