JP4180752B2 - 路面勾配に基づくエンジン出力制御装置 - Google Patents

路面勾配に基づくエンジン出力制御装置 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、車両が走行する路面勾配を検出し、エンジンの出力を補正する、路面勾配に基づくエンジン出力制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、車両の走行している路面の勾配を検出又は算出する技術が知られている。例えば、乗用車のように車両総重量を一定と見做なすことができる車両では、車両加速度とエンジントルク等とを用いて車両運動方程式から道路勾配を算出することができる。
【0003】
これに対して、トラックやバスのような大型の車両では、空車時の積車時とで車両総重量の差が大きく、上述のように車両総重量をパラメータとして道路勾配を算出する手法では道路勾配を算出できない。
そこで、トラックやバスのような大型の車両では、車両にGセンサを取り付け、このGセンサから得られる車両の加速度成分と車両の傾斜との差から道路勾配を算出するようにした技術が知られている。
【0004】
また、特開昭62−37549号公報には、クラッチ切断時の車速変化から路面勾配を算出するようにした技術が開示されている。すなわち、現在の車両速度をV、クラッチ切断時の車速をV0 、車両加速度をα、時間をtとすると、クラッチ断状態時には下式が成り立つ。
V=V0 +αt
そして、上式より車両加速度αを算出して、この車両加速度αから路面勾配を算出するのである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来の技術のうち、Gセンサを用いて道路勾配を算出する技術では、Gセンサが高価であるためコスト増を招くという課題がある。また、Gセンサは、一般に車体に取り付けられるが、車体にはいわゆる車体ひずみ(車体フレーム等のたわみ)等が生じる。Gセンサは感度が非常に高いため、車両の取り付け場所によってはこのような車体ひずみを検出してしまい誤差が生じるおそれがある。
【0006】
一方、特開昭62−37549号公報に開示された技術では、転がり抵抗等を無視しているため、実際の車両の状態を表す式としては不十分であり、車両の走行路が登坂路,降坂路及び平坦路のいずれかであるかをある程度判定可能であるが、精度良く路面勾配を算出することはできないという課題がある。
本発明は、このような課題に鑑み創案されたもので、低コストで且つ正確に路面勾配を検出できるようにした、路面勾配検出装置を提供することを目的とする。
【0007】
ところで、変速操作中(変速機がニュートラル且つクラッチが切断)では、車速変化は路面勾配に応じたものとなる。例えば登坂路ではゆっくりと変速操作を行なうと変速操作中に車速が大きく低下してしまい、変速操作終了時にいわゆるシフトショックが生じることが考えられる。そこで、この路面勾配に応じてエンジン出力を制御して、変速操作時のシフトショックを低減したいという要望がある。
【0008】
本発明は、このような要望に基づいて創案されたもので、変速操作時のシフトショックを極力低減できるようにした、路面勾配に基づくエンジン出力制御装置を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】
このため、請求項1記載の本発明の路面勾配に基づくエンジン出力制御装置では、ニュートラル検出手段により変速機の変速段がニュートラル状態であることが検出されると、実加速度検出手段によりこのときの車両の実加速度が検出される。また、理論加速度算出手段により、空車状態の車両のニュートラル状態での平坦路走行における理論加速度が算出される。次に、勾配負荷度算出手段により、上記実加速度と上記理論加速度との差が勾配負荷度αILとして算出される。なお、このような計算を行なうことにより、未知のパラメータである路面の転がり抵抗係数の影響が極力排除される。そして、勾配算出手段では、勾配負荷度αILと重力加速度gとに基づいて、ニュートラル状態における車両の走行路面の勾配θが下式により算出される。
sinθ=−αIL/g
