JP4183289B2 - 排気中のエタノールの処理方法 - Google Patents

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Description

[技術分野]
本発明は、微生物を利用した排気中のエタノールの新しい処理方法に関し、更に詳細には、エタノール資化能を有する微生物を保持させた担体にエタノール等を含む排気を通気させ、エタノール等を該微生物に接触させることによりエタノール等を分解して、排気中からエタノール等を直接除去する処理方法及びそのための装置に関する。
[背景技術]
エタノールはメタンほどではないが、オゾン層破壊に結びつく揮発性有機化合物の1種である。したがって、パン工場、醤油工場、アルコール生産工場、酒造工場など発酵製品の製造工程や、溶剤としてエタノールを使用するランドリー工場等で発生するエタノールを含む排気の放出を抑制していくことは、地球環境を守るために重要な課題である。
従来は、エタノールを含む排気の処理としては、ボイラー等による直接燃焼法、触媒燃焼法、活性炭・樹脂他による吸着法、スクラバー法・冷却凝縮法等による水への溶解などの方法が行われることが多かった。また、燃焼以外の処理方法では、エタノールを回収し、その回収したエタノールの後処理としてさらに燃焼や微生物による処理が必要であった。
しかし、これらの方法では、エタノールを含む排気の発生場所の立地条件や、ユーティリティー(電気、水、排水)の使用制限等による処理方法の選択肢の制限、高額な初期投資コストやランニングコスト、巨大な設備とそのための用地を要するなどの点で非常に大きな問題があった。また処理能力の点や経済性、安全性、維持管理の容易性などの全ての点について満足させるものはなかったのが現状であった。
一方、微生物を利用した物質の処理或は分解方法は、し尿処理、排水処理、海水中への流出オイル類の分解等の環境修復、環境悪臭の除去などのために開発されてきている。微生物を利用して排気中のエタノールを直接分解除去する装置としては、活性汚泥水をスクラバーで循環させるバイオスクラバーが知られている。しかしながら、このバイオスクラバー装置は、スクラバーに連続して設置される巨大な曝気槽の活性汚泥により、活性汚泥水に溶解させたエタノールを処理するものであり、新規導入には巨大な設備と高額な設備投資が必要であった。
同じく微生物を利用した排気の処理装置としてバイオフィルターがある。バイオフィルターとは、担体に固定した微生物に処理したい排気を通気させ、担体中の微生物の働きで目的物質を処理する装置である。通常の活性汚泥処理などに比べて、コンパクトな装置でランニングコストが安いのが利点である。しかしながら、今までのバイオフィルターでは、排気中の処理目的物質の濃度が低い場合、例えば数100ppm以下の低濃度の場合しか有効なものがなく、工業的には使用できなかった。
また、このような微生物を利用した処理或は分解方法は、長期間の連続的実施が行えない、安定した処理能力がない、装置自身のメンテナンスが煩雑であるなどの問題点もあった。
排気中に含まれるエタノールを分解又は処理するバイオフィルターの既存技術としては、いくつか報告があり、以下に主な報告内容を記す。
なお、本明細書において、エタノール負荷量とは、バイオフィルター装置に導入した単位時間・担体の単位容積あたりのエタノール量(重量)である。また、エタノール除去率とは、導入したエタノール量(絶対量)から、バイオフィルター装置から排出された後の排気中のエタノール量(絶対量)を引いた差の、バイオフィルター装置に導入したエタノール量(絶対量)に対する比率(百分率)を示す。
実験室規模の小スケールでの試験としては、ホッジらの報告がある。(D.S.Hodge and J.S.Devinny,Environmental Progress,Vol.13,167-173(1994))容量4リットル(直径7.6cm×長さ90cm)の円筒カラムに、担体として活性炭を用い、微生物源として石油精製場の土壌を使用し、エタノール負荷量として71〜245g/m3/hrで通気を行ったところ、エタノール除去率72〜89%という結果であった。しかしながら、この試験は長期にわたる継続運転については確認されていない。
同じく、実験室規模の小スケールでの試験としては、キアルドらの報告もある。(K.Kiared,L.Bibeau,R.Brzeinski,Environmental Progress,Vol.15,148-152(1996))容量21リットル(直径15cm×長さ120cm)の円筒カラムに、担体としてピートを用い、微生物源としてバチルス(Bacillus)の菌叢を使用し、エタノール負荷量として135g/m3/hrで通気を行い、エタノール除去率88%という結果が報告されている。ただし、継続運転期間は30日までの報告である。
工場規模の大きなスケールでは、パン工場の排気を処理するためのパイロット実験の報告がある。(G.Leson,et.al.Proceedings of 86th Annual Meeting of Air & Waste Association,93-WP-52C.04,pp 1-14(1993))容量1.42m3(直径1m×高さ2層直列で1.83m)の反応層に微生物源としてコンポストを用い、下向流通気で稼働した結果70g/m3/hr以下の負荷量(Load Capacities)ではエタノール除去率(removal efficiencies)が100%であったが、100g/m3/hrを越える負荷量では90%を切り、300g/m3/hr以上では50%以下であったと報告されている。また、この実験も2ヶ月未満の短期の継続運転の報告である。
