JP4184033B2 - 硬化性樹脂組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、ポリフェニレンエーテル系樹脂及びジビニル芳香族化合物類を含む硬化性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物からなるフィルム及びこれを硬化して得られる硬化体に関する。更に本発明は、該樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料、その硬化体、硬化体と金属箔からなる積層体及び樹脂付き銅箔に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、通信用、民生用、産業用等の電子機器の分野における実装方法の小型化、高密度化への指向は著しいものがあり、それに伴って材料の面でもより優れた耐熱性、寸法安定性、電気特性が要求されつつある。例えばプリント配線基板としては、従来からフェノール樹脂やエポキシ樹脂などの熱硬化性樹脂を材料とする銅張り積層板が用いられてきた。これらは各種の性能をバランスよく有するものの、電気特性、特に高周波領域での誘電特性が悪いという欠点を持っている.この問題を解決する新しい材料としてポリフェニレンエーテルが近年注目をあび銅張積層板等への応用が試みられている。
【0003】
ポリフェニレンエーテルを利用する方法の一つは、硬化性のポリマーやモノマーを配合して用いる方法である。硬化性のポリマーやモノマーと組み合わせることによってポリフェニレンエーテルの耐薬品性を改善し、かつポリフェニレンエーテルの優れた誘電特性を生かした材料を得ることができる。特開平6−179734号公報(特許文献1)では従来技術として次のような技術を紹介している。硬化性のポリマーやモノマーとしては、エポキシ樹脂(特開昭58−69046号公報など)、1,2−ポリブタジエン(特開昭59−193929号公報など)、多官能性マレイミド(特開昭56−133355号公報)、多官能性シアン酸エステル(特開昭56−141349号公報など)、多官能性アクリロイル化合物など(特開昭57−149317号公報など)、トリアリルイソシアヌレートなど(特開昭61−218652号公報など)、イソシアネート化合物等。
【0004】
そして、特開平6−179734号公報(特許文献1)は、(a)ポリフェニレンエーテルと不飽和カルボン酸などとの反応生成物、(b)ジアリルフタレート、ジビニルベンゼン、多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性マレイミド、多官能性シアン酸エステル、多官能性イソシアネート、不飽和ポリエステルなど(c)熱可塑性樹脂及び(d)基材からなる硬化性複合材料が開示されている。この公報には(b)成分としてジビニルベンゼン又はそのプレポリマーが使用され得ることが開示されている。しかし、その実施例に於いて(b)成分として開示されているジビニルベンゼンを用いて製造された硬化性組成物はジビニルベンゼン由来の構造単位の耐熱安定性が低いために、この組成物から得られた硬化物は耐熱性及び高温での寸法安定性や機械的特性が十分でないという欠点を有していた。更に、ジビニルベンゼンの沸点が低いことに起因して、加工条件の範囲が狭い、製品の機械的特性にバラツキを生じやすいという工業的実施における問題点を有していた。
【0005】
【特許文献1】
特開平6−179734号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、耐熱性、耐熱分解性及び加工性が改善されたポリフェニレンエーテル系樹脂を含む硬化性樹脂組成物、硬化性樹脂組成物からなるフィルム、この硬化体、硬化性複合材料、その硬化体、積層体及び樹脂付き銅箔を提供する。他の目的は、硬化後において優れた耐薬品性、誘電特性、耐熱性を示し、電子産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱材料に用いることができる硬化性樹脂組成物を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)成分:下記式(1)
【化2】
(但し、R1及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン、第一級若しくは第二級の低級アルキル、フェニル等の芳香族炭化水素基、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てているハロ炭化水素オキシであり、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級若しくは第二級の低級アルキル、フェニル等の芳香族炭化水素基、ハロアルキル、炭化水素オキシ、又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てているハロ炭化水素オキシである)で表される構造単位からなるポリフェニレンエーテル系樹脂(反応性官能基を導入してなるポリフェニレンエーテル系樹脂を含む)と、
(B)成分:ジビニルビフェニル系化合物及びそれらのプレポリマーからなる群から選ばれる1種以上の多環芳香族ジビニル化合物類とからなる硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の合計に対する(A)成分の配合量が30〜98wt%であり、(B)成分の配合量が2〜70wt%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物である。
【0008】
また、本発明は、(A)成分及び(B)成分の他に、(C)成分としての熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂組成物であって、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計に対する(C)成分の配合量が2〜40wt%である前記の硬化性樹脂組成物である。更に、本発明は、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の他に、(D)成分としての充填剤を含む硬化性樹脂組成物であって、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計に対する(D)成分の配合量が2〜90wt%である前記の硬化性樹脂組成物である。
【0009】
また、本発明は、前記の硬化性樹脂組成物をフイルム状に成形してなるフィルムである。更に、本発明は、前記の硬化性樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料であって、基材を5〜90重量%の割合で含有する硬化性複合材料又はこれを硬化して得られた硬化複合材料である。また、本発明は、前記の硬化複合材料の層と金属箔の層を有している積層体である。更に、本発明は、前記の硬化性樹脂組成物の膜が金属箔の片面に形成された樹脂付き金属箔である。
【0010】
【発明の実施の形態】
本発明で、(A)成分となるポリフェニレンエーテル系樹脂とは、上記式(1)の構造単位を持ち、溶融射出成形法や溶融押出成形法などの成形方法により所望の形状の製品・部品を生産でき、電気・電子分野、自動車分野、その他の各種工業材料分野の製品・部品用の材料として幅広く用いられているプラスチック材料であることができる。また、このポリフェニレンエーテル系樹脂には、反応性官能基を導入してなるポリフェニレンエーテル系樹脂が含まれる。
【0011】
式(1)おける、R1、R4は、それぞれ独立して、ハロゲン、第一級若しくは第二級の低級アルキル、芳香族炭化水素基、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)であり、R2、R3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級若しくは第二級の低級アルキル、芳香族炭化水素基、ハロアルキル、炭化水素オキシ、又はハロ炭化水素オキシ(但し、少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てている)である。ここで、ハロゲンとしては塩素又は臭素が、低級アルキルとしては炭素数1〜4のアルキルが、ハロアルキルとしては塩化又は臭化低級アルキルが、炭化水素オキシとしては低級アルキルオキシ又はフェノキシが、芳香族炭化水素基としてはフェニル基、アルキルフェニル基等の炭素数6〜30の芳香族炭化水素基が好ましい。ハロ炭化水素オキシとしてはX-R-O-(但し、Xは塩素又は臭素が、Rは炭素数2〜5のアルキレンが好ましい)が好ましく例示される。なお、R2、R3は水素であることが、R1、R4はメチル、エチル、フェニル又は塩素であることが、より好ましい。
