JP4182640B2 - シリコン単結晶の育成方法 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、半導体の集積回路素子に使用されるシリコン単結晶、およびその単結晶から得られ、デバイス製造に用いられるシリコンウェーハ、または集積回路を形成させる工程を管理するために用いられるパーティクルモニター用シリコンウェーハに関するものである。
【0002】
【従来技術】
従来から、半導体の高集積回路用材料として使用されるシリコン単結晶は、主に、チョクラルスキー法(以下、「CZ法」という)によって製造される。
【0003】
図1は、CZ法によるシリコン単結晶の育成方法を説明する単結晶育成装置の概略構成を示す図である。育成装置の中心位置に坩堝1が配され、この坩堝1は二重構造であり、内側の石英製容器1aとこの外側に配置された黒鉛製容器1bとから構成されている。このような構成からなる坩堝1は、所定の速度で回転するように支持され、坩堝1の外側にはヒーター2が同心円筒状に配設されている。この坩堝1の内部には、前記ヒーター2の加熱によって溶融された原料の溶融液3が充填されており、坩堝1の中心にはワイヤー等からなる引き上げ軸4が装置の上方から配設されている。
【0004】
前記の引き上げ軸4の先には種結晶5が取り付けられており、単結晶6を育成するため、この種結晶5を溶融液3の表面に接触させる。さらに、溶融液3の表面上方では単結晶6を囲繞するように熱シールド材7が配置される。そして、引き上げ軸4を、坩堝1の回転と反対方向に所定の速度で回転させながら種結晶5を熱シールド材7で囲繞しながら引き上げることによって、種結晶5の先端に溶融液3を凝固させて単結晶6を成長させていく。
【0005】
このように育成されたシリコン単結晶からシリコンウェーハが切り出され、半導体の高集積回路用の材料に供される。ところが、この集積回路の不良原因の大半がパーティクルに起因するものである。このようなパーティクルは市販される表面検査装置によって検出されるが、この検出結果によれば、不良原因となるパーティクルとして集積回路作製時に発生したり、プロセス装置から発生したパーティクルが検出されるだけではなく、単結晶の育成時に形成された空洞(Void)欠陥も検出される。
【0006】
近年、半導体の集積回路素子(デバイス)の集積高密度化の急速な進展により、シリコンウェーハの品質への要求は、ますます厳しくなっている。そして、デザインルールの一層の微細化にともない、製造ラインでのパーティクルを厳しく管理することが求められる。製造ラインにおけるパーティクル管理を徹底するため、製造ラインにはデバイス製造用のウェーハだけでなく、パーティクルをモニターするために使用されるダミーウェーハも投入されている。当然のことながら、このパーティクルモニター用ウェーハでは、表面検査機器によってパーティクルとして検出される結晶欠陥が低密度であることが要求されている。
【0007】
CZ法によって製造されたシリコン単結晶または切り出されたウェーハを、酸化雰囲気で高温熱処理を施すと、単結晶の引き上げ軸を中心とするリング状の酸化誘起積層欠陥(以下、「OSFリング」という)が発生することがある。その他に、その面内に数種類の微小欠陥が形成されるが、これらは単結晶の育成時に形成された結晶欠陥であって、いわゆるGrown-in欠陥と呼ばれる。
【0008】
OSFリングが発生した単結晶では、その内側領域と外側領域では結晶物性は異なり、検出されるGrown-in欠陥も相違する。OSFリングの内側領域には、MOS型デバイスのゲート膜耐圧特性を劣化させる点欠陥(空孔)に関係するGrown-in欠陥が105〜106個/cm3程度存在している。このGrown-in欠陥はCOPと称され、内部が空洞(Void)の八面体構造を基本としている。
【0009】
0.35μm以下のデザインルールによるULSIデバイスでは、COPはゲート膜耐圧特性だけでなく、素子分離不良も生じさせる。このため、高い歩留まりでデバイス製造を行うには、このCOPをウェーハ表層から除く必要がある。また、表面検査機器によれば、COPは表面異物として検出されるので、パーティクルモニターとして用いられるウェーハは、そのサイズを縮小あるいは消滅させる必要がある。
一方、OSFリングの外側領域には、デバイスのリ一ク電流特性を悪化させる点欠陥(格子間シリコン)に関係したGrown-in欠陥として、転位クラスターが103〜から104個/cm3程度存在している。