同じくレーソンらは、エタノールを含む排気の処理のためのフルスケールのバイオフィルターの試験報告をしている。(G.Leson,et.al.Proceedings of 88th Annual Meeting of Air & Waste Association, 95-WP-9A.04.,pp 1-11(1995)レーソンらは、鋳物工場の17000m3/hrの流量のエタノールを含む排気を、担体容量280m3のバイオフィルター装置で処理する実験を行っている。この実験では、担体としては、木片と農産廃棄物と堆肥との混合物を使用し、運転開始初期での処理能力として、100〜180g/m3/hrのエタノール負荷量で、平均80〜90%のエタノール除去率が得られているとしている。なお、長期に渡る運転についての報告はなされておらず、一定の高エタノール除去率を安定的に維持しての長期運転については、不明である。
また、シムらにより、活性汚泥を固定したスパイラル(spiral)タイプのバイオリアクターを用いた、エタノール分解の試験について報告が成されている。(J.S.Shim,et.al.,J.Chem.Tech.Biotechnol.,Vol.64,49-54(1995))シムらは、7000ppmのエタノールを含む排気を、最大負荷量185g/m3/hr(単位リアクター容積)で99%除去できたと報告しているが、長期にわたった運転試験は行っていない。
シムらの報告を除きいずれも、エタノール除去率が90%以上であると報告された例は、エタノール負荷量が100〜180g/m3/hr以下と低濃度のエタノールを含む排気の処理に対するものであり、また、3ヵ月以上の長期にわたり継続運転された結果の報告はなされていなかった。つまり、エタノール負荷量180g/m3/hr以上での高負荷における十分な分解処理が保証され、またこの処理能力を維持しての長期の継続運転が可能であり、また工場規模での実用装置としての排気中のエタノール分解処理バイオフィルターは開発されていなかったのが現状であった。
そこで、本発明者らは鋭意研究の結果、パン工場、醤油工場、アルコール生産工場、酒造工場など発酵製品の製造工程や、溶剤としてエタノールを使用するランドリー工場等で発生するエタノールを含む排気を分解する方法として、ランニングコストが安く、また巨額の初期投資を要する装置や設備が不必要であり、装置のメインテナンスがより簡便で、操作も簡易であり、半年以上の長期間の連続稼動が可能で、高濃度、高負荷のエタノールを含む排気中のエタノールの分解が可能で、かつエタノール除去率が高く、しかも高い処理速度での実施も可能である、微生物を利用した排気中のエタノールの新しい処理方法を完成した。
[発明の開示]
本発明の方法は、担体に保持させたエタノール資化能を有する微生物に、エタノールを含む排気を通気させて該微生物に接触させ、該微生物により排気中のエタノールを直接分解するものであり、また、このエタノールの処理方法を高速で実施できる方法である。更に、排気中に、エタノール以外にアセトアルデヒド、酢酸エチル及び/又は酢酸が含まれていても、エタノールと共に、アセトアルデヒド、酢酸エチル及び酢酸をも微生物により分解できる処理方法を提供するものである。
【図面の簡単な説明】
図1は本発明による装置例を示す図である。
図2は実験例1及び実験例2で選抜されたキャンディダ ヒロフィラ(Candida hylophila)、キャンディダ ニトラチヴォランス(Candida nitrativorans)及びキャンディダ ボイディニ(Candida boidinii)の3株のエタノール資化能と酢酸資化能の経時変化を表すグラフである。
図3はエタノール処理方法におけるチアミン添加の有無によるエタノール除去率の経時変化を表すグラフである。
図4は高温耐性能を有するエタノール資化微生物によるエタノールの除去率の経時変化を示すグラフである。
図5はエタノール処理方法におけるエタノール存在下で酢酸資化能を有する微生物の混在の有無によるエタノールの除去率の経時変化を表すグラフである。
[発明を実施するための形態]
本発明では、エタノール資化能を有する微生物を使用し、更にはエタノール資化能を有する微生物とエタノールの存在下で酢酸資化能を有する微生物とを併用したエタノールの処理方法も提供する。また、本発明は、微生物にチアミン又はチアミンを含む物質を供給することにより、より処理速度が高く、かつ長期の継続運転を可能としたエタノールの処理方法を提供するものである。
本発明で用いられるエタノール資化能を有する微生物としては、例えば、キャンディダ(Candida)属、ピチア(Pichia)属及び/又はハンセヌラ(Hansenula)属から選ばれる微生物が好ましく用いられる。
