以下、本発明の実施の形態について、図面を参照して詳細に説明する。なお、説明は以下の順序で行う。
1.第1の実施の形態(容器の内容物の温度制御の例1:網目状の試料台を用いた場合)
2.第2の実施の形態(水平方向に回転可能な載置台を用いた耐候性試験の例)
3.第2の実施の形態の変形例
変形例1(上記載置台の突起が、個別に取り外し可能である場合の例)
変形例2(歯車等を用いて上記載置台を回転させる場合の例)
4.第3の実施の形態(容器の内容物の温度制御の例2:上記載置台を用いた場合)
5.その他の変形例
<1.第1の実施の形態>
[構成]
図1は、本発明の第1の実施の形態に係る耐候性試験機(耐候性試験機1)の概略構成例を、模式的に表したものである。また、図2は、図1に示した試験槽10内の詳細構成例を、模式的に斜視図で表したものである。
耐候性試験機1は、試験槽10内に配置された各種の材料からなる試料について、促進的環境条件下での耐候性試験を行うものである。なお、本実施の形態では、図1,図2に示したように、所定の容器9内に収容されている内容物(この例では液体90)を試料として、耐候性試験が行われるようになっている。ちなみに、このような容器9としては、例えば、化粧品等の容器や、飲料や調味料等のペットボトル容器およびガラス容器等が、挙げられる。
ここで、本実施の形態では、このような液体90が、本発明における「試料」および「内容物」の一具体例に対応している。
この耐候性試験機1は、図1,図2に示したように、温度および湿度等の調節が可能な試験槽10内に、光源11、一対の試料枠12a,12b、試料台13、温度センサ14および遮光板151を備えている。この耐候性試験機1はまた、図1に示したように、回転軸120、風路160、ヒータ161、冷却器162、送風機163、風向板164、湿度発生器165、乾球温度センサ171、湿球温度センサ172および制御部19を備えている。
光源11は、試験槽10内の中央付近に、Z軸方向に沿って延在するように配置されている。光源11は、試験槽10内において周囲に光Loutを放射するものである。この光源11は、例えば、キセノンアークランプ、サンシャインカーボンアークランプ、紫外線カーボンアークランプ、メタルハライドランプまたは紫外線蛍光ランプ等のランプ光源により構成されている。
試料枠12a,12bはそれぞれ、図1に示したように、試験槽10内において光源11が中心位置となるように配置された円環状の枠である。これらの試料枠12a,12bのうち、この例では特に試料枠12b上には、図1に示したように、後述する試料台13が設置されている(取り付けられている)。これらの試料枠12a,12bはそれぞれ、図1に示したように、回転軸120が回転方向R1に沿って回転することで、この回転方向R1と同じ向きの回転方向R2に沿って、光源11を中心(回転中心)とした一定速度での回転動作(X−Y平面内での水平方向に沿った回転動作)を行うようになっている。これにより図2に示したように、後述する試料台13、各容器9、温度センサ14および遮光板151もまた、光源11を中心として回転方向R2に沿った回転動作が行われるようになっている。
なお、このような試料枠12a,12bのうち、試料枠12bが、本発明における「試料枠」の一具体例に対応している。
試料台13は、例えば図2に示したように、複数の容器9を載置する試料台であり、各容器9内には前述したように、液体90が収容されている。この試料台13は、この例では図2に示したように、一対のリング状板131,132と、接続部材133と、温度調節機構134とを有している。
リング状板131,132はそれぞれ、水平面(X−Y平面)に沿ったリング状の平板である。このうち、リング状板132は図2に示したように、各容器9が載置される部分であると共に、多数の細孔を有する網目状構造となっており、後述する循環風Wcがこの網目状構造を通り抜けることが可能となっている。接続部材133は、リング状板131,132同士をZ軸方向に沿って接続する部材である。温度調節機構134は、リング状板132上に設けられており、例えば加熱装置や冷却装置等を用いて構成されている。このような温度調節機構134を用いることで、リング状板132上における各容器9内の液体90の温度が、個別に調節可能となっている。
ここで、この例では図2に示したように、複数の容器9のうちの選択された1つの容器9(容器9Aと称する)内に、後述する温度センサ14および遮光板151がそれぞれ、挿入配置されている。また、この例では図2に示したように、このような容器9A以外の他の容器(容器9Bと称する)には、温度センサ14および遮光板151のいずれもが、挿入配置されないようになっている。