【0010】
図2は、育成されたシリコン単結晶を切り出して、高温酸化処理を施したのち結晶面を観察した結果を模式的に示した図である。シリコン単結晶の中心部にはCOP領域があり、その外側にOSFリング領域が拡がり、OSFリング領域の外側に酸素析出領域が位置する。さらに、酸素析出領域の外側には酸素析出抑制領域が拡がり、最外周に転位クラスター領域が拡がっている。
【0011】
図2に示す結晶面において、OSFリング領域とこれに外接する酸素析出領域および酸素析出抑制領域には、微細なサイズ若しくは極低密度の酸素析出物以外にはGrown-in欠陥が存在しない領域である。前述の通り、OSFリング領域は高温の酸化処理によって、酸化誘起積層欠陥(Oxidation-induced stacking fault:以下、「OSF」という)を誘起する領域であるが、その核は酸素析出物であると考えられている。しかし、高温酸化処理前の育成ままの状態、すなわち、as-grownの状態では、OSFを誘起する核(以下、「OSF核」という)を直接検出することは極めて困難であり、上記の表面検査機器による評価では、Grown-in欠陥が観察されない領域として認識される。
【0012】
OSFリングの発生位置は、育成中の引き上げ速度の影響を受け、育成されるシリコン単結晶内の融点から1300℃近傍までの温度勾配Gとし、引き上げ速度を∨とした場合に、∨/Gの関係によって制御されることが確認されている。したがって、単結晶の育成中に∨/G値を所定の範囲に設定することによって、結晶面内の任意位置にOSFリングを発生させることができる。
【0013】
このようにOSFリングを任意位置に発生できるので、発生位置を制御して、ウェーハ面の同心円状に発生するGrown-in欠陥を低減させる方法が提案されている。まず、OSFリングをウェーハの外周部に発生させて、OSFリングの内側に発生するCOP密度を低減させる方法として、次の提案がある。
【0014】
特公平3-080338号公報では、シリコンウェーハの表面に熱酸化膜を形成する工程の直前で、水素ガスを含む非酸化性雰囲気で1100℃以上の温度で熱処理することにより、表層のCOPを消滅させる方法が開示されている。また、特開平10-208987号公報によれば、as-grownの状態でCOP密度を高くすることによって欠陥サイズを微細にし、微細なサイズになったCOPを熱処理によって消滅させる方法が提案されている。しかし、これら上述したCOP密度の低減方法では、いずれも欠陥低減のために熱処理が必要になることから、工程増加が必須となり、製造コストの増大を招くことになる。
【0015】
一方、OSFリングをウェーハの内側に発生させて、COPによる欠陥部分を中心部に集中させるか、若しくは欠陥部分を中心部で消滅させる方法も提案されている。しかし、このらの方法では、引き上げ速度を著しく低下させる必要があるため、生産性が低下する。さらに品質的にも、OSFリングを結晶内側に収縮させることによる転位発生の恐れがある。
【0016】
また、OSFリング領域の外側に位置する酸素析出領域および酸素析出抑制領域をウェーハ全面にわたって形成させ、結晶軸の方向にも維持させる方法が提案されている。しかし、この方法を実効あるものにするには、欠陥分布が面内均一になるようなホットゾーンを作製すること、および前述の∨/G値を厳密に制御させながらの結晶育成を行う必要があることから、作業性の維持が困難になる。
【0017】
【発明が解決しようとする課題】
前述の通り、従来技術によってOSFリングの発生位置を制御して、COP領域、OSFリング領域の欠陥を低減したり、酸素析出領域および酸素析出抑制領域をウェハ全面に拡げようとしても、有効な対策とはなり得なかった。
【0018】
これらの問題点を解決するため、本願出願人は、先に、育成中に窒素をドープすることによって、ウェーハ結晶面の全域がOSF核からなる領域、またはOSF核および酸素析出領域、若しくはこれらの領域に加え酸素析出抑制領域で構成されるシリコン単結晶の製造方法を提案している(特開2000-272997号公報参照)。
【0019】
この提案の方法によって得られたシリコンウェーハは、製造コストの増大を伴うことなく、Grown-in欠陥の発生を効果的に抑制できることが確認されているが、条件によっては、極めて微細なCOPがウェーハ中心部に存在することがある。このような微細なCOPは、繰り返しウェーハ洗浄によってピットとして顕在化する場合もあることから、ウェーハ中心部に存在する微細なCOPをなくすため、さらなる改善が必要になる。