キャンディダ(Candida)属であれば、キャンディダ ニトラチヴォランス(Candida nitrativorans)、例えばATCC 22941等の微生物、キャンディダ ボイディニ(Candida boidinii)、例えばIFO 10035,ATCC 96315,ATCC 44637,ATCC 62807,ATCC 90439,ATCC 32929,ATCC 90411,ATCC 36351,ATCC 38256,ATCC 38257,ATCC 60364,ATCC 46498,ATCC 96926,ATCC 56507,ATCC 20432,ATCC 56897,ATCC 23175,ATCC 56294等の微生物、キャンディダ クルセイ(Candida krusei)、例えばIFO 0011、ATCC 749、IFO 1064、ATCC 2340,ATCC 38293,ATCC 32672,ATCC 32545,ATCC 62403,ATCC 62404,ATCC 64675,ATCC 34135,ATCC 20298,ATCC 34077,ATCC 2159,ATCC 14243,ATCC 200339,ATCC 200554,ATCC 36353,ATCC 44057等の微生物、キャンディダ ランビカ(Candida lambica)、例えばATCC 24750等の微生物、キャンディダ ケフィール(Candida kefyr)、例えばIFO 0886等の微生物、キャンディダ サケ(Candida sake)、例えばIFO 1021等の微生物、キャンディダ ソラニ(Candida solani)、例えばATCC 14440等の微生物を好ましく用いることができる。
ピチア(Pichia属)であれば、ピチア アノマラ(Pichia anomala)、例えばJCM 3538、IFO 0140、IFO 0127、IFO、ATCC 4103 ATCC 18205,ATCC2349,ATCC 8202,ATCC 8167,ATCC 2581,ATCC 580,ATCC 4104,ATCC 46058,ATCC 60231,ATCC 8170,ATCC 18860,ATCC 60811,ATCC 58044,ATCC 20257,ATCC 46131,ATCC 34080等の微生物、ピチア ロダネンシス(Pichia rhodanensis)、例えばATCC 24191等の微生物、ピチア アングスタ(Pichia angusta)、例えばATCC 64209等の微生物を好ましく用いることができる。
ハンセヌラ(Hansenula)属であれば、ハンセヌラ アノマラ(Hansenula anomala)例えばIAM 4967,ATCC 2149,ATCC 8168等の微生物、或はハンセヌラ パニス(Hansenula panis)で、いずれも現在ではピチア アノマラ(Pichia anomala)と分類される微生物、他にはハンセヌラ シドヴィオルム(Hansenula sydowiorum)、例えばATCC 58369等の微生物で現在ではピチア シドヴィオルム(Pichia sydowiorum)と分類される微生物などが好ましく用いられる。
更に、通常、エタノールを含む排気中に混在しているアセトアルデヒド、酢酸エチル及び/又は酢酸についても、本発明で開示される微生物はエタノールと同様に分解することができる。
本発明で用いられるエタノールの存在下で酢酸資化能を有する微生物としては、キャンディダ(Candida)属から選ばれる微生物が好ましく用いられる。キャンディダ(Candida)属であれば、キャンディダ ヒロフィラ(Candida hylophila)例えばATCC 22875が特に好ましく用いられる。
本発明のエタノール資化能を有する微生物と排気中のエタノールとの接触方法は、微生物を担体に担持した充填層を設け、その充填層にエタノールを含む排気を通気して、エタノールを含む排気を充填槽中の微生物に接触させるものである。この微生物を担持する担体としては、ピートモス、バーミキュライト、ゼオライト、パーライト、イオン交換樹脂、コンポスト、土壌、珪藻土、おがくず、木片、古紙粉末、セルロースパウダー、軽石、活性炭、炭、ウレタン、PVA樹脂、金属スラッグなど、任意のものを本発明では用いることができる。
微生物は、例えば充填槽中に104個/ml〜1010個/mlになるように添加することが装置を安定的に運転するためには特に好ましいが、排気中のエタノールの濃度、通気量、通気速度等により任意にその微生物の濃度は選択することができる。
また、微生物の生育に必要な水分はシャワーノズル等を用いて、充填槽に適宜供給する。
エタノールの分解反応経路は、エタノールがアセトアルデヒドに分解され、そしてそのアセトアルデヒドが酢酸に分解されていき、その酢酸がアセチルCoAとなり、TCAサイクルにより分解されていく。そこで本発明者らは、このTCAサイクルの活性化を図ることによりエタノールの分解をより促進させることを目的とし、数々の物質の微生物への供給による効果を鋭意研究の結果、TCAサイクルで利用されるチアミン又はチアミンを含む物質を微生物に供給することにより、エタノールの分解がより促進されやすく、かつ高速で分解されることを見出した。本発明は、担体中にチアミン又はチアミンを含む物質を添加することにより、より高速でかつ安定に排気中のエタノールを処理する方法を提供するものである。
本発明で用いるチアミン又はチアミンを含む物質としては、チアミン単体としてはチアミン塩酸塩等、チアミンを含む物質としては米糠、小麦胚芽などの穀類及び穀類の胚芽部、大豆等の豆類、ゴマ、ヒマワリなどの植物の種子、海草、肉類及びその加工品、酵母エキス、モルトエキスなどの複合栄養物などが挙げられるが、いずれも本発明では同様に用いることができる。