温度センサ14は、この例では図2に示したように、上記した容器9A内の液体90(液体90Aと称する)の温度を検知するセンサである。このようにして温度センサ14によって検知された液体90(液体90A)の温度は、図1に示したように、検知温度Tdとして制御部19へと出力されるようになっている。
なお、このような液体90の検知温度Tdは、本発明における「内容物の温度」の一具体例に対応している。
遮光板151は、この例では図2に示したように、上記した容器9A内に挿入配置されている。具体的には、容器9A内において、温度センサ14よりも光源11側(前面側)の位置に、遮光板151が配置されている(図2参照)。このような遮光板151は、光源11から放射される光Loutを遮光することが可能となっている。
風路160は、試験槽10の内部と外部との間を循環する循環風Wcが通る経路である。具体的には、この例では図1に示したように、試験槽10の下方から流出された循環風Wcが、この風路160を通った後、試験槽10の上方へと再び流入するようになっている。なお、このような風路160内には、図1に示したように、ヒータ161、冷却器162および送風機163が、それぞれ配置されている。
ヒータ161は、風路160内を流れる循環風Wcの温度を上昇させる(加温する)ための装置である。冷却器162は、風路160内を流れる循環風Wcの温度を下降させる(降温する)ための装置である。送風機163は、循環風Wcを上記したようにして循環させるための装置である。
風向板164は、図1,図2に示したように、試験槽10内を流れる循環風Wcの風向を制御する機構である。具体的には、この例では図2に示したように、風向板164は、試験槽10内を流れる循環風Wcの風向きを、試料台13上の各容器9側へと向けさせるようになっている。
湿度発生器165は、図1に示したように、風路160内(および試験槽10内)において、所望の湿度を発生させる装置である。
乾球温度センサ171は、図1に示したように、風路160内に配置されており、試験槽10内の乾球温度(光Loutの光エネルギーが温度化された成分を含んでいない、環境温度のみ)を測定するセンサである。湿球温度センサ172は、風路160内に配置されており、試験槽10内の湿球温度を測定するセンサである。
制御部19は、耐候性試験機1全体の動作を制御する部分である。制御部19は、このような制御動作の1つとして、例えば、光源11の放射強度を制御することにより、試料(この例では、各容器9内の液体90)への放射照度を制御する機能を有している。また、本実施の形態では、詳細は後述するが、制御部19は、各容器9内の内容物(液体90)における温度を制御する機能を有している。
ここで、図3は、このような制御部19等の詳細構成例を、ブロック図で表したものである。
この図3に示したように、制御部19には、温度センサ14によって検知された、容器9(前述した容器9A)内における液体90(前述した液体90A)の温度が、検知温度Tdとして入力されるようになっている。そして、制御部19は、この検知温度Tdに基づいて、その液体90(液体90A)の温度を制御する。具体的には、図3に示したように、制御部19は、この検知温度Tdに基づいて、前述したヒータ161および冷却器162の動作をそれぞれ制御することによって、試験槽10内の温度を制御することで、液体90の温度を制御するようになっている。なお、このような制御の際に、例えば、光源11の放射強度および循環風Wcの風速はそれぞれ、制御部19によって一定となるように制御される。
また、制御部19は、温度センサ14によって検知された、複数の容器9のうちの選択された容器9Aについての液体90Aの温度(検知温度Td)に基づき、他の容器9Bについての液体90Bの温度を予測する機能を有している(図2参照)。具体的には、制御部19は、容器9Aについての液体90Aの温度と、他の容器9Bについての液体90Bの温度との対応関係(例えば、容器9や液体90の吸収率などを用い、これらの対応関係を予め規定した所定のテーブル等)を利用して、他の容器9Bについての液体90Bの温度を予測するようになっている。
また、例えば、容器9内に圧力センサ(不図示)を挿入して、この容器9内の圧力を測定するようにし、その圧力が高くなった場合には、制御部19によって耐候性試験機1の動作を停止させるようにしてもよい。このようにした場合、容器9や容器9の内容物(液体90)の温度上昇による容器9内の圧力上昇に起因した、容器9の破損を防止することができる。
