JP4184139B2 - 支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック及びその作製方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作動温度が650〜800℃の範囲である支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック構成用構造体、支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック、その作製方法及び該スタックを用いた支持膜式固体酸化物形燃料電池モジュールに関する。
【0002】
【従来の技術】
固体酸化物形燃料電池〔SOFC(=Solid Oxide Fuel Cell):以下適宜SOFCと略称する〕は、SOFCの単電池すなわち単セル(本明細書中「セル」とも言う)は固体酸化物電解質を挟んで燃料極及び空気極(酸化剤として酸素が用いられる場合は酸素極)が配置され、燃料極/電解質(固体酸化物電解質)/空気極の3層ユニットで構成される。
【0003】
空気極に導入される空気中の酸素は空気極で酸化物イオン(O2-)となり、固体酸化物電解質を通って燃料極に至る。ここで、燃料極に導入される燃料と反応して電子を放出し、電気と水、二酸化炭素等の反応生成物を生成する。空気極での利用済み空気は空気極オフガスとして排出され、燃料極での利用済み燃料は燃料極オフガスとして排出される。単セル1個の電圧は低いため、通常、単セルを複数層直列に積層して構成される。
【0004】
従来のSOFCはその作動温度が800〜1000℃程度と高いが、最近では800℃程度以下、例えば750℃程度の温度で作動するSOFCも開発されつつある。本発明者らは、このような低温作動のSOFCに特に注目し開発を進めており、これまで幾つかの成果を得ている(特開2002−343376、特開2002−367615、特願2002−28847等)。
【0005】
図1〜3は上記低温作動のSOFCの態様例を説明する図である。図1は単電池(セル)の構成例、図2はセルを組み込んだSOFCスタックの構成例、図3は図2中X−X線断面図である。図2ではスタック構成部材の位置関係等を示すため各構成部材間に間隔を置いた斜視図として示している。図1のとおり、単セルは、燃料極の上に電解質膜(=固体酸化物電解質膜)が配置され、電解質膜の上に空気極が配置されて構成され、このセルが図2〜3のように組み込まれてSOFCスタックが構成される。
【0006】
電解質膜として、例えばジルコニア系やLaGaO3系などの固体酸化物電解質材料を用いて、これを膜厚の厚い燃料極で支持するように構成されており、支持膜式と称される。支持膜式SOFCにおいては、電解質膜の膜厚を薄く構成でき、その膜厚が10μm程度となり、800℃以下の低温で運転できる。このため、その構成材料として例えばステンレス鋼などの安価な材料の使用を可能とし、また小型化が可能であるなど各種利点を有する。
【0007】
図2〜3のとおり、支持膜式SOFCスタックは、上部から下部へ順次セパレータA、セパレータB、セパレータC、接合材、単電池(セル)、セパレータDが配置される。セパレータAの上部、セパレータDの下部には集電板等が配置されるが、図示は省略している。また、セパレータA〜Dは金属(合金を含む)で構成される。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記のような低温作動の支持膜式SOFCにおいても、単セルを積層する必要があり、金属製のセルサポートフォイル(図2〜3中セパレータC)に接合し、それをマニホールド(図2〜3中セパレータB、D)に納まるように配置、接合したものをユニットとし、これを金属製のセパレータ板を介して次のユニットに接合することにより、スタックすなわち積層体が形成される。
【0009】
加えて、スタックを流通する燃料、空気、燃料極オフガス、空気極オフガスはすべて気体であることから、図3のとおり、ガス封止をしその封止性を高めるために各部材間にはシール材(図3中シール材による接合箇所)を挟み込む必要があるなどスタックを構成するには煩鎖で数多くの工程を必要とする。
【0010】
