JP4182923B2 - ころ軸受用保持器の設計方法 - Google Patents
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Description
上記一対の環状部5、6と柱部7、7で囲まれた空間は、ころ3を収納するポケット8と呼ばれ、保持器4ところ3の間に所定のすきまを設けることによって、ころ3は転動自在に当該保持器4に保持される。
この保持器4は、それぞれ図14及び図15に示すように、ころ端面と軸方向で対向する環状部5と、その環状部5の軸方向片側から突出してころ転動面と対向して周方向に並ぶ複数の柱部7とから構成された、くし形の保持器である。この保持器であっても、上記環状部5と柱部7、7で囲まれた空間は、ころ3を収納するポケット8と呼ばれ、保持器4ところ3の間に所定のすきまを設けることによって、ころ3は転動自在に当該保特器4に保持される。
以下の説明では、図15のように環状部5の軸方向片側から柱部7が突出する形状のくし形保持器を二体型、図16のように環状部5の軸方向両側から柱部7が突出する形状のくし形保持器を一体型と呼ぶ場合もある。
上記亀裂は、環状部5、6と柱部7との連結部に発生するので、この保持器4の破損を防止して軸受の寿命の劣化を防止するためには、上記周方向からの荷重Wによって当該連結部に生ずる曲げ応力を緩和する必要がある。
ここで、図1及び図2に示すような1対の環状部5、6を有する形式の保持器にあっては、上記ころ3からの荷重Wによって、図3に示すように、第1環状部5及び第2環状部6と柱部7との各連結部に、それぞれモーメントM1、M2が作用する。
σ1 =M1 e1/(2I1)・・・(1)
σ2 =M2 e2/(2I2)・・・(2)
σ3 =M1 e3/I3 ・・・(3)
σ4 =M2 e3/I3 ・・・(4)
I1 =∫A1z1 2dA1 ・・・(5)
I2 =∫A2z2 2dA2 ・・・(6)
I3 =∫A3z3 2dA3 ・・・(7)
上記(5)〜(7)式中のA1 、A2、A3は、それぞれ第1環状部5、第2環状部6、柱部7の各断面積である。
さらに、上記各断面二次モーメントI1 、I2、I3の座標系については、次のように定義したものである。
すなわち、断面二次モーメントI1は、図1に示すように、第1環状部5の断面上に、当該断面の図心を原点として、保持器外径面が規制される円すい面もしくは円筒面の法線方向にy1軸をとり、かつz1軸を、軸方向且つ上記円すい面もしくは円筒面の接線方向にとったy1−z1直交座標系によるものであり、柱部7の長さ方向に垂直な中立軸に対する断面二次モーメントである。また、断面二次モーメントI2は、第2環状部6の断面上に、当該断面の図心を原点として、上記円すい面もしくは円筒面の法線方向にy2軸をとり、かつ、z2軸を、軸方向且つ上記円すい面もしくは円筒面の接線方向にとった
y2−z2直交座標系によるものであり、柱部7の長さ方向に垂直な中立軸に対する断面二次モーメントである。さらに、断面二次モーメントI3は、柱部7の断面上に、当該断面の図心を原点として、上記円すい面もしくは円筒面の法線方向にy3軸をとり、
かつz3軸を、円周方向且つ上記円すい面もしくは円筒面の接線方向にとったy3−z3直交座標系によるものであり、保持器の円周方向に垂直な中立軸に対する断面二次モーメントである。
そして、上記(1)式中のe1 は、上記第1環状部5の柱部側の断面周縁におけるz1座標の最大値を表す。また、上記(2)式中のe2は、上記第2環状部6の柱部側の断面周縁におけるz2座標の絶対値の最大値を表す。さらに、上記(3)式中のe3は、上記柱部7の断面周縁におけるz3座標の絶対値の最大値を表す。
σ1 =Me1/(2I1)・・・(8)
σ3 =Me3/I3 ・・・(9)
I1 =∫A1z1 2dA1 ・・・(10)
I3 =∫A3z3 2dA3 ・・・(11)
上記(10)、(11)式中のA1 、A3はそれぞれ環状部5、柱部7の各断面積である。また、上記(8)、(9)式中のe1、e3 は、後述するように、それぞれ後述の各座標系における断面周縁までの最大値である。
なお、くし形保持器にあっては、柱部7の断面形状は、軸方向に亙って変化しないようにするのが一般的であるが、例えば自動調心ころ軸受用保持器等のように、柱部7の断面形状が軸方向に亙って変化する場合もある。このような場合は、I3とは、柱部7における、環状部5との連結部分の断面二次モーメントであるものとする。
上記(1)式〜(4)式、若しくは(8)式及び(9)式から分かるように、全ての断面二次モーメントI1、I2、I3 を大きくすることで、各応力σ1〜σ4が小さくなることが分かる。
上記ころ3からの荷重W’によって、保持器4は図26に示すように変形する。すなわち、柱部7については、その軸方向中央部に荷重W’が作用するとともに、第1環状部5及び第2環状部6と柱部7との各連結部にそれぞれモーメントM1 ’、M2 ’が作用し、これらの荷重とモーメントによって柱部7は図26に示すように変形する。また、第1環状部5及び第2環状部6と柱部7との各連結部にはそれぞれ荷重κW’、(1−κ)W’が作用し、これらの荷重によって環状部5、6は図26に示すように変形する。ここで、κは0より大きく1より小さい定数で、材料力学的な計算によって求めることができる。
