JP2006119115A - 光触媒活性の測定方法およびそのための測定装置ほか - Google Patents

光触媒活性の測定方法およびそのための測定装置ほか Download PDF

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Abstract

【課題】 光触媒活性材料が光触媒作用によって有機物を分解する際の能力を評価する際に、精度、感度、簡便性などを兼ね備え、使用実態に即した形の測定法の提供。
【解決手段】 露点を−20℃〜30℃に制御した空気中で、その露点よりも高い温度において光触媒活性材料の有機物分解能力を測定する、光触媒活性の測定方法。好ましくは、露点が測定温度より3℃以上低い;二酸化炭素不透過性及び水蒸気不透過性でありかつ光透過面を有する、密閉型反応容器内に光触媒活性材料を入れる;また、密閉型反応容器内を乾燥気体で置換する工程と、水を当該密閉型反応容器内に添加して蒸発させる工程を含む。
【選択図】 なし

Description

本発明は、光触媒活性の新規な測定方法およびその装置等に関する。さらに詳しくは、光触媒活性材料が光触媒作用によって有機物を分解する能力を評価する際に、実際の使用環境に近い条件において、正確にかつ高感度および再現性よく、しかも簡便に測定しうる実用的な方法、およびそれを行いうる装置等に関する。
光触媒作用とは、酸化チタンなどの半導体粒子をそのバンドギャップ以上のエネルギーの光で励起すると、伝導帯に電子が生じ、かつ価電子帯に正孔が生じ、このエネルギーに富んだ電子−正孔対を利用することである。この光触媒作用によって、酸化チタンなどの光触媒活性物質を利用して、有機物を分解することは広く知られている。さらに、これらの能力を利用して、空気中に含まれる微量の有機物を生活空間から分解・除去し、いわゆる「シックハウス症候群」などに代表されるアレルギー性疾患の対策とする検討が行われている。このような目的で、光触媒活性物質が表面に存在するような光触媒活性材料(光触媒活性物質そのものも含む)の開発が活発に行われている。
光触媒能の定量的な評価方法としては、その防汚性能の評価法として、光触媒活性材料に色素を吸着させ、その消色速度を測定する方法(特許文献1)などが知られている。また、窒素酸化物の分解方法については、JIS規格が制定されている(非特許文献1)。それぞれ、標準的な評価方法が確立されつつある。有機物を分解する能力の評価法としては、光触媒製品技術協議会が簡便な試験法として提案しているガスバッグA法、ガスバッグB法(非特許文献2)や、光触媒活性材料を充満させた反応部に有機物を含むガスを流通させガスクロマトグラフ質量分析計で分析する方法(特許文献2)などが知られている。
特許第3247857号公報 特開2002−336690号公報 JIS R 1701−1:2004年 光触媒製品技術協議会発行、光触媒製品技術協議会会則・諸規定および試験法(2003年6月)、50ページ〜57ページ ジーエル サイエンス株式会社、総合カタログ27(2001年5月発行)、89ページ
光触媒による有機物の分解能の測定については、慣用的に行われている手法はあるが、標準的な評価法とするには精度、簡便性などの点で問題がある。
例えば、非特許文献2の方法は確かに簡便ではあるが、気相中の有機物の減少量を測定しているのみで、分解によって生じる二酸化炭素の定量ができないため、有機物の分解量を正確に測定しているとは言い難い。テドラー(登録商標)バッグは、二酸化炭素の透過性は比較的高いことが知られているため、二酸化炭素も同時に定量する場合は、反応容器としては不適当である(非特許文献3)。さらに、テドラー(登録商標)バッグは、有機溶剤の蒸気の透過性も比較的高いことが知られており、厳密な測定には不適当である。さらに、ガスバッグA法、ガスバッグB法は、高価な分析装置が不要であるという反面、ガス検知管を使用するため測定1回当たりのコストは高く、頻繁に測定を行っていると、かえってランニング・コストが高くなってしまう。
特許文献2の方法は装置が大がかりになってしまい、簡便な測定法とは言い難い。ガスクロマトグラフ質量分析計も非常に高価である。また、業務用の空気清浄機などのように、高濃度の有機物を含むガスを処理するための光触媒活性材料の評価には適しているかもしれないが、壁面などに塗布するのみで生活空間中に存在する微量の有機物を分解する用途向けの光触媒活性材料の評価法としては、使用実態と乖離している。
光触媒作用における有機物の分解機構について、未解明の部分が多いが、ヒドロキシラジカルなど、気相中の水分子が関与した機構も提唱されており、その意味では、気相中の水分量を制御することは重要であるといえる。しかしながら、これまで、光触媒活性の測定において、気相の水分量を容易に制御する方法は、提唱されていない。
上述のごとく、光触媒反応による有機物の分解能力の測定方法には、精度、感度、簡便性などを兼ね備え、使用実態に即した形の、標準的な測定法になりうるような適当な方法は提案されていなかった。
本発明は、光触媒活性材料が光触媒作用によって有機物を分解する際の能力を評価する際に、精度、感度、簡便性などを兼ね備え、使用実態に即した形の測定法の提供をその目的の1つとする。
さらに、上記測定を容易に行うことができる測定装置の提供を目的の1つとする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意検討を重ねた結果、測定雰囲気中の水分量(湿度)を制御することで、光触媒反応による有機物の分解能力について、実際の使用形態に即した形で測定でき、しかも精度、感度が良好で、簡便な測定方法を見出した。
本発明(I)は、光触媒反応による有機物の分解能力の簡便かつ、実用的な測定法に関する。
本発明(II)は、本発明(I)の方法で測定した結果を用いて、光触媒能を表記する際の表記法に関する。
本発明(III)は、本発明(I)の測定を自動的に行うことができる装置に関する。
すなわち、本発明は以下の好ましい態様を含むものである。
〔1〕 露点を−20℃〜30℃に制御した雰囲気中で、その露点よりも高い温度において光触媒活性材料の有機物分解能力を測定することを特徴とする光触媒活性の測定方法。
〔2〕 有機物が、アルデヒド化合物、炭化水素、異種元素(O,N,S,Cl,F,I)を含む炭化水素からなる群から選ばれる1種以上である上記〔1〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔3〕 光触媒活性材料が、酸化チタンを含有するものであることを特徴とする、上記〔1〕または〔2〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔4〕 露点が測定温度より3℃以上低いことを特徴とする、上記〔1〕〜〔3〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
〔5〕 二酸化炭素不透過性及び水蒸気不透過性でありかつ光透過面を有する、密閉型反応容器内に光触媒活性材料を入れることを特徴とする、上記〔1〕〜〔4〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
〔6〕 密閉型反応容器内を乾燥気体で置換する工程と、水を当該密閉型反応容器内に添加して蒸発させる工程を含む、上記〔5〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔7〕 乾燥気体が、露点−70℃未満の乾燥空気である、上記〔6〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔8〕 乾燥気体が、二酸化炭素の含有量が1体積ppm未満の合成空気である、上記〔6〕または〔7〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