[動作および作用・効果]
(A.基本動作)
この耐候性試験機1では、試験槽10内において、必要に応じて光源11から光Loutが放射される。また、この際に、複数の容器9を載置する試料台13が配置された試料枠12bと、試料枠12aとがそれぞれ、この光源11を中心とした回転動作を行う。これにより、促進的環境条件(加速試験環境)の下で、各容器9および各容器9内の液体90に対して、光Loutが照射される。このような光Loutの放射が所定の試験時間(例えば数時間〜数千時間程度)行われることで、本実施の形態では、試料としての液体90の劣化度合い等が評価され、耐候性試験がなされる。
このような耐候性試験の際に、制御部19は、光源11の放射強度を制御することにより、試料としての液体90への放射照度を制御する。これにより、予め設定された試験条件値と略一致(望ましくは一致)するように光源11の放電電力が制御され、安定した放射動作が担保されることになる。
この制御部19はまた、前述したヒータ161や冷却器162等の動作をそれぞれ制御することにより、例えば試験槽10内の温度等を行う。なお、このような温度制御は、例えばPID(Proportional-Integral-Derivative)制御を用いて行われる。
(B.内容物の温度制御動作)
続いて、図1〜図3に加えて図4を参照して、本実施の形態の耐候性試験機1における、各容器9内の内容物(液体90)の温度制御動作について、比較例(比較例1)と比較しつつ詳細に説明する。
(B−1.比較例1)
図4は、比較例1に係る耐候性試験機(耐候性試験機101)の概略構成例(試験槽内の概略構成例)を、模式的に表したものである。
この比較例1の耐候性試験機101では、各容器9内の内容物(液体90)を試料とした耐候性試験を行う際に、本実施の形態の耐候性試験機1とは異なり、以下のようになっている。すなわち、この耐候性試験機101では、試料枠12a,12bに取り付けられている試料ホルダ103上に配置されたブラックパネル温度計104や、試験槽10内に配置された温度センサ105を用いて、耐候性試験の際の温度確認や温度制御が行われている。つまり、試料表面を代表する温度であるブラックパネル温度や、試験槽10内の温度を用いて、耐候性試験の際の温度確認等が行われるようになっており、各容器9内の液体90の温度については、確認等がなされていない。
ところが、試料としての各容器9内の液体90の温度は、上記したブラックパネル温度や、各容器9の周囲の温度(試験槽10内の温度)とは、異なっている。そのため、液体90を所望の温度に設定して耐候性試験を行うには、例えば、光源11から放射される光Loutの強度を予め決定して、ブラックパネル温度や試験槽10内の温度を調整し、液体90の温度を実際に測定してから、耐候性試験を行う必要が生じる。
しかしながら、試験槽10内の温度と液体90の温度とでは、温度変化の際に時間差が生じる。また、光源11自体に変化(例えば、ランプが古くなると、赤外放射が相対的に増加する)が生じると、液体90の温度を一定に保つことが、困難となる。このようにして液体90の温度を一定に保つことが困難となると、例えば、試料の劣化要因の1つとして温度の依存がある場合、劣化の速度が試験ごとに異なることとなり、耐候性試験の再現性や精度が低下するおそれがある。これらのことから、このような比較例1では、各容器9内の内容物(液体90)を試料とした耐候性試験の際に、試験精度が低下してしまうおそれがあると言える。
(B−2.本実施の形態)
これに対して本実施の形態の耐候性試験機1では、図1〜図3に示したように、容器9内に収容されている内容物(液体90)を試料とした耐候性試験を行う際に、制御部19が、温度センサ14によって検知された内容物の温度(検知温度Td)に基づいて、その内容物の温度を制御する。
これにより、試料としての内容物(液体90)の温度を所望の値に制御できるようになるため、例えば、温度に起因した試料劣化の度合いのばらつきが、低減する(望ましくは、防止される)。よって、本実施の形態の耐候性試験機1では、容器9内の内容物(液体90)を試料として耐候性試験を行う際に、上記比較例1と比べ、試験精度を向上させることが可能となる。
また、制御部19が、温度センサ14によって検知された液体90の温度(検知温度Td)に基づいて試験槽10内の温度を制御することによって、液体90の温度を制御するようにしたので、以下のようになる。すなわち、試験槽10内の温度を利用して液体90の温度が制御されるため、液体90の温度制御が容易となり、利便性を向上させることが可能となる。