σ4 ’とすると各曲げ応力σ1 ’〜σ4 ’は、材料力学的な力の釣り合い条件等から次式で表される。
σ1 ’=κW’d1 e1’/(4I1’) ・・・(12)
σ2 ’=(1−κ)W’d2 e2’/(4I2’)・・・(13)
σ3 ’=M1 ’e3’/I3’ ・・・(14)
σ4 ’=M2 ’e3’/I3’ ・・・(15)
I1 ’=∫A1y1 2dA1 ・・・(16)
I2 ’=∫A2y2 2dA2 ・・・(17)
I3 ’=∫A3y3 2dA3 ・・・(18)
上記(16)〜(18)式中のA1 、A2 、A3 は、それぞれ第1環状部5、第2環状部6、柱部7の各断面積である。また、上記(12)〜(15)式中のe1 ’、e2 ’、e3 ’は、後述するように、後述の各座標系における図心から断面周縁までの距離である。
すなわち、断面二次モーメントI1 ’は、図27に示すように、第1環状部5の断面上に、当該断面の図心を原点として、保持器外径面が規制される円すい面もしくは円筒面の法線方向にy1 軸をとり、かつz1 軸を、軸方向且つ上記円すい面もしくは円筒面の接線方向にとったy1 −z1 直交座標系によるものであり、柱部7の長さ方向に平行な中立軸に対する断面二次モーメントである。また、断面二次モーメントI2 ’は、第2環状部6の断面上に、当該断面の図心を原点として、上記円すい面もしくは円筒面の法線方向に
y2 軸をとり、且つz2 軸を、軸方向且つ上記円すい面もしくは円筒面の接線方向にとったy2 −z2 直交座標系によるものであり、柱部7の長さ方向に平行な中立軸に対する断面二次モーメントである。また、断面二次モーメントI3 ’は、柱部7の断面上に、当該断面の図心を原点として、上記円すい面もしくは円筒面の法線方向にy3 軸をとり、且つz3 軸を、円周方向且つ上記円すい面もしくは円筒面の接線方向にとったy3 −z3 直交座標系によるものであり、保持器の円周方向に平行な中立軸に対する断面二次モーメントである。
I1 ’、I2 ’、I3 ’を大きくすることで、各応力σ1 ’〜σ4 ’が小さくなることがわかる。
そこで、従来にあっては、環状部5、6及び柱部7の全ての断面を大きくすることで各断面二次モーメントI1 、I2 、I3 及びI1 ’、I2 ’、I3 ’を大きくして、保持器4の強度を向上させ、破損が生ずることを防止している。
ここで、従来にあっては、保持器強度が弱い場合に断面積を大きくして強度を上げれば良いという経験的な認識はあるものの、上記のように環状部5,6及び柱部7の各断面二次モーメントを検討しそれらの強度を最適に組み合わせて設計していたわけではない。
I1 ’、I2 ’、I3 ’の全てについて大きくしようとする結果、更に上記問題が顕在化する。
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、保持器を組み込む軸受の負荷能力を低下させることなく、保持器の強度を向上させることが可能なころ軸受用保持器の設計方法の提供を課題とする。
すなわち、上記課題を解決するために、本願発明は、各ころの転動面と対向して周方向に並ぶ複数の柱部と、各ころの端面と軸方向で対向し上記周方向で並ぶ柱部の軸方向両端部間をそれぞれ連結する一対の環状部とを有するころ軸受用保持器の設計方法において、
上記一対の環状部のうち、直径が大きいか等しい方の環状部を第1環状部と呼び、直径が小さいか等しい方の環状部を第2環状部と呼び、柱部の長さ方向に垂直な中立軸に対する上記第1環状部の断面二次モーメントをI1、柱部の長さ方向に垂直な中立軸に対する第2環状部の断面二次モーメントをI2、保持器の円周方向に垂直な中立軸に対する上記柱部の断面二次モーメントをI3とし、柱部の長さ方向に平行な中立軸に対する上記第1環状部の断面二次モーメントをI1’、柱部の長さ方向に平行な中立軸に対する第2環状部の断面二次モーメントをI2’、保持器の円周方向に平行な中立軸に対する上記柱部の断面二次モーメントをI3’としたときに、
(I1 /I2 )及び(I1/I3)
若しくは、
(I1’/I2’)及び(I1’/I3’)
を、第1環状部の曲げ応力、第2環状部の曲げ応力、及び柱部の曲げ応力とが互いに大きく異ならないように、軸受及び保持器の構造に応じて所定の範囲に設定することにより最適設計することを特徴とするころ軸受用保持器の設計方法を提供するものである。
また、上記対象とするころ軸受が円筒ころ軸受の場合には、通常、(I1/I2)≒1となるが、必ずしも1となるように設計する必要はない。
本発明では、ころから作用する荷重方向を考慮しつつ保持器の形式に応じて、各環状部の曲げ応力、及び柱部の曲げ応力が互いに大きく異ならないように設計されるため、軸受の負荷能力を低下させることなく保持器の強度が向上する。
まず、上記図1〜図3等を参照しつつ説明する。
