JP4179941B2 - 薄膜状試料用x線回折測定容器 - Google Patents

薄膜状試料用x線回折測定容器 Download PDF

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この出願の発明は、薄膜状試料用X線回折測定容器に関するものである。さらに詳しくは、この出願の発明は、外部手段を用いた気体の導入および排気による容器内部の環境制御が可能であり、その環境を保持することが可能である薄膜状試料用X線回折測定容器であって、薄膜状試料表面に対して垂直方向から試料の構造変化や分析のための光照射および光透過が可能である薄膜状試料用X線回折測定容器に関するものである。
粘土鉱物や水素吸蔵合金などに代表されるように、水蒸気や水素などの各種気体などを吸着あるいは吸蔵し、その結果、膨潤や相転移など、自身の結晶構造を変化させる物質が多く知られており、また、このような構造変化を観測する有力な手法の一つとして、X線回折測定が知られている。
これまで、空気中の水分量(相対湿度)に応じた物質の構造変化を追跡する手法として、特許2859910号公報(特許文献1)、特許2045813号公報(特許文献2)および特開平7−280748号公報(特許文献3)において、X線回折測定装置用の相対湿度制御装置およびその制御方法が開示されている。
これら特許文献1〜3によると、精密な温湿度調整の実現により、0〜100%の任意の相対湿度下における試料のX線回折測定が可能とされている。しかしながら、これらの方法では、既成の汎用のX線回折測定装置の改造が必要になるなど、大掛かりなものとなってしまい、測定の費用が高くなる欠点を有している。また、試料の周囲を密閉する試料容器(試料ケース)のみに注目しても、基本的にX線回折測定装置に据え付けであるため試料の大きさに比べて非常に大きいものとなっている。
一方、既成の汎用のX線回折測定装置の改造を必要とせず、湿度の影響を受けやすい試料や空気中の酸素・二酸化炭素を嫌う試料など(以下「不安定な試料」と呼ぶ)のX線回折を簡便に測定することのできるX線回折測定装置用試料容器が特許1928019号公報(特許文献4)において開示されている。この試料容器は接着剤やグリースなどにより接着する組み立て式の構造であり、取り扱いは前述のものと比べて非常に簡便である。また既成のX線回折測定装置のゴニオメータの試料室に挿入可能であって小型といえる。しかしながら、この試料容器は、一度試料を容器内部に設置して試料容器を組み立ててしまうと、試料容器内外の物質流通は完全に遮断されるため、試料容器内部の雰囲気は組み立て時の初期状態から変化させることができなくなるといった問題を有している。
他方で、光照射によって分子構造が可逆的に変化する有機化合物(有機フォトクロミック化合物)が知られており、この有機フォトクロミック化合物は光照射に伴う分子構造変化と同時に、色調変化に代表されるような分子自身の光物性の変化を伴う。このような性質に基づき、有機フォトクロミック化合物は光記録材料をはじめとして現在まで様々な産業分野で利用されている。
光照射による有機フォトクロミック化合物の分子構造変化は、化合物1分子のみに注目すれば分子レベルの大きさの変化に過ぎない。しかしながら、このような化合物を結晶化させるなどして集合体化させた場合、各分子の構造変化が総合され、マクロなレベルでの形状変化を引き起こすことになる。このような見地から有機フォトクロミック化合物を固体変位素子(アクチュエータ)として利用する研究が行われている。
光照射によって駆動するアクチュエータの構築を目的とした物質創製の一例が特開平11−279134号公報(特許文献5)、特開2001−21850号公報(特許文献6)、特開2001−270860号公報(特許文献7)において開示されており、これらの文献では粘土鉱物をはじめとする無機層状化合物に有機フォトクロミック化合物を包接(インターカレーション)させた無機/有機複合体の創製について述べられている。
無機層状化合物はその種類により程度の差はあるものの、外部からの分子を層間にインターカレーションし、層間距離を拡大する。例えば、粘土鉱物はその代表格であり、水に対して高い膨潤性を有し、水のインターカレーション量の増大に応じて層間距離を拡大する。
無機層状化合物の層間に有機フォトクロミック化合物がインターカレーションされた複合体においては当然インターカレーション前の無機層状化合物に比べて層間距離は増大している。インターカレーション後の層間距離を基準としてさらにこの複合体に光照射した場合に無機層状化合物の積層方向に層間距離の伸縮を示せば、光照射によって駆動するアクチュエータが構築されたといえる。
先に述べたように、有機フォトクロミック化合物は光照射に伴い分子自身の光物性を変化させることから、光機能性材料として広く用いられている。従って有機フォトクロミック化合物を用いた光機能性材料設計においては、光照射に伴う構造変化の測定とともに、それに対応する光物性変化の測定も重要である。そこで、有機フォトクロミック化合物を用いた光機能性材料設計のための光照射に伴う構造変化の測定および光物性変化の測定を行う際には、次の(1)〜(4)のような条件を設定する。