更に、試験槽10内を流れる循環風Wcの風向きを容器9側へと向けさせる風向板164を設けるようにしたので、以下のようになる。すなわち、循環風Wcが容器9側へと向けられるため、容器9内の液体90の温度変化が早くなり、液体90の温度制御を安定化させることが可能となる。また、液体90の温度が下がり易くなることから、例えば、高照度の光Loutが光源11から放射される場合であっても、液体90の温度を低い値に保持し易くすることが可能となる。
加えて、網目状構造を有する試料台13上に容器9を載置するようにしたので、以下のようになる。すなわち、網目状構造を循環風Wcが通り抜けることで、循環風Wcが試料台13によって遮られることが回避される結果、循環風Wcが容器9の周りを効率よく通過することとなり、容器9内の液体90の温度変化が更に早くなる。よって、液体90の温度制御を、更に安定化させることが可能となる。
また、容器9を載置する試料台13に、液体90の温度を個別に調節可能な温度調節機構134(例えば、冷却装置や加熱装置など)を設けるようにしたので、以下のようになる。すなわち、液体90の温度制御の精度が向上し、耐候性試験の際の試験精度を更に向上させることが可能となる。また、液体90の温度が個別に(複数の容器9ごとに)調節可能となるため、例えば、複数種類の液体90を試料として耐候性試験を行う場合であっても、各液体90の温度を統一化させて試験を行うことができ、耐候性試験の際の利便性を向上させることが可能となる。更に、例えば冷却装置を用いることで、例えば、高照度の光Loutが光源11から放射される場合であっても、液体90の温度を低い値に保持し易くすることが可能となる。
更に、制御部19では、温度センサ14によって検知された、複数の容器9のうちの選択された容器9Aについての液体90Aの温度(検知温度Td)に基づき、他の容器9Bについての液体90Bの温度を予測する(図2参照)。具体的には、制御部19は、容器9Aについての液体90Aの温度と、他の容器9Bについての液体90Bの温度との対応関係を利用して、他の容器9Bについての液体90Bの温度を予測する。このような対応関係を利用して、他の容器9Bについての液体90Bの温度が予測されるため、複数の容器9ごとに、個別に温度センサ14を設ける必要がなくなる。よって、液体90の温度検知を行う際の、利便性を向上させることが可能となる。なお、このような温度の対応関係としては、例えば、実際に測定して予め求めたデータや、各々の物質の光の吸収率等を利用して求めたデータを、用いるようにすればよい。
加えて、温度センサ14よりも光源11側の位置に、遮光板151を設けるようにしたので、以下のようになる。すなわち、光源11からの放射熱による温度センサ14の温度上昇が抑えられるため、温度センサ14による液体90の温度検知の精度を、向上させることができる。
以下、本発明の他の実施の形態(第2,第3の実施の形態)および変形例(変形例1,2)について説明する。なお、以下では、第1の実施の形態における構成要素と同一のものには同一の符号を付し、適宜説明を省略する。
<2.第2の実施の形態>
[構成]
図5は、第2の実施の形態に係る耐候性試験機(耐候性試験機1A)の概略構成例(試験槽10内の概略構成例)を、模式的に表したものである。なお、本実施の形態では第1の実施の形態とは異なり、図5に示したように、各容器9自身を試料として、耐候性試験が行われるようになっている。
すなわち、本実施の形態では、各容器9が、本発明における「試料」の一具体例に対応している。
本実施の形態の耐候性試験機1Aは、図5に示したように、第1の実施の形態の耐候性試験機1(図2参照)において、試料台13の代わりに複数の載置台121をそれぞれ、試料枠12b上に設置するようにしたものに対応している。また、この耐候性試験機1Aでは耐候性試験機1とは異なり、各容器9内には内容物(液体90)は収容されていないと共に、温度センサ14および遮光板151も設けられておらず、代わりに、光学フィルタ152および反射板153がそれぞれ設けられている(図5参照)。更に、この耐候性試験機1Aでは、図5に示したように、試験槽10の壁部(内壁)である試験槽壁10aに、後述する突起10bが設けられている。なお、耐候性試験機1Aにおけるその他の構成については、基本的には耐候性試験機1と同様となっている。
