JP4183597B2 - 恒温槽装置 - Google Patents

恒温槽装置 Download PDF

Info

Publication number
JP4183597B2
JP4183597B2 JP2003361181A JP2003361181A JP4183597B2 JP 4183597 B2 JP4183597 B2 JP 4183597B2 JP 2003361181 A JP2003361181 A JP 2003361181A JP 2003361181 A JP2003361181 A JP 2003361181A JP 4183597 B2 JP4183597 B2 JP 4183597B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
temperature
sample
chamber
test
container
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Expired - Fee Related
Application number
JP2003361181A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2005127753A (ja
Inventor
晃 雉鼻
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Nippon Medical and Chemical Instruments Co Ltd
Original Assignee
Nippon Medical and Chemical Instruments Co Ltd
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Nippon Medical and Chemical Instruments Co Ltd filed Critical Nippon Medical and Chemical Instruments Co Ltd
Priority to JP2003361181A priority Critical patent/JP4183597B2/ja
Publication of JP2005127753A publication Critical patent/JP2005127753A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP4183597B2 publication Critical patent/JP4183597B2/ja
Anticipated expiration legal-status Critical
Expired - Fee Related legal-status Critical Current

Links

Landscapes

  • Testing Resistance To Weather, Investigating Materials By Mechanical Methods (AREA)
  • Apparatus Associated With Microorganisms And Enzymes (AREA)
  • Devices For Use In Laboratory Experiments (AREA)
  • Control Of Temperature (AREA)

