JP4185308B2 - ハロゲン化銀カラー写真感光材料 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明はハロゲン化銀写真カラー写真感光材料に関するものである。詳しくはハイライト部分が好ましい白色度を有することにより画質が改善されたプリント用ハロゲン化銀カラー写真感光材料に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
近年、デジタルカメラやパソコンの普及に伴い、デジタル画像情報のプリント材料としてハロゲン化銀写真感光材料が用いられる頻度が高まりつつある。デジタル画像情報のプリント材料としては、インクジェットプリンターなどに代表されるハロゲン化銀写真感光材料以外の画像出力材料の普及があり、これらの材料と競合していくためにカラー印画紙等のハロゲン化銀写真感光材料分野においては、現像処理工程の迅速化、高画質化、処理安定化等に対する要求がますます強まりつつある。
【0003】
特に高画質化に関しては、上述のハロゲン化銀写真感光材料以外の画像出力材料の近年の品質向上にはめざましいものがあり、ハロゲン化銀写真感光材料の分野においてはこれらと対抗するためにより一層の品質向上を求められてきている。画質の品質を改良するにあたって、カプラーの改良によって発色色素の色相を改良することは重要な因子であるが、それと並んで重要な因子として白地の白色度、すなわち感光材料の未露光部の濃度及び色味の改良が重要な事は当業界で知られている。白地の白色度が好ましくないと、ハイライト部分の明るさや色味を損なうばかりでなく、発色色素と共存する部分では色濁りを発生させ画像を損ない、また画像中で未発色部と発色部が共存する際のコントラストを視覚的に低下させる原因となる。
好ましい白色度の感光材料を得るためには、ハロゲン化銀の被りを低下させること、処理後の感光材料中に増感色素等の着色物を残さないような設計を行うことが重要であり、これらを実現するために当業界の精力的な検討がなされてきている。例えば特開平6−39936号、特開平6−59421号、特開平6−202291号が知られている。特にハロゲン化銀の被りを低下させる事に関しては、感光材料の製造直後のみならず、製造後、露光、処理までの保存期間中においてもその増加を抑えることが重要である。感光材料の保存中の被りを抑える手段としては、例えば特開昭62−215272号記載のような被り防止剤、特開平11−143011号記載のカテコールやハイドロキノン類、あるいは特開平11−102045号の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤を用いる方法が知られている。
【0004】
しかしながら、本発明者らが検討した結果、上記技術によって得られた乳剤の改良は十分ではなく、特に長期に渡って感光材料を保存した後の青感性乳剤層の被り増加による白地部のイエロー濃度の増加の抑制が不十分であった。
本発明者らが検討した結果、このイエロー濃度の増加は感光材料の保存後の被りレベルを予想するために行った感光材料の強制加熱試験からは予想されなかったこと、及びX線照射時の被り濃度増が実際の長期保存後のイエロー、マゼンタ、シアンの被りレベルの相対関係と一致したことから、自然放射線によってもたらされたものであり、そのため上記従来技術の範囲では改良し得なかった被り増であると予想された。
また、上記のイエロー濃度の増加の現象は白地の濃度を低下させることにより白色度を好ましいレベルに改良して設計した感光材料においてより顕著であった。すなわち感光材料の保存中の青感性乳剤層の被り増大に伴うイエロー濃度の増加が同じレベルであっても、白色度を改良しなかった感光材料においては白地の色味変化が目立たず許容レベルにあったのに対して、白色度を改良した感光材料においてはそのイエロー濃度の増加がより目立ってしまい、白色度の改良効果を損なう結果であった。従って製造直後のみならず、保存後においても好ましい白色度を有する感光材料の開発が望まれていた。
これに加え、高感度で、露光が短時間露光の場合に起きやすい、肩部の軟調化の程度が少ない階調特性を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料が切望されていた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上記の実状に鑑みてなされたものであり、本発明の目的は製造直後のみならず保存後においても好ましい白色度を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。さらには、これに加え、高感度で、かつ短時間露光での肩部の軟調化の少ないハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の課題は以下によって達成された。
<1> 反射支持体上に、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、さらに感光性のない非発色性の親水性コロイド層を少なくとも一層有し、かつ発色現像後、漂白定着して画像が形成されるハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.58μm以下であり、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の塗布銀量が0.1g/m 2 〜0.23g/m 2 であり、かつ該ハロゲン化銀カラー写真感光材料の総塗布銀量が0.2g/m 2 〜0.5g/m 2 であって、さらに、発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)が、450nmで0.07以下、550nmで0.09以下、及び、650nmで0.07以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<2> 前記発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)が、450nmで0.06以下、550nmで0.07以下、及び、650nmで0.05以下であることを特徴とする<1>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<3> 発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)の濃度比が、下記条件式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする<1>または<2>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
(I) 1.0≦A(550)/A(450)≦1.4
(II) 0.6≦A(650)/A(450)≦1.2
<4> 反射支持体上に、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、さらに感光性のない非発色性の親水性コロイド層を少なくとも一層有し、かつ発色現像後、漂白定着して画像を形成するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.58μm以下であり、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の塗布銀量が0.1g/m 2 〜0.23g/m 2 であり、かつ該ハロゲン化銀カラー写真感光材料の総塗布銀量が0.2g/m 2 〜0.5g/m 2 であって、さらに該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において露光後発色現像処理して得られるイエロー反射濃度が下記式の関係を満たすことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
DS 0.1 −DS 0.0001 ≦0.3
(DS 0.1 はイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において0.1秒で露光後発色現像処理し、イエロー反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量におけるイエロー反射濃度を表し、DS 0.0001 はイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において0.0001秒で露光後発色現像処理し、イエロー反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量におけるイエロー反射濃度を表す。)
<5> 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)が、450nmで0.07以下、550nmで0.09以下、及び、650nmで0.07以下であることを特徴とする<4>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<6> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.55μm以下であることを特徴とする<1>〜<5>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<7> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.48μm以下であることを特徴とする<1>〜<6>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<8> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中の塗布銀量が0.1g/m 2 〜0 .19g/m 2 であることを特徴とする<1>〜<7>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<9> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、沃化物イオンの導入が、ハロゲン化銀粒子体積の80%より外側から行われて形成されたものであることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<10> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、沃化物イオンの導入が、ハロゲン化銀粒子体積の80%より外側から行われ、かつ粒子体積の98%より内側で終了して形成されたものであることを特徴とする<1>〜<8>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<11> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、沃化物イオン濃度が、粒子表面で濃度極大であり、内側に向けて沃化物イオン濃度が減少していることを特徴とする<1>〜<10>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<12> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、5員環または6員環の複素環を配位子として有するイリジウム錯体を有することを特徴とする<1>〜<11>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<13> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、さらに、[IrCl 6 ] 3− または[IrCl 6 ] 2− のイリジウム錯体を有することを特徴とする<12>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<14> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、下記一般式(CII)で表される金属錯体を少なくとも1種含有することを特徴とする<1>〜<13>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
一般式(CII)
[MX II n L II (6−n) ] m
(式中、MはCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、X II はハロゲンイオンを表し、L II はX II とは異なる任意の配位子を表し、nは3、4、5または6を表し、mは−4から+1までの整数を表す。ここで、3〜6個のX II は互いに同一でも異なってもよく、またL II が複数存在する場合、複数のL II は互いに同一でも異なってもよい。)
<15> 前記一般式(CII)で表される金属錯体を少なくとも2種含有することを特徴とする<14>に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<16> 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が{100}面を持つ立方体のハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする<1>〜<15>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
<17> 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が顔料を含有し、該顔料の全使用量が0.1mg/m 2 〜10mg/m 2 であることを特徴とする<1>〜<16>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
【0023】
<18>前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子が下記一般式(CIIA)で表される金属錯体から選ばれる少なくとも1種を含有した塩化銀含有率が90モル%以上のハロゲン化銀粒子であることを特徴とする前記<1>〜<17>のいずれかに記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
一般式(CIIA)
[MIIAXIIA nLIIA (6−n) ] m
式中、MIIAはRe、Ru、OsまたはRhを表し、XIIAはハロゲンイオンを表し、LIIAはMIIAがRe、RuまたはOsの場合、NOまたはNSを表し、MIIAがRhの場合、H2O、OHまたはOを表す。nは3、4、5または6を表し、mは−4から+1までの整数を表す。
ここで、3〜6個のXIIAは互いに同一でも異なってもよく、またLIIAが複数存在する場合、複数のLIIAは互いに同一でも異なってもよい。
【0024】
【発明の実施の形態】
本発明について詳細に説明する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、反射支持体上に、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、さらに感光性のない非発色性の親水性コロイド層を少なくとも一層有有し、かつ発色現像後、漂白定着して画像が形成されるハロゲン化銀カラー写真感光材料において、発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)が、450nmで0.07以下、550nmで0.09以下、及び、650nmで0.07以下であり、かつ、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.58μm以下であり、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の塗布銀量が0.1g/m 2 〜0.23g/m 2 であり、かつ該ハロゲン化銀カラー写真感光材料の総塗布銀量が0.2g/m 2 〜0.5g/m 2 であることを特徴とする。
【0025】
また、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、発色現像処理後の未露光部の色度が下記条件〔B〕を満たすことが好ましい。
条件〔B〕
91≦L*≦96、0.3≦a*≦1.6、−8.0≦b*≦−4.8
【0026】
本発明においては、発色現像処理後の未露光部(白地)の色度がCIE1976L*a*b*表色空間(以下「CIELAB表色空間」と略す場合がある。)上で下記条件を満たすことが好ましい。
L*は91以上96以下、更に好ましくは92以上96以下、最も好ましくは93以上96以下である。a*は0.3以上1.6以下が好ましく、更に好ましくは0.5以上1.3以下である。b*は−8.0以上−4.8以下が好ましく、更に好ましくはー8.0以上―4.0以下である。
したがって、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料において、発色現像処理後の未露光部(白地)の色度としては、CIELAB表色空間上で、下記条件式〔B〕を満たし、さらに下記条件式〔C〕を満たすことが好ましい。
条件〔B〕
91≦L*≦96、0.3≦a*≦1.6、−8.0≦b*≦−4.8
条件〔C〕
93≦L*≦96、0.3≦a*≦1.6、−8.0≦b*≦−4.8
【0027】
