JP4183224B2 - スルファモイルフェノール化合物の製造方法 - Google Patents

スルファモイルフェノール化合物の製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、感熱紙用顕色剤、医薬中間体、オフセット印刷版およびフォトレジスト用モノマー合成中間体などとして有用なスルファモイルフェノール化合物の新規な製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
スルファモイルフェノール類は、例えば特開2000−247038号などに開示されている感熱紙用顕色剤、Bioorganic and Medicinal Chemistry,4,2115(1996)、特表平11−505820号などに開示されている医薬中間体、特開平6−263717号などに開示されているオフセット印刷版およびフォトレジストなどのモノマー合成中間体、などとして有用な化合物である。
【0003】
この化合物の製造方法としては、合成する際、ヒドロキシル基と生成するスルホン酸ハライドが反応して樹脂化してしまい、収率が低下することを想定し、一旦、フェノールのヒドロキシル基を適当な保護基で保護した後、スルホン酸とハロゲン化剤を反応させ、スルホン酸ハライドを合成し、次いでスルホン酸ハライドとアミンを反応させた後に、脱保護するという非効率な方法が取られる場合が多い(例えば、エトキシカルボニル基による保護:特開平6−263717号;ピバロイル基による保護: Bioorganic and Medicinal Chemistry,4,2115(1996)) 。
保護基を用いない例は、特表平11−505820号にて開示されているが、ハロゲン化剤、酸クロリドなどの反応性の高い反応剤、中間体と反応させないという理由のためか、1,2−ジクロロエタンのような環境に有害なハロゲン系溶剤を使用することが必要であり、工業的に大量に製造するためには改良が必要である。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような従来のスルファモイルフェノール化合物の製造方法の欠点を克服し、短工程、高収率でスルファモイルフェノール化合物を製造しうる方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明の目的は、
(1)一般式(I)で表わされるスルファモイルフェノール化合物を製造するに当り、一般式(II)で表わされるフェノールスルホン酸化合物を無溶媒、または脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒またはスルホランから選ばれる溶媒で、ハロゲン系溶媒でない溶媒中、ホスゲン、五塩化リン、三塩化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル及びクロロスルホン酸からなる群から選ばれる化合物と40〜80℃で反応させて、SO M基をハロゲン化し、次いで、一般式(III)で表わされるアミン化合物と反応させることを特徴とする一般式(I)で表わされるスルファモイルフェノール化合物の製造方法、
一般式(I)
【0006】
【化4】
Figure 0004183224
【0007】
(式中、R1 は水素原子を表し、2 はアリール基を表す。)
一般式(II)
【0008】
【化5】
Figure 0004183224
【0009】
(式中、Mは水素原子またはカチオンを表わす。)
一般式(III)
【0010】
【化6】
Figure 0004183224
【0011】
(式中、R1、R2は一般式(I)と同じ意味をもつ。)
(2)用いる有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒であることを特徴とする請求項1記載の製造方法、及び
ハロゲン化剤が塩化チオニル又はクロルスルホン酸であることを特徴とする請求項1記載の製造方法
により達成された。
【0012】
【発明の実施の形態】
次に本発明の製造法について詳細に説明する
【0017】
