JP4182230B2 - 新規配糖体、その製造方法及び組成物 - Google Patents
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Description
すなわち、従来の抗酸化活性及びチロシナーゼ阻害活性を有する化合物ではなく、抗酸化活性は有するが、紫外線によるメラニン色素生成の作用を阻害しないすなわち非チロシナーゼ阻害活性を有する化合物の開発が望まれていた。
「1.下記式1:
で表される配糖体、その塩、又はそれらの溶媒和物。
2.4-((3R,4S,5S,6R)-tetrahydro-4,5,6-trihydroxy-2-methyl-2H-pyran-3-yloxy)-2H-indene-1,2,2,3-tetraolである前項1の配糖体、その塩、又はそれらの溶媒和物。
3.苦芋(Ibervillea Greene)の実の乾燥物を有機溶媒に浸漬して得られる抽出物。
4.前項2に記載の化合物又は前項3に記載の抽出物を有効成分として含む化粧用組成物。
5.前項2に記載の化合物又は前項3に記載の抽出物を有効成分として含む食品組成物。
6.前項2に記載の化合物又は前項3に記載の抽出物を有効成分として含む医薬組成物。
7.抗酸化活性及びチロシナーゼ非阻害活性を有することを特徴とする前項4−6のいずれか1に記載の組成物。
8.苦芋(Ibervillea Greene)由来の植物体から溶媒抽出することを特徴とする4-((3R,4S,5S,6R)-tetrahydro-4,5,6-trihydroxy-2-methyl-2H-pyran-3-yloxy)-2H-indene-1,2,2,3-tetraolの製造方法。」
本発明で特に断らない限り、本発明でいう化合物は、配糖体、その塩、又はそれらの溶媒和物を意味する。また、塩としてはヒドロキシル基等の酸性基における塩が例示され、例えばナトリウム、カリウム等のアルカリ金属との塩、カルシウム及びマグネシウム等のアルカリ土類金属との塩、アンモニウム塩、含窒素有機塩基との塩を挙げることができる。好ましい塩としては、薬理学的に許容される塩が挙げられる。溶媒和物には、配糖体が水その他有機溶媒と形成しうる全ての溶媒和物が含まれる。
苦芋(Ibervillea Greene)の実を乾燥し、粉末状にする。粉末状実乾燥物を、例えば、低級アルコール(例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−ブタノールなど)、アセトン、酢酸エチル、エーテル、クロロホルム、又はクロロホルム−メタノール等に、例えば、室温で半日から3日浸漬する。得られた抽出液を濾過して、固体部分を取り除き、濾液を濃縮・乾固し、抽出物試料を得る。
該抽出物試料を通常の分離に用いられるシリカゲルクロマトグラフィーや分取薄層クロマトグラフィー、更には液体クロマトグラフィー等を組合せて精製することにより、式3に示した本発明の新規な配糖体を単離精製することができる。
図1のアセチル化前のスペクトルm/z 365([M+Na])+)と、図2のアセチル化前のスペクトルm/z 637([M+H])+)とを比較すると、差は294である。一つのOH基がアセチル化され、Ac基に変わると分子量が42増加するので、該化合物のOH基は7個存在している。
なお、IUPAC命名法によれば、4-((3R,4S,5S,6R)-tetrahydro-4,5,6-trihydroxy-2-methyl-2H-pyran-3-yloxy)-2H-indene-1,2,2,3-tetraolとなる。
ここで、本発明でいうXは、インデン、インダン又はそれらのヒドロキシ誘導体を意味し、下記で示されるいずれか1から選択されるものである。
加えて、本発明では、上記化合物をケト誘導体、エーテル誘導体、エステル誘導体又はこれらの組み合わせとすることができる。当業者はこれらの誘導体を通常の知識を持って誘導することができる。
本明細書中において部分精製品とは、苦芋(Ibervillea Greene)の乾燥物等から、例えば有機溶媒や熱水等で抽出した抽出エキス、及び抽出エキスを完全精製に至るまでの任意の純度まで精製したものをいう。部分精製品は、任意の純度の前記配糖体を含有する。部分精製品の形態としては、水性液や、減圧濃縮し乾固させた固体、凍結乾燥品などの液状物や固形物の形態を挙げることができる。
