JP4183881B2 - 車両用衝突判定装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両の衝突を判定して、例えばエアバック装置等の乗員保護装置を作動させる車両用衝突判定装置に関し、特に、衝突時の衝撃の大きさに応じて乗員保護装置の動作を制御する技術に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、例えば車両に加わる加速度(或いは減速度)を検出する加速度センサを備えて、加速度センサから出力される加速度信号によって車両の加速度変化を検出すると共に、この加速度信号を時間について1回積分、或いは2回積分して、これらの積分値が所定の各閾値を超えた場合に、例えばエアバック装置やシートベルト・プリテンショナ等の乗員保護装置を起動させる車両用衝突判定装置が知られている。
このような車両用衝突判定装置によって衝突と判定された場合、例えばエアバック装置は、インフレータ内でスクイブによりガス発生剤に点火して、インフレータよりガスを発生させ、このガスによってエアバックを膨らませて乗員と室内部品との2次衝突を抑制する。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記従来技術の一例による車両用衝突判定装置では、衝突時の衝撃の大きさや、車両内での乗員の位置等に関わらず、検出された加速度信号の演算値が所定の閾値を超えただけで、エアバックが一定の特性で展開されるように設定されている場合があり、衝突の状況に違いがあっても、同一の制御しかできないという問題がある。
本発明は上記事情に鑑みてなされたもので、衝突初期の加速度を利用することにより、単純かつ安価な構成で、衝突の激しさに応じた適正な衝突判定を短時間に行うことが可能な車両用衝突判定装置を提供することを目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決して係る目的を達成するために、第1の本発明の車両用衝突判定装置は、車両に作用する加速度を検出する加速度検出手段(例えば、後述する実施の形態での加速度センサ11)と、前記加速度検出手段にて検出された加速度信号を時間について積分して速度変化(例えば、後述する実施の形態での速度変化ΔV)を算出する速度変化算出手段(例えば、後述する実施の形態での速度変化算出部24)と、前記速度変化に対する時間変化が所定の閾値以下か否かを判定するシビア衝突判定手段(例えば、後述する実施の形態での第1及び第2速度変化判定部25a,25b及び経過時間算出部26及び経過時間判定部27)と、前記シビア衝突判定手段による判定結果に応じて乗員保護装置(例えば、後述する実施の形態でのエアバック装置)の動作を制御する制御信号を発生する制御信号発生手段(例えば、後述する実施の形態でのシビア衝突信号発生部28及び非シビア衝突信号発生部29)とを備えたことを特徴としている。
【0005】
上記構成の車両用衝突判定装置によれば、衝突時の短時間の間に、車両速度に応じて異なる加速度、すなわち車体の反発減速度の相違を利用して衝突時の衝撃の大きさを検出して、この衝撃の大きさに応じて、例えばエアバック装置やシートベルト・プリテンショナ等の乗員保護装置の起動タイミングや動作、例えばエアバックの展開動作等を適正に制御することができる。
例えば、図1(a)〜(c)は、車両速度の異なる正面衝突における加速度信号G(減速度方向を正とする)の時間変化を示すグラフ図であり、図2は、図1(a)〜(c)に対する初期加速度と反発時間(初期加速度の継続時間)を示すグラフ図である。
ここで、図1(a)は高速(例えば、約50km/h)での衝突、図1(b)は中速(例えば、約20km/h)での衝突、図1(c)は低速(例えば、約12km/h)での衝突を示しており、衝突時の車両速度が大きいほど初期加速度が大きくかつ反発時間が短くなり、車両速度が小さいほど初期加速度が小さくかつ反発時間が長くなる。すなわち、車両速度が50km/h、20km/h、12km/hのそれぞれに対して、順に、最大初期減速度をG1、G2、G3とし、反発時間をt1、t2、t3とすると、G1>G2>G3、かつ、t1<t2<t3となっている。
【0006】
ここで、衝突時の車両速度に応じた初期加速度と反発時間との関係を抽出するために、下記数式(1)及び数式(2)を設定する。
【0007】
【数1】
Figure 0004183881
【0008】
【数2】
Figure 0004183881
【0009】