一般式(I)において、R1 は水素原子を表し、2アリール基を表す。R は、好ましくは、炭素数6〜30の置換もしくは無置換のアリール基(例えばフェニル、ナフチル)である。を表わし、R1とR2が結合して、窒素原子とともに5〜7員環を形成していてもよい。アリール基は、ハロゲン原子、アルキル基(シクロアルキル基、ビシクロアルキル基のような環状アルキル基を含む)、アリール基、複素環基、シアノ基、ヒドロキシル基、ニトロ基、アルコキシ基、アリールオキシ基、複素環オキシ基、アシルオキシ基、カルバモイルオキシ基、アルコキシカルボニルオキシ基、アリールオキシカルボニルオキシ基、アシルアミノ基、アミノカルボニルアミノ基、アルコキシカルボニルアミノ基、アリールオキシカルボニルアミノ基、スルファモイルアミノ基、アルキル及びアリールスルホニルアミノ基、アルキルチオ基、アリールチオ基、複素環チオ基、スルファモイル基、アルキル及びアリールスルホニル基、アシル基、アリールオキシカルボニル基、アルコキシカルボニル基、カルバモイル基、アリール及び複素環アゾ基、イミド基で置換されていてもよい。
【0018】
一般式(II)において、Mは、水素原子またはカチオンを表わす。カチオンとしては、金属イオン(例えば、アルカリ金属イオン、アルカリ土類金属イオン)、アンモニウム塩、有機アミンの4級塩(例えば、テトラブチルアンモニウム、ベンジルトリメチルアンモニウム、ピリジニウム、イミダゾリウム)、ホスホニウム塩(例えば、テトラフェニルホスホニウム)などが挙げられ、好ましくは、金属イオンを表わす。Mは、特に好ましくは、水素原子またはNa、Kを表わす。
【0019】
本発明において、一般式(II)で表されるフェノールスルホン酸化合物に反応されるハロゲン化剤としては、ホスゲン、五塩化リン、三塩化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル、クロロスルホン酸であり、特に好ましくは、塩化チオニル、クロロスルホン酸である。
これらのハロゲン化剤は、一般式(II)で表されるスルホン酸化合物1モルに対して、0.2〜5モル、好ましくは、0.5〜4モル、特に好ましくは、1〜3モル用いられる。
【0020】
本発明において、一般式(III)で表されるアミン化合物中のR1、R2は一般式(I)のR1、R2で説明したと同じ意味をもつ。したがってこのアミン化合物の例としては、アンモニア、モノアルキルアミン、ジアルキルアミン、アルキルアリールアミン、モノアリールアミン、ジアリールアミンなどをあげることができ、特に好ましくは、アニリンが用いられる。
これらのアミン化合物は、スルホン酸化合物(II)のハロゲン化物1モルに対して、0.2〜5モル、好ましくは、0.5〜4モル、特に好ましくは、1〜3モル用いられる。アミン化合物を過剰に用いて、脱酸剤を兼ねることもできるが、新たに無機、有機の塩基を加えることもできる。
【0021】
本発明において反応は、無溶媒または、ハロゲン系溶媒以外の有機溶媒を用いて行われ、脂肪族炭化水素系溶媒(例えば、ヘキサン、ヘプタン、石油エーテル)、芳香族炭化水素系溶媒(例えば、トルエン、キシレン、メシチレン、クメン)、ニトリル系溶媒(例えば、アセトニトリル、ベンゾニトリル)、アミド系溶媒(例えば、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、N,N−ジメチルイミダゾリジノン)、またはスルホラン中で行なわれる。さらに好ましくは脂肪族炭化水素系溶媒または芳香族炭化水素系溶媒であり、特に好ましくは、芳香族炭化水素系溶媒である。これらの非水系溶媒は水溶性溶媒と比較し、反応操作における抽出において、分液溶媒を兼ねることができるメリットもある。
これらの溶媒は、一般式(II)で表されるスルホン酸化合物に対して、0.5〜50質量%、好ましくは、5〜30質量%用いられる。
【0022】
一般式(II)で表されるスルホン酸化合物をハロゲン化剤と反応させる工程の反応温度は、40℃〜80℃である。反応後、水を加えて、分液、水洗工程を入れることもできる。反応時間は、好ましくは、0.1〜5時間、より好ましくは、0.5〜3時間である。一般式(II)で表される化合物のハロゲン化物をアミン化合物と反応させる工程の反応温度は、好ましくは、0℃〜120℃、より好ましくは、20℃〜100℃、特に好ましくは、20℃〜80℃である。反応時間は、好ましくは、0.1〜5時間、より好ましくは、0.5〜3時間である。