【0012】
本発明に用いられるポリフェニレンエーテル系樹脂は、0.5g/dlのクロロホルム溶液を用い30℃で測定する還元粘度が、0.15〜0.70dl/gの範囲、好ましくは0.20〜0.60dl/gの範囲にある重合体又は共重合体であることがよい。ポリフェニレンエーテル系樹脂は具体的には、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−エチル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2−メチル−6−フェニル−1,4−フェニレンエーテル)、ポリ(2,6−ジクロロ−1,4−フェニレンエーテル)等である。
【0013】
ポリフェニレンエーテル系樹脂の具体的例として、2,6−ジメチルフェノールと他のフェノール類(例えば、2,3,6−トリメチルフェノールや2−メチル−6−ブチルフェノール)との共重合体のごときポリフェニレンエーテル共重合体も挙げられる。また、ポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)、2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノールとの共重合体が好ましく使用できる。ポリフェニレンエーテル系樹脂で最も好ましいのはポリ(2,6−ジメチル−1,4−フェニレンエーテル)及び2,6−ジメチルフェノールと2,3,6−トリメチルフェノール共重合体である。
【0014】
ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法は限定されないが、米国特許第3306874号記載の第一銅塩とアミンのコンプレックスを触媒として用い、2,6−キシレノールを酸化重合する方法等がある。また、米国特許第3306875号、同第3257357号及び同第3257358号、特公昭52−17880号及び特開昭50−51197号及び同63−152628号公報等に記載された方法もポリフェニレンエーテル系樹脂の製造方法として好ましい。
【0015】
(A)成分のポリフェニレンエーテル系樹脂には、式(1)で表されるポリフェニレンエーテルの構造単位の中には、該ポリフェニレンエーテル樹脂の耐熱性、熱安定性を低下させない限りにおいて下記一般式(2)で表される構造単位が含まれていてもよい。
【化3】
(但し、R5、R6及びR7は、それぞれ、式(1)における、R1、R2及びR3と対応し、同じ意味を有する。また、R8及びR9は、各々独立に水素、ハロゲン、炭素数1〜10、好ましくは1〜5のアルキル基、アリール基又は炭素数1〜10、好ましくは1〜5のハロアルキル基を表わし、R10、R11は各々独立に水素、無置換又はアリール基もしくはハロゲンなどにより置換された炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基、又は無置換又は炭素数1〜10、好ましくは炭素数1〜5のアルキル基もしくはハロゲンなどにより置換されたアリール基を表わし、R10、R11が同時に水素であることはない)
なお、式(2)の構造単位は、ポリフェニレンエーテル系樹脂の製造の際、ポリマーの末端のキノンメチド又はフェノキシ基と触媒成分であるアミンとの反応により得られる。
【0016】
(A)成分として使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂は、反応性官能基を導入したものであることができる。反応性官能基としては、酸、酸無水物、アルケニル、アルキニル、アミン、イミド、エポキシ、オキサゾリン、エステル、ヒドロキシル、ホスフェート、ホスホネート等がある。これらは、上記式(1)の構造単位の一部に導入してもよく、ポリフェニレンエーテル系樹脂の末端の一部又は全部に導入してもよいが、末端に導入する方法が簡便である。反応性官能基の好ましい導入率は、反応性官能基によって異なるので一義的に決定することはできないが、一分子当たり、平均0.01〜100の範囲がよい。より好ましくは0.1〜10の範囲がよい。また、反応性官能基を導入しないポリフェニレンエーテル系樹脂と混合使用する場合は、上記導入率は全体の平均として計算される。
【0017】
かかる、反応性官能基を有するポリフェニレンエーテル系樹脂としては、(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸又は酸無水物との反応生成物、(b)アルケニル基又はアルキニル基で官能化したポリフェニレンエーテル系樹脂を挙げることができる。
【0018】
(a)ポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸又は酸無水物との反応生成物はポリフェニレンエーテル樹脂を不飽和カルボン酸又は酸無水物と反応させることによって製造される。この反応生成物は、おそらく種々の化学構造を持つ様々な生成物からなる混合物であって、それらの化学構造はすべてが明らかにされているわけではなく、例えば、J.H.Glans,M.K.Akkapeddi,Macromolecules,1991,vol 24,383〜386に記載されている下記式(3)〜(4)の化学構造が例として挙げられる。
【0019】
【化4】
【0020】
適当な酸及び酸無水物の例としては、アクリル酸、メタクリル酸、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸、無水イタコン酸、無水グルタコン酸、無水シトラコン酸等が挙げられる。特に、無水マレイン酸、フマル酸が良好に使用できる。反応はポリフェニレンエーテル系樹脂と不飽和カルボン酸又は酸無水物を100℃〜390℃の温度範囲で加熱することによって行われる。この際ラジカル開始剤を共存させてもよい。溶液法と溶融混合法の両方が使用できるが、押出し機等を用いる溶融混合法の方が簡便に行うことができ、本発明の目的に適している。不飽和カルボン酸又は酸無水物の割合は、ポリフェニレンエーテル樹脂100重量部に対し、0.01〜5.0重量部、好ましくは0.1〜3.0重量部である。
【0021】
また、(b)アルケニル基又はアルキニル基で官能化したポリフェニレンエーテル系樹脂としては、下記式(5)で表されるアルケニル基又はアルキニル基で置換された構造単位を含むポリフェニレンエーテル系樹脂がある。
【化5】
(ここで、R12,R13,R14及びR15は各々独立に水素原子、一般式(6)で表わされるアルケニル基又は一般式(7)で表わされるアルキニル基であり、R12,R13,R14及びR15の少なくとも1つは水素以外である。また、式(6)、(7)において、kは1〜4の整数、R16,R17及びR18は各々独立に水素原子又はメチル基であり、jは1〜4の整数、R19は水素原子、メチル基又はエチル基である)
【化6】
【0022】
式(5)で表される構造単位を含む官能化ポリフェニレンエーテル系樹脂を製造する方法としては、特に制限されるものではないが、例えば特公平5−8930号公報、特公平5−8931号公報、特公平6−78482号公報に開示された方法を挙げることができる。式(5)で表される構造単位を含む官能化ポリフェニレンエーテル系樹脂の反応性官能基の置換率は、特に限定するものではないが、硬化物の耐薬品性の観点から次式で定義されるアルケニル基及びアルキニル基の平均置換率(モル%)が0.1〜100モル%の範囲にあることが好ましい。
平均置換率=(アルケニル基+アルキニル基)(モル)/ベンゼン環(モル)×100
【0023】
本発明の硬化性樹脂組成物の(A)成分として使用されるポリフェニレンエーテル系樹脂は、全部が官能基を導入しないポリフェニレンエーテル系樹脂であっても、導入したポリフェニレンエーテル系樹脂であってもよいが、硬化物の接着性、耐薬品性の点から、官能基を導入しないポリフェニレンエーテル系樹脂0〜98重量%、官能基を導入したポリフェニレンエーテル系樹脂100〜2重量%であることが好ましい。
【0024】
本発明で使用する(B)成分は、ジビニルビフェニル系化合物及びそのプレポリマーからなる群から選ばれる1種以上の多環芳香族ジビニル化合物類の少なくとも1種である。
【0025】
ジビニルビフェニル系化合物及びジビニルナフタレン系化合物(両者又はいずれか一方を多環芳香族ジビニル化合物ともいう)としては下記式で表わさる化合物がある。