なお、勾配θは登坂路では負の値となり、降坂路では正の値となる。
【0010】
また、エンジン出力制御手段によりエンジン回転数及びエンジン負荷に基づきエンジンの出力が制御されるとともに、上記勾配算出手段で路面勾配が検出されると、この路面勾配に応じて、変速時のシフトショックを低減するべくエンジン出力補正手段によりエンジン出力が補正される。特に、エンジン出力補正手段は、変速中において変速機がニュートラル状態での空走時の加速度を路面勾配に基づいて算出し、クラッチ接続時には、上記の空走時の加速度となるようにエンジン出力を一定時間保持するように補正する。これにより、変速操作を円滑に行なうことができ、変速操作に伴うショックを低減することができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下、図面により、本発明の第1実施形態に係る路面勾配検出装置について説明すると、図1はその要部構成を示す模式的な機能ブロック図である。なお、本実施形態では、路面勾配検出装置を図示しない大型トラック等の車両に適用した場合について説明する。
【0012】
車両には、図1に示すように、ニュートラルセンサ(ニュートラル検出手段)1,クラッチセンサ2及び車速センサ3等のセンサが設けられるとともに、これらのセンサ1〜3からの情報に基づいて路面勾配を算出する制御手段(ECU)4が設けられている。
ここで、ニュートラルセンサ1は図示しない平行軸式変速機(トランスミッション又はT/Mと記す)の変速段がニュートラル(中立)になるとこれを検出してECU4に出力するものである。なお、このようなニュートラルセンサ1以外にも、少なくとも変速段がニュートラルとなると、これを検出できるものであれば他のセンサを用いてもよい。
【0013】
また、クラッチセンサ2は、クラッチの断接を検出するものであって、クラッチ板の断接を直接検出するセンサを用いてもよいし、ドライバのクラッチペダルの踏み込みを検出するセンサを用いてもよい。また、車速センサ3は、図示しない車両の速度を検出するセンサである。なお、ECU4には、これらのセンサ1〜3以外にも、エンジン回転数センサ等の種々のセンサが接続されているが、図示を省略する。
【0014】
一方、ECU4は、実加速度検出手段5,理論加速度算出手段6,勾配負荷度算出手段7及び勾配算出手段8をそなえている。以下、各手段5〜8の機能について簡単に説明する。
実加速度検出手段5は、ニュートラルセンサ1及びクラッチセンサ2により変速機の変速段がニュートラルで且つクラッチが切断状態であることが検出されると、このときの車両の実加速度αを検出するものである。なお、この場合、実加速度検出手段5では、車速センサ3で得られた車速を時間微分して実加速度αを算出するようになっている。
【0015】
また、理論加速度算出手段6は、実加速度検出手段5により実加速度αが算出されると、空車状態の車両の変速段がニュートラルで且つクラッチ切断状態での平坦路走行における理論加速度α0を算出するものである。
また、勾配負荷度算出手段7は、実加速度検出手段5で算出された実加速度αと理論加速度算出手段6で算出された理論加速度α0との差で定義される勾配負荷度α1Lを算出するものである。なお、このような勾配負荷度α1Lを導入する理由については後述する。
【0016】
勾配算出手段8は、現在車両が走行している路面の傾き(路面勾配)θを算出するものであり、重力加速度gを用いて以下の式により、路面勾配を算出するようになっている。
sinθ=α1L/g
以下、路面勾配の判定についてさらに詳しく説明すると、一般に、クラッチ接続時の車両の状態は、下式(1)に示す運動方程式で表すことができる。
【0017】
【式1】
ただし、式(1)において、
α:車両加速度(m/s2 ) g:重力加速度(m/s2 ) TE :エンジントルク(N・m) it:T/Mギア比 if:デフギア比
ηt:動力伝達効率 R:タイヤ動半径(m) W:車両総重量(kg)
μ:転がり抵抗係数 λ:空気抵抗係数〔N・h2 /(km2 ・m2 )〕
θ:道路勾配(deg) A:前面投影面積(m2 ) V:車速(km/h)
W :車輪及び同一回転部分の慣性モーメント(N・m2 ・s2