本発明は、従来におけるような、煩鎖で数多くの工程を経ることなく構成でき、且つ、ガス封止部を格段に減じてなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック構成用構造体、支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック、その作製方法及び該スタックを用いた支持膜式固体酸化物形燃料電池モジュールを提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック構成用の構造体であって、セル全体を、一方の電極及びガスの導入及び導出用の孔を備えた合金箔板で包み込んでなることを特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック構成用構造体を提供する。
【0012】
本発明は、(B)支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックであって、セル全体を電極及びガスの導入及び導出用の孔を備えた合金箔板で包み込んでなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック構成用構造体の複数個を、ガス流通及び電気的接続を行うインターコネクタを介して積層してなることを特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックを提供する。
【0013】
本発明は、(C)セル全体を第1及び第2の2枚の合金箔板で包んでなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックであって、第1の合金箔板が、長手方向の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に対する左右両端に第2の合金箔板との接合部を備え、第2の合金箔板が、その中央部に空気極用の開口と、その長手方向の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に対する左右両端に第2の合金箔板との接合部を備え、第1の合金箔板の中央部に支持膜式単セルを空気極を上にして配置した後、第2の合金箔板をその燃料流通用開口部にスペーサを介在させて配置し、第1の合金箔板及び第2の合金箔板の左右両端を接合してなることを特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック及びその作製方法を提供する。
【0014】
本発明は、(D)前記(C)の構造を有する支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックと、その両端に絶縁体部材及び該燃料電池スタックの開口に対応した開口を備え且つその中央部にスタックの単セルの空気極に対応する部位に空気流通用の波状の溝を有するインターコネクタとを、スタック及びインターコネクタの両開口に対応する開口を有する絶縁体部材を介在させて積層してなることを特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池モジュールを提供する。
【0015】
本発明は、(E)セル全体を1枚の合金箔板を折曲げて包み込んでなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックであって、該合金箔板が折曲部両側の箔板部のうち、一方の箔板部に、その長手方向の両端に燃料流通用開口を備え、他方の箔板部に、その中央部に空気極用の開口と、その長手方向の両端に燃料流通用開口とを備え、一方の箔板部の中央部に支持膜式単セルを空気極を上にして配置するとともに、該燃料流通用開口部にスペーサを介在させて配置した後、折曲部両側の箔板部を折曲部と相対する端部で接合してなることを特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック及びその作製方法を提供する。
【0016】
本発明は、(F)前記(E)の構造を有する支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックと、その両端に絶縁体部材及び該燃料電池スタックの開口に対応した開口を備え且つその中央部にスタックの単セルの空気極に対応する部位に空気流通用の波状の溝を有するインターコネクタとを、スタック及びインターコネクタの両開口に対応する開口を有する絶縁体部材を介在させて積層してなることを特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池モジュールを提供する。
【0017】
【発明の実施の形態】