【化7】
(上式で、mは0〜4の整数、nは0〜3の整数、pは0〜5の整数、qは0〜3の整数、rは0〜2の整数、sは0〜4の整数である。R20、R21、R22、R23、R24及びR25はそれぞれ独立して、ハロゲン、第一級もしくは第二級の低級アルキル、フェニル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てているハロ炭化水素オキシである)
【0026】
これらの多環芳香族ジビニル化合物の好適な例を具体的に挙げると、4,4'−ジビニルビフェニル、4,3’−ジビニルビフェニル、4,2'−ジビニルビフェニル、3,2’−ジビニルビフェニル、3,3’−ジビニルビフェニル、2,2’−ジビニルビフェニル、2,4−ジビニルビフェニル、1,2−ジビニル−3,4−ジメチルベンゼン、1,3−ジビニル−4,5,8−トリブチルナフタレン、2,2′−ジビニル−4−エチル−4′−プロピルビフェニル、1,3−ジビニルナフタレン、1,8−ジビニルナフタレン、1,4−ジビニルナフタレン、1,5−ジビニルナフタレン、2,3−ジビニルナフタレン、2,7−ジビニルナフタレン、2,6−ジビニルナフタレン、2,6−ジビニル―3―メチルナフタレン、2,6−ジビニル―3、7―ジメチルナフタレン、1,8−ジビニル−2―メチルナフタレン、1,8−ジビニル−3―メチルナフタレン、1,5−ジビニル−2―メチルナフタレン、1,5−ジビニル−3―メチルナフタレン等があるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
ここで、多環芳香族ジビニル化合物の内で最も好適な具体例としては、コスト及び得られたポリマーの耐熱性の点で、ジビニルビフェニル(各異性体を含む)及びジビニルナフタレン(各異性体を含む)がある。
【0027】
(B)成分としての多環芳香族ジビニル化合物類は、プレポリマーであることもできる。かかるプレポリマーは、上記多環芳香族ジビニル化合物の1種以上をを、公知の触媒、開始剤等の存在下又は不存在下で熱、光等により予備反応せしめて得ることができる。(B)成分としてのプレポリマー1種又は2種以上を組み合わせて用いることができ、また多環芳香族ジビニル化合物と組み合わせて用いることもできる。
【0028】
本発明の硬化性樹脂組成物の(A)及び(B)成分の配合比は広範囲に変化させることができるが、(A)成分及び(B)成分の配合量(重量比)が下記式を満足する必要がある。
0.3≦(A)/[(A)+(B)]≦0.98
0.02≦(B)/[(A)+(B)]≦0.7
好ましくは、次式を満足とするのがよい。
0.5≦(A)/[(A)+(B)]≦0.95
0.05≦(B)/[(A)+(B)]≦0.5
(B)成分の配合量が2wt%未満では耐薬品性の改善が不十分でとなり、逆に70wt%を越えると機械的特性が低下する。
【0029】
本発明の硬化性樹脂組成物では、(A)成分及び(B)成分の他に、(C)成分として1種以上の熱可塑性樹脂を配合することができる。
(C)成分の熱可塑性樹脂としてはポリエチレン、ポリプロピレン、ポリブテン、エチレン・プロピレン共重合体、ポリ(4−メチル−ペンテン)等のポリオレフィン類及びその誘導体、ナイロン4、ナイロン6、ナイロン6・6、ナイロン6・10、ナイロン12などのポリアミド類及びその誘導体、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエチレンテレフタレート・ポリエチレングリコールブロック共重合体などのポリエステル類及びその誘導体、ポリフェニレンエーテル、変性ポリフェニレンエーテル、ポリカーボネート、ポリアセタール、ポリスルフォン、ポリ塩化ビニル及びその共重合体、ポリ塩化ビニリデン及びその共重合体、ポリメチルメタクリレート類、アクリル酸(又はメタクリル酸)エステル共重合体類、ポリスチレン類、アクリロニトリルスチレン共重合体類、アクリロニトリルスチレンブタジエン系共重合体等のポリスチレン類及びその共重合体類、ポリ酢酸ビニル類、ポリビニルホルマール、ポリビニルアセタール、ポリビニルブチラール類、エチレン酢酸ビニル共重合体及びその加水分解物類、ポリビニルアルコール類、スチレンブタジエンブロック共重合体類、ポリブタジエン、ポリイソプレン等のゴム類、ポリメトキシエチレン、ポリエトキシエチレン等のポリビニルエーテル類、ポリアクリルアマイド、ポリホスファーゼン類、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリフェニレンサルファイド、ポリアミドイミド、熱可塑性ポリイミド、芳香族ポリエステル等の液晶ポリマー、側鎖に液晶成分を含有する側鎖型液晶ポリマー、あるいはエポキシ基、カルボン酸基、無水マレイン酸基の中から選ばれた少なくとも一つの官能基が導入されている熱可塑性のブロック共重合等が挙げられる。
【0030】
これらの熱可塑性樹脂の内で、機械的特性の改良効果の点でスチレンブタジエンブロック共重合体類が好ましい。
(C)成分を配合する場合の(C)成分の配合量(重量比)は、(A)成分及び(B)成分に対して、下記式を満足する。
0.02≦(C)/[(A)+(B)+(C)]≦0.4
好ましくは下記式を満足することがよい。
0.05≦(C)/[(A)+(B)+(C)]≦0.2
この数値が0.02未満では機械的特性が低下し、0.4を越えると耐薬品性が低下する。
【0031】
本発明の硬化性樹脂組成物では、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の他に(D)成分として、充填剤を用いることができる。
(D)成分の充填剤としては、カーボンブラック、シリカ、アルミナ、タルク、雲母、ガラスビーズ、ガラス中空球等を挙げることができる。充填剤は繊維状であっても粉末状であってもよい。
【0032】
(D)成分を配合する場合の(D)成分の配合量(重量比)は、次式を満足することがよい。
0.02≦(D)/[(A)+(B)+(C)+(D)]≦0.9
好ましくは、下記式を満足することがよい。
0.2≦(D)/[(A)+(B)+(C)+(D)]≦0.85
この数値が、0.02未満であると充填剤を添加したことによる機械物性の向上の程度不十分であり、0.9を越える場合は、組成物の流動性が著しく低下する。
【0033】
本発明の硬化性樹脂組成物には、本発明の硬化性樹脂組成物の効果を損なわない範囲で(E)成分として、(B)成分以外のその他の架橋成分を添加することができる。(E)成分のその他の架橋成分としては、ジアリルフタレート、多官能性アクリロイル化合物、多官能性メタクリロイル化合物、多官能性マレイミド、多官能性シアン酸エステル、多官能性イソシアネート、不飽和ポリエステルからなる化合物群から選ばれた少なくとも一つの化合物又はそのプレポリマーが用いられる。前記化合物とプレポリマーは、1種又は2種以上を混合して使用することができる。
【0034】
ジアリルフタレートとしては、オルト、メタ、パラのいずれの異性体も本発明に用いることができる。
【0035】
(E)成分として用いられる多官能性アクリロイル化合物及び多官能性メタクリロイル化合物とは、次の一般式で表される化合物がある。
【化8】
(式中、mは2〜10の整数であり、R26及びR28は水素又はメチル基を示し、R27は多価ヒドロキシ基含有有機化合物の残基を示す)
【0036】
上式で多価ヒドロキシ基含有有機化合物の残基R27の例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブタンジオール、ネオペンチルグリコール、ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ソルビトール、ビス(ヒドロキシメチル)シクロヘキサン、水素添加ビスフェノールAなどで例示されるアルカンポリオールの残基;ジエチレングリコール、トリエチレングリコール、テトラエチレングリコール、ポリエチレングリコールポリプロピレングリコールなどで例示されるポリエーテルポリオールの残基;キシレングリコール、ビスフェノールAで代表される複数個のベンゼン環が橋絡部を介して連結された芳香族性ポリオール及びこれらの芳香族ポリオールのアルキレンオキサイド付加物などで例示される芳香族ポリオール残基;フェノールとホルムアルデヒドとを反応させて得られるベンゼン多核体(通常、10核体以下のものが好適に用いられる)の残基;エポキシ基を2個以上有するエポキシ樹脂から導かれる残基;末端に水酸基を2個以上有するポリエステル樹脂から導かれる残基がある。
【0037】