Description

この発明は、互いに独立した温度設定が可能な試料を収容するための複数のチャンバーを有し、各チャンバー内における試料毎に個別の温度測定が可能な恒温槽装置に関し、各チャンバーに設定した複数の温度環境条件下における複数の試料に対応して同時かつ継続的な試料温度の測定を可能にしたものである。
一般に、所定の条件下における試料の変化を調査や検査するために、各種の試験機が知られている。このような試料としての商品の品質検査には、例えば温度や湿度、照度、各種のガスを充填した雰囲気、振動などの諸条件を所定に設定した試験機器が使われている。すなわち、これらの試験機器において、温度を設定した試験に関しても、簡単な単体の恒温器によって一定の温度に制御して試験するものから、複雑なプログラム制御によって所定時間で試験温度を低温から高温まで変化させて広範囲の温度試験を行なうものが知られている。
これまでの温度試験は、1)単一の温度を選択した恒温器を使用したり、2)プログラム恒温器を用いて、低温から高温までプログラム・タイマーによって試験温度を変温させたり、3)複数台数の恒温器を用いて、これらの恒温器にそれぞれ個別に試験温度を設定したりして行なっていた。
また、この恒温器としての恒温槽装置50は、例えば図12に示すように、周囲側面52に熱絶縁性材を用いて密封した槽53を形成し、この槽53内を所定に区画して複数のチャンバー54を形成し、このチャンバー54に連通した恒温槽装置50としての前面側に位置させた1側面を開閉自在にし、これらのチャンバー54に所定温度に調整した槽53内の空気を循環通流させた構成が知られている(例えば、特許文献1参照。)。すなわち、槽53内部の両側には通風路56,56が設けられ、これらの通風路56,56の中間に位置した槽53の内部空間を、断熱プレート52で上下方向に横断的に仕切り、他の側面にも熱絶縁性材を用いて所定の区画を形成することにより、熱絶縁された複数のチャンバー54が形成されている。また槽53内の下方には、送風用のファン6と、図示しない第1温度制御手段によって動作が制御される冷却器7とが設けられている。さらに各チャンバー54の両側面には、通風路56に連通する入口開口54a及び出口開口54bが形成され、入口開口54aには、図示しない第2温度制御手段によって動作が制御されるヒータ5と、吸引ファン55aとが設けられている。なお、8は、冷却器7用のコンプレッサ(圧縮器)を示す。
したがって、この恒温槽装置50によれば、第1温度制御手段によって冷却動作が制御されて冷却温度を設定する冷却器7と、それに付設されたファン6とによって各チャンバー54内にそれぞれに設定された温度のなかから最低設定温度以下に冷却した冷風を強制的に循環させるとともに、各チャンバー54は第2温度制御手段によってヒータ5が作動されて所望の温度が補償されるように加温される。このため、吸引ファン55aによって通風しながら、それぞれのチャンバー54,54が互いに独立して、それぞれを設定した温度にできる。なお、入口開口54aに吸引ファン55aを設ける代わりに、出口開口54bに排気ファンを設けた構成や、これらの吸引ファン55aおよび排気ファンを設けた構成も用いられている。
特許第2547970号公報(第1,2頁、図4)
しかしながら、上記従来の試験機器では、近年の温度試験に対する要請に充分に答えられないという不都合が生じていた。
すなわち、商品開発のスピードアップ、流通網の充実により商品輸送の改革が進展したことや、コールド商品の普及などに伴い、商品の保存性の試験が重視されている。このため、このような保存性の試験として商品の温度試験も、よりスピード化を図る必要が生じていた。
また例えば、このような商品に対する温度試験として、1)同一の複数の商品にそれぞれ温度を設定した多点温度の試験を同時に行い、しかも広範囲な温度変化をさせた試験を行ないたい、2)試料としての商品を、非破壊かつ非接触で温度試験を行ないたい、3)試料としての商品を、缶体やペットボトルなどの既存の容器に封入した状態で温度試験を行ないたい、4)ロット生産された商品に対する品質検査を、迅速に行ないたいなどの要請があった。特に、食品業界では、商品の高品質化や品質の安定化の観点から商品の多面的な温度試験を短時間かつ低コストで行ないたいという要望が強く、各種の飲料などを缶体やペットボトルなどの容器に封入して販売する飲料業界では、商品の寿命サイクルが短縮されているので、前記の要望がより強い傾向がある。
しかし、上記の特許文献1の構成においては、試験の開始から終了まで、互いに異なる温度条件が設定された各チャンバー54内に収容された各試料の温度測定を、収容したまま経時的および同時的に行なう手段は搭載されていない。このため、所定時間毎にチャンバー54から各試料を取り出して試料の温度を測定することになり、人手や手間がかかり、温度の測定のために時間的かつ場所的に制約される面や人件費などの運用コストの面で好ましくない。また、取り出した試料の温度測定を短時間で実行しても、チャンバー54内の恒常的な温度環境を維持する面では好ましくなく、精密な試料の検査が行ないにくいという不都合もあった。
これらの結果、試験用に多数の要員が必要で人員コストが増加したり、試験回数が増加して試験として長期間が必要になったりするので、近年の温度試験に対する要請に充分に答えられない。
そこでこの発明は、従来の装置の問題点を解決し、試料に対して設定した多様な温度条件の試験を同時かつ並列的に行なえ、試験に要するコストを削減できる複数の測定が可能な恒温槽装置を提供することを課題とする。
前記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、周囲側面に熱絶縁性材を用いて密封された槽を形成し、この槽内の空気を撹拌するファンと第1温度制御手段によって制御される冷却器とを具えた恒温槽装置において、前側面が熱絶縁性材で構成され、他側面は熱伝導性材で構成されたチャンバーを、前記前側面を槽の1側面に位置させてその槽内部に複数個装着し、これらのチャンバー相互間及び他の側面間に間隙を形成して槽内にエアジャケットを形成し、前記各チャンバーは、それぞれ第2温度制御手段によって制御されるヒータと、試料を収容する複数の容器と、該容器内に収容した試料の温度を測定する温度測定手段とを有し、前記複数の容器は、1つが温度補償用の容器となって、該温度補償用の容器を基準として他の容器が等距離に配置されており、前記温度測定手段により温度補償用の容器内の試料の温度とそれ以外の容器内の試料の温度の差を測定することにより、所定の温度試験条件下における試料自体の内部的な要因による前記容器内の試料の実質的な温度変化を求めることを特徴とする。
請求項2に記載の発明は、請求項1において、前記第1温度制御手段の設定温度は、前記試料の試験温度として設定された温度以下に設定され、前記各チャンバーの温度は、第2温度制御手段が、第1温度制御手段の設定温度との温度差を補償するようにそれぞれチャンバーのヒータを制御して、各チャンバーの温度をそれぞれ所望に設定している。
請求項3に記載の発明は、温度試験装置であって、前記請求項1または2記載の恒温槽装置を具えている。
この発明によれば、試料に対して設定した多様な温度条件の試験を同時かつ並列的に行なえるので、試験に要する時間的および費用的なコストの削減が可能となる。すなわち、それぞれに異なる温度条件を設定した各チャンバーに同一の試料を収容し、各試料に温度測定手段を設置して各試料の温度を測定する試験を行なうことにより、この装置として1回の試験回数で、1つの種類の試料に対して複数の温度条件の試験を同時平行的に行なえる。
この発明の実施の形態を、添付図面を参照して説明する。
この発明の実施形態を図面により説明する。図1は、この温度試験装置の全体構成を示すブロック図であり、図2(a)〜(c)は、それぞれ温度試験装置が有した恒温槽装置を示す左側面図、正面図、右側面図であり、図3は、恒温槽装置内の通流状態を示す概略図であり、図4(a)〜(b)は、それぞれ恒温槽装置が有した測定ユニットを示す平面図、側面図であり、同図4(c)〜(d)は、測定ユニットに配置された容器の詳細を示す平面図、縦断面図である。なお、この発明の実施形態において、図12に示した従来の構成と同様な部分については同一の符号を附して説明を簡略化または省略し、主として異なる部分について説明する。
温度試験装置1は、図1に示すように、試料を収容して互いに独立して安定した個別の温度に設定が可能な複数のチャンバー4を有した恒温槽装置2と、各試料の測定した温度を測定データとして記録し所定に処理して解析したり解析結果を所定の手段で出力したりする処理装置3とを具えており、恒温槽装置2は、各チャンバー4にそれぞれ試料数に応じた複数の温度測定手段を有して、各チャンバー4内に収容したすべての試料の個数に対応して複数箇所の同時かつ継続的な温度測定を可能にしている。