(1)測定装置などについてはできるだけ既成の汎用のものを利用する。
(2)光照射に伴う構造変化の測定手段としてX線回折測定を適用する。
(3)(2)の構造変化に付随する光物性変化の測定手段としては、最も一般的である光透過吸収測定を適用する。
(4)薄膜状試料を取り扱う。
有機フォトクロミック化合物はいわば色素であり、通常は高い吸光係数を持つ。そのため、(3)の光透過吸収による光物性の測定には、試料光路長を短くして吸光度を適度な値にする必要があり、(4)の条件を設定した。
なお、(2)、(3)における光照射および光透過は、(4)の薄膜状試料表面に対して垂直方向から行うものとする。
まず、有機フォトクロミック化合物を含む薄膜状試料に対するX線回折測定について考える。大気中においてはこのような薄膜状試料に対するX線回折測定は、既成のX線回折装置で通常の測定法により可能である。しかしながら、仮にこの試料が水に対して高い膨潤性を示すとすれば、大気中においてこの複合体に光照射した場合に観測される構造変化の大きさは必ずしも正しいものとは言えない。
つまり構造変化の原因には、試料が大気中に存在する水を吸着して膨潤する影響が含まれることになる。したがって、光照射による真の構造変化を測定する場合には、試料の周囲を密閉する容器と容器内を一定環境にする手段が必要となる。
この手段としては、前述した特許2859910号公報(特許文献1)、特許2045813号公報(特許文献2)および特開平7−280748号公報(特許文献3)においえ開示されている装置が挙げられる。しかしながら、これらの手段では試料周囲の環境を制御・保持できるものの、試料の大きさに比べて試料容器が非常に大きく、基本的にX線回折装置に据え付けであるために、既成の汎用の光照射装置、光透過吸収測定装置の試料室には導入できない。仮に、光照射や光透過吸収測定のための光源を導く光ファイバーやフォトダイオードアレイなどの光透過吸収測定のための分光器内臓型検出器をこれらのX線回折装置に導入するとしても、更なるX線回折装置の改造や光軸調整などが必要となり現実的な方法ではない。
他の手段として、先に述べた特許1928019号公報(特許文献4)において開示されているX線回折装置用試料容器が挙げられ、この試料容器は既成のX線回折装置のゴニオメータの試料室内に挿入可能であり、また既成の汎用の光照射装置、光透過分析装置の試料室にも簡単に設置できる大きさである。しかしながら、一度試料を容器内部に設置して試料容器を組み立ててしまうと、試料容器内外の物質流通は遮断されるため、試料容器内部の雰囲気は組み立て時の初期状態から変化させることができない。例えば同一試料で、試料容器内の雰囲気を徐々に変化させながら測定する必要がある場合にはその都度試料容器を分解しなければならず、煩雑になってしまう。
特許2859910号公報 特許2045813号公報 特開平7−280748号公報 特許1928019号公報 特開平11−279134号公報 特開2001−21850号公報 特開2001−270860号公報
そこで、この出願の発明は、以上のとおりの事情に鑑みてなされたものであり、従来技術の問題点を解消し、小型かつ取り扱いが簡便で、外部手段を用いた気体の導入および排気による容器内部の環境制御が可能であり、その環境を保持することのできる薄膜状試料用X線回折測定容器であって、薄膜状試料表面に対して垂直方向から試料の構造変化や分析のための光照射および光透過が可能である薄膜状試料用X線回折測定容器を提供することを課題としている。
この出願の発明は、上記の課題を解決するものとして、まず第1には、薄膜状試料のX線回折測定に用いられる測定容器であって、
1)X線回折測定装置に容器本体を設置するための容器保持部と、
2)容器保持部に取り付けられ、薄膜状試料を固定した試料板の導入口が設けられるとともに突部が設けられており、X線回折測定を行う薄膜状試料を固定した試料板が設置されてX線の入射および出射が行われる容器本体と、
3)容器本体外部から容器本体内部への気体の導入および容器本体内部の排気を行うための小孔を有し、容器本体の突部に着脱可能な蓋部とを備え、
容器本体の突部にも容器本体外部から容器本体内部への気体の導入および容器本体内部の排気を行うための小孔が形成され、蓋部が突部に装着された状態で突部の小孔と蓋部の小孔との位置の一致、不一致によって容器本体の内部と外部との通気と封止が行われ、容器本体の内部環境が制御されることを特徴とする薄膜状試料用X線回折測定容器を提供する。
第2には、第1の発明において、薄膜状試料を固定した試料板の導入口が突部に設けられていることを特徴とする薄膜状試料用X線回折測定容器を提供する。
第3には、この出願の発明は、第1または第2の発明において、突部の小孔と蓋部の小孔との位置の一致、不一致が、蓋部の回動により実現されることを特徴とする薄膜状試料用X線回折測定容器を提供する。
さらに、第4には、第1ないし第3のいずれかの発明において、容器本体において薄膜状試料を固定した試料板を垂直方向からX線の照射および透過が可能であることを特徴とする薄膜状試料用X線回折測定容器を提供する。