円周方向及び軸受のラジアル方向(半径方向)の各荷重が、単独若しくは合成荷重として、組み込む軸受の使用部位によって作用するが、個々の荷重に対する根拠に分けて以下、説明する。
まず、ころからの荷重が、円周方向から負荷される場合を説明する。
例えば、環状部5の曲げ応力σ1 が柱部7の曲げ応力σ3に比べて非常に大きい場合、つまりσ1≫σ3の場合には、保持器4の折損は環状部5のA部分で生ずるから、その強度を向上させるために環状部5の断面二次モーメントI1を大きくする一方で、ころ3を保持する空間容積が小さくならないように柱部7の断面二次モーメントI3を小さくすれば良い。
これとは逆に、柱部7の曲げ応力σ3 が環状部5の曲げ応力σ1に比べて非常に大きい場合、つまりσ3≫σ1の場合には、保持器4の折損は柱部7のC部分で生ずるから、その強度を向上させるために柱部7の断面二次モーメントI3を大きくする一方で、ころ3を保持する空間容積が小さくならないように、環状部5の断面二次モーメントI1を小さくすれば良い。
これと同様に、環状部6の曲げ応力σ2 と柱部7の曲げ応力σ4に大きな差がある場合も、この差を小さくすることによって、ころ数やころの寸法を小さくすることなく、保持器4の破損を生じ難くすることができる。
そして、この観点から、本発明は、設計上とり得る範囲の各部の寸法諸元値から曲げ応力の最大値が最小となる(I1/I2)、(I1 /I3)を規定した。
すなわち、例えば、環状部5の曲げ応力σ1 ’が柱部7の曲げ応力σ3’に比べて非常に大きい場合、つまりσ1’≫σ3’の場合には、保持器4の折損は、図26に示す環状部5のA部分で生ずるから、その強度を向上させるために環状部5の断面二次モーメントI1’を大きくする一方で、ころ3を保持する空間容積が小さくならないように柱部7の断面二次モーメントI3’を小さくすれば良い。
これとは逆に、柱部7の曲げ応力σ3 ’が環状部5の曲げ応力σ1’に比べて非常に大きい場合、つまりσ3’≫σ1’の場合には、保持器4の折損は、図26に示す柱部7のC部分で生ずるから、その強度を向上させるために柱部7の断面二次モーメントI3’を大きくする一方で、ころ3を保持する空間容積が小さくならないように、環状部5の断面二次モーメントI1’を小さくすれば良い。
これと同様に、環状部6の曲げ応力σ2 ’と柱部7の曲げ応力σ4’に大きな差がある場合も、この差を小さくすることによって、ころ数やころの寸法を小さくすることなく、保持器4の破損を生じ難くすることができる。
そして、この観点から、本発明は、設計上とり得る範囲の各部の寸法諸元値から曲げ応力の最大値が最小となる(I1’/I2’)、(I1 ’/I3’)を規定した。
以上は、円周方向からの荷重Wとラジアル方向からの荷重W’とが単独で作用する場合で説明しているが、両方向からの荷重が繰り返し、つまり両荷重の合成荷重が作用するようなころ軸受に使用される保持器にあっても、作用する合成荷重を円周方向とラジアル方向とに分解させて考えれば上記各発想が個々に適用される。
まず、円周方向の荷重Wに対する臨界的意義を説明する。
無次元最大曲げ応力(σ/σ0 )と、(I1/I2)および(I1 /I3)の関係を材料力学モデルに基づいて計算したところ、図4に示す結果を得た。
ここで、無次元最大曲げ応力(σ/σ0 )で考えたのは、無次元化することにより、どのような大きさの荷重にも適用できて汎用性が高まるためである。
この(σ/σ0 )は、六つのパラメータ(I1/I2)、(I1 /I3 )、
(e1 /e2 )、(e1 /e3)、(d1/d2 )、(d1/d3 )が与えられれば計算することができる。
ここで、d1 、d2 は、図2に示すように、それぞれ第1環状部5、第2環状部6における、ころ収納用ポケット8を形成する部分の長さであり、d3は柱部7の長さである。
図4においては、この範囲(e1/e2)=0.2〜1.8、(e1/e3)=0.2〜1.2、(d1/d2)=0.8〜1.4、(d1/d3)=0.5〜3.0の範囲で(e1/e2 )、(e1/e3 )、(d1/d2 )、(d1 /d3 )の各パラメータをランダムに変化させて、(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1/I2)および(I1 /I3)と、上記(σ/σ0)の最小値との関係を求めたものが、上記図4である。
この図4から分かるように、(I1 /I2)=0.8〜1.4、
(I1 /I3 )=0.1〜3.0であれば、設計可能な範囲の内から最適な値となって(σ/σ0)が最小になり、ころ軸受用保持器の破損を生じにくくすることができる。
且つ0.1≦(I1 /I3 )≦3.0と規定した。
ここで、図4中の×印は、(e1 /e3)もしくは(d1/d2 )がそれぞれ(e1/e3)=0.2〜1.2、(d1/d2)=0.8〜1.4の範囲に入らない場合における、(σ/σ0)を最小にする(I1/I2 )および(I1 /I3 )を求めた例である。(I1/I2)および(I1 /I3)が上記範囲(I1/I2 )=0.8〜1.4、