〔9〕 有機物を密閉型反応容器内に添加する工程と、光触媒活性材料に光を照射して、該密閉反応容器内の有機物濃度の経時変化を測定する工程を含む、上記〔5〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
〔10〕 暗所において有機物を密閉型反応容器内に添加し、30分間〜24時間の範囲内で暗所に置いた後に、光触媒活性材料に光を照射することを特徴とする、上記〔5〕〜〔8〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
〔11〕 有機物を密閉型反応容器内に添加する工程が、既知濃度の有機物を含む標準ガスを測り取り、該密閉型反応容器内に添加する方法によることを特徴とする、上記〔9〕または〔10〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔12〕 既知濃度の有機物を含む標準ガスが、10体積ppbから10体積%の範囲内の有機物を含む不活性ガスである、上記〔11〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔13〕 密閉型反応容器が以下の条件のうち少なくとも1つの条件を満たしていることを特徴とする、上記〔5〕〜〔12〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
(1)光透過面がガラス製の透明で平滑な板であり、他の部分がガラス製もしくは金属製であること
(2)光触媒活性材料を入れることができる大きさの開口部を有しており、蓋を圧着することによって密閉できる構造を有していること
(3)コックまたはバルブによって開閉可能な通気孔が2箇所以上あり、ガスを流通させることによって、内部のガスを置換することが可能であること
(4)密閉型反応容器の一部にゴム製の栓によって塞がれた穴があり、ゴム製の部分に注射針を刺すことによって、密閉型反応容器内部の気体の一部を抜いたり、密閉型反応容器に気体または液体を添加したりすることが可能である構造になっていること
〔14〕 密閉型反応容器内の気体の一部を、メタナイザーおよび水素炎イオン化検出器を装備したガスクロマトグラフ測定装置を使用して分析し、少なくとも有機物と二酸化炭素の濃度を測定することを特徴とする、上記〔5〕〜〔13〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
〔15〕 ガスクロマトグラフ測定装置のカラムとメタナイザーの間に、流路切換装置を挿入することを特徴とする、上記〔14〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔16〕 上記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の測定方法で測定した結果を、以下の項目の値、または、それらから算出される値、またはそれらを読み取ることができる図を記して表すことを特徴とする、光触媒活性材料の光触媒能の表記方法。
(A)測定開始時の有機物濃度
(B)暗所での吸着平衡時の密閉型反応容器内の気相における有機物濃度
(C)光照射時間と、該密閉型反応容器内の気相における有機物濃度との関係
(D)光照射時間と、該密閉型反応容器内で増加した二酸化炭素量との関係
〔17〕 密閉型反応容器、光源、水素炎イオン化検出器を装備したガスクロマトグラフ測定装置、メタナイザー、自動ガスサンプラー、ガス循環ポンプの組み合わせを含む、光触媒活性測定装置。
〔18〕 流路切換装置を含む、上記〔17〕に記載の光触媒活性測定装置。
〔19〕 上記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の光触媒活性測定方法を用いた光触媒活性測定装置。
〔20〕 上記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の光触媒活性測定方法を使用して光触媒活性を測定した光触媒。
〔21〕 上記〔17〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の光触媒活性測定装置を使用して光触媒活性を測定した光触媒。
〔22〕 上記〔20〕または〔21〕に記載の光触媒を含むゾル。
〔23〕 上記〔20〕または〔21〕に記載の光触媒を含むコーティング剤。
〔24〕 上記〔20〕または〔21〕に記載の光触媒を含む薄膜。
〔25〕 上記〔20〕または〔21〕に記載の光触媒を含む物品。
〔26〕 有機物が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルビリホス、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン、ダイアジノン、フェノブカルブ、エチレン、2−プロパノール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンの中から選ばれた、1種類以上の化合物であることを特徴とする、上記〔2〕に記載の光触媒活性の測定方法。
〔27〕 上記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法を使用する工程を含む、光触媒の製造方法。
〔28〕 上記〔17〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の光触媒活性測定装置を使用する工程を含む、光触媒の製造方法。
〔29〕 上記〔1〕〜〔15〕のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法を使用する工程を含む、光触媒の品質管理システム。
〔30〕 上記〔17〕〜〔19〕のいずれか1項に記載の光触媒活性測定装置を使用する工程を含む、光触媒の品質管理システム。
本発明の測定方法を用いれば、光触媒活性材料が光触媒作用によって有機物を分解する能力を、精度よく、簡便にかつ再現性よく測定することができる。
特に、光透過面を有する密閉型反応容器、任意の光源、液体状の有機物または既知濃度の有機物を含む標準ガス、ガスクロマトグラフ測定装置などの組み合わせによって、使用実態に即した形で測定でき、簡便で安価な、有機物分解に関する光触媒能評価方法を開発した。また、測定雰囲気中の水分量(湿度)を簡便に制御する方法を見出し、この手法が、上記測定方法との組み合わせにおいて非常に有効であった。
また、本発明の測定装置を使用すれば、本発明の測定を簡便に実施することが可能となる。
さらに、本発明の測定方法、測定装置等を使用すれば、光触媒活性を精度よく簡便に測定できるので、光触媒の開発、光触媒の選択を効率的に実施できる。
また、このようにして開発・選択された光触媒を使用すれば、用途に応じ最適な光触媒を薄膜、物品、ゾル、コーティング剤等に使用することが可能となる。
本発明の方法が適用される光触媒活性材料としては、少なくとも表面に光触媒活性物質層を有するものであればよく、特に制限はないが、例えば適当な透光性または非透光性基材上に、光触媒活性面として、光触媒活性物質層、具体的には光触媒活性物質からなる薄膜、微粒子状光触媒活性物質からなる層、光触媒活性物質を含む塗工層などを有するものを挙げることができる。また、光触媒活性物質そのものでもよい。
ここで、光触媒活性物質としては、公知のあらゆる光触媒活性物質を対象とすることができるが、例えば酸化チタン、酸化亜鉛、チタン酸ストロンチウム(SrTiO3)、チタン酸バリウム(BaTi49)、チタン酸ナトリウム(Na2Ti613)、二酸化ジルコニウム、α−Fe23、K4Nb617、Rb4Nb617、K2Rb2Nb617などの金属酸化物、硫化カドミウム、硫化亜鉛、硫化インジウムなどの金属硫化物、さらには、これらに助触媒として、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウムなどの白金族金属や、NiOx、RuOx、RhOxなどを担持させたものなどが挙げられる。また、上記光触媒活性物質の結晶構造中の酸素や硫黄の一部に欠陥が生じていてもよく、酸素や硫黄の一部が窒素等の別の元素で置換されていてもよい。これらの中で、光触媒活性および経済性などの面から、酸化チタンが好適である。この酸化チタンの結晶相としてはルチル、アナターゼ、ブルッカイトのいずれも使用可能であり、それらの混相も使用可能であるが、光触媒活性の点から、アナターゼまたはブルッカイトを多く含んでいるものが好ましい。