複数の載置台121はそれぞれ、図5に示したように、試験槽10内において、試料枠12bからZ軸方向に沿った上方へ向けて突出するピン120b上に、配置されている。これらの各載置台121は、試料としての容器9を載置した状態で、水平方向(X−Y平面内)を回転可能に構成されている(図5中に示した回転方向R21参照)。つまり、このような各載置台121が水平方向に回転することで、各載置台121上の容器9もそれぞれ、水平方向に回転することが可能となっている(図5中に示した回転方向R9参照)。また、各載置台121は皿型の形状を有しており、載置した容器9が転倒や落下することを防止するようになっている。
このような載置台121はそれぞれ、図5に示したように、外部(この例では、Z軸方向に沿った下方)へ向けて突出する、突起121aを有している。また、上記したように、試験槽壁10aには、試験槽10内へ向けて(この例では、水平方向に沿って)突出する、突起10bが設けられている。そして、試料枠12a,12bが前述した回転動作を行う際に(図5中に示した回転方向R2参照)、これらの突起121aと突起10bとが、互いに接触するようになっている(例えば、図5中に示した矢印P1参照)。このようにして、試料枠12bの回転動作の際に突起121a,10b同士の接触を利用することで、詳細は後述するが、載置台121が水平方向に回転し易くなっている。
ここで、このような突起10bは、例えば、弾性体(ばね部材など)を用いて構成されている。また、例えば図5中の矢印P2で示したように、この突起10bは、例えば、試験槽壁10a内に収納可能に構成されている。
なお、上記した突起121aは、本発明における「第1突起」の一具体例に対応し、突起10bは、本発明における「第2突起」の一具体例に対応している。また、上記した試験槽壁10aは、本発明における「試験槽における壁部」の一具体例に対応している。
光学フィルタ152は、図5に示したように、試料としての容器9よりも光源11側(前面側)の位置に、配置されている。この光学フィルタ152は、例えば、紫外線カットフィルタや赤外線カットフィルタなどにより構成されている。
反射板153は、図5に示したように、試料としての容器9を基準として、光源11とは反対側(背面側)の位置に、配置されている。この反射板153は、光源11から放射された光Loutを反射することが可能となっている。具体的には、反射板153は、容器9の背面側に通過した光Loutを反射させて、容器9へと照射することが可能となっている。
なお、このような反射板153は、本発明における「反射部材」の一具体例に対応している。
[動作および作用・効果]
(A.基本動作)
この耐候性試験機1Aでは、試験槽10内において、必要に応じて光源11から光Loutが放射される。また、この際に、各容器9を個別に載置する複数の載置台121が配置された試料枠12bと、試料枠12aとがそれぞれ、この光源11を中心とした回転動作を行う。これにより、促進的環境条件(加速試験環境)の下で、各容器9に対して光Loutが照射される。このような光Loutの放射が所定の試験時間行われることで、本実施の形態では、試料としての容器9の劣化度合い等が評価され、耐候性試験がなされる。
(B.載置台121の作用・効果)
続いて、図5に加えて図6を参照して、本実施の形態の耐候性試験機1Aにおける、載置台121の作用・効果について、比較例(比較例2)と比較しつつ詳細に説明する。
(B−1.比較例2)
図6は、比較例2に係る耐候性試験機(耐候性試験機201)の概略構成例(試験槽内の概略構成例)を、模式的に表したものである。
この比較例2の耐候性試験機201では、各容器9自体を試料とした耐候性試験を行う際に、本実施の形態の耐候性試験機1Aとは異なり、以下のようになっている。すなわち、この耐候性試験機201では、光源11の周りを回転方向R102に沿って回転する試料枠12a,12bに取り付けられている試料ホルダ103上に、試料としての容器9が固定配置されている。
このため、この耐候性試験機201での耐候性試験の際には、容器9における光照射面(光Loutの照射面)は、常時、光源11に対向している面側(前面側)のみとなり、容器9の周方向(水平面内での周方向)に沿って、劣化の度合いが不均一性となってしまう。具体的には、例えば図6に示したように、容器9が曲面形状である場合には、容器9における光源に最も近い部分(前面側)が、強く劣化しまうことになる。また、例えば、容器9の前面に印刷物が貼ってあるような場合には、その印刷物の一部が強く劣化するため、容器9全体としての劣化の評価が、困難となってしまう。これらのことから、この比較例2では、各容器9自体を試料とした耐候性試験の際に、試験精度が低下してしまうおそれがある。