具体的な化合物としては、エチレングリコールジアクリレート、プロピレングリコールジアクリレート、1,3−プロパンジオールジアクリレート、1,4−ブタンジオールジアクリレート、1,3−ブタンジオールジアクリレート、1,5−ペンタンジオールジアクリレート、ネオペンチルグリコールジアクリレート、1、6−ヘキサンジオールジアクリレート、グリセリントリアクリレート、1,1,1−メチロールエタンジアクリレート、1,1,1−トリメチロールエタントリアクリレート、1,1,1−トリメチロールプロパンアクリレート、1、1、1−トリメチロールプロパントリアクリレート、ペンタエリスリトールジアクリレート、ペンタエリスリトールトリアクリレート、ペンタエリスリトールテトラアクリレート、ソルビトールテトラアクリレート、ソルビトールヘキサアクリレート、ソルビトールペンタアクリレート、1,4−ヘキサンジオールジアクリレート、2,2−ビス(アクリロキシシクロヘキサン)プロパン、ジエチレングリコールジアクリレート、トリエチレングリコールジアクリレート、テトラエチレングリコールジアクリレート、ポリエチレングリコールジアクリレート、ポリプロピレングリコールジアクリレート、ビスフェノールA−ジアクリレート、2,2−ビス(4−(2−アクリロキシエトキシ)フェニル)プロパン、2,2−ビス(4−(アクリロキシ−ジ−(エチレンオキシ)フェニル))プロパン、2,2−ビス(4−(アクリロキシ−ポリ−(エチレンオキシ)フェニル))プロパン;フェノール樹脂初期縮合体の多価アクリレート;ビスフェノールA系エポキシ樹脂、ノボラック系エポキシ樹脂、脂環式エポキシ樹脂、フタル酸ジグリシジルエステルとポリカルボン酸等とアクリル酸とを反応させて得られるエポキシアクリレート類;末端に水酸基を2個以上有するポリエステルとアクリル酸とを反応して得られるポリエステルポリアクリレート類;上述したアクリレートがメタクリレート類になったもの;更にはこれらの化合物の水素原子が例えば2,2−ジブロモメチル−1,3−プロパンジオールジメタクリレートのように一部ハロゲンで置換されたもの等が挙げられる。
【0038】
トリアジン環を有する多官能性(メタ)アクリロイル化合物の代表的な例としては、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリアクリロイル−s−トリアジン、ヘキサヒドロ−1,3,5−トリメタクリロイル−s−トリアジンが挙げられる。
【0039】
多官能性マレイミドには、次の一般式で表されるものがある。
【化9】
(式中、nは2〜10の整数であり、R29、R30は水素、ハロゲン又は低級アルキル基を表し、R31は2〜10価の芳香族又は脂肪族有機基を表す)。
【0040】
上式の多官能性マレイミドは、無水マレイン酸類と分子内にアミノ基を2〜10個有するポリアミンとを反応させてマレアミド酸とし、ついでこのマレアミン酸を脱水環化させることにより製造される。
好適なポリアミンとしては、メタフェニレンジアミン、パラフェニレンジアミン、メタキシリレンジアミン、パラキシリレンジアミン、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,3−シクロヘキサンジアミン、ヘキサヒドロキシリレンジアミン、4,4−ジアミノビフェニル、ビス(4−アミノフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)エーテル、ビス(4−アミノフェニル)スルホン、ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)メタン、ビス(4−アミノフェニル)シクロヘキサン、2,2−ビス(4−アミノフェニル)プロパン、2、2−ビス(4−アミノ−3−メチルフェニル)プロパン、ビス(4−アミノ−3−クロロフェニル)メタン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−アミノフェニル)メタン、3,4−ジアミノフェニル−4’−アミノフェニルメタン、1,1−ビス(4−アミノフェニル)−1−フェニルエタン、s−トリアジン環を持ったメラニン類、アニリンとホルムアルデヒドを反応させて得られるポリアミン(通常、ベンゼン核が10核体以下のものが好適に用いられる)等が挙げられる。
【0041】
多官能性シアン酸エステルとは、次の一般式で表されるものがある。
【化10】
(式中、pは2〜10の整数であり、R32は2〜10価の芳香族有機基を表し、シアン酸エステル基は有機基R32の芳香環に直接結合している。)
【0042】
上式の多官能シアン酸エステルの例としては、1,3−ジシアネートベンゼン、1,4−ジシアネートベンゼン、1,3,5−トリシアネートベンゼン1,3−ジシアネートナフタレン、1,4−ジシアネートナフタレン、1,6−ジシアネートナフタレン、1,8−ジシアネートナフタレン、2,6−ジシアネートナフタレン、2,7−ジシアネートナフタレン、1,3,6−トリシアネートナフタレン、4,4−ジシアネートビフェニル、ビス(4−シアネートフェニル)メタン、2,2−ビス(4−シアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジシクロ−4−シアネートフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアネートフェニル)プロパン、ビス(4−シアネートフェニル)エーテル、ビス(4−シアネートフェニル)チオエーテル、ビス(4−シアネートフェニル)スルホン、トリス(4−シアネートフェニル)ホスファイト、トリス(4−シアネートフェニル)ホスフェート、及びフェノール樹脂とハロゲン化シアンとの反応により得られるベンゼン多核体のポリシアネート化合物等が挙げられる。
【0043】
多官能性イソシアネートには、次の一般式で表されるものがある。
【化11】
(式中、qは2〜10の整数であり、R33は2〜10価の芳香族又は脂肪族有機基を表す。)
【0044】
上式の多官能性イソシアネートの例としては、2,4−トルエンジイソシアネート、2,6−トルエンジイソシアネート、メタフェニレンジイソシアネート、パラフェニレンジイソシアネート、メタキシリレンジイソシアネート、1,5−ナフタレンジイソシアネート、4,4−ジフェニルメタンジイソシアネート、トリジンジイソシアネート、テトラメチルキシレンジイソシアネート、イソホロンジイソシアネート、シクロヘキサン−1,4−ジイソシアネート、リジンイソシアネート、トリフェニルメタントリイソシアネート、トリス(イソシアネートフェニル)チオホスフェート、1,6,11−ウンデカントリイソシアネート、1,8−ジイソシアネート−4−イソシアネートメチルオクタン、1,3,6−ヘキサメチレントリイソシアネート、ビシクロヘプタントリイソシアネート、ポリメチレンポリフェニルイソシアネート等が挙げられる。
【0045】
これらの多官能性イソシアネートは、種々のブロック剤を用いて多官能性ブロックイソシアネートに変換して用いることもできる。ブロック剤の例としては、アルコール類、フェノール類、オキシム類、ラクタム、マロン酸エステル、アセト酢酸エステル、アセチルアセトン、アミド類、イミダゾール類、亜硫酸塩等公知のものが使用できる。
【0046】
不飽和ポリエステルとしては、グリコール類を不飽和多塩基酸及び飽和多塩基酸、あるいはこれらの無水物、エステル、酸クロライドと反応させることによって得られるものがあり、一般のものが用いられる。
グリコール類の代表的な例としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジエチレングリコール、ジフロピレングリコール、ネオペンチルグリコール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、水素化ビスフェノールA、ビスフェノールAプロピレンオキシド付加物、ジブロモネオペントルグリコール等が挙げられる。
【0047】
不飽和多塩基酸の代表的な例としては、無水マレイン酸、フマル酸、イタコン酸等が挙げられる。飽和多塩基酸の代表的な例としては、無水フタル酸、イソフタル酸、テレフタル酸、テトラヒドロ無水フタル酸、メチルテトラヒドロ無水フタル酸、エンドメチレンテトラヒドロ無水フタル酸、アジピン酸、セバシン酸、テット酸、テトラブロモ無水フタル酸等が挙げられる。
不飽和ポリエステルの詳細については、例えば滝山榮一郎著、「ポリエステル樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1988)が参照される。