すなわち、処理装置3は、恒温槽装置2から伝送された試料の温度測定信号を所定に変換するインターフェイス3Aと、この変換された温度測定信号を測定データとして記録し、予め用意されたソフトウエア・プログラムに従って所定に処理するコンピュータ3Bと、このコンピュータが処理した測定データをグラフ表示したり数値として表示したりするディスプレイ3Cと、前記の測定データを所定の形式で記録紙に印刷するプリンタ3Dとを有し、これら2、3A〜3Dは、コードなどによって、図示したように順次、所定に電気的に接続されている。すなわち、インターフェイス3Aは、恒温槽装置2から伝送された試料の温度や制御用の温度を測定した信号をコンピュータ用のデジタル信号に変換してコンピュータ3Bに送ったり、コンピュータ3Bからの各種の制御用の指令信号などを所定に変換して恒温槽装置2に送ったりしている。
恒温槽装置2は、図2(a)〜(b)に示すように、上下方向に3段で各段に2個配置された6個のチャンバー4を有しており、これらのチャンバー4を個別に所定の温度条件に設定し、各チャンバー4に試料を収容して各試料の温度を測定するようにしている。すなわち、この恒温槽装置2は、周囲側面52に熱絶縁性材を用いて密封した槽53と、この槽53内の空気を冷却媒体として循環通流させるファン6と、冷却器7と、この冷却器7を制御して前記冷却媒体としての空気の温度を所定の温度に調整して設定する第1温度制御手段とを具えた恒温槽装置2であって、前記槽53内部に、試料を収容するための複数個のチャンバー4を有し、これらのチャンバー4は、前面9が熱絶縁性材で、それ以外の面10が熱伝導性材で構成され、前記前面9が槽53の1側面となるように、かつチャンバー4相互間及びそれ以外の他の側面間に間隙21を設けるようにして前記槽53に装着され、前記間隙21に空気を循環通流させてエアジャケット20を形成しており、各チャンバー4,4は、それぞれチャンバー4内の温度を所定の温度に調整して設定する第2温度制御手段と、チャンバー4内の試料の温度を測定する温度測定手段33とを有した構成とされている。
チャンバー4は、密閉性を有した略箱形状に形成され、その前側面9が熱絶縁性材を用いて扉部として開閉又は着脱自在に装着し、その他の側面10が熱伝導性材を用いた構成とされている。また、例えばチャンバー4は、これらの部材9,10によって、高さおよび横幅が40cmで、奥行きが35cm程度の密閉された内部空間を形成している。チャンバー4は、その前側面9を恒温槽装置2としての前面に位置させて、チャンバー4を槽内部に多段又は多段多連に所定に配設して複数個装着している。すなわち、これらのチャンバー4は、チャンバー4相互間及び恒温槽装置2の他の側面52間に図2(a),(c)に示されるように冷風が通流可能な間隙21を形成するようにして装着され、槽内3に形成したこの間隙21に冷風を循環送流してエアジャケット20を形成している。またこれらの複数のチャンバー4には、それぞれ第2温度制御手段によって制御されるヒータ5を有している。このヒータ5は、チャンバー4の基底部に設けられている。また、エアジャケット20が通流される適宜箇所には、エアジャケット20として循環通流される冷却媒体としての冷風温度測定が可能な図示しない測定手段が設けられ、この測定手段が測定した実際の冷風の温度に基づき、冷却器7の冷却動作を制御して、冷風の温度を所定の目標温度に保つようにしている。
なお、図2(c)中に示された53aは、扉部としての各チャンバー4の前側面9に対応して、それぞれ槽53側に開閉可能に設けられた外扉部であり、チャンバー4に対して内扉部とした前側面9と外扉部53aとからなる2重扉を形成するようにしている。したがって、前側面9を各チャンバー4の単体の扉部とした構成に比べて、2重扉の構成にしているので、遮蔽効果つまり断熱効果をより高めることができる。他方、あるチャンバー4内に試料を収容や取り出したりするために、これらの前側面9および外扉部53aを開いた場合には、外部からチャンバー4内に至る経路に奥行きを確保できるので、チャンバー4内の温度環境の拡散や、チャンバー4内外気の交換を最少限に留めて、チャンバー4内の温度環境を変動させることなく安定化が図れる。また、これに加えて、このように2重扉を構成した場合に、前側面9を熱伝導性材で構成し、外扉部53aと前側面9との間に所定に間隙を形成し、この間隙に冷風を通流したエアジャケット20を形成してもよい。したがって、この構成によれば、固定部材としての外扉部53aによる断熱効果に加えて、エアジャケット20による遮熱効果が得られる。他方、この前側面9が、新たにエアジャケット20によるチャンバー4に対する温度設定用の接触面積となり、接触面積を拡大できるので、チャンバー4に対してエアジャケット20が供給する基準となる温度をより安定して確保できる。また、ヒータ5は、チャンバー4の基底部に限られることなく、チャンバー4の側面部に設けてもよい。またチャンバー4内に図示しないファンを設け、このファンによってチャンバー4内の空気を撹拌することにより、チャンバー4内の全域で温度を速やかに均一にするようにしてもよい。さらに各チャンバー4内に図示しない光源を設け、その光源をプログラム制御して所定に設定した明暗サイクルの環境、つまり日長時間の環境調節を自由に設定できるように構成してもよい。したがって、このように構成した場合には、温度条件に加えて、昼夜サイクルの条件を任意に設定できるので、日照時間の影響を受ける植物や細菌などの生物を試料として用いた試験に好ましいものとなる。
各チャンバー4の温度は、第2温度制御手段によってそれぞれ所望の温度に設定できるようにしている。すなわち、冷却器7によるエアジャケット20の温度は、第2温度制御手段からの情報出力が入力された第1温度制御手段によって、各チャンバー4に設定された必要最低温度以下になるように設定される。つまり、第1温度制御手段は、各チャンバー4毎に設けられた第2温度制御手段に設定した所望の温度のうち、最も低い温度を選択し、この選択した温度以下に制御目標としての目標温度を設定し、この目標温度にエアジャケット20の温度がなるように、冷却器7の冷却動作を制御する。また、各チャンバー4の温度は、第2温度制御手段に設定された温度と目標温度との温度差を補償するようにして第2温度制御手段によってそれぞれ制御される。すなわち、第2温度制御手段は、前記の温度差を保持するように、ヒータ5の発熱動作を制御する。なお、この第2温度制御手段の温度設定は、前面に設けられた操作パネル8に設置されたノブなどのスイッチを操作することによって、任意の温度制御パターンを予め入力して設定しておくことができる。または、第2温度制御手段は、外部からプログラムチャートに従って送信された制御信号に基づき動作が制御され、このプログラムチャートには、予め任意の温度制御パターンが記録されている。また、上記の第1,第2温度制御手段は、処理装置3のコンピュータ3Bによって構成されている。
したがって、このように構成された恒温槽装置2では、図3に示すように、冷却器7によって所定の温度に調整された冷風が、ファン6によって一定の方向に送給され、各チャンバー4の他側面10に接しながら、槽53内を循環通流したエアジャケット20を形成する。すなわち、槽53内の奥側に設置された冷却器7の直上に、その送風方向を上方に向けたファン6が設置されており、また槽53内の適宜、所定箇所には、その送風方向を所定に水平方向に向けた中間ファン6aが設置されている。したがって、ファン6が送給した冷風は、中間ファン6aによって、上下方向の各チャンバー4同士の間隙やチャンバー4と槽53との間の間隙に分流されて、槽53内の特定のチャンバー4に片寄ることなく、すべてのチャンバー4の周囲側面に接触しながら通流して、冷却器7に還流される。このため、この恒温槽装置2によれば、各チャンバー4内は、冷却されたエアジャケット20を最低限の冷却源として熱伝導性材の他側面10から熱伝導によりエアジャケット20の温度で冷却されるとともに、第2温度制御手段が、設定された所望の温度の入力信号に対応してそれぞれのヒータ5を発熱させているので、エアジャケット20の温度との温度差を補償するようにヒータ5で加熱される。この結果、各チャンバー4内を、自然環境に近い状態の所望の恒温環境条件に設定することができる。すなわち、チャンバー4内における熱エネルギの収支をバランスさせて、チャンバー4内の温度を精密に設定できる。しかも、基準としたエアジャケット20の温度に対して、比較的に小容量の容積を有して区切られた小室としての各チャンバー4内を、それぞれ専用のヒータ5で加温しているので、チャンバー4内の温度制御がしやすくなる。このため、各チャンバー4内の温度は、チャンバー4,4同士の互いの温度的な干渉を排除してそれぞれのチャンバー4を独立させながら、高精度に所要の温度に設定できる。