F :デフ入力軸回転部分の慣性モーメント(N・m2 ・s2
T :T/M入力軸回転部分の慣性モーメント(N・m2 ・s2
E :エンジン入力軸回転部分の慣性モーメント(N・m2 ・s2
である。なお、このうち、IW ,IF ,IT 及びIE については、予め実験等により測定された値(実測値)が用いられる。
【0018】
上記の式(1)において、左辺の車両加速度αは、上述したように車速を時間微分することで得ることができるものの、右辺には車両総重量Wと路面勾配θとが未知のパラメータとして残る。したがって、式(1)だけでは解(路面勾配θ)が得られない。なお、転がり抵抗係数μはここでは推定値(一定値)を用いている。
【0019】
一方、車両空走時〔クラッチ切断且つ変速機の変速段がニュートラル、すなわち、タイヤに伝達されるエンジントルク(駆動力)TE が0〕の運動方程式は下式(2)で表すことができる。
【0020】
【式2】
・・・(2)
ここで、Wrn〔=g(I +I ・it)/R 〕:クラッチ切且つギアニュートラル時の回転部分慣性重量(kg)である。
【0021】
つまり、式(1)の分母の第2項にクラッチ切の条件(IT =0)及びギアニュートラルの条件(IE =0)を代入して得られた結果がWrnとなる。なお、上述では、車両空走時の条件をクラッチ切且つニュートラルとしているが、単にニュートラルが検出されると、これを車両空走時としてもよい。すなわち、トランスミッションがニュートラルとなると、たとえクラッチが繋がっていても、車輪とエンジンとの駆動力伝達が断たれて、T/Mギア比itが0となり、結果的に運動方程式を上式(2)で表すことができるからである。
【0022】
さて、上式(2)において、空気抵抗λAV2 は中低車速域においては小さく、したがって、中低車速域ではW(μ+sinθ)≫λAV2 となり、式(2)の右辺の{}内第2項は無視できることになる。さらに、大型車両では、車両総重量Wは、回転部分慣性重量Wrnに対して十分大きく(W/Wrn=300〜400)、このため、式(2)の右辺の{}内第1項≒μ+sinθと表すことができる。これにより、式(2)は下式(3)で近似することができる。
【0023】
α≒−g(μ+sinθ) ・・・(3)
式(3)からもわかるように、空走加速度αはθの影響が大きく、Wの影響が少ないと言える。
ここで、仮に車両走行時の条件をクラッチ切断時のみとして、式(2)及び式(3)を作成すると、クラッチを切断しただけでは、変速機の変速段がいずれかの変速段にギア入りしていることが考えられるので、回転部分慣性重量Wrnは、Wrn=g〔IW +(IF +IE ・it2 )・if2 〕/R2 となる。
【0024】
すなわち、ギア比(変速段)毎にWrnは変動し、且つ車両総重量Wに対する回転部分慣性重量Wrnが大きくなり過ぎて、式(3)のような近似が困難となる。したがって、式(3)の近似を行なうためには、変速段がニュートラルで且つクラッチが切断された時にWrnを演算するのが適しているである。
さて、ニュートラルセンサ1及びクラッチセンサ2により、車両空走時であると判定されると、ECU4の実加速度検出手段5で実加速度αが算出され、この実加速度αが(3)式に代入される。
【0025】
これにより、式(3)からθを算出することができる。つまり、式(3)を変形することで、下式(3′)が得られ、道路の勾配θ(deg)を算出することができる。
sinθ≒μ+α/g ・・・(3′)
しかしながら、上記の式中には、転がり抵抗係数μが存在している。この転がり抵抗係数μは、上述したように、推定値(一定値)を使用しているが、実際には転がり抵抗係数μは、車速,タイヤや路面状況等の諸条件により大きく異なる。したがって、式(3)で算出される道路勾配は転がり抵抗係数μの影響を受け、正確な道路勾配を算出できない。このため、転がり抵抗係数μの影響を極力排除する必要がある。
【0026】
そこで、本発明では、以下のようにして、転がり抵抗係数μの影響を極力排除するようになっている。すなわち、本発明では、転がり抵抗係数μに依存しない「勾配負荷度」を導入する。この勾配負荷度とは、実車空走時の加速度と、平坦空車路の理論加速度との差であり、勾配負荷度算出手段7により、下式(4)に基づいて算出される。