すなわち、加速度信号Gを時間について一回積分して、所定の時間区間(例えば0≦t≦n)での速度変化ΔVn、又は累積の速度変化として無限区間(つまり0≦t≦∞)での速度変化ΔVを算出する。これらの速度変化ΔVn,ΔV(以下において、共に速度変化ΔVと呼ぶ)は、例えば図3に示す図1(a)〜(c)に対する各速度変化ΔVの時間変化を示す図のように、衝突時の車両速度の大きさに応じて異なる変化を示す。
ここで、速度変化ΔVに対して、例えば2つの閾速度変化ΔVTH1、ΔVTH2(ΔVTH1≦ΔVTH2)を設定しておき、速度変化ΔVが一方の閾速度変化ΔVTH1を超えて他方の閾速度変化ΔVTH2に至るまでの経過時間ΔTを測定する。
すると、この経過時間ΔTは高速での衝突ほど短くなり、例えば図3に示すように、高速での衝突(図3に示す実線a)における経過時間ΔT1は、中速での衝突(図3に示す一点破線b)における経過時間ΔT2よりも短くなり、低速での衝突(図3に示す二点破線c)では、速度変化ΔVが他方の閾速度変化ΔVTH2に至ることなく減少する。
【0010】
従って、経過時間ΔTに対して、少なくとも1つ以上(例えば1つ)の閾経過時間ΔTTHを設定しておき、経過時間ΔTを閾経過時間ΔTTHと比較することで、衝突時の衝撃の大きさつまり激しさを判定することができる。例えば、経過時間ΔTが閾経過時間ΔTTH以下であれば、高速での衝突、つまり激しい衝突であると判定する。
そして、激しい衝突と判定された場合には、例えばエアバックを急展開して乗員の保護を優先する。逆に、激しい衝突では無いと判定された場合には、例えばエアバックを多段階に展開する等によって緩展開させる。
これにより、衝突の状況に応じて適正にエアバック装置等の乗員保護装置を制御することができる。
なお、速度変化ΔVとしては、有限区間での速度変化ΔVnを用いても良いし、無限区間での速度変化ΔVを用いても良く、例えば激しい衝突を判定する場合には、中低速での衝突に比べて、高速での衝突に対する速度変化ΔVが顕著な変化を示す方を選択すればよい。
【0011】
さらに、第2の本発明の車両用衝突判定装置では、前記シビア衝突判定手段は、前記速度変化が2つの閾速度変化(例えば、後述する実施の形態での第1閾速度変化ΔVTH1,第2閾速度変化ΔVTH2)の間に位置する経過時間(例えば、後述する実施の形態での経過時間ΔT)を検出する経過時間検出手段(例えば、後述する実施の形態での経過時間算出部26)と、前記経過時間が閾時間(例えば、後述する実施の形態での閾経過時間ΔTTH)以下か否かを判定する経過時間判定手段(例えば、後述する実施の形態での経過時間判定部27)とを備えたことを特徴としている。
【0012】
上記構成の車両用衝突判定装置によれば、速度変化が2つの異なる閾速度変化の間に位置する経過時間が、閾時間以下の場合には、速度変化の時間変化が小さく、激しい衝突であると判断でき、逆に、経過時間が閾時間よりも大きい場合には、速度変化の時間変化は相対的に大きく、激しい衝突ではないと判断できる。
【0013】
さらに、第3の本発明の車両用衝突判定装置は、前記加速度信号に基づいて乗員の移動量(例えば、後述する実施の形態での乗員移動量S)を算出する移動量算出手段(例えば、後述する実施の形態での乗員移動量算出部21)と、前記乗員の移動量が閾移動量(例えば、後述する実施の形態での閾移動量STH)以上か否かを判定する移動量判定手段(例えば、後述する実施の形態での乗員移動量判定部22)と、前記移動量判定手段による判定結果に応じて前記速度変化算出手段の動作を制御する制御手段(例えば、後述する実施の形態での速度変化算出制御部23)とを備え、前記制御手段は、前記移動量が前記閾移動量以上の場合に、前記速度変化の算出を停止させることを特徴としている。
【0014】
上記構成の車両用衝突判定装置によれば、乗員の移動量が閾移動量よりも小さい場合には、加速度信号に基づいて速度変化を算出して、この速度変化に基づいて、衝突時の衝撃の大きさ、つまり激しい衝突であるか否かの判定処理を実行する。そして、激しい衝突であると判定された場合には、例えばエアバックを急展開させて乗員の保護を計る。
一方、乗員の移動量が閾移動量以上の場合には、激しい衝突であるか否かの判定処理は実行せず、衝突時の衝撃の大きさに関わらずに、例えば一定の特性でエアバックを緩展開させる。
これにより、衝突時の衝撃の大きさに加えて、車両内での乗員の移動量に応じてエアバック装置等の乗員保護装置を適切に作動させることができる。
【0015】