また、チャンバー4の内部に、乾燥した冷風が通風されないので、各チャンバー4内が除湿されることがない。このため、試料としての被試験体や、試料用の培養液、培養基などが乾燥することがなく、自然に極めて近い状態で試験を行うことができる。また各チャンバー4は相互に隔絶され、これらの間に空気の交換が行われないので、空気を媒介経路とした植物、動物、微生物の相互汚染を生じることがない。したがって、この装置によって得られる試験結果の信頼性を向上できる。さらに各チャンバー4は、これらを包囲する部材として分厚い断熱層を設けなくて済むので、チャンバー4としての内部スペースをそれだけ広くとれる。他方、このように部材としての断熱層が不要となり、装置としての内部空間の利用効率が高いので、装置全体をコンパクト化できる。このため、装置を製作する材料の節減や省スペース化が図れる。これらの結果、ローコストな恒温槽装置2とすることができる。
また例えば、槽内部に設置した複数個のチャンバー4の温度を、それぞれ約5℃から50℃までの範囲で互いに異なる温度に設定したい場合には、エアージャケット20の温度を0℃に保持することにより、それぞれのチャンバー4に所望の温度を設定することができる。したがって、生物の発芽、長時間の培養、飼育などのように、試験開始から終了までに長時間が必要な研究の場合にも、様々に異なる温度条件を設定した対比試料を比較評価する研究を効率的に行なえ、しかもこれらの試験研究を同時に並列的に行うことができる。このため、試験回数として1回の試験で、比較評価した研究結果を得ることができ、この研究成果としての信頼度も高くなる。すなわち、複数の試験回数に分けて試験を行なう場合には、各回で微妙に条件が異なり、試験結果に影響を与えることが予想されるのに対して、この構成によれば、1回の試験で済むので、前記の影響をまったく回避することができる。この結果、試験の信頼度を高めながら、試験研究を実施するスピードアップを達成することができる。
なお、チャンバー4の前側面9に、透明性を有した又は不透明性を有した熱絶縁性部材によって形成してもよい。したがって、熱絶縁性材として透明性を有する部材を使用した場合には、前側面9を観察窓として用いることができる、すなわち、この部材がチャンバー4内の定温性を保ちながら、前側面9を開くことなくチャンバー4の内部を観察できるので、試験装置としての使い勝手を向上できる。他方、不透明性を有する部材を使用した場合には、外部からチャンバー4内への入射光を遮蔽できるので、チャンバー4内に光源を設置し、この光源を用いて所定の明暗サイクルの環境、つまり日長時間の環境調節を任意に設定した試験を行なうことができる。
また、恒温槽装置2は、試料の微細な温度変化を測定するための専用の補助用具として、チャンバー4に収容および取り出し可能な測定ユニット30を具えている。すなわち、この測定ユニット30は、図4(a)〜(b)に示すように、基台としてのベース部材31と、このベース部材31の上面の所定箇所に固定配置された複数の容器32,32と、これらの容器32,32の底部にそれぞれ設けられた温度測定素子33,33とを有しており、各容器32に試料を格納したこの図には図示されない試料セルを収容し、各容器32の温度測定素子33によって、各試料の温度変化を精密測定するようにしている。
このベース部材31は、熱伝導性に優れた軽量なアルミニウム合金を用いて、平面形状がチャンバー4の床面形状よりも所定に小さい正方形状に形成され、所定の熱容量を確保できる厚さを有している。すなわち、このベース部材31には、予測される試料からの熱を安定して吸収できる熱容量つまり充分な容積を確保するための厚さ寸法が設定されている。また、31aは、ベース部材31の底面の四隅に設けられた脚部を示し、この脚部31aは、熱伝導性の低い材料を用いて形成され、この脚部31aによって、ベース部材31の下面をチャンバー4の床面に接することなく、所定間隙を形成してベース部材31を支持するようにしている。したがって、試料からベース部材31に伝導したチャンバー4内の室温よりも高い熱は、ベース部材31の下面に到達し、この下面に所定距離を有して対向したチャンバー4の床面側に、放散される。すなわち、この床面は、チャンバー4の周囲を通流形成したエアジャケット20によって、室温よりも低い温度に設定されているので、ベース部材31に熱が滞留することなく放散され、ベース部材31全体としては、安定して室内温度つまりチャンバー4に設定した温度に維持される。他方、このように構成されたベース部材31によって、ベース部材31の上面に設置された容器32つまり容器32内に直接または測定セルを介して収納された試料に対して、床面からの熱的な影響を遮断できる。
容器32は、図4(c)〜(d)に示すように、略中空円筒状に形成され、ベース部材31の所定箇所に直立して固定されている。この容器32は、直径が約80mmで高さが約220mmの密閉空間を形成している。容器32の上部は、蓋部32aにより開放可能に閉止され、この蓋部32aを外して開放した開口を介して、容器32内に試料を直接または試料を格納した試料セルを出し入れ可能にしている。容器32の下部は、ベース部材31の上面に対して開口して開放され、この開口には、優れた熱伝導性を有した受け皿32bが設けられている。この受け皿32bとベース部材31の上面との間には、略薄板矩形状の温度測定素子33が介装されている。すなわち、この温度測定素子33は、受け皿32bの平面視で略中央に位置し、これらの両者32b,31に密着して面接触するように配置されている。また、温度測定素子33とベース部材31の上面との間には、図示しない約5mm厚さのアルミ板が介装されており、このアルミ板によって、温度測定素子33を固定する手段として接着剤を用いた場合にも、アルミ板ごと取外し易くするとともに、温度測定素子33からベース部材31への熱伝導用の接触面積を温度測定素子33単体よりも拡大し、スムーズな熱の流れを確保するようにしている。
この温度測定素子33は、微小な温度変化を電気的に測定可能な高感度の素子が用いられ、この素子としては、例えば半導体素子であるペルチエ素子や熱電対測定素子を適用可能であり、この素子は、測定対象の微小な温度変化を電圧の電位変化として出力する素子である。
このように構成された容器32が、ベース部材31上に複数個、固定されており、この容器32の個数に応じて、予め相互の間隔距離が等しくなるようにベース部材31上に配置された測定ユニット30が予め用意されている。すなわち、図5(a)〜(d)に示すように、それぞれの測定ユニット30には、ベース部材31の平面における中心を基準として、各容器32が対称的に配置されている。なお、各図中にRが附されて示された容器32は、各試料の温度測定時における測定値の温度補償用に用いられる容器である。すなわち、温度補償用の容器を用いて、試験対象の試料が2つ以上の場合には、温度補償用の容器を中心に設置され、この中心を囲んだ周囲に、これ以外の試料用の容器が点対称に配置された測定ユニット30を使用する。特に、容器32の個数が4個以上の場合には、平面視におけるベース部材31の中心と隣接した2つの容器32の中心とを結んで形成した三角形は、必ず同一の寸法及び形状となっている。したがって、1つのチャンバ4内で複数個の試料を試験対象として測定する場合に、相互の間隔距離を等しくしているので、これらの各試料を収納した試験用セル同士が互いに影響を及ぼさないようにできる。
すなわち、これらの測定ユニット30において、例えば温度補償用の1つの容器32と、4つの試料温度測定用の容器を用いて試験する場合には、図6に示すように、これらの各容器32に設置された温度測定素子33が配線接続され、各容器32の試料の温度が、温度測定素子33の一方の端子から、温度補償用の温度測定素子33との差分電圧として出力されるように構成されている。すなわち、これらの温度測定素子33は2つの端子を有し、ベース部材31の中央に配置された温度補償用の温度を測定する温度測定素子33の一方の端子は、単一の共用線に接続され、この共用線には、試料温度測定用の各温度測定素子33の一方の端子が接続されている。また、これらの温度補償用および試料温度測定用の温度測定素子33の他方の端子は、個別に処理装置3に至るように配線され接続されている。すなわち、各チャンバー4内の所定箇所には、室内の温度測定素子33の合計端子数に応じた接続端子を有した図示しない内部コネクタなどが予め設けられ、温度測定素子33の端子をワンタッチで接続可能にしており、この内部コネクタは恒温槽装置2内を所定に配線されて、恒温槽装置2の外面に設けられた図示しない外部コネクタに接続されている。したがって、この外部コネクタに、処理装置3のインターフェイス3Aに接続された専用コードなどを接続することにより、インターフェイス3Aを介して、温度補償用および試料温度測定用の温度測定素子33からの測定信号が個別にコンピュータ3Bに到達するように構成されている。なお、同図中の右側のチャンバー4の列に設けた構成として示した配線構成と、同様な配線構成が左側のチャンバー4の列にも予め設けられている。