(B−2.本実施の形態)
これに対して本実施の形態の耐候性試験機1Aでは、図5に示したように、試料としての容器9を載置した状態で水平方向(X−Y平面内)に回転可能な載置台121が、試験槽10内に配置されている。これにより、光源11から放射された光Loutが、容器9の全周囲(水平面内の周囲)に照射されるようになるため、容器9の周方向(水平面内での周方向)に沿った劣化の度合いの不均一性が、低減する(望ましくは、防止される)。よって、本実施の形態の耐候性試験機1Aでは、容器9自体を試料とした耐候性試験を行う際に、上記比較例2と比べ、試験精度を向上させることが可能となる。
また、このような載置台121を試料枠12b上に設置するようにしたので、試料枠12bの回転動作を利用して、載置台121が水平方向に回転するようになる。したがって、例えば、載置台121ごとにモータ等の複雑な回転機構を設ける必要がなくなり、載置台121の回転動作を簡易な構造で実現できるため、低コスト化を図ることが可能となる。
更に、外部へ向けて突出する突起121aを載置台121に設けると共に、試験槽10内へ向けて突出する突起10bを、試験槽10の内壁部(試験槽壁10a)に設け、試料枠12bが回転動作を行う際に、突起121a,10b同士が互いに接触するようにしたので、以下のようになる。すなわち、試料枠12bの回転動作の際に、突起121a,10b同士の接触を利用することで、載置台121が水平方向に回転し易くなる。したがって、非常に簡易な構造にて、載置台121の回転動作が確実に実現できるようになるため、低コスト化を図りつつ、試験精度の更なる向上を図ることが可能となる。
加えて、上記した突起10bを、弾性体を用いて構成したので、突起121a,10b同士が接触する際の引っ掛かりが防止され、載置台121が更に回転し易くなる結果、載置台121の誤動作が生じにくくなる。よって、容器9の周方向に沿った劣化の度合いの不均一性が更に低減するため、試験精度の更なる向上を図ることが可能となる。
また、上記した突起10bを、試験槽壁10a内に収納可能に構成した場合には、以下のようになる。すなわち、載置台121を水平方向に回転させない状態(固定した状態)での耐候性試験も実施できるようになる。したがって、試料としての容器9に対して局所的に光Loutを照射した状態での耐候性試験も可能となり、耐候性試験のバリエーションを広げることができるため、利便性を向上させることが可能となる。
更に、容器9よりも光源11側の位置に、光学フィルタ152(例えば、紫外線カットフィルタや赤外線カットフィルタなど)を設けるようにしたので、以下のようになる。すなわち、光学フィルタ152として、例えば紫外線カットフィルタを用いた場合には、様々な分光分布の光(例えば太陽光を模擬した光や、窓ガラス越しの光など)を、容器9ごとに照射することが可能となる。また、光学フィルタ152として、例えば赤外線カットフィルタを用いた場合には、光源11の放射熱による容器9の温度上昇を低減することが可能となったり、様々な透過率を有する赤外線カットフィルタを適宜設置することで、容器9の温度を統一させることができ、耐候性試験の際の紫外線の影響のみを評価することが可能となる。これらのことから、このような光学フィルタ152を設けることで、耐候性試験の際の利便性を向上させることが可能となる。
加えて、容器9を基準として光源11とは反対側の位置(容器9の背面側)に、光源11から放射された光Loutを反射可能な反射板153を設けるようにしたので、以下のようになる。すなわち、容器9の背面側に通過した光Loutを反射させて、容器9へと照射することができるため、光源11から放射された光Loutのエネルギー損失を、抑えることが可能となる。
また、本実施の形態では、耐候性試験における試料を所定の容器9としたので、例えば板状等の試料の場合とは異なり、立体的(3次元的)な形状を有する容器9を試料とする場合であっても、載置台121が水平方向に回転可能であることから、以下のようになる。すなわち、上記したようにして、容器9の周方向に沿った劣化の度合いの不均一性が低減することから、そのような容器9を試料とした場合でも、試験精度を確保することが可能となる。
<3.第2の実施の形態の変形例>
続いて、上記第2の実施の形態の変形例(変形例1,2)について説明する。なお、これらの変形例1,2においても、第2の実施の形態と同様に、各容器9自身を試料として、耐候性試験が行われるようになっている。
[変形例1]
図7は、変形例1に係る耐候性試験機(耐候性試験機1B)の概略構成例(試験槽10内の概略構成例)を、模式的に表したものである。