本発明(A)は、支持膜式SOFCスタック構成用の構造体であって、セル全体を、一方の電極及びガスの導入及び導出用の孔を備えた合金箔板で包み込んでなることを特徴とする。ここで合金箔板は、柔軟性のある耐熱性合金の箔板で構成され、セル全体を包み込める形状であればよく、短冊状その他適宜の形状とすることができる。
【0018】
本発明(B)は、本発明(A)の支持膜式SOFCスタック構成用構造体をスタック化して構成される。すなわち、セル全体を一方の電極及びガスの導入及び導出用の孔を備えた合金箔板で包み込んでなる支持膜式SOFCスタック用構造体の複数個を、ガス流通用のインターコネクタを介在させて積層して構成される。ここで合金箔板は、柔軟性のある耐熱性合金の箔板で構成され、セル全体を包み込める形状であればよく、短冊状その他適宜の形状とすることができる。スタック化に際しては、上下から荷重をかけるが、合金箔板自体柔軟性があるので、スタック全体にかかる応力を緩和することができる。
【0019】
本発明(C)は、セル全体を第1及び第2の2枚の合金箔板で包んでなる支持膜式SOFCスタックである。第1の合金箔板は、長手方向の両端に燃料流通用開口を設け、その長手方向に対する左右両端に第2の合金箔板との接合部を設けて構成され、第2の合金箔板は、その中央部に空気極用の開口を設け、その長手方向の両端に燃料流通用開口を設け、その長手方向に対する左右両端に第2の合金箔板との接合部を設けて構成される。
【0020】
そして、第1の合金箔板の中央部に支持膜式単セルを空気極を上にして配置した後、第2の合金箔板をその燃料流通用開口部にスペーサを介在させて配置し、第1の合金箔板及び第2の合金箔板の左右両端を接合して構成される。ここで合金箔板は、柔軟性のある耐熱性合金の箔板で構成され、セル全体を包める形状であればよく、短冊状その他適宜の形状とすることができる。
【0021】
本発明(D)の支持膜式SOFCモジュールは、前記(C)の支持膜式SOFCスタックと、その両端に絶縁体部材及び該燃料電池スタックの開口に対応した開口を備え且つその中央部にスタックの単セルの空気極に対応する部位に空気流通用の波状の溝を有するインターコネクタとを、スタックの両開口に対応する開口を有する絶縁体部材を介して積層することで構成される。
【0022】
本発明(E)は、セル全体を1枚の合金箔板を折曲げて包み込んでなる支持膜式SOFCスタックである。該合金箔板は、折曲部両側の箔板部のうち、一方の箔板部に、その長手方向の両端に燃料流通用開口を備え、他方の箔板部に、その中央部に空気極用の開口と、その長手方向の両端に燃料流通用開口とを備え、一方の箔板部の中央部に支持膜式単セルを空気極を上にして配置する。そして、該燃料流通用開口部にスペーサを介在させて配置した後、折曲部両側の箔板部を折曲部と相対する端部で接合して構成される。
【0023】
本発明(F)の支持膜式SOFCモジュールは、前記(E)の支持膜式SOFCスタックと、その両端に絶縁体部材及び該燃料電池スタックの開口に対応した開口を備え且つその中央部にスタックの単セルの空気極に対応する部位に空気流通用の波状の溝を有するインターコネクタとを、スタックの両開口に対応する開口を有する絶縁体部材を介して積層することで構成される。
【0024】
本発明におけるスタックを構成する合金箔板及びスペーサの構成材料としてはステンレス鋼等の耐熱性合金が用いられ、接合用の材料としては金属ろうやガラス接合材が用いられるが、好ましくは金属ろうが用いられる。また、スタツクまたはモジュールに供給する燃料としては、炭化水素、都市ガス、LPガス、天然ガス、ガソリン、軽油、灯油、ディーゼル油、アルコール類(メチルアルコール、エチルアルコール等)、ジメチルエーテル(DME)などが用いられる。
【0025】
【実施例】
以下、実施例に基づき本発明をさらに詳しく説明するが、本発明がこれら実施例に限定されないことはもちろんである。
【0026】
〈実施例1:本発明(C)の支持膜式SOFCスタックの構成例〉
図4は本発明(C)の支持膜式SOFCスタックの構成部材の例を示す図で、図4(a)は第2合金箔板2の例、図4(b)は第1合金箔板1の例である。合金箔板を短冊状の形状に形成した例である。図4(b)のとおり、第1の短冊状合金箔板1は、その長手方向の両端に燃料流通用開口4、4を設けるとともに、その短冊状合金箔板の長手方向に対する左右両端に第2の短冊状合金箔板2との接合部3、3とを設けて構成される。また、図4(a)のとおり、第2の短冊状合金箔板2は、その中央部に空気極用の開口(窓)5と長手方向の両端に燃料流通用開口6、6を設けるとともに、その長手方向に対する左右両端に第1の短冊状合金箔板1との接合部7、7を設けて構成される。