(I1/I3)=0.1〜3.0に入っていないが、このような保持器は、(e1/e3)もしくは(d1 /d2)の値が実際に用いられない、非実用的な寸法のものである。
そこで、(e1 /e2 )=1〜1.8、(e1/e3)=0.2〜1.2、
(d1 /d2 )=0.8〜1.4、(d1/d3)=0.5〜3.0の範囲で、
(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1/I2)および(I1 /I3)と、上記(σ/σ0)の最小値との関係を求めてみた。
この図5から分かるように、(I1 /I2)=0.8〜1.4、(I1 /I3 )=0.1〜0.6であれば(σ/σ0)が最小になり(σ/σ0)の値が図4の場合に比べて小さい。
すなわち、ポケット8の大きさを小さくすることなく、第2環状部6に対して第1環状部5の幅を大きくするように特定した場合、つまり(e1/e2)≧1とした場合には、(I1/I2)=0.8〜1.4、(I1/I3)=0.1〜0.6とすることが、ころ軸受用保持器の破損を防止する上で特に好ましくなり、更に最適化が図られる。
(e1 /e3 )=0.2〜1.2、(d1/d2)=1.0〜1.4、(d1 /d3 )=0.5〜3.0の範囲であることに鑑み、この範囲で(e1 /e2 )、(e1 /e3)、(d1/d2 )、(d1/d3 )をパラメータとしてランダムに変化させて、(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1 /I2 )および(I1 /I3)と、上記(σ/σ0)の最小値との関係を求めてみた。その結果を図6に示す。
(d1/d3)=0.5〜1.0の範囲で、(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1/I2)及び(I1 /I3 )と、上記(σ/σ0)の最小値との関係を求めてみたところ、図7に示す結果を得た。
1.0≦(I1/I2)≦1.2、且つ0.1≦(I1/I3)≦2.5となるように最適設計することが更に好ましいことが分かる。
そこで、(e1 /e2 )=1.0〜1.8、(e1/e3)=0.2〜1.2、(d1/d2)=1.0〜1.2、(d1/d3)=0.5〜1.0の範囲で、(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1/I2)および(I1 /I3)と、上記(σ/σ0)の最小値との関係を求めたところ、図8に示す結果を得た。
すなわち、自動調心ころ軸受用保持器であれば、0.8≦(I1 /I2 )≦1.2、且つ0.3≦(I1/I3)≦3.0とするのが望ましいことが分かる。
そこで、(e1 /e2 )=1.0〜1.8、(e1/e3)=0.6〜1.2、(d1/d2)=0.9〜1.1、(d1/d3)=0.8〜1.3の範囲で、(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1/I2)および(I1 /I3)と、上記(σ/σ0)の最小値との関係を求めたところ、図11に示す結果を得た。
(I1/I3)と、上記(σ/σ0 )の最小値との関係を求めたところ、図12に示す結果を得た。なお、大部分の円筒ころ軸受用保持器においては、通常、環状部5の断面形状と環状部6の断面形状はほぼ同一であるから、(I1/I2)はおよそ1.0となる。このため、(I1 /I2 )=1.0とした。
この図12から分かるように、(I1 /I3)=0.1〜0.4であれば、(σ/σ0)が最小になり、円筒ころ軸受用保持器の破損を生じにくくすることができる。つまり、円筒ころ軸受用保持器にあっては、0.1≦(I1/I3)≦0.4に最適設計すればよいことが分かる。
無次元最大曲げ応力(σ’/σ0 ’)と、(I1’/I2’)および(I1 ’/I3’)の関係を材料力学モデルに基づいて計算したところ、図28に示す結果を得た。
ここで、無次元最大曲げ応力(σ’/σ0 ’)で考えたのは、上述のように、無次元化することにより、どのような大きさの荷重にも適用でき、汎用性が高まるためである。
この(σ’/σ0 ’)は、六つのパラメータ(I1’/I2’)、(I1 ’/I3 ’)、(e1 ’/e2 ’)、(e1 ’/e3’)、(d1/d2 )、(d1/d3 )が与えられれば計算することができる。
ここで、d1 、d2 は、図26に示すように、それぞれ第1環状部5、第2環状部6における、ころ収納用ポケット8を形成する部分の長さであり、d3は柱部7の長さである。
(e1’/e2 ’)、(e1’/e3 ’)、(d1/d2 )、(d1 /d3 )の各パラメータをランダムに変化させて、(σ’/σ0’)が最小値をとるときの(I1’/I2’)および(I1 ’/I3’)と、上記(σ’/σ0’)の最小値との関係を求めたものが、上記図28である。
この図28から分かるように、(I1 ’/I2’)=0.5〜2.7、
(I1 ’/I3 ’)=0.2〜6.0であれば、設計可能な範囲の内から最適な値となって(σ’/σ0’)が最小になり、ころ軸受用保持器の破損を生じにくくすることができる。