以上詳しく説明したとおり、この出願の発明によって、小型かつ取り扱いが簡便で、外部手段を用いた気体の導入および排気による容器内部の環境制御が可能であり、その環境を保持することが可能な薄膜状試料用X線回折測定容器であって、薄膜状試料表面に対して垂直方向から試料の構造変化や分析のための光照射および光透過が可能である薄膜状試料用X線回折測定容器が提供される。
この出願の発明は上記のとおりの特徴をもつものであるが、以下にその実施の形態について説明する。
この出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器は、薄膜状試料のX線回折測定に用いられる測定容器であって、1)X線回折測定装置に容器本体を設置するための容器保持部と、2)容器保持部に取り付けられ、薄膜状試料を固定した試料板の導入口が設けられるとともに突部が設けられており、X線回折測定を行う薄膜状試料を固定した試料板が設置されてX線の入射および出射が行われる容器本体と、3)容器本体外部から容器本体内部への気体の導入および容器本体内部の排気を行うための小孔を有し、容器本体の突部に着脱可能な蓋部とを備え、容器本体の突部にも容器本体外部から容器本体内部への気体の導入および容器本体内部の排気を行うための小孔が形成され、蓋部が突部に装着された状態で突部の小孔と蓋部の小孔との位置の一致、不一致によって容器本体の内部と外部との通気と封止が行われ、容器本体の内部環境が制御されることを大きな特徴としている。
このとき、弁の開閉方法としては様々な方法が挙げられるが、たとえば試料部の突部および蓋部にそれぞれ小孔が設けられており、それら小孔の位置の一致・不一致によって容器内外の通気・封止を行うことが好適に挙げられる。とくに、それら小孔の位置の一致・不一致は、蓋部の回動により好適に実現され、このような方法を用いることにより容易に弁の開閉を行うことができ、容易に内部環境の制御を容易に行うことが可能となる。
また、この出願の発明の薄膜状試料用測定容器の試料部において試料表面に対して垂直方向から光照射、光透過を可能とすることで、光照射、光透過による物質の構造変化をX線回折により容易に測定することが可能となるのである。
この出願の発明の薄膜状試料用測定容器の具体的な構成を以下に示す。
図1および図2はそれぞれこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の全体の構成の一例を示す斜視図および側面図であり、また図3および図4はこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の試料部の一例を示す断面図である。
たとえば、図1および図2に示すように、薄膜状試料用X線回折測定容器(1)において、(2)は容器本体である試料部(3)を既成の汎用のX線回折測定装置に設置するための容器保持部であり、薄膜状試料に対する標準的なX線回折測定では、ガラス等の平板を試料板として用いることが多いことから、試料板(4)に薄膜状試料(5)を固定し、この試料板(4)の測定面をX線照射方向側にして試料部(3)内に配置し、容器本体である試料部(3)を、容器保持部(2)に取り付けた状態でゴニオメータの試料台(図示省略)に設置する。一般のゴニオメータでは試料台の基準面に試料面を押し当てれば、試料が正しく設置できるようになっている。また試料板の固定に関しては、標準的な試料板の場合においては、試料板を試料台の基準面と背面からの板バネとの間に挟み込む方式が採用されており、この出願の発明の容器保持部(2)は、標準的な試料板が板バネで固定される部分に相当する。したがって、容器保持部(2)の水平面については、平板状であることが望ましく、その材質は平板状であればどのようなものであってもよい。なお、容器保持部(2)は試料部(3)と一体であっても良い。図1および図2においては、容器保持部(2)は直角L字型の構造となっており、容器保持部(2)が試料部(3)と一体でない場合を示している。なお、L字型部分のうち試料台と接していない面を試料部(3)との固定に利用するものである。
試料部の構造は、図1および図2においては矩形をしているが、必ずしも矩形でなくとも良い。試料部の材質は石英やガラス、アクリル樹脂などのプラスチック、金属など、この出願の発明の薄膜状試料X線回折測定容器の使用状況に応じた気密性および耐久性を示せばどのようなものであっても良い。ただし、試料部上下面からの光照射、光透過のためには、光が透過する材質であることが望ましい。あるいは光が透過しない材質である場合には、光透過させる部分のみを光透過が可能な材質の窓材に代えても良い。また、試料部側面においてはX線が透過する必要があるが、これについてもX線透過させる部分のみをX線透過が可能な材質の窓材に代えても良い。この窓材としては例えばポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエステル、テフロン(登録商標)、ポリイミドなどの高分子薄膜、金属薄膜またはこれらの複合材料があるが、X線の吸収率が小さくかつ膜からの回折線や散乱線などの妨害X線が許容範囲内にあるものであればどのようなものであってもよく、これらに限定されるものではない。
