JP2015120119A - 六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】簡単に、安全に、確実に、しかも低コストで短期間に六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法を提供すること。【解決手段】酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜と、醸造酢とを利用した六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法。【選択図】なし
Description
本発明は、六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法に関する。
精練工場、クロムメッキ工場、化学工場(顔料、染料、触媒、防錆剤などの製造工場等)、合金製造工場、皮革工場(クロムなめし)、金属製品製造工場、鉱山などから排出される廃水や汚泥にはクロムが多く含まれており、さらに工場の跡地(土壌中)にもクロムが多量に含まれていることがある。
また、セメントなどのアルカリ性の地盤固化用資材(土壌固化用資材)を用いて行われることの多いトンネル工事やダム工事で排出される土壌や汚泥は、アルカリ分を多く含み、高いpH(通常pH10〜12程度)を有しているが、工事現場の土壌環境などによっては排出されるアルカリ性の土壌または汚泥中に六価クロムが相当な濃度(例えば許容量
以上の濃度)で含まれていることがある。
また、土木工事や建設工事などに伴って排出されるコンクリートブロック廃材、車両廃材、電気・電子部品廃材等の廃材においても、六価クロムが相当な濃度で含まれていることがある。
また、セメントなどのアルカリ性の地盤固化用資材(土壌固化用資材)を用いて行われることの多いトンネル工事やダム工事で排出される土壌や汚泥は、アルカリ分を多く含み、高いpH(通常pH10〜12程度)を有しているが、工事現場の土壌環境などによっては排出されるアルカリ性の土壌または汚泥中に六価クロムが相当な濃度(例えば許容量
以上の濃度)で含まれていることがある。
また、土木工事や建設工事などに伴って排出されるコンクリートブロック廃材、車両廃材、電気・電子部品廃材等の廃材においても、六価クロムが相当な濃度で含まれていることがある。
クロムには、二価、三価および六価の化合物などがあり、これらの化合物のうち、二価のクロム化合物は不安定で、酸化されて三価のクロム化合物になり易く、三価のクロム化合物は最も安定である。
クロム化合物のうち、六価のクロム化合物(六価クロム)は、胃腸炎、皮膚炎、味覚障害や嗅覚障害、肝障害などの種々の障害を引き起こし、さらには発癌性を有するとされている有毒物質であり、一方、三価のクロム化合物(三価クロム)は六価クロムに比べて毒性が低い。
かかる点から、工場などから排出される廃水や、上水(水道水)などにおいては、クロム、特に六価クロムの含有量が法律によって規制されており、例えば下水(排水)中の六価クロムの含有量は0.5ppm以下に、また上水中の六価クロムの含有量は0.05ppm以下に定められている。土壌中などの環境中に存在する六価クロムは、昭和50年以降は法律により規制され、三価クロムに還元処理されている。
クロム化合物のうち、六価のクロム化合物(六価クロム)は、胃腸炎、皮膚炎、味覚障害や嗅覚障害、肝障害などの種々の障害を引き起こし、さらには発癌性を有するとされている有毒物質であり、一方、三価のクロム化合物(三価クロム)は六価クロムに比べて毒性が低い。
かかる点から、工場などから排出される廃水や、上水(水道水)などにおいては、クロム、特に六価クロムの含有量が法律によって規制されており、例えば下水(排水)中の六価クロムの含有量は0.5ppm以下に、また上水中の六価クロムの含有量は0.05ppm以下に定められている。土壌中などの環境中に存在する六価クロムは、昭和50年以降は法律により規制され、三価クロムに還元処理されている。
そして、土壌や汚泥などに含まれる六価クロムの濃度を化学的に低減する方法が知られており、例えば、六価クロムで汚染された土壌を、十分な量のアスコルビン酸で処理して、三価クロムなどの低原子価にして六価クロム濃度を低減する方法などを挙げることができる。しかしながら、この方法では、比較的高価なアスコルビン酸を多量に使用する必要があるため、処理すべき水、土壌、汚泥の量が多い場合は、処理コストが膨大になり、実用性に乏しい。六価クロムは、土壌中に存在し、しかもその地盤の上には建造物が構築されていることも多いので、化学薬品等により処理するために化学工場へ土壌を運搬することは困難である。