本変形例の耐候性試験機1Bは、第2の実施の形態の耐候性試験機(図5参照)において、複数の載置台121ごとに、突起121aが個別に取り外し可能に構成したものとなっており、他の構成は基本的には同様となっている。
具体的には、例えば図7に示した例では、3つの載置台121(121A,121B,121C)のうち、載置台121A,121Cについてはそれぞれ、突起121aが設けられている。一方、載置台121Bについては、突起121aが取り外されており、設けられていない。
このようにして本変形例では、載置台121における突起121aを、個別に取り外し可能に構成したので、以下のようになる。すなわち、個々の載置台121ごとに回転の有無を設定できるため、1回の耐候性試験において、容器9の周方向に沿った劣化の度合いを均一化させたうえでの試験と、容器9において局所的に劣化させる試験との双方を、実施できるようになる。よって、本変形例の耐候性試験機1Bでは、耐候性試験の際の利便性を向上させることが可能となる。
[変形例2]
図8は、変形例2に係る耐候性試験機(耐候性試験機1C)の概略構成例(試験槽10内の概略構成例)を、模式的に表したものである。
本変形例の耐候性試験機1Cは、第2の実施の形態の耐候性試験機(図5参照)において、突起121aを有する載置台121の代わりに、歯車121bを有する載置台121Dを設けると共に、内歯車122を更に設けるようにしたものに対応しており、他の構成は基本的には同様となっている。
歯車121bは、載置台121Dの周方向(水平面内)に沿って回転可能な歯車である。
内歯車122は、図8に示したように、試料枠12bの外周側または内周側(この例では外周側)に固定配置されており、各載置台121Dにおける歯車121bとそれぞれ、噛み合うようになっている。
なお、この図8の例では、歯車121bの大きさ(周方向の長さ)に応じて、歯車121b自身、つまり、載置台121Dにおける単位時間当たりの回転数(自転数)が、変化するようになっている。また、歯車121bの単位時間当たりの公転数(光源11の周囲の回転数)に応じても、上記自転数が変化するようになっている。
このようにして本変形例では、載置台121Dに歯車121bを設けると共に、試料枠12bの外周側(または内周側)に、この歯車121bと噛み合うようにして固定配置された内歯車122を設けるようにしたので、以下のようになる。すなわち、載置台121Dにおける歯車121bと、固定配置された内歯車122とが噛み合うことで、載置台121Dが水平方向に回転するようになる。したがって、歯車121bの大きさ等によって、載置台121Dにおける単位時間当たりの回転数を設定することができるため、本変形例の耐候性試験機1Cでは、利便性を向上させることが可能となる。
なお、本変形例では上記したように、内歯車122を設けるようにしたが、この内歯車122の代わりに、例えば、歯車121bと噛み合うようにして固定配置されたチェーンを、設けるようにしてもよい。このようなチェーンを設けるようにした場合でも、本変形例と同様の作用により、同様の効果を得ることが可能となる。
<4.第3の実施の形態>
図9は、第3の実施の形態に係る耐候性試験機(耐候性試験機1D)の概略構成例(試験槽10内の概略構成例)を、模式的に表したものである。なお、本実施の形態では第1の実施の形態と同様に、図9に示したように、各容器9内の内容物(液体90)を試料として、耐候性試験が行われるようになっている。
すなわち、本実施の形態においても、このような液体90が、本発明における「試料」および「内容物」の一具体例に対応している。
まず、本実施の形態の耐候性試験機1Dは、第1の実施の形態の耐候性試験機1(図1〜図3参照)において説明した内容物(液体90)の温度制御動作を、第2の実施の形態の耐候性試験機1A(図5参照)の構成(載置台121等)に適用したものに相当する。
具体的には、この耐候性試験機1Dでは、図9に示したように、載置台121上で水平方向に回転する各容器9内の内容物(液体90)の温度が、温度センサ14によって検知された検知温度Tdに基づき、制御部19によって制御されるようになっている。また、各載置台121は皿型の形状を有しており、載置した容器9の転倒や落下することを防止するとともに、更に内容物(液体90)が漏れた際に、試験槽10に液体90が垂れることを防止するようになっている。
また、この耐候性試験機1Dでは、図9に示したように、容器9における口付近に、温度センサ14からの出力配線に適用される、スリップ機構18が設けられている。