チアミン又はチアミンを含む物質は、微生物を保持する担体に添加することにより、微生物に供給することができる。チアミン又はチアミンを含む物質の担体への添加方法としては、例えば担体にチアミン又はチアミンを含む物質を直接混合するか、或はチアミン又はチアミンを含む物質を水溶液或は懸濁液として散水ラインを使って担体が充填された充填槽に散布する等の手段によって行うことができる。
チアミン又はチアミンを含む物質の担体への添加量は、チアミンとして担体1リットルに対して1μg以上であれば良く、担体1リットルあたり50μgから2000μgの範囲の量がより好ましく用いられる。例えば、チアミンを含む物質が米糠である場合では、その量は担体1リットルあたり2g以上となる。
チアミン又はチアミンを含む物質を担体に添加する時期は、エタノール処理方法の開始時でも、エタノール処理方法の実施中でも、随時行うことができる。
エタノールの分解では、その分解過程での中間生成物であるアセトアルデヒド、酢酸エチル及び/又は酢酸が微生物を保持した担体中に蓄積される場合がある。特にエタノールが高負荷の条件の場合等ではこれらの中間生成物の蓄積が起こりやすくなる。この中間生成物の中でも特に酢酸の蓄積が過度になると、担体中のpHにも影響を与え、微生物のエタノール資化能力が抑制されやすくなる。この結果、エタノールの資化能力が低減したり、或は微生物の増殖・成育阻害が起こる場合もある。そこで本発明者らは、エタノールに接触させる微生物としてエタノール資化能を有する微生物と共に、エタノールの存在下で酢酸の資化能を有する微生物を使用することにより、エタノールの分解処理を安定に、かつ高速で行うことが出来ることを見出した。
また、本発明によるエタノールの処理方法を高速で或は排気中のエタノールが高負荷の条件で行う場合、担体内の炭素源(C)/窒素源(N)比が炭素(C)側に大きく傾いてしまう傾向があるので、微生物の生育を十分に行なわせるために、窒素源(N)を添加することが好ましい。窒素源としては、硝酸アンモニウム、塩化アンモニウム、硫酸アンモニウム、硝酸ナトリウムなどのアンモニウム塩や硝酸塩、アンモニア、尿素、アミン類、アミノ酸又は酵母エキスその他の複合物質などを任意に用いることができる。微生物の十分な生育には窒素源とともにリン源も添加した方が好ましく、リン源としては、リン酸二カリウムやリン酸二ナトリウムなどのリン酸塩類や酵母エキスなどの複合物質等を任意に用いることができる。更に、エタノールの処理方法の開始時、或は処理方法の実施中に担体中のpHが著しく変動した場合は、微生物へのストレスを緩和するためにpH調整剤を添加することも好ましい。pH調整剤としては、特に限定されるものではなく、炭酸カルシウム、水酸化カルシウム、又は水酸化ナトリウム等を用いることができる。例えば、このような処理により微生物の生育を適切に行うことができる。
本発明による装置は、例えば以下の装置が挙げられる。図1−a及び図1−bに示す様に、担体層2は底部に多孔性支持板10が設けられており、内部に担体が充填され、担体中に微生物が担持されている。担体層の上部には散水ノズル6が設けられており、散水ノズル6は給水弁7を経て、給水ポンプ8に接続しており、必要に応じて担体層2に水が散水されるようになっている。図1−aに示す装置では、担体層2の下部に拡散層3が設けられており、図1−bに示す装置では、担体層2の上部に拡散層3が設けられている。拡散層3で排気が滞留することによって、担体層2に均等に排気が導入されるようになっている。装置の下部には、ドレン管9が設けられており、担体層下部に溜った排水を適宜装置外部に排出できるようになっている。図1−aは、担体層2に対して下部より上向きにエタノールを含む排気を通気する。図1−bは、担体層2に対して上部より下向きにエタノールを含む排気を通気する。いずれも担体層2中の微生物と、通気されたエタノールを含む排気とが接触しエタノールが分解される。エタノールが除去された排気は排気管5より排出される。
以下に実験例及び実施例を示し、更に本発明を詳細に説明する。
[実験例1]エタノール資化能を有する微生物の選定
以下の微生物のエタノール資化能を確認した。
(試験に用いた微生物)
Brettanomyces anomalus ATCC 10599
Brettanomyces bruxellensisi IFO 0677
Brettanomyces claussenii ATCC 10562
Brettanomyces lambicus ATCC 10563
Candida aaseri ATCC 18805
Candida boidinii CTW(分離株)
Candida cantarellii IFO 10269
Candida hylophila CR 30(分離株)
Candida lambica ATCC 24750
Candida kefyr IFO 0886
Candida krusei IFO 0011
Candida krusei ATCC 749
Candida melibiosica IFO 10401
Candida mesenterica JCM 7531
Candida mesenterica ATCC 10569
Candida nitrativorans CY 4-1G(分離株)
Candida sake IFO 1021
Candida solani ATCC 14440
Candida vinaria ATCC 24745
Candida vini ATCC 18823
Cryptococcus humicolus ATCC 14438