また、例えば図3(d)に示すオフセット衝突時の速度変化ΔVの時間変化を示すグラフ図のように、初期加速度が小さいオフセット衝突では、車両の変形が進むに連れて速度変化ΔVが増加して、時間遅れのある立ち上がり特性を示す。
この場合、衝突開始から徐々に乗員が移動しており、例えば乗員の移動量が所定閾値以上の場合には、激しい衝突であるか否かの判定処理は実行せず、衝突時の衝撃の大きさに関わらず、例えば一定の特性でエアバックを緩展開させる。
【0016】
さらに、第4の本発明の車両用衝突判定装置は、前記加速度信号に基づいて衝突を検出する衝突判定手段(例えば、後述する実施の形態での衝突判定部12)を備え、前記制御信号発生手段は、前記シビア衝突判定手段による判定結果及び前記衝突判定手段による衝突の検出に基づいて前記制御信号を発生することを特徴としている。
【0017】
上記構成の車両用衝突判定装置によれば、例えば、衝突判定手段により衝突と判定された場合にはエアバックを緩展開させるように設定しておき、さらに、衝突判定手段により衝突と判定され、かつ、シビア衝突判定手段により激しい衝突であると判定された場合にはエアバックを急展開させるように設定することで、衝突の状態に応じてエアバック装置等の乗員保護装置を適正に制御することができる。
しかも、激しい衝突と判定される際には、衝突判定手段での判定結果と、シビア衝突判定手段での判定結果との、2つの判定結果に基づいて判断されるため、より一層、確実に判定処理を行うことができる。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の一実施形態に係る車両用衝突判定装置ついて添付図面を参照しながら説明する。
図4は本発明の一実施形態に係る車両用衝突判定装置10の構成図である。 本実施の形態による車両用衝突判定装置10は、加速度センサ(Gセンサ)11と、衝突判定部12と、シビア衝突検知部13とを備えて構成されている。
衝突判定部12は、例えば、加速度センサ11から出力される加速度信号Gからノイズ成分である高周波成分を除去する例えばローパスフィルタ等からなるフィルタ処理部と、フィルタ処理後の加速度信号Gを入力してデジタル信号に変換するA/D変換部と、デジタル化された加速度信号Gを時間について1回積分、或いは2回積分して、これらの積分値が所定の各閾値を超えた場合に衝突と判定する判定部とを備えている。
【0019】
そして、シビア衝突検知部13は、乗員移動量算出部21と、乗員移動量判定部22と、速度変化算出制御部23と、速度変化算出部24と、第1速度変化判定部25a、第2速度変化判定部25bと、経過時間算出部26と、経過時間判定部27と、シビア衝突信号発生部28とを備えて構成されている。
乗員移動量算出部21は、加速度センサ11から出力される加速度信号Gを時間について2回積分して、車両内の乗員移動量Sを算出する。
乗員移動量判定部22は、乗員移動量算出部21にて算出された乗員移動量Sが閾移動量STHよりも大きいか否かを判定して、この判定結果に基づく指令信号を出力する。
【0020】
速度変化算出制御部23は、乗員移動量判定部22での判定結果に応じて、例えば乗員移動量Sが閾移動量STHよりも大きい場合には、後述する速度変化算出部24の動作を停止する。すなわち、速度変化算出制御部23は例えばスイッチ等からなり、乗員移動量判定部22での判定結果に応じて、速度変化算出部24に対する加速度信号Gの入力を遮断する。
速度変化算出部24は、加速度信号Gに基づいて、例えば上記数式(1)又は上記数式(2)により、速度変化ΔVを算出する。
【0021】
第1速度変化判定部25aは、速度変化算出部24にて算出された速度変化ΔVが、所定の第1閾速度変化ΔVTH1よりも大きいか否かを判定して、例えば速度変化ΔVが所定の第1閾速度変化ΔVTH1を超えた時刻xを出力する。
第2速度変化判定部25bは、速度変化算出部24にて算出された速度変化ΔVが、所定の第2閾速度変化ΔVTH2よりも大きいか否かを判定して、例えば速度変化ΔVが所定の第2閾速度変化ΔVTH2を超えた時刻yを出力する。
なお、第1及び第2閾速度変化ΔVTH1,ΔVTH2に対して、例えばΔVTH1<ΔVTH2とされている。
【0022】
経過時間算出部26は、第1及び第2速度変化判定部25a,25bから出力された時刻x,yに基づいて、速度変化ΔVが第1閾速度変化ΔVTH1と第2閾速度変化ΔVTH2との間に存在する経過時間ΔT(ΔT=y−x)を算出する。
経過時間判定部27は、経過時間算出部26にて算出された経過時間ΔTが、閾経過時間ΔTTH以下か否かを判定して、この判定結果に基づく指令信号を出力する。