したがって、このように構成された測定ユニット30によれば、各容器32の相互の間隔距離が等しいことから、各容器32に収納された試料に対する相互の干渉が片寄ることが解消され、しかも各容器32に対して最も近いチャンバー4の側壁面との間隔距離も等しくなるので、各容器32が側壁面から受ける温度的な影響も等しくなり、各容器32の条件を同一に揃えることができ、この結果として精密な試料の温度測定が可能となる。他方、試料または試料を格納したセルを、容器32の底部に設けられた受け皿32bに載置して容器32内に収納することにより、試料から生じた熱が移動する伝達経路を、受け皿32bからベース部材31への経路に集約させて限定し、しかもこの経路の途中に熱が伝達されて通過する部材としての温度測定素子33を介装しているので、試料の微細な温度変化を高精度に測定することができる。これに加えて、各容器内またはセル内の試料は、互いに所定間隙距離を有して隣接した試料同士が熱変化による影響を僅かでも及ぼしあうが、温度補償用の測定を行なうことにより、この互いに隣接したもの同士の相互の影響を解消するようにしている。例えば測定用セル内の試料と温度補償用の比較用セル内の試料との温度差を測定することにより、互いに隣接するもの同士の影響を解消できる。すなわち、試料の温度測定値から、この試料または隣接した試料の熱的な影響を受けた温度補償用の試料を測定した温度測定値を差し引くことにより、該試料の熱的な影響を受けない測定値を求めることができる。換言すれば、前記のようにして熱的な影響を受けた分の測定値を特定し、この特定した熱的な影響分の測定値を、試料を測定した温度から差し引くことにより、所定の温度試験条件下における試料自体の内部的な要因による試料の実質的な熱変化(温度変化)を正確に測定できるようにしている。
次に、上記の構成の温度試験装置1の第1の使用例を図7に基づき説明する。すなわち、この温度試験装置1を、ある試料の試験方法として使用した例を説明する。この例では、試料の温度測定手段として白金抵抗体素子を用いている。まず、断熱されたエアジャケット20自体の温度制御精度を所定に調整する。次に、個別のチャンバー4A,B内の温度制御精度を所定に調整する。すなわち、各室としてのチャンバー4A,B内にそれぞれ、室内温度測定用の白金抵抗体素子C1,D1を室内に露出させて設け、これらの白金抵抗体素子C1,D1による温度測定によって、各室チャンバー4A,B内の温度制御特性を調べて、この制御特性に応じた温度補正用のデータを収集し、この補正データを用いて充分な温度制御精度を得るように調整する。次に、各チャンバー4A,B内を個別の温度に設定し、各チャンバー4A,B内にそれぞれ図示しない試料を収納した測定セルA2,B2を収容する。次に、各測定セルA2,B2内にそれぞれ試料温度測定用の白金抵抗体素子C2,D2を挿入し、または測定セルA2,B2の外面に白金抵抗体素子C2,D2を密着させて装着し、白金抵抗体素子C2,D2を各試料の温度測定用にセットする。すなわち、前者では、白金抵抗体素子C2,D2を測定セルA2,B2内の試料に接してセットし、後者では、測定セルA2,B2内の試料にセル側壁を介して接するように白金抵抗体素子C2,D2をセットする。
そして、チャンバー4A,B内の室内温度測定用の白金抵抗体素子C1,D1と、試料に装着した試料温度測定用の白金抵抗体素子C2,D2との温度差を、所定に算出可能な処理装置3によって、時間経過に伴う各試料の温度変化のグラフ表示、数値計算表示を行なう。
なお、試料を収納した測定セルA2,B2は、図示しない保持具によって、チャンバー4A,Bの床面や側壁面に接することなく、床面や側壁から所定距離、離れて支持され、または所定に熱的に遮蔽されて保持されている。したがって、測定セルA2,B2の試料は、チャンバー4A,B床面や側壁からエアジャケット20による温度の影響を受けることなく、各チャンバー4A,B内に設定した室温つまり試験温度の影響だけを受けるようにしている。また、各チャンバー4A,B内の試料の個数を増加する場合には、また別の上記の白金抵抗体素子の組み合わせを増すことが可能である。さらに、この試験方法を適用する対象は、試験の目的や試験結果として比較的に測定する温度精度を要求しない場合において、有効である。
さらに、上記の構成の温度試験装置1の第2の使用例を図8に基づき説明する。すなわち、この温度試験装置1を、ある試料の評定方法として使用した例を説明する。この例では、試料の温度測定手段として熱電対測定素子を用いている。なお、この例でも、測定セルA2,B2は、上記の第1の例と同様に図示しない保持具によって、支持または保持されている。まず、上記の第1の使用例と同様にして、エアジャケット20と、各チャンバー4A,B内の温度制御精度、特性を調べ調整した上で、各チャンバー4A,B内の温度を任意の温度に調整する。次に、各試料のリファレンスとなる温度補償セルE1を、図示したように温度測定ラインに直列接続する。すなわち、図の上部に示したように、試料を格納した測定セルA1と同一のチャンバー4A内に、リファレンス(温度補償用)セルE1を配置し、このセルE1に測定セルA2にセットした熱電対測定素子F1と同様にして熱電対測定素子F2をセットし、この熱電対測定素子F2の一方の端子を、測定セルA2にセットした熱電対測定素子の出力端子に接続し、他方の端子を温度測定ラインに接続する。つまり熱電対測定素子F1自体を測定セルA2内の試料に接するようにして、または試料の近傍に位置した測定セルA2の内壁に接するようにして、測定セルA2に熱電対測定素子F1をセットする。同様に、熱電対測定素子F2自体をリファレンスセルE1内の温度補償用の試料に接するようにして、またはこの試料の近傍に位置したリファレンスセルE1の内壁に接するようにして、熱電対測定素子F2をリファレンスセルE1にセットする。なお、図の下部に示したように、測定セルA1を収容したチャンバー4Aの外側に、同様に接続した温度補償セルE10を配置し、この温度補償セルE1の周囲を断熱層E11によって包み込んでもよい。これらのいずれかを、ある試料を評定する目的などに応じて選択する。なお、試料が多数の場合には、上記の図6に示した構成のように、1つの温度補償セルE1で、兼用する。したがって、この評定方法も、試料に依存して適用できるが、試料に熱電対測定素子を装着する方法を工夫することにより、試料に依存する制約を解消して測定できる。
なお、試験対象としての試料が、微生物などの生物の場合には、この試料に必要な培養液や、培養基だけを収納した測定セルを温度補償セルE1とする。すなわち、温度試験装置1として、生物の生体活動に伴う生成熱つまり発生熱量を計測する場合に、温度補償用に生体活動がない培養液や、培養基の温度を同時に測定して、各試料の測定値を補正する。したがって、この場合には、測定セルに格納された状態の試料に対して、容器としての測定セルが与える影響を計測して測定値を補償できるので、充分な測定精度が得られる。このため、試料から発生する微小な熱量を測定して、試料に含まれた微生物の有無を検出したり、測定された熱量に基づき試料中の微生物の代謝活動つまり活性状態を推測して微生物の活性状態を測定できる。なお、温度試験装置1は、このように試料からの微小な熱量を測定できるので、微生物の以外のウイルスや、細菌類、真菌類、藻類、植物類、動物類の細胞の検出や活性の測定にも当然、利用できる。
さらに、上記の構成の温度試験装置1の第3の使用例を図9,10に基づき説明する。すなわち、この温度試験装置1を、ある試料の評定方法として使用した例を説明する。この例では、上記した測定ユニット30を用いており、温度測定手段としてはこの測定ユニット30に予め設けられたペルチエ素子などの高感度の半導体素子である温度測定素子33を用いている。まず、上記の第1の使用例と同様にして、断熱されたエアジャケット20自体の温度制御、精度を所定に調整する。次に、測定ユニット30を用いて、各試料を温度試験用にセットする。すなわち、測定ユニット30つまりアルミブロック製のベース部材31をチャンバー4A,B内に格納し、このベース部材31の上に乗せるように、測定用セルA2,B2を測定用の容器32A,32Bに、比較用セルE1を比較用容器(リファレンス)32Eに収納してセットする。この際に、チャンバー4A,Bの床面中心に、ベース部材31の平面中心を一致させてベース部材31を設置する。また、各容器32A,32B,32E内の受け皿32bに、それぞれ測定用セルA2,B2および比較用セルE1の底面が密着するように載置する。
なお、各容器32A,32B,32E内に、試料または比較用試料を格納したセルA2,B2,E1を収納して試験を行なう場合には、少なくとも各セルA2,B2,E1の底部は、熱伝導性のよい薄い肉厚か、各セル自体が熱伝導性の良好な材料で形成されているものとする。これに加えて、この場合には、これらの試料または比較用試料を格納したセルA2,B2,E1が周囲の容器32A,32B,32Eの側壁に接しないことが好ましく、これらのセルA2,B2,E1は、容器32A,32B,32Eの内径よりも所定に小さい外径の円筒形状の容器であるものが最適となる。すなわち、セルがこの構成の場合には、セルの周囲と容器と間の全周囲に渡って常に一定の間隙が確保されているので、より容器32A,32B,32Eによる熱的な遮蔽効果が片寄ることなく、遮蔽効果を高めることができる。このため、隣接した試料同士の熱的な変化が、互いに影響を及ぼすことをより一層回避できる。この結果、より試料に生じた熱変化の高精度な測定が可能となる。しかも、セルを円筒形状の容器とした場合には、上記の間隙を確保しながら、セルとして受け皿32bとの接触面積を可能な限り最大限にできるので、試料に生じた熱を安定して受け皿32bおよび温度測定素子33を介してベース部材31に伝導させることができる。したがって、高精度な測定に加えて安定した測定が可能となる。