CIE1976L*a*b*表色空間の詳細は、日本写真学会・日本画像学会編「ファインイメージングとカラーハードコピー」354ページ(1999年、コロナ社刊行)に詳記されている。また、この表色空間を用いる際の3色刺激値は、蛍光性反射物体のX,Y,Z座標の3刺激値測定方法を規定したJIS Z8717記載の方法に従って求められた値である。L*a*b*表色空間上の色度は、基準となる白色の色度を標準昼光の国際標準であるCIED65(6504K)に置いて測定する。したがって、上記の条件式〔B〕及び〔C〕を満たすことの検証のための測定には、CIE1976L*a*b*表色空間上の色度を測定できるいずれの色度測定装置を用いることができる。例えば、日立製作所社製C−2000カラーアナライザー及び基準光源としてCIE D65(6504K)を用いて測定できる。
【0028】
本発明における発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)は以下の条件を満たすことが好ましい。450nmにおける反射濃度A(以下「A(450)」と略す)は0.07以下、さらに最も好ましくは0.06以下である。550nmにおける反射濃度A(以下「A(550)と略す)は0.09以下、更に好ましくは0.07以下である。650nmにおける反射濃度A(以下A「650」と略す)は0.07以下、更に好ましくは0.05以下である。A値は小さい程好ましいが、白色顔料含有ポリエチレン樹脂で被服された紙支持体を用いる場合にはA(450)、A(550)及びA(650)とも実質的に0.01以上である。更に、色味バランスによって人間の嗜好を加味した官能的な「白」に見える傾向が変化することから、濃度比にも好ましい条件が存在し、好ましくは1.0≦A(550)/A(450)≦1.4かつ0.6≦A(650)/A(450)≦1.2であり、より好ましくは1.1≦A(550)/A(450)≦1.3かつ0.6≦A(650)/A(450)≦1.2であり、更に好ましくは1.1≦A(550)/A(450)≦1.2かつ0.8≦A(650)/A(450)≦1.1である。
波長λnmにおける反射濃度A(λ)の詳細は以下の様に定義する。25℃60%RH条件下で、積分球開口率2%、スリット巾5nm、スペキュラー光を除いたところでの反射吸光度とする。反射吸光度測定器の代表的な例としては、日立製作所社製U−3410型スペクトロフォトメーターが挙げられる。
【0029】
本発明において、上記の好ましい範囲に白地を調節する方法は、主として支持体の白色度を調節する方法と写真構成層を形成する親水性コロイド層で調節する方法との2つに大別することができる。
本発明において好ましく用いられる反射支持体について詳細に説明する。
本発明の反射支持体は該反射支持体の感光層塗設側の耐水性樹脂被覆層中に白色顔料が含有されていることが好ましい。耐水性樹脂に混合分散する白色顔料としては、二酸化チタン、硫酸バリウム、リトポン、酸化アルミニウム、炭酸カルシウム、酸化珪素、三酸化アンチモン、燐酸チタニウム、酸化亜鉛、鉛白、酸化ジルコニウム等の無機顔料やポリスチレン、スチレン−ジビニルベンゼン共重合体等の有機微粉末等を挙げることができる。これらの顔料の中でも、二酸化チタンの使用が特に効果的である。二酸化チタンは、ルチル型及びアナターゼ型のいずれでも良いが、白色度を優先する場合アナターゼ型を、また鮮鋭度を優先する場合はルチル型が好ましい。白色度と鮮鋭度両方を考慮してアナターゼ型とルチル型とをブレンドして用いても良い。更に耐水性樹脂層が多層から成る場合、ある層にはアナターゼ型を、又、他の層にはルチル型を使用する方法も好ましい。またこれらの二酸化チタンは、サルフェート法、クロライド法のいずれの方法で製造されたものであっても良い。
【0030】
本発明で使用する反射支持体の耐水性樹脂とは、吸水率(質量%)が0.5以下、好ましくは0.1以下の樹脂で、例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレン系重合体等のポリオレフィン、ビニールポリマーやそのコポリマー(ポリスチレン、ポリアクリレートやそのコポリマー)やポリエステル(ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート等)やそのコポリマーである。
特に好ましくはポリエチレンとポリエステルである。ポリエチレンは高密度ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン及びこれらポリエチレンのブレンドを用いることができる。
【0031】
ポリエステルとしては、ジカルボン酸とジオールとから縮合重合によって合成されたポリエステルが好ましく、また好ましいジカルボン酸としてはテレフタル酸、イソフタル酸、ナフタレンジカルボン酸等が挙げられる。好ましいジオールとしては、エチレングリコール、ブチレングリコール、ネオペンチルグリコール、トリエチレングリコール、ブタンジオール、ヘキシレングリコール、ビスフェノールAのエチレンオキシド付加物(2,2−ビス(4−(2−ヒドロキシエチルオキシ)フェニル)プロパン)、1,4−ジヒドロキシメチルシクロヘキサン等が挙げられる。これらジカルボン酸の単独あるいは混合物と、ジオールの単独あるいは混合物とを縮合重合して得られる種々のポリエステルを使用することができる。中でもジカルボン酸の少なくとも一種はテレフタル酸であることが好ましい。
【0032】
上記耐水性樹脂と白色顔料との混合比率は質量比で98/2〜30/70(耐水性樹脂/白色顔料)、好ましくは95/5〜50/50、特に好ましくは90/10〜60/40である。これらの耐水性樹脂層は2〜200μmの厚みで基体上に被覆するのが好ましく、更に好ましくは5〜80μmである。基体の感光層塗布面側でない面に被覆する樹脂又は樹脂組成物の厚みは、5〜100μmが好ましく、より好ましくは10〜50μmである。
【0033】
本発明使用の反射支持体においては、感光層塗設側の耐水性樹脂被覆層が白色顔料の含有率の異なる2層以上の耐水性樹脂被覆層からなる反射支持体であることがコスト、支持体の製造適性等の観点からより好ましい場合もある。この場合白色顔料の含有率が異なる耐水性樹脂被覆層のうち、基体に最も近い耐水性樹脂被覆層の白色顔料の含有率が、この層よりも上層にある少なくとも1つの耐水性樹脂被覆層の白色顔料の含有率よりも低いことが好ましい。
【0034】
多層耐水性樹脂層における各層の白色顔料の含有率は0質量%〜70質量%、好ましくは0質量%〜50質量%、より好ましくは0質量%〜40質量%である。またこの多層耐水性樹脂層のうち最も白色顔料の含有率が高い層の含有率は9質量%〜70質量%、好ましくは15質量%〜50質量%、更に好ましくは20質量%〜40質量%である。
【0035】
又、耐水性樹脂層には、ブルーイング剤を含有させて本発明の白地の範囲内に調節することができる。ブルーイング剤としては、一般に知られる群青、コバルトブルー、酸化リン酸コバルト、キナクリドン系顔料等とその混合物が用いられる。ブルーイング剤の粒子径に特に限定はないが、市販のブルーイング剤の粒径は通常0.3μm〜10μm程度であり、この範囲の粒径であれば特に使用上支障がない。本発明で使用する反射支持体の耐水性樹脂層が多層構成である場合、耐水性樹脂層におけるブルーイング剤の含有量は、最上層の耐水性樹脂層中の含有率を、下層の含有率以上にするのが好ましい。好ましいブルーイング剤の含有量は、最上層に0.2質量%〜0.5質量%、またその下側の層には0〜0.45質量%である。
【0036】
本発明の反射支持体に使用される基体は、天然パルプを主原料とする天然パルプ紙、天然パルプと合成繊維とから成る混抄紙、合成繊維を主成分とする合成繊維紙、ポリスチレン、ポリプロピレン等の合成樹脂フィルムを擬紙化した、所謂合成紙、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートなどのポリエステルフィルム、三酢酸セルロースフィルム、ポリスチレンフィルム、ポリプロピレンフィルムなどのポリオレフィンフィルム、等のプラスチックフィルムの何れでも良いが、写真用耐水性樹脂被覆の基体としては天然パルプ紙(以下単に「原紙」と称する)が特に好ましく有利に用いられる。必要に応じ、染料や蛍光染料を添加して白地を本発明の範囲に調節することもできる。
【0037】
本発明に使用される支持体の原紙の厚さは特に限定されるものではないが、坪量としては、50g/m2〜250g/m2が、厚みとしては、50μm〜250μmが望ましい。
【0038】
本発明においてさらに好ましい反射支持体としては、ハロゲン化銀乳剤層を設ける側の紙基体上に微小空孔を有するポリオレフィン層を有しているものが挙げられる。ポリオレフィン層は多層から成っていてもよく、その場合、好ましくはハロゲン化銀乳剤層側のゼラチン層に隣接するポリオレフィン層は微小空孔を有さず(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)、紙基体上に近い側に微小空孔を有するポリオレフィン(例えばポリプロピレン、ポリエチレン)から成るものがより好ましい。紙基体及び写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の密度は0.40〜1.0g/mlであることが好ましく、0.50〜0.70g/mlがより好ましい。また、紙基体及び写真構成層の間に位置するこれら多層もしくは一層のポリオレフィン層の厚さは10〜100μmが好ましく、15〜70μmがさらに好ましい。また、ポリオレフィン層と紙基体の厚さの比は0.05〜0.2が好ましく、0.1〜0.15がさらに好ましい。
【0039】
また、上記紙基体の写真構成層とは逆側(裏面)にポリオレフィン層を設けることも、反射支持体の剛性を高める点から好ましく、この場合、裏面のポリオレフィン層は表面が艶消しされたポリエチレン又はポリプロピレンが好ましく、ポリプロピレンがより好ましい。裏面のポリオレフィン層は5〜50μmが好ましく、10〜30μmがより好ましく、さらに密度が0.7〜1.1g/mlであることが好ましい。本発明の反射支持体において、紙基体上に設けるポリオレフィン層に関する好ましい態様については、特開平10−333277号、同10−333278号、同11−52513号、同11−65024号、EP0880065号、及びEP0880066号に記載されている例が挙げられる。
【0040】
更に前記の耐水性樹脂層中には蛍光増白剤を含有するのが好ましい。また、前記蛍光増白剤を分散含有する親水性コロイド層を、別途形成してもよい。前記蛍光増白剤として、好ましくは、ベンゾオキサゾール系、クマリン系、ピラゾリン系が用いることができ、更に好ましくは、ベンゾオキサゾリルナフタレン系及びベンゾオキサゾリルスチルベン系の蛍光増白剤である。使用量は、特に限定されないが、好ましくは1〜100mg/m2である。耐水性樹脂に混合する場合の混合比は、好ましくは樹脂に対して0.0005〜3質量%であり、更に好ましくは0.001〜0.5質量%である。
【0041】
反射型支持体としては、透過型支持体、又は上記のような反射型支持体上に、白色顔料を含有する親水性コロイド層を塗設したものでもよい。また、反射型支持体は、鏡面反射性又は第2種拡散反射性の金属表面をもつ支持体であってもよい。
【0042】
支持体上に塗布された写真構成層を形成する親水性コロイド層で本発明の範囲に白地を調節する方法について詳細に説明する。
写真構成層に由来し白地を悪化させる要因としては、ハロゲン化銀乳剤のかぶり、増感色素の残色、処理液の汚れ吸着等が挙げられる。それらの悪化要因を低減することで支持体自身が本来有する白色度に近づけることができる。また、処理で脱色されない染料又は顔料を添加し着色させたり、処理後の感光材料中に蛍光増白剤を含有せしめることで、白地を本発明の好ましい範囲に調節することができる。
【0043】
本発明において写真構成層の親水性コロイド層の着色に好ましく用いられる顔料について説明する。本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、反射支持体上に塗設された、感光性ハロゲン化銀乳剤層、非感光性層の少なくとも一層中に少なくとも一種の顔料が分散されているもの(すなわち、分散された顔料)が好ましい。本発明において、顔料を含む層は、ハロゲン化銀乳剤を含有する感光性層でもよく、又はハロゲン化銀乳剤層の間に位置する中間層やハロゲン化銀乳剤層の上層に位置する紫外線吸収層、又はゼラチンの下塗り層等の非感光性層のいずれでもよい。ハロゲン化銀乳剤層は通常、特性曲線の調節のために塗布流量を変化させるため、色味付けを一定にするためには、顔料を非感光性層に導入する方が好ましい場合が多い。
【0044】
通常、イエローステインを克服するためにはブルーの色味付けを施す。この色味付けとしては通常イエローステインと拮抗させ、ニュートラルな色とし、人間の目に白と感じさせるのに十分な量の顔料を添加する。さらに、顔料を2種類以上用いてそれらの顔料の使用量比率を変えることによって、広い範囲でのイエローステイン補正が可能である。一般にはシアン方向に色相を変化させる青顔料とマゼンタ方向に色相を変化させる赤又は紫顔料の併用である。これにより広い範囲の色味の調節が可能である。
本発明に用いられる顔料は水不溶性であればどういう顔料でも良いが、特に有機溶媒に対し、親和性が強く、有機溶媒中で容易に分散されるものが好ましい。一般に顔料の粒子径は0.01μm〜5μmが効率よく色味付けするのに良い。好ましくは、0.01μm〜3μmである。
【0045】
本発明においては、顔料は以下のようにして導入するのが最も好ましい。即ち、通常の色素形成カプラー(以下「カプラー」という場合がある。)等の写真性有用物質を乳化分散し、分散物として感光材料に組み込むのと同様に、本発明に用いられる顔料を高沸点有機溶媒に加え、微粒子顔料からなる均一な自発分散液を生成させる。この液を親水性コロイド中、好ましくはゼラチン水溶液中に、界面活性剤の分散剤と共に超音波、コロイドミル、ホモジナイザー、マントンゴーリン、高速ディゾルバー等の公知の装置により微粒子状に乳化分散し、分散物を得る。
本発明に用いられる高沸点有機溶媒は、特に制限するものではなく、通常のものが用いられ、例えば米国特許第2,322,027号、特開平7−152129号に記載のものが挙げられる。
また、高沸点有機溶媒と共に補助溶媒を用いることができる。補助溶媒の例としては、酢酸エチル、酢酸ブチル等の低級アルコールのアセテート、プロピオン酸エチル、2級ブチルアセテート、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、β−エトキシエチルアセテート、メチルセロソルブアセテート、メチルカルビトールアセテートやシクロヘキサノン等が挙げられる。
また、本発明に用いられる顔料は、本発明の感光材料に使用するカプラー等の写真用有用化合物を溶解する有機溶媒中に共存させ、共乳化して乳化物として調製して用いるのが最も好ましい。
【0046】
本発明を下記に挙げるいくつかの例によりさらに詳細に説明するが、特に断らない限りそれらの例に限定されるものではない。
本発明においては、求められる色調調整が可能で現像処理時に変化することなく感光材料中に留まるものであればいかなる種類の顔料も制限なく使用することができる。以下に好ましい顔料について具体例を挙げながら説明するが、本発明に用いられる青顔料とは、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)において、C.I.Pigment Blueとして分類されている顔料をさす。同様に、本発明に用いられる赤顔料とは、C.I.Pigment Redとして分類されている顔料をさし、本発明に用いられる紫顔料とは、C.I.Pigment Violetとして分類されている顔料をさす。
【0047】
本発明で用いることができる青顔料としては、例えばアゾ顔料(例えば、C.I.Pigment Blue 25)、フタロシアニン顔料(例えば、C.I.Pigment Blue 15:1、同15:3、同15:6、同16、同75)、インダントロン顔料(例えば、C.I.Pigment Blue 60、同64、同21)、トリアリールカルボニウム系の塩基性染料レーキ顔料(例えば、C.I.Pigment Blue 1、同2、同9、同10、同14、同62)、同じくトリアリールカルボニウム系の酸性染料レーキ顔料(例えば、C.I.Pigment Blue 18、同19、同24:1、同24:x、同56、同61)、インジゴ顔料(例えば、C.I.Pigment Blue 63、同66)などの有機顔料を挙げることができる。これらの中でもインダントロン顔料、トリアリールカルボニウム系の塩基性染料レーキ顔料及び酸性染料レーキ顔料、インジゴ顔料が色相的に好ましく、さらに堅牢性の点でインダントロン顔料が最も好ましい。
本発明における青顔料としては、無機顔料の群青、コバルトブルーも好ましく用いることができる。
本発明に用いられるインダントロン顔料としては、有機溶媒と親和性の高いものが特に好ましく、これは市販品から選ぶことができ、例えば、Ciba Speciality Chemicals(チバ スペシャリティ ケミカルズ)社製の、BlueA3R−KP(商品名)、BlueA3R−K(商品名)等を用いることができる。
【0048】