【0023】
シビア衝突信号発生部28は、発生した衝突の衝撃が大きいか否かを判定して、例えばエアバックを急速に展開させるための指令を出力する。このため、シビア衝突信号発生部28には、衝突判定部12から、エアバック装置等の乗員保護装置を起動させる必要のある衝突が発生したことを示す起動信号と、シビア衝突検知部13から、発生した衝突が激しい衝突であることを示すシビア衝突判定信号とが入力され、両信号のAND条件を満たす場合に、例えばエアバックを急展開させるための同時点火指令を出力する。
一方、両信号のAND条件に対するNOT信号と、衝突判定部12からの起動信号とが、非シビア衝突信号発生部29に入力されており、両信号のAND条件、つまりエアバック装置等の乗員保護装置を起動させる必要のある衝突が発生したが、激しい衝突では無いと判定された場合に、例えばエアバックを緩展開させるための多段(例えば2段)点火指令を出力する。
なお、多段点火指令とは、インフレータよりガスを発生させてエアバックを展開させる際に、一度に最高出力でガスを発生させるのではなく、例えば複数のガス発生剤を順次段階的に点火してガスを発生させるものである。
【0024】
本実施の形態による車両用衝突判定装置10は上記構成を備えており、次に、この車両用衝突判定装置10の動作、特に、シビア衝突検知部13にて、発生した衝突が激しい衝突であるか否かを判定する処理について図5を参照しながら説明する。
図5は車両用衝突判定装置10の動作を示すフローチャートである。
先ず、図5に示すステップS1において、加速度センサ11により検出された加速度信号Gを読み込む。
次に、ステップS2において、加速度信号Gは乗員移動量算出部21に送出されて、時間について2回積分されて乗員移動量Sが算出され、この乗員移動量Sが閾移動量STH以上か否かを判定する。
この判定結果が「YES」の場合には、ステップS7に進み、一連の処理を終了する。
【0025】
一方、判定結果が「NO」の場合には、ステップS3に進み、速度変化算出制御部23を介して加速度信号Gが速度変化算出部24に送出され、上記数式(1)又は上記数式(2)により、速度変化ΔVを算出する。
次に、ステップS4において、速度変化ΔVの時間変化に対する傾き、つまり速度変化ΔVが所定の第1閾速度変化ΔVTH1から第2閾速度変化ΔVTH2まで変化する際の経過時間ΔTを算出する。
次に、ステップS5において、算出された速度変化ΔVの時間変化に対する傾きが、所定の閾値以上であるか否かを判定する。つまり、速度変化ΔVが所定の第1閾速度変化ΔVTH1から第2閾速度変化ΔVTH2まで変化する際の経過時間ΔTが、閾経過時間ΔTTH以下であるか否かを判定する。
この判定結果が「NO」の場合には、ステップS7に進み、一連の処理を終了する。
一方、判定結果が「YES」の場合には、ステップS6に進み、激しい衝突が発生したと判断して、例えばエアバックを急速に展開させるための指令等を出力して、ステップS7に進み、一連の処理を終了する。
【0026】
すなわち、エアバック装置等の乗員保護装置の起動が必要と判断された衝突発生時に、乗員移動量Sが閾移動量STHより小さく、かつ、速度変化ΔVに対する経過時間ΔTが閾経過時間ΔTTH以下の場合には、激しい衝突であると判断して、例えばエアバックを急展開させる。
一方、乗員移動量Sが閾移動量STH以上、又は、速度変化ΔVに対する経過時間ΔTが閾経過時間ΔTTHより大きい場合には、例えばエアバックを多段に緩展開させる。
【0027】
上述したように、本実施の形態による車両用衝突判定装置10によれば、衝突判定部12によって衝突と判定されてエアバック装置の起動が指令された場合に、シビア衝突検知部13での判定結果に応じてエアバックの展開動作を制御することから、衝突状況に応じて適正にエアバックを展開させることができる。
しかも、衝突時の衝撃の大きさに加えて、車両内での乗員の移動量に応じてエアバックの展開動作を制御するため、より一層、適正にエアバックを展開させることができる。
さらに、車両内における乗員の移動量を加速度信号Gに基づいて算出することができ、例えば車内を監視するカメラや、例えば座席上での乗員の位置を検出する適宜のセンサ等を必要とせず、車両用衝突判定装置10を安価に構成することができる。
【0028】
なお、本実施形態においては、速度変化ΔVが所定の第1閾速度変化ΔVTH1から第2閾速度変化ΔVTH2まで変化する際の経過時間ΔTに対して、1つの閾経過時間ΔTTHを設定したが、これに限定されず、複数の閾経過時間ΔTTH1,…,ΔTTHm(mは任意の自然数)を設定しても良い。