したがって、各試料の温度を測定して、処理装置3により記録し所定に処理して、図11に示すように、各試料の微小な温度変化を同時且つ継続的に示したグラフを、ディスプレイ3Cに表示させることができる。すなわち、このディスプレイ3Cには、6つの各チャンバー4に対応して分図としての6つのグラフが表示され、これらの各グラフには、それぞれ各チャンバー4に収容された4つの試料の微小な温度変化が、グラフ曲線として描かれる。すなわち、総計24個の試料に対応した24本のグラフ曲線が描かれている。これらの各グラフの横軸としては、試験の開始からの経過時間を示した時間軸が採られ、縦軸は、マイクロ・オーダの電圧値が採られており、前記の経過時間内における特定の時点での試料の計測した温度として微小な差分電圧値が示されている。したがって、これらの各グラフ総体として、横軸上に0:00で示された試験の開始時点から、48:00で示された時点または現時点までのすべての試料の温度変化の過程を、一括して把握することができる。また、この各グラフの縦軸に電圧値を採用し、何ら処理を加えることなく、実測値であり生データとしての差分電圧値を表示するようにしているので、より試料の微妙な変化を直接的に、そのまま把握できるようにしている一方、何らかの機械装置的な要因による測定誤差を推定して把握しやすくしている。
なお、上記のように試料の温度を測定する前までに、予めセルと試料と容器32に固有な温度特性を把握している。すなわち、ある一定の温度にした無菌水または滅菌した試料を封入したセルを、チャンバー4内に収容して、温度測定できるようにセットし、例えば実際の実験とほぼ同一な条件にチャンバー4内の環境温度を設定して温度測定を開始し、この開始から時間経過に伴う温度を測定することにより、この環境温度での無菌水または滅菌した試料の温度が低下するなどの変化していく過程を記録して分析し、この過程の分析からセルと試料と容器32に固有な温度特性を示した値にパラメータ化する。したがって、測定に影響を与えるセルと試料と容器32との組み合わせに固有な温度特性を予めパラメータ化しているので、このパラメータを用いて試料の温度測定値を補正することにより、試料の測定精度を向上させることができる。
以上のように、この実施形態の恒温槽装置を具えた温度試験装置によれば、複数の試料に対して設定した多様な温度条件の試験を同時かつ並列的に行なえるので、試験に要する時間的および費用的なコストを削減できる。すなわち、温度試験装置は、それぞれに異なる温度条件を設定した各チャンバーに同一の試料を収容して各温度条件下における時間経過に伴なう試料の温度変化を測定する温度試験を行なうことにより、この装置として1回の試験回数で、1つの種類の試料に対して複数の温度条件の試験を行なえる。
このため、単一のチャンバーを有した恒温槽装置や温度試験装置を、複数の温度条件で試料の変化を比較する試験に用いた場合には、異なる温度条件を設定した試験を繰り返して行なうことから、試験回数が増加して試験全体として長期間が必要になるのに対して、この恒温槽装置や温度試験装置によれば、チャンバー数に応じた数の温度条件を設定した試験を行なえるので、試験回数を減少でき、試験期間を大幅に短縮できる。このため、時間的なコストを削減できる。
他方、前記の異なる温度条件を設定した試験を、それぞれに温度条件を設定した複数台数の装置を用いて行なう場合には、必要な装置の台数が増加して、試験設備としての投資コストが増大するのに対して、この実施形態の恒温槽装置や温度試験装置では、前記したように、チャンバー数に応じた温度条件数の試験を一括して行なえるので、大幅に少ない装置数で済み、前記の投資コストを抑制できる。このため、費用的なコストを削減できる。
また、単一の装置を用いて上記のように異なる温度条件を設定して繰り返して試験を行なった場合には、各条件の試験が時間的に異なってしまうことから、異なる温度条件をそれぞれ設定した複数台数の装置を用いて試験を行なった場合には、各装置に固有な個体差としての機差が生じていることから、いずれにしても温度を含めた環境条件を同一に揃えることが困難なので、測定精度への影響が生じて、厳密な試験が困難となるのに対して、この恒温槽装置や温度試験装置によれば、同時かつ並列的に、しかも単一の装置で、前記の異なる温度条件を各チャンバーに設定して一括した試験を行なえるので、前記のように単一または複数台数の装置を用いた場合に生じる前記した問題を未然に解消できる。
さらに、各チャンバーに収容された試料毎に個別の温度測定手段を設けて配置しているので、チャンバーから各試料を取り出して試料の温度を測定せずに済む。このため、チャンバー内の恒常的な温度環境を安定して維持でき、精密な試料の温度測定が可能となる。他方、温度試験装置が有した処理装置によって、試料の温度測定や測定した温度の記録を自動化かつ無人化できる。このため、試料温度の測定のために時間的かつ場所的に制約されずに済み、試験を実施するための運用コストを削減でき、低コスト化や省力化を図れる。これらの結果、迅速且つ効率的に試料の多様な温度試験を行なうことができる。これに加えて、異なる種類の試料でも、温度試験としての条件が重複する場合には、重複した条件に設定したチャンバーを相互利用して、より試験全体としての効率のアップを図ることができる。このため、温度試験の条件や計画の策定の仕方によっては、異なる種類の試料でも、これらのすべての試料の温度試験に要するコストを削減でき、大幅に効率やスピードアップを図ることができる。
したがって、この構成によれば、ある1つの種類の試料に対して異なる温度条件の試験を同時平行的に行なえ、しかもこのような試験に、温度条件が同一で互いに異なる種類の試料の試験も組み合わせて同時平行的に行なえるので、製品の完成後の品質試験器として、流通過程における輸送時や保管時の商品の安定試験として、開発研究のスピードアップとして、保存方法についての試験研究として、商品としての食品の賞味期限の策定においての保存方法についての試験研究として、防腐剤の効果を測定するの試験研究として、土壌、汚泥の測定、環境改善や、土壌改善処理後の評価試験として、食品、飲料品などの製品の試験として、小動物、昆虫の生理学的、薬理学的な試験として、生物製剤、化粧品、洗剤、機能性食品、健康食品などの製品の試験として、植物、種子などの生理学的、栄養学的、病理学的な試験研究として、果樹、野菜や青物などのそさい類、肥料、飼料などの試験の用途に最適となる。
すなわち特に、食品産業において容器に収納されて市場で販売される内容物としての商品単体での試験はもちろんのこと、商品を容器に入れた状態での試験も可能である。例えば、商品が飲用物の場合には、この温度試験装置によれば、500ml(ミリ・リットル)の缶体やペットボトルまでの大きさの容器を各チャンバーに直接収容して試験したり、測定ユニットの容器内に収納して微細な温度変化を把握して試験したりすることができる。
この発明の実施形態の温度試験装置を示し、温度試験装置の全体構成を示すブロック図である。 この実施形態の温度試験装置が有した恒温槽装置を示し、(a)は左側面図、(b)は正面図、(c)は右側面図である。 この実施形態の恒温槽装置内における冷風の通流状態を示す概略図である。 この実施形態の恒温槽装置が有した測定ユニットを示し、(a)は平面図、(b)は正面図、(c)は測定ユニットが有した容器の平面図、(d)は同容器の縦断面図である。 この実施形態の測定ユニットを示し、(a)〜(d)は、容器の個数が異なる場合におけるそれぞれの容器の配置を示した概略平面図である。 この実施形態の測定ユニットが有した温度測定素子の配線を示す概略図である。 この実施形態の温度試験装置を使用した第1の例を示す概略図である。 この実施形態の温度試験装置を使用した第2の例を示す概略図である。 この実施形態の温度試験装置を使用した第3の例を示す概略図である。 この実施形態の温度試験装置を使用した第3の例を示し、容器内部の詳細を示す概略断面図である。 この実施形態の温度試験装置により得られた試験結果を示すグラフである。 従来の恒温槽装置の内部の主要な構成を示す概略断面図である。
符号の説明
1 温度試験装置 2 恒温槽装置
3 処理装置 3A インターフェイス
3B コンピュータ 3C ディスプレイ
3D プリンタ 4 チャンバー
5 ヒータ 6 ファン
7 冷却器 8 操作パネル
9 前側面 10 他側面
20 エアジャケット 21 間隙
30 測定ユニット 31 ベース部材
31a ベース部材の脚部 32 測定ユニットの容器
32a 容器の蓋部 32b 容器内の受け皿
33,C2,D2,F1 試料用の温度測定素子(試料の温度を測定する温度測定手段)
52 恒温槽装置の周囲側面 53 恒温槽装置の槽