本発明の化粧用組成物は、クリーム、乳液、ローション、洗顔料、口紅、ファンデーション、ボディソープ、石鹸等に適用することができる。化粧用組成物の配合量は、美白効果、保湿効果、抗酸化作用等により、当業者が適宜決定することができる。例えば、上記化合物又は上記抽出物を有効成分として、0.01〜5.00%配合することにより美白効果等を有する化粧用組成物とすることができる。
また、以下に化粧用組成物の配合例を示すが、本発明の化粧用組成物の配合割合を限定するものではない。
本発明の新規な化合物又は抽出物 0.1〜5.0
グリセリン 5.0
ポリオキシエチレンソルビタンモノラウレート 1.5
エタノール 10.0
香料 適量
防腐剤、酸化防止剤 適量
色素 適量
水 残部
本発明の食品組成物は、上記式1若しくは式3の化合物又は上記抽出物を、例えば、ジュース、清涼飲料、茶、スープ、豆乳、豆腐、サラダ油、ドレッシング、ヨーグルト、ゼリー、プリン、フリカケ、育児用粉乳、ケーキ、パン、クッキー、スナック菓子等に含有させることもできる(このようにして得られた組成物も、本発明における「食品組成物」に含まれるものとする)。あるいは、上記化合物又は上記抽出物を、デキストリン、乳糖、デンプン等の賦形剤などや、香料、色素等とともに、ペレット、錠剤、顆粒等に加工したり、ゼラチン等で被覆してカプセルに加工して、健康食品や栄養補助食品等として利用してもよい。
本発明の医薬組成物は、通常「医薬として許容できる担体」を含む。「医薬として許容できる担体」としては、例えば、添加剤、賦形剤(例えば、デンプン、ブドウ糖、果糖、ソルビトール、マンニトール、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、乳糖、ショ糖、ヒドロキシプロピルセルロース、炭酸マグネシウム、酸化マグネシウム、リン酸カルシウム、デキストリン)、結合剤(例えば、アラビアゴム、カルボキシメチルセルロース、カルボシキメチルセルロースナトリウム、ゼラチン、デキストリン、ヒドロキシプロピルセルロース、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、デンプン、ショ糖)、崩壊剤(例えば、カルボキシメチルセルロース、カルボキシメチルセルロースカルシウム、デンプン、ヒドロキシプロピルセルロース)、界面活性剤(例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、大豆レシチン、ショ糖脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル)、滑沢剤(例えば、ケイ酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸ケイ酸マグネシウム、タルク)、希釈剤(例えば、水、食塩水、大豆油、ゴマ油、オリーブ油のような植物油)、軟膏基材(例えば、パラフィン、ラノリン、白色ワセリン)、矯味剤(例えば、パラオキシ安息香酸メチル、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸プロピルのようなパラオキシ安息香酸エステル類、安息香酸ナトリウム)、等張化剤(例えば、塩化ナトリウム、グリセリン、ブドウ糖、マンニトール)などの、当業者公知の種々のものが挙げられるが、これらに限定されるものではない。
(1)本発明の新規な配糖体の抽出・精製
苦芋(Ibervillea Greene)の実を乾燥し、得られた乾燥実を粉末状に粉砕した。粉末状実乾燥物とメタノール100mlを100ml三角フラスコ中に入れ、一昼夜攪拌した。その後、得た抽出液を濾過して、固体部分を取り除き、濾液を濃縮・乾固し、抽出試料を得た。
該抽出試料300mgを展開溶媒(メタノール70%+水30%)10mlに溶解させ、シリンジを用いてカラム(Merck社製:ローバーカラムRP-18、内径:25mm、長さ:310mm)の下から注入(2ml/回)し、ポンプ(日本分光880-PU)から展開溶媒を流し(流速:5ml/min)、液体クロマトグラフィーにて粗く分離を行った。