この場合、衝突時の衝撃の大きさを、より一層詳細に分類することができ、この衝撃の大きさに応じて、例えば3段階以上の多段階にエアバックを展開させることができる。
【0029】
さらに、本実施形態においては、速度変化ΔVに対して第1及び第2閾速度変化ΔVTH1,ΔVTH2を設定するとしたが、これに限定されず、例えば1つの閾速度変化ΔVTH3を設定しておき、速度変化ΔVが閾速度変化ΔVTH3を超えた時点で激しい衝突であると判定しても良い。
この場合、第2速度変化判定部25bと、経過時間算出部26と、経過時間判定部27とを省略することができ、装置の構成を単純化して製作費用の削減に資することが可能である。
【0030】
【発明の効果】
以上説明したように、第1の本発明の車両用衝突判定装置によれば、衝突時の短時間の間に、車両速度に応じて異なる加速度、すなわち車体の反発減速度の相違を利用して衝突時の衝撃の大きさを検出して、この衝撃の大きさに応じて、例えばエアバック装置やシートベルト・プリテンショナ等の乗員保護装置の起動タイミングや動作を適正に制御することができる。
さらに、第2の本発明の車両用衝突判定装置によれば、速度変化時間変化を判定する際に、この速度変化が、2つの閾速度変化の間に位置する経過時間を検出して閾時間と比較するため、激しい衝突になるほど短時間で判定を行うことができる。
さらに、第3の本発明の車両用衝突判定装置によれば、衝突時の衝撃の大きさに加えて、車両内での乗員移動量に応じて、エアバック装置等の乗員保護装置を適切に作動させることができる。
さらに、第4の本発明の車両用衝突判定装置によれば、衝突の状態に応じて、より一層適切に、エアバック装置等の乗員保護装置を制御することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施形態に係る車両速度の異なる正面衝突における加速度信号Gの時間変化を示すグラフ図である。
【図2】 図1(a)〜(c)に対する初期加速度と反発時間を示すグラフ図である。
【図3】 図1(a)〜(c)に対する速度変化ΔVの時間変化を示すグラフ図である。
【図4】 本発明の一実施形態に係る車両用衝突判定装置の構成図である。
【図5】 図4に示す車両用衝突判定装置の動作を示すフローチャートである。
【符号の説明】
10 車両用衝突判定装置
11 加速度センサ(加速度検出手段)
12 衝突判定部(衝突判定手段)
21 乗員移動量算出部(移動量算出手段)
22 乗員移動量判定部(移動量判定手段)
23 速度変化算出制御部(制御手段)
24 速度変化算出部(速度変化算出手段)
25a 第1速度変化判定部(シビア衝突判定手段)
25b 第2速度変化判定部(シビア衝突判定手段)
26 経過時間算出部(経過時間検出手段、シビア衝突判定手段)
27 経過時間判定部(経過時間判定手段、シビア衝突判定手段)
28 シビア衝突信号発生部(制御信号発生手段)
29 非シビア衝突信号発生部(制御信号発生手段)

Claims (3)

  1. 車両に作用する加速度を検出する加速度検出手段と、
    前記加速度検出手段にて検出された加速度信号を時間について積分して速度変化を算出する速度変化算出手段と、
    前記速度変化が第1閾速度変化から第2閾速度変化まで変化する際の経過時間を検出する経過時間検出手段と、
    前記経過時間が閾経過時間以下か否かを判定する経過時間判定手段と
    該経過時間判定手段による判定結果に応じて乗員保護装置の動作を制御する制御信号を発生する制御信号発生手段と
    を備えたことを特徴とする車両用衝突判定装置。
  2. 前記加速度信号に基づいて乗員の移動量を算出する移動量算出手段と、
    前記乗員の移動量が閾移動量以上か否かを判定する移動量判定手段と、
    前記移動量判定手段による判定結果に応じて前記速度変化算出手段の動作を制御する制御手段とを備え、
    前記制御手段は、前記移動量が前記閾移動量以上の場合に、前記速度変化の算出を停止させることを特徴とする請求項1に記載の車両用衝突判定装置。
  3. 前記加速度信号に基づいて衝突を検出する衝突判定手段を備え、
    前記制御信号発生手段は、前記経過時間判定手段による判定結果及び前記衝突判定手段による衝突の検出に基づいて前記制御信号を発生することを特徴とする請求項1又は請求項2の何れかに記載の車両用衝突判定装置。
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