Hansenula anomala IAM 4967
Hansenula anomala ATCC 2149
Hansenula anomala ATCC 8168
Hasegawaea japonica ATCC 10660
Pichia angusta ATCC 14754
Pichia angusta ATCC 64209
Pichia anomala JCM 3538
Pichia anomala IFO 0127
Pichia anomala IFO 0140
Pichia rhodanensis ATCC 24191
Rhodotorula javanica ATCC 24010
なお、いずれの分離株も土壌の表土より採取した。
(エタノール資化能試験用培地組成)
(基本培地)
(NH42HPO4 5g
(NH42SO4 4g
KH2PO4 2g
MgSO4・7H2O 0.5g
酵母抽出物(Yeast Extract) 0.1g
FeSO4・7H2O 35mg
MnSO4・5H2O 8.8mg
水 1リットル
pH6.2
(エタノール)
エタノール 20ml
基本培地を121℃、15分でオートクレーブ滅菌を行ってから、エタノールを基本培地に添加して用いた。
(被験微生物の前培養方法)
Bacto YM Broth(Difco社製、1リットルの水中に酵母抽出物(Yeast Extract)3g,麦芽抽出物(Malts Extract)3g,ペプトン5g,デキストロース10gを含む)21g/水1リットルの組成の液体培地10mlの入った80ml容の試験管中で24−48時間培養した菌液を被験微生物の液体培養液とした。
(試験方法)
エタノール資化能試験用基本培地10mlの入った80ml容試験管にエタノール0.2mlを添加して、更に、被験微生物の液体培養液0.2mlを入れ、30℃でレシプロシェーカーにて振とう(300rpm)培養を48〜96時間行なった。培養中の培養液中のエタノール濃度の経時変化を高速液体クロマトグラフィー分析により培養期間中24時間おきに測定した。高速液体クロマトグラフィー分析は、カラムはBio-Rad社製,Aminex HPX-87H(8mmφ×300mm)を用い、移動相は0.01N硫酸、流量0.6ml/分、温度は室温、検出は示差屈折計で行った。培養液中のエタノール濃度の減少の経時変化から、24時間で0.3%(w/v)以上のエタノールを分解できたものを高エタノール資化能微生物として選抜した。以下に選抜された微生物を示す。
(選抜された高エタノール資化能微生物)
Candida boidinii CTW(分離株)
Candida hylophila CR30(分離株)
Candida lambica ATCC 24750
Candida kefyr IFO 0886
Candida krusei IFO 0011
Candida krusei ATCC 749
Candida nitrativorans CY 4-1G(分離株)
Candida sake IFO 1021
Candida solani ATCC 14440
Hansenula anomala IAM 4967
Hansenula anomala ATCC 2149
Hansenula anomala ATCC 8168
Pichia anomala JCM 3538
Pichia anomala IFO 0140
Pichia angusta ATCC 64209
Pichia rhodanensis ATCC 24191
[実験例2]エタノール存在下での酢酸資化能を有する微生物の選定
実験例1で用いた微生物を使用してエタノール存在下での酢酸資化能を確認した。
〔エタノール存在下での酢酸資化能の評価培地〕
(基本培地)
K2HPO4 3g
Na2HPO4・12H2O 6g
NaCl 15g
NH4Cl 1g
MgSO4・7H2O 0.246g
ビタミンB1塩酸塩 4mg
酢酸 5ml
FeSO4・7H2O 35mg
MnSO4・5H2O 8.8mg
水 1リットル
pH6.0
(エタノール)
エタノール 20ml
基本培地を121℃、15分でオートクレーブ滅菌を行ってから、エタノールを基本培地に添加して用いた。
なお、被験微生物の前培養方法は実験例1と同様に行い、被験微生物の液体培養液を得た。
(試験方法)
エタノール存在下での酢酸資化能試験用基本培地10mlの入った80ml容試験管にエタノール0.2mlを添加して、更に被験微生物の液体培養液0.2mlを入れ、30℃でレシプロシェーカーにて振とう(300rpm)培養を48〜72時間行なった。培養中の培養液中のエタノール濃度と酢酸濃度の経時変化を高速液体クロマトグラフィー分析により24時間おきに測定した。高速液体クロマトグラフィー分析は、カラムはBio-Rad社製のAminex HPX-87H(8mmφ×300mm)を用い、移動相は0.01N硫酸、流量0.6ml/分、温度は室温、検出は示差屈折計で行った。培養液中の酢酸濃度の減少の経時変化から、24時間で0.4%(w/v)以上の酢酸を分解できたものをエタノール存在下の酢酸資化能微生物として選抜した。
以下に選抜された微生物を示す。
(選抜されたエタノール存在下の酢酸資化能微生物)
Candida hylophila CR 30(分離株)