【0027】
ここで、第1の短冊状合金箔板1の接合部3はその端部を折曲げて構成し、第2の短冊状合金箔板2の接合部7、7はその端部を2回折曲げ、第1の短冊状合金箔板1の接合部3、3で係止されるように構成しているが、その形状は、第1の短冊状合金箔板1の接合部3、3と第2の短冊状合金箔板2の接合部7、7とが接合材により接合し得る適宜の形状に構成することができる。接合材としては金属ろうやガラス接合材等が用いられる。
【0028】
図5は、上記のように構成した第1の短冊状合金箔板1及び第2の短冊状合金箔板2と、支持膜式SOFCの単セル10と、スペーサ8、8を用いて支持膜式SOFCスタックを構成する例を示す図である。スペーサ8、8は、第1の短冊状合金箔板1の長手方向の両端に設けられた開口4、4及び第2の短冊状合金箔板2の長手方向の両端に設けられた開口6、6に対応した開口を有し、両短冊状合金箔板と同様の合金部材で構成される。スペーサ8、8には内部に向けてガスが通るように開口部側面に孔9が設けてある。
【0029】
図5のとおり、まず、第1の短冊状合金箔板1の中央部に単セル10を載置する。そして、第1の短冊状合金箔板1と第2の短冊状合金箔板2との間で、第1の短冊状合金箔板1の長手方向の両端開口4、4と第2の短冊状合金箔板2の長手方向の両端開口6、6に対応した位置にスペーサ8、8を配置する。その後、第1の短冊状合金箔板1の接合部3、3で第2の短冊状合金箔板2の接合部7、7を係止し、その間を接合材で接合する。図6は接合後の状態、すなわち本発明に係る支持膜式SOFCスタック11を示している。
【0030】
このように、本発明の支持膜式SOFCスタックは、単セルのほか、その構成部材として第1及び第2の合金箔板とスペーサを使用するだけで足り、しかも合金箔板を使用することにより、従来型のスタックに対して合金の使用量を抑えることができる。また、接合部分は、第1の合金箔板1の接合部と第2の合金箔板2の接合部との接合だけであるので、その作製も簡単であり、従来のように煩鎖で数多くの工程を必要としない。また、接合部が両端の2箇所だけであるので、ガスシール性の優れたスタックとすることができる。
【0031】
〈実施例2:本発明(D)の支持膜式SOFCスタックを用いたモジュールの構成例〉
本実施例は、本発明(C)の支持膜式SOFCスタックを用いた支持膜式SOFCモジュールの構成例である。構成部材としては、以上のようにして作製した支持膜式SOFCスタック11と絶縁体部材とインターコネクタを用いる。絶縁体部材はスタックの開口と対応した開口を有し、例えば雲母等の耐熱性材料で構成され、インターコネクタは例えばステンレス鋼等の耐熱性合金で構成される。
【0032】
図7は本支持膜式SOFCモジュールの構成過程を示す図である。図7のとおり、インターコネクタ13は、その両端に絶縁体部材12、12の開口及びスタック11の開口4(6)、4(6)に対応した開口14、14を備え、その中央部に単セル10の空気極に対応する部位に空気流通及び電気的接続用の波状の溝15が設けてある。ここで、当該波状溝15の形状は図示のような形状とは限らず、空気流通機能に加え、後述ばね性等の観点から適宜の形状とすることができる。
【0033】
支持膜式SOFCスタック11に、その長手方向両端の開口部4(6)、4(6)に対応した開口を有する絶縁体部材12、12を載置し、その上にインターコネクタ13を載置することにより支持膜式SOFCモジュールが形成される。図7中矢印(↓)はその載置過程を示すものである。
【0034】
こうして作製した支持膜式SOFCモジュールは上下両面に集電板を配し、ケーシング内に納めて使用される。以上は単セル1個を配置したモジュールであるが、当該モジュールの複数個を積層して複数個の単セルを備えた支持膜式SOFCモジュールが構成される。
【0035】
その際、ガスシールをする必要がある。このためモジュールの両面から荷重をかけるが、セル部分は上下のインターコネクタの波状溝15のばね構造によって荷重を緩和するので、荷重によるセル破壊が回避される。この場合、波状溝15を、そのばね性の観点から、それに適応した形状とすることにより、ばね構造の変形の自由度を増加させ、たとえセルに若干の歪みがあっても良好な電気的接続が達成される。
【0036】
〈実施例3:本発明(E)の支持膜式SOFCスタック及び本発明(F)の支持膜式SOFCモジュールの構成例〉