【0020】
本発明は、上述した従来技術の問題点の解決、または先に提案した製造方法のさらなる改善を図るためになされたものであり、製造コストの増大を伴うことなく、簡易な製造工程で、CZ法による引き上げ条件およびウェーハの中央部に発生するOSF核の円形領域の外径を規定することによって、Grown-in欠陥の発生を有効に抑制することができるシリコン単結晶の育成方法を提供することを目的としている。
【0021】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、窒素ドープがシリコン単結晶の欠陥挙動に及ぼす影響を明らかにするため、CZ法によって窒素をドープした場合、ドープしない場合に区分して直径6”の単結晶を育成し、Grown-in欠陥の分布を調査した。
【0022】
図3(a)は、CZ法で窒素をドープすることなく、引き上げ速度が0.7mm/minで育成した単結晶から切り出したウェーハのas-grownの状態で欠陥状況を観察した結果を模式的に示す図である。同図に示すように、ウェーハの中心部にはCOP領域であって、空洞(Void)が存在する領域があり、その外側にウェーハ直径のほぼ1/2の直径を有するOSF核が存在する領域がある。そのOSF核領域の外側に酸素析出領域が拡がり、酸素析出領域の外側に酸素析出抑制領域が拡がり、最外周に転位クラスター領域が拡がっている。
【0023】
図3(b)は、CZ法で窒素を濃度1×1014atoms/cm3でドープして、引き上げ速度が0.7mm/minで育成した単結晶から切り出したウェーハのas-grownの状態で欠陥状況を観察した結果を模式的に示す図である。窒素を所定濃度でドープすることによって、OSF核と空洞(Void)とが混在する領域がウェーハの中心部に発生している。これにより、OSF核が存在する領域がウェーハ中心に向かって拡大し、円形領域を形成している。それと同時に、OSF核領域の外側でも酸素析出領域が外周側に拡大している。対象ウェーハを酸化性雰囲気で1100℃×16hrの高温酸化処理を施して、OSF密度を測定すると、OSF核領域およびOSF核と空洞(Void)の混在領域とも103/cm2以上が観察される。
【0024】
さらに、本発明者らは、窒素ドープされた結晶中のCOP形成に及ぼす熱履歴の影響を調査するため、CZ法で窒素をドープして、直径6”のシリコン単結晶の引き上げ途中過程での引き上げ速度変更実験を実施した。具体的な実験条件は、シリコン原料の融液中に1×1014atoms/cm3の窒素をドープし、引き上げ速度が0.7mm/minで長さ500mmまで直胴部を育成し、長さ500mmの時点で引き上げ速度を1.4mm/minに変更して育成を続け、育成長さが550mmになった時点で、再び引き上げ速度を0.7mm/minとして、そのまま長さ850mmまで育成した後、テール絞りを行って引き上げ過程を終了した。
【0025】
このようにして育成された単結晶は、引き上げ速度の変更にともなって、その熱履歴が変化する。すなわち、引き上げ速度を増速することによって、引き上げ速度変更開始時の温度から低温側へ100℃前後の温度領域で急冷されることになる。そして、窒素ドープされ引き上げ速度の変更によって急冷された単結晶は、図3(b)に示すと同様の欠陥状況が観察されることが確認された。
【0026】
図4は、引き上げ速度変更実験によって得られたウェーハ表面におけるLPD(1ight point defect)を測定した結果を示す図である。供試されたウェーハは、結晶温度1400〜800℃から急冷された結晶部位から切り出され、次いで、繰り返し10回のSC−1洗浄(Standard Cleaning)が行われ、表面検査装置を用いてLPD密度を測定している。
【0027】
図4から、SC−1洗浄を繰り返すことによって、ウェーハ表面近傍に存在する緻密な空洞(Void)を顕在化させ、LPDとして検出できることが分かる。しかし、引き上げ過程で結晶温度が1150℃〜1000℃の範囲から急冷する場合には、LPD密度が著しく減少することが分かる。
【0028】