【0048】
本発明の硬化性樹脂組成物に配合する(E)成分としては、以上述べた化合物群のうちから1種又は2種以上組み合わせて用いることができる。また、これらの化合物を、後述する公知の触媒、開始剤、硬化剤等の存在下又は不存在下で熱、光等により予備反応せしめて得られるプレポリマーも(E)成分として用いることができる。
【0049】
本発明の硬化性組成物には本発明の効果を損なわない範囲で分子量150以上の芳香族モノビニル化合物を添加することができる。好適な芳香族モノビニル化合物を具体的に例示すると、分子量150以上の核置換アルキルスチレン、α-置換アルキルスチレン、β-置換アルキルスチレン、アルコキシ置換スチレン、インデン誘導体及びアセナフチレン誘導体等を挙げることができる。
【0050】
核置換アルキルスチレンとしては例えば、o-n-ブチルスチレン、m-n-ブチルスチレン、p-n-ブチルスチレン、o-イソブチルスチレン、m-イソブチルスチレン、p-イソブチルスチレン、o- t-ブチルスチレン、m- t-ブチルスチレン、p- t-ブチルスチレン、o- n-ペンチルスチレン、m- n-ペンチルスチレン、p- n-ペンチルスチレン、o-2-メチルブチルスチレン、m- 2-メチルブチルスチレン、p- 2-メチルブチルスチレン、o-3-メチルブチル2スチレン、m- 3-メチルブチルスチレン、p- 3-メチルブチルスチレン、o- t-ブチルスチレン、m- t-ブチルスチレン、p- t-ブチルスチレン、o- t-ブチルスチレン、m- t-ブチルスチレン、p- t-ブチルスチレン、o- n-ペンチルスチレン、m- n-ペンチルスチレン、p- n-ペンチルスチレン、o- 2-メチルブチルスチレン、m- 2-メチルブチルスチレン、p- 2-メチルブチルスチレン、o- 3-メチルブチルスチレン、m- 3-メチルブチルスチレン、p- 3-メチルブチルスチレン、o- t-ペンチルスチレン、m- t-ペンチルスチレン、p- t-ペンチルスチレン、o- n-ヘキシルスチレン、m- n-ヘキシルスチレン、p- n-ヘキシルスチレン、o- 2-メチルペンチルスチレン、m- 2-メチルペンチルスチレン、p-2-メチルペンチルスチレン、o- 3-メチルペンチルスチレン、m- 3-メチルペンチルスチレン、p-3-メチルペンチルスチレン、o- 1-メチルペンチルスチレン、m-1-メチルペンチルスチレン、p-1-メチルペンチルスチレン、o-2,2-ジメチルブチルスチレン、m-2,2-ジメチルブチルスチレン、p-2,2-ジメチルブチルスチレン、o-2,3-ジメチルブチルスチレン、m-2,3-ジメチルブチルスチレン、p-2,3-ジメチルブチルスチレン、o-2,4-ジメチルブチルスチレン、m-2,4-ジメチルブチルスチレン、p-2,4-ジメチルブチルスチレン、o-3,3-ジメチルブチルスチレン、m-3,3-ジメチルブチルスチレン、p-3,3-ジメチルブチルスチレン、o-3,4-ジメチルブチルスチレン、m-3,4-ジメチルブチルスチレン、p-3,4-ジメチルブチルスチレン、o-4,4-ジメチルブチルスチレン、m-4,4-ジメチルブチルスチレン、p-4,4-ジメチルブチルスチレン、o-2-エチルブチルスチレン、m-2-エチルブチルスチレン、p-2-エチルブチルスチレン、o-1-エチルブチルスチレン、m-1-エチルブチルスチレン、p-1-エチルブチルスチレン、o-シクロヘキシルスチレン、m-シクロヘキシルスチレン、p-シクロヘキシルスチレン、o-シクロヘキシルスチレン、m-シクロヘキシルスチレン、p-シクロヘキシルスチレン等の核置換アルキルスチレンとこれらの混合物を挙げることができる。
【0051】
また、アルコキシ置換スチレンとしてはo-プロポキシスチレン、m-プロポキシスチレン、p-プロポキシスチレン、o-n-ブトキシスチレン、m-n-ブトキシスチレン、p-n-ブトキシスチレン、o-イソブトキシスチレン、m-イソブトキシスチレン、p-イソブトキシスチレン、o-t-ブトキシスチレン、m-t-ブトキシスチレン、p-t-ブトキシスチレン、o-n-ペントキシスチレン、m-n-ペントキシスチレン、p-n-ペントキシスチレン、α-メチル-o-ブトキシスチレン、α-メチル-m-ブトキシスチレン、α-メチル-p-ブトキシスチレン、o-t-ペントキシスチレン、m-t-ペントキシスチレン、p-t-ペントキシスチレン、o-n-ヘキソキシスチレン、m-n-ヘキソキシスチレン、p-n-ヘキソキシスチレン、α-メチル-o-ペントキシスチレン、α-メチル-m-ペントキシスチレン、α-メチル-p-ペントキシスチレン、o-シクロヘキソキシスチレン、m-シクロヘキソキシスチレン、p-シクロヘキソキシスチレン、o-フェノキシスチレン、m-フェノキシスチレン、p-フェノキシスチレン等とこれらの混合物を用いることができるが、これらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
【0052】
核置換芳香族スチレンとしては、例えば、2-ビニルビフェニル、3-ビニルビフェニル、4-ビニルビフェニル、2-ビニル−2’−エチルビフェニル、2-ビニル−3’−エチルビフェニル、2-ビニル−4’−エチルビフェニル、3-ビニル−2’−エチルビフェニル、3-ビニル−3’−エチルビフェニル、3-ビニル−4’−エチルビフェニル、4-ビニル−2’−エチルビフェニル、4-ビニル−3’−エチルビフェニル、4-ビニル−4’−エチルビフェニル、1−ビニルナフタレン、2−ビニルナフタレン、1−ビニル−2−エチルナフタレン、1−ビニル−3−エチルナフタレン、1−ビニル−4−エチルナフタレン、1−ビニル−5−エチルナフタレン、1−ビニル−6−エチルナフタレン、1−ビニル−7−エチルナフタレン、1−ビニル−8−エチルナフタレン、2−ビニル−1−エチルナフタレン、2−ビニル−3−エチルナフタレン、2−ビニル−4−エチルナフタレン、2−ビニル−5−エチルナフタレン、2−ビニル−6−エチルナフタレン、2−ビニル−7−エチルナフタレン、2−ビニル−8−エチルナフタレン、m-フェニルスチレン、p-フェニルスチレン等とこれらの混合物を用いることができる。
【0053】
次に、α-置換アルキルスチレンとしては、例えば、α-n-ブチルスチレン、α-イソブチルスチレン、α- t-ブチルスチレン、α- n-ペンチルスチレン、α-2-メチルブチルスチレン、α-3-メチルブチル2スチレン、α- t-ブチルスチレン、α- t-ブチルスチレン、α- n-ペンチルスチレン、α- 2-メチルブチルスチレン、α- 3-メチルブチルスチレン、α- t-ペンチルスチレン、α- n-ヘキシルスチレン、α- 2-メチルペンチルスチレン、α- 3-メチルペンチルスチレン、α- 1-メチルペンチルスチレン、α-2,2-ジメチルブチルスチレン、α-2,3-ジメチルブチルスチレン、α-2,4-ジメチルブチルスチレン、α-3,3-ジメチルブチルスチレン、α-3,4-ジメチルブチルスチレン、α-4,4-ジメチルブチルスチレン、α-2-エチルブチルスチレン、α-1-エチルブチルスチレン、α-シクロヘキシルスチレン、α-シクロヘキシルスチレン等を用いることができる。
【0054】
インデン誘導体としては、プロピルインデン、ブチルインデン、t−ブチルインデン、sec−ブチルインデン、n−ペンチルインデン、2−メチル−ブチルインデン、3−メチル−ブチルインデン、n−ヘキシルインデン、2−メチル−ペンチルインデン、3−メチル−ペンチルインデン、4−メチル−ペンチルインデン等のアルキル置換インデン等を用いることができる。又、エトキシインデン、プトキシインデン、ブトキシインデン、t−ブトキシインデン、sec−ブトキシインデン、n−ペントキシインデン、2−メチル−ブトキシインデン、3−メチル−ブトキシインデン、n−ヘキトシインデン、2−メチル−ペントキシインデン、3−メチル−ペントキシインデン、4−メチル−ペントキシインデン等のアルキコシインデン等を用いることができる。
【0055】
アセナフチレン誘導体誘導体としては、例えば、アセナフチレン;1―メチルアセナフチレン、3―メチルアセナフチレン、4―メチルアセナフチレン、5―メチルアセナフチレン、1―エチルアセナフチレン、3―エチルアセナフチレン、4―エチルアセナフチレン、5―エチルアセナフチレン等のアルキルアセナフチレン類;1―クロロアセナフチレン、3―クロロアセナフチレン、4―クロロアセナフチレン、5―クロロアセナフチレン、1―ブロモアセナフチレン、3―ブロモアセナフチレン、4―ブロモアセナフチレン、5―ブロモアセナフチレン等のハロゲン化アセナフチレン類;1―フェニルアセナフチレン、3―フェニルアセナフチレン、4―フェニルアセナフチレン、5―フェニルアセナフチレン等のフェニルアセナフチレン類等が挙げられる。