また、上記した化学的な方法とは別に、微生物の分解能力を利用するバイオレメディエーションが知られている。バイオレメディエーションは、大規模な設備や多大なエネルギーを必要としないので、コスト面などで優れている。バイオレメディエーションにより、汚染環境中から六価クロムを取り除く実用化を妨げている主たる要因としては、微生物の六価クロム還元能力が低いことがある。
また、井戸や井戸水に通ずる地下水脈を利用して微生物を拡散させて処理方法も知られている。六価クロムは、いったん三価クロム(水酸化クロム)に還元されると、土壌粒子によりろ過されて地下水から除去される。
また、井戸や井戸水に通ずる地下水脈を利用して微生物を拡散させて処理方法も知られている。六価クロムは、いったん三価クロム(水酸化クロム)に還元されると、土壌粒子によりろ過されて地下水から除去される。
ここで、EM(有用微生物群)について説明しておく。EMの特徴は、乳酸菌・酵母・光合成細菌などの有用な微生物たちが共存しているところにある。中心的存在の光合成細菌は、水田や河川、海岸の土、下水処理場など、水がたまっているところには、どこにでも存在するものである。生育するのに最適な温度は約30℃言われているがが、水温0℃の南極の氷の下や、90℃にもなる高温地帯でも生息が確認されている。また、耐塩性にも優れ、10%以下の食塩濃度では十分に生育でき、食塩濃度が30%にもなる塩水湖でも確認されている。なお、周囲の微生物に影響されやすく、腐敗菌などの有害微生物が多い環境では、そちらになびいてしまい、本来の良さを発揮することができない。
この光合成細菌の弱点を克服するのが、有用微生物である酵母や乳酸菌との組み合わせである。酵母などの微生物は有機物をエサ(基質)として分解する。それらが分解された後にできる有機酸やアミノ酸などは光合成細菌の絶好のエサになる。また、乳酸菌は、糖類などをエサ(基質)にして乳酸を作り出す。乳酸には強い浄菌力があるので、有害な微生物も近寄れなくなり、光合成細菌が有害微生物になびいてしまうこともなくなる。
光合成細菌は太陽のエネルギーを利用して、光合成を行う際に必要な水素(H2)を、硫化水素(H2S)、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)などの還元物質から切り離して利用する。そして、その生成物の一部を自分たちが動くためのエネルギー源にすると同時に、炭水化物、アミノ酸、タンパク質、抗酸化物質などの多様な物質も作り出す。
また、光合成細菌は植物が利用できない紫外線やマイクロ波など、あらゆるエネルギーを利用することができ、放射線などのエネルギーも利用することができる。
この光合成細菌の弱点を克服するのが、有用微生物である酵母や乳酸菌との組み合わせである。酵母などの微生物は有機物をエサ(基質)として分解する。それらが分解された後にできる有機酸やアミノ酸などは光合成細菌の絶好のエサになる。また、乳酸菌は、糖類などをエサ(基質)にして乳酸を作り出す。乳酸には強い浄菌力があるので、有害な微生物も近寄れなくなり、光合成細菌が有害微生物になびいてしまうこともなくなる。
光合成細菌は太陽のエネルギーを利用して、光合成を行う際に必要な水素(H2)を、硫化水素(H2S)、メタン(CH4)、アンモニア(NH3)などの還元物質から切り離して利用する。そして、その生成物の一部を自分たちが動くためのエネルギー源にすると同時に、炭水化物、アミノ酸、タンパク質、抗酸化物質などの多様な物質も作り出す。
また、光合成細菌は植物が利用できない紫外線やマイクロ波など、あらゆるエネルギーを利用することができ、放射線などのエネルギーも利用することができる。
関連技術として、六価クロムにより汚染された土壌、地下水及び底質に鉄及び第一鉄の少なくとも一方と微生物活性剤を添加し、六価クロムを効率よく化学的・生物的に還元し、さらには鉄還元微生物を増殖・活性化することで、添加した鉄の還元力を長期間にわたり持続させる技術が提案されている(特許文献1参照)。
しかし、土壌中に微生物を散布することにより土壌中に存在する六価クロムと微生物の接触により、三価に還元処理する場合、単に土壌中に微生物のみを撒くだけでは、微生物の増殖スピードよりも、微生物の死滅スピードの方が速いため、持続的・継続的な六価クロムの三価への還元処理は困難であるという問題点がある。
本発明の目的は、簡単に、安全に、確実に、しかも低コストで短期間に六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法を提供することにある。
本発明の六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法は、酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜と、酢酸類とを利用した。
