JP4177928B2 - 光伝送システムおよびその監視方法 - Google Patents

光伝送システムおよびその監視方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、光伝送システムおよびその監視方法に係り、特に、波長多重器(WDM:Wavelength division Multiplexing equipment)と波長分離器(Wavelength division Demultiplexing equipment)とを用いて波長多重光信号の伝送を行う光伝送システムおよびその監視方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来の光伝送システムは、特願平5−244098号公報に記載があり、光中継器が途中に挿入された1本の光ファイバ内に波長多重された主光信号伝送し、かつ、システムを構成する各装置間で監視情報等の監視信号を伝送する監視光(OSC:Optical service channel)信号を主光信号に多重して伝送するように構成されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
前述した従来技術による光伝送システムは、システムを複数備えて運用する場合のシステムの監視方法について充分に配慮されておらず、各システム毎に監視手段が独立に設けられているため、監視ための作業等が複雑になり、しかも、システム全体の信頼性を1システム単独運用より高くすることができず、コスト的にも無駄が多いという問題点を有していた。
【0004】
本発明の目的は、前記従来技術の問題点を解決し、光伝送システムを複数備えて運用する場合にも、効率的にシステム全体の監視を行うことができ、システム全体の信頼性の向上、コストの低減を図ることができる光伝送システム及びその監視方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、前記目的は、前記複数の光主信号の一つを伝送する並列に配置された複数の光伝送サブシステムからなり、前記複数の光伝送サブシステムは、それぞれ監視制御部を有し、前記複数の光伝送サブシステムの二つは、それぞれ光監視信号伝送部を有し、前記光監視信号処理部の一つは現用系、他の一つは保守系として前記複数の光伝送サブシステムの監視情報を伝送する光伝送システムにより達成される。
【0006】
また、前記目的は、光監視信号を伝送する第1の光監視信号伝送部を含む第1の光伝送サブシステムと、前記光監視信号を伝送する第2の光監視信号伝送部を含む第2の光伝送サブシステムと、前記光主信号を再生中継する再生中継器と、前記第1の光監視信号伝送部と前記第2の光監視信号伝送部とを接続し、前記光監視信号を伝送する光ファイバーと、からなり、前記第1の光伝送サブシステムと、前記再生中継器と、前記第2の光伝送サブシステムとは、直列に接続する光伝送システムにより達成される。
【0007】
さらに、前記目的は、複数の光伝送サブシステムを並列に配置して、複数の光主信号を伝送する光伝送システムの監視方法であって、前記複数の光伝送サブシステムは、それぞれ監視制御部を有し、前記複数の光伝送サブシステムの二つは、それぞれ光監視信号処理部を有し、前記前記光監視信号処理部の一つは現用系、他の一つは保守系であり、前記複数の光伝送サブシステムを監視するステップと、前記複数の光伝送サブシステムの監視情報を、前記複数の光主信号の一つに多重化するステップと、多重化された光信号を伝送するステップと、からなることを特徴とする光伝送システムの監視方法により達成される。
【0008】
【発明の実施の形態】
まず、波長多重分離装置(WDM)を用いて波長多重光信号の伝送を行う光伝送システム及びその監視方法の基本的な概念を説明する。
【0009】
図1は波長多重分離装置を用いて波長多重光信号の伝送を行う光伝送システムの各種の構成を示す図、図2〜図6は監視光を使用して故障箇所含む故障情報をエンドターミナルに送信する監視方法を説明する図である。図1〜図6において、ETはエンドターミナル、LAおよび符号22、23、25、26は光中継器、21、24は波長多重分離装置、27はOSC終端部である。
【0010】
光伝送システムは、光信号の多重度、光ファイバ内での光信号の伝送方向の取扱い等によって幾つかの形式のシステムがある。
【0011】
図1Aに示すシステムは、上り下りそれぞれ4波長の光信号を1本の光ファイバ内を伝送するものである。そして、このシステムは、図示しない複数の端局装置からの波長λ1〜λ4(λ1’〜λ4’)の送信光信号を多重化し、中継光ファイバからの波長λ1’〜λ4’(λ1〜λ4)の受信光信号を分離して端局装置へ送信する波長多重分離装置(DWDM)を備えたエンドターミナル(ET)と、2つのET相互間を接続する光ファイバと、光ファイバの途中に挿入された1または複数の双方向光中継器とにより構成される。一般に、1つの波長の光信号は、10Gbit/sの信号を伝送することができるので、図1(a)に示すシステムは、最大40Gbit/sの信号を双方向に伝送することができる。なお、図中のET8Bは、波長種類8種のBi-directionalの意味である。また、LA8Bも同様である。
【0012】