【0056】
これらのモノビニル芳香族化合物はこれらに制限されるものではない。これらは単独で又は2種以上を組合せて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物では、上記のモノビニル芳香族化合物は硬化性組成物の総量100重量部に対して0〜30重量部添加することができる。好ましくは20重量部以上である。モノビニル芳香族化合物の添加量が30重量部を越えると、硬化物の耐薬品性や高温での寸法安定性が低下する傾向があるので好ましくない。
【0057】
本発明の硬化性樹脂組成物は、後述するように加熱等の手段により架橋反応を起こして硬化するが、その際の反応温度を低くしたり不飽和基の架橋反応を促進する目的でラジカル開始剤を含有させて使用してもよい。
【0058】
このラジカル開始剤の量は(A)成分と(B)成分の和を基準として0.1〜10重量%、好ましくは0.1〜8重量%である。ラジカル開始剤の代表的な例を挙げると、ベンゾイルパーオキサイド、クメンハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチルヘキサン−2,5−ジハイドロパーオキサイド、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキシン−3、ジ−t−ブチルパーオキサイド、t−ブチルクミルパーオキサイド、α,α’−ビス(t−ブチルパーオキシ−m−イソプロピル)ベンゼン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(t−ブチルパーオキシ)ヘキサン、ジクミルパーオキサイド、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート、t−ブチルパーオキシベンゾエート、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)ブタン、2,2−ビス(t−ブチルパーオキシ)オクタン、2,5−ジメチル−2,5−ジ(ベンゾイルパーオキシ)ヘキサン、ジ(トリメチルシリル)パーオキサイド、トリメチルシリルトリフェニルシリルパーオキサイド、テトラメチルブチルハイドロパーオキシド等の過酸化物があるがこれらに限定されない。また過酸化物ではないが、2,3−ジメチル−2,3−ジフェニルブタンもラジカル開始剤として使用できる。しかし、本樹脂組成物の硬化に用いられる開始剤はこれらの例に限定されない。
【0059】
この他、本発明の硬化性樹脂組成物に(E)成分として用いられる多官能性マレイミドの適した硬化剤としてはポリアミンが、多官能性シアン酸エステルに適した触媒としては鉱酸、ルイス酸、炭酸ナトリウムあるいは塩化リチウム等の塩類、トリブチルホスフィン等のリン酸エステル類等が、また多官能性イソシアネートに適した触媒、硬化剤としては、例えば岩田敬治編、「ポリウレタン樹脂ハンドブック」(日刊工業新聞社、1987)118〜123頁中に教示されているようなアミン類、有機金属、多価アルコール等がそれぞれ挙げられる。
【0060】
以上の触媒、開始剤、硬化剤等は、(E)成分の有無、種類等に応じて適宜選択して用いられる。本発明の樹脂組成物は、その用途に応じて所望の性能を付与させる目的で本来の性質を損なわない範囲の量の添加剤を配合して用いることができる。添加剤としては、酸化防止剤、熱安定剤、帯電防止剤、可塑剤、顔料、染料、着色剤等が挙げられる。また難燃性の一層の向上を図る目的で塩素系、臭素系、リン系の難燃剤や、Sb2O3 、Sb2O5、NbSbO3・1/4H2O等の難燃助剤を併用することもできる。基材を含む複合材料では、臭素化ジフェニルエーテルと酸化アンチモンの組み合わせが好ましく用いられる。
【0061】
上記の組成物を製造する際に、各成分を混合する方法としては、各成分を溶媒中に均一に溶解又は分散させる溶液混合法、あるいはヘンシェルミキサー等によりの撹拌・混合するブレンド法等が利用できる。溶液混合に用いられる溶媒としては、ベンゼン、トルエン、キシレンなどの芳香族系溶媒、テトラヒドロフランが単独であるいは二種以上を組み合わせて用いられる。本発明の硬化性樹脂組成物は、あらかじめその用途に応じて所望の形に成形してもよい。その成形方法は特に限定されない。通常は、樹脂組成物を上述した溶媒に溶解させ好みの形に成形するキャスト法、又は樹脂組成物を加熱溶融し好みの形に成形する加熱溶融法が用いられる。
【0062】
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化体は、以上に述べたポリフェニレンエーテル系樹脂組成物を硬化することにより得られるものである。硬化の方法は任意であり、熱、光、電子線等による方法を採用することができる。加熱により硬化を行う場合その温度は、ラジカル開始剤の種類によっても異なるが、80〜300℃、より好ましくは120〜250℃の範囲で選ばれる。また時間は、1分〜10時間程度、より好ましくは1分〜5時間である。
【0063】
本発明の硬化性樹脂組成物は、後述する硬化複合材料と同様、金属箔(金属板を含む意味である。以下、同じ。)と張り合わせて用いることができる。
本発明の硬化性樹脂組成物には、機械的強度を高め、寸法安定性を増大させるために基材を加えた硬化性複合材料とすることができる。
以下、本発明の硬化性複合材料について説明する。
【0064】
基材としては、ロービングクロス、クロス、チョップドマット、サーフェシングマットなどの各種ガラス布、アスベスト布、金属繊維布及びその他合成もしくは天然の無機繊維布、全芳香族ポリアミド繊維、全芳香族ポリエステル繊維、ポリベンゾザール繊維等の液晶繊維から得られる織布又は不織布、ポリビニルアルコール繊維、ポリエステル繊維、アクリル繊維などの合成繊維から得られる織布又は不織布、綿布、麻布、フェルトなどの天然繊維布、カーボン繊維布、クラフト紙、コットン紙、紙ーガラス混繊紙などの天然セルロース系布などの布類や紙類がそれぞれ単独で、あるいは2種以上併せて用いられる。
【0065】
基材の占める割合は、硬化性複合材料100重量部を基準として5〜90重量部、より好ましくは10〜80重量部、更に好ましくは20〜70重量部である。基材が5重量部より少なくなると複合材料の硬化後の寸法安定性や強度が不十分であり、また基材が90重量部より多くなると複合材料の誘電特性が劣り好ましくない。本発明の硬化性樹脂組成物の硬化性複合材料には、必要に応じて樹脂と基材の界面における接着性を改善する目的でカップリング剤を用いることができる。カップリング剤としては、シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウム系カップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤等一般のものが使用できる。
【0066】
本発明の硬化性複合材料を製造する方法としては、例えば、本発明の硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を前述の芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、基材に含浸させた後乾燥する方法が挙げられる。含浸は浸漬(ディッピング)、塗布等によって行われる。含浸は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて含浸を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
【0067】
本発明の硬化性樹脂組成物の硬化体は、このようにして得た硬化性複合材料を加熱等の方法により硬化することによって得られるものである。その製造方法は特に限定されるものではなく、例えば該硬化性複合材料を複数枚重ね合わせ、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化を行い、所望の厚みの硬化複合材料を得ることができる。また一度接着硬化させた硬化複合材料と硬化性複合材料を組み合わせて新たな層構成の硬化複合材料を得ることも可能である。積層成形と硬化は、通常熱プレス等を用い同時に行われるが、両者をそれぞれ単独で行ってもよい。すなわち、あらかじめ積層成形して得た未硬化あるいは半硬化の複合材料を、熱処理又は別の方法で処理することによって硬化させることができる。
【0068】
