JP4185474B2 - 車椅子固定装置 - Google Patents
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Description
図3は車椅子Cの構成の概略を示す斜視図であって、(a)は斜め前方からの斜視図、(b)は斜め後方からの斜視図である。
車椅子Cは、極めて一般的なものであり、左右のメインフレーム80,80と、この左右のメインフレーム80,80を連結するとともに、両者が所定の距離で左右に離間した椅子状態と、メインフレーム80,80が近接した折畳状態とを形成する略X形状の折畳リンク81,81と、メインフレーム80,80の間に掛け渡されて座面を形成するシート部材82と、メインフレーム80,80の間に掛け渡されて背もたれ面を形成するシートバック部材83と、各メインフレーム80から後側に突出されたハンドル84と、メインフレーム80の前部下部に設けられたキャスタ88と、メインフレーム80の後部下部に設けられた車輪89とを備えている。
また、前記メインフレーム80には、前後に縦パイプ80a,80bが設けられており、かつ、前端下部に左右一対のフットレスト80f,80fが取り付けられている。
さらに、車椅子Cには、ハンドル84に後から車椅子Cを押す介護者が操作するためのブレーキレバー84bが取り付けられ、かつ、車輪89の脇には、停車時に車椅子Cの着座者などが操作する駐車ブレーキレバー87が取り付けられている。
実施の形態の車椅子固定装置は、いわゆるワンボックスカーのフロアFに設置されている。この設置位置は、例えば、運転席あるいは助手席の後方位置で、図外のバックドアあるいはサイドドアから車椅子Cをフロア上に積み込んで、車椅子を固定できる位置となる。
したがって、車椅子固定装置の非使用時には、車椅子固定装置はパネル2ならびにリッド3に覆われてフロアFの下に完全に隠されてフロアFの上に構成部材が露出することが無く、フロアFと同様に使用できるよう構成されている。
本装置は、前記凹部1の底面1aの前端部に取り付けられた左右一対の前部スルーアンカ11と、これら前部スルーアンカ11の後方位置であって凹部1の底面1aの前部寄り位置に取り付けられた左右一対の中部スルーアンカ12,12と、凹部の底面1aの後端部に取り付けられた左右一対の後部スルーアンカ13と、の3対のスルーアンカ11,12,13が設けられている。なお、各スルーアンカ11,12,13は、金属あるいは樹脂製のリング14と、これを底面1aに取り付ける金属あるいは樹脂あるいは革製のブラケット15とを備え、ブラケット15はピンを中心に首振り可能に取り付けられている。
また、各スライダ44には、図8に示すように、一対のリテーナ45が前後方向にスライド自在に支持されている。すなわち、リテーナ45は、金属あるいは樹脂により図8および図10に示すように、側板45aと支持板45bとにより略L字断面形状に形成され、側板45aの端部には、前後方向に長い長穴45cが上下に形成され、この長穴45cに挿通したピン45dを前記スライダ44の側面に固定して、リテーナ45がスライダ44に対して前後にスライド自在に支持されているものである。
さらに、支持板45bには、スプリング47の一端が着座されており、かつ、このスプリング47の他端は、スライダ44に穿設されたスプリング支持穴44fの底面に着座されており、リテーナ45は、スプリング47により図12に示すようにベルトシャフト46がスライダ44から離れる方向にスライド付勢されており、ベルトシャフト46が、図12に示すようにスライダ44から離れてベルト16を挟んでいない位置を解放位置という。
そして、前記ベルト16において、前部スルーアンカ11と中部スルーアンカ12との間の部分が、図1に示すようにスライダ44のベルト案内穴44aに挿通されているが、詳細には、図9に示すように、折り重ね状態でベルト案内穴44aに差し込まれてベルトシャフト46の外周に巻き付けられている。
このリンク部材50は、図13に示すように、前部フック21に固着されて略L字断面(図14参照)に形成された前側ブラケット51と、この前側ブラケット51に穿設された挿通穴に挿通された蝶ねじ52が前端に螺合された前部リンク53と、この前部リンク53に対して2組のピン55と長穴56とにより軸方向に移動自在に連結された後部リンク54と、後部フック22に固着されて、前記前側ブラケット51と同様に後部リンク54の後端部に蝶ねじ52で固定された後側ブラケット57と、を備え、両フック21,22の前後方向のピッチを前記前部リンク53と後部リンク54とによる伸縮範囲内で伸縮可能に構成されている。さらに、前記前側ブラケット51と後部リンク54との間には、スプリング58が設けられ、リンク部材50を収縮させる方向に付勢している。また、蝶ねじ52を外せば、前部フック21と後部フック22とを独立させることが可能に構成されている。
なお、上述した構成の車椅子固定装置は、前記凹部1に収容され、かつ、図5に示すように、リッド3により開閉される開口5の真下に、各スルーアンカ11,12,13,ベルト16および前部フック21,後部フック22が配置され、また、前記スクリュシャフト31が開口5,5の間に前後方向に延在され、スライダ44が開口5,5に沿って移動するように配置されている。