本発明においては、色相を調整するために、さらに赤乃至紫の顔料を併用することが好ましい。好ましい赤顔料としては、アゾ顔料(例えば、C.I.Pigment Red 2、同3、同5、同12、同23、同48:2、同48:3、同52:1、同53:1、同57:1、同63:2、同112、同144、同146、同150、同151、同166、同175、同176、同184、同187、同220、同221、同245)、キナクリドン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 122、同192、同202、同206、同207、同209)、ジケトピロロピロール顔料(例えば、C.I.Pigment Red 254、同255、同264、同272)ペリレン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 123、同149、同178、同179、同190、同224)、ぺリノン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 194)、アントラキノン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 83:1、同89、同168、同177)、ベンズイミダゾロン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 171、同175、同176、同185、同208)、トリアリールカルボニウム系の塩基性染料レーキ顔料(例えば、C.I.Pigment Red 81:1、同169)、チオインジゴ顔料(例えば、C.I.Pigment Red 88、同181)、ピラントロン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 216、同226)、ピラゾロキナゾロン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 251、同252)、イソインドリン顔料(例えば、C.I.Pigment Red 260)等を挙げることができる。中でもアゾ顔料、キナクリドン顔料、ジケトピロロピロール顔料、ペリレン顔料がより好ましく、アゾ顔料、ジケトピロロピロール顔料が特に好ましい。
【0049】
好ましい紫顔料としては、アゾ顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 13、同25、同44、同50)、ジオキサジン顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 23、同37)、キナクリドン顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 19、同42)、トリアリールカルボニウム系の塩基性染料レーキ顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 1、同2、同3、同27、同39)、アントラキノン顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 5:1、同33)、ペリレン顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 29)、イソビオラントロン顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 31)、ベンズイミダゾロン顔料(例えば、C.I.Pigment Violet 32)等を挙げることができる。中でもアゾ顔料、ジオキサジン顔料、キナクリドン顔料が好ましく、ジオキサジン顔料が特に好ましい。
本発明に用いられるジオキサジン顔料としては、有機溶媒と親和性の高いものが特に好ましく、これは市販品から選ぶことができ、例えば、Ciba Spesialty Chemicals社製の、Violet B−K(商品名)、Violet B−KP(商品名)等を用いることができる。
【0050】
本発明では、上記に挙げた顔料の他に、色調調整のためさらに他の顔料(C.I.Pigment Yellow、 C.I.Pigment Orange、 C.I.Pigment Brown、 C.I.Pigment Greenで分類された各顔料)を併用することができる。
具体的な化合物については、「カラーインデックス」(The Society of Dyers and colourists)、W.Herbst,K.Hunger共著"Industrial Organic pigments"、(VCH Verlagsgesellschsft mbH1993年刊)に記載されている。
【0051】
本発明に使用できる顔料は、上述の裸の顔料であっても良いし、表面処理を施された顔料でも良い。表面処理の方法には、樹脂やワックスを表面コートする方法、界面活性剤を付着させる方法、反応性物質(例えば、シランカップリング剤やエポキシ化合物、ポリイソシアネートなど)を顔料表面に結合させる方法、顔料誘導体(シナジスト)を使用する方法などが考えられ、「金属石鹸の性質と応用」(幸書房)、「印刷インキ技術」(CMC出版、1984)、「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986)等の文献に記載されている。
中でも樹脂やワックスで顔料表面を予め表面コートされた形で市販されている易分散性の顔料、所謂インスタント顔料(例えばCiba SpesialtyChemicals社製のマイクロリス顔料)は、感光材料に導入する際に分散する必要なく高沸点有機溶剤中に良好に分散できるため特に好ましい。この場合、顔料が分散された高沸点有機溶剤をさらにゼラチンなどの親水性コロイド中に分散することができる。
【0052】
本発明に於いては、上記のように顔料を高沸点有機溶剤に分散し、次いでそれをゼラチンなどの親水性コロイド中に分散してもよいが、顔料を親水性コロイド中に直接分散してもよい。この際使用される分散剤は、用いるバインダーと顔料に合わせて種々のもの、例えば界面活性剤型の低分子分散剤や高分子型分散剤、を用いることが出来るが、分散安定性の観点から高分子型分散剤を用いることがより好ましい。分散剤の例としては特開平3−69949号、欧州特許549486号等に記載のものを挙げることができる。
本発明に使用できる顔料の粒径は、分散後で、0.01〜10μmの範囲であることが好ましく、0.02〜1μmであることが更に好ましい。
顔料をバインダー中へ分散する方法としては、インク製造やトナー製造時に用いられる公知の分散技術が使用できる。分散機としては、サンドミル、アトライター、パールミル、スーパーミル、ボールミル、インペラー、デスパーサー、KDミル、コロイドミル、ダイナトロン、3本ロールミル、加圧ニーダー等が挙げられる。詳細は「最新顔料応用技術」(CMC出版、1986年出版)に記載がある。
【0053】
本発明に用いられる顔料の全使用量の好ましい範囲は、0.1mg/m2〜10mg/m2であり、より好ましくは、0.3mg/m2〜5mg/m2である。また、ブルーの顔料と、異なる色相の顔料とを併用するのが好ましい。写真構成層を形成する親水性コロイド層に顔料を添加する方法は、顔料を支持体のポリオレフィン被服樹脂中に添加する方法に対して同一の色味に調節するのに必要な顔料の量を大きく減ずることができるので、コスト上メリットがあり好ましい。
本発明において、前記青顔料と、前記赤顔料及び/又は紫顔料とを併用する場合は、同一又は異なる親水性コロイド層に分散させて用いることができ、特に制限するものではない。
【0054】
本発明においては感光材料の写真構成層に油溶性染料を用い白地の調節をすることも好ましい。油溶性染料の代表的具体例は、特開平2−842号の(8)〜(9)頁に記載の化合物1〜27が挙げられる。
【0055】
また、本発明においては感光材料の親水性コロイド層中に蛍光増白剤を含有させて、処理後に感光材料中に蛍光増白剤を残存させることにより白地を調節することもできる。また、感光材料中にポリビニルピロリドン等の蛍光増白剤を捕獲するポリマーを添加することもできる。
【0056】
本発明において、ハロゲン化銀粒子の粒子サイズは、ハロゲン化銀粒子と等しい体積の立方体の辺長として定義する。本発明において平均粒子サイズはこの粒子サイズ(同体積換立方体辺長換算)に関して粒子間の数平均として定義する。ただしこのとき現像されてカプラーとの反応により色素形成に実質的に寄与することが可能なハロゲン化銀粒子のみを用いて平均粒子サイズの算出を行うこととし、実質的に感度を持たない微粒子乳剤などはこの平均サイズの算出からは除外することとする。本発明において、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中の平均粒子サイズは0.58μm以下であることを特徴とする。より好ましくはイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中の平均粒子サイズは0.4μm以下である。本発明においてイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中の粒子サイズに下限は特に制限されるものではないが、粒子サイズが小さすぎると感度の不足や増感色素塗布量の増大による白地汚染を招く恐れがあるため、これらに問題を生じない範囲で粒子サイズの下限を自由に設定できる。該下限としては0.15μmが好ましく、より好ましくは0.20μmである。ゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の平均粒子サイズは0.6μm以下が好ましく、0.5μm以下がより好ましく、これらの乳剤層の平均粒子サイズの場合も下限は特に制限されるものではないが、0.10μm以上が好ましい。また、本発明のハロゲン化銀粒子の粒子サイズ分布は均一であることが好ましく、粒子サイズ分布は変動係数(粒子サイズ分布の標準偏差を平均粒子サイズで除したもの)20%以下、望ましくは15%以下、更に好ましくは10%以下の所謂単分散なものが好ましい。また、広いラチチュードを得る目的で上記の単分散乳剤を同一層にブレンドして使用することや、重層塗布することも好ましく行われる。
【0057】
本発明において、ハロゲン化銀の粒子サイズの測定は公知のいかなる方法も用いることが出来るが、電子顕微鏡観察により観察した粒子のサイズを求める方法が好ましい。
【0058】
さらに、本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、反射支持体上に、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、さらに感光性のない非発色性の親水性コロイド層を少なくとも一層有有し、かつ発色現像後、漂白定着して画像が形成されるハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.58μm以下であり、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の塗布銀量が0.1g/m 2 〜0.23g/m 2 であり、かつ該ハロゲン化銀カラー写真感光材料の総塗布銀量が0.2g/m 2 〜0.5g/m 2 であって、さらに該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において露光後発色現像処理して得られるイエロー反射濃度が下記式の関係を満たすことを特徴とする。
DS0.1−DS0.0001 ≦0.3
ここで、DS0.1はイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において0.1秒で露光後発色現像処理し、イエロー反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量におけるイエロー反射濃度を表し、DS0.0001 はイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において0.0001秒で露光後発色現像処理し、イエロー反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量におけるイエロー反射濃度を表す。
【0059】
DS0.1−DS0.0001 の値は、0.1秒露光で得られる階調と0.0001秒露光で得られる階調を反射濃度0.7で合わせて重ね、合わせた点からそれぞれ照度で0.5logE多い露光量における0.1秒露光と0.0001秒露光の反射濃度差になり、実質肩部の階調差を表す。DS0.1−DS0.0001の値が正の場合は、0.0001秒露光の方が0.1秒露光より肩部が軟調であり、負の場合は0.0001秒露光の方が0.1秒露光より肩部が硬調である。この場合、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズは0.58μm以下であることが必要で、0.48μm以下であることが好ましい。なお、下限は前述の通りである。
【0060】
DS0.1−DS0.0001の値は、下記式の関係を満たすことが更に好ましい。
DS0.1−DS0.0001 ≦0.15
DS0.1−DS0.0001は負の値をとり、下記式の関係を満たすことも更に好ましい。
DS0.1−DS0.0001 ≦0
なお、これら上記の各式におけるDS0.1−DS0.0001の下限は特に制限されるものではないが、好ましくは−0.3以上である。
【0061】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料について説明する。
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料(以下、単に「感光材料」という場合がある)は、支持体上に、イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層と、シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層とをそれぞれ少なくとも一層有するハロゲン化銀カラー写真感光材料である。
本発明において、前記イエロー色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はイエロー発色層として、前記マゼンタ色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はマゼンタ発色層として及び前記シアン色素形成カプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層はシアン発色層として機能する。該イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層に各々含有されるハロゲン化銀乳剤は、相互に異なる波長領域の光(例えば、青色領域、緑色領域及び赤色領域の光)に対して、感光性を有しているのが好ましい。
【0062】
本発明の感光材料は、前記イエロー発色層、マゼンタ発色層及びシアン発色層以外にも、所望により後述する親水性コロイド層、アンチハレーション層、中間層及び着色層を有していてもよい。
本発明に好ましく用いられるハロゲン化銀感光材料に関して以下に詳細に述べる。
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤中のハロゲン化銀粒子は、好ましくは実質的に{100}面を持つ立方体又は14面体の結晶粒子(これらは粒子頂点が丸みを帯び、さらに高次の面を有していてもよい)又は8面体の結晶粒子、又は全投影面積の50%以上が{100}面又は{111}面からなるアスペクト比2以上の平板状粒子が好ましい。アスペクト比とは、投影面積に相当する円の直径を粒子の厚さで割った値である。本発明では、立方体又は{100}面を主平面とする平板状粒子又は{111}面を主平面とする平板状粒子が好ましく適用される。
【0063】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤としては、塩化銀、臭化銀、沃臭化銀、塩(沃)臭化銀乳剤等が用いられるが、迅速処理性の観点からは、塩化銀含有率が90モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、又は塩臭沃化銀乳剤が好ましく、更に塩化銀含有率が98モル%以上の塩化銀、塩臭化銀、塩沃化銀、又は塩臭沃化銀乳剤が好ましい。このようなハロゲン化銀乳剤の中でも、ハロゲン化銀粒子のシェル部分に、全銀モルあたり0.01〜0.50モル%、より好ましくは0.05〜0.40モル%の沃塩化銀相を有するものも高感度が得られ、高照度露光適性に優れるため好ましい。又はロゲン化銀粒子の表面に全銀モルあたり0.2〜5モル%、より好ましくは0.5〜3モル%の臭化銀局在相を有するものが、高感度が得られ、しかも写真性能の安定化が図れることから特に好ましい。
【0064】
本発明の乳剤は、沃化銀を含有することが好ましい。沃化物イオンの導入は、沃化物塩の溶液を単独で添加させるか、或いは銀塩溶液と高塩化物塩溶液との添加と併せて沃化物塩溶液を添加しても良い。後者の場合は、沃化物塩溶液と高塩化物塩溶液とを別々に、又はヨウ化物塩と高塩化物塩との混合溶液として添加しても良い。沃化物塩は、アルカリ若しくはアルカリ土類沃化物塩のような溶解性塩の形で添加する。或いは米国特許第5,389,508号明細書に記載される有機分子から沃化物イオンを開裂させることで沃化物を導入することもできる。また別の沃化物イオン源として、微小沃化銀粒子を用いることもできる。
【0065】
沃化物塩溶液の添加は、粒子形成の一時期に集中して行っても良く、またある一定期間かけて行っても良い。高塩化物乳剤への沃化物イオンの導入位置は、高感度で低被りな乳剤を得る上で制限される。沃化物イオンの導入は、乳剤粒子のより内部に行うほど感度の増加が小さい。故に沃化物塩溶液の添加は、粒子体積の50%より外側が好ましく、より好ましくは70%より外側から、最も好ましくは80%より外側から行うのが良い。また沃化物塩溶液の添加は、好ましくは粒子体積の98%より内側で、最も好ましくは96%より内側で終了するのが良い。沃化物塩溶液の添加は、粒子表面から少し内側で終了することで、より高感度で低被りな乳剤を得ることができる。
【0066】