【0023】
以下に一般式(II)、一般式(III)、一般式(I)で表わされる化合物の構造式を具体的に示すが、本発明は、これらにより限定されるものではない。
【0024】
【表1】
Figure 0004183224
【0025】
【表2】
Figure 0004183224
【0028】
【表5】
Figure 0004183224
【0031】
【表8】
Figure 0004183224
【0034】
【実施例】
以下に実施例に基づき本発明を説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。
【0035】
<実施例1>フェノールスルホン酸(II)−6とアミン(III)−10を用いる(I)−7の合成
フェノールスルホン酸ナトリウム二水和物(化合物(II)−6)11.6g(0.05mol)をトルエン50mlに分散し、N,N−ジメチルホルムアミド0.3mlを加え、さらに、塩化チオニル30.0g(0.25mol)を加え、内温48℃にて30分、内温58℃にて4時間、さらに内温65℃にて4時間、加熱攪拌した。室温に戻し、氷水100mlに注ぎ、分液、水洗を行った後、アニリン((III)−10)9.3g(0.1mol)を加え、内温70℃にて1.5時間加熱攪拌した。室温に戻し、水洗、濃縮後、n−ヘキサンを用いて、結晶化を行い、析出した結晶を濾過し、目的の化合物(I)−7を10.4g、収率84%にて得た。融点113〜115℃。
なお、上記の操作において、攪拌性および分液性はともに良好であり、問題はなかった。
Figure 0004183224
【0036】
<実施例2>実施例1におけるトルエンを種々の等容量の溶媒に置き換え、反応を行った結果を以下に示す。
【0037】
【表11】
Figure 0004183224
【0038】
芳香族炭化水素系溶媒の場合、トルエンとほぼ同等の収率で目的物が得られるのに対し、他の有機溶媒においては、若干の収率低下を招いたり、中間体の溶解性が不十分なため、タール状(飴状)になって攪拌性が悪化するものもあるが、塩化メチレンやクロロホルムと比較し、収率は良好である。ジクロロエタンの場合は、トルエンよりも若干収率が低いものの、かなり良好な収率で目的物が得られることがわかる。塩化メチレンの場合は、反応温度が低いために反応が遅く、低収率であった。これらのハロゲン系炭化水素系溶媒は、酸クロリド形成などの反応に対して不活性であり、従来好まれて使用されてきた経緯があるが、環境有害物質であり、大量に使用することは禁止的である。
【0039】
【発明の効果】
本発明の方法によれば、スルファモイルフェノール化合物を短工程で、収率良く、経済的に得ることができる。

Claims (3)

  1. 一般式(I)で表わされるスルファモイルフェノール化合物を製造するに当り、一般式(II)で表わされるフェノールスルホン酸化合物を無溶媒、または脂肪族炭化水素系溶媒、芳香族炭化水素系溶媒、ニトリル系溶媒、アミド系溶媒またはスルホランから選ばれる溶媒で、ハロゲン系溶媒でない溶媒中、ホスゲン、五塩化リン、三塩化リン、オキシ塩化リン、塩化チオニル及びクロロスルホン酸からなる群から選ばれる化合物と40〜80℃で反応させて、SO M基をハロゲン化し、次いで、一般式(III)で表わされるアミン化合物と反応させることを特徴とする一般式(I)で表わされるスルファモイルフェノール化合物の製造方法。
    一般式(I)
    Figure 0004183224
    (式中、R1 は水素原子を表し、2 はアリール基を表す。)
    一般式(II)
    Figure 0004183224
    (式中、Mは水素原子またはカチオンを表わす。)
    一般式(III)
    Figure 0004183224
    (式中、R1、R2は一般式(I)と同じ意味をもつ。)
  2. 用いる有機溶媒が、芳香族炭化水素系溶媒であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
  3. ハロゲン化剤が塩化チオニル又はクロルスルホン酸であることを特徴とする請求項1記載の製造方法。
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