試料部にX線透過窓枠(光透過窓)を設け、X線透過な窓材(あるいは光透過な窓材)を設ける場合には窓材と試料部本体を溶接するか、適当な接着剤などで接着するなどして気密性を保持する必要がある。
なお図1、図2、図3および図4の薄膜状試料用X線回折測定容器(1)においては、試料部(3)の両側面にX線透過窓枠(6)を設けX線窓材(7)を取り付けている。
次に薄膜状試料の試料部への導入、設置、保持について説明する。たとえば、図1および図2に示すように、測定にかかる薄膜状試料(5)は石英やガラスなどの平板上に固定し、これを試料板(4)とする。ただし、試料板(4)上下面からの光透過のためには、試料板(4)は光(8)が透過する材質であることが望ましい。なお、ここでいう薄膜状試料(5)とは10μm程度以下の薄膜試料、10μm程度以下の厚みで均一に試料板(4)に展開された粉体試料、またはこれらに類する形状の試料を意味する。試料板(4)上における薄膜状試料(5)の固定方法については特に限定しないが、薄膜状試料(5)に対する標準的なX線回折測定における試料作製法に準ずる。薄膜状試料(5)を固定した試料板(4)を試料部(3)に導入するためには試料部(3)に導入口を設ける必要がある。試料部(3)における導入口の位置は特に限定しないが図1および図2において例示するように、蓋部(9)との連結部分である突部(10)を導入口(11)として利用しても良く、容器構造の簡便化および小型化に寄与する。試料部(3)に導入される試料板(4)は試料部(3)内部底面中央に測定面をX線照射方向側に向けて設置される。また、この試料板(4)の試料部(3)内部底面への固定方法については特に限定しないが測定に影響を及ぼさない方法であればどのような方法であってもよい。例えば試料板(4)の測定にあずからない端部を粘着テープで固定する方法がある。
X線回折測定を行う上で試料面がゴニオメータ試料台の試料基準面と一致していることが重要であり、試料面が試料基準面に対して上方にずれていれば、回折X線(12)の角度は低角度側にシフトし、逆に下方にずれていれば高角度側にシフトする。「試料面と試料基準面が一致する」とは、薄膜状試料用X線回折測定容器(1)に当てはめて言えば、試料部(3)内に設置された試料板(4)の表面と、容器保持部(2)の上端すなわちゴニオメータ試料台の基準面に接する面が一致することである。このような条件を満たすために、試料部(3)の底面の厚みや試料板(4)の厚みなどを考慮にいれ容器を設計する必要がある。
次に試料部(3)側面にX線透過のための窓材(7)を設ける場合における、測定可能回折角範囲について述べる。図3において、試料部(3)の中心線(13)上にX線が照射されるようにこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を設置したものとする。ここで試料基準面(18)からX線透過窓枠上端(14)およびX線透過窓枠下端(15)の高さをそれぞれh、h’、また試料部(3)の中心線(X線照射点)(13)から試料部(3)の側面外壁(16)および側面内壁(17)までの距離をそれぞれl、l’とする。試料基準面(18)に対する、このときのX線透過可能最大角θmaxおよび最小角θminはそれぞれθmax=arctan(h/l)、θmin=arctan(h’/l’)で与えられる。よって測定可能回折角範囲2θは2θmin≦2θ≦2θmaxである。また図4のようにX線透過窓枠下端(15)が試料基準面(18)より下方にある場合は、測定可能回折角範囲の下限2θminは0°となる。ただし、回折角0°付近においては入射X線(19)が直接検出器に入る測定配置であり、実際の測定可能回折角下限界は使用するX線回折測定装置に依存する。
また図1および図2の(9)は蓋部であり、試料部(3)内外の通気・封止を可能にする部分であり、外部手段による気体の導入および排気による内部環境の制御および保持を可能とする。図1および図2に例示したように、試料部(3)の突部(10)と蓋部(9)の双方には通気のための小孔(20)、(21)が設けてある。蓋部(9)には試料部(3)の突部(10)に設けた小孔(20)に通じる管(22)が設けられている。この管(22)にシリコンゴム製のチューブを接続することで、外部手段による真空排気や気体導入などが可能になり、接続されたチューブをピンチコックなどの弁で閉じれば、試料部(3)内部の環境を保持することが可能となる。また図1に例示したように、蓋部(9)のガラスの管(22)と試料部(3)の突部(10)に設けた小孔(20)の位置をずらすと、試料部(3)の内部は外界より隔離される。したがって蓋部(9)は外部手段による試料部(3)内部環境の制御および保持にかかわる弁の機能を兼ねることができ、さらなる容器構造の簡便化および小型化に寄与する。蓋部(9)と試料部(3)の突部(10)がガラス共通擦りであることを想定した場合、ガラス共通擦り部分にシリコングリースなどを塗布することで、密閉性が高まる。この蓋部(9)の材質は密閉性が確保できればテフロン(登録商標)などの素材であっても良い。