本発明の方法で光触媒活性を測定する際の、光触媒活性材料の試料としての形態に特に制限はなく、実際の使用状況に近い形で、そのまま使用することができる。ただし、光触媒活性材料は、できるだけ2次元に均一に広がった形で、容器内に置いてあることが好ましい。例えば、光触媒活性材料が粉体の場合には、シャーレーなどの上に置き、純水または有機溶媒によって懸濁された状態でシャーレー全面に広げ、乾燥させることによって、シャーレー全体に試料が分散された形をとることが好ましい。光触媒活性材料が粒子の場合には、可能な限り単層で、広い面積に密に並んでいる状態が好ましい。光触媒活性材料が光触媒活性物質を含む膜を塗布された材料の場合は、本測定を妨害する部位が含まれていない限り、そのまま該反応容器に入れて試料とすることができるが、正確で再現性よい測定を行うためには、平坦な面であることが好ましい。光触媒活性材料の表面が有機物で汚染されている場合、あるいは、光触媒活性材料が光触媒作用によって分解されるような有機物を含んでいるような場合は、本発明の測定で正確に評価できない可能性がある。そのような場合には、本発明の測定を行う前に、光触媒活性材料に大気中において紫外線を照射し、あらかじめ分解される有機物を除去しておくことが好ましい。
本発明における有機物は、特に制限はなく、何でも使用可能である。光触媒の用途の一つとして、生活空間からの有害物質の分解除去というのがあり、その観点から、本発明で分解の対象とする有機物は、生活空間に存在しておりなおかつ有害性が指摘されている物質であることが好ましく、特に揮発性有機物(常温で揮発しやすい有機物)を採用することが好ましい。2004年4月現在で、厚生労働省が室内濃度の指針値を定めている物質が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルビリホス、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン、ダイアジノン、フェノブカルブであり、これらの物質から選ばれたものを対象とすることが好ましい。また、これ以外でも、将来、生活空間に存在しておりなおかつ有害性が指摘されその分解除去が強く望まれる物質が見出された際には、それを対象としても良い。また、別の観点から光触媒の分解対象物として検討されているものとして、エチレン、2−プロパノールなども挙げられ、これらを使用することも好ましい。エチレンについては、生鮮品の腐敗を促進する効果があるため、生鮮品の保存環境において、その雰囲気から分解除去されることが望まれている。また、2−プロパノールは、光触媒による有機物の分解反応の検討において、その機構を解明するための学術的な研究の分解対象物として使用されることがある。汎用的に使用されている化学物質であること、生活空間からの分解除去が望まれていること、入手が容易であること、分析方法もよく知られていること、分子構造が簡単で分解機構を考察しやすいこと、などを考慮すると、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、エチレン、2−プロパノールから選ばれた物質を対象とすることが、より好ましい。もっとも好ましくは、すでに分解対象物として報告例が多いアセトアルデヒドである。
本発明における有機物の分解とは、該有機物を、無害かつ光触媒活性物質の表面を被毒しない物質へ変換する反応であれば、特に制限はない。無害な分解生成物としては、二酸化炭素と水がもっとも知られている。したがって、本発明においても、二酸化炭素と水に分解されることが好ましい。
本発明は、光触媒活性材料の有機物分解能力を測定するに際して、測定雰囲気の空気を露点が−20℃〜30℃になるように制御すること、その露点よりも高い温度で測定することを特徴の1つとする。
空気の露点を制御する具体的方法としては、特に限定されないが、密閉型反応容器を用いる方法が好適である。
この目的に好適に使用される、光透過面を有する密閉型反応容器について説明する。光透過面は、可視光線を透過する方が好ましいため、無色透明であることが好ましい。これは、光触媒反応において可視光線の有効利用が望まれているのと同時に、測定時の光触媒活性材料の様子を目視で確認できる利点もある。また、入射する光が反射、屈折などの影響を受けにくいので、透過面は平滑であることが好ましい。さらに、容器としては350nm付近の紫外光も透過する方が好ましい。また、ガス状の有機化合物や二酸化炭素などの浸透性・透過性がないことが好ましい。従って、ガラス製であることが好ましい。ガラスとは、具体的には、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、マイクロシートガラス、パイコールガラス、無アルカリガラス、石英ガラスなどが例示できる。汎用性や扱いやすさを考慮して、より好ましくは、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、または、石英ガラスから選ばれたガラスである。
密閉型反応容器において、光透過面以外の部分については、有機物と接触しても吸着したり反応したりしにくい材質であり、なおかつ二酸化炭素などのガス透過性がない材質で作られていることが望ましい。その観点から、材質としては、ガラスもしくは金属がよい。加工の容易さや安定性から、好ましくは、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、マイクロシートガラス、パイコールガラス、無アルカリガラス、石英ガラス、炭素鋼、アルミニウム合金、ステンレス鋼などである。より具体的で好ましい材質は、ソーダライムガラス、パイレックス(登録商標)ガラス、SUS−304、SUS−316である。
密閉型反応容器は、光触媒活性材料を中に入れることができるよう、十分な大きさの開口部を有していることが好ましい。この開口部は、測定時には密閉できなければならない。したがって、フランジなどの形状を有しており、蓋を圧着させることによって、密閉できる構造を有しているものが好適である。その際、パッキングなどを使用することは有効である。また、パッキングの部分からは二酸化炭素などが透過し容器外へ抜けていかないことが望ましい。その観点から、使用されるべきパッキングの材質としては、ブチルゴム、ハイパロン、多硫化ゴム、フッ素ゴム、エピクロルヒドリンゴムのいずれかから選ばれることが好ましい。より好ましい材質は、フッ素ゴム(例えば、バイトン)である。また、ガス漏れを防止するために、フランジ部やパッキング周辺などにシリコーン製などの真空グリースを塗布するのも有効である。
密閉型反応容器内に光触媒活性材料を入れる際には、光触媒活性材料が、該反応容器の光透過面から入射する光によって、十分に照射される位置に存在するようになっていることが好ましい。密閉型反応容器内に光触媒活性材料を入れ、密閉した後には、内部を清浄な空気で置換することが好ましい。その際に、容器内に空気を流通させることによって置換するのがもっとも容易である。そのため、密閉型反応容器は、流通によるガス置換が可能なように、コックまたはバルブによって開閉可能な通気孔が2箇所以上あることが好ましい。使用する通気孔は、反応容器の離れた位置に存在し、流通によるガス置換の際に、ガスの滞留部分が少なくなるように設計されていることが好ましい。密閉型反応容器内に有機物や水を添加したり、密閉型反応容器内の気体の一部をサンプリングしたりすることが可能なように、該反応容器の一部に、ゴム製の栓によって塞がれた穴があることが好ましい。この部分に注射針を刺すことによって、密閉状態のまま、シリンジなどを用いて上述のような操作を行うことが可能となる。ゴム製の栓については、注射針を刺すことが可能であり、なおかつ注射針を抜き取った後も内部の気密性が保たれるものであるならば、特に制限はない。ガスクロマトグラフ測定装置の試料挿入口に使用されるパッキングや、セプタ(アルドリッチ製)などが例示できる。