(非使用時)
まず、図外の昇降装置を使用して、あるいは手作業により車椅子CをフロアFに載せる。また、それと前後して、図5に示すように、リッド3,3を開けて車椅子固定装置の前部フック21および後部フック22を車室に露出させる。なお、この時点で、前部フック21と後部フック22とは、リンク部材50により、図1に示すように連結されているものとする。
上述の車椅子Cの移動を行う介護者などの作業者は、一般に、車椅子Cの後側からハンドル84を握って車椅子Cを移動させ、かつ、駐車ブレーキレバー87の操作を行う。
次に、作業者は、その状態から、車椅子Cの後側のまま、リンク部材50により連結されて一体状態となっている前部フック21ならびに後部フック22を、1回の操作で、図2に示すように縦パイプ80a,80bの間に引っかける。
この場合、本実施の形態では、リンク部材50がスプリング58により収縮されてコンパクトになっているので、縦パイプ80a,80b及び折畳リンク81が連結され車輪89の中心より下方において進行方向に延在された前後パイプに引っかける。具体的には前部フック21は、縦パイプ80aと前側折畳リンク81の間の前後パイプに、後部フック22は後側折畳リンク81と縦パイプ80bの間の前後パイプに引っかける。次に、固定スイッチ38を投入してモータ32を駆動させると、ベルト16により両フック21,22が引っ張られ、縦パイプ80a,80bに係合し、車椅子が固定される。
なお、リンク部材50にスプリング58が設けられていない場合には、手動によりリンク部材50の長さを最適に調節する。また、予め固定する車椅子Cが決まっている場合には、ボルトナットなどを用いてリンク部材50の全長を最適寸法に固定してもよい。また、他の構造が異なる車椅子などを固定するにあたり、両フック21,22の間隔を最適の寸法に調節できない場合には、蝶ねじ52を緩めて両フック21,22の一方をリンク部材50から外して、別個に引っかけるものである。
この移動開始時点では、スライダ44にあっては、図12に示すように、リテーナ45がスプリング47に付勢されて、ベルトシャフト46がスライダ44から離れた解放位置に配置されており、最初は、この状態を保ちながらスライダ44が後方に移動し、これに伴って、ベルト16の弛みが徐々に取れていく。また、本実施の形態にあっては、ベルトシャフト46は、回動可能であるため、ベルト16の前部スルーアンカ11側と中部スルーアンカ12側とで、緊張状態に差が生じると、ベルトシャフト46が回転し、ベルト16は、ほぼ均一に緊張が増してくる。
そして、ベルト16においてスライダ44の前後における弛みが無くなると、その張力によりリテーナ45ならびにそれと一体のベルトシャフト46がスプリング47の付勢力に抗してスライダ44に対して相対移動する。
なお、ベルトシャフト46がリテーナ45に固定されている場合は、スライダ44よりも前方あるいは後方の弛みが無くなるまでは、リテーナ45ならびにベルトシャフト46は、スライダ44と相対移動することはなく、その後、ベルト16においてスライダ44の前後における一方側の弛みが無くなると、その張力によりリテーナ45ならびにそれと一体のベルトシャフト46がスプリング47の付勢力に抗してスライダ44に対して相対移動する。この移動は、ベルト16においてスライダの前後における他方側の弛みが無くなるまで成される。
したがって、この状態では、ベルト16が強い張力で引っ張られており、これにより車椅子Cが固定される。
このとき、前部フック21と後部フック22は、同時に引っ張られるため、車椅子Cを最初に固定した位置から移動させる必要がなく、また、両フック21,22を同時に引っかけることができるため、車椅子Cの後側からの操作だけで全作業が済み、車椅子固定作業が簡単であり、作業時間が短くて済む。
最初にベルト16の弛み量が多すぎた場合などには、スライダ44を移動させても十分な張力を得られない場合がある。このような場合、モータ32の駆動によりスライダ44が後方に移動すると、ナットねじ部材42が後端検出スイッチ35を押すことになり、その場合、モータ制御回路37は、後端検出スイッチ35の投入によりスライダ44が後方可動限界まで移動したことを検出し、モータ32の駆動を停止させるとともに、表示灯34を点灯させる。
固定解除スイッチ39を投入すると、モータ32が逆転駆動し、スライダ44が前方移動する。これに伴って、リテーナ45がスプリング47の付勢力により解放位置方向へ移動するとともに、ベルトシャフト46がスライダ44から離れ、ベルト16が弛む。そして、モータ32の逆転駆動を続けると、スライダ44がスクリュシャフト31の前端近傍まで移動して前端検出スイッチ36を投入し、これに連動して、モータ32の逆転駆動が停止される。
このように、固定解除操作も、車椅子Cの後側からの操作だけで済む。
このように、車椅子Cの形状が大きく異なっている場合でも、前部フック21と後部フック22とを引っかけることができれば、固定することができる。