このようにして本実施の形態では、載置台121上の容器9内に収容されている内容物(液体90)を試料とした場合において、前述した温度センサ14を設けると共に、制御部19において、温度センサ14によって検知された液体90の温度(検知温度Td)に基づいて液体90の温度を制御している。すなわち、本実施の形態では、第1の実施の形態(図1〜図3参照)で説明した内容物(液体90)の温度制御動作を、第2の実施の形態における載置台121等の構成(図5参照)に適用するようにしている。これにより本実施の形態においても第2の実施の形態と同様に、試料としての液体90の温度を所望の値に制御できるようになるため、例えば、温度に起因した試料劣化の度合いのばらつきが、低減する(望ましくは、防止される)。その結果、本実施の形態の耐候性試験機1Dでは、第1および第2の実施の形態と比べ、耐候性試験の際の試験精度を更に向上させることが可能となる。
また、本実施の形態では、温度センサ14が容器9内に挿入配置されている場合において、その容器9における口付近に、温度センサ14からの出力配線に適用されるスリップ機構18を更に設けるようにしたので、以下のようになる。すなわち、容器9が水平方向に回転しても、容器9内の挿入配置されている温度センサ14からの出力配線がよじれてしまうのが回避されるため、液体90の温度検知を行う際の、利便性を向上させることが可能となる。
なお、本実施の形態では、上記したように、第1の実施の形態と第2の実施の形態とを組み合わせた場合を例に挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、第1の実施の形態と、前述した変形例1または変形例2とを、組み合わせるようにしてもよい。
<5.その他の変形例>
以上、実施の形態および変形例をいくつか挙げて本発明を説明したが、本発明はこれらの実施の形態等に限定されず、種々の変形が可能である。
例えば、上記実施の形態等では、耐候性試験機における各機器の構成(形状、配置、個数等)を具体的に挙げて説明したが、これらの構成については、上記実施の形態等で説明したものには限られず、他の形状や配置、個数等であってもよい。
具体的には、例えば、上記実施の形態等では、光源が中心位置となるように配置された円環状の試料枠の場合について説明したが、この場合には限られず、試料枠を他の形状や配置等としてもよい。また、試料台の構造についても、上記実施の形態等で説明した網目状の構造ではなく、他の構造であってもよい。更に、載置台の構造や回転動作のメカニズムについても、上記実施の形態等で説明した構造やメカニズムではなく、他の構造やメカニズムであってもよい。加えて、上記実施の形態等では、試験槽内に容器や載置台がそれぞれ、複数配置されている場合を例に挙げて説明したが、この例には限られず、例えば容器や載置台がそれぞれ、試験槽内に1つだけ配置されているようにしてもよい。
また、上記実施の形態等では、前述したランプ光源を用いて本発明における「光源」を構成する場合の例について説明したが、これには限られず、例えばLED(Light Emitting Diode)等の他の光源を用いて、本発明における「光源」を構成するようにしてもよい。
更に、上記実施の形態等では、制御部による各種の制御動作や耐候性試験方法、容器の内容物(液体等)の温度制御方法等について説明したが、上記実施の形態等で説明した手法には限られない。すなわち、例えば他の手法を用いて、各種の制御動作や耐候性試験、容器の内容物の温度制御等を行うようにしてもよい。具体的には、例えば、送風機の回転数を制御して、循環風の風速を変化させることで、容器の内容物の温度制御等を行うようにしてもよい。
加えて、上記実施の形態等では、容器内に収容されている内容物が、液体である場合を例に挙げて説明したが、この例には限られない。すなわち、容器内に収容される内容物としては、このような液体の他、例えば、固体もしくは気体、または、固体,液体,気体のうちの2種類以上の混合物等が、挙げられる。
また、上記実施の形態等で説明した一連の制御は、ハードウェア(回路)で行われるようにしてもよいし、ソフトウェア(プログラム)で行われるようにしてもよい。ソフトウェアで行われるようにした場合、そのソフトウェアは、上記した各機能をコンピュータ(マイクロコンピュータ等)により実行させるためのプログラム群で構成される。各プログラムは、例えば、上記コンピュータに予め組み込まれて用いられてもよいし、ネットワークや記録媒体から上記コンピュータにインストールして用いられてもよい。