密閉型反応容器内に乾燥空気を充填する場合、用いる乾燥空気については、特に制限はないが、後述の方法によって任意の湿度に制御する場合には、最初に充満させる空気については水分量が少ない方が良い。また、二酸化炭素の含有量が少ないことが好ましい。これは、測定開始時の二酸化炭素量が少ない方が、光触媒反応によって発生した二酸化炭素量の判別に便利であるからである。使用する空気の二酸化炭素含有量が少なければ、光照射前の二酸化炭素量を測定することによって、密閉型反応容器の漏れチェックを行うことも可能である。したがって、本発明で使用される乾燥空気としては、露点が−70℃未満であり、二酸化炭素含有量が1体積ppm未満である合成空気が好ましい。具体例としては、ジャパンファインプロダクツ株式会社の製品規格でG3以上の規格の純空気があげられる。
本発明における測定の主目的は、生活空間から有害な有機物を分解・除去する能力を測定することにある。大気中では、ある程度の湿度を有する状態が普通である。しかしながら、高圧ガス容器などからの圧縮空気で反応容器内を置換した場合は、反応容器内の空気は大気に比べて非常に乾燥した状態となってしまう。したがって、密閉型反応容器内の空気が実際の室内環境と近い状態にするために、室温付近の相対湿度で数%から数十%程度の水分を持たせることが好ましい。光触媒反応による有機物の分解の機構については、詳細は未解明の部分が多いが、光触媒活性物質の表面で生成するヒドロキシラジカルが関与しているとする説がある。ヒドロキシラジカルの生成については、空気中の水分量の影響を受けることは明らかである。また、一般に光触媒活性材料表面において、有機物と水は競争吸着される関係であり、雰囲気の水分量は、有機物の光触媒活性材料表面への吸着に影響を与える。したがって、本発明の目的とする測定を、再現性よく行うためには、反応容器内の湿度を正確に制御することは、きわめて重要である。また、反応容器内の湿度を任意に制御することによって、光触媒活性と湿度との関係を明らかにすることもできる。
密閉型反応容器内の湿度を制御するための方法は特に限定されないが、例えば、内容積1Lの密閉型反応容器内に乾燥空気を充満した後に、11.5μLの純水を、マイクロシリンジを用いて反応容器内に添加し、25℃の雰囲気に該反応容器を30分間以上放置し、蒸発させることによって、露点が約14℃、25℃における相対湿度が50%になるような水分量を該反応容器内の空気に与えることができる。上述の例の場合、約30分間の放置で、添加した水滴は蒸発してしまい、目視では確認できなくなった。また、この手法を用いて酸化チタンに対するアセトアルデヒドの暗所での吸着量を測定したところ、添加した水の量が多いほど、アセトアルデヒドの吸着量が減少することを確認した。この現象は、反応容器内で、光触媒活性材料と、アセトアルデヒド、水が、それぞれ吸着平衡状態に到達していることを示している。さらに、その結果が再現性よく得られることを確認した。以上の結果より、この手法で、密閉型反応容器内の湿度を任意に制御することが可能であると判断した。また、この手法を用いて、湿度が光触媒作用に及ぼす影響を、詳細に検討することも可能である。
この手法を用いた場合、水の添加量をマイクロシリンジで測定することによって、水の添加量の誤差を0.1μL以内にすることができる。したがって、露点で表記した誤差範囲は、±1℃の範囲内に、十分に入る。これは、目的とする測定としては、十分な精度である。勿論、測定条件が許すならば、露点で表記した誤差範囲が±3℃の範囲内あるいはそれよりも広い範囲内で測定することは自由である。
この手法を用いて、密閉型反応容器内の空気の水分量を制御するわけであるが、実際の生活空間で存在しうる水分量として、露点−20℃〜30℃の範囲内に調整することが好ましい。露点−20℃は、25℃における相対湿度で約3%に相当し、0℃における相対湿度で約17%に相当する。また、本発明のような評価法においては、標準的な条件を設定することが好ましく、そのための条件としては実際の生活環境下で想定される条件の中でも極端な条件は選択しない方がよい。その観点から、本発明での測定における密閉型反応容器内の空気の露点としては、より好ましくは、−10℃〜25℃の範囲内である。さらに好ましくは、0℃〜20℃の範囲内であるが、最も好ましくは5〜10℃である。
上記の露点を持つ空気中で測定する温度は、結露を避けるために、その露点より高ければよい。限定するわけではないが、露点を測定温度より1℃以上低くすることが好ましく、また露点を測定温度より3℃以上低くすることが特に好ましい。最も好ましくは10〜100℃の差異となるよう制御する。
例えば、露点が−70℃未満の乾燥空気内で、光触媒活性の測定を行うと、データのバラツキが大きくなる場合がある。つまり、適度な水分を雰囲気に与えることは、実際の生活空間に近づけると同時に、測定の再現性を得る上でも効果があることを見出した。原因は不明であるが、雰囲気中に水分がほとんど存在しない場合、光触媒活性物質の微妙な表面状態の変化に対して、影響を受けやすくなるため測定結果の再現性が低下する場合があるからと考えられる。
密閉型反応容器内に大気を導入して測定を行うことは本発明の範囲内であるが、湿度や二酸化炭素の制御を容易に行いたい場合には、乾燥空気で置換した後に、水を添加する方が好ましい。
本発明者らは、種々の酸化チタンを光触媒として、20〜30℃におけるアセトアルデヒドの分解活性と湿度との関係を測定したところ、二酸化炭素発生量にある種の傾向があることを見出した。密閉型反応容器内の露点の条件を比較したところ、酸化チタンの素性によらず、露点が5〜10℃のときが、もっとも活性が高かった。つまり、酸化チタンを光触媒とした場合は、20〜30℃の雰囲気においては露点5〜10℃付近で、アセトアルデヒドの分解活性が高い。この結果は、酸化チタンを光触媒とした場合の光触媒活性において、一般的に適用できるかもしれない。すなわち、酸化チタン光触媒の有機物分解活性を比較する際には、少なくとも20〜30℃の雰囲気においては、露点5〜10℃付近で測定するのが、光触媒活性の差を見出しやすいと言える。特に25℃の雰囲気で露点を6℃付近に制御することが最も推奨される。
有機物を密閉型反応容器内に注入する方法は、特に限定されないが、例えば、液体状の有機物をマイクロシリンジなどを用いて注入し反応容器内部で気化させる方法や、有機物を含む気体をガスタイトシリンジなどで注入する方法がある。本発明においては、いずれの方法も可能であるため、有機物の物性に応じて、簡便な方法を採用すればよい。液体状の有機物を直接注入する場合には、該有機物を揮発しにくい温度まで冷却しておいてから、マイクロシリンジでその体積を正確に測り取り、注入すればよい。その際、マイクロシリンジも冷却しておくことは、有効である。有機物を含むガスについては、あらかじめ既知濃度に調整された標準ガスを、高圧ガス容器に保管しておけば、操作が簡便であり、好ましい。希釈に用いられるガスは、有機物に対して不活性であることが好ましく、窒素、ヘリウム、アルゴンなどが例示できる。これらのうち、安価である窒素がもっとも好ましい。高圧ガス容器に保管された既知濃度の有機物を含む標準ガスを密閉型反応容器内に導入する方法としては、特に限定されないが、簡便法の例として、高圧ガス容器からガスの一部をガスバッグなどに移しとり、ガスバッグからガスタイトシリンジなどで体積を測り取り、密閉型反応容器に注入する方法があげられる。この際のガスバッグとしては、テドラー(登録商標)バッグ、フッ素樹脂バッグ、アルミニウムバッグ(いずれも、ジー・エル・サイエンス社製)などが例示できる。もっとも好ましいのは、ガス透過性が低いアルミニウムバッグであり、シリコンパッキン付コネクターとコック付コネクターを備えたものが、もっとも扱いやすく、したがってもっとも好ましい。有機物の濃度は、10体積ppbから10体積%の範囲内であることが好ましい。これは、上述のような使用方法で使用した際、密閉型反応容器内での有機物濃度が、0.01体積ppbから1体積%程度の範囲内で使用できるからである。有機物の種類、目的とする用途に近い濃度域での測定が行いやすいような濃度の標準ガスをあらかじめ用意することが好ましい。10体積ppb未満の濃度の標準ガスは、調製するのが困難な場合がある。また、10体積%以上の濃度のガスは、凝縮しやすいため、圧力容器での保管に適さない場合がある。標準ガスの濃度の測定方法については、特に制限はない。有機物の種類とその物性や、希釈に用いたガスの種類によって、最適な濃度測定方法を採用すればよい。例えば、アセトアルデヒドを窒素で希釈したガスの場合、凝縮気化分析によってアセトアルデヒドの濃度を定量することができる。
