JP4185022B2 - 衣服 - Google Patents

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本発明は衣服に関するものであり、主にケープあるいはショール若しくはストールなどとして使用できるものであって、場合によってはスカートとしても使用可能とした衣服に関するものである。
従来、女性は、ファッションのアイテムの一つとして、あるいは防寒用としてケープやショールあるいはストールなどの肩掛けを使用することが多い。このような肩掛けは、通常、正方形や長方形、あるいは三角形の形状とした布体で構成し、肩口を包むように羽織るようにしている。
また、このような肩掛け以外のスカーフもファッションアイテムとして用いられ、首周りに巻き付けて使用されている。特に、スカーフは首周りに巻き付けているだけであるので、位置ずれや型くずれなどが生じやすいために、方形状としたスカーフの中央部分に頭部を挿通させる開口部を設け、この開口部に頭部を通して着用することにより、位置ずれや型くずれなどを抑止しやすくしたスカーフも提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
また、このように頭部を挿通させる開口部を設けた衣類としてはポンチョなども知られており、特に耐水性の布体で形成することにより雨具として使用可能としているものも知られている。
特開平10−158913号公報
しかしながら、上記したケープ、ショール、ストール、スカーフ、ポンチョなどは、室内防寒用として着用するには適していないという問題があった。
すなわち、昨今のように空調の集中管理が行われているオフィスビルなどの建物においては、部分的な温度調整が困難なことから冷え性の女性は夏場の冷房時に防寒着が欠かせないが、このような防寒着としては、ショールやストールは着崩れしやすいために作業性が悪いという問題があり、スカーフは防寒機能が乏しいという問題があり、ケープやポンチョは手の自由度が阻害されることにより作業性が悪いという問題があり、作業性を考慮した場合には、カーディガンなどを着用せざるをえないという問題があった。
ただし、カーディガンは、作業性はよいもののファッション性が十分ではないために実利本位の利用者にしか受け入れられないという問題があり、またファッション性の高いカーディガンは高級なものである場合が多いために作業着としては使用しにくいという問題があった。
このような現状に鑑み、本発明者はオフィスなどでの作業時にもケープなど肩掛けの代わりに着用可能であって、しかも作業性を確保しながら着崩れが生じない衣服を提供すべく研究を行って、本発明を成すに至ったものである。特に、ファッション性にも優れた衣服とすることにより、消費者の購買意欲を高めることができるようにもしているものである。
本発明の衣服では、後ろ手とした両腕を通して両肩口部分を挿通させる肩挿通孔を設けた布体からなる衣服であって、略円形状とした布体の中央に、この略円形状の中心を中心点とする略楕円形状の前記肩挿通孔を形成し、前記肩挿通孔の長軸方向に沿った布体の丈の長さと短軸方向に沿った布体の丈の長さとを異にすることにより、肩幅方向を肩挿通孔の短軸方向に合わせて着用した場合と長軸方向に合わせて着用した場合とで腕部分の丈の長さ及び背中部分の丈の長さを異にして着用可能に構成してなる衣服とした。
さらに、以下の点にも特徴を有するものである。すなわち、
(1)肩挿通孔の開口縁に沿って布体に下地材を着設し、この下地材により肩挿通孔部分の布体の伸縮を抑制するように構成したこと。
(2)布体の肩挿通孔の形成領域に下地材を着設し、この下地材と布体とを同時に裁断して肩挿通孔を形成したこと。
請求項1記載の発明によれば、後ろ手とした両腕を通して両肩口部分を挿通させる肩挿通孔を設けた布体からなる衣服としたことによって、着用した際のフィット感に優れるとともに体を動かした場合の崩れが生じにくく、しかも美観に優れた衣服を提供できる。肩挿通孔を略楕円形状としたことによって、着用した際のフィット感を向上させることができる。布体の外周形状を略円形状とするとともに、この略円形状の中心を中心点とする略楕円形状に布体を裁断して肩挿通孔を形成したことによって、略楕円形状とした肩挿通孔の長軸方向に沿った布体の丈の長さと、短軸方向に沿った布体の丈の長さとを異ならせることができるので、肩幅方向を肩挿通孔の長軸方向に合わせて着用した場合と、肩幅方向を肩挿通孔の短軸方向に合わせて着用した場合とで、腕部分の丈の長さ、及び背中部分の丈の長さを異ならせることができ、1枚で少なくとも2通りの着こなし方を提供できる。