且つ0.2≦(I1 ’/I3 ’)≦6.0と規定した。
ここで、図4中の×印は、(e1’/e2 ’)、(e1’/e3 ’)、(d1/d2 )、(d1 /d3 )のいずれかが、(e1’/e2’)=0.2〜1.2、
(e1’/e3’)=0.8〜4.2、(d1/d2)=0.8〜1.4、(d1/d3)=0.5〜3.0の範囲に入らない場合において、(σ’/σ0’)を最小にする
(I1’/I2 ’)および(I1 ’/I3 ’)を求めた例である。
(I1’/I2’)および(I1 ’/I3’)が上記範囲(I1’/I2 ’)=0.5〜2.7、(I1’/I3’)=0.2〜6.0に入っていないが、このような保持器は、(e1’/e2 ’)、(e1’/e3 ’)、(d1/d2 )、(d1 /d3 )のいずれかの値が実際に用いられない、非実用的な寸法のものである。
(σ’/σ0’)が最小値をとるときの(I1’/I2’)および(I1 ’/I3’)と、上記(σ’/σ0’)の最小値との関係を求めた。その結果を図29に示す。
(I1 ’/I3 ’)=0.2〜4.0であれば(σ’/σ0’)が最小になり、ころ軸受用保持器の破損を防止する上で望ましい。すなわち、鉄道車両の車軸や振動篩のように、大きな振動を伴う装置で特に使用頻度の高いころ軸受用保持器としては、
0.8≦(I1’/I2’)≦2.2、且つ0.2≦(I1 ’/I3 ’)≦4.0となるように最適設計することが好ましいことがわかる。
(I1’/I3’)=0.2〜6.0であれば、(σ’/σ0’)が最小になり、円すいころ軸受用保持器の破損を生じ難くすることができる。すなわち、円すいころ軸受用の保持器としては、1.0≦(I1’/I2’)≦2.7、且つ0.2≦(I1 ’/I3 ’)≦6.0となるように最適設計することが好ましいことが分かる。
(I1’/I3’)=0.8〜4.0であれば、(σ’/σ0’)が最小になり、円すいころ軸受用保持器の破損を防止する上で望ましい。すなわち、円すいころ軸受用のうち、鉄道車両の車軸や振動篩のように、大きな振動を伴う装置で特に使用頻度の高い場所で使用される保持器としては、1.3≦(I1’/I2’)≦2.2、且つ0.8≦(I1’/I3’)≦4.0となるように最適設計することが更に好ましいことが分かる。
(d1/d3)=0.5〜3.0の範囲となるから、この範囲で(e1 ’/e2 ’)、
(e1 ’/e3’)、(d1/d2 )、(d1/d3 )をパラメータとしてランダムに変化させ、(σ’/σ0’)が最小値をとるときの(I1’/I2’)および
(I1 ’/I3’)と、上記(σ’/σ0’)の最小値との関係を求めたところ、図32に示す結果を得た。
(I1’/I3’)=0.2〜4.0であれば、(σ’/σ0’)が最小になり、自動調心ころ軸受用保持器の破損を生じにくくすることができる。すなわち、自動調心ころ軸受用保持器であれば、0.5≦(I1 ’ /I2 ’)≦1.7、
且つ0.2≦(I1’/I3’)≦4.0とするのが望ましいことが分かる。
(e1 ’/e2 ’)、(e1 ’/e3’)、(d1/d2 )、(d1/d3 )をパラメータとしてランダムに変化させて、(σ’/σ0’)が最小値をとるときの
(I1’/I2’)及び(I1 ’/I3 ’)と、上記(σ’/σ0’)の最小値との関係を求めてみた。その結果を、図33に示す。
(I1 ’/I3 ’)=0.5〜4.0であれば、(σ’/σ0’)が最小になり、自動調心ころ軸受用保持器の破損を防止する上で望ましい。すなわち、自動調心ころ軸受用のうち、鉄道車両の車軸や振動篩のように、大きな振動を伴う装置で特に使用頻度の高い場所で使用される保持器の場合に、0.8≦(I1’/I2’)≦1.3、
且つ0.5≦(I1 ’/I3 ’)≦4.0とするのが更に望ましいことが分かる。
(e1’/e3’)=0.8〜3.4、(d1/d3)=0.5〜3.0の範囲であるから、この範囲で(e1’/e3’)、(d1 /d3 )をランダムに変化させて、(σ’/σ0’)が最小値をとるときの(I1’/I3’)と、上記(σ’/σ0 ’)の最小値との関係を求めたところ、図34に示す結果を得た。なお、円筒ころ軸受用保持器においては、通常、環状部5の断面形状と環状部6の断面形状はほぼ同一であるから、(I1’/I2’)はおよそ1.0となる。このため、(I1 ’/I2 ’)=1.0とした。
更に、円筒ころ軸受の中でも、鉄道車両の車軸や振動篩のように、大きな振動を伴う装置で特に使用頻度の高い場所で使用されるものにおいては、(e1 ’/e3 ’)=0.8〜1.6、(d1 /d3 )=0.5〜1.0の範囲であることに鑑み、この範囲で
(e1 ’/e3’)、(d1/d3 )をパラメータとしてランダムに変化させて、(σ’/σ0’)が最小値をとるときの(I1 ’/I3 ’)と、上記(σ’/σ0’)の最小値との関係を求めてみた。その結果を、図35に示す。なお、円筒ころ軸受用保持器においては、通常、環状部5の断面形状と環状部6の断面形状はほぼ同一であるから、(I1’/I2’)はおよそ1.0となる。このため、(I1 ’/I2 ’)=1.0とした。