密閉型反応容器内に乾燥空気を充満し、上記手法によって湿度を制御した後に、既知量の有機物を該反応容器内に添加することで、本発明の測定を開始させることができる。その際、有機物があらかじめ高圧ガス容器に保管された標準ガスである場合には、測定開始時の有機物濃度を下記の(式1)で算出することができる。
Figure 2006119115
また、液体状の有機物を直接該反応容器に添加する場合には、測定開始時の有機物濃度を下記の(式2)で算出することができる。
Figure 2006119115
本発明の測定を行う場合は、光触媒活性材料への有機物の吸着量と、光触媒作用による分解量は、分けて評価することが望ましい。そのため、有機物を密閉型反応容器に添加する際には、暗所で行う方が好ましく、さらに、そのまましばらく暗所に静置しておくことが好ましい。これは、暗所での光触媒活性材料への有機物の吸着量を測定するためである。暗所については、遮光箱、遮光カバー、暗幕などで紫外光、可視光がさえぎられた場所であれば、特に制限はない。吸着現象は温度の影響を受けるので、雰囲気の温度は25℃付近に制御されていることが好ましい。静置の間、マグネチックスターラーなどを用いて、密閉型反応容器内部の気相を撹拌するのは、有効である。暗所に静置しておく時間については、密閉型反応容器内が平衡状態に到達するに十分な時間であれば、特に制限はない。実用性の面から考慮して、30分間〜24時間の範囲内が好ましい。30分間より短い場合は、平衡状態に到達しないことがある。24時間よりも長い時間は、測定の時間的効率が悪くなる場合がある。
暗所にて、密閉型反応容器内が平衡状態に到達したならば、その時点での該反応容器内の気体の一部をサンプリングし、有機物の濃度を測定することが好ましい。さらには、その時点での二酸化炭素の濃度を測定しておくことが好ましい。この時点での有機物の濃度と、(式1)または(式2)で求めた測定開始時の有機物濃度の差が、暗所における光触媒活性材料への有機物の吸着による減少である。また、この時点での二酸化炭素濃度から、光触媒作用によって発生する前に密閉型反応容器内に存在していた二酸化炭素量を求めることができる。また、このときの二酸化炭素濃度が異常に高い場合は、密閉型反応容器の密閉が不十分である可能性が示唆されるため、二酸化炭素濃度が高くなった原因を究明するようにする。
本発明において光を照射する際の光源は、特に制限はない。目的に応じて、任意の光源を使用すればよい。光の光量は、各測定で統一されていれば、いずれの光量でも良いが、測定中は、光量が安定していて大きく変動しないことが好ましい。光量の規定方法としては、例えば、市販の光量計で測定される、254nm、365nm、405nmなどにおけるピーク照度(単位:mW/cm2)や、市販の照度計で測定される照度(単位:ルクス)などがある。また、光を照射する間、密閉型反応容器内の気体を、マグネチックスターラーなどを用いて撹拌しておく事が好ましい。
本発明の測定において、密閉型反応容器内の気相の分析方法に特に制限はない。また、有機物の減少量と、光触媒作用による分解を区別して評価することが好ましいので、有機物と二酸化炭素の両方を定量できる方法が好ましい。さらに、少量のサンプルで測定できる方法が好ましい。これらの観点から、ガスクロマトグラフ測定装置がもっとも好ましい。
ガスクロマトグラフ測定装置の検出器としては、目的とする測定が可能であれば、特に制限はない。有機物を高感度で分析するために、水素炎イオン化検出器が好ましい。また、二酸化炭素を分析するためには、熱伝導度検出器、または、メタナイザーと水素炎イオン化検出器の組み合わせを用いることが好ましい。有機物と二酸化炭素が、高感度で同時に測定できる方法として、メタナイザーおよび水素炎イオン化検出器を装備したガスクロマトグラフ測定装置を用いることが、もっとも好ましい。
密閉型反応容器内の気体をサンプリングする方法に特に制限はない。該反応容器が注射針を刺すことが可能なゴム製の栓をした穴を有している場合、そこからガスタイトシリンジで抜き取ることが好ましい。または、該反応容器を含むガス循環ラインを作り、循環ポンプでガスを循環させ、該循環ラインの一部に設置したガスサンプラーで、サンプリングしても良い。その場合、そのままガスクロマトグラフ測定装置に導入されるようになっていることが好ましい。このような装置を組んだ場合のガス循環用のポンプとしては、漏れのないものならば特に制限はない。構造上、漏れが生じにくいものとして、メタルベローズポンプが好ましい。また、循環ポンプは、常時運転していても良いし、サンプリング直前に運転しても良い。ガス循環ラインに使用するチューブの材質としては、ガス透過性が小さく、ガス成分の吸着が少ないものが好ましい。
メタナイザーは、一酸化炭素や二酸化炭素を、触媒上で水素と反応させ、メタンとする装置であり、水素炎イオン化検出器と組み合わせることで、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒドなどが高感度で検出できる方法として知られている。一般にニッケル系の触媒が使用されることが多く、その性質上、水分や酸素を含んだガス成分が通過すると、感度が不安定になることが知られている。そこで、メタナイザーの感度を安定に保つために、一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒドを含むガスのみがメタナイザーを通過するような工夫をすることが好ましい。そのため、ガスクロマトグラフのカラムの後段に、流路切換装置を備えることが好ましい。この流路切換装置の有する機能は、以下の通りである。通常は、カラムから流れてきたガス成分を、直接水素炎イオン化検出器へ送る流路につないでおき、メタナイザーへは少量のキャリアーガスを流しておく。メタナイザーを通過したキャリアーガスは、放出されるか、または、水素炎イオン化検出器の直前でカラムから流れてきたガスと合流するようにしておく。一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒドを含むガス成分が通過する際には、流路が切り替わり、カラムから流れてきたガス成分はメタナイザーを経由して水素炎イオン化検出器へ流れるようにする。その際、通常メタナイザーへ流していたキャリアーガスは、放出されるか、または水素炎イオン化検出器の直前で分析ガスと合流するようにするか、あるいは、閉止されてもよい。一酸化炭素、二酸化炭素、ホルムアルデヒドを含むガス成分が通過した後には、再度、通常の流路に切り換わる。流路切換装置の切換動作は、ガスクロマトグラフの保持時間で制御されるような構造になっていることが好ましい。
この流路切換装置を使用しなかった場合、特に湿度の高い条件での測定において、ガスクロマトグラフの感度が変動しやすいことを見出している。したがって、再現性の高い測定を行うためには、流路切替装置を使用することは重要である。