【0027】
αIL=α−α0 ・・・(4)
なお、αIL:勾配負荷度(m/s2 ) α:実車空走加速度(m/s2
α0:平坦空車路の理論空走加速度(m/s2 )である。
ここで、実車空走加速度αは、上述したように、実加速度検出手段5において車速を時間微分して得られる実測値であり、また、理論空走加速度α0は、空車状態の車両のクラッチ断状態での平坦路走行における理論的な加速度であって、理論加速度算出手段6において算出される。この場合、式(2)にθ=0を代入するとともに、車両総重量Wの代わりに既知の車両重量(空車重量)W′及び転がり抵抗係数μとして推定値を一時的に代入する。これにより、勾配負荷度αILが実際の数値として算出される。
【0028】
一方、式(3)にθ=0を代入することにより、下式(4′)のようにα0を表すことができる。
α0≒−gμ ・・・(4′)
なお、勾配負荷度αILの値は勾配に応じ、登坂路(上り)では正、平坦路では0、降坂路(下り)では負の傾向を示す。
【0029】
そして、式(4)に式(3)及び式(4′)を代入することにより、下式(5)を得ることができる。
これにより、転がり抵抗係数μの影響が極力排除され、勾配算出手段8で下式(6)により道路勾配θが算出される。
【0030】
sinθ≒−αIL/g ・・・(6)
ところで、一般的に、道路勾配i<12%であり、この場合sinθ=tanθとみなすことができる。したがって、式(5)より、
tanθ=sinθ≒−αIL/g
となり、道路勾配を%表示する場合には、下式のようになる。
【0031】
道路勾配i≒−100×αIL/g(%)
また、このようにして道路勾配を繰り返し算出することで、車両総重量Wを算出することができる。すなわち、上述では、車両負荷度αILを求める際に、車両総重量Wの代わりに既知の車両重量(空車重量)W′を代入するとともに、転がり抵抗係数μとして推定値を一時的に代入していたが、一旦道路勾配θが算出された後は、この道路勾配θを式(3)に代入することで、まず、転がり抵抗係数μを算出することができ、そして、クラッチ接続時(クラッチ接続の直後)に、道路勾配θ及び転がり抵抗係数μを式(1)に代入することにより、車両総重量Wを逆算することができるのである。
【0032】
そして、このような計算を、クラッチが切断状態であってトランスミッションがニュートラルのときに繰り返し実行して、算出された車両総重量W及び転がり抵抗係数μを平均化していくことにより、極めて正確に車両総重量W及び転がり抵抗係数μを算出することができるのである。なお、荷物の積卸しを行なって大幅に車両総重量Wが変動した場合には、例えばドライバが図示しないリセットスイッチ等を操作することにより車両総重量Wの計算がリセットされてこのような車両総重量Wの変動に対応することができるようになっている。
【0033】
本発明の第1実施形態に係る路面勾配検出装置は上述のように構成されているので、まずニュートラルセンサ1及びクラッチセンサ2により、車両がニュートラル状態で且つクラッチが切断されていることが検出されると、ECU4内の実加速度検出手段5により車速Vから実加速度αが算出される。次に、理論加速度算出手段6により、空車状態の車両のクラッチ断状態での平坦路走行における理論的な加速度(理論空走加速度)α0が算出される。
【0034】
そして、勾配負荷度算出手段7により、上記実加速度αと理論空走加速度α0との差が勾配負荷度αILとして設定され、勾配算出手段8により勾配負荷度α1Lと重力加速度gとに基づいてニュートラル状態における車両の走行路面の勾配θが、sinθ=−α1L/gとして算出されるのである。
なお、このような路面勾配θの算出は所定の制御周期毎に実行される。また、勾配負荷度算出手段7では、最初の路面勾配θの算出時には、勾配負荷度αILを算出するために車両総重量W及び転がり抵抗係数μに仮の値を代入しているが、算出された路面勾配θから車両総重量W及び転がり抵抗係数μが新たに算出される。そして、2回目以降の路面勾配θの算出時には、この値を平均化して用いることで車両総重量W及び転がり抵抗係数μの真の値が算出される。
【0035】