また、本発明の六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法は、治具を用いて土壌に形成した所定の深さの凹部に前記酵母菌、前記乳酸菌、前記光合成細菌と、前記糖蜜と、前記酢酸類とを入れてもよい。
本発明の六価クロムを還元する液剤は、酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜と、酢酸類とを含む。
本発明の液剤の製造方法は、酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜とにより培養し、さらに酢酸類と混合して六価クロムを還元する液剤を製造する。
本発明の菌床は、六価クロムを還元する微生物群の菌床である。
本発明の越冬方法は、六価クロムを還元する微生物群の越冬方法である。
本発明によれば、簡単に、安全に、確実に、しかも低コストで短期間に六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法を提供することができる。
以下、本発明の実施の形態を説明する。
本実施形態の六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法は、微生物等の土壌表面や水中などの環境中への散布のみで増殖・還元が実現されるものである。
本実施形態の六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法は、微生物等の土壌表面や水中などの環境中への散布のみで増殖・還元が実現されるものである。
本実施形態における液剤は、所定の割合(例えばそれぞれ2:2:6)の酵母菌、乳酸菌、光合成細菌(広義には光合成を行う真正細菌の総称であるが、シアノバクテリアを除く酸素非発生型光合成をする細菌の総称として使われる。例えば、紅色細菌、紅色非硫黄細菌等がある。なお、酸素がなくてもべん毛で活発に動く。)と、糖蜜(精製糖の場合には塩を加えてもよい。)と、醸造酢とを主成分とする。
六価クロムは、例えば、5mmの球形で敷き詰められて土壌中に配置されている。それらの間隙には土砂等が詰まっていても液剤(微生物を含む)は浸透していく。
六価クロムは、上記の微生物等により還元されて三価クロム等となり環境(土・水など)が改善される。
六価クロムは、上記の微生物等により還元されて三価クロム等となり環境(土・水など)が改善される。
糖蜜は、コロイド状や塊にしてもよく、微生物のエサとなったり、基地(住処)になってもよい。
醸造酢は主に酸性にするため等に用いられ、発酵スピードのアップや還元能力のアップ等が図られる。なお、硫酸等の強酸よりも環境的な面などの問題が少ないというメリットがある。
液剤又は改良剤の製造方法としては、酵母菌、乳酸菌、光合成細菌等と、糖蜜と、醸造酢とを混合して製造することであってもよい。液剤又は改良剤は、プラスチック容器等に詰めて運搬されてよい。
酵母菌、乳酸菌、光合成細菌等は、大型タンク(培養液容器)等により大量に培養して液剤又は改良剤のコストダウンを図ることであってもよい。EMの中で最初に動き出すのは「酵母菌」で、この「酵母菌」を動かすためには「砂糖又は糖蜜」が不可欠である。「酵母菌」が動くと、次は「乳酸菌」というように連鎖反応的に動きが活発になって、活性状態となる。2リットルペットボトルを使用して培養液を作る際に必要な分量は、EM(40cc)、砂糖又は糖蜜(40グラム又は40cc)、水又は米のとぎ汁(1900cc)である。発酵環境(なるべく暖かい場所)を整え、十分に発酵させる。夏場で1週間弱、冬場で2週間程度で、発酵するとガスが溜まるためガスを逃がす。
この培養の際に、ボール状のセラミックやアルミナやシリカを入れることであってもよい。吸着や触媒活性を示し、他の物質を固定する土台となる担体として機能させることであってもよい。
酵母菌、乳酸菌、光合成細菌等は、大型タンク(培養液容器)等により大量に培養して液剤又は改良剤のコストダウンを図ることであってもよい。EMの中で最初に動き出すのは「酵母菌」で、この「酵母菌」を動かすためには「砂糖又は糖蜜」が不可欠である。「酵母菌」が動くと、次は「乳酸菌」というように連鎖反応的に動きが活発になって、活性状態となる。2リットルペットボトルを使用して培養液を作る際に必要な分量は、EM(40cc)、砂糖又は糖蜜(40グラム又は40cc)、水又は米のとぎ汁(1900cc)である。発酵環境(なるべく暖かい場所)を整え、十分に発酵させる。夏場で1週間弱、冬場で2週間程度で、発酵するとガスが溜まるためガスを逃がす。