メタナイザーを使用した際のガスクロマトグラフの感度が、信頼できる値か否かをチェックする方法として、二酸化炭素の標準ガスを分析することによって、感度を算出するのは、有効な手段である。2種類の濃度の二酸化炭素標準ガスを使用し、感度をチェックすることが望ましい。二酸化炭素標準ガスとしては、ベースガスとして、安定かつ安価な、窒素を使用することが好ましい。また、濃度が安定しているように、ボンベ内で保管されており、使用直前に、アルミニウムガスバッグなどに小分けして使用することが好ましい。標準ガスの濃度の決定方法に制限はないが、標準ガス調合後、安定した段階で、赤外分光法によって定量する方法が例示できる。
標準ガスによる感度チェックは、感度が大きく変わっていないか、測定の精度がどの程度かを確認するための手法であり、感度そのものを安定化させることにはならない。感度を安定化させるには、流路切換装置を使用することが好ましい。
本発明(II)は、本発明(I)の方法で測定した結果によって、光触媒活性材料の活性を表記する表記法に関するものである。本発明(I)の方法によって得られた結果として、以下の数値、またはこれらから算出される数値を用いて、光触媒活性材料の性能を表記した場合は、本発明の範囲内である。(A)測定開始時の有機物濃度、(B)暗所での吸着平衡時の密閉型反応容器内の気相における有機物濃度、(C)光照射時間と、該反応容器内の気相における有機物濃度との関係、(D)光照射時間と、該反応容器内で増加した二酸化炭素量との関係。これらの結果には、測定条件として、下記の項目も併記してあることが望ましい。(a)光触媒活性材料の使用量、(b)密閉型反応容器の内容積、(c)測定時の雰囲気温度、(d)密閉型反応容器内の露点または相対湿度、(e)光源(メーカー名、機種、型番)、(f)光量とその測定方法。以上の項目について、公表の方法は限定しない。印刷物として表記されたもの、電子メディア上に記録された状態で公表されたものも本発明に含まれる。また、上記項目の一部を記録された情報として提供し、補足的な情報を口頭で追加する場合も、本発明に含まれるものとする。あるいは、上記項目の一部について、一切記載はないが、暗黙のうちに示唆できる内容を含むような公表も、本発明に含まれるものとする。
本発明(III)は、本発明(I)の測定を自動で行う測定装置である。これは、最低限の構成要素として、密閉型反応容器、光源、水素炎イオン化検出器を装備したガスクロマトグラフ測定装置、メタナイザー、自動ガスサンプラー、ガス循環ポンプを有していることを特徴とする。メタナイザーの感度を安定させるために、流路切換装置を備えていることが、さらに好ましい。それぞれの装置の好ましい形態や仕様については、本発明(I)で記載したものと同様である。装置の概念図を図1に示す。また、流路切換装置のバルブの概念図を図2に示す。図1において、参照数字1は光源(蛍光灯など)、2は密閉型反応容器、3はバルブ、4はガス循環ポンプ、5は自動ガスサンプラー、6はガスクロマトグラフ測定装置、7はカラム、8は流路切換装置、9はメタナイザー、10は水素炎イオン化検出器を示す。矢印は、キャリアーガスの流路を示す。図2の流路切換装置のバルブにおいて、通常時は実線の如く接続され、バルブ作動時は点線の如く接続される。
以下、実施例及び比較例を挙げ本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの記載により何らの制限を受けるものではない。
実施例1
試料:昭和タイタニウム(株)製、酸化チタン「スーパータイタニア(登録商標)F−6」0.02gを内径90mmのシャーレーに入れ、水1mLを添加してシャーレー全体に広げた後、120℃の乾燥機で30分間乾燥させた。
密閉型反応容器:SUS−304を加工して、内径120mm、深さ25mmの円筒形容器(2)(図1の参照数字;以下同じ。)で、開口部はフランジの形状(外径150mm)となっており、バルブ(3)を備えた口2つと、内径6mm、長さ20mmのSUS管がついた口1つが付いた容器を作製した。SUS管が付いた口には、セプタ(アルドリッチ製)を取り付けた。この中に、テフロン(登録商標)コート撹拌子を入れ、アルミ製で高さ10mmの4本脚の台を置き、その上に光活性材料が入ったシャーレーを置いた。フランジ部分に、シリコーン製真空グリースを上下面へ薄く塗布したO−リング(内径130mm、バイトン製)を置き、これに直径150mm、厚さ5mm、円形のパイレックス(登録商標)ガラス板を乗せ、セパラブル・フラスコ用クランプ(柴田科学製)で固定した。このときの反応容器の内容積は、365mLであった。
光源:東芝ライテック社製、直管型ブラックライト蛍光ランプ、形名「FL−20S BLB」を2本取り付けた蛍光灯(1)を使用した。照度の測定には、ウシオ電機製UIT−150を使用し、光触媒活性材料の位置で、波長365nmの照度が0.5mW/cm2となるようにした。
分析装置:ガスクロマトグラフ測定装置(6)(島津製作所、GC−14A、水素炎イオン検出器装備)、メタナイザー(9)(島津製作所、MTN−1)、流路切換装置(8)(6方バルブ、エアー・アクチュレーター、タイマーから成る)。流路切換装置(図2が参照される)はカラムとメタナイザーの間に取り付けられ、通常は、カラム(7)→水素炎イオン検出器(10)、窒素→メタナイザー(9)、メタナイザー(9)→ドレイン、の接続になっており、バルブ作動時は、カラム(7)→メタナイザー(9)→水素炎イオン検出器(10)、窒素→ドレイン、の接続に切り換える構造になっており、二酸化炭素通過時に、バルブが作動するようになっている。
測定雰囲気の調整:上記密閉型反応容器(2)を、室温25℃の部屋に置き、バルブを備えた口から、純空気G3(ジャパン・ファイン・プロダクツ(株)製、規格 CO:<1ppm、CO2:<1ppm、THC:<1ppm、H2O:<−70℃)を500mL/minの流速で15分間以上流通して該容器内を置換した後に、バルブ(3)を閉止し、容器(1)を密閉した。マイクロシリンジを用いて、2.5μLの純水を、セプタを取り付けた口から添加した。この反応容器(1)をマグネチックスターラーの上に置き、内部の気体をゆっくりと撹拌した。25℃の室内において1時間後に反応容器(1)の内部を観察したところ、添加した水滴は、目視で見えなくなっていた。これによって、容器(1)内に、露点約6℃(25℃における相対湿度約30%)の雰囲気が出来上がったと判断した。
測定操作:高圧ガス容器内の4.8体積%アセトアルデヒド−窒素標準ガス(ジャパン・ファイン・プロダクツ(株)製、濃度は非分散赤外分光法にて定量)を、アルミニウムバッグ(ジーエルサイエンス社製)に取り、ここからガスタイトシリンジにて16mLを測り取り、該反応容器(1)に注入した。これによって、測定開始時のアセトアルデヒド濃度は、2000体積ppmとした。暗所にて3時間放置した後、反応容器(1)内の気体を、ガスタイトシリンジで1mLほど抜き取り分析した。光照射を開始し、適宜、反応容器(1)内の気体を分析した。同じ測定を3回行った。結果を表Iに示した。また、1回目の測定結果を図3に示した。3回の測定結果は、再現性が良好であった。
Figure 2006119115
Figure 2006119115
実施例2
実施例1において、光源として、東芝ライテック社製 直管型蛍光ランプ、メロウホワイト、形名「FL20SS・N/18」を2本取り付けた蛍光灯を使用した。照度の測定には、CUSTOM LUX METER LX−1332を使用し、光触媒活性材料の位置での照度が6000ルクスとなるようにした。それ以外の条件は、すべて実施例1と同様に行った。結果を表IIに示した。また、1回目の測定結果を図4に示した。3回の測定結果は、再現性が良好であった。
Figure 2006119115
実施例3、4