したがって、本発明の第1実施形態に係る路面勾配検出装置によれば、特別なセンサ等を用いることなくECU4に制御ロジックを追加するだけで正確に路面勾配を算出することができるという利点があるほか、極めて安価な構成で、本装置を提供できるという利点がある。また、算出された路面勾配から車両総重量を算出することができる利点がある。さらには、このようにして車両総重量を算出することで理論空走加速度を正しく求めることができるという利点がある。
【0036】
次に、本発明の第2実施形態に係る路面勾配に基づくエンジン出力制御装置について説明すると、本装置は上述した路面勾配検出装置により算出された道路勾配θを用いてエンジン出力を補正するものであり、図1に示すように、路面勾配検出装置を構成する各手段1,5〜8に加えて、エンジンの出力(この場合はエンジントルクを意味する)を制御するエンジン出力制御手段9をそなえて構成されている。
【0037】
ここで、エンジン出力制御手段9は、図示しないエンジン回転数センサ及びエンジン負荷センサ(例えばアクセルの踏み込み量等を検出するセンサ)で検出されたエンジン回転数及びエンジン負荷を用いて、図示しないエンジン出力特性マップから基本となるエンジントルク(目標エンジントルク)を設定するものである。
【0038】
また、図1に示すように、エンジン出力制御手段9には、道路勾配θに基づいてエンジントルクを補正するエンジン出力補正手段9aが設けられている。このエンジン出力補正手段9aは、第1実施形態で説明した路面勾配検出装置により算出された道路勾配θに基づいて、基本エンジントルクに対する補正量を設定し、この補正量に基づいて基本エンジントルクを補正するものである。
【0039】
そして、このようにして補正された目標エンジントルクが対応する目標ラック位置に変換され、この目標ラック位置が図示しない燃料噴射ポンプに出力されるようになっている。
以下、エンジントルクの補正についてさらに説明する。まず、車両総重量W及び変速中の道路勾配θが一定であると仮定すると、車両加速度αは式(1)よりエンジントルクTE 及び車速Vに依存することがわかる。
【0040】
したがって、車両加速度αを一定にするエンジントルクTを算出し、これに基づいてエンジントルクを制御できれば、シフトショックが生じないような変速開始時のエンジントルク減少制御及び変速終了時のエンジントルク復帰制御が可能である。なお、変速開始時のエンジントルク減少とは、ドライバが変速操作開始前にアクセルペダルを戻すことによるエンジントルクの減少をいい、変速終了時のエンジントルク復帰とは、ドライバが変速操作終了直後にアクセルペダルを踏み込むことによるエンジントルクの増大をいう。
【0041】
そして、本発明では、変速操作時にニュートラル状態となっている間の車両の加速度を推定して、クラッチ接続時に、上記の加速度となるようにエンジントルクを補正して、シフトショックを回避するようになっている。
すなわち、車両総重量Wが一定と仮定すると、上り坂では空走時加速度αN が平坦路より小さくなるので、変速時間短縮のため加速度変化を大きくする必要があり、式(1)より変速操作時のトルク減少・復帰時のエンジントルク変化を大きくするような補正が行なわれる。また、下り坂は空走時加速度αN が平坦路より大きいので加速度変化は平坦路より小さくてよく、式(1)よりエンジントルク変化を小さくするように補正が行なわれるようになっている。
【0042】
ところで、クラッチ接続時に、クラッチコントロール系の接タイミングのばらつきにより、エンジントルクが規定値(空走時相当加速度αN を発生させる値)以外の時にクラッチが繋がると、シフトショック(ぎくしゃく感)が発生するおそれがある。このため、空走時相当加速度αN を発生させるエンジントルクを一定時間保持するようになっており、この一定時間内にドライバがクラッチを繋ぐことにより、クラッチ接続タイミングがばらついてもシフトショックの発生を防止することができるのである。
【0043】
次に、変速操作時のクラッチ制御について説明すると、変速中空走時の加速度は下式(7)で表すことができる。
【0044】
【式3】
なお、上式(7)は、式(1)にエンジントルクTE =0及びT/Mギア比it=0を代入することで得られるものであり、上述した式(2)と実質的に同一のものである。