例えば、環状部5の曲げ応力σ1 が柱部7の曲げ応力σ3に比べて非常に大きい場合、つまりσ1 ≫σ3の場合には、保持器4の折損は環状部5のA部分で生ずるから、その強度を向上させるために環状部5の断面二次モーメントI1を大きくする一方で、ころ3を保特する空間容積が小さくならないように柱部7の断面二次モーメントI3を小さくすればよい。ここに、断面二次モーメントを小さくするには、通常その断面を小さくすればよい。勿論、断面形状を工夫することでも断面二次モーメントを変更することは可能である。
そして、この観点から、本発明は、設計上とり得る範囲の各部の寸法諸元値から曲げ応力の最大値が最小となる(I1/I3 )を規定した。
無次元最大曲げ応力(σ/σ0 )と(I1/I3 )の関係を材料力学モデルに基づいて計算したところ、図18に示す結果を得た。ここで、無次元最大曲げ応力(σ/σ0)で考えたのは、無次元化することにより、いかなる大きさの荷重にも適用できて汎用性が高まるためである。
また、上記σは、上述の定義に基づく、環状部5と柱部7の連結部における環状部5の曲げ応力σ1と、環状部5と柱部7の連結部における柱部7の曲げ応力σ3のうちの最大のものである。このσが小さいほど、ころ3と柱部7の衝突による保特器4の破損は生じ難いことを表している。また、σ0は環状部5を剛体とみなしたときの、柱部7に生じる最大曲げ応力である。
この(σ/σ0 )は三つのパラメータ(I1/I3 )、(e1 /e3 )、(d1 /d3 )が与えられれば計算することができる。
これに基づき、本発明では、0.3≦(I1/I3 )≦1.6と規定した。
ここで、図18中の×印は、(e1 /e3)が(e1 /e3 )=0.6〜3.2の範囲に入らない場合における、(σ/σ0)を最小にする(I1 /I3 )を求めた例である。この場合の(I1/I3 )は上記範囲(I1 /I3)=0.3〜1.6に入っていないが、このような保特器は、(e1/e3 )の値が実際に用いられない、非実用的な寸法のものである。
また、大部分の複列円筒ころ軸受において、保特器が一体型の場合には、(e1 /e3 )=1.4〜3.2、(d1/d3 )=0.6〜1.8の範囲であることに鑑み、この範囲で(e1/e3 )、(d1 /d3 )をパラメータとしてランダムに変化させて、(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1 /I3)と上記(σ/σ0 )の最小値との関係を求めてみた。その結果を図20に示す。
また大部分の自動調心ころ軸受において、保持器が二体型の場合には、(e1/e3 )=1.0〜3.0、(d1/d3 )=0.6〜3.0の範囲であることに鑑み、この範囲で(e1/e3 )、(d1 /d3 )をパラメータとしてランダムに変化させて、
(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1 /I3)と上記(σ/σ0 )の最小値との関係を求めてみた。その結果を図21に示す。
さらに、大部分の自動調心ころ軸受において、保持器が一体型の場合には、
(e1/e3 )=0.6〜2.0、(d1/d3 )=0.2〜1.2の範囲であることに鑑み、この範囲で(e1/e3 )、(d1 /d3 )をパラメータとしてランダムに変化させて(σ/σ0)が最小値をとるときの(I1 /I3)と上記(σ/σ0 )の最小値との関係を求めてみた。その結果を図22に示す。
なお、図18〜図22から分かるように、(I1/I3 )の値が大きくなるほど、(σ/σ0)の値も大きくなり、不利になることが明らかであり、耐衝撃性が弱くなる。したがって、使用される条件に応じて、(I1/I3 )の値を小さく抑えることが望ましい。
ここで、第1及び第2の実施形態は、ころの公転速度の変化によって、ころが、保持器の柱部に周方向からの衝突を繰り返すような場所に使用されるころ軸受に組み込まれる保持器の例であり、第3の実施形態は、鉄道車両など保持器の軸受ラジアル方向の振動が頻繁に発生し、ころが、保持器の柱部にラジアル方向からの衝突を繰り返すような場所に使用されるころ軸受に組み込まれる保持器の例である。
そして、一対の環状部5、6及び柱部7の各断面二次モーメントI1、I2、I3 が0.8≦(I1/I2)≦1.4、且つ0.1≦(I1/I3)≦3.0となるように、各環状部5、6及び柱部7の幅を設定した。
すなわち、第1環状部5の曲げ応力、第2環状部6の曲げ応力、柱部7の曲げ応力が互いに大きく異ならないように最適設計がなされたため、軸受の負荷能力を低下させることなく、ころ3と柱部7の衝突による保持器4の破損を生じにくくすることができた。
本実施形態の保持器4は、上記図14及び図15に示すような複列円筒ころ軸受に組み込まれるものである。
そして、環状部5、柱部7の各断面二次モーメントI1、I3 が0.3≦(I1 /I3 )≦1.6となるように、環状部及び柱部の幅を設定した。
すなわち、環状部5の曲げ応力と柱部7の曲げ応力が互いに大きく異ならないように最適設計がなされたため、軸受の負荷能力を低下させることなく、ころ3と柱部7の衝突による保持器4の破損を生じ難くすることができた。