実施例1,2において、試料として石原産業(株)製ST−01を使用した以外は、すべて実施例1,2と同様に行った。結果をそれぞれ、表I、表IIに示した。また、1回目の測定結果をそれぞれ、図5、6に示した。3回の測定結果は、いずれも再現性が良好であった。
実施例5
実施例1において、測定雰囲気の調製において、1.7μLの水を添加し、容器内を露点約0.5℃(25℃における相対湿度約20%)の雰囲気としたこと以外は、すべて実施例1と同様に行った。結果を表Iに示した。3回の測定結果は、再現性が良好であった。
実施例6
実施例1において、測定雰囲気の調製において、4.2μLの水を添加し、容器内を露点約14℃(25℃における相対湿度約50%)の雰囲気としたこと以外は、すべて実施例1と同様に行った。結果を表Iに示した。3回の測定結果は、再現性が良好であった。
比較例1
実施例1において、測定雰囲気の調整において、純水を添加しなかったこと以外は、すべて実施例1と同様に行った。結果を表1に示した。また、1回目の測定結果を図7に示した。3回の測定結果は、標準偏差が大きいことからも分かるとおり、バラツキが大きかった。
比較例2
比較例1において、試料として石原産業(株)製ST−01を使用したこと以外は、すべて比較例1と同様に行った。結果を表Iに示した。また、1回目の測定結果を図8に示した。3回の測定結果は、標準偏差が大きいことからも分かるとおり、バラツキが大きかった。
実施例7
自動ガスサンプラーとして、ジーエル サイエンス社製 GS−5000APを使用し、メタルベローズポンプとして、八洲貿易(株)販売 MB−10を使用した。密閉型反応容器、メタルベローズポンプ、自動ガスサンプラーを循環ラインで接続し、自動ガスサンプラーから、ガスクロマトグラフ測定装置へ接続した。メタルベローズポンプは、サンプリング5分前から30秒前までの間、動作し、ガス循環ライン内を均一化してから、サンプリングするように、プログラムした。この装置を用いて、実施例1と同様の測定を行った。結果を表Iに示した。実施例1の結果に類似した結果が得られ、本装置の有効性が実証された。
実施例8
実施例7において、メタルベローズポンプが、サンプリング1分前から5秒前までの間、動作し、ガス循環ライン内を均一化してから、サンプリングするように、プログラムしたこと以外は、すべて実施例7と同様に行った。結果は、アセトアルデヒドの暗所吸着率が14%、光照射2時間後のアセトアルデヒド消失率が100%、光照射初期1時間のアセトアルデヒド分解速度が1400ppm/hとなり、実施例7に類似した結果が得られた。
実施例9
試料:触媒学会が提供する参照触媒JRC−TIO−4(粉末)を使用し、実施例1に記載の方法で、試料を準備した。
密閉型反応容器:パイレックス(登録商標)ガラス製で、内径120mm、深さ85mmの円筒型容器で、開口部はフランジの形状(外径150mm)となっており、バルブを備えた口2つと、内径6mm、長さ20mmのガラス管がついた口1つが付いた容器を作製した。ガラス管が付いた口には、セプタ(アルドリッチ製)を取り付けた。この中に、テフロン(登録商標)コート撹拌子を入れ、アルミ製で高さ20mmの4本脚の台を置き、その上に光活性材料が入ったシャーレーを置いた。フランジ部分に、シリコーン製真空グリースを上下面へ薄く塗布したO−リング(内径130mm、バイトン製)を置き、これに直径150mm、厚さ5mm、円形のパイレックス(登録商標)ガラス板を乗せ、セパラブル・フラスコ用クランプ(柴田科学製)で固定した。このときの反応容器の内容積は、1000mLであった。
光源:日立製、直管型ブラックライト蛍光ランプ、形名「FL20S・BL」1本を取り付けた蛍光灯を使用し、実施例1と同様の測定法で、0.2mW/cm2となるようにした。
分析装置:実施例1に記載の分析装置で、流路切換装置(8)が取り付けられていないものを使用した。すなわち、分析装置内のガスの流れは、常時、カラム(7)→メタナイザー(9)→水素炎イオン検出器(10)となっている。カラムはCP−PoraBOND Q(0.53mmI.D.×25m、df=10μm)を使用した。なお、ガスクロマトグラフの感度をチェックするために、2種類の濃度の二酸化炭素標準ガス(498ppmと990ppm)を使用した。感度チェックは、1日に3回の頻度で行った。
測定雰囲気の調整:上記密閉型反応容器(2)を、室温25℃の部屋に置き、バルブを備えた口から、純空気G3を500mL/minの流速で30分間以上流通して該容器内を置換した後に、バルブ(3)を閉止し、容器(1)を密閉した。マイクロシリンジを用いて、11.5μLの純水を、セプタを取り付けた口から添加した。この反応容器(1)をマグネチックスターラーの上に置き、内部の気体をゆっくりと撹拌した。25℃の室内において1時間後に反応容器(1)の内部を観察したところ、添加した水滴は、目視で見えなくなっていた。これによって、容器(1)内に、露点約14℃(25℃における相対湿度約50%)の雰囲気が出来上がったと判断した。
測定操作:高圧ガス容器内の4.8体積%アセトアルデヒド−窒素標準ガスを、アルミニウムバッグに取り、ここからガスタイトシリンジにて10.5mLを測り取り、該反応容器(1)に注入した。これによって、測定開始時のアセトアルデヒド濃度は、500体積ppmとした。暗所にて2時間放置した後、反応容器(1)内の気体を、ガスタイトシリンジで1mLほど抜き取り分析した。光照射を開始し、1時間ごとに、反応容器(1)内の気体を分析した。同じ測定を2回行った。結果を表IIIに示した。また、1回目の測定結果を図9に示した。
Figure 2006119115
Figure 2006119115
Figure 2006119115
実施例10〜16
試料として、触媒学会が提供する参照触媒JRC−TIO−6〜10とJRC−TIO−12,13を使用したこと以外は、実施例9と同様の測定を行った。結果を表IIIに示した。
実施例17
実施例9において、測定雰囲気の調整の際に、添加した水の量が6.9μL(露点約6℃、25℃における相対湿度約30%に相当)であること以外は、実施例9と同様の測定を行った。結果を表IIIに示した。
実施例18〜24
試料として、触媒学会が提供する参照触媒JRC−TIO−6〜10とJRC−TIO−12,13を使用したこと以外は、実施例17と同様の測定を行った。結果を表IIIに示した。
比較例3
実施例9において、測定雰囲気の調整の際に、水を添加しなかったこと以外は、実施例9と同様の測定を行った。結果を表IIIに示した。
比較例4〜10
試料として、触媒学会が提供する参照触媒JRC−TIO−6〜10とJRC−TIO−12,13を使用したこと以外は、比較例3と同様の測定を行った。結果を表IIIに示した。
実施例9〜24、比較例3〜10における光照射初期1時間のアセトアルデヒド分解率を、湿度ごとにまとめた結果を図10に示した。どの触媒においても、露点約6℃の時の結果が、もっとも良好であることがわかる。
比較例11
実施例9において、触媒を入れないこと以外は、実施例9と同様の測定を行った。結果を図11に示した。本来一定であるはずのアセトアルデヒドの濃度が、揺らいでいることがわかる。流路切換装置(8)を使用しなかった影響が現れていると考えている。
自動測定装置の1例の概念図である。 流路切換装置のバルブ部分の例を示す。 実施例1における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。 実施例2における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。