図8は本実施例を示す図である。図8中図4〜7に記載の部材と同じ部材については同一の符号を用いている。本支持膜式SOFCスタックは、1枚の短冊状合金箔板16を折曲げて単セルを包み込んでなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックである。図8のとおり、該短冊状合金箔板16は、折曲部17の両側の箔板部18、20のうち、一方の箔板部18には、その長手方向の両端に燃料流通用開口19、19を設け、他方の箔板部20には、その中央部に空気極用の開口(窓)21を設けるとともに、その長手方向の両端に燃料流通用開口22、22を設ける。そして、該一方の箔板部の中央部に支持膜式単セル10を空気極を上にして配置する。
【0037】
次いで、該燃料流通用開口部19、19と22、22間にスペーサ8、8を介在させて配置した後、折曲部17の両側の箔板部18、20を折曲部17と相対する端部23、24で当接、接合して構成される。本構成によれば、接合する箇所が短冊状合金箔板の両折曲箔板の折曲部と相対する端部23、24だけであるので、その工作上も非常に有利である。図8では、折曲部17は両側の箔板部18、20間に間隔をとるため2度(図8中17′と17″の2箇所)折曲げているが、ここは、モジュールの複数個を用いてスタック化する際に、箔板部18、20に荷重がかかることになるため、1度(1箇所)の折曲げだけでもよい。また、この時点では、折曲げを軽く行い(すなわち当該部分を湾曲状等にしておき)、モジュール化の際に折曲がるようにしてもよい。
【0038】
本スタックをモジュールとするのは、前記実施例2と同様にして行うことができる。すなわち、上記のように構成したスタックと、その両端にスタックの開口に対応した開口14、14を備え且つその中央部にスタックの単セルの空気極に対応する部位に空気流通及び電気的接続用の波状の溝15を有するインターコネクタ13とを、スタックの両開口19(22)、19(22)に対応する開口を有する絶縁体部材12、12を介在させて積層して構成される。図8中矢印(↓)はその載置過程を示すものである。
【0039】
その際、ガスシールをする必要がある。このためモジュールの両面から荷重をかけるが、セル部分はスタックの上下のインターコネクタの波状溝15のばね構造によって荷重を緩和するので、荷重によるセル破壊が回避される。この場合、波状溝15は、そのばね性の観点から、それに適応した形状とすることにより、ばね構造の変形の自由度を増加させ、たとえセルに若干の歪みがあっても良好な電気的接続が達成される。
【0040】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のように煩鎖で数多くの工程を経ることなく構成でき且つガス封止部を格段に減じてなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック構成用構造体、支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック及び該スタックを用いた支持膜式固体酸化物形燃料電池モジュールが得られる。また、それら構造体、スタック及びモジュールを従来のように煩瑣で数多くの工程を経ることなく、しかもガス封止部を格段に減じて構成することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】支持膜式SOFCセルの構成例を示す図
【図2】従来の支持膜式SOFCスタックの構成例を示す図
【図3】従来の支持膜式SOFCスタックの構成例を示す図
【図4】本発明の支持膜式SOFCスタックの構成部材の例を示す図
【図5】図4で示す第1の短冊状合金箔板及び第2の短冊状合金箔板により支持膜式SOFCスタックを構成する例を示す図
【図6】本発明の支持膜式SOFCスタックの構成例を示す図(実施例1)
【図7】本発明の支持膜式SOFCモジュールの構成例を示す図(実施例2)
【図8】本発明の支持膜式SOFCモジュールの構成例を示す図(実施例3)
【符号の説明】
1 第1の短冊状合金箔板
2 第2の短冊状合金箔板
3 接合部
4 開口
5 空気極用の開口(窓)
6 開口
7 接合部
8 スペーサ
9 孔
10 支持膜式SOFCの単セル
11 支持膜式SOFCスタック
12 絶縁体部材
13 インターコネクタ
14 開口
15 波状の溝
16 1枚の短冊状合金箔板
17 折曲部
18、20 箔板部
19 開口(燃料流通用開口)
21 空気極用の開口(窓)
22 開口(燃料流通用開口)
23、24 折曲部17と相対する端部
Claims (6)