本実施形態の保持器4は、上記図27に示すような、円すいころ軸受に組み込まれるものである。
そして、一対の環状部5、6及び柱部7の各断面二次モーメントI1’、I2’、
I3 ’が0.5≦(I1’/I2’)≦2.7、且つ0.2≦(I1’/I3’)≦6.0となるように、各環状部5、6及び柱部7の断面形状を設定した。
すなわち、第1環状部5の曲げ応力、第2環状部6の曲げ応力、柱部7の曲げ応力が互いに大きく異ならないように最適設計がなされたため、軸受の負荷能力を低下させることなく、ころ3と柱部7の衝突による保持器4の破損を生じにくくすることができた。
及びI1’、I2’、I3 ’が、0.8≦(I1/I2)≦1.4、
0.1≦(I1/I3)≦3.0、且つ0.5≦(I1’/I2’)≦2.7、0.2≦(I1’/I3’)≦6.0となるように、各環状部5、6及び柱部7の幅及び断面形状を設定すればよい。このようにすれば、円周方向の衝突及びラジアル方向からの衝突の両方が個々に、若しくは合成荷重としてして繰り返し受ける場合であっても、第1環状部5の曲げ応力、第2環状部6の曲げ応力、柱部7の曲げ応力が互いに大きく異ならないように最適設計がなされたため、軸受の負荷能力を低下させることなく、ころ3と柱部7の衝突による保持器4の破損を生じにくくすることができる。
[実施例1]
上記第1実施形態に基づき形成した本発明に基づく保持器と、従来の保持器とを比較する揺動耐久試験を行ったところ、図13に示す結果を得た。
試験に用いた軸受は、自動調心ころ軸受22211である。
軸受Aでは従来の保持器を用いており、(I1/I2)=0.29、(I1 /I3 )=0.29となっていた。
また、この耐久試験の条件は、ラジアル荷重を定格荷重の5%として、内輪2を±15°の角度で1分間に2300回揺動させたものである。
試験は、700時間で実験を打切ったが、図13に示すように、軸受Bでは保持器の破損が発生せず、一方、軸受Aでは保持器の破損が生じていることから、本発明が保持器の破損防止に好適であることがわかる。
上記第3実施形態に基づき形成した本発明に基づく保持器と、従来の保持器とを比較する落下耐久試験を行ったところ、図36に示す結果を得た。
試験に用いた軸受は、自動調心ころ軸受22211である。
軸受Aでは従来の保持器を用いており、(I1’/I2’)=0.03、
(I1 ’/I3 ’)=0.67となっていた。
また、軸受Bでは本発明の保持器を用いており、(I1’/I2’)=1.05、
(I1 ’/I3’)=3.65とした保持器を使用した。
図36に示すように、軸受Bに組み込まれた本願発明に基づく保持器は、10×106 回の落下後も破損せず試験を打ち切ったのに対し、軸受Aでは、2.1×106 回以下の落下繰り返し数で保持器の破損が生じている。このように、本発明が保持器の破損防止に好適であることがわかる。
次に、上記第2実施形態に基づき形成した本発明に基づく、くし型の保持器と、従来のくし型の保持器とを比較する落下衝撃試験を行ったところ、図23に示す結果を得た。
保持器の形式は、一体型くし形保持器である。また、試験に用いた軸受は自動調心ころ軸受である。
軸受Aはいずれも従来の保持器を用いており、(I1/I3 )=2.07となっていた。また軸受Bはいずれも本発明に基づいて作成した保持器であって、(I1/I3 )=1.0に設定したものである。
図23に示すように、軸受Bに組み込まれた本願発明に基づく保持器の全てに亘って、破損までの衝撃繰り返し数が軸受Aに比べて大幅に大きい。このように、本発明が保持器の破損防止に好適であることがわかる。
試験に用いた軸受は、保持器以外は同一条件の自動調心ころ軸受であり、その軸受に組み込む保持器の(I1/I3)の値を図24に示すように変更して作成したものである。なお、図24に示す結果は、同一の(I1/I3)の値を持つ保持器を組み込んだ各軸受について、それぞれ3回実施しその平均値をとったものである。
ここで、(e1 /e3 )及び(d1/d3 )の値は、各(I1/I3)において(σ/σ0 )が最小値をとるように設定してある。
ここで、軸受Dの保持器の(I1/I3)は、本発明の対象外であるが、図18における×印で示したもの、つまり寸法設計上に無理がある保持器である。つまり、設計上、負荷容量が下がるか、軸受の省スペースの点で無理のある軸受となるものである。すなわち、(I1/I3)を0.3よりも小さくすることは、(柱部の断面二次モーメントI3)≫(環状部の断面二次モーメントI1 )となって、環状部の軸方向の幅を小さく且つ柱部の円周方向の幅を大きく設定することとなる。このことは、同一の数だけころを組み込もうとすると、保持するころの径が小さくなり、ころの長さを長くしなければ負荷容量を大きくできなくなり、軸受の負荷容量を下げるか、又は軸受の幅を大きくつまり軸受自体を大型化せざるを得なく設計上の制限となる。
したがって、使用される条件に応じて、(I1/I3 )の値をできるだけ小さく抑えることが望ましい。ただし、上述のように現実に要求される負荷容量及び軸受の大型化の点から(I1/I3 )の値を0.3以上とする必要がある。