確認のため、窒素をドープしない結晶について、同様の引き上げ速度変更実験試験を行い、LPD密度を測定したが、多数のLPDが観察された。すなわち、窒素をドープしない場合には、引き上げ過程で結晶温度が1150℃〜1000℃の範囲から急冷しても、SC−1洗浄を数回繰り返すことによって、表面検査装置によってウェーハ表面近傍でLPDが多数観察される。このことから、窒素をドープすることによって、結晶中における空孔の拡散速度が減速され、さらに、1150℃〜1000℃の温度範囲での空孔の形成温度を急冷することで、その形成を完全に抑制できることが分かる。
【0029】
本発明は、上述したCZ法による窒素ドープが欠陥挙動に及ぼす影響調査、および引き上げ速度変更実験の解析結果から得られた知見に基づいて完成されたものであり、下記(1)〜(2)のシリコン単結晶の育成方法、および(3)〜(4)のシリコンウェーハを要旨としている。
(1) CZ法によって窒素濃度を1×1013atoms/cm3〜1×1015atoms/cm3とし、単結晶温度が1150℃〜1000℃での冷却速度を2.5℃/min以上としてシリコン単結晶を育成する方法であって、育成された単結晶からウェーハを切り出して高温酸化処理を施した場合に、ウェーハの中央部に酸化誘起積層欠陥の円形領域が発生し、このウェーハの中央部に発生するOSFの円形領域の外径がウェーハ直径の3/5以下になるように単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の育成方法である。
(2) 上記のシリコン単結晶の育成方法では、シリコン単結晶中の酸素濃度が9×1017atoms/cm3(ASTM'79)以下であるのが望ましい。
【0030】
【発明の実施の形態】
本発明の方法では、CZ法によって窒素をドープし、結晶温度が1150℃〜1000℃の範囲で急冷して育成されたシリコン単結晶からウェーハを切り出し、高温酸化処理を施した場合に、ウェーハの中央部に発生するOSFの円形領域の外径がウェーハ直径の3/5以下になるように育成することを特徴としている。ただし、上記のOSFの円形領域は、前記図3(b)に示すas-grownの状態では、OSF核領域およびOSF核と空洞(Void)の混在領域に相当する。
【0031】
CZ法の引き上げ過程でシリコン単結晶にドープする窒素濃度は、1×1013atoms/cm3〜1×1015atoms/cm3とする。窒素ドープによる空孔の拡散抑制の作用は、濃度1×1013atoms/cm3以上で発揮されるので、これを濃度下限と規定する。一方、窒素が高濃度にドープされると、as-grownの状態でOSF核が高密度に結晶全面に形成することになるので、その上限を1×1015atoms/cm3と規定した。
【0032】
ここで、ウェーハにドープした窒素濃度は、引き上げ前のシリコンに対するドープした窒素量、シリコンの融液並びに固相とでの窒素の分配係数、および結晶の固化率から計算される。すなわち、シリコン中の窒素の初期濃度C0は、原料シリコンの原子量と添加した窒素原子数とから計算され、結晶中の窒素濃度CNは下記(a)式で計算される。
【0033】
N=C0k(1−x)k-1 ・・・ (a)
上記(a)式で、kは窒素の平行偏析係数であり、7×10-4を使用できる。xは固化率であり、結晶引き上げ重量を初期チャージ量で割ったものとして表される。
【0034】
一般的に高速引き上げで単結晶を育成すると、OSF核領域が外周に発生するようになり、低速で育成すると、発生する領域が外周から内側に収縮するようになる。OSF核領域がウェーハ内部に現れる場合には、窒素ドープによる空洞欠陥の縮小機能が有効に発揮される。これに対し、OSF核領域がウェーハ最外周部に発生したり、またはウェーハ外に外れたりする場合には、空洞欠陥の縮小機能が発揮されないことがある。本発明では、窒素ドープによる空洞欠陥の縮小機能を有効に発揮させるため、ウェーハの中央部に発生するOSFの円形領域の外径がウェーハ直径の3/5以下になるようにしている。
【0035】
さらに、本発明の方法では、シリコン単結晶の1150℃〜1000℃の温度範囲での冷却速度を2.5℃/min以上にする。対象とする結晶温度を1150℃〜1000℃と限定しているのは、当該温度範囲が空洞(Void)の形成温度域に相当し、前記図4に示すように、該当温度範囲を急冷することによって、LPD密度を著しく減少できるからである。また、このときの冷却速度を2.5℃/min以上としているのは、後述する実施例で示すように、各実験での試行結果に基づくものであり、空孔の形成を完全に抑制するためである。冷却速度の上限は特に限定しないが、育成中の単結晶を過度に冷却すると結晶内部に残留応力が発生し、単結晶が割れる恐れがあることから8.5℃/min以下にするのが望ましい。