成形及び硬化は、温度:80〜300℃、圧力:0.1〜1000kg/cm2、時間:1分〜10時間の範囲、より好ましくは、温度:150〜250℃、圧力1〜500kg/cm2、時間:1分〜5時間の範囲で行うことができる。本発明の硬化性樹脂組成物の積層体とは、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化複合材料と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは3〜105μmの範囲である。
【0069】
本発明の積層体を製造する方法としては、例えば本発明の硬化性複合材料と、金属箔を目的に応じた層構成で積層し、加熱加圧下に各層間を接着せしめると同時に熱硬化させる方法を挙げることができる。本発明の硬化性樹脂組成物の積層体においては、硬化性複合材料と金属箔が任意の層構成で積層される。金属箔は表層としても中間層としても用いることができる。上記の他、積層と硬化を複数回繰り返して多層化することも可能である。
【0070】
金属箔の接着には接着剤を用いることもできる。接着剤としては、エポキシ系、アクリル系、フェノール系、シアノアクリレート系等が挙げられるが、特にこれらに限定されない。上記の積層成形と硬化は、本発明の硬化性樹脂組成物の硬化複合材料と同様の条件で行うことができる。
【0071】
本発明のフィルムとは、本発明の硬化性樹脂組成物をフィルム状に成形したものである。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
フィルムを製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、PETフィルムなどの樹脂フィルムに塗布した後乾燥する方法などが挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
【0072】
本発明の樹脂付き金属箔とは本発明の硬化性樹脂組成物と金属箔より構成されるものである。ここで用いられる金属箔としては、例えば銅箔、アルミニウム箔等が挙げられる。その厚みは特に限定されないが、3〜200μm、より好ましくは5〜105μmの範囲である。
【0073】
本発明の樹脂付き金属箔を製造する方法としては特に限定されることはなく、例えば硬化性樹脂組成物と必要に応じて他の成分を芳香族系、ケトン系等の溶媒もしくはその混合溶媒中に均一に溶解又は分散させ、金属箔に塗布した後乾燥する方法が挙げられる。塗布は必要に応じて複数回繰り返すことも可能であり、またこの際、組成や濃度の異なる複数の溶液を用いて塗布を繰り返し、最終的に希望とする樹脂組成及び樹脂量に調整することも可能である。
【0074】
【実施例】
次に実施例により本発明を説明するが、本発明はこれらにより制限されるものではない。なお、各例中の部はいずれも重量部である。また、実施例中の測定結果は以下に示す方法により試料調製及び測定を行った。
【0075】
1)ポリマーの分子量及び分子量分布
GPC(東ソー製、HLC-8120GPC)を使用し、溶媒:テトラヒドロフラン(THF)、流量:1.0ml/min、カラム温度:40℃で行った。単分散ポリスチレンによる検量線を用い、ポリスチレン換算分子量として測定を行った。
2)ポリマーの構造
13C−NMR及び1H−NMR分析により決定した。溶媒としてテトラクロロエタン-d2を使用した。NMR測定溶媒であるテトラクロロエタン-d2の共鳴線を内部標準として使用した。
【0076】
3)ガラス転移温度(Tg)及び軟化温度(Tm)測定
硬化性樹脂組成物の溶液をガラス基板に乾燥後の厚さが、20μmになるように均一に塗布した後、ホットプレートを用いて、90℃で30分間加熱し、乾燥させた。得られた樹脂膜はガラス基板と共に、TMA(熱機械分析装置)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で220℃まで昇温し、更に、220℃で20分間加熱処理することにより、残存する溶媒を除去した。ガラス基板を室温まで放冷した後、TMA測定装置中の試料に分析用プローブを接触させ、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から360℃までスキャンさせることにより測定を行い、接線法によりTmを求めた。また、線膨張係数の変化する変曲点よりTgを求めた。
加熱プレス成形により得られた硬化物フィルムのTgの測定は動的粘弾性測定装置を使用し、昇温速度2℃/minで測定を行い、損失弾性率のピークより決定した。
4)熱分解温度及び炭化歩留りの測定
試料をTGA(熱天秤)測定装置にセットし、窒素気流下、昇温速度10℃/分で30℃から650℃までスキャンさせることにより測定を行い、接線法により熱分解温度を求めた。また、550℃における試料残量を炭化歩留りとして求めた。
【0077】
5)引張り強度及び伸び率
引張り試験装置を用いて測定を行った。伸び率は引張り試験のチャートから測定した。
6)誘電率及び誘電正接
インピーダンスアナライザーを使用し、周波数100MHz〜1GHzで測定した。
【0078】
以下の合成例、実施例で使用する成分の略号を次に示す。
THF:テトラヒドロフラン
DVBP:ジビニルビフェニル
EVBP:エチルビニルビフェニル
DVN:ジビニルナフタレン
EVN:エチルビニルナフタレン
PPE:ポリフェニレンエーテル(三菱瓦斯化学(株)製、極限粘度が0.45)
DMDH:2,5-ジメチル-2,5-ジ(t-ブチルパーオキシ)ヘキサン
TMBH:テトラメチルブチルハイドロパーオキシド
SBR:スチレンブタジエンコポリマー(旭化成工業(株)製、商品名タフプレンA)
TAIC:トリアリルイソシアヌレート(東亜合成(株)製)
球状シリカ:平均粒径0.5μm((株)アドマテックス製、商品名アドマファインSO-C2)
【0079】
合成例1
ジイソプロピルアミン0.07モル、n−ブチルリチウム0.006モル及びTHF400mlを1000mlのフラスコ内に投入し、20℃でDVBP0.03モル(6.8ml)、EVBP0.011モル(2.6ml)のTHF溶液を添加し、60分間反応させた。重合反応を窒素でバブリングを行った。少量のメタノールで停止させた後、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、共重合体を析出させた。これをメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、プレポリマーA 7.86g(収率:92.0 wt%)を得た。
【0080】
合成例2
ジイソプロピルアミン:0.07モル、n−ブチルリチウム:0.006モル及びテトラヒドロフラン(THF)400mlを1000mlのフラスコ内に投入し、20℃でDVN0.03モル(5.41g)、EVN0.003モル(0.55g)のTHF溶液を添加し、60分間反応させた。重合反応を窒素でバブリングを行った。少量のメタノールで停止させた後、室温で反応混合液を大量のメタノールに投入し、共重合体を析出させた。これをメタノールで洗浄し、濾別、乾燥、秤量して、プレポリマーB 5.20g(収率:87.3 wt%)を得た。
【0081】
プレポリマーA及びプレポリマーBの物性を次に示す。
プレポリマーA:Mw 20300、Mn 7820、分子量分布 2.6、Tg 266℃、Tm300℃以上、熱分解温度は421℃、炭化歩留りは32%、DVBP由来の構造単位を70.6モル%、EVBP由来の構造単位を29.4モル%含有。
プレポリマーB:Mw 17000、Mn 6300、分子量分布 2.7 、Tg 243℃、Tm 300℃以上、熱分解温度410℃、炭化歩留りは30%、DVN由来の構造単位を88.3モル%、EVN由来の構造単位を11.7モル%含有。
なお、プレポリマーA及びプレポリマーBは、いずれもトルエン、キシレン、THF、ジクロロエタン、ジクロロメタン、クロロホルムに可溶であり、ゲルの生成は認められなかった。
【0082】
合成例3
PPE100部と、無水マレイン酸1.7部及び開始剤1.0部を室温でドライブレンドした後、シリンダー温度300℃、スクリュー回転数230rpmの条件で2軸押し出し機により押出して、官能基を導入した樹脂(以下、変性PPEという)を得た。
【0083】
実施例1
PPE8gと、DVBP2.88g、EVBP1.12g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、開始剤としてTMBH0.5g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液aを調製した。