請求項2記載の発明によれば、肩挿通孔の開口縁に沿って布体に下地材を着設し、この下地材により肩挿通孔部分の布体の伸縮を抑制するように構成したことによって、着用にともなって肩挿通孔が伸び広がることを防止して、着用時のフィット感の低下が生じることを抑止できる。
請求項3記載の発明によれば、布体の肩挿通孔の形成領域に下地材を着設し、この下地材と布体とを同時に裁断して肩挿通孔を形成したことによって、布体の裁断時に下地材によって布体に伸びまたは縮みなどの変形が生じることを抑止でき、肩挿通孔を所要の形状に形成することができるので、フィット感の高い肩挿通孔の形状とすることができる。
図面を用いながら本発明の実施形態を詳説する。図1は、本発明の一実施形態を示した衣服Aの平面図であり、図2は、図1のX−X断面模式図である。
本実施形態の衣服Aは、外周形状を略円形状とした布体10からなるものであり、この布体10には中心部分に肩挿通孔11を形成している。
本実施形態では、布体10は外周形状を略円形状としているが円形状に限定するものではなく、楕円形状であってもよいし、三角形あるいは四角形などの多角形状としてもよいし、不定形状としてもよい。
また、肩挿通孔11は、図1に示すように、外周形状を略円形状とした布体10における略円形状の中心を中心点とした略楕円形状に限定するものではなく、布体10の所要の位置に形成してもよい。ただし、肩挿通孔11の形状は、後述するように肩挿通孔11には両肩口部分を挿通させるために略楕円形状が好ましく、好適には後述する形状とすることが望ましい。
布体10の素材は何であってもよく、低コスト化するために安価な布地を用いてもよいし、保温性を向上させるためにカシミヤなどを用いてもよく、所要の機能を有する機能性の生地を用いてもよい。
特に、後述するように本発明の衣服Aでは布体10の裏面が露出するために、布体10は裏面が露出してもよい素材を用いることが望ましい。本実施形態では、布体10にはカシミヤを用いており、表面と裏面とで外観上の差がないようにしているが、2枚の生地の裏面同士を重ね合わせて一体化してもよく、しかも、表面用の生地と裏面用の生地とで異なる柄の生地を用いることによって、ファッション性を向上させることもできる。したがって、衣服Aはリバーシブルとすることもできる。さらに、必要に応じて、重ね合わせる表面用の生地と裏面用の生地との間に中間生地を介在させてもよい。以下においては、布体10はカシミヤとして説明するが、カシミヤ以外の生地を使用する場合には、その生地に合わせて以下において言及しない裁縫上の既知の技術を用いてよい。
図2に示すように、布体10における肩挿通孔11には、開口縁に沿って下地材12を着設している。この下地材12はいわゆる「芯」であって、布体10の伸縮を抑制している。特に、下地材12は、布体10の裁断による肩挿通孔11の形成前に布体10の肩挿通孔11の形成域に貼着し、布体10の裁断時に下地材12ごと裁断することにより、布体10における縦地、横地、斜地などのバイアスの影響を受けにくくして、肩挿通孔11を所要形状に容易に形成することができる。
下地材12は、布体10における肩挿通孔11の形成域よりも所定幅だけ外側に膨出させながら形成域の全面に貼着してもよいし、あらかじめ所定幅寸法の略楕円弧形状に形成し、この略楕円弧形状下地材(図示せず)を、肩挿通孔11の形成域よりも所定幅だけ外側に膨出させながら形成域に沿って貼着してもよい。
特に、略楕円弧形状下地材は、略4分の1楕円弧あるいは略8分の1楕円弧として、所要数の略楕円弧形状下地材を用いて肩挿通孔11の開口縁に沿って下地材12を着設することにより、下地材12の効率のよい利用を図ることができ、製造コストを低減させることができる。
所要数の略楕円弧形状下地材を用いる場合には、隣接した略楕円弧形状下地材の端部同士を互いに重ね合わせることにより、布体10のバイアスの影響を受けにくくしている。あるいは、布体10のバイアスの影響を受けにくい部分に、隣接する略楕円弧形状下地材の端部がそれぞれ位置するようにしている。