次に、回収したフラクションは、HPLCに通して精製を行った。なお、HPLCの条件は、以下の通りである。
移動相:水80%+アセトニトリル20%
固定相:野村化学 Develosil ODS-HG-5、内径:8mm、長さ:250mm
Detector:波長 254nm
流量:10ml/分
上記(1)で精製した試料5.0mgを試験管に入れ、ピリジン0.5ml及び無水酢酸0.5mlを加えて溶解させた。次に、60℃、20分間インキュベートした。インキュベート後に、5%メタノール溶液5mlを混和した。そして、n-ヘキサン3.0mlで3回抽出して、アセチル化した。そして、アセチル化した試料を1H NMR測定及び分子量測定をした。
(1)DPPH法を用いたラジカル捕捉能の測定
紫色の安定なフリーラジカルであるDPPH(1,1-diphenyl-2-picrylhydrazyl)ラジカルは、525nmに紫外部吸収を有し、抗酸化物質の作用によりラジカルでなくなると紫色が消失する。その性質を利用して抗酸化物質の抗酸化活性の評価を行った。
controlの吸光度をAblankとして、サンプルを加えた際の吸光度をAsampleとして、フリーラジカル捕捉活性をそれらの相対値で示した(数式1)。なお、相対値が大きいほど、抗酸化活性が強いことを示す。
本測定では、リノール酸の自動酸化に伴い生じるリノール酸過酸化物がβ-カロチンの二重結合と反応することによって、β-カロチンの色が消失することを利用して抗酸化活性の評価を行った。
試験管にサンプル溶液(本発明の新規な配糖体、Vitamin C:1.0mg/ml)0.1mlを入れた。次に、リノール酸-β-カロチン溶液4.9mlを試験管に加えた。50℃で一時間放置した後に、470nmの吸光度を測定した。
controlの初めの吸光度をAblankとして、サンプルを加え、反応をさせた後の吸光度をAsampleとして、抗酸化活性をそれらの相対値で示した(数式2)。なお、相対値が大きいほど、抗酸化活性が強いことを示す。
生体内における活性酸素は生体脂質を酸化することによって動脈硬化などの疾病を引き起こすと考えられている。本測定では、大豆レシチンを酸化し過酸化脂質を形成させ、その時の抗酸化性物質の効果を評価した。脂質過酸化の指標である過酸化物価により定量されるhydro peroxide量は共役ジエン量に対応するとの報告により、共役ジエン生成量を234nmの吸光度で測定した。
共役ジエン濃度[M]はLambert-Beerの法則(数式3)を用いて算出した。なお、本測定では、共役ジエンの234nmにおける吸光係数としてε=29500、M-1cm-1、光路長l=1.0cmを用いた。
本測定では、キサンチンとキサンチンオキシダーゼを混合させ、その時に発生するスーパーオキシドアニオンラジカル(O2-)の捕捉活性を、NBT(nitro blue tetrazolium)を指示薬として用いて、UVで測定した。
controlの吸光度をAblankとして、サンプルを加え、反応後の吸光度をAsampleとして、フリーラジカル捕捉活性をそれらの相対値で示した(数式4)。なお、相対値が小さいほど、抗酸化活性が強いことを示す。
チロシナーゼはチロシンを酸化し、メラニン生成を律速する酵素である。通常の抗酸化活性を有する化合物は、合わせてチロシナーゼ阻害活性を有している。そこで、本発明の新規な配糖体がチロシナーゼ阻害活性を有しているかの測定を行った。
Claims (5)
- 4-((3R,4S,5S,6R)-テトラヒドロ-4,5,6−トリヒドロキシ-2-メチル-2H-ピラン-3-イルオキシ)-2H-インデン-1,2,2,3-テトラオールである請求項1の配糖体、その塩、又はそれらの溶媒和物。
- 請求項2に記載の化合物を有効成分として含む医薬組成物。
- 抗酸化活性及びチロシナーゼ非阻害活性を有することを特徴とする請求項3に記載の組成物。
- 苦芋(Ibervillea Greene)由来の植物体から溶媒抽出することを特徴とする4-((3R,4S,5S,6R)-テトラヒドロ-4,5,6−トリヒドロキシ-2-メチル-2H-ピラン-3-イルオキシ)-2H-インデン-1,2,2,3-テトラオールの製造方法。
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