図1(b)に示すシステムは、上り下りそれぞれ8波長の光信号を1本の光ファイバ内を伝送するものである。このシステムは、使用する光信号として波長λ1〜λ8、λ1’〜λ8’を使用する点以外、図1(a)に示すシステムと同一に構成される。そして、このシステムは、最大80Gbit/sの信号を双方向に伝送することができる。
【0013】
図1(c)に示すシステムは、信号伝送方向毎に専用の光ファイバを使用し、上り下り共に16波長の光信号を使用し、これに伴って、光ファイバの途中に挿入されるLAを単方向のものとして構成したものである。この例のシステムは、16波長の光信号を使用しているため最大160Gbit/sの信号を双方向に伝送することができる。なお、図中のET16Uは、波長種類16種のUni-directionalの意味である。また、LA16Uも同様である。
【0014】
次に、監視光信号を用いて故障箇所情報を含む故障情報をエンドターミナル内のWDMに転送する方法を図2〜図6により説明する。
【0015】
図2において、通常OSC信号は、主光信号とは異なる波長を持つ監視情報の伝送等に使用する光信号であり、主信号と共に波長多重されて伝送される。しかし、主信号は、LA22,23において光増幅器によって光のまま増幅されるのに対して、監視光信号は、LA22,23の入口で主光信号と分離され図4に示すOSC終端部27で光/電気変換される。電気信号に変換された監視電気信号は、図示しない監視情報制御部に監視情報を与えた後、LA22,23の監視情報を付加され、OSC終端部27で電気/光変換される。光信号に変換された監視光信号は、LA22,23の出口で再び主光信号と多重される。なお、上述したOSC終端部の構成は、後述する図9(b)の構成であるが、図9(a)、図9(c)または図9(d)の構成としても構わない。
【0016】
中継用光ファイバの途中に挿入されている各LA22、23には、装置を識別するためのIDが定義される。簡単にはID番号が割当てられる。図2において、いま、WDM21とLA22との間の光ファイバ断の障害が発生したとする。すると、ID=2のLA22は、入力伝送路の断(光信号なし:LOS:Loss of signal)を検出する。このLA22は、当然光信号を送信することができなくなるので、出力レベルを敢えて断とする(シャットダウン)制御を行う。LA23も同様にLOSを検出してシャットダウン制御を行う。これにより、DWDM24においてもLOSを検出することができる。
【0017】
LA22は、同時に、OSC上に定義された、WDM−AIS情報(Wavelength Division Multiplexed - Alarm Indication Signal)をAIS発生状態とすると共に、ID情報として、ID=2を付加して下流に転送する。
【0018】
すなわち、この例は、入力の伝送路が断となった状態において、OSC入力が当然同時に断となるが、出力のOSCは伝送可能であることを利用している。最終的に前述の情報は、下流のWDM24まで伝達され、下流のWDM24において、伝送路が故障となった箇所を特定することができる。
【0019】
図3に示す例は、図2の例に加えて、さらに故障情報を反対方向にWDM−RDI(Remote Defect Indication)情報として伝達することにより、反対方向にある上流側のWDM21に故障を通知するものである。これにより上流側のWDM21は、自分の出力した信号が対向側に伝送できないことを検出することができ、また、故障箇所を検出することが可能となる。通常、伝送信号は、双方向の伝送が成立して正常であり、片方のみが正常であることは意味がないため、これを用いて信号の閉塞等の各種応用動作が可能となる。この例は、特に、図1(c)に示したような、上り下りのファイバが別々に設けられる片方向システムの場合に有効である。
【0020】
図3において、WDM−AIS、及び、故障位置情報(ID情報)を受信した下流側のWDM24は、反対方向に向かうOSCを使用して、WDM−RDIと、故障位置情報を転送する。これにより対向側のWDM21は、自分の送信側に異常が発生したこと、及び、その故障位置を検出することが可能となる。
【0021】
図4は光伝送システムを構成する装置であるLA22におけるOSC終端部27について説明する図である。OSC信号は、通常、低速の光信号であり、WDMとはこの低速の光信号により接続される。そして、前述したように、OSCは、光伝送システムの監視として非常に重要であり、OSCそのものが故障すると、監視系の誤動作を引き起こす可能性がある。例えば、図2、図3により説明した例は、主信号との波長多重されている光ファイバ部分(図4のA点)での故障が発生した場合のものであった。しかし、OSC信号のみが断となる場合、例えば、OSC終端部27の故障、あるいは、図4のB点における断を考える必要がある。
【0022】
図5は図4のB点が断となった場合の動作を示すものである。B点が断となった場合、このB点での断はOSC終端部27により検出される。OSC終端部27は、OSC上に定義されたWDM−AISとは別に、OSC−AIS情報、及び、故障位置情報を下流に転送する。これらの情報は下流に伝達され、最終的にWDM24により検知され、このWDM24は、OSC信号が対向のWDM21との間で断となったこと、及び、その故障箇所を特定することが可能となる。また、この動作には、WDM−AISの場合と同様に反対方向へのOSC−RDIが定義されている。用途はWDM−RDIと同様である。
【0023】
次