下地材12を貼着した肩挿通孔11の開口縁には、下地材12を被覆するように布体10と同一の生地であるカシミヤを用いてバイピングを行っている。すなわち、布体10の裏面においてカシミヤ製の被覆用生地13で下地材12を被覆し、被覆用生地13を肩挿通孔11の開口縁に沿って折り返して布体10の表面に重ね合わせ、第1縫合糸14によって布体10の裏面の被覆用生地13と、布体10と、布体10の表面の被覆用生地13とを縫い合わせ、下地材12の露出を防止して外観を向上させるようにしている。本実施形態では、被覆用生地13は布体10と同一種類の生地を用いているが、異なる種類の生地を用いてもよい。
一方、略円形状とした布体10の外側縁は、図2に示すように折り返して第2縫合糸15で縫い合わせることによってステッチを形成し、衣服Aの外観を向上させるようにしている。
本実施形態の衣服Aは上記した構成としており、この衣服Aを着用する場合には、図3に示すように、まず、使用者は肩挿通孔11に手を掛けて衣服Aを持つ。このとき、図1に示したように、肩挿通孔11は略楕円形状となっているので、通常は、略楕円形状の長軸方向に肩挿通孔11を引き延ばすようにして肩挿通孔11に手を掛けるか、あるいは、略楕円形状の短軸方向に肩挿通孔11を引き延ばすようにして肩挿通孔11に手を掛ける。図3に示すように、衣服Aの肩挿通孔11の近傍にはフックなどへの係止に用いる「えりずり16」を設けており、特に短軸方向と略直交する方向に伸延させてえりずり16を設けることによって、えりずり16の位置で略楕円形状の長軸方向と短軸方向との識別を可能としている。
次いで、図4に示すように、使用者は衣服Aを背後に移動させることにより両腕を後ろ手状態としながら肩挿通孔11に片手を挿入する。図4では右手を挿入している。
次いで、図5に示すように、使用者は右腕の肩口を肩挿通孔11に挿入した後に、残りの左手を肩挿通孔11に片手を挿入する。
次いで、図6に示すように、使用者は左腕の肩口まで肩挿通孔11に挿入することによって、肩挿通孔11に両肩口部分を挿通させ、図7に示すように衣服Aの着用作業が終了する。
衣服Aを着用した場合、本実施形態の衣服Aでは、図1に示すように、布体10の外周形状を略円形状とするとともに、この略円形状の中心を中心点とする略楕円形状に布体10を裁断して肩挿通孔11を形成していることによって、略楕円形状とした肩挿通孔11の長軸方向に沿った布体10の丈の長さと、短軸方向に沿った布体10の丈の長さとを異ならせることができるので、図8(a)に示すように肩幅方向を肩挿通孔の短軸方向に合わせて着用した場合と、図8(b)に示すように肩幅方向を肩挿通孔の長軸方向に合わせて着用した場合とで、腕部分の丈の長さ、及び背中部分の丈の長さを異ならせることができ、1枚で少なくとも2通りの着こなし方を提供できる。
本発明の衣服Aでは、図8に示すように、腰部分を位置する布体10は裏面が露出している状態であるので、上記したように衣服Aはリバーシブルになっていることが望ましい。
上記した実施形態では、肩挿通孔11は略楕円形状としているが、好適には肩挿通孔11は次のような形状とすることが望ましい。
すなわち、首周り(ネック)の寸法をNとし、肩幅の寸法をTとした場合に、「N/3+N/12」、すなわち「5N/12」と表される第1寸法L1を算出し、「T/3+T/6+T/24」、すなわち「13T/24」と表される第2寸法L2を算出する。
さらに、第2寸法L2と第1寸法L1の差、すなわち「13T/24−5N/12=(13T−10N)/24」と表される第3寸法L3を算出する。
そして、図9に示すように、衣服Aとなる生地20を四つ折りとし、四つ折りとしたことによって形成される第1折り線21と第2折り線22との交点Pから第1折り線21に沿って第3寸法L3の長さだけ離隔した位置に円弧中心点Qを設定し、この円弧中心点Qを中心として半径を第1寸法L1とした4分の1円弧からなる内側円弧状裁断線23を描き、さらに、この内側円弧状裁断線23の端部から第1折り線21と平行とした直線状裁断線24を描くようにしている。