また、この出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器においては、既成の汎用のX線回折測定装置のゴニオメータ試料室中央に容器保持部の部分を挿入するだけで標準的な方法によりX線回折測定が可能となる。また、既成の汎用の光照射装置および光透過吸収測定装置の試料室内にこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器を収納し、試料面が光路に対して垂直に配置されるようにこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器を固定するだけで、標準的な方法による光照射および光透過吸収測定が可能となる。
以下、添付した図面に沿って実施例を示し、この出願の発明の実施の形態についてさらに詳しく説明する。もちろん、この発明は以下の例に限定されるものではなく、細部については様々な態様が可能であることは言うまでもない。
<実施例1>
図1はこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の一例を示しており、この薄膜状試料用X線回折測定容器(1)において、容器保持部(2)は厚さ2.0mmのプラスチック平板を直角L字型にエポキシ系接着剤を用いて組み合わせた構造であり、試料部(3)とは一体となっていない。このため、エポキシ系接着剤を用いて容器保持部(2)と試料部(3)を一致させて固定した。
この実施例では、紫外光および可視光(波長200〜800nm)を薄膜状試料用X線回折測定容器(1)の上下方向から照射・透過させるため、試料部(3)の材質はこれらの光(8)を透過させることのできる、厚みは1.0mmの合成石英とした。なお、薄膜状試料用X線回折測定容器(1)よりX線を透過させる必要があるが、合成石英は大部分のX線を吸収し透過させない。そこで、図1、図2および図4に例示したように両側面の下部の合成石英をくりぬきX線透過窓枠(6)を設け、X線透過なポリイミド膜(50μm厚)をX線入射・出射用窓材(7)として採用し、これをエポキシ系接着剤により合成石英の試料部(3)の側面に接着し封止した。
この実施例1では用いた薄膜状試料(5)を固定するための試料板(4A)は幅6.5mm、長さ20mm、厚さ1.0mmの合成石英板とした。この試料板(4A)を試料部(3)内部に導入し、図1、図2および図4のように設置の場合、図2に示すように容器保持部(2)の水平部上端面である試料基準面(18)と試料面の高さが一致し、正しい測定を行うことができるはずである。
蓋部(9)と、試料導入口(11)を有し試料部(3)の蓋部(9)との連結部分である突部(10)は、ガラス共通擦りであって、突部(10)には双方の通気のための小孔(20)が設けられている。また蓋部(9)にもこの小孔(20)に通じる小孔(21)およびガラス管(22)が設けられている。このガラス管(22)にシリコンゴム製のチューブなどを接続することで、外部配管からの真空排気・気体導入などが可能となる。またガラス共通擦り部分にシリコングリースを塗布することで、試料部(3)内外の通気・排気は、蓋部(9)に設けられたガラス管(22)を通じてのみ行われる(図1ではガラス管(22)が縦の状態)。図1に例示したように蓋部(9)のガラス管(22)と試料部(3)の突部(10)に設けた小孔(20)の位置をずらすと(図1ではガラス管(22)が横の状態)、試料部(3)内部は外界より隔離される。
この実施例において用いた薄膜状試料用X線回折測定容器(1)は試料部(3)の突部(10)に蓋部(9)を装着した場合、60mm×20mm×20mmの直方体内に収まる寸法であり、既存の汎用のX線回折装置、光照射装置および光透過吸収測定装置の試料室に容易に収納できる。なおこの場合図4において、h=2.5mm、l=6mmであり、これより計算される測定可能回折角範囲2θは0°(θmin)≦2θ≦45.2°(θmax)である。ただし、回折角0°付近においては入射X線が直接、検出器に入る測定配置であり測定不能である。そのため実際の測定可能回折角下限界は使用するX線回折測定装置および測定条件に依存し、この例の場合は1.5°であった。
この例で用いた既成のX線回折測定装置は株式会社マック・サイエンス社製M21X−SRA型回転対陰極式X線回折装置である。X線源として銅の対陰極を有する封入管球を検出器としてNaI(Tl)−シンチレーションカウンターを用いた。測定条件は入射X線波長1.54056Å(モノクロメータにてCuKα1線に単色光化)、発散スリット・散乱スリット:1/2°、受光スリット:0.15mm、X線管電圧:40kV、X線管電流:300mA、走査軸:2θ/θ連動走査、サンプリング幅:0.01°、ゴニオメータ走査速度:5°/分であった。
薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を用いた場合、実際に正しくX線回折が測定可能かどうかを確認した。市販のゼオライト(ナカライテスク株式会社製、商品名モレキュラーシーブ4A)を粉砕し粉末状にしたものを、前述した合成石英板の試料板(4A)上に極めて薄く展開し、薄膜状試料(5)とした。この薄膜状試料(5)が配置された試料板(4A)を試料部(3)の試料導入口(11)から導入し、試料面を上に向けて図1、図2および図4のように設置した。ここでは蓋部(9)を試料部(3)に装着せずに25±1℃、調湿なし、大気圧下の大気中における試料板(4A)のX線回折パターンを測定した。また比較のために、一般的なX線回折測定で多用される窪みのついた標準試料板に同じゼオライト粉末を充填した試料についても同様にX線回折を測定した。
薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を用いた場合と標準ガラス試料板を用いた場合のX線回折測定結果をそれぞれ図5の(a)および(b)に示す。標準ガラス試料板を用いた場合では回折角6〜13°の間に3本の回折線が観測された。これは、試料のゼオライトに由来する回折線である。一方、薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を用いた場合においても標準ガラス試料板を用いた場合と同じ位置に回折線が得られることから、薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を用いるX線回折測定は通常法と何ら変わりなく測定が可能であることが示される。なお、薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を用いた場合に得られた回折角6°付近の幅広い回折線は、試料板(4A)として用いた合成石英に由来するものである。このようなバックグラウンドが解析に影響を与える場合には、合成石英板のみのX線回折測定を行った後に実試料のX線回折測定を行い、実試料のX線回折線から合成石英板のみのX線回折線を差し引く演算をするか、試料量を増やして試料由来の回折線強度を増加させ、相対的にバックグラウンド強度を低下させるなどの方法がある。
<実施例2>
つぎに層状ケイ酸塩である合成スメクタイト(クニミネ工業株式会社製、商品名スメクトンSA(以下「スメクタイト」とする))の底面間隔の相対湿度依存性を測定した。相対湿度はある一定温度における飽和水蒸気圧と、対象とする空間内の水蒸気圧との比(百分率)で定義される。スメクタイト族をはじめとする層状ケイ酸塩は粘土鉱物の代表格であり、水に対して高い膨潤性を示し、水の取り込み量の増大に応じて底面間隔(層間距離)が拡大することが知られている。
スメクタイト水分散液を実施例1と同様の合成石英板上に展開し、風乾したものを試料(試料板(4B))とする。風乾後の試料板(4B)上には薄膜状試料(5)であるスメクタイト薄膜が形成している。この試料板(4B)を実施例1と同様に薄膜状試料用X線回折測定容器(1)の試料部(3)内に設置し、蓋部(9)も装着した。なおこの例においては全ての操作よび測定は調湿のない、25±1℃の実験室内で行った。
風乾後の試料板(4B)は依然として多量の水分子をスメクタイト層間に保持している。そこでまず水分が全くない相対湿度0%の条件を作るために、図6に示すような系を用いて塩化カルシウム、シリカゲル、五酸化二リンの乾燥塔を順に通して得られた乾燥窒素を、試料部(3)内にバブラーを用いて大気圧まで導入した後、オイルロータリーポンプにて試料部(3)内を0.1Torr以下まで排気した。なお、図6中の(23A)〜(23E)はニードル弁であり、(24)は圧力計であり、(25)は水溜めである。
この操作によりスメクタイト層間中の水分子は層外へ排除され、底面間隔の変化に対応する回折線は高角側にシフトした。すなわち底面間隔は減少した。この操作を回折線のシフトが観測されなくなるまで繰り返した。最後に容器中を0.1Torr以下の真空状態にして、蓋部(9)を回転させて試料部(3)内外の物質流通を遮断し、X線回折測定装置に薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を設置し、X線回折測定を行った(相対湿度0%)。なお、25±1℃における飽和水蒸気圧は23.8±1.4Torrであり、ここで得られる相対湿度の誤差は±6%である。
この相対湿度0%の状態から、あらかじめ凍結融解を繰り返して脱気した水溜め(25)から、圧力計(24)をみながら目標の相対湿度(相対水蒸気圧)になるまでニードル弁(23E)を調整することで試料部(3)の直前まで水蒸気を導入した。次に蓋部(9)を回転させて薄膜状試料用X線回折測定容器(1)内外の物質流通を可能な状態にして水蒸気を試料部(3)内部に導入した。水蒸気の試料部(3)内への導入後の系内の水蒸気圧は、試料部(3)内の容積分の膨張と試料板(4B)への吸着により低下した。そのため再度圧力計(24)を見ながら目標の相対湿度(相対水蒸気圧)になるまで同様の水蒸気導入操作を繰り返した。最終的に水蒸気圧の変動(減少)が見られなくなった状態を吸着平衡状態と判断し、再度蓋部(9)を回転させて試料部(3)内外の物質流通を遮断し、X線回折測定装置に薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を設置しX線回折を測定した。この測定手順を繰り返し、相対湿度を段階的に変化させた場合におけるスメクタイトのX線回折を測定した。