【0045】
そして、式(1)での変速開始時のエンジントルク減少時の車両加速度αが、上記の空走時加速度αN 相当になった時に変速時のクラッチ切動作を行なえば、車両加速度変化が連続的となり、ぎくしゃく感が発生しにくい。また、式(1)でのトルク復帰による車両加速度αが、上記の空走時加速度αN 相当になった時に変速時のクラッチ接動作を行なえば、車両加速度変化が連続的となり、ぎくしゃく感が発生しにくく、また、駆動系の捩じり振動を低減できるのである。
【0046】
本発明の第2実施形態に係る路面勾配に基づくエンジン出力制御装置は、上述のように構成されているので、変速操作時には、例えば図2に示すようなエンジントルクの補正が行なわれる。なお、図2中のエンジントルク特性線のうち、平坦路におけるエンジントルクを実線で、上り坂におけるエンジントルクを破線で、下り坂におけるエンジントルクを2点鎖線でそれぞれ示す。また、図2では道路勾配以外の条件は同一である。
【0047】
図2に示すように、変速操作開始時には、ドライバはクラッチを切る前にまずアクセルペダルを戻すので、これによりエンジントルクが減少していく。その後、ドライバはクラッチを切り、変速段が例えば2速から一旦ニュートラルを経由して3速に切り換えられる。なお、この間はエンジンはアイドル状態となるのでエンジントルクは略最小値となる。そして、ギア段の切り換えが終了するとクラッチを繋いで、その後アクセルを再び踏み込む。これによりエンジントルクが復帰する。
【0048】
そして、このようなエンジントルクの減少時及び復帰時のエンジントルクが道路勾配に応じて補正される。すなわち、下り坂ではエンジントルクの減少が抑制されるとともに、復帰時には、平坦路よりも大きなエンジントルクが設定される。これは、下り坂は空走時加速度αN が平坦路より大きいので、加速度変化は平坦路より小さくてよいからであり、式(1)よりエンジントルクの変化率が小さくなるように補正が行なわれるのである。また、上り坂では、これとは逆に、エンジントルクの変化率が大きくなるように補正が行なわれるのである。
【0049】
次に、このようなエンジントルク補正を行なう際のパラメータとしての車両重量Wの算出手法について図3に示すフローチャートを用いて具体的に説明する。まず、ステップS10で、荷物の積み卸し等を行なったか否か(即ち、車両総重量が変化したか否か)が判定される。そして、荷物の積み卸し等をしていない場合(最初の制御周期も含む)には、そのままステップS30に進み、荷物の積み卸し等を行なった場合にはステップS20で前回算出した車両重量WをリセットしてからステップS30に進む。なお、荷物の積み卸しをしたか否かは、例えばドライバが図示しない車両重量リセットスイッチを操作したか否かにより判定される。
【0050】
また、ステップS30では、変速操作が開始され且つブレーキペダルが踏み込まれていない状態であるか否かが判定される。そして、これら2つの条件を満たした場合のみステップS40に進み、そうでない場合には、上記の条件を満足するまでステップS40での判定を繰り返し実行する。これは、本制御が、変速操作時のエンジントルクを制御するものであるため、変速操作が開始されるまでは以降のステップに進む必要がないからである。また、ブレーキ操作をした場合には、路面勾配θに応じた理論加速度αN を正しく算出することができないため、ブレーキ操作の有無を判定するのである。
【0051】
次に、ステップS40では車両重量Wが既に算出されたか否かが判定される。そして、最初の制御周期及び上記ステップS20で車両重量Wがリセットされた場合には、車両重量Wは算出されていないのでステップS50に進み、前回の制御周期で車両重量Wが選出されている場合にはステップS60に進む。
ステップS50に進んだ場合には、現在の車両重量Wとして積車相当の仮の値を代入するとともに、道路勾配を平坦路(θ=0)であると仮定する。そして、このような条件のもと変速時のエンジントルク制御及びクラッチ制御が実行される。
【0052】
一方、ステップS60に進んだ場合には、既に算出された車両重量Wをクラッチ接時の運動方程式(1)に代入することで道路勾配θが算出され、これらの2つの値を用いて変速時のエンジントルク制御及びクラッチ制御が実行される。