粒子内の深さ方向への沃化物イオン濃度の分布は、エッチング/TOF−SIMS(Time of Flight−Secondary Ion MassSpectrometry)法により、例えばPhi Evans社製TRIFTII型TOF−SIMSを用いて測定できる。TOF−SIMS法については、具体的には日本表面科学会編「表面分析技術選書 二次イオン質量分析法」丸善株式会社(1999年発行)に記載されている。エッチング/TOF−SIMS法で乳剤粒子を解析すると、沃化物塩溶液の添加を粒子の内側で終了しても、粒子表面に向けて沃化物イオンがしみ出していることが分析できる。本発明の乳剤が沃化銀を含有する場合、エッチング/TOF−SIMS法による分析で、沃化物イオンは粒子表面で濃度極大を有し、内側に向けて沃化物イオン濃度が減衰していることが好ましい。
【0067】
本発明の感光材料中の乳剤は、臭化銀局在層を有することが好ましい。
本発明の乳剤が臭化銀局在相を含有する場合、臭化銀含有率が少なくとも10モル%以上の臭化銀局在相を粒子表面にエピタキシャル成長させてつくることが好ましい。また、表層近傍に臭化銀含有率1モル%以上の最外層シェル部を有することが好ましい。
臭化銀局在相の臭化銀含有率は、1〜80モル%の範囲が好ましく、5〜70モル%の範囲が最も好ましい。臭化銀局在相は、本発明におけるハロゲン化銀粒子を構成する全銀量の0.1〜30モル%の銀から構成されていることが好ましく、0.3〜20モル%の銀から構成されていることが更に好ましい。臭化銀局在相中には、イリジウムイオン等のVIII族金属錯イオンを含有させることが好ましい。これらの化合物の添加量は目的に応じて広範囲にわたるが、ハロゲン化銀1モルに対して10-9〜10-2モルが好ましい。
【0068】
本発明においては、ハロゲン化銀粒子を形成及び/又は成長させる過程で遷移金属イオンを添加し、ハロゲン化銀粒子の内部及び/又は表面に金属イオンを組み込むことが好ましい。用いる金属イオンとしては遷移金属イオンが好ましく、なかでも、鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、又は、亜鉛であることが好ましい。さらにこれらの金属イオンは配位子を伴い6配位八面体型錯体として用いることがより好ましい。無機化合物を配位子として用いる場合には、シアン化物イオン、ハロゲン化物イオン、チオシアン、水酸化物イオン、過酸化物イオン、アジ化物イオン、亜硝酸イオン、水、アンモニア、ニトロシルイオン、又は、チオニトロシルイオンを用いることが好ましく、上記の鉄、ルテニウム、イリジウム、オスミウム、鉛、カドミウム、又は、亜鉛のいずれの金属イオンに配位させて用いることも好ましく、複数種の配位子を1つの錯体分子中に用いることも好ましい。
この中で本発明のハロゲン化銀乳剤には、高照度相反則不軌改良の目的で、少なくとも一つの有機配位子を持つイリジウム錯体を持つことが特に好ましい。
配位子として有機化合物を用いる場合、他の遷移金属の場合にも共通であるが、好ましい有機化合物としては主鎖の炭素数が5以下の鎖状化合物及び/又は5員環あるいは6員環の複素環化合物を挙げることが出来る。さらに好ましい有機化合物は分子内に窒素原子、リン原子、酸素原子、又は、硫黄原子を金属への配位原子として有する化合物であり、最も好ましくはフラン、チオフェン、オキサゾール、イソオキサゾール、チアゾール、イソチアゾール、イミダゾール、ピラゾール、トリアゾール、フラザン、ピラン、ピリジン、ピリダジン、ピリミジン、ピラジンであり、さらにこれらの化合物を基本骨格としそれらに置換基を導入した化合物もまた好ましい。
特にこれらの中で、イリジウムイオンに好ましい配位子は、チアゾール配位子の中でも5−メチルチアゾールが特に好ましく用いられる。
【0069】
金属イオンと配位子との組み合わせとして好ましくは、鉄イオン及びルテニウムイオンとシアン化物イオンとの組み合わせが挙げられる。これらの化合物においてシアン化物イオンは中心金属である鉄又はルテニウムへの配位数のうち過半数を占めることが好ましく、残りの配位部位はチオシアン、アンモニア、水、ニトロシルイオン、ジメチルスルホキシド、ピリジン、ピラジン、又は、4,4(−ビピリジンで占められることが好ましい。最も好ましくは中心金属の6つの配位部位が全てシアン化物イオンで占められ、ヘキサシアノ鉄錯体又はヘキサシアノルテニウム錯体を形成することである。これらシアン化物イオンを配位子とする錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10-8モルから1×10-2モル添加することが好ましく、1×10-6モルから5×10-4モル添加することが最も好ましい。
またイリジウムイオンは、有機配位子だけでなく、フッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、中でも塩化物イオン又は臭化物イオンを用いることが好ましい。イリジウム錯体としては、前述の有機配位子をもつもの以外に、以下の具体的化合物を用いることが出来る。
例えば、[IrCl6]3-、[IrCl6]2-、[IrCl5(H2O)]2-、[IrCl5(H2O)]-、[IrCl4(H2O)2]-、[IrCl4(H2O)2]0、[IrCl3(H2O)3]0、[IrCl3(H2O)3]+、[IrBr6]3-、[IrBr6]2-、[IrBr5(H2O)]2-、[IrBr5(H2O)]-、[IrBr4(H2O)2]-、[IrBr4(H2O)2]0、[IrBr3(H2O)3]0、及び[IrBr3(H2O)3]+、である。これらのイリジウム錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10-10モルから1×10-3モル添加することが好ましく、1×10-8モルから1×10-5モル添加することが最も好ましい。ルテニウム及びオスミウムを中心金属とした場合にはニトロシルイオン、チオニトロシルイオン、又は水分子と塩化物イオンを配位子として共に用いることも好ましい。より好ましくはペンタクロロニトロシル錯体、ペンタクロロチオニトロシル錯体、又は、ペンタクロロアクア錯体を形成することであり、ヘキサクロロ錯体を形成することも好ましい。これらの錯体は粒子形成中に銀1モル当たり1×10-10モルから1×10-6モル添加することが好ましく、より好ましくは1×10-9モルから1×10-6モル添加することである。
【0070】
本発明で好ましく用いられる金属錯体を以下にさらに詳細に説明する。
本発明において、好ましい金属錯体は下記一般式(CI)で表されるイリジウム金属錯体または後述する一般式(CI)で表される金属錯体が好ましい。
まず最初に、本発明で好ましく使用される一般式(CI)で表されるイリジウム金属錯体を説明する。
一般式(CI)
[IrXI nLI (6−n) ] m
式中、XIはハロゲンイオンまたは、シアン酸イオン以外の擬ハロゲンイオンを表し、LIはXIとは異なる任意の配位子を表し、nは3、4または5を表し、mは−4から+1までの整数を表す。
ここで、3〜5個のXIは互いに同一でも異なってもよく、またLIが複数存在する場合、複数のLIは互いに同一でも異なってもよい。
【0071】
なお、上記において、擬ハロゲン(ハロゲノイド)イオンとは、ハロゲンイオンに似た性質を有するイオンのことであり、例えば、シアン化物イオン(CN-)、チオシアン酸イオン(SCN-)、セレノシアン酸イオン(SeCN-)、テルロシアン酸イオン(TeCN-)、アジドジチオ炭酸イオン(SCSN3 -)、シアン酸イオン(OCN-)、雷酸イオン(ONC-)、アジ化物イオン(N3 -)等が挙げられる。
XIとして好ましくはフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、ヨウ化物イオン、シアン化物イオン、イソシアン酸イオン、チオシアン酸イオン、硝酸イオン、亜硝酸イオン、または、アジ化物イオンであり、中でも塩化物イオン、および臭化物イオンであることが特に好ましい。LIには特に制限はなく、無機化合物であっても有機化合物であってもよく、電荷を持っていても無電荷であってもよいが、無電荷の無機化合物または有機化合物であることが好ましい。
【0072】
一般式(CI)の金属錯体の中でも、下記一般式(CIA)で表される金属錯体が好ましい。
一般式(CIA)
[IrXIA nLIA (6−n) ] m
式中、XIAは一般式(CI)のXIと同義であり、好ましい範囲も同じである。nおよびmは、一般式(CI)のものと同義である。LIAはXIAとは異なる任意の無機配位子を表し、好ましくは水、OCN、アンモニア、ホスフィン、カルボニルであり、特に水であることが好ましい。
ここで、3〜5個のXIAは互いに同一でも異なってもよく、またLIAが複数存在する場合、複数のLIAは互いに同一でも異なってもよい。
【0073】
一般式(CIA)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(CIB)で表される金属錯体が更に好ましい。
一般式(CIB)
[IrXIIB nLIB (6−n) ] m
式中、XIBは一般式(CI)のXIと同義であり、好ましい範囲も同じである。nおよびmは、一般式(CI)のものと同義である。LIBは鎖式または環式の炭化水素を母体構造とするか、またはその母体構造の一部の炭素または水素原子が他の原子または原子団に置き換えられた配位子を表すが、シアン化物イオンは含めない。LIBは複素環化合物が好ましい。より好ましくは5員環化合物を配位子とする錯体であり、5員環化合物の中でも少なくとも1の窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を5員環骨格の中に含有する化合物であることがさらに好ましい。
ここで、3〜5個のXIBは互いに同一でも異なってもよく、またLIBが複数存在する場合、複数のLIBは互いに同一でも異なってもよい。
【0074】
一般式(CIB)で表される金属錯体の中でも、下記一般式(CIC)で表される金属錯体が更に好ましい。
一般式(CIC)
[IrXIC nLIC (6−n) ] m
式中、XICは一般式(CI)のXIと同義であり、好ましい範囲も同じである。nおよびmは、一般式(CI)のものと同義である。LICは5員環配位子で、環骨格中に少なくとも1つの窒素原子と少なくとも1つの硫黄原子を含有する配位子を表し、該環骨格中の炭素原子上に任意の置換基を持ってよい。このような置換基としては、n−プロピル基より小さな体積を持つ置換基であることが好ましく、該置換基としては、メチル、エチル、メトキシ、エトキシ、シアノ、イソシアノ、シアナト、イソシアナト、チオシアナト、イソチオシアナト、ホルミル、チオホルミル、ヒドロキシ、メルカプト、アミノ、ヒドラジノ、アジド、ニトロ、ニトロソ、ヒドロキシアミノ、カルボキシル、カルバモイル、フルオロ、クロロ、ブロモ、ヨードが好ましい。
ここで、3〜5個のXICは互いに同一でも異なってもよく、またLICが複数存在する場合、複数のLICは互いに同一でも異なってもよい。
【0075】
以下に一般式(CI)で表される金属錯体の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[IrCl5(H2O)]2-
[IrCl4(H2O)2]-
[IrCl5(H2O)] -
[IrCl4(H2O)2]0
[IrCl5(OH)]3-
[IrCl4(OH)2]2-
[IrCl5(OH)] 2-
[IrCl4(OH)2]2-
[IrCl5(O)]4-
[IrCl4(O)2]5-
[IrCl5(O)]3-
[IrCl4(O)2]4-
[IrBr5(H2O)]2-
[IrBr4(H2O)2]-
[IrBr5(H2O)] -
[IrBr4(H2O)2]0
[IrBr5(OH)]3-
[IrBr4(OH)2]2-
[IrBr5(OH)] 2-
[IrBr4(OH)2]2-
[IrBr5(O)]4-
[IrBr4(O)2]5-
[IrBr5(O)]3-
[IrBr4(O)2]4-
[IrCl5(OCN)]3-
[IrBr5(OCN)]3-
[IrCl5(thiazole)]2-
[IrCl4(thiazole)2]-
[IrCl3(thiazole)3]0
[IrBr5(thiazole)]2-
[IrBr4(thiazole)2]-
[IrBr3(thiazole)3]0
[IrCl5(5-methylthiazole)]2-
[IrCl4(5-methylthiazole)2]-
[IrBr5(5-methylthiazole)]2-
[IrBr4(5-methylthiazole)2]-
これらの中で、特に[IrCl5(5-methylthiazole)]2-が好ましく用いられる。
【0076】
次に本発明で好ましく用いられる下記一般式(CII)で表される金属錯体について説明する。
一般式(CII)
[MXII nLII (6−n) ] m
式中、MはCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、XIIはハロゲンイオンを表し、LIIはXIIとは異なる任意の配位子を表し、nは3、4、5または6を表し、mは−4から+1までの整数を表す。
ここで、3〜6個のXIIは互いに同一でも異なってもよく、またLIIが複数存在する場合、複数のLIIは互いに同一でも異なってもよい。
XIIはフッ化物イオン、塩化物イオン、臭化物イオン、またはヨウ化物イオンであり、中でも塩化物イオン、および臭化物イオンであることが特に好ましい。LIIは無機化合物であっても有機化合物であってもよく、電荷を持っていても無電荷であってもよいが、無電荷の無機化合物であることが好ましい。LIIとして好ましくはH20、NOまたはNSである。
【0077】
一般式(CII)の金属錯体の中でも、下記一般式(CIIA)で表される金属錯体が好ましい。
一般式(CIIA)
[MIIAXIIA nLIIA (6−n) ] m
式中、MIIAはRe、Ru、OsまたはRhを表す。XIIAは一般式(CII)のXIIと同義であり、好ましい範囲も同じである。LIIAはMIIAがRe、RuまたはOsの場合、NOまたはNSを表し、MIIAがRhの場合、H2O、OHまたはOを表す。nおよびmは一般式(CII)と同義である。
ここで、3〜6個のXIIAは互いに同一でも異なってもよく、またLIIAが複数存在する場合、複数のLIIAは互いに同一でも異なってもよい。
【0078】
以下に一般式(CII)で表される金属錯体の好ましい具体例を挙げるが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[ReCl6]2-
[ReCl5 (NO) ]2-
[RuCl6]2-
[RuCl6]3-
[RuCl5 (NO) ]2-
[RuCl5 (NS) ]2-
[RuBr5 (NS) ]2-
[OsCl6]4-
[OsCl5 (NO) ]2-
[OsBr5 (NS) ]2-
[RhCl6]3-
[RhCl5(H2O)]2-
[RhCl4(H2O)2]-
[RhBr6]3-
[RhBr5(H2O)]2-
[RhBr4(H2O)2]-
[PdCl6]2-
[PtCl6]2-
これらの中で、特に[OsCl5 (NO) ]2-および[RhBr6]3-が好ましく用いられる。
【0079】
以上に挙げた金属錯体は陰イオンであり、陽イオンと塩を形成した時にはその対陽イオンとして水に溶解しやすいものが好ましい。具体的には、ナトリウムイオン、カリウムイオン、ルビジウムイオン、セシウムイオンおよびリチウムイオン等のアルカリ金属イオン、アンモニウムイオン、アルキルアンモニウムイオンが好ましい。これらの金属錯体は、水のほかに水と混合し得る適当な有機溶媒(例えば、アルコール類、エーテル類、グリコール類、ケトン類、エステル類、アミド類等)との混合溶媒に溶かして使うことができる。
【0080】
一般式(CI)で表される金属錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10-10モルから1×10-3モル添加することが好ましく、1×10-8モルから1×10-5モル添加することが最も好ましい。一般式(CII)で表される金属錯体は、粒子形成中に銀1モル当たり1×10-11モルから1×10-6モル添加することが好ましく、1×10-9モルから1×10-7モル添加することが最も好ましい。
また、一般式(CI)で表される金属錯体と一般式(CII)で表される金属錯体を併用することは、本発明の好ましい形態でもある。
【0081】
本発明において上記の錯体は、ハロゲン化銀粒子形成時に反応溶液中に直接添加するか、ハロゲン化銀粒子を形成するためのハロゲン化物水溶液中、あるいはそれ以外の溶液中に添加し、粒子形成反応溶液に添加することにより、ハロゲン化銀粒子内に組み込むが好ましい。さらにこれらの方法を組み合わせてハロゲン化銀粒子内へ含有させることも好ましい。
【0082】
これらの錯体をハロゲン化銀粒子に組み込む場合、粒子内部に均一に存在させることも好ましいが、特開平4−208936号、特開平2−125245号、特開平3−188437号各公報に開示されている様に、粒子表面層のみに存在させることも好ましく、粒子内部のみに錯体を存在させ粒子表面には錯体を含有しない層を付加することも好ましい。また、米国特許第5,252,451号及び5,256,530号明細書に開示されているように、錯体を粒子内に組み込んだ微粒子で物理熟成して粒子表面相を改質することも好ましい。さらに、これらの方法を組み合わせて用いることも出来、複数種の錯体を1つのハロゲン化銀粒子内に組み込んでもよい。上記の錯体を含有させる位置のハロゲン組成には特に制限はなく、塩化銀層、塩臭化銀層、臭化銀層、沃塩化銀層、沃臭化銀層に何れに錯体を含有させることも好ましい。