【0084】
実施例2
PPE6gと、DVBP2.16g、EVBP0.84g、熱可塑性樹脂成分としてSBR1g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液bを調製した。
【0085】
実施例3
PPE6gと、DVBP1.44g、EVBP0.56g、SBR1g、TAIC1g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液cを調製した。
【0086】
実施例4(参考例)
PPE6gとDVN2.73g、EVN0.27g、SBR1g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液dを調製した。
【0087】
実施例5
PPE6gと、DVBP1.80g、EVBP0.70g、アセナフチレン:0.5g、SBR1g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液eを調製した。
【0088】
実施例6
PPE6gと、DVBP1.80g、EVBP0.70g、合成例1で得られたプレポリマーA0.5g、SBR1g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液fを調製した。
【0089】
実施例7
PPE6gと、DVBP1.80g、EVBP0.70g、合成例2で得たプレポリマーB0.5g、SBR1g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液gを調製した。
【0090】
実施例8
合成例3で得た変性PPE6g、DVBP2.16g、EVBP0.84g、SBR1g、トルエン36gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液hを調製した。
【0091】
実施例9
PPE12gと、DVBP4.32g、EVBP1.68g、SBR2g、球状シリカ8g、トルエン80gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH0.8g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液iを調製した。
【0092】
実施例10
PPE60gと、DVBP21.6g、EVBP8.4g、SBR10g、球状シリカ40g、トルエン400gとを配合して、90℃で60分間攪拌後、TMBH4g加えて、熱硬化性樹脂組成物溶液jを調製した。
【0093】
ポリエチレンテレフタレート樹脂(PET)シートを張りつけた台に、上記実施例で得た熱硬化性樹脂組成物溶液a〜iをキャストし、フィルムを得た。得られたフィルムは約80μmの厚みであり、成膜性に優れていた。このフィルムをエヤーオーブンで60℃30分間乾燥乾燥後、プレス成形機にて180℃、1時間熱硬化させ、約70μmの9種類の硬化物フィルムa〜iを得た。このフィルムa〜iは、それぞれ熱硬化性樹脂組成物溶液a〜iに対応する。
硬化物フィルムa〜iの物性値の測定結果を表1に示す。
【0094】
【表1】
【0095】
実施例11
<硬化性複合材料>
実施例10で得た熱硬化性樹脂組成物溶液jに、ガラスクロス(Eガラス、目付71g/m2)を浸漬して含浸を行い、50℃のエアーオーブン中で30分間乾燥させた。得られたプリプレグのレジンコンテンツ(R.C)は67%であった。
【0096】
このプリプレグを使用して、直径0.35mmのスルーホールが5mmピッチで配置されている厚み0.8mmのコア材を張り合わせたところ、樹脂が充填されていないスルーホールは4500穴中0であった。
【0097】
<積層体>
成形後の厚みが約0.6mm〜1.0mmになるように、上記の硬化性複合材料を必要に応じて複数枚重ね合わせ、その両面に厚さ35μmの銅箔を置いてプレス成形機により成形硬化させて積層体を得た。各実施例の硬化条件は、3℃/分で昇温し、180℃で90分間保持することにとした。また、圧力はいずれも30kg/cm2とした。
【0098】
このようにして得られた積層体の諸物性を以下の方法で測定した。
1.耐トリクロロエチレン性:銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、トリクロロエチレン中で5分間煮沸し、外観の変化を目視により観察した(JIS C 6481に準拠)。
2.誘電率、誘電正接:1MHzで測定を行った(JIS C 6481に準拠)。
3.ハンダ耐熱性:銅箔を除去した積層体を25mm角に切り出し、260℃のハンダ浴中に120秒間浮かべ、外観の変化を目視により観察した(JIS C 6481に準拠)。
4.ガラス転移温度(Tg):積層体から切り出した試料をTMAにて測定した。
【0099】
耐トリクロロエチレン性試験では積層体の外観に変化は観察されなかった。Tgは243℃であった。ハンダ耐熱性試験では積層体の外観に変化は観察されなかった。誘電率は3.0、誘電正接は0.003であった。
【0100】
実施例11 <樹脂付き銅箔>
実施例10で得た溶液jを18μmの電解銅箔上に塗布し、10分間風乾した後、60℃のエアーオーブン中で30分間乾燥させた。銅箔上の樹脂厚みは80μmであった。本樹脂付き銅箔と実施例11で使用したと同じコア材を重ね180℃で90分間、30kg/cm2の圧力で加熱加圧硬化した。スルーホールを観察したところ、樹脂が充填されていないスルーホールは確認されなかった。
【0101】
【発明の効果】
本発明の硬化性樹脂組成物は、硬化後において優れた耐薬品性、誘電特性、低吸水性、耐熱性、難燃性、機械特性を示し、電気産業、宇宙・航空機産業等の分野において誘電材料、絶縁材料、耐熱材料、構造材料等に用いることができる。特に片面、両面、多層プリント基板、フレキシブルプリント基板、ビルドアップ基板等として用いることができる。
Claims (9)
- (A)成分:下記式(1)
(但し、R1及びR4は、それぞれ独立して、ハロゲン、第一級若しくは第二級の低級アルキル、ハロアルキル、アミノアルキル、炭化水素オキシ、芳香族炭化水素基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てているハロ炭化水素オキシであり、R2及びR3は、それぞれ独立して、水素、ハロゲン、第一級若しくは第二級の低級アルキル、ハロアルキル、炭化水素オキシ、芳香族炭化水素基又は少なくとも2個の炭素原子がハロゲン原子と酸素原子を隔てているハロ炭化水素オキシである)で表される構造単位からなるポリフェニレンエーテル系樹脂と、
(B)成分:ジビニルビフェニル系化合物及びそれらのプレポリマーからなる群から選ばれる1種以上の多環芳香族ジビニル化合物類とからなる硬化性樹脂組成物であって、(A)成分と(B)成分の合計に対する(A)成分の配合量が30〜98wt%であり、(B)成分の配合量が2〜70wt%であることを特徴とする硬化性樹脂組成物。 - (A)成分が、式(1)で表される構造単位の一部又はポリフェニレンエーテル系樹脂の末端の少なくとも一部に、反応性官能基が導入されたポリフェニレンエーテル系樹脂である請求項1記載の硬化性樹脂組成物。
- (A)成分及び(B)成分の他に、(C)成分としての熱可塑性樹脂を含む硬化性樹脂組成物であって、(A)成分、(B)成分及び(C)成分の合計に対する(C)成分の配合量が2〜40wt%である請求項1又は2記載の硬化性樹脂組成物。
- (A)成分、(B)成分及び(C)成分の他に、(D)成分としての充填剤を含む硬化性樹脂組成物であって、(A)成分、(B)成分、(C)成分及び(D)成分の合計に対する(D)成分の配合量が2〜90wt%である請求項3記載の硬化性樹脂組成物。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物をフイルム状に成形してなるフィルム。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物と基材からなる硬化性複合材料であって、基材を5〜90重量%の割合で含有することを特徴とする硬化性複合材料。
- 請求項6記載の硬化性複合材料を硬化して得られた硬化複合材料。
- 請求項7記載の硬化複合材料の層と金属箔の層とを有することを特徴とする積層体。
- 請求項1〜4のいずれかに記載の硬化性樹脂組成物の膜が金属箔の片面に形成されたことを特徴とする樹脂付き金属箔。
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