Claims (10)
- 各ころの転動面と対向して周方向に並ぶ複数の柱部と、各ころの端面と軸方向で対向し上記周方向で並ぶ柱部の軸方向両端部間をそれぞれ連結する一対の環状部とを有するころ軸受用保持器の設計方法において、
上記一対の環状部のうち、直径が大きいか等しい方の環状部を第1環状部と呼び、直径が小さいか等しい方の環状部を第2環状部と呼び、柱部の長さ方向に垂直な中立軸に対する上記第1環状部の断面二次モーメントをI1、柱部の長さ方向に垂直な中立軸に対する第2環状部の断面二次モーメントをI2、保持器の円周方向に垂直な中立軸に対する上記柱部の断面二次モーメントをI3とし、柱部の長さ方向に平行な中立軸に対する上記第1環状部の断面二次モーメントをI1’、柱部の長さ方向に平行な中立軸に対する第2環状部の断面二次モーメントをI2’、保持器の円周方向に平行な中立軸に対する上記柱部の断面二次モーメントをI3’としたときに、
(I1 /I2 )及び(I1/I3)
若しくは、
(I1’/I2’)及び(I1’/I3’)
を、第1環状部の曲げ応力、第2環状部の曲げ応力、及び柱部の曲げ応力とが互いに大きく異ならないように、軸受及び保持器の構造に応じて所定の範囲に設定することにより最適設計することを特徴とするころ軸受用保持器の設計方法。 - 上記一対の環状部の直径が異なる、円すいころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
1.0≦(I 1 /I 2 )≦1.4
、且つ0.1≦(I 1 /I 3 )≦3.0
の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 自動調心ころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
0.8≦(I 1 /I 2 )≦1.2
、且つ0.3≦(I 1 /I 3 )≦3.0
の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 一対の環状部の直径が等しいか略等しい、円筒ころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
0.1≦(I 1 /I 3 )≦0.4
の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 一対の環状部の環状部の直径が異なる、円すいころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
1.0≦(I 1 ’/I 2 ’)≦2.7
、且つ0.2≦(I 1 ’/I 3 ’)≦6.0
の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 自動調心ころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
0.5≦(I 1 ’/I 2 ’)≦1.7
、且つ0.2≦(I 1 ’/I 3 ’)≦4.0
の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 一対の環状部の環状部の直径が等しいか略等しい、円筒ころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
0.2≦(I 1 ’/I 3 ’)≦0.8
の条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 一対の環状部の直径が異なる、円すいころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
1.0≦(I 1 /I 2 )≦1.4
、且つ0.1≦(I 1 /I 3 )≦3.0
1.0≦(I 1 ’/I 2 ’)≦2.7
、且つ0.2≦(I 1 ’/I 3 ’)≦6.0
の全ての条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 自動調心ころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
0.8≦(I 1 /I 2 )≦1.2
、且つ0.3≦(I 1 /I 3 )≦3.0
0.5≦(I 1 ’/I 2 ’)≦1.7
、且つ0.2≦(I 1 ’/I 3 ’)≦4.0
の全ての条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。 - 一対の環状部の環状部の直径が等しいか略等しい、円筒ころ軸受に組み込まれるころ軸受用保持器の設計方法において、
0.1≦(I 1 /I 3 )≦0.4
且つ 0.2≦(I 1 ’/I 3 ’)≦0.8
の両条件を満足することを特徴とする請求項1に記載のころ軸受用保持器の設計方法。
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