JP5848020B2 - 生物活性測定装置 - Google Patents
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Landscapes
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- Measuring Or Testing Involving Enzymes Or Micro-Organisms (AREA)
Description
Es=a+b・exp(−t/τ)
における少なくとも係数aを回帰分析法により算出し、前記算出した係数に基づいて、前記時刻tが十分経過した後の前記起電力の予測値を取得する。
好適に、前記予測値取得部は、前記回帰分析に用いる前記起電力データの時間範囲を広げながら上記の式における係数aの算出を繰り返し、算出した一連の係数aの変化が一定の割合より小さくなったら、上記の式における係数aの算出値を確定する。
本実施形態に係る生物活性測定装置は、断熱箱の内部に微生物が含まれた試料が導入・設置された直後から、微生物細胞が増殖過程で放出する代謝熱の経時変化を熱電素子によって測定する。生物活性測定装置は、断熱箱に導入された試料の温度が平衡温度に達するまで待つことなく、時間の経過とともに変化する一連の熱電素子の起電力データに基づいて、十分時間が経過したときの起電力の予測値(試料の平衡温度)を回帰分析法により算出する。ここで算出された予測値は、試料中の微生物が発生した代謝熱に対応する。同じ生理状態にある微生物細胞は一定の代謝熱を放出するため、この予測値は試料中の微生物量にほぼ比例する。
断熱箱内への試料(被検体)の導入・設置にともない、試料とともに外部から熱(温熱または冷熱)が持ち込まれるが、この持ち込まれた熱は周囲環境との熱交換により、やがて拡散し、断熱箱の内部の基準温度である平衡温度に達する。しかし、ある一定の微生物細胞を含む溶液は、その微生物量に比例した代謝熱を放出しているため、試料の導入・設置に際して外部から持ち込まれた熱が熱交換により完全に拡散してしまった後も、その系の温度は平衡温度に比べて代謝熱の放出分だけ高くなる。この平衡温度からのずれは、系に含まれる微生物量に比例する。
そこで、本実施形態に係る生物活性測定装置では、この熱の拡散をもたらす熱交換がニュートンの熱伝導則に支配されていることを利用して、熱交換に伴う試料の温度変化を表す熱電素子の起電力の経時的な変化過程(熱平衡化過程)にニュートンの熱伝導式(後述の式(1))をあてはめて回帰分析を行う。すなわち、生物活性測定装置は、時間の経過とともに変化する熱電素子の起電力の測定結果とその測定時刻との関係をニュートンの熱伝導式に当てはめて回帰分析を行い、測定結果によく合うニュートンの熱伝導式の係数を算出する。そして、生物活性測定装置は、算出した熱伝導式の係数に基づいて、無限大時間放置すれば到達するであろう被検体の温度、すなわち試料温度の基準温度に対する差の予測値を取得する。
図1に示す生物活性測定装置は、断熱箱10と、微生物細胞を含む試料(第1試料)が入れられた試料容器17と、第1試料と同量の物質であって微生物細胞を含まない物質(第2試料)が入れられた試料容器18と、熱電素子を含んだセンサSと、センサSの起電力を測定する測定部40と、システム制御装置50とを有する。
試料容器17,18は、断熱箱10の内部に設けられた不図示の保持部材によって保持される。
図1の例において、測定部40は、センサSが発生する微小な起電力(ゼーベック電圧)を増幅する増幅回路41と、この増幅回路41の出力信号をデジタル信号に変換するアナログ−デジタル変換回路42を含む。アナログ−デジタル変換回路42は、例えばシステム制御装置50の制御に従って、アナログ−デジタル変換動作を実行する。
例えば、制御部51は、断熱箱10の内部に試料容器17,18が設置されて断熱箱10が密閉された後、測定を開始する指示が不図示の入力装置(スイッチ、ボタン、キーボード等)によって入力されると、一定時間ごとにセンサSの起電力の測定結果を測定部40から取得して、記憶装置に順次格納する。
Es=a+b・exp(−t/τ) …(1)
予測値Es_eqは次式により表される。
Es_eq=a …(2)
一般に、同じ生理状態にある微生物細胞は同じ代謝熱を放出する。そのため、2つの試料容器17,18の温度差はこれらの試料(被検体)に含まれた微生物が放出する代謝熱の差に比例し、この代謝熱の差は微生物量の差に比例する。従って、図2に示すように、センサSが試料容器17,18の温度差に応じて発生する起電力(ゼーベック電圧)は、2つの試料容器17,18の試料に含まれる微生物量の差に比例して変化する。
検査対象の試料に含まれる微生物量は様々であるが、代謝熱の放出量と微生物量との比例関係は非常に幅広い範囲で成り立つ。
図3において、曲線CV1は試料容器17の第1試料に微生物細胞が含まれる場合のグラフを示し、曲線CV2は試料容器17の第1試料に微生物細胞が含まれない場合(すなわち第1試料と第2試料の熱的条件が実質的に同じ場合)のグラフを示す。