Claims (3)

  1. 周囲側面に熱絶縁性材を用いて密封された槽を形成し、この槽内の空気を撹拌するファンと第1温度制御手段によって制御される冷却器とを具えた恒温槽装置において、
    前側面が熱絶縁性材で構成され、他側面は熱伝導性材で構成されたチャンバーを、前記前側面を槽の1側面に位置させてその槽内部に複数個装着し、これらのチャンバー相互間及び他の側面間に間隙を形成して槽内にエアジャケットを形成し、
    前記各チャンバーは、それぞれ第2温度制御手段によって制御されるヒータと、試料を収容する複数の容器と、該容器内に収容した試料の温度を測定する温度測定手段とを有し、
    前記複数の容器は、1つが温度補償用の容器となって、該温度補償用の容器を基準として他の容器が等距離に配置されており、
    前記温度測定手段により温度補償用の容器内の試料の温度とそれ以外の容器内の試料の温度の差を測定することにより、所定の温度試験条件下における試料自体の内部的な要因による前記容器内の試料の実質的な温度変化を求めることを特徴とする恒温槽装置。
  2. 前記第1温度制御手段の設定温度は、前記試料の試験温度として設定された温度以下に設定され、前記各チャンバーの温度は、第2温度制御手段が、第1温度制御手段の設定温度との温度差を補償するようにそれぞれチャンバーのヒータを制御して、各チャンバーの温度をそれぞれ所望に設定している請求項1の恒温槽装置。
  3. 前記請求項1または2記載の恒温槽装置を具えたことを特徴とする温度試験装置。
JP2003361181A 2003-10-21 2003-10-21 恒温槽装置 Expired - Fee Related JP4183597B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003361181A JP4183597B2 (ja) 2003-10-21 2003-10-21 恒温槽装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2003361181A JP4183597B2 (ja) 2003-10-21 2003-10-21 恒温槽装置