選抜されたキャンディダ ヒロフィラCR 30(Candida hylophila CR 30)と、エタノール分解能の高いキャンディダ ニトラチヴォランスCY 4-1G(Candida nitrativorans CY 4-1G)及びキャンディダ ボイディニCTW(Candida boidinii CTW)の3株について、培養液中のエタノール濃度と酢酸濃度の経時変化を図2に示す。各グラフは、横軸が経過時間、縦軸が培養液中のエタノール濃度と酢酸濃度を表し、白い部分がエタノール、黒い部分が酢酸を表している。図2−a、図2−b、図2−cはそれぞれ、キャンディダ ニトラチヴォランス(Candida nitrativorans)、キャンディダ ボイディニ(Candida boidinii)及びキャンディダ ヒロフィラ(Candida hylophila)の結果である。図2−aに示すキャンディダ ニトラチヴォランス(Candida nitrativorans)と図2−bに示すキャンディダ ボイディニ(Candida boidinii)はエタノールは非常良く分解するが、酢酸の分解速度が遅いのに対し、図2−cに示すキャンディダ ヒロフィラ(Candida hylophila)は、エタノールの共存下でほぼ24時間で0.5%(w/v)の酢酸を分解できることが判った。
[実施例1]エタノール資化能微生物を使用したエタノールの処理方法
内径8cm、長さ50cmのアクリル製カラムに、エタノール資化能を有する微生物として実験例1で選抜されたキャンディダ ニトラチヴォランスCY 4-1G(Candida nitrativorans)の菌液を107〜108個/担体(乾燥重量)となるように含浸させたピートモス2リットルと炭酸カルシウム30gの混合物を水分含量50〜60%となるように調整した後に充填した。
微生物の菌液は、微生物キャンディダ ニトラチヴォランスCY 4-1GをBacto YM Broth(Difco社製、1リットルの水中に酵母抽出物(Yeast Extract)3g,麦芽抽出物(Malts Extract)3g,ペプトン5g,デキストロース10gを含む)21g/水1リットルの組成の液体培地中で10リットルのジャーファーメンターにより24−48時間培養して得た。
一方、空気をエタノール水溶液に吹き込んでバブリングにより発生させたエタノールを含む気体(2000ppm)をアクリル製カラムに対し、1リットル/分の流量で送入した。換算すると、エタノール負荷量は120g/m3/hrとなる。カラムの出口では、排出される気体中のエタノールの濃度を測定した。排出された気体中のエタノールの濃度は、ガスクロマトグラフィにより測定し、カラムはスペルコ社製(Supelco社製)パックドカラム(5%Carbowax 20M/GP 60/80 CarbopackB、2.6mmφ×2m)で、キャリアーガスはN2、流量25ml/分、温度はインジェクション及びカラムは100℃、ディテクションは200℃、検出はFID、サンプル量1mlの条件で行った。エタノール除去率が50%台になった時点で試験を中止した。
その結果を図3の曲線3−aに示す。カラム出口の排出気体中エタノール濃度は、180日(6ヶ月)にわたって、常に200ppmを越えることはなく、エタノール除去率は90%以上であった。
[実施例2]エタノール資化能微生物にチアミンを与えたエタノールの処理方法
内径8cm、長さ50cmのアクリル製カラムに、エタノール資化能を有する微生物として実験例1で選抜されたキャンディダ ニトラチヴォランスCY 4-1G(Candida nitrativorans)の菌液を107〜108個/g担体(乾燥重量)となるように含浸させたピートモス2リットルと炭酸カルシウム30gとチアミン1mgを含有する米ぬか40gとの混合物を水分含量50〜60%となるように調整した後、充填した。微生物の菌液の調製は実施例1と同様に行った。
一方、空気をエタノール水溶液に吹き込んでバブリングにより発生させたエタノールを含む気体(2000ppm)をアクリル製カラムに対し、1リットル/分の流量で送入した。換算すると、エタノール負荷量は120g/m3/hrとなる。カラムの出口では、排出される気体中のエタノールの濃度を、ガスクロマトグラフィにより実施例1と同様に測定した。エタノール除去率が50%台になった時点で試験を中止した。
その結果を図3の曲線3−bに示す。実施例1では、運転開始から180日を過ぎると、エタノールの除去率が減少する傾向があったが、チアミン源として米ぬかを添加した実施例2の場合、曲線3−bに示すようにエタノール除去率が95%以上の処理能力を420日以上にわたって維持した。
本発明による装置は、一般には屋外に設置されることが多い。また屋内に設置されても、エアーコンディション等室温をコントロールする装置が設備されることは少なく、外気温度の影響を受けやすい環境下に置かれることが多い。従って、通常は20℃から38℃以下である装置内の担体の温度が、夏場等は40℃以上に上昇する場合もある。また、担体内の微生物が資化を行う際に熱が発生するので、資化が盛んに行われているような状況でも、やはり担体の温度が40℃以上に上昇する場合がある。担体の温度が40℃以上に上昇すると、担体に保持されている微生物の生育がにぶり、その資化能も低下してくる。そこで、本発明者らは、担体の温度が40℃以上に上がったような場合においても、本発明のエタノールの処理方法が実施できる微生物を探索し、実験例1において高エタノール資化能微生物として選抜されたピチア アングスタ(ATCC64209)が40℃以上の高温耐性能を有するとされていた(Agric.Biol.Chem.,50(4),827〜832,1986)ので、次の実施例3に示すように、このピチア アングスタ(ATCC64209)を使用して、エタノール処理方法を実施した。