【0083】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤には、感光材料の製造工程、保存中あるいは写真処理中のかぶりを防止する、あるいは写真性能を安定化させる目的で種々の化合物あるいはそれ等の前駆体を添加することができる。これらの化合物の具体例は前出の特開昭62−215272号公報の第39頁〜第72頁に記載のものが好ましく用いられる。更にEP0447647号に記載された5−アリールアミノ−1,2,3,4−チアトリアゾール化合物(該アリール残基には少なくとも一つの電子吸引性基を持つ)も好ましく用いられる。
【0084】
また、本発明において、ハロゲン化銀乳剤の保存性を高めるため、特開平11−109576号に記載のヒドロキサム酸誘導体、特開平11−327094号に記載のカルボニル基に隣接して、両端がアミノ基もしくはヒドロキシル基が置換した二重結合を有す環状ケトン類(特に一般式(S1)で表されるもので、段落番号[0036]〜[0071]は本願の明細書に取り込むことができる。)、特開平11−143011号に記載のスルホ置換のカテコールやハイドロキノン類(例えば、4,5−ジヒドロキシ−1,3−ベンゼンジスルホン酸、2,5−ジヒドロキシ−1,4−ベンゼンジスルホン酸、3,4−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,3−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、2,5−ジヒドロキシベンゼンスルホン酸、3,4,5−トリヒドロキシベンゼンスルホン酸及びこれらの塩など)、特開平11−102045号の一般式(I)〜(III)で表される水溶性還元剤は本発明においても好ましく使用される。
【0085】
分光増感は、本発明の感光材料における各層の乳剤に対して所望の光波長域に分光感度を付与する目的で行われる。
本発明の感光材料において、青、緑、赤領域の分光増感に用いられる分光増感色素としては例えば、F.M.Harmer著 Heterocyclic compounds−Cyanine dyes and related compounds (John Wiley&Sons[New York,London]社刊1964年)に記載されているものを挙げることができる。具体的な化合物の例ならびに分光増感法は、前出の特開昭62−215272号公報の第22頁右上欄〜第38頁に記載のものが好ましく用いられる。また、特に塩化銀含有率の高いハロゲン化銀乳剤粒子の赤感光性分光増感色素としては特開平3−123340号に記載された分光増感色素が安定性、吸着の強さ、露光の温度依存性等の観点から非常に好ましい。
【0086】
これらの分光増感色素の添加量は場合に応じて広範囲にわたり、ハロゲン化銀1モルあたり0.5×10-6モル〜1.0×10-2モルの範囲が好ましい。更に好ましくは、1.0×10-6モル〜5.0×10-3モルの範囲である。
【0087】
本発明に用いるハロゲン化銀乳剤は、通常化学増感を施される。化学増感法については、不安定硫黄化合物の添加に代表される硫黄増感、金増感に代表される貴金属増感、あるいは還元増感等を単独もしくは併用して用いることができる。化学増感に用いられる化合物については、特開昭62−215272号の第18頁右下欄から第22頁右上欄に記載のものが好ましく用いられる。このうち、特に、金増感を施したものであることが好ましい。金増感を施すことにより、レーザー光等によって走査露光したときの写真性能の変動を更に小さくすることができるからである。
【0088】
本発明に用いられるハロゲン化銀乳剤に金増感を施すには、種々の無機金化合物や無機配位子を有する金(I)錯体及び有機配位子を有する金(I)化合物を利用することができる。無機金化合物としては、例えば塩化金酸もしくはその塩、無機配位子を有する金(I)錯体としては、例えばジチオシアン酸金(I)カリウム等のジチオシアン酸金化合物やジチオ硫酸金(I)3ナトリウム等のジチオ硫酸金化合物等の化合物を用いることが好ましい。
【0089】
有機配位子を有する金(I)化合物としては、特開平4−267249号に記載のビス金(I)メソイオン複素環類、例えば四フッ化硼酸金(I)ビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)、特開平11−218870号に記載の有機メルカプト金(I)錯体、例えばカリウムビス(1−[3−(2−スルホナートベンズアミド)フェニル]−5−メルカプトテトラゾールカリウム塩)オーレート(I)5水和物、特開平4−268550号に記載の窒素化合物アニオンが配位した金(I)化合物、例えば、ビス(1−メチルヒダントイナート)金(I)ナトリウム塩四水和物、を用いることができる。また、米国特許第3、503、749号に記載されている金(I)チオレート化合物、特開平8−69074号、特開平8−69075号、特開平9−269554号に記載の金化合物、米国特許第5620841号、同5912112号、同5620841号、同5939245号、同5912111号に記載の化合物も用いることができる。
これらの化合物の添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
【0090】
また、コロイド状硫化金を用いることも可能であり、その製造方法はリサーチ・ディスクロージャー(Reserch Disclosure,37154)、ソリッド ステート イオニクス(Solid State Ionics)第79巻、60〜66頁、1995年刊、Compt.Rend.Hebt.Seances Acad.Sci.Sect.B第263巻、1328頁、1966年刊等に記載されている。コロイド状硫化金としてさまざまなサイズのものを利用でき、粒径50nm以下のものも用いることができる。添加量は場合に応じて広範囲に変わり得るがハロゲン化銀1モルあたり金原子として5×10-7〜5×10-3モル、好ましくは5×10-6〜5×10-4モルである。
本発明においては、金増感を更に他の増感法、例えば硫黄増感、セレン増感、テルル増感、還元増感あるいは金化合物以外を用いた貴金属増感等と組み合わせてもよい。
【0091】
本発明に係わる感光材料には、イラジエーションやハレーションを防止したり、セーフライト安全性等を向上させる目的で親水性コロイド層に、欧州特許EP0337490A2号明細書の第27〜76頁に記載の、処理により脱色可能な染料(中でもオキソノール染料、シアニン染料)を添加することが好ましい。さらに、欧州特許EP0819977号明細書に記載の染料も本発明に好ましく添加される。これらの水溶性染料の中には使用量を増やすと色分離やセーフライト安全性を悪化するものもある。色分離を悪化させないで使用できる染料としては、特開平5−127324号、同5−127325号、同5−216185号に記載された水溶性染料が好ましい。
【0092】
本発明においては、水溶性染料の代わり、あるいは水溶性染料と併用しての処理で脱色可能な着色層が用いられる。用いられる処理で脱色可能な着色層は、乳剤層に直接接してもよく、ゼラチンやハイドロキノンなどの処理混色防止剤を含む中間層を介して接するように配置されていてもよい。この着色層は、着色された色と同種の原色に発色する乳剤層の下層(支持体側)に設置されることが好ましい。各原色毎に対応する着色層を全て個々に設置することも、このうちに一部のみを任意に選んで設置することも可能である。また複数の原色域に対応する着色を行った着色層を設置することも可能である。着色層の光学反射濃度は、露光に使用する波長域(通常のプリンター露光においては400nm〜700nmの可視光領域、走査露光の場合には使用する走査露光光源の波長)において最も光学濃度の高い波長における光学濃度値が0.2以上3.0以下であることが好ましい。さらに好ましくは0.5以上2.5以下、特に0.8以上2.0以下が好ましい。
【0093】
着色層を形成するためには、従来公知の方法が適用できる。例えば、特開平2−282244号3頁右上欄から8頁に記載された染料や、特開平3−7931号3頁右上欄から11頁左下欄に記載された染料のように固体微粒子分散体の状態で親水性コロイド層に含有させる方法、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法、色素をハロゲン化銀等の微粒子に吸着させて層中に固定する方法、特開平1−239544号に記載されているようなコロイド銀を使用する方法などである。色素の微粉末を固体状で分散する方法としては、たとえば、少なくともpH6以下では実質的に水不溶性であるが、少なくともpH8以上では実質的に水溶性である微粉末染料を含有させる方法が特開平2−308244号の第4〜13頁に記載されている。また、例えば、アニオン性色素をカチオンポリマーに媒染する方法としては、特開平2−84637号の第18〜26頁に記載されている。光吸収剤としてのコロイド銀の調製法については米国特許第2,688,601号、同3,459,563号に示されている。これらの方法のなかで微粉末染料を含有させる方法、コロイド銀を使用する方法などが好ましい。
【0094】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料の総塗布ゼラチン量は3g/m2以上6g/m2以下であることが好ましく、3g/m2以上5g/m2以下であることが更に好ましい。写真構成層全体の膜厚は3μm〜7.5μmであることが好ましく、更に3μm〜6.5μmであることが好ましい。乾燥膜厚の評価方法は、乾燥膜剥離前後の膜厚の変化、あるいは断面の光学顕微鏡や電子顕微鏡での観察により測定することができる。本発明において、膨潤膜厚が8μm〜19μmであることが好ましく、更に9μm〜18μmであることが好ましい。膨潤膜厚の測定としては、35℃の水溶液中に乾燥した感光材料を浸し、膨潤して十分平衡に達した状態で打点方法にて測定することができる。本発明においては、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中の塗布銀量は、0.1g/m2〜0.23g/m2であり、0.1g/m2〜0.19g/m2であることが好ましい。本発明における総塗布銀量は、0.2g/m2〜0.5g/m2であり、0.2g/m2〜0.45g/m2であることが好ましく、0.2g/m2〜0.40g/m2であることが最も好ましい。
【0095】
本発明のカラー印画紙は、イエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色性ハロゲン化銀乳剤層をそれぞれ少なくとも1層ずつ有してなることが好ましく、一般には、これらのハロゲン化銀乳剤層は支持体から近い順にイエロー発色性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色性ハロゲン化銀乳剤層、シアン発色性ハロゲン化銀乳剤層である。
【0096】
しかしながら、これとは異なった層構成を取っても構わない。
イエローカプラーを含有するハロゲン化銀乳剤層は支持体上のいずれの位置に配置されてもかまわないが、該イエローカプラー含有層にハロゲン化銀平板粒子を含有する場合は、マゼンタカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層又はシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層の少なくとも一層よりも支持体から離れた位置に塗設されていることが好ましい。また、発色現像促進、脱銀促進、増感色素による残色の低減の観点からは、イエローカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層より、支持体から最も離れた位置に塗設されていることが好ましい。更に、Blix退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は他のハロゲン化銀乳剤層の中央の層が好ましく、光退色の低減の観点からはシアンカプラー含有ハロゲン化銀乳剤層は最下層が好ましい。また、イエロー、マゼンタ及びシアンのそれぞれの発色性層は2層又は3層からなってもよい。例えば、特開平4−75055号、同9−114035号、同10−246940号、米国特許第5,576,159号等に記載のように、ハロゲン化銀乳剤を含有しないカプラー層をハロゲン化銀乳剤層に隣接して設け、発色層とすることも好ましい。
【0097】
本発明において適用されるハロゲン化銀乳剤やその他の素材(添加剤など)及び写真構成層(層配置など)、並びにこの感光材料を処理するために適用される処理法や処理用添加剤としては、特開昭62−215272号、特開平2−33144号、欧州特許EP0,355,660A2号に記載されているもの、特に欧州特許EP0,355,660A2号に記載されているものが好ましく用いられる。更には、特開平5−34889号、同4−359249号、同4−313753号、同4−270344号、同5−66527号、同4−34548号、同4−145433号、同2−854号、同1−158431号、同2−90145号、同3−194539号、同2−93641号、欧州特許公開第0520457A2号等に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料やその処理方法も好ましい。
【0098】
特に、本発明においては、前記の反射型支持体やハロゲン化銀乳剤、更にはハロゲン化銀粒子中にドープされる異種金属イオン種、ハロゲン化銀乳剤の保存安定剤又はカブリ防止剤、化学増感法(増感剤)、分光増感法(分光増感剤)、シアン、マゼンタ、イエローカプラー及びその乳化分散法、色像保存性改良剤(ステイン防止剤や褪色防止剤)、染料(着色層)、ゼラチン種、感光材料の層構成や感光材料の被膜pHなどについては、下記表に示す特許の各箇所に記載のものが特に好ましく適用できる。
【0099】
【表1】
【0100】
本発明において用いられるシアン、マゼンタ及びイエローカプラーとしては、その他、特開昭62−215272号の第91頁右上欄4行目〜121頁左上欄6行目、特開平2−33144号の第3頁右上欄14行目〜18頁左上欄末行目と第30頁右上欄6行目〜35頁右下欄11行目やEP0355,660A2号の第4頁15行目〜27行目、5頁30行目〜28頁末行目、45頁29行目〜31行目、47頁23行目〜63頁50行目に記載のカプラーも有用である。
また、本発明はWO−98/33760号の一般式(II)及び(III)、特開平10−221825号の一般式(D)で表される化合物を添加してもよく、好ましい。
【0101】
本発明に使用可能なシアン色素形成カプラー(以下、単に「シアンカプラー」という場合がある。)としては、ピロロトリアゾール系カプラーが好ましく用いられ、特開平5−313324号の一般式(I)又は(II)で表されるカプラー及び特開平6−347960号の一般式(I)で表されるカプラー並びにこれらの特許に記載されている例示カプラーが特に好ましい。また、フェノール系、ナフトール系のシアンカプラーも好ましく、例えば、特開平10−333297号に記載の一般式(ADF)で表されるシアンカプラーが好ましい。上記以外のシアンカプラーとしては、欧州特許EP0488248号明細書及びEP0491197A1号明細書に記載のピロロアゾール型シアンカプラー、米国特許第5,888,716号に記載の2,5−ジアシルアミノフェノールカプラー、米国特許第4,873,183号、同第4,916,051号に記載の6位に電子吸引性基、水素結合基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラー、特に、特開平8−171185号、同8−311360号、同8−339060号に記載の6位にカルバモイル基を有するピラゾロアゾール型シアンカプラーも好ましい。
【0102】
また、特開平2−33144号公報に記載のジフェニルイミダゾール系シアンカプラーの他に、欧州特許EP0333185A2号明細書に記載の3−ヒドロキシピリジン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー(42)の4当量カプラーに塩素離脱基をもたせて2当量化したものや、カプラー(6)や(9)が特に好ましい)や特開昭64−32260号公報に記載された環状活性メチレン系シアンカプラー(なかでも具体例として列挙されたカプラー例3、8、34が特に好ましい)、欧州特許EP0456226A1号明細書に記載のピロロピラゾール型シアンカプラー、欧州特許EP0484909号に記載のピロロイミダゾール型シアンカプラーを使用することもできる。
【0103】
尚、これらのシアンカプラーのうち、特開平11−282138号公報に記載の一般式(I)で表されるピロロアゾール系シアンカプラーが特に好ましく、該特許の段落番号0012〜0059の記載は例示シアンカプラー(1)〜(47)を含め、本願にそのまま適用され、本願の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0104】
本発明に用いられるマゼンタ色素形成カプラー(以下、単に「マゼンタカプラー」という場合がある。)としては、前記の表の公知文献に記載されたような5−ピラゾロン系マゼンタカプラーやピラゾロアゾール系マゼンタカプラーが用いられるが、中でも色相や画像安定性、発色性等の点で特開昭61−65245号に記載されたような2級又は3級アルキル基がピラゾロトリアゾール環の2、3又は6位に直結したピラゾロトリアゾールカプラー、特開昭61−65246号に記載されたような分子内にスルホンアミド基を含んだピラゾロアゾールカプラー、特開昭61−147254号に記載されたようなアルコキシフェニルスルホンアミドバラスト基を持つピラゾロアゾールカプラーや欧州特許第226,849A号や同第294,785A号に記載されたような6位にアルコキシ基やアリールオキシ基をもつピラゾロアゾールカプラーの使用が好ましい。特に、マゼンタカプラーとしては特開平8−122984号に記載の一般式(M−I)で表されるピラゾロアゾールカプラーが好ましく、該特許の段落番号[0009]〜[0026]はそのまま本願に適用され、本願の明細書の一部として取り込まれる。これに加えて、欧州特許第854384号、同第884640号に記載の3位と6位の両方に立体障害基を有するピラゾロアゾールカプラーも好ましく用いられる。