- セル全体を短冊状の第1の合金箔板と短冊状の第2の合金箔板の2枚の合金箔板で包んでなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックであって、
(a)第1の合金箔板が、その長手方向の一端と他端の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に直交する方向の両側端に第2の合金箔板との接合部を備え、
(b)第2の合金箔板が、その中央部にセルの空気極用の開口と、その長手方向の一端と他端の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に直交する方向の両側端に第1の合金箔板との接合部を備え、
(c)第1の合金箔板の中央部に支持膜式単セルを空気極を上にして配置するとともに、その長手方向の両端の燃料流通用開口部位に当該両端の開口に対応した開口を有するスペーサを介在させて第2の合金箔板を配置し、
(d)第1の合金箔板及び第2の合金箔板を長手方向に直交する方向の両側端の接合部で接合してなること、
を特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック。 - 前記合金箔板の構成材料が耐熱性合金であることを特徴とする請求項1に記載の支持膜式固体酸化物形燃料電池スタック。
- (a)セル全体を短冊状の第1の合金箔板と短冊状の第2の合金箔板の2枚の合金箔板で包んでなり、第1の合金箔板が、その長手方向の一端と他端の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に直交する方向の両側端に第2の合金箔板との接合部を備え、第2の合金箔板が、その中央部にセルの空気極用の開口と、その長手方向の一端と他端の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に直交する方向の両側端に第1の合金箔板との接合部を備え、第1の合金箔板の中央部に支持膜式単セルを空気極を上にして配置するとともに、その長手方向の両端の燃料流通用開口部位に当該両端の開口に対応した開口を有するスペーサを介在させて第2の合金箔板を配置し、第1の合金箔板及び第2の合金箔板を長手方向に直交する方向の両側端の接合部で接合してなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックと、
(b)前記燃料電池スタックの長手方向の両端の燃料流通用開口に対応した開口を備え且つ前記単セルの空気極に対応する部位に空気流通用の波状の溝を有するインターコネクタとを、
(c)前記燃料電池スタックの両燃料流通用開口と前記インターコネクタの両開口との間にそれら両開口に対応する開口を有する絶縁体部材を介在させて積層してなること、
を特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池モジュール。 - 前記インターコネクタの構成材料が耐熱性合金であることを特徴とする請求項3に記載の支持膜式固体酸化物形燃料電池モジュール。
- セル全体を短冊状の第1の合金箔板と短冊状の第2の合金箔板の2枚の合金箔板で包んでなる支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックの作製方法であって、
(a)第1の合金箔板が、その長手方向の一端と他端の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に直交する方向の両側端に第2の合金箔板との接合部を備え、
(b)第2の合金箔板が、その中央部にセルの空気極用の開口と、その長手方向の一端と他端の両端に燃料流通用開口と、その長手方向に直交する方向の両側端に第1の合金箔板との接合部を備えてなり、
(c)第1の合金箔板の中央部に支持膜式単セルを空気極を上にして配置するとともに、その長手方向の両端の燃料流通用開口部位に当該両端の開口に対応した開口を有するスペーサを介在させて第2の合金箔板を配置し、
(d)第1の合金箔板及び第2の合金箔板を長手方向に直交する方向の両側端の接合部で接合すること、
を特徴とする支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックの作製方法。 - 前記合金箔板の構成材料が耐熱性合金であることを特徴とする請求項5に記載の支持膜式固体酸化物形燃料電池スタックの作製方法。
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