この培養の際に、ボール状のセラミックやアルミナやシリカを入れることであってもよい。吸着や触媒活性を示し、他の物質を固定する土台となる担体として機能させることであってもよい。
以下、本実施形態の六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法のフローを説明する。ここでは、土壌中の六価クロムを還元して三価クロムとする処理を前提とする。
まず、予め、土壌の表面(地表)に所定の深さ(例えば10cm)の穴を所定の間隔(例えば20cm)であけるために、ローンスパイク(登録商標)等の簡易穴あけ治具を用いて、穴を設ける。治具には、刃の部分が中空になっており何度か突き刺すことで刃の中に詰まった土等が押し出されるタイプ、スパイク状のタイプ、根きり用タイプなどがある。なお、ゴルフ場のグリーンのエアレーション用の大型の機械や農具のフォークを使って穴をあけることであってもよい。
この所定の深さ(例えば10cm)の穴を形成することで、液剤が浸透しやすくなったり、液剤が溜まって留まるためすぐに拡散せずに菌床的な作用をもたらすという効果を奏する。
この所定の深さ(例えば10cm)の穴を形成することで、液剤が浸透しやすくなったり、液剤が溜まって留まるためすぐに拡散せずに菌床的な作用をもたらすという効果を奏する。
次に、1回目は、微生物の培養液の原液を土壌の表面(地表)に散布する。すなわち、所定の割合(例えばそれぞれ2:2:6)の酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜(精製糖の場合には塩を加える。)と、醸造酢とを土壌の表面(地表)に散布する。土壌中の深部に液剤が浸透するまで糖蜜などにより生存可能であってもよい。
土壌中の六価クロムは、例えば、5mmの球形で敷き詰められて配置され微生物等により還元されて三価クロム等となり環境(土)が改善される。
土壌中の六価クロムは、例えば、5mmの球形で敷き詰められて配置され微生物等により還元されて三価クロム等となり環境(土)が改善される。
さらに、2回目は、微生物の培養液の希釈液を土壌の表面(地表)に散布する。2回目と3回目の間隔は例えば数ヶ月であってもよい。微生物等による還元作用を維持するためである。
この際、菌床となるものが存在してもよい。なお、この菌床は、越冬のために用いられるコロニーとなってもよい。
また、土壌中の微生物は地熱や雪の保温力で生き残り越冬(温度サイクルは試験レベル)することであってもよい。特に上記の所定の深さ(例えば10cm)の穴を形成することで地表面よりも温度低下の影響を受け難くして越冬を容易にすることができる。所定の菌床(多孔質の六価クロム鉱さい自体がなってもよい。)が利用されてもよい。また、栄養(糖蜜・米ぬか)により再発酵で活動を活発化させることであってもよい。
越冬方法は、微生物+栄養又は、微生物+カバーの組合せにより実現されてもよい。土壌中の微生物が越冬する場合、例えば2年又は3年に1回の割合で微生物の培養液の原液を土壌に散布する。
越冬方法は、微生物+栄養又は、微生物+カバーの組合せにより実現されてもよい。土壌中の微生物が越冬する場合、例えば2年又は3年に1回の割合で微生物の培養液の原液を土壌に散布する。
上記の六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法によれば、微生物等の土壌への散布のみで、簡単に、安全に、確実に、しかも低コストで短期間に土壌中の六価クロムを還元して三価クロムとすることができる。なお、六価クロムの微生物への吸着を伴うことであってもよい。
また、六価クロムは有機物や微生物と接することで三価クロムに還元され、生成された三価クロムは安定であり、自然状態で時間の経過により三価クロムが再酸化して六価クロムとなる問題も低減することが可能であってもよい。六価クロムの還元によって生じた三価クロムは、一般に、酸性状態では安定で、酸化されにくい(六価クロムに戻りにくい)が、アルカリ性状態では比較的酸化され易い(酸化されて六価クロムに戻り易い)という性質を有するため、土壌中の六価クロム濃度の低減状態と、pHを同時にチェックしながら処理を行うことが望ましい。
さらに、微生物を利用することで、土壌の栄養条件が改善されるため、汚染を浄化した後にその土地が耕作好適地となる。
また、六価クロムは有機物や微生物と接することで三価クロムに還元され、生成された三価クロムは安定であり、自然状態で時間の経過により三価クロムが再酸化して六価クロムとなる問題も低減することが可能であってもよい。六価クロムの還元によって生じた三価クロムは、一般に、酸性状態では安定で、酸化されにくい(六価クロムに戻りにくい)が、アルカリ性状態では比較的酸化され易い(酸化されて六価クロムに戻り易い)という性質を有するため、土壌中の六価クロム濃度の低減状態と、pHを同時にチェックしながら処理を行うことが望ましい。