実施例3における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。 実施例4における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。 比較例1における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。 比較例2における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。 実施例9における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。図中、(a)はアセトアルデヒド仕込量に相当する。(b)はアセトアルデヒド暗所吸着量に相当する。(c)は光照射1時間後のアセトアルデヒド消失量に相当する。(d)は光照射1時間後のCO2発生量の1/2倍に相当する。 実施例9〜24、比較例3〜10における光照射初期1時間のアセトアルデヒド分解率を、湿度ごとにまとめたグラフである。 比較例11における光照射時間とアセトアルデヒドおよび二酸化炭素の濃度を示すグラフである。
符号の説明
1 光源(蛍光灯など)
2 密閉型反応容器
3 バルブ
4 ガス循環ポンプ
5 自動ガスサンプラー
6 ガスクロマトグラフ測定装置
7 カラム
8 流路切換装置
9 メタナイザー
10 水素炎イオン化検出器

Claims (30)

  1. 露点を−20℃〜30℃に制御した雰囲気中で、その露点よりも高い温度において光触媒活性材料の有機物分解能力を測定することを特徴とする光触媒活性の測定方法。
  2. 有機物が、アルデヒド化合物、炭化水素、異種元素(O,N,S,Cl,F,I)を含む炭化水素からなる群から選ばれる1種以上である、請求項1に記載の光触媒活性の測定方法。
  3. 光触媒活性材料が、酸化チタンを含有するものであることを特徴とする、請求項1または2に記載の光触媒活性の測定方法。
  4. 露点が測定温度より3℃以上低いことを特徴とする、請求項1〜3のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
  5. 二酸化炭素不透過性及び水蒸気不透過性でありかつ光透過面を有する、密閉型反応容器内に光触媒活性材料を入れることを特徴とする、請求項1〜4のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
  6. 密閉型反応容器内を乾燥気体で置換する工程と、水を当該密閉型反応容器内に添加して蒸発させる工程を含む、請求項5に記載の光触媒活性の測定方法。
  7. 乾燥気体が、露点−70℃未満の乾燥空気である、請求項6に記載の光触媒活性の測定方法。
  8. 乾燥気体が、二酸化炭素の含有量が1体積ppm未満の合成空気である、請求項6または7に記載の光触媒活性の測定方法。
  9. 有機物を密閉型反応容器内に添加する工程と、光触媒活性材料に光を照射して、該密閉反応容器内の有機物濃度の経時変化を測定する工程を含む、請求項5〜8のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
  10. 暗所において有機物を密閉型反応容器内に添加し、30分間〜24時間の範囲内で暗所に置いた後に、光触媒活性材料に光を照射することを特徴とする、請求項5〜8のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
  11. 有機物を密閉型反応容器内に添加する工程が、既知濃度の有機物を含む標準ガスを測り取り、該密閉型反応容器内に添加する方法によることを特徴とする、請求項9または10に記載の光触媒活性の測定方法。
  12. 既知濃度の有機物を含む標準ガスが、10体積ppbから10体積%の範囲内の有機物を含む不活性ガスである、請求項11に記載の光触媒活性の測定方法。
  13. 密閉型反応容器が以下の条件のうち少なくとも1つの条件を満たしていることを特徴とする、請求項5〜12のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
    (1)光透過面がガラス製の透明で平滑な板であり、他の部分がガラス製もしくは金属製であること
    (2)光触媒活性材料を入れることができる大きさの開口部を有しており、蓋を圧着することによって密閉できる構造を有していること
    (3)コックまたはバルブによって開閉可能な通気孔が2箇所以上あり、ガスを流通させることによって、内部のガスを置換することが可能であること
    (4)密閉型反応容器の一部にゴム製の栓によって塞がれた穴があり、ゴム製の部分に注射針を刺すことによって、密閉型反応容器内部の気体の一部を抜いたり、密閉型反応容器に気体または液体を添加したりすることが可能である構造になっていること
  14. 密閉型反応容器内の気体の一部を、メタナイザーおよび水素炎イオン化検出器を装備したガスクロマトグラフ測定装置を使用して分析し、少なくとも有機物と二酸化炭素の濃度を測定することを特徴とする、請求項5〜13のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法。
  15. ガスクロマトグラフ測定装置のカラムとメタナイザーの間に、流路切換装置を挿入することを特徴とする、請求項14に記載の光触媒活性の測定方法。
  16. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の測定方法で測定した結果を、以下の項目の値、または、それらから算出される値、またはそれらを読み取ることができる図を記して表すことを特徴とする、光触媒活性材料の光触媒能の表記方法。
    (A)測定開始時の有機物濃度
    (B)暗所での吸着平衡時の密閉型反応容器内の気相における有機物濃度
    (C)光照射時間と、該密閉型反応容器内の気相における有機物濃度との関係
    (D)光照射時間と、該密閉型反応容器内で増加した二酸化炭素量との関係
  17. 密閉型反応容器、光源、水素炎イオン化検出器を装備したガスクロマトグラフ測定装置、メタナイザー、自動ガスサンプラー、ガス循環ポンプの組み合わせを含む、光触媒活性測定装置。
  18. 流路切換装置を含む、請求項17に記載の光触媒活性測定装置。
  19. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の光触媒活性測定方法を用いた光触媒活性測定装置。
  20. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の光触媒活性測定方法を使用して光触媒活性を測定した光触媒。
  21. 請求項17〜19のいずれか1項に記載の光触媒活性測定装置を使用して光触媒活性を測定した光触媒。
  22. 請求項20または21に記載の光触媒を含むゾル。
  23. 請求項20または21に記載の光触媒を含むコーティング剤。
  24. 請求項20または21に記載の光触媒を含む薄膜。
  25. 請求項20または21に記載の光触媒を含む物品。
  26. 有機物が、ホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、トルエン、キシレン、パラジクロロベンゼン、エチルベンゼン、スチレン、クロルビリホス、フタル酸ジ−n−ブチル、フタル酸ジ−2−エチルヘキシル、テトラデカン、ダイアジノン、フェノブカルブ、エチレン、2−プロパノール、メチルアミン、エチルアミン、プロピルアミンの中から選ばれた、1種類以上の化合物であることを特徴とする、請求項2に記載の光触媒活性の測定方法。
  27. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法を使用する工程を含む、光触媒の製造方法。
  28. 請求項17〜19のいずれか1項に記載の光触媒活性測定装置を使用する工程を含む、光触媒の製造方法。
  29. 請求項1〜15のいずれか1項に記載の光触媒活性の測定方法を使用する工程を含む、光触媒の品質管理システム。
  30. 請求項17〜19のいずれか1項に記載の光触媒活性測定装置を使用する工程を含む、光触媒の品質管理システム。
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