【0036】
モニター用ウェーハとして使用する場合には、結晶中に含有される酸素濃度を特に規定しないが、酸素濃度の低い条件で引き上げることにより、OSF核の発生密度を低減することは可能である。本発明者らは、OSF核領域を含むウェーハであっても、酸素濃度が9×1017atoms/cm3以下で育成された結晶から切り出されたウェーハは、良好な電気特性を有することから、モニター用ウェーハとしてだけでなく、製品ウェーハとしても使用可能である。
【0037】
本発明の方法で育成されたシリコン単結晶から切り出されたウェーハでは、9×1017atoms/cm3を超えた酸素濃度で育成された単結晶から切り出された場合であっても、酸素の外方拡散処理を施すことによって、OSFの発生は抑制され、電気特性の改善が図れる。酸素の外方拡散処理を施すことでウェーハ表面近傍に存在しているOSF核を収縮または消滅させることが可能になり、ウェーハの全面にわたって表面近傍に空洞またはOSF核が存在しないウェーハが作製することができる。酸素の外方拡散は高温で行うほど処理時間が短縮できるので、処理温度は900℃以上で行うのが望ましい。また、非酸化性雰囲気で外方拡散処理することによって、ウェーハ表面での酸化膜の成長が阻害されるので、表面近傍の酸素濃度がより低下することになり、外方拡散の効果が促進される。
【0038】
本発明で採用する窒素ドープ方法は、原料中または溶融液中への窒化物の混合や、炉内に窒素または窒素化合物ガスを流しながら単結晶を育成したり、溶融前に高温多結晶シリコンに窒素ガスまたは窒素化合物ガスを吹き付けるなどの慣用されている方法であればよい。さらに、原料として窒素を添加したFZシリコン結晶、または表面に窒化珪素膜を形成したウェーハを原料シリコンに添加して単結晶引き上げを行う方法や、窒素または窒素化合物ガス雰囲気中で多結晶シリコンを溶融することにより原料シリコンに窒素を添加する方法や、窒化物製にするか、または石英坩堝に窒素を添加したものを坩堝として用いて単結晶の育成を行う方法なども採用することができる。
【0039】
【実施例】
本発明の効果を確認するために、次の実施例1、2によって確認実験を実施した。以下、実験結果を詳細に説明するが、本発明の内容はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
図1に示した育成装置を用いて、窒素を4.0×1012atoms/cm3〜1.3×1014atoms/cm3の濃度範囲でドープした、P型(100)、直径8インチ(203.2mm)のシリコン単結晶を育成した。この単結晶の初期酸素濃度は8.5×1017atoms/cm3〜9.8×1017atoms/cm3(ASTM'79)の範囲とし、OSF核領域が結晶面に存在する引き上げ条件にて育成した。このとき、引き上げ速度または熱シールド材の条件を変更して、1150℃〜1000℃の温度範囲の冷却速度を1.56℃/min〜2.87の範囲で変化させた。育成条件を表1に示す。
【0040】
育成された各単結晶からウェーハを切り出して表面研磨洗浄後に、これらのウェーハを1100℃で16時間の高温熱処理を施した。次いで、これらのウェーハをライトエッチング液で2分間の選択エッチングを行い、研磨面を光学顕微鏡にてエッチングピット密度をカウントして、ウェーハ面に形成されているOSF領域を確認した。
【0041】
さらに、空洞(Void)欠陥を顕在化させるために、ウェーハを切り出して、繰り返しSC−1洗浄を10回繰り返した後に、表面検査装置を用いてLPD(1ight point defect)を測定した。測定したOSF円形領域の外径およびLPD密度を表1に示す。
【0042】
【表1】
Figure 0004182640
表1の結果から明らかなように、OSF円形領域の外径がウェーハ直径の3/5以下(0.52)で、窒素濃度が1×1013atoms/cm3以上で、かつ1150℃〜1030℃の温度範囲での冷却速度が2.5℃/min以上の単結晶から作製されたウェーハは、10回繰り返し洗浄後にもLPDが殆ど観察されない(サンプル1およびサンプル2)。これに対し、窒素濃度およびOSF円形領域の外径が本発明で規定する範囲であっても、冷却速度が2.5℃/min以下で徐冷する場合には、ウェーハ中心部でLPDが多数観察された(サンプル5およびサンプル6)。これは急冷が充分でなく、空洞(Void)形成が完全に抑制されていないことを示している。