【0105】
また、イエロー色素形成カプラー(本明細書において、単に「イエローカプラー」という場合がある。)としては、前記表中に記載の化合物の他に、欧州特許EP0447969A1号明細書に記載のアシル基に3〜5員の環状構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラー、欧州特許EP0482552A1号明細書に記載の環状構造を有するマロンジアニリド型イエローカプラー、欧州公開特許第953870A1号、同第953871A1号、同第953872A1号、同第953873A1号、同第953874A1号、同第953875A1号等に記載のピロール−2又は3−イルもしくはインドール−2又は3−イルカルボニル酢酸アニリド系カプラー、米国特許第5,118,599号明細書に記載されたジオキサン構造を有するアシルアセトアミド型イエローカプラーが好ましく用いられる。その中でも、アシル基が1−アルキルシクロプロパン−1−カルボニル基であるアシルアセトアミド型イエローカプラー、アニリドの一方がインドリン環を構成するマロンジアニリド型イエローカプラーの使用が特に好ましい。これらのカプラーは、単独あるいは併用することができる。
【0106】
本発明に使用するカプラーは、前出表中記載の高沸点有機溶媒の存在下で(又は不存在下で)ローダブルラテックスポリマー(例えば米国特許第4,203,716号)に含浸させて、又は水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーとともに溶かして親水性コロイド水溶液に乳化分散させることが好ましい。好ましく用いることのできる水不溶性かつ有機溶媒可溶性のポリマーは、米国特許第4,857,449号明細書の第7欄〜15欄及び国際公開WO88/00723号明細書の第12頁〜30頁に記載の単独重合体又は共重合体が挙げられる。より好ましくはメタクリレート系あるいはアクリルアミド系ポリマー、特にアクリルアミド系ポリマーの使用が色像安定性等の上で好ましい。
【0107】
本発明においては公知の混色防止剤を用いることができるが、その中でも以下に挙げる特許に記載のものが好ましい。
例えば、特開平5−333501号に記載の高分子量のレドックス化合物、WO98/33760号、米国特許第4,923,787号等に記載のフェニドンやヒドラジン系化合物、特開平5−249637号、特開平10−282615号及び独国特許第19629142A1号等に記載のホワイトカプラーを用いることができる。また、特に現像液のpHを上げ、現像の迅速化を行う場合には独国特許第19618786A1号、欧州特許第839623A1号、欧州特許第842975A1号、独国特許19806846A1号及び仏国特許第2760460A1号等に記載のレドックス化合物を用いることも好ましい。
【0108】
本発明においては紫外線吸収剤としてモル吸光係数の高いトリアジン骨核を有する化合物を用いることが好ましく、例えば、以下の特許に記載の化合物を用いることができる。これらは、感光性層又は/及び非感光性に好ましく添加される。例えば、特開昭46−3335号、同55−152776号、特開平5−197074号、同5−232630号、同5−307232号、同6−211813号、同8−53427号、同8−234364号、同8−239368号、同9−31067号、同10−115898号、同10−147577号、同10−182621号、独国特許第19739797A号、欧州特許第711804A号及び特表平8−501291号等に記載されている化合物を使用できる。
【0109】
本発明に係わる感光材料に用いることのできる結合剤又は保護コロイドとしては、ゼラチンを用いることが有利であるが、それ以外の親水性コロイドを単独であるいはゼラチンとともに用いることができる。好ましいゼラチンとしては、鉄、銅、亜鉛、マンガン等の不純物として含有される重金属は、好ましくは5ppm以下、更に好ましくは3ppm以下である。また、感光材料中に含まれるカルシウム量は、好ましくは20mg/m2以下、更に好ましくは10mg/m2以下、最も好ましくは5mg/m2以下である。
【0110】
本発明においては、親水性コロイド層中に繁殖して画像を劣化させる各種の黴や細菌を防ぐために、特開昭63−271247号公報に記載のような防菌・防黴剤を添加するのが好ましい。さらに、感光材料の被膜pHは4.0〜7.0が好ましく、より好ましくは4.0〜6.5である。
【0111】
本発明においては、感光材料の塗布安定性向上、静電気発生防止、帯電量調節等の点から界面活性剤を感光材料に添加することができる。界面活性剤としてはアニオン系界面活性剤、カチオン系界面活性剤、ベタイン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤があり、例えば特開平5−333492号に記載のものが挙げられる。本発明に用いる界面活性剤としてはフッ素原子含有の界面活性剤が好ましい。特に、フッ素原子含有界面活性剤を好ましく用いることができる。これらのフッ素原子含有界面活性剤は単独で用いても、従来公知の他の界面活性剤と併用してもかまわないが、好ましくは従来公知の他の界面活性剤との併用である。これらの界面活性剤の感光材料への添加量は特に限定されるものではないが、一般的には、1×10-5〜1g/m2、好ましくは1×10-4〜1×10-1g/m2、更に好ましくは1×10-3〜1×10-2g/m2である。
【0112】
本発明の感光材料は、画像情報に応じて光を照射される露光工程と、前記光照射された感光材料を現像する現像工程とにより、画像を形成することができる。本発明の感光材料は、通常のネガプリンターを用いたプリントシステムに使用される以外に、陰極線(CRT)を用いた走査露光方式にも適している。陰極線管露光装置は、レーザーを用いた装置に比べて、簡便でかつコンパクトであり、低コストになる。また、光軸や色の調整も容易である。画像露光に用いる陰極線管には、必要に応じてスペクトル領域に発光を示す各種発光体が用いられる。例えば赤色発光体、緑色発光体、青色発光体のいずれか1種、あるいは2種以上が混合されて用いられる。スペクトル領域は、上記の赤、緑、青に限定されず、黄色、橙色、紫色或いは赤外領域に発光する蛍光体も用いられる。特に、これらの発光体を混合して白色に発光する陰極線管がしばしば用いられる。
【0113】
感光材料が異なる分光感度分布を有する複数の感光性層を持ち、陰極性管も複数のスペクトル領域の発光を示す蛍光体を有する場合には、複数の色を一度に露光、即ち陰極線管に複数の色の画像信号を入力して管面から発光させてもよい。各色ごとの画像信号を順次入力して各色の発光を順次行わせ、その色以外の色をカットするフィルムを通して露光する方法(面順次露光)を採ってもよく、一般には、面順次露光の方が、高解像度の陰極線管を用いることができるため、高画質化のためには好ましい。
【0114】
本発明の感光材料は、ガスレーザー、発光ダイオード、半導体レーザー、半導体レーザーあるいは半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーと非線形光学結晶とを組合わせた第二高調波発光光源(SHG)等の単色高密度光を用いたデジタル走査露光方式が好ましく使用される。システムをコンパクトで、安価なものにするために半導体レーザー、半導体レーザーあるいは固体レーザーと非線形光学結晶を組合わせた第二高調波発生光源(SHG)を使用することが好ましい。特にコンパクトで、安価、更に寿命が長く安定性が高い装置を設計するためには半導体レーザーの使用が好ましく、露光光源の少なくとも一つは半導体レーザーを使用することが好ましい。
【0115】
このような走査露光光源を使用する場合、本発明の感光材料の分光感度極大波長は、使用する走査露光用光源の波長により任意に設定することができる。半導体レーザーを励起光源に用いた固体レーザーあるいは半導体レーザーと非線形光学結晶を組合わせて得られるSHG光源では、レーザーの発振波長を半分にできるので、青色光、緑色光が得られる。従って、感光材料の分光感度極大は通常の青、緑、赤の3つの波長領域に持たせることが可能である。このような走査露光における露光時間は、画素密度を400dpiとした場合の画素サイズを露光する時間として定義すると、好ましい露光時間としては10-4秒以下、更に好ましくは10-6秒以下である。
【0116】
本発明のハロゲン化銀カラー写真感光材料は、以下の公知資料に記載の露光、現像システムと組み合わせることで好ましく用いることができる。前記現像システムとしては、特開平10−333253号に記載の自動プリント並びに現像システム、特開2000−10206号に記載の感光材料搬送装置、特開平11−215312号に記載の画像読取装置を含む記録システム、特開平11−88619号並びに特開平10−202950号に記載のカラー画像記録方式からなる露光システム、特開平10−210206号に記載の遠隔診断方式を含むデジタルフォトプリントシステム、及び特願平10−159187号に記載の画像記録装置を含むフォトプリントシステムが挙げられる。
【0117】
本発明に適用できる好ましい走査露光方式については、前記の表に掲示した特許に詳しく記載されている。
【0118】
本発明の感光材料をプリンター露光する際、米国特許第4,880,726号に記載のバンドストップフィルターを用いることが好ましい。これによって光混色が取り除かれ、色再現性が著しく向上する。
本発明においては、欧州特許EP0789270A1や同EP0789480A1号に記載のように、画像情報を付与する前に、予め、黄色のマイクロドットパターンを前露光し、複写規制を施しても構わない。
【0119】
本発明の感光材料の処理には、特開平2−207250号の第26頁右下欄1行目〜34頁右上欄9行目、及び特開平4−97355号の第5頁左上欄17行目〜18頁右下欄20行目に記載の処理素材や処理方法が好ましく適用できる。また、この現像液に使用する保恒剤としては、前記の表に掲示した特許に記載の化合物が好ましく用いられる。
【0120】
発色現像液には公知もしくは市販のジアミノスチルベン系蛍光増白剤を用いることができる。公知のビストリアジニルジアミノスチルベンジスルホン酸化合物としては例えば特開平6−329936、特開平7−140625号又は特開平10−104809に記載の化合物が好ましい。市販の化合物は例えば「染色ノート」第19版(色染社)P.165〜P.168に記載されており、ここに記載されている製品のなかでも、Blankophor UWliq、Blankophor REU又はHakkol BRKが好ましい。また次に示す化合物(FL−1)〜(FL−3)も好ましく用いることができる。さらに残色低減剤として、下記のSR−1が有効であり、好ましく使用される。
【0121】
【化1】
【0122】
代表的には、本発明における色相と白地を規定する際の発色現像処理として、富士写真フイルム社製ミニラボ「PP350」、処理剤としてCP48Sケミカルを用い、感光材料試料に平均濃度のネガフイルムから像様露光を行い発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍になるまで連続処理を行った処理液にて処理を行うものがある。
【0123】
処理剤のケミカルとしては、富士写真フイルム社製CP45X、CP47L、イーストマンコダック社製RA−100、RA−4等でも構わない。
【0124】
本発明は迅速処理適性を有する感光材料にも好ましく適用される。迅速処理を行う場合には、発色現像時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。同様に、漂白定着時間は好ましくは60秒以下、更に好ましくは50秒以下6秒以上、より好ましくは30秒以下6秒以上である。また、水洗又は安定化時間は、好ましくは150秒以下、更に好ましくは130秒以下6秒以上である。
尚、発色現像時間とは、感光材料が発色現像液中に入ってから次の処理工程の漂白定着液に入るまでの時間をいう。例えば、自動現像機などで処理される場合には、感光材料が発色現像液中に浸漬されている時間(いわゆる液中時間)と、感光材料が発色現像液を離れ、次の処理工程の漂白定着浴に向けて空気中を搬送されている時間(いわゆる空中時間)との両者の合計を発色現像時間という。同様に、漂白定着時間とは、感光材料が漂白定着液中に入ってから次の水洗又は安定浴に入るまでの時間をいう。また、水洗又は安定化時間とは、感光材料が水洗又は安定化液中に入ってから乾燥工程に向けて液中にある時間(いわゆる液中時間)をいう。
【0125】
本発明の感光材料を露光後、現像する方法としては、従来のアルカリ剤と現像主薬を含む現像液で現像する方法、現像主薬を感光材料に内蔵し、現像主薬を含まないアルカリ液などのアクチベーター液で現像する方法などの湿式方式のほか、処理液を用いない熱現像方式などを用いることができる。特に、アクチベーター方法は、現像主薬を処理液に含まないため、処理液の管理や取扱いが容易であり、また廃液処理時の負荷が少なく環境保全上の点からも好ましい方法である。アクチベーター方法において、感光材料中に内蔵される現像主薬又はその前駆体としては、例えば、特開平8−234388号、同9−152686号、同9−152693号、同9−211814号、同9−160193号に記載されたヒドラジン型化合物が好ましい。
【0126】
また、感光材料の塗布銀量を低減し、過酸化水素を用いた画像増幅処理(補力処理)する現像方法も好ましく用いられる。特に、この方法をアクチベーター方法に用いることは好ましい。具体的には、特開平8−297354号、同9−152695号に記載された過酸化水素を含むアクチベーター液を用いた画像形成方法が好ましく用いられる。前記アクチベーター方法において、アクチベーター液で処理後、通常脱銀処理されるが、低銀量の感光材料を用いた画像増幅処理方法では、脱銀処理を省略し、水洗又は安定化処理といった簡易な方法を行うことができる。また、感光材料から画像情報をスキャナー等で読み取る方式では、撮影用感光材料などの様に高銀量の感光材料を用いた場合でも、脱銀処理を不要とする処理形態を採用することができる。
【0127】
本発明で用いられるアクチベーター液、脱銀液(漂白/定着液)、水洗及び安定化液の処理素材や処理方法は公知のものを用いることができる。好ましくは、リサーチ・ディスクロージャーItem 36544(1994年9月)第536頁〜第541頁、特開平8−234388号に記載されたものを用いることができる。
【0128】
本発明の効果は、ハロゲン化銀カラー写真感光材料を用いたデジタルダイレクトカラープルーフ用のカラー感光材料(以下「プルーフ用感光材料」という場合がある。)、デジタルダイレクトカラープルーフシステム、及びその画像形成方法においても適用できる。
プルーフ用感光材料は、一般的には支持体上に少なくともイエロー色素、マゼンタ色素、及びシアン色素を形成するハロゲン化銀感光層を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料であり、印刷インクに近似した色相を有し、網点化された画像情報に基づいて3つ以上の互いに異なる波長の光源ユニットを用いて露光し、面積変調の画像を形成する。黒(色度及びDmax)と単色ベタ(色度とDmax)の両立(色再現性の改良)や墨版の判別を目的として第4の感光層を設けることもできる。この場合には、露光光源は互いに波長の異なる3つ又は4つの光源を用いる。露光光源は、各色の光源ユニットを複数個(8個以上が好ましい)有する場合が多く、LED又はLD、その他のデバイスを使用することが可能である。露光光源は、青、緑、赤などの可視域及び赤外域のあらゆる波長の光源を使用することが可能であり、これらの組み合わせも自由である。
【0129】
システムとしては感光材料を自動的にマガジンから引き出して、シート状にカットし、露光用アウタードラムに巻き付けて回転させ、網点化された画像情報を3つ以上の互いに異なる波長の光源ユニットを各8個以上組み合わせた露光用アレー光源を用いて走査露光することにより2000dpi以上の解像度のドットにより面積階調の網点画像を記録した後、露光された該カラー感光材料が自動的に自動現像機により現像処理し、A3サイズ以上(必要に応じてB1サイズのシステムも可能である)の大きさの網点カラープルーフ画像を出力するダイレクトデジタルカラープルーフシステム及び画像形成方法が好ましいが、本発明をカラープルーフに適応することは、上記に記載したプルーフ用感光材料、システム、画像形成に限定されるものではない。