さらに、微生物を利用することで、土壌の栄養条件が改善されるため、汚染を浄化した後にその土地が耕作好適地となる。
以下に、六価クロム鉱さいを用いた溶出抑制基礎実験の実験結果データその1を示す。液剤は、それぞれ2:2:6の割合の酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜と、醸造酢からなる。それぞれのパターンのクロム鉱さい1gを純水10ml中に1時間放置した場合の溶出量(mg/l)を測定した。なお、クロム鉱さい1gを純水10ml中に溶解させた初期値は23.72mg/lである。
パターン1:クロム鉱さい1g+液剤1ml、1週間静置
1週間後の測定値:5.62mg/l、減少率76.306914%
1週間後の測定値:5.62mg/l、減少率76.306914%
パターン1’:クロム鉱さい1g+液剤2ml、1週間静置
1週間後の測定値:0.54mg/l、減少率97.72344013%
1週間後の測定値:0.54mg/l、減少率97.72344013%
パターン2:クロム鉱さい1g+液剤1ml、1週間静置した後に液剤1mlを追加してさらに1週間静置
2週間後の測定値:0・091mg/l 減少率99.6163575%
2週間後の測定値:0・091mg/l 減少率99.6163575%
パターン3 クロム鉱さい1g+液剤1ml 乾燥しないように純水を足しながら2週間静置
2週間後の測定値:0・004mg/l 減少率99.98313659%
2週間後の測定値:0・004mg/l 減少率99.98313659%
パターン4 クロム鉱さい1g+液剤1ml 2週間密封静置
2週間後の測定値:0・143mg/l 減少率99.39713322%
2週間後の測定値:0・143mg/l 減少率99.39713322%
上記の実験結果データその1より、パターン1の液剤1mlでも1週間後の減少率76.306914%が確保されるが、パターン1’のように液剤2mlと液剤を増量することで、1週間後の減少率97.72344013%が実現される。
また、パターン2で、当初の液剤1mlに対して、1週間静置した後に液剤1mlを追加してさらに1週間静置する場合、当初の液剤1mlは3日目頃からほぼ完全に乾燥してしまう状態であるが、液剤の追加により、2週間後の減少率99.6163575%が実現される。
また、パターン3、パターン4では当初の液剤1mlがほぼ完全に乾燥してしまうことを回避して、2週間後の減少率99.98313659%、減少率99.39713322%が実現される。
法律による上水中の六価クロムの含有量は0.05ppm以下という規制もクリアできる。
また、パターン2で、当初の液剤1mlに対して、1週間静置した後に液剤1mlを追加してさらに1週間静置する場合、当初の液剤1mlは3日目頃からほぼ完全に乾燥してしまう状態であるが、液剤の追加により、2週間後の減少率99.6163575%が実現される。
また、パターン3、パターン4では当初の液剤1mlがほぼ完全に乾燥してしまうことを回避して、2週間後の減少率99.98313659%、減少率99.39713322%が実現される。
法律による上水中の六価クロムの含有量は0.05ppm以下という規制もクリアできる。
以下に、六価クロム水溶液を用いた溶出抑制基礎実験の実験結果データその2を示す。液剤は、それぞれ2:2:6の割合の酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜と、醸造酢からなる。六価クロムである二クロム酸カリウム56.8mgを1lの純水中に溶解させた後、200mlを三角フラスコに入れ、処理液を10ml添加後、それぞれ30分、60分、24時間、48時間、1週間放置した場合の溶出量(mg/l)を測定した。なお、初期値は19.24mg/lである。
30分後の測定値:14.68mg/l
60分後の測定値:12.82mg/l
24時間後の測定値:1.58mg/l
48時間後の測定値:0.081mg/l
1週間後の測定値:0.062mg/l、減少率99.67775468%
60分後の測定値:12.82mg/l
24時間後の測定値:1.58mg/l
48時間後の測定値:0.081mg/l
1週間後の測定値:0.062mg/l、減少率99.67775468%
上記の実験結果データその2より、30分や60分後でも減少し始め、1週間後には減少率97.72344013%が実現される。