上記ステップS50又はステップS60で車両重量W及び道路勾配θが設定されると、次に、ステップS70に進んで、変速中(ギアがニュートラル且つクラッチ切)の加速度を空走時の式(3)に代入することで、あらためて道路勾配θが算出される。
【0053】
また、その後ステップS80で、変速直前(クラッチ接続時)の加速度及び上記ステップS70で算出した道路勾配をクラッチ接続時の運動方程式(1)に代入し、車両重量Wを算出し、ステップS90に進む。
そして、ステップS90では、上記ステップS80における車両重量の算出が1回目であるか否かが判定され、1回目の場合にはそのままリターンする。また、車両重量の算出が2回目以降であれば、ステップS100に進み、前回算出された車両重量と、今回算出された車両重量とを平均化して、これを次回の制御周期で用いる車両重量とする。
【0054】
したがって、本発明の第2実施形態に係る路面勾配に基づくエンジン出力制御装置によれば、路面勾配に応じてエンジン出力(エンジントルク)が補正され、シフトショックを大幅に低減することができ、変速操作時のフィーリングを向上させることができる利点がある。
また、上述したように、車両重量Wを繰り返し算出して平均化していくことにより、車両重量Wを正確に求めることができ、正確なエンジントルク補正を行なうことができるという利点がある。
【0055】
【発明の効果】
以上詳述したように、請求項1記載の本発明の路面勾配に基づくエンジン出力制御装置によれば、正確な路面勾配を算出することができるという利点があるほか、特別なセンサ等を新たに設ける必要もなく、制御ロジックを追加するだけでよいので、極めて安価で本装置を提供できるという利点がある。
【0056】
また、路面勾配に応じてエンジン出力を補正するとともに、空走時の加速度となるようにエンジン出力を補正することにより、シフトショックを大幅に低減することができ、変速操作時のフィーリングを向上させることができるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施形態に係る路面勾配検出装置の要部構成を示す模式的な機能ブロック図である。
【図2】本発明の第2実施形態に係る路面勾配に基づくエンジン出力制御装置の制御特性を説明するためのタイムチャートである。
【図3】本発明の第2実施形態に係る路面勾配に基づくエンジン出力制御装置の作用を説明するためのフローチャートである。
【符号の説明】
1 ニュートラル検出手段(ニュートラルセンサ)
5 実加速度検出手段
6 理論加速度算出手段
7 勾配負荷度算出手段
8 勾配算出手段
9 エンジン出力制御手段
9a エンジン出力補正手段

Claims (1)

  1. 変速機の変速段がニュートラル状態であるか否かを検出するニュートラル検出手段と、
    上記ニュートラル検出手段により該変速機のニュートラル状態が検出されると車両の実加速度を検出する実加速度検出手段と、
    該変速機がニュートラル状態での平坦路空車走行における理論加速度を算出する理論加速度算出手段と、
    上記実加速度と上記理論加速度との差から勾配負荷度α IL を算出する勾配負荷度算出手段と、
    上記勾配負荷度αILと重力加速度gとに基づいて上記ニュートラル状態における車両の走行路面の勾配θを
    sinθ=−αIL/g
    により算出する勾配算出手段と、
    エンジン回転数及びエンジン負荷に基づきエンジンの出力を制御するエンジン出力制御手段と、
    上記エンジン出力制御手段に設けられ、変速時のシフトショックを低減するべく該勾配算出手段で算出された路面勾配に応じてエンジン出力を補正するエンジン出力補正手段とをそなえ、
    該エンジン出力補正手段は、変速中において該変速機がニュートラル状態での空走時の加速度を該路面勾配に基づいて算出し、クラッチ接続時には、該空走時の加速度となるようにエンジン出力を一定時間保持するように補正する
    ことを特徴とする、路面勾配に基づくエンジン出力制御装置。
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