2400dpi以上の解像度、1ドットの露光ビーム径が光強度の半値幅で0.5μm以上50μmであること、少なくとも一つの露光光源が1ドットを露光するときの露光時間が10-8秒以上10-2秒以下であること、アウタードラムの回転数が100rpm以上4000rpm以下であること、少なくともひとつの露光光源の波長が700nm以上であること、少なくともひとつの露光光源の露光量が2段階以上であること、最も長波の露光光源の露光エネルギーが他の露光エネルギーの1.1倍以上であること、露光後、感光材料をアウタードラムから引き剥がして露光された面が下向きなるように搬送されること、自動現像機のカラー発色現像液中、漂白定着液中及び水洗浴中で乳剤面を下向きにターンするように搬送されること、感光材料の露光終了から発色現像液に先端が入るまでの時間が20秒以上3分以内であること、露光終了から、露光された感光材料の搬送方向先頭がカラー発色現像液に入る時間までの時間及び搬送方向後端がカラー発色現像液に入るまでの時間の差が1分以上10分以内、カラー発色現像液と漂白定着液の処理時間が10秒以上100秒以内であり、かつ処理時間の差が30秒以内であること、カラー発色現像液と漂白定着液の処理タンクの容量とが8L以上20L以下であること、水洗用タンクが2漕以上5漕以下であること、カラー発色現像及び漂白定着液が一体化されたキットにより供給され、かつカラー発色現像の補充量が感光材料1m2あたり、50ml以上300ml以下で、かつ漂白定着液の補充量が感光材料1m2あたり30ml以上250ml以下で、かつ水洗水の補充量が水洗水全体で50ml以上1000ml以下で、かつ処理される感光材料の面積を自動的に関知して補充されること、自動現像機に少なくともひとつの空中ターン搬送ローラーが自動的に水洗される機構を持つこと、感光材料の乳剤面が接する少なくともひとつのガイド板がテフロン(R)材料を使用していること、プルーフプリント中又は、別の出力プリントに、特定の画像を書き込み、この画像濃度又は色度を測定すること又は目標画像と目視比較することにより感光材料のロット間差、経時変化、露光時の温度及び湿度処理液状態の変化などによる感度の変化を補正するためのキャリブレーション機能を有、感光材料のDmaxよりも低い濃度の連続調の画像によりキャリブレーションを行える機能を有すること、20%以上80%以下の平網画像を目視判断又は濃度測定又は色差測色によりキャリブレーションを行えること、2つ以上のマガジンで同じサイズの感光材料が供給され、一方のマガジンの感光材料が無くなったときに自動的に他のマガジンの感光材料が供給されること、2種以上のサイズの感光材料をそれぞれ異なるマガジンにより同時に供給され、自動的にサイズ切り替えを行うこと、ひとつの感光材料の巻き長が30m以上100m以下であること、マガジンから感光材料を引き出して、引き出し終了後露光を開始するまで時間が10秒以上100秒以内であること、墨版画像がイエロー、マゼンタ、シアンから形成されていること、墨版の網点を形成する各色のドットゲインの差が5%以内であること、感光材料に用いられる支持体の総厚みが50μm以上150μmであること、感光材料に用いられる支持体の表ラミネートの厚みが10μm以上50μmであること、感光材料に用いられる支持体の裏ラミネートの厚みが10μm以上50μmであること、感光材料の感光性層が塗設されている面とは逆の面に0.1μm以上30μm以下のバック層を有すること、感光材料の感光性ハロゲン化銀を有する面の総膜厚が3μm以上30μm以下であること、感光材料の感光性ハロゲン化銀を有する面の総膜厚とバック面の総膜厚の差が10μm以内であること、感光材料に使用している感光性ハロゲン化銀の塩化銀含有率が90%以上であることを特徴とすること、感光材料の乳剤面を外側に向けてロール状に加工したものを使用すること、少なくとも一層の極大分光感度のピーク波長が700nm以上であること、スクイズローラーによりシート状にカット(切断)された感光材料を自動的にドラムに巻き回すことなどの特徴から選ばれる一つ又は複数の特徴を有するダイレクトデジタルカラープルーフシステム及び画像形成方法及びプルーフ用感光材料も本発明の効果を適応することが可能である。
【0130】
また、スポットの形状は、円形、楕円形、矩形の何れでも良い。1スポットの光量分布はガウス分布になっていても良いし、比較的強度の一定した台形になっていても良い。特に、光源は1つでも良いが複数個の光源を並べたアレーが好ましい。
【0131】
レーザーやLED及びそれらのアレーを光源として使用した露光方法、画像形成方法に関しては、特開平10−142752号、特開平11−242315号、特開2000−147723号、特開2000−246958号、特開2000−354174号、特開2000−206654号、欧州特許EP−1048976A等に詳細に記載されており、本発明において好ましく使用することができる。
【0132】
より具体的には、以下の通りである。
露光光源についての好ましい態様は、特開2000−147723号の段落番号[0022]や特開2000−206654号の段落番号[0053]、[0059]〜[0061]、[0064]〜[0067]に記載されており、本発明に好ましく適用される。
露光光源のビームの形態及び露光光源のアレーの好ましい態様は、特開2000−147723号の段落番号[0022]〜[0023]や特開2000−206654号の段落番号[0025]〜[0030]に記載されており、本発明に好ましく適用される。
露光時の生産性を向上させるためには、感光材料をドラムに巻きつけ走査露光する方法が優れている。その好ましい光源の態様は、特開2000−246958号に記載のLEDアレーであり、該LEDアレーを有する特開2000−246958号に記載の画像記録装置は本発明により好ましく適用される。またドラムに巻きつける方法については、特開2000−206654号の段落番号[0057]〜[0058]、[0062]〜[0063]に記載されており、同様に本発明に好ましく適用される。
また、欧州特許EP−1048976Aに記載の方法でキャリブレーションを行い画像を安定に形成させることも好ましく、本発明に適用される。
本発明においてカラープルーフを作製する際に好ましく採用される、デジタル画像データから露光用画像データへの変換及び露光処理方法については、特開2000−354174号、特開2000−147723号に記載のものをそのまま用いることができる。より具体的には、特開2000−354174号に記載の図1のカラープルーフ作製装置であり、該図1を含め、図1〜図4、並びに段落番号[0011]〜[0021]、段落番号[0022]の最初の1文、及び段落番号[0034]〜[0057]の記載部分は本発明の明細書の一部として好ましく取り込まれる。
【0133】
【実施例】
以下に本発明を実施例によって具体的に説明するが、本発明はこれに限定されるものではない。
【0134】
[実施例1]
(青感層乳剤Aの調製)
5.7質量%の脱イオンゼラチンを含む脱イオン蒸留水1.06リットルにNaClの10%溶液を46.3ml加え、さらにH2SO4(1N)を46.4ml添加し、さらに下記化合物Xを0.012g添加した後に60℃に液温度を調整したところで、高速攪拌を行いながら、直ちに硝酸銀0.1モルとNaCl0.1モルとを10分間かけて反応容器中に添加した。引き続き、1.5モルの硝酸銀とNaCl溶液を60分間かけて初期添加速度に対し最終添加速度が、4倍になるように流量加速法で添加した。次に、0.2モルの硝酸銀とNaCl溶液を一定添加速度で、6分間かけて添加した。このとき、NaCl溶液には、K3IrCl5(H2O)を全銀量に対して5×10-7モルになる量添加して、アコ化イリジウムを粒子中にドープした。
さらに0.2モルの硝酸銀と0.18モルのNaCl並びに0.02モルのKBr溶液を6分間かけて添加した。このときハロゲン水溶液中に、全銀量に対して0.5×10-5モルに相当するK4Ru(CN)6とK4Fe(CN)6を各々溶解してハロゲン化銀粒子に添加した。また、この最終段の粒子成長中に、全銀量に対し、0.001モルに相当するKI水溶液を反応容器中に1分間かけて添加した。添加開始の位置は、全粒子形成の93%が終了した時点から開始した。
その後40℃にて下記化合物Yの沈降剤を加え、pHを3.5付近に調整して脱塩、水洗を行った。
【0135】
【化2】
【0136】
脱塩水洗後の乳剤に、脱イオンゼラチンとNaCl水溶液、並びにNaOH水溶液を加え、50℃に昇温してpAg7.6、pH5.6に調整した。
このようにして、塩化銀98.9モル%、臭化銀1モル%、沃化銀0.1モル%のハロゲン組成からなる、平均粒子サイズ(同体積立方体辺長換算)0.70μm、辺長の変動係数8%のハロゲン化銀立方体粒子を含む乳剤を得た。
【0137】
上記乳剤を60℃に維持して、分光増感剤として分光増感色素A(下記分光増感色素−1〜4のモル比5:3:1:1の混合物)を4.5×10-4モル/Agモル添加した。さらに、下記チオスルフォン酸化合物−1を1×10-5モル/Agモル添加し、平均粒子経0.05μmの臭化銀90モル%塩化銀10モル%で六塩化イリジウムをドープした微粒子乳剤を添加して、10分間熟成した。さらに平均粒子径0.05μmの臭化銀40モル%塩化銀60モル%の微粒子を添加し10分間熟成した。微粒子は溶解し、これによりホストの立方体粒子の臭化銀含有率は、1.3モル%に増加した。また六塩化イリジウムは、1×10-7モル/Agモルドープされた。
【0138】
引き続き、化学増感剤としてチオ硫酸ナトリウム 1×10-5モル/Agモルと下記金増感剤−1を2×10-5モルを添加した。そして直ちに、60℃に昇温し、引き続き40分間熟成し、そののち50℃に降温した。降温後直ちに、下記メルカプト化合物−1及び2をそれぞれ6×10-4モル/Agモルになるように添加した。こののち10分間の熟成後、KBr水溶液を銀に対して、0.008モルになるように添加し、10分間の熟成後、降温して収納した。この様にして、乳剤A−1を調製した。
【0139】
また乳剤A−1の調製方法に対して、粒子形成中の温度を変更し、さらに添加剤の添加量を調整した以外は、まったく同様にして、乳剤A−2(平均サイズ0.60μm)を得た。このときの粒子サイズの変動係数は8%であった。またこの時、添加剤の量の調整は、分光増感剤及び化学増感剤の量を、乳剤A−1を基準として粒子サイズの逆数に比例する量添加することにより行った。
【0140】
【化3】
【0141】
【化4】
【0144】
(本発明 緑感層用乳剤Cの調製)
本発明の乳剤A−1に対して、粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類をそれぞれ下記のごとく変える以外は、乳剤A−1、2の調整条件と同様にしてGL用高感側乳剤C―1、低感側乳剤C―2を調製した。
【0145】
【化6】
【0146】
粒子サイズは高感側乳剤が、平均辺長0.40μm、低感側乳剤が、平均辺長0.30μmである。その変動係数は、いずれも8%であった。
増感色素Dをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては3.0×10-4モル、小サイズ乳剤に対しては3.6×10-4モル、また、増感色素Eをハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては4.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては7.0×10-5モル添加した。
【0148】
(本発明 赤感層用乳剤Eの調製)
本発明の乳剤A−1に対して、粒子形成時の温度を下げ並びに増感色素の種類を下記のごとく変える以外は、乳剤A−1、2の調製条件と同様にして赤感層乳剤用高感側乳剤E―1、低感側乳剤E―2を作製した。
【0149】
【化7】
【0150】
粒子サイズは高感側乳剤が、平均辺長0.38μm、低感側乳剤が、平均辺長0.32μmであり、辺長の変動係数は、各々9%と10%であった。
増感色素G及びHをそれぞれ、ハロゲン化銀1モル当り、大サイズ乳剤に対しては8.0×10-5モル、小サイズ乳剤に対しては10.7×10-5モル添加した。
さらに、以下の化合物Iを赤感層乳剤層にハロゲン化銀1モル当たり3.0×10-3モル添加した。)
【0151】
【化8】
【0153】
(第一層塗布液調製)
イエローカプラー(ExY)57g、色像安定剤(Cpd−1)7g、色像安定剤(Cpd−2)4g、色像安定剤(Cpd−3)7g、色像安定剤(Cpd−8)2gを溶媒(Solv−1)21g及び酢酸エチル80mlに溶解し、この液を4gのドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムを含む23.5質量%ゼラチン水溶液220g中に高速攪拌乳化機(ディゾルバー)で乳化分散し、水を加えて900gの乳化分散物Aを調製した。
一方、前記乳化分散物Aと前記乳剤A−1、A−2とを混合溶解し、後記組成となるように第一層塗布液を調製した。乳剤塗布量は、銀量換算塗布量を示す。
【0154】
第二層〜第七層用の塗布液も第一層塗布液と同様の方法で調製した。各層のゼラチン硬化剤としては、1−オキシ−3,5−ジクロロ−s−トリアジンナトリウム塩(H−1)、(H−2)、(H−3)を用いた。また、各層にAb−1、Ab−2、Ab−3、及びAb−4をそれぞれ全量が15.0mg/m2、60.0mg/m2,5.0mg/m2及び10.0mg/m2となるように添加した。
【0155】
【化9】
【0156】
【化10】
【0157】
また、1−(3−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを、第二層、第四層、第六層及び第七層に、それぞれ0.2mg/m2、0.2mg/m2、0.6mg/m2、0.1mg/m2となるように添加した。
また、青感性乳剤層及び緑感性乳剤層に対し、4−ヒドロキシ−6−メチル−1,3,3a,7−テトラザインデンを、それぞれハロゲン化銀1モル当たり、1×10-4モル、2×10-4モル添加した。
また、赤感層乳剤層にメタクリル酸とアクリル酸ブチルとの共重合体ラテックス(質量比1:1、平均分子量200000〜400000)を0.05g/m2を添加した。
また第二層、第四層及び第六層にカテコール−3,5−ジスルホン酸二ナトリウムをそれぞれ6mg/m2、6mg/m2、18mg/m2となるように添加した。
また、イラジエーション防止のために、以下の染料(カッコ内は塗布量を表す)を添加した。
【0158】
【化11】
【0159】
(層構成)
以下に、感光材料における各層の構成を示す。数字は塗布量(g/m2)を表す。ハロゲン化銀乳剤は、銀換算塗布量を表す。
<支持体>
ポリエチレン樹脂ラミネート紙
[第一層側のポリエチレン樹脂に白色顔料(TiO2;含有率16質量%、ZnO;含有率4質量%)と蛍光増白剤(4,4’−ビス(5−メチルベンゾオキサゾリル)スチルベン、含有率0.03質量%)、青味染料(群青、含有率0.33質量%)を含む。ポリエチレン樹脂の量は29.2g/m2]
【0160】
<第一層(青感性乳剤層)>
塩化銀乳剤A−▲1▼(金硫黄増感された立方体。乳剤A−1と乳剤A―2との4:6混合物(銀モル比。平均粒子サイズ0.64μm)。)0.24
ゼラチン 1.25
イエローカプラー(ExY) 0.57
色像安定剤(Cpd−1) 0.07
色像安定剤(Cpd−2) 0.04
色像安定剤(Cpd−3) 0.07
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
溶媒(Solv−1) 0.21
【0161】
<第二層(混色防止層)>
ゼラチン 1.15
混色防止剤(Cpd−4) 0.10
色像安定剤(Cpd−5) 0.018
色像安定剤(Cpd−6) 0.13
色像安定剤(Cpd−7) 0.07
溶媒(Solv−1) 0.04
溶媒(Solv−2) 0.12
溶媒(Solv−5) 0.11
【0162】
<第三層(緑感性乳剤層)>
塩臭化銀乳剤C(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤C−1と小サイズ乳剤C−2との1:3混合物(銀モル比)。)0.14
ゼラチン 1.21
マゼンタカプラー(ExM) 0.15
紫外線吸収剤(UV−A) 0.14
色像安定剤(Cpd−2) 0.003
色像安定剤(Cpd−4) 0.002
色像安定剤(Cpd−6) 0.09
色像安定剤(Cpd−8) 0.02
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−10) 0.01
色像安定剤(Cpd−11) 0.0001
溶媒(Solv−3) 0.09
溶媒(Solv−4) 0.18
溶媒(Solv−5) 0.17
【0163】
<第四層(混色防止層)>
ゼラチン 0.68
混色防止剤(Cpd−4) 0.06
色像安定剤(Cpd−5) 0.011
色像安定剤(Cpd−6) 0.08
色像安定剤(Cpd−7) 0.04
溶媒(Solv−1) 0.02
溶媒(Solv−2) 0.07
溶媒(Solv−5) 0.065
【0164】
<第五層(赤感層乳剤層)>
塩臭化銀乳剤E(金硫黄増感された立方体、大サイズ乳剤E−1と小サイズ乳剤E−2との5:5混合物(銀モル比)。)0.16
ゼラチン 0.95
シアンカプラー(ExC−1) 0.023
シアンカプラー(ExC−2) 0.05
シアンカプラー(ExC−3) 0.17
紫外線吸収剤(UV−A) 0.055
色像安定剤(Cpd−1) 0.22
色像安定剤(Cpd−7) 0.003
色像安定剤(Cpd−9) 0.01
色像安定剤(Cpd−12) 0.01
溶媒(Solv−8) 0.05
【0165】
<第六層(紫外線吸収層)>
ゼラチン 0.46
紫外線吸収剤(UV−B) 0.35
化合物(S1−4) 0.0015
溶媒(Solv−7) 0.18
【0166】
<第七層(保護層)>
ゼラチン 1.00
ポリビニルアルコールのアクリル変性共重合体
(変性度17%) 0.4
流動パラフィン 0.02
界面活性剤(Cpd−13) 0.02
【0167】
以下に実施例で用いる化合物を示す。
【化12】
【0168】
【化13】
【0169】
【化14】
【0170】
【化15】
【0171】
【化16】
【0172】
【化17】
【0173】
【化18】
【0174】
【化19】
【0175】
【化20】
【0176】
【化21】
【0191】
得られた試料101を下記現像処理Aに従って処理を行った。
<現像処理A>
上記の感光材料試料を127mm幅のロール状に加工し、富士写真フイルム(株)製ミニラボプリンタープロセッサー PP350を用いて感光材料試料に平均濃度のネガティブフイルムから像様露光を行い、下記処理工程にて使用した発色現像補充液の容量が発色現像タンク容量の2倍となるまで連続処理(ランニングテスト)を行った。このランニング処理液を用いた処理を処理Aとした。