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2005127753A JP2005127753A (ja) 2005-05-19
JP4183597B2 true JP4183597B2 (ja) 2008-11-19

Family

ID=34641248

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2003361181A Expired - Fee Related JP4183597B2 (ja) 2003-10-21 2003-10-21 恒温槽装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP4183597B2 (ja)

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109062277A (zh) * 2018-08-23 2018-12-21 珠海格力电器股份有限公司 食物的加热方法及装置、存储介质、处理器

Families Citing this family (13)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP4670439B2 (ja) * 2004-06-03 2011-04-13 ダイキン工業株式会社 温度制御方法及び温度制御装置
JP2010107270A (ja) * 2008-10-29 2010-05-13 Toyo Seiki Seisakusho:Kk クリープ試験機
JP5456600B2 (ja) * 2010-06-29 2014-04-02 エスペック株式会社 環境試験装置
JP2012228183A (ja) * 2011-04-22 2012-11-22 Npo Keihanna Bunka Gakujutsu Kyokai 生物活性測定装置および最小生育阻止濃度推定方法
KR101620535B1 (ko) * 2014-05-15 2016-05-23 한국기계연구원 수명시험용 에너지 절약형 항온 챔버
CN105300766B (zh) * 2015-11-04 2018-04-10 浙江大学 一种食品检测电子舌专用的循环水浴恒温槽
WO2017221591A1 (ja) * 2016-06-24 2017-12-28 学校法人 慶應義塾 細胞処理システム及び細胞供給方法
CN106680195B (zh) * 2017-03-27 2023-06-23 石家庄铁道大学 一种土工合成材料耐酸碱性能测试装置
JP7122843B2 (ja) * 2018-03-26 2022-08-22 エスペック株式会社 環境形成装置
JP6919900B2 (ja) * 2018-08-24 2021-08-18 スガ試験機株式会社 耐候性試験機
JP6948070B2 (ja) * 2018-08-24 2021-10-13 スガ試験機株式会社 耐候性試験機
JP6574297B1 (ja) * 2018-12-28 2019-09-11 株式会社カトー 試験槽装置
US11493550B2 (en) * 2019-12-11 2022-11-08 Micron Technology, Inc. Standalone thermal chamber for a temperature control component

Cited By (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN109062277A (zh) * 2018-08-23 2018-12-21 珠海格力电器股份有限公司 食物的加热方法及装置、存储介质、处理器

Also Published As

Publication number Publication date
JP2005127753A (ja) 2005-05-19

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP4183597B2 (ja) 恒温槽装置
CN111836683B (zh) 实验室调温装置和方法
JP2005261260A (ja) 微生物または細胞の検査装置及び検査方法
CN101421387A (zh) 多孔培养装置及使用该装置的分析方法
JP2009539104A (ja) 少なくとも1つの試料における熱流を測定するための装置、方法および容器アセンブリ
JP7411751B2 (ja) 培養容器ラック及び分析装置
RU2485463C1 (ru) Устройство для воздушного термостатирования калориметрической ячейки
JP3742894B2 (ja) 温度制御装置
US20220105483A1 (en) Method and device for controlling the temperature of reaction mixtures in an agitation operation
US7634330B2 (en) Temperature controlling method and temperature controller
CN110686793A (zh) 一种高通量检测昆虫过冷却点系统以及检测方法
Chen Development of a heat transfer model for plant tissue culture vessels
JP6437103B2 (ja) 感受性計測装置及び検査装置
FUJITA et al. Design and testing of a calorimeter for microbiological uses
CN108982283A (zh) 一种改进的果冻中水分检测的方法
JP2012228183A (ja) 生物活性測定装置および最小生育阻止濃度推定方法
CN203455299U (zh) 热流型差示扫描量热仪
Pugachuk et al. Experimental Research of Working Processes in the Thermal Unit of a Bacteriological Incubator
JPH0628599B2 (ja) 多試料微生物活性測定装置
US11702624B2 (en) System and method for monitoring and controlling conditions within a vessel
CN103160426B (zh) 一种pcr基因扩增仪模块机构
JPS6038645A (ja) 熱量計における恒温体
CN218755787U (zh) 一种微生物生长检测仪
JP5848020B2 (ja) 生物活性測定装置
Lamprecht et al. Calorimetry goes afield

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20060907

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20080522

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20080527

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20080711

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20080805

A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20080902

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110912

Year of fee payment: 3

R150 Certificate of patent or registration of utility model

Ref document number: 4183597

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R150

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20110912

Year of fee payment: 3

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20120912

Year of fee payment: 4

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

FPAY Renewal fee payment (event date is renewal date of database)

Free format text: PAYMENT UNTIL: 20130912

Year of fee payment: 5

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

R250 Receipt of annual fees

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R250

LAPS Cancellation because of no payment of annual fees