[実施例3]高温耐性能を有するエタノール資化能微生物を使用したエタノールの処理方法
直径8cm、長さ50cmのアクリル製カラムを2個(a及びb)用意し、エタノール資化能を有する微生物として実験例1で選抜されたキャンディダ ニトラチヴォランスCY4-1G(Candida nitrativorans)の菌液、並びに高温耐性酵母ピチア アングスタATCC64209(Pichia angusta)の菌液をそれぞれ別個に107〜108個/g担体(乾燥重量)となるように含浸させたピートモス2リットルと炭酸カルシウム30gとチアミン1mgを含有する米ぬか40gとの混合物を水分含量50〜60%となるように調整した後、それぞれのカラムに充填した。微生物の菌液の調整は実施例1と同様に行った。
一方、空気をエタノール水溶液に吹き込んでバブリングにより発生させたエタノールを含む気体(2000ppm)をa及びbのいずれのアクリル製カラムに対しても、1リットル/分の流量で送入した。換算すると、エタノール負荷量は120g/m3/hrとなる。なお、本試験は37℃の恒温室内にて実施した。両方のカラムの出口では、排出される気体中のエタノール濃度をガスクロマトグラフィにより実施例1と同様に測定した。エタノール除去率が50%台になった時点で試験を中止した。また、担体に温度計を差込み、試験中の担体の温度を測定した。
その結果を図4に示す。曲線4−aは、キャンディダ ニトラチヴォランスCY4-1G(Candida nitrativorans)を担体に加えたカラムaの場合で、試験期間中、担体の温度は37〜45℃で推移し、30日目以降エタノール除去率が急激に落ちてくることが認められた。一方、曲線4−bは、ピチア アングスタATCC64209(Pichia angusta)を担体に加えたカラムbの場合で、試験期間中、担体の温度は37〜45℃であったにもかかわらず、90日目でも120g/m3/hrのエタノール負荷条件でほぼ95%以上の処理が可能であった。
実施例3の結果から、ピチア アングスタATCC64209(Pichia angusta)は担体が40℃以上の高温になった場合でも、本発明のエタノールの処理方法を実施でき、排気中のエタノール除去率が90%以上で、90日以上実施できた。
[実施例4]エタノール資化能を有する微生物とエタノール存在下で酢酸資化能を有する微生物の併用でのエタノールの処理方法
直径8cm、長さ50cmのアクリル製カラムを2個(a及びb)用意し、エタノール資化能を有する微生物として実験例1で選抜されたキャンディダ ニトラチヴォランスCY 4-1G(Candida nitrativorans)の菌液を107〜108個/g担体(乾燥重量)となるように含浸させたピートモス2リットルと炭酸カルシウム30gとチアミン1mgを含有する米ぬか40gとの混合物を水分含量50〜60%となるように調整した後、それぞれのカラムに充填した。微生物の菌液の調整は実施例1と同様に行った。
一方、空気をエタノール水溶液に吹き込んでバブリングにより発生させたエタノールを含む気体(6000ppm)をa及びbのいずれのアクリル製カラムに対しても、1リットル/分の流量で送入した。換算すると、エタノール負荷量は360g/m3/hrとなる。両方のカラムの出口では、排出される気体中のエタノールの濃度をガスクロマトグラフィにより実施例1と同様に測定した。いずれのカラムにも試験開始後1ヶ月後に、その後は1ヵ月おきに1度、硝酸アンモニウム3gとリン酸水素二カリウム0.9gを水に溶解させてカラム上端から担体に添加した。片方のカラムbには試験開始後17日目と47日目と77日目にエタノール存在下で酢酸資化能を有する微生物として実験例2で選抜した微生物キャンディダ ヒロフィラCR 30(Candida hylophila)の菌液を109〜1010個/1リットル担体となるように、20mlずつ添加した。カラムaには何も添加しなかった。微生物の菌液の調整は実施例1と同様に行った。いずれもエタノール除去率が50%台になった時点で試験を中止した。
その結果を図5に示す。曲線5-aは、エタノール存在下で酢酸資化能を有する微生物を混在させないカラムaの場合で、20日目以降エタノール除去率が急激に落ちてくることが認められた。一方、曲線5-bは、エタノール存在下で酢酸資化能を有する微生物を混在させたカラムbの場合で、運転90日目でも360g/m3/hrの高エタノール負荷条件でもほぼ95%以上の処理が可能であった。
また、カラムaでは43日目にカラム底部から排出された排水のpHを測定したところ、pHは3.5で、更に排水中の酢酸濃度を実験例2と同様に高速液体クロマトグラフイーで分析したところ、2.5w/v%の酢酸が検出された。なお、カラムbでは9日目、43日目、64日目、91日目の時点での排水のpHを測定したところ、それぞれpHは7.23、7.59、7.46、7.13であり、排水中の酢酸濃度も高速液体クロマトグラフィーで分析したが、いずれも酢酸は検出されなかった。
[実施例5]エタノール資化能を有する微生物を使用したエタノールの処理方法