図3の例では、断熱箱10内の基準温度より試料容器17,18の温度が低いため、測定開始時点のセンサSの測定電圧E0は、基準温度より低い温度を示す値となっている。断熱箱10内へ試料容器17,18とともに持ち込まれた熱が拡散することにより、センサSの測定電圧の絶対値は徐々に減衰してゆき、平衡状態のレベルへ近づいていく。曲線CV1,CV2の何れも、約50分ほどで平衡状態のレベルになっている。
従って、仮に迷電流などがあったとしても、レベルErとレベルEs_eqとの差ΔE(ΔE=Es_eq−Er)は、試料容器17の第1試料に含まれる微生物細胞の代謝熱に由来するものであり、第1試料の微生物量(微生物細胞個体数またはその重量)に比例する。
図4において、曲線CV3は試料容器17の第1試料に微生物細胞が含まれる場合のグラフを示し、曲線CV4は試料容器17の第1試料に微生物細胞が含まれない場合(すなわち第1試料と第2試料の熱的条件が実質的に同じ場合)のグラフを示す。
図4の例では、図3とは逆に、断熱箱10内の基準温度より試料容器17,18の温度が高いため、測定開始時点のセンサSの測定電圧E0は、基準温度より高い温度を示す値となっている。断熱箱10内へ試料容器17,18とともに持ち込まれた熱が拡散することにより、センサSの測定電圧の絶対値は徐々に減衰してゆき、平衡状態のレベルへ近づいていく。
一方、試料容器17の第1試料に微生物細胞が含まれている場合は、試料容器17,18の間で微生物細胞の代謝熱による熱交換が起こるため、平衡状態におけるセンサSの測定電圧は、曲線CV3に示すように、微生物細胞の代謝熱による温度差を示す値(Es_eq)となる。
従ってこの場合も、レベルErとレベルEs_eqとの差ΔE(ΔE=Es_eq−Er)は、微生物量(微生物細胞個体数またはその重量)に比例する。
そこで予測値取得部52は、測定部40で測定された一連の起電力データとその測定時刻のデータを記憶装置から読み出し、これらのデータに基づいて、ニュートンの熱伝導式(式(1))における係数a,b,τを回帰分析法により算出する。そして予測値取得部52は、この回帰分析法により算出した式(1)の係数aを、時刻tが十分経過した後の起電力Esの予測値Es_eqとして取得する(式(2))。これにより、平衡状態に到達するより前の早い段階で、微生物量に比例する正確な予測値Es_eqが得られる。
図3,図4の例において、式(1)にあてはめた回帰分析を行い、式(2)によって予測値Es_eqを求めると、その値は60[μV]となる。測定値が平衡状態に収束するのを待った場合、この値を得るために約50分を要するが、本実施形態のように回帰分析を行って予測値Es_eqを算出すれば、約10分でこの値を算出することができる。すなわち、本実施形態によれば、微生物細胞量の検査時間が約5分の1に短縮される。
従って、例えば食品や医薬品、化粧品等の中に含まれる微生物量を極めて短い時間で推定することが可能になり、シャーレを用いる従来の寒天平板培養法と比較して検査の労力や時間を劇的に削減することができる。
また、予測値取得部52は、回帰分析に用いる測定データの時間範囲を広げながら熱伝導式の係数を算出を繰り返し、算出した一連の係数値の変化が一定の割合より小さくなったら、熱伝導式の係数の算出値を確定するようにしてもよい。これにより、試料を含む装置の熱伝導時定数が不明の場合でも、適切な係数を算出することができる。
Claims (2)
- 試料に含まれる生物細胞が発生した熱を測定する生物活性測定装置であって、
断熱材によって形成された断熱箱と、
前記断熱箱の内部に配置され、第1試料が入れられた第1試料容器と、
前記断熱箱の内部に配置され、前記第1試料と比較される第2試料が入れられた第2試料容器と、
前記第1試料容器と前記第2試料容器との間に挟まれて設置され、前記第1試料容器に接触する第1の面と前記第2試料容器に接触する第2の面との温度差に応じた起電力を発生する熱電素子と、
前記熱電素子で発生した前記起電力を測定する測定部と、
を有する生物活性測定装置。 - 微生物細胞を含む試料が入れられた第1試料容器、及び、微生物細胞を含まない試料が入れられた第2試料容器を準備する工程と、
前記第1試料容器及び前記第2試料容器、並びに、前記第1試料容器と前記第2試料容器との間に挟んで配置された熱電素子を断熱箱の内部に配置して閉じ込める工程と、
前記第1試料容器に接触する第1の面と前記第2試料容器に接触する第2の面との温度差に応じて発生する前記熱電素子の起電力を繰り返し測定する工程と、
前記測定した一連の起電力のデータとその測定時刻を示す一連の測定時刻のデータとに基づいて、前記起電力と前記測定時刻との関係を表す所定の関数の係数を回帰分析法により算出し、前記算出した係数に基づいて、前記時刻が十分経過した後の前記起電力の予測値を取得する工程と、
を有し、
前記予測値が前記第1試料容器の微生物細胞の代謝熱に対応した微生物量を示す、
微生物量推定方法。
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