法律による上水中の六価クロムの含有量は0.05ppm以下という規制もクリアできる。
法律による上水中の六価クロムの含有量は0.05ppm以下という規制もクリアできる。
さらに、上記の実験結果データその2における六価クロムである二クロム酸カリウム56.8mgを1lの純水中に溶解させた後、200mlを三角フラスコに入れ、処理液を10ml添加後、1週間放置したサンプルの総クロム量を測定し、六価クロムが三価クロムに酸化還元したことを確認する。
以下に、当該サンプルを純水20倍希釈でICP測定した全クロムICP実測値を示す。
全クロムICP実測値:0.9622mg/l
したがって、その20倍換算値は、全クロム19.244mg/lとなる。これは、上記の実験結果データその2における六価クロム(全クロム)の初期値が19.24mg/lであることと整合する。
上記の実験結果データその2における1週間放置したサンプルの六価クロムの溶出量は、0.062mg/lであるので、全クロム19.24mg/lから六価クロム0.062mg/lを差し引いた19.178mg/lが三価クロムといえる。
結論として、六価クロム19.24mg/lのうち19.178mg/lが三価クロムに酸化還元されたといえる。
以下に、当該サンプルを純水20倍希釈でICP測定した全クロムICP実測値を示す。
全クロムICP実測値:0.9622mg/l
したがって、その20倍換算値は、全クロム19.244mg/lとなる。これは、上記の実験結果データその2における六価クロム(全クロム)の初期値が19.24mg/lであることと整合する。
上記の実験結果データその2における1週間放置したサンプルの六価クロムの溶出量は、0.062mg/lであるので、全クロム19.24mg/lから六価クロム0.062mg/lを差し引いた19.178mg/lが三価クロムといえる。
結論として、六価クロム19.24mg/lのうち19.178mg/lが三価クロムに酸化還元されたといえる。
液剤中の配合比は、2:2:6の割合の酵母菌、乳酸菌、光合成細菌としているが、他の配合比に応じて微生物の活性度等による効果の相違が生じる可能性がある。
市販用の微生物として、菌体数が1010個/g程度に高濃度化され、使用時には水で150倍程度に希釈したうえで、10トンの土壌に対して70リットル程度散布すればよい。大量の微生物を散布して発酵を短期間に進め、発酵温度を一気に高めることにより、発酵期間を短縮する。
その他、一々例示はしないが、本発明は、その趣旨を逸脱しない範囲内において、種々の変更が加えられて実施されてよい。例えば、醸造酢に限らず酢酸類を用いることであってもよい。ゼオライト粉と貝化石粉と酵素に、乳酸菌、枯草菌、酵母菌、光合成細菌、放線菌、アスペルギルス属、ペニシリウム属、ノイロスポラ属、ムコール属、リゾープス属、シンセハラストラム属、アプシデア属、ストレプトマイセス属などの10数種の菌群と水分と糖分を混入し、それを30℃で発酵させたものを元菌とし、その元菌をさらに米ぬか等に粉末状に増殖させたり、胞子状の元菌を糖蜜等で約1日、増殖させて原液とし、用途に応じて何倍かに希釈して用いることであってもよい。
seudomonas aeruginosanをはじめとした数種の細菌が六価クロムを還元することは既に知られている(Y.Ishibashi, et
al. (1990) Appl. Environ.Microbiol. 56, 2268-2270)。さらに、所定の海水などを10mMの六価クロムを含む選択寒天培地の上に直接添加し、30℃でインキュベートして、添加から2ヶ月後、黄色の寒天培地上に六価クロム分解菌の白色のコロニーが形成され、このコロニーから六価クロム還元菌を単離することであってもよい。
糟糠類としては、例えば、小麦フスマ、末粉、米糠、コーンブラン、グルテンフィードなどがあり、入手の容易性、六価クロムの含有量の低減性能、コスト、作業性などの点から好ましい。六価クロム1mgに対して、糟糠類を1g(乾物換算)以上、特に10g(乾物換算)以上の割合で添加して嫌気的発酵を行うことが、六価クロムの含有量を短期間に効果的に低減できることから好ましい。糟糠類の添加量の上限値は特に制限されないが、コスト、作業性などの点から、水、土壌、汚泥または廃材に含まれる六価クロム1mg当り1000g(乾物換算)以下であることが好ましく、500g(乾物換算)以下であることがより好ましい。「六価クロム1mg当りの糟糠類の添加量(g)」とは、水、土壌、汚泥または廃材における六価クロムの濃度(ppm)を測定し、その測定値から水、土壌、汚泥または廃材の単位質量当りに含まれる六価クロムの質量(mg)を算出して、その1mg当りについて加える糟糠類の質量(g)(乾物換算)を意味する。