担体部容量5m3(150cm×333cm×100cm)である図1-bに示す装置の担体部に、担体としてピートモス5m3、炭酸カルシウム75kg、米ぬか100kg、エタノール資化能を有する微生物として実験例1で選抜されたキャンディダ ニトラチヴォランスCY 4-1G(Candida nitrativorans)菌液100リットル(混合後107〜108個/g乾燥担体)を充填した。微生物の菌液の調整は実施例1と同様に行った。醸造施設内のエタノールを含む排気をエタノール濃度2000ppmになるように外部空気で希釈してから、風量2.5m3/分で担体部上部より下向流で通気した。換算すると、エタノール負荷量は120g/m3/hrとなる。装置の排気口では、排出される気体中のエタノールの濃度の経時変化をガスクロマトグラフィー分析により96時間おきに測定した。
担体には試験開始後1ヶ月後に、その後は1ヵ月おきに1度、硝酸アンモニウム15kgとリン酸水素二カリウム4.5kgを水に溶解させて担体部上端から添加した。装置稼動から1年間観察したが、1年にわたって、常に安定してエタノール除去率90%以上を維持した。
[産業上の利用可能性]
本発明の方法では、微生物に接触させた排気中のエタノール除去率が90%以上と非常に優れた分解処理能力があり、更に120g/m3/hr以上の非常に高濃度でかつ高負荷条件のエタノールの分解処理においても、長期間に安定な処理が可能となった。また本発明の方法では、360g/m3/hr以上の高濃度のエタノールを含む排気においても、エタノール除去率は95%以上である。従来の方法では、120g/m3/hr以上の高負荷条件でのエタノール除去率90%以上というものは1例しか報告されていないが、本発明による方法は著しくエタノールの除去率を向上させ、かつ高濃度のエタノールを含む排気の分解処理を長期間にわたり可能とした。例えば、1時間に12kgのエタノールを含む排気を分解処理しなければならない場合、従来技術の最大能力120g/m3/hrでは最低100m3の担体容量が必要となるが、本発明のように360g/m3/hrの処理能力であれば、約33m3まで必要担体容量を小さくすることが可能になる。これにより、バイオフィルター装置のコンパクト化に大きく寄与し、エタノール分解処理へのバイオフィルター装置の適用範囲を広げることが可能となった。本発明による方法では、接触させた排気中のエタノールの除去率が95%以上と高除去能力があり、またこの高除去能力を維持したまま120g/m3/hr以上での非常に高濃度でかつ高負荷条件でのエタノールの処理方法の長期実施が可能となった。更に、微生物を含む担体のメンテナンスも容易である。
また、エタノール資化能を有する微生物に、エタノールの存在下で酢酸資化能を有する微生物を混在させることにより、担体中のpHのコントロールと担体中の微生物のストレスの抑制が可能となり、より高速の分解処理及び高能力でのエタノールの処理が、長期に渡り安定的に行えるようになった。
更に、チアミンを微生物に供給することにより、より高速及び高能力で長期間の分解処理が行えるようになった。

Claims (6)

  1. 担体に保持させたエタノール資化能を有する微生物に排気中のエタノールを接触させて、エタノールを分解することを特徴とする排気中のエタノールの処理方法において、エタノールの分解を促進するために、担体中にチアミン又はチアミンを含む物質を、チアミンとして担体1リットルあたり0.5mg以上添加することを特徴とする排気中のエタノールの処理方法。
  2. エタノール資化能を有する微生物が、キャンディダ(Candida)属、ピチア(Pichia)属及び/又はハンセヌラ(Hansenula)属から選ばれる微生物であることを特徴とする請求項1に記載の排気中のエタノールの処理方法。
  3. エタノール資化能を有する微生物が、キャンディダ ヒロフィラ(Candida hylophila)、キャンディダ ニトラチヴォランス(Candida nitrativorans)、キャンディダ ボイディニ(Candida boidinii)及び/又はピチア アングスタ(Pichia angusta)から選ばれる微生物であることを特徴とする請求項2に記載の排気中のエタノールの処理方法。
  4. 排気中のエタノールを、担体に保持させたエタノール資化能を有する微生物、及びエタノールの存在下で酢酸資化能を有するキャンディダ ヒロフィラ(Candida hylophila)に接触させて、エタノールを処理することを特徴とする請求項1〜3のいずれか一項に記載の排気中のエタノールの処理方法。
  5. エタノール資化能を有する微生物がキャンディダ ニトラチヴォランス(Candida nitrativorans)又はピチア アングスタ(Pichia angusta)であり、エタノール負荷量120g/m3/hr以上で排気中のエタノール除去率が90%以上であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載の排気中のエタノールの処理方法。
  6. 排気中のエタノールの処理装置であって、
    エタノール資化能を有する微生物とチアミンとを含む担体の層、
    前記担体層に散水するための散水手段、及び
    エタノールを含む排気を前記担体層に通気するための通気手段、を有し、
    前記チアミンの量が担体1リットルあたり0.5mg以上である、
    処理装置。
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