図7に相対湿度を段階的に変化させた場合におけるスメクタイトのX線回折測定結果を示す。回折角6〜10°付近に見られる回折角はスメクタイトの(001)面に帰属される。この(001)面の回折角よりBraggの式、d=λ/2sinθ(d:面間隔、λ:入射X線波長;1.54056Å、θ:回折角の1/2)を用いると、スメクタイトの底面間隔が求められる。スメクタイト(001)面の回折線の回折角6°付近に見られる肩は試料板(4B)に使用している合成石英板に由来する回折線であるが、解析に用いる回折線の回折強度に比べて小さく、回折に影響を与えないため、特に差し引きなどの演算は行っていない。
スメクタイト(001)面の回折線は相対湿度の増加とともに低角側にシフトしており、Braggの式より底面間隔の増大が示される。すなわち、相対湿度の増加に伴い、スメクタイトにおける水の吸着量が増大し、その結果としてスメクタイトの底面間隔が増大したものと理解できる。
この例のスメクタイトのX線回折測定結果を示す図7は特許2859910号公報(特許文献1)の図5に開示されている各相対湿度におけるスメクタイトのX線回折測定の結果と同様のパターンであり、相対湿度の上昇に伴う底面間隔の増大の挙動も一致している。薄膜状試料用X線回折測定容器(1)は相対湿度などの外部制御により容器内環境を制御し、これを保持し得るX線回折測定容器であることが示された。
<実施例3>
実施例2においても使用したスメクタイトに有機フォトクロミック化合物であるアゾベンゼン誘導体をインターカレーションさせ、無機/有機複合体を作製した。この複合体のベンゼン分散液を実施例1および実施例2と同様の合成石英板上に展開し、風乾したものを試料(試料板(4C))とした。風乾後の試料板(4C)上には無機/有機複合体薄膜が形成している。この試料板(4C)を実施例1および2と同様に薄膜状試料用X線回折測定容器(1)の試料部(3)内に設置し、蓋部(9)も装着した。なお実施例3においてとくに断りのない限りは全ての操作および測定は暗下で調湿のない、23±1℃の実験室内で行った。
風乾後の試料板(4C)について実施例2と同様に図6に示すような系を用いて塩化カルシウム、シリカゲル、五酸化二リンの乾燥塔を順に通して得られた乾燥窒素を試料部(3)内にバブラーを用いて大気圧まで導入した後、オイルロータリーポンプにて試料部(3)内を0.1Torr以下に排気した。この操作によりスメクタイト層間中の吸着分子は層外へ排除され、底面間隔の変化に対応する回折線は高角側にシフトした。すなわち底面間隔は減少した。この操作を回折線のシフトが観測されなくなるまで繰り返した。最後に薄膜状試料用X線回折測定容器(1)中に乾燥窒素を大気圧まで満たし、蓋部(9)を回転させて試料部(3)内外の物質流通を遮断した。
この薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を、まずX線回折測定装置に設置して測定を行った。次に株式会社島津製作所製UV−2400PC型紫外可視分光光度計の試料室内に薄膜状試料用X線回折測定容器(1)を収納し、試料面が光路に対して垂直に配置されるように固定して、紫外可視透過吸収スペクトルを測定した。この結果良好なX線回折パターン並びに紫外線可視透過吸収スペクトルが得られた。
一般にアゾベンゼン誘導体にはtrans体とcis体の2種類の構造異性体が存在し、紫外光照射によりtrans体からcis体へ、可視光照射や加熱によりcis体からtrans体へ異性化することが知られている。この性質により、アゾベンゼン誘導体をスメクタイト等の粘土をはじめとする無機層状化合物にインターカレーションさせることで底面間隔により光制御可能な材料を提供することが可能である。なお、このような材料については特開平11−279134号公報(特許文献5)、特開2001−21850号公報(特許文献6)および特開2001−270860号公報(特許文献7)において公知である。
試料板(4C)において得られた紫外可視透過吸収スペクトルはアゾベンゼン誘導体のtrans体によるものと帰属された。そこで試料板(4C)に対して光照射装置により紫外光(365nm)および可視光(458nm)を交互に照射し、それぞれ照射後にX線回折および紫外可視透過スペクトルを測定した。なお用いた光照射装置はキセノンランプを備えたウシオ電機株式会社製SX−UI500XQ型光源装置であり、365nm用または458nm用の干渉フィルターをそれぞれIRカットフィルター(フィルターはいずれもエドモンド・オプティクス・ジャパン株式会社製)と組み合わせて、単色光化した紫外光および可視光を取り出している。
薄膜状試料用X線回折測定容器(1)中で乾燥窒素雰囲気下にある試料板(4C)の光照射前と各光照射後におけるスメクタイト(001)面の底面間隔ならびに365nmでの吸光度を図8に示す。底面間隔は(001)面に帰属される回折線の回折角からBraggの式で求めた。吸光度は紫外可視透過吸収スペクトルから読み取った。光照射に伴い、底面間隔と吸光度は可逆的に変化することが分かる。紫外光照射後および可視光照射後の吸収スペクトルはそれぞれ、アゾベンゼン誘導体のcis体およびtrans体によるものと帰属された。したがって、底面間隔の可逆的な変化はアゾベンゼン誘導体の構造異性化によって引き起こされたものであることが理解できる。