seudomonas aeruginosanをはじめとした数種の細菌が六価クロムを還元することは既に知られている(Y.Ishibashi, et
al. (1990) Appl. Environ.Microbiol. 56, 2268-2270)。さらに、所定の海水などを10mMの六価クロムを含む選択寒天培地の上に直接添加し、30℃でインキュベートして、添加から2ヶ月後、黄色の寒天培地上に六価クロム分解菌の白色のコロニーが形成され、このコロニーから六価クロム還元菌を単離することであってもよい。
糟糠類としては、例えば、小麦フスマ、末粉、米糠、コーンブラン、グルテンフィードなどがあり、入手の容易性、六価クロムの含有量の低減性能、コスト、作業性などの点から好ましい。六価クロム1mgに対して、糟糠類を1g(乾物換算)以上、特に10g(乾物換算)以上の割合で添加して嫌気的発酵を行うことが、六価クロムの含有量を短期間に効果的に低減できることから好ましい。糟糠類の添加量の上限値は特に制限されないが、コスト、作業性などの点から、水、土壌、汚泥または廃材に含まれる六価クロム1mg当り1000g(乾物換算)以下であることが好ましく、500g(乾物換算)以下であることがより好ましい。「六価クロム1mg当りの糟糠類の添加量(g)」とは、水、土壌、汚泥または廃材における六価クロムの濃度(ppm)を測定し、その測定値から水、土壌、汚泥または廃材の単位質量当りに含まれる六価クロムの質量(mg)を算出して、その1mg当りについて加える糟糠類の質量(g)(乾物換算)を意味する。
Claims (6)
- 酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜と、酢酸類とを利用した
六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法。 - 治具を用いて土壌に形成した所定の深さの凹部に前記酵母菌、前記乳酸菌、前記光合成細菌と、前記糖蜜と、前記酢酸類とを入れる請求項1に記載の六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法。
- 酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜と、酢酸類とを含む六価クロムを還元する液剤。
- 酵母菌、乳酸菌、光合成細菌と、糖蜜とにより培養し、さらに酢酸類と混合して六価クロムを還元する液剤を製造する液剤の製造方法。
- 六価クロムを還元する微生物群の菌床。
- 六価クロムを還元する微生物群の越冬方法。
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JP2013265702A JP2015120119A (ja) | 2013-12-24 | 2013-12-24 | 六価クロムを還元する微生物を用いた環境改善方法 |
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Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN105123013A (zh) * | 2015-09-29 | 2015-12-09 | 河南寰宇环保科技有限公司 | 黄金尾矿库表面净化及生态修复的方法 |
JP2019131780A (ja) * | 2018-02-02 | 2019-08-08 | 株式会社津田沼技研 | 六価クロム還元剤 |
CN114433618A (zh) * | 2022-01-27 | 2022-05-06 | 北京林业大学 | 一种利用厌氧消化污泥脱水滤液强化微生物还原固定土壤中Cr(VI)的方法 |
CN114506930A (zh) * | 2021-08-14 | 2022-05-17 | 盐城工学院 | 卷枝毛霉fnzj3-2-2在去除废水中六价铬的应用 |
-
2013
- 2013-12-24 JP JP2013265702A patent/JP2015120119A/ja active Pending
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2019131780A (ja) * | 2018-02-02 | 2019-08-08 | 株式会社津田沼技研 | 六価クロム還元剤 |
CN114506930A (zh) * | 2021-08-14 | 2022-05-17 | 盐城工学院 | 卷枝毛霉fnzj3-2-2在去除废水中六价铬的应用 |
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