そして、内側円弧状裁断線23と直線状裁断線24とに沿って生地20を裁断することによって、肩挿通孔11を形成することができる。このとき、内側円弧状裁断線23と第1折り線21との交点である点Rから交点Pまでの距離が第2寸法L2となっている。
さらに、交点Pを中心として所要の半径の4分の1円弧からなる外側円弧状裁断線25を描き、この外側円弧状裁断線25に沿って生地20を裁断することによって衣服Aの外周縁とするようにしている。
外側円弧状裁断線25は、好適には衿の付根の中心から袖口までの寸法である桁丈の75%程度の寸法とした第4寸法L4の半径を有する4分の1円弧であることが望ましく、さらに、ステッチの形成を考慮して第4寸法L4を適宜調整してもよい。なお、この第4寸法L4は、最終的には袖丈に影響するので、好みの袖丈となるように調整してもよい。
本実施形態では、生地20は一枚物の大面積を有する生地を用いているが、必ずしも一枚物である必要はなく、例えば1枚の略矩形状生地に図9に示すような内側円弧状裁断線23、直線状裁断線24、外側円弧状裁断線25による裁断を行って円弧状生地を形成し、この円弧状生地を4枚縫合するようにしてもよい。
上記したように構成した衣服Aでは、肩挿通孔11に後ろ手とした両腕を通して両肩口部分を挿通させていることによって着崩れの発生を防止することができる。
特に、肩挿通孔11の開口縁に沿って布体10に下地材12を着設していることによって、下地材12により肩挿通孔11の部分における布体10の伸縮を抑制することができるので、着崩れの発生を確実に防止することができる。
また、下地材12は布体10の肩挿通孔11の形成領域にあらかじめ着設し、下地材12と布体10とを同時に裁断して肩挿通孔11を形成することによって、裁断時の布体10の伸縮あるいは撓みの発生を防止できるので、肩挿通孔11を所定形状に確実に形成できる。
特に、肩挿通孔11は略楕円形状としていることによって着用時のフィット感を向上させることができるとともに、さらに布体10の外周形状を略円形としておくことによって着用方法によって丈の長さ調整を行うことができる。
また、上記した衣服Aは、使用する生地の材質によって、ケープ、ショール、ストールなどの代替品となるだけでなく、安全ピンや適宜の紐による腰への固定具を使用することによってスカートとしても使用可能であって、新たなファッションを提案可能とすることができる。
本発明に係る衣服の平面図である。 図1のX−X断面模式図である。 本発明に係る衣服の着用方法説明図である。 本発明に係る衣服の着用方法説明図である。 本発明に係る衣服の着用方法説明図である。 本発明に係る衣服の着用方法説明図である。 本発明に係る衣服の着用方法説明図である。 (a)肩幅方向を肩挿通孔の短軸方向に合わせて着用した場合の説明図、(b)肩幅方向を肩挿通孔の長軸方向に合わせて着用した場合の説明図である。 肩挿通孔形状の実施形態の説明図である。
符号の説明
A 衣服
10 布体
11 肩挿通孔
12 下地材
13 被覆用生地
14 第1縫合糸
15 第2縫合糸
16 えりずり
20 生地
21 第1折り線
22 第2折り線
23 内側円弧状裁断線
24 直線状裁断線
25 外側円弧状裁断線

Claims (3)

  1. 後ろ手とした両腕を通して両肩口部分を挿通させる肩挿通孔を設けた布体からなる衣服であって、
    略円形状とした布体の中央に、この略円形状の中心を中心点とする略楕円形状の前記肩挿通孔を形成し、
    前記肩挿通孔の長軸方向に沿った布体の丈の長さと短軸方向に沿った布体の丈の長さとを異にすることにより、肩幅方向を肩挿通孔の短軸方向に合わせて着用した場合と長軸方向に合わせて着用した場合とで腕部分の丈の長さ及び背中部分の丈の長さを異にして着用可能に構成してなる衣服。
  2. 前記肩挿通孔の開口縁に沿って前記布体に下地材を着設し、この下地材により前記肩挿通孔部分の前記布体の伸縮を抑制するように構成したことを特徴とする請求項1記載の衣服。
  3. 前記布体の前記肩挿通孔の形成領域に下地材を着設し、この下地材と前記布体とを同時に裁断して前記肩挿通孔を形成したことを特徴とする請求項1記載の衣服。
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