また、前部フック21と後部フック22とをリンク部材50により連結したことにより、両フック21,22を1回の操作により同時に引っかけることができ、作業性の向上を図ることができる。しかも、リンク部材50は、長さを調整することができるため、いろいろのサイズの車椅子Cに対応して、この作業性の向上を図ることができる。加えて、スプリング58を設けてリンク部材50を収縮方向に付勢したため、コンパクトに収納されるとともに、操作性に優れる。
さらに、リンク部材50と、各フック21,22とは、蝶ねじ52を緩めることで、連結を解除できるため、上述のリンク部材50によるピッチの変更では対応できない、サイズや形状の車椅子も、確実に固定することができる。
さらに、ベルト16の固定を、スライダ44と、このスライダ44に相対移動可能なリテーナ45ならびにベルトシャフト46により行うようにしたため、簡単な構成でありながら、ベルト16の固定を確実に行うことができる。また、本実施の形態では、ベルト16をスライダ44に押し当てるベルトシャフト46を正方形断面形状に形成したため、ベルト16を、ベルトシャフト46の平面と、ベルト案内穴44aの入り口部との間に強く挟み付けることができ、ベルト16の固定を確実に行うことができる。加えて、ベルトシャフト46をリテーナ45に回転可能に支持したため、ベルト16の緊張状態に応じて緊張が強い側にベルトシャフト46が回転して、ベルト16の緊張状態が均一に保たれ、一方が弛んで他方が緊張するといった状態が生じがたく、作動品質に優れる。
また、スライダ44は、ボルト43bの周囲にカラー43fを設けて、ボルト43bを中心に回動自在とし、かつ、各スルーアンカ11,12,13もブラケット15により首振り可能としたため、各スルーアンカ11,12,13と各フック21,22との位置が、車幅方向にずれていても、スライダ44がボルト43bを中心に回動するとともに各スルーアンカ11,12,13が首振りを行い、ベルト16が捻られることがないものであり、ベルト16の捻れによる作動不良の発生や耐久性の低下を防止することができる。
例えば、実施の形態では、スライド部材40は、実施の形態では、固定時に後方に移動させるようにしたが、固定時に前方に移動させるようにしても良い。この場合には、スライダ44は、中部スルーアンカ22と後部スルーアンカ23との間に設ける。
1a 底面
2 パネル
3 リッド
4,4 ヒンジ
11 前部スルーアンカ
12 中部スルーアンカ
13 後部スルーアンカ
14 リング
15 ブラケット
16 ベルト
17 ベルトアジャスタ
21 前部フック
22 後部フック
31 スクリュシャフト
32 モータ
33 ブラケット
35 後端検出スイッチ
36 前端検出スイッチ
37 モータ制御回路
38 固定スイッチ
39 固定解除スイッチ
40 スライド部材
41 穴
42 ナットねじ部材
43 スライダベース
43a ボルト
43b ボルト
43f カラー
44 スライダ
44a ベルト案内穴
44f スプリング支持穴
45 リテーナ
45a 側板
45b 支持板
45c 長穴
45d ピン
46 ベルトシャフト
47 スプリング
50 リンク部材
51 前側ブラケット
53 前部リンク
54 後部リンク
55 ピン
56 長穴
57 後側ブラケット
58 スプリング
80 メインフレーム
80a,80b 縦パイプ
80f フットレスト
81 折畳リンク
82 シート部材
83 シートバック部材
84 ハンドル
84b ブレーキレバー
87 駐車ブレーキレバー
88 キャスタ
89 車輪
F フロア
Claims (6)
- 車椅子に係合可能な前部フックと、
車椅子に係合可能な後部フックと、
車両のフロアに設定され、前記前部フックと連結されて弛緩状態と緊張状態とを得る前部引っ張り手段と、
車両のフロアに設定され、前記後部フックと連結されて弛緩状態と緊張状態とを得る後部引っ張り手段と、
前記前部フック及び後部フックを車椅子に係合させた後、前記前部引っ張り手段または前記後部引っ張り手段の少なくとも一方を引っ張って車椅子を固定する車椅子固定装置において、
前記前部フックと後部フックとを連結すると共に作業者により車椅子に引っかけられる連結部材を設けたことを特徴とする車椅子固定装置。 - 請求項1に記載の車椅子固定装置において、
前記前部フックおよび後部フックは、前記連結部材に対して着脱可能に構成されていることを特徴とする車椅子固定装置。 - 請求項1または2に記載の車椅子固定装置において、
前記前部フックと後部フックとの間のピッチを変更可能に構成されていることを特徴とする車椅子固定装置。 - 請求項1ないし3いずれか1つに記載の車椅子固定装置において、
前記連結部材は、伸縮可能に構成されて前部フックと後部フックとの間のピッチを変更可能に構成されていることを特徴とする車椅子固定装置。 - 請求項1ないし4いずれか1つに記載の車椅子固定装置において、
前記連結部材には、伸び方向に付勢するスプリングが設けられていることを特徴とする車椅子固定装置。 - 請求項1ないし5いずれか1つに記載の車椅子固定装置において、
前記連結部材には、収縮方向に付勢するスプリングが設けられていることを特徴とする車椅子固定装置。
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