【0043】
OSF円形領域の外径がウェーハ直径の3/5以上(0.74)に存在するウェーハでは、他の条件が本発明の規定範囲を具備する場合でも、ウェーハ中心部で高密度のLPDが観察された(サンプル3)。また、窒素濃度が1×1013atoms/cm3より低濃度である場合には、窒素ドープによる空洞(Void)抑制作用が不充分なため、結晶中心部で多数のLPDが観察された(サンプル4)。
(実施例2)
実施例1と同様に、窒素を1.1〜1.6×1014atoms/cm3の濃度範囲でドープした、P型(100)、直径8インチのシリコン単結晶を育成した。この単結晶の初期酸素濃度は8.5×1017atoms/cm3〜13.1×1017atoms/cm3(ASTM'79)の範囲とし、高温処理後のOSF円形領域の外径がウェーハ直径の3/5以下になる引き上げ条件で育成した。このとき、1150℃〜1000℃の温度範囲の冷却速度は、2.25〜2.67℃/minとほぼ一定とした。
【0044】
実施例1と同様に、1100℃で16時間の高温熱処理を施して、選択エッチングを行い、光学顕微鏡を用いて、OSF領域を確認した。また、育成された単結晶からウェーハを切り出し表面研磨洗浄後に、これらのウェーハに1150℃で4時間の酸素の外方拡散処理をで行った。その後に赤外散乱装置を用いて、表面無欠陥層の厚さを測定してウェーハ表層の完全性を調査した。OSF円形領の外径および調査結果を表2に示す。
【0045】
【表2】
Figure 0004182640
酸素濃度が9×1017atoms/cm3以下であると、表面無欠陥層の厚さが10μm以上確保でき、良好な特性である。これに対し、酸素濃度が10×1017atoms/cc以上になると、単結晶の育成時に形成されたOSFのサイズが増大して、ウェーハ表面近傍での無欠陥層厚さが悪化する。
【0046】
【発明の効果】
本発明のシリコン単結晶の育成方法によれば、CZ法による引き上げ条件およびウェーハの中央部に発生するOSF核の円形領域の外径を規定することによって、製造コストの増大を伴うことなく、簡易な製造工程で、Grown-in欠陥の発生を有効に抑制することができるシリコン単結晶およびシリコンウェーハを製造できる。しかも、さらに酸素濃度を規定し、酸素の外方拡散処理を施すことによって、パーティクルモニター用として最適なウェーハ、若しくは、デバイス製造に適した低欠陥ウェーハを製造できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】CZ法によるシリコン単結晶の育成方法を説明する単結晶育成装置の概略構成を示す図である。
【図2】育成されたシリコン単結晶を切り出して、高温酸化処理を施したのち結晶面を観察した結果を模式的に示した図である。
【図3】CZ法で窒素をドープする場合とドープしない場合とに区分して育成した単結晶から切り出したウェーハのas-grownの状態で欠陥状況を観察した結果を模式的に示す図である。
【図4】引き上げ速度変更実験によって得られたウェーハでのLPDを測定した結果を示す図である。
【符号の説明】
1:坩堝、 1a:石英製容器
1b:黒鉛製容器、 2:加熱ヒーター
3:融液、 4:引き上げ軸
5:種結晶、 6:単結晶
7:熱シールド材

Claims (2)

  1. チョクラルスキー法によって窒素濃度を1×1013atoms/cm3〜1×1015atoms/cm3とし、単結晶温度が1150℃〜1000℃での冷却速度を2.5℃/min以上としてシリコン単結晶を育成する方法であって、育成された単結晶からウェーハを切り出して高温酸化処理を施した場合に、ウェーハの中央部に酸化誘起積層欠陥の円形領域が発生し、このウェーハの中央部に発生する酸化誘起積層欠陥の円形領域の外径がウェーハ直径の3/5以下になるように単結晶を引き上げることを特徴とするシリコン単結晶の育成方法。
  2. さらに、シリコン単結晶中の酸素濃度が9×1017atoms/cm3(ASTM'79)以下であることを特徴とする請求項1に記載のシリコン単結晶の育成方法。
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