【0192】
処理工程 〔温度/時間/補充量〕
発色現像 38.5℃/45秒/45mL
漂白定着 38.0℃/45秒/35mL
リンス1 38.0℃/20秒/−
リンス2 38.0℃/20秒/−
リンス3 38.0℃/20秒/−
リンス4 38.0℃/20秒/121mL
乾燥 80℃
尚、上記処理工程において「補充量」は、感光材料1m2あたりの補充量を意味する。
上記処理工程において、富士写真フイルム(株)製リンスクリーニングシステムRC50Dをリンス3に装着し、リンス3からリンス液を取り出してポンプにより逆浸透モジュール(RC50D)へ送る。同槽で送られた透過水はリンス4に供給し、濃縮液はリンス3に戻す。逆浸透モジュールへの透過水量は50〜300mL/分を維持するようにポンプ圧を調整し、1日10時間温調循環させた。リンスは1から4への4タンク向流方式とした。
【0193】
各処理液の組成は以下の通りである。
【0194】
【0195】
【0196】
処理後の各試料の白地部分(未露光部分)に関して、450nm、550nm、650nmの各波長における反射濃度A(450)、A(550)、A(650)を日立製作所社製U−3410型スペクトロフォトメーターを用いて測定した。また、各試料の保存中の自然放射線による白色度の変化を評価するために、各試料に対して均一にX線照射(120KV、1/10秒)を行った後、同様に処理Aによりカラー処理を行い、処理後の白地の好ましさを同様に評価した。
【0197】
<白地の評価>
各試料の白地の好ましさを評価するために、処理後の試料に関して色評価用蛍光灯F8の元、50人の被験者によって試料の未露光部分の観察を行い、官能評価を行った。評価は下記基準に基づき決定された各試料に関する点数の50人の平均値を算出し、この平均値が高いほど好ましい白色度であると判断した。
【0198】
5点:かなり好ましい。
4点:好ましい。
3点:普通。
2点:やや劣る。
1点:劣る。
【0211】
(乳剤Baの調製)
攪拌したゼラチン水溶液中に、硝酸銀と塩化ナトリウムを同時添加して混合する定法で、粒子サイズ0.73μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。但し、硝酸銀の添加が60%の時点から80%の時点にかけて、Cs2[OsCl5(NO)]を添加した。硝酸銀の添加が80%の時点から90%の時点にかけて、K4[Ru(CN)6]を添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.1モル%)を添加した。更に硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて、K2[Ir(H2O)Cl5]を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散した。この乳剤にチオスルフォン酸ナトリウムと分光増感色素Aを添加し、硫黄増感剤としてチオ硫酸ナトリウム5水和物と金増感剤としてビス(1,4,5−トリメチル−1,2,4−トリアゾリウム−3−チオラート)オーレート(I)テトラフルオロボレートを用い最適になるように熟成した。更に1−フェニル−5−メルカプトテトラゾールおよび1−(5−メチルウレイドフェニル)−5−メルカプトテトラゾールを添加した。このようにして得られた乳剤を、乳剤Baとした。
【0212】
(乳剤Bbの調製)
乳剤Baとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加時間を変えて、粒子サイズ0.65μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。Cs2[OsCl5(NO)]、K4[Ru(CN)6]およびK2[Ir(H2O)Cl5]は同様に添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.15モル%)を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散し、乳剤Baと同様に分光増感と化学増感を施した。このようにして得られた乳剤を、乳剤Bbとした。
【0213】
(乳剤Bcの調製)
乳剤Baとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加時間を変えて、粒子サイズ0.55μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。Cs2[OsCl5(NO)]、K4[Ru(CN)6]およびK2[Ir(H2O)Cl5]は同様に添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.23モル%)を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散し、乳剤Baと同様に分光増感と化学増感を施した。このようにして得られた乳剤を、乳剤Bcとした。
【0214】
(乳剤Bdの調製)
乳剤Baとは、硝酸銀と塩化ナトリウムの添加時間を変えて、粒子サイズ0.45μm、変動係数10%の立方体高塩化銀乳剤を調製した。Cs2[OsCl5(NO)]、K4[Ru(CN)6]およびK2[Ir(H2O)Cl5]は同様に添加した。硝酸銀の添加が90%終了した時点で沃化カリウム(出来上がりのハロゲン化銀1モルあたり0.32モル%)を添加した。得られた乳剤に脱塩処理を施した後、ゼラチンを加え再分散し、乳剤Baと同様に分光増感と化学増感を施した。このようにして得られた乳剤を、乳剤Bdとした。
【0215】
(乳剤Beの調製)
乳剤Baとは、硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて添加するK2[Ir(H2O)Cl5]をK2[Ir(5−methylthiazole)Cl5]に変更したことのみ異なる乳剤を調製し、得られた乳剤を、乳剤Beとした。
【0216】
(乳剤Bfの調製)
乳剤Bbとは、硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて添加するK2[Ir(H2O)Cl5]をK2[Ir(5−methylthiazole)Cl5]に変更したことのみ異なる乳剤を調製し、得られた乳剤を、乳剤Bfとした。
【0217】
(乳剤Bgの調製)
乳剤Bcとは、硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて添加するK2[Ir(H2O)Cl5]をK2[Ir(5−methylthiazole)Cl5]に変更したことのみ異なる乳剤を調製し、得られた乳剤を、乳剤Bgとした。
【0218】
(乳剤Bhの調製)
乳剤Bdとは、硝酸銀の添加が92%の時点から98%の時点にかけて添加するK2[Ir(H2O)Cl5]をK2[Ir(5−methylthiazole)Cl5]に変更したことのみ異なる乳剤を調製し、得られた乳剤を、乳剤Bhとした。
【0219】
実施例1の試料101から、青感性乳剤層の塩化銀乳剤A−▲1▼を後述する表4に示した乳剤に変更した試料を作成した。
【0220】
感光計を用いて、各試料にイエロー発色センシトメトリー用の0.1秒および0.0001秒の階調露光を与えた。露光した試料は、前述の現像処理Aで処理し、イエロー発色の濃度測定を行なった。0.0001秒露光で反射濃度0.7の発色を得るに要する露光量の逆数を感度として読み取り、乳剤Baの感度を100とした相対値で、各試料の感度をSで表す。Sは値が大きいほど高感度で好ましい。DS0.1は0.1秒露光で反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量における反射濃度を表し、DS0.0001 は0.0001秒露光で反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量における反射濃度を表す。その差DS0.1−DS0.0001はDS0.1−DS0.0001短時間露光で肩部軟調化が少なく好ましい。
また、前述の試料101と同様に、処理後の各試料の白地部分(未露光部分)に関して、450nm、550nm、650nmの各波長における反射濃度A(450)、A(550)、A(650)を日立製作所社製U−3410型スペクトロフォトメーターを用いて測定した。
これとは別に、各試料の自然放射線によるかぶり易さを調べるために、露光前に前述の試料101と同様に均一にX線を照射し、かぶり濃度の増加Dを測定した。Dは値が小さいほど自然放射線による白色度の悪化が少なく好ましい。
これらの結果をまとめて下記表4に示した。
【0221】
【表4】
【0222】
表4の結果から明らかなように、試料402から404および406から408は処理後の白色度に優れ、高感度で、短時間露光で肩部軟調化が少なく、自然放射線による白色度の悪化が少なく好ましい。これらの試料のなかでも、DS0.1−DS0.0001が0.3以下である試料406から408は感度が極めて高く、特に好ましいことがわかる。
【0223】
上記試料とは、青感性乳剤層の乳剤を表5に示した乳剤に変更し、更に青感性乳剤層の塗布銀量を表5に示した値に変えた試料を作成した。
【0224】
【表5】
【0225】
これらの試料についても、上記と同様にS、DS0.1−DS0.0001およびDを測定し、得られた結果を表5に示した。表5の結果から明らかなように、青感性乳剤層の塗布銀量を少なくすることで、本発明の改良効果は顕著に大きくなる。
【0226】
【発明の効果】
本発明によれば、製造直後のみならず保存後においても好ましい白色度を有するハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。さらには、これに加え、高感度で、かつ短時間露光での肩部の軟調化の少ないハロゲン化銀カラー写真感光材料を提供することができる。
Claims (17)
- 反射支持体上に、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、さらに感光性のない非発色性の親水性コロイド層を少なくとも一層有し、かつ発色現像後、漂白定着して画像が形成されるハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.58μm以下であり、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の塗布銀量が0.1g/m 2 〜0.23g/m 2 であり、かつ該ハロゲン化銀カラー写真感光材料の総塗布銀量が0.2g/m 2 〜0.5g/m 2 であって、さらに、発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)が、450nmで0.07以下、550nmで0.09以下、及び、650nmで0.07以下であることを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)が、450nmで0.06以下、550nmで0.07以下、及び、650nmで0.05以下であることを特徴とする請求項1に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)の濃度比が、下記条件式(I)及び(II)を満たすことを特徴とする請求項1または請求項2に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
(I) 1.0≦A(550)/A(450)≦1.4
(II) 0.6≦A(650)/A(450)≦1.2 - 反射支持体上に、イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層、マゼンタ発色感光性ハロゲン化銀乳剤層及びシアン発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の各層を少なくとも一層ずつ有し、さらに感光性のない非発色性の親水性コロイド層を少なくとも一層有し、かつ発色現像後、漂白定着して画像を形成するハロゲン化銀カラー写真感光材料において、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.58μm以下であり、該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤の塗布銀量が0.1g/m 2 〜0.23g/m 2 であり、かつ該ハロゲン化銀カラー写真感光材料の総塗布銀量が0.2g/m 2 〜0.5g/m 2 であって、さらに該イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において露光後発色現像処理して得られるイエロー反射濃度が下記式の関係を満たすことを特徴とするハロゲン化銀カラー写真感光材料。
DS0.1−DS0.0001 ≦0.3
(DS0.1はイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において0.1秒で露光後発色現像処理し、イエロー反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量におけるイエロー反射濃度を表し、DS0.0001 はイエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層の感光波長において0.0001秒で露光後発色現像処理し、イエロー反射濃度0.7を得るのに要する露光量より照度で0.5logE多い露光量におけるイエロー反射濃度を表す。) - 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料の発色現像処理後の未露光部における、波長λnmでの反射濃度A(λ)が、450nmで0.07以下、550nmで0.09以下、及び、650nmで0.07以下であることを特徴とする請求項4に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.55μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項5のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀粒子の平均粒子サイズが0.48μm以下であることを特徴とする請求項1〜請求項6のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中の塗布銀量が0.1g/m2〜0.19g/m2であることを特徴とする請求項1〜請求項7のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、沃化物イオンの導入が、ハロゲン化銀粒子体積の80%より外側から行われて形成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、沃化物イオンの導入が、ハロゲン化銀粒子体積の80%より外側から行われ、かつ粒子体積の98%より内側で終了して形成されたものであることを特徴とする請求項1〜請求項8のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、沃化物イオン濃度が、粒子表面で濃度極大であり、内側に向けて沃化物イオン濃度が減少していることを特徴とする請求項1〜請求項10のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、5員環または6員環の複素環を配位子として有するイリジウム錯体を有することを特徴とする請求項1〜請求項11のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、さらに、[IrCl 6 ] 3− または[IrCl 6 ] 2− のイリジウム錯体を有することを特徴とする請求項12に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が、下記一般式(CII)で表される金属錯体を少なくとも1種含有することを特徴とする請求項1〜請求項13のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
一般式(CII)
[MX II n L II (6−n) ] m
(式中、MはCr、Mo、Re、Fe、Ru、Os、Co、Rh、PdまたはPtを表し、X II はハロゲンイオンを表し、L II はX II とは異なる任意の配位子を表し、nは3、4、5または6を表し、mは−4から+1までの整数を表す。ここで、3〜6個のX II は互いに同一でも異なってもよく、またL II が複数存在する場合、複数のL II は互いに同一でも異なってもよい。) - 前記一般式(CII)で表される金属錯体を少なくとも2種含有することを特徴とする請求項14に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記イエロー発色感光性ハロゲン化銀乳剤層中のハロゲン化銀乳剤が{100}面を持つ立方体のハロゲン化銀乳剤であることを特徴とする請求項1〜請求項15のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
- 前記ハロゲン化銀カラー写真感光材料が顔料を含有し、該顔料の全使用量が0.1mg/m 2 〜10mg/m 2 であることを特徴とする請求項1〜請求項16のいずれか1項に記載のハロゲン化銀カラー写真感光材料。
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