次に比較として、試料板(4C)と同様の試料である試料板(4D)を作製し、試料板(4C)と同様に薄膜状試料用X線回折測定容器(1)中における乾燥窒素導入と真空排気処理を行った。その後蓋部(9)を回転させて試料部(3)内を調湿のない大気下に開放したまま、試料板(4C)と同様に光照射、X線回折測定ならびに紫外可視透過吸収スペクトル測定を行った。
薄膜状試料用X線回折測定容器(1)中で大気下にある試料板(4D)の光照射前と各光照射後におけるスメクタイト(001)面の底面間隔ならびに365nmでの吸光度を図9に示す。光照射に伴い吸光度は可逆的に変化していることがわかる。これは試料板(4C)と同様にアゾベンゼン誘導体の構造異性化を反映している。ところがそれに対応する底面間隔については伸縮する傾向を示すものの完全には復元せず、全体としては広がる方向であった。この例で使用しているスメクタイトは実施例2で示されたように水に対して高い膨潤性を有する。したがって試料板(4D)において試料板(4C)のような底面間隔の可逆的な伸縮が見られなかった原因として、複合体層間への大気中の水の吸着が考えられる。よって薄膜状試料用X線回折測定容器(1)は外部制御により容器内環境を制御し、これを保持し得るX線回折測定容器であり、かつ、薄膜状試料表面に対して垂直方向から試料の構造変化や分析のための光照射および光透過が可能である薄膜状試料用X線回折測定容器であることが示される。
この出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の一実施形態を例示した斜視図である。 図1の薄膜状試料用X線回折測定容器の側面図である。 この出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の試料部の一実施形態を示す断面図である。 図1および図2の薄膜状試料用X線回折測定容器の試料部の断面図である。 実施例1におけるX線回折の結果を示す回折パターン図である。 実施例2および3における、この出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の一例の内部環境制御のための外部装置の一例を示す概念図である。 実施例2におけるX線回折の結果を示す回折パターン図である。 実施例3においてこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の一例において、内部環境を保持した場合の光照射による試料の吸光度および底面間隔の測定の結果を示すグラフである。 実施例3においてこの出願の発明の薄膜状試料用X線回折測定容器の一例において、内部環境を保持しなかった場合の光照射による試料の吸光度および底面間隔の測定の結果を示すグラフである。
符号の説明
1 薄膜状試料用X線回折測定容器
2 容器保持部
3 試料部
4 試料板
5 薄膜状試料
6 X線透過窓枠
7 窓材
8 光
9 蓋部
10 突部
11 試料導入口
12 回折X線
13 中心線
14 X線透過窓枠上端
15 X線透過窓枠下端
16 側面外壁
17 側面内壁
18 試料基準面
19 入射X線
20,21 小孔
22 管(ガラス管)
23 ニードル弁
24 圧力計
25 水溜め

Claims (4)

  1. 薄膜状試料のX線回折測定に用いられる測定容器であって、
    1)X線回折測定装置に容器本体を設置するための容器保持部と、
    2)容器保持部に取り付けられ、薄膜状試料を固定した試料板の導入口が設けられるとともに突部が設けられており、X線回折測定を行う薄膜状試料を固定した試料板が設置されてX線の入射および出射が行われる容器本体と、
    3)容器本体外部から容器本体内部への気体の導入および容器本体内部の排気を行うための小孔を有し、容器本体の突部に着脱可能な蓋部とを備え、
    容器本体の突部にも容器本体外部から容器本体内部への気体の導入および容器本体内部の排気を行うための小孔が形成され、蓋部が突部に装着された状態で突部の小孔と蓋部の小孔との位置の一致、不一致によって容器本体の内部と外部との通気と封止が行われ、容器本体の内部環境が制御されることを特徴とする薄膜状試料用X線回折測定容器。
  2. 薄膜状試料を固定した試料板の導入口が突部に設けられていることを特徴とする請求項1記載の薄膜状試料用X線回折測定容器。
  3. 突部の小孔と蓋部の小孔との位置の一致、不一致が、蓋部の回動により実現されることを特徴とする請求項1または2に記載の薄膜状試料用X線回折測定容器。
  4. 容器本体において薄膜状試料を固定した試料板を垂直方向からX線の照射および透過が可能であることを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の薄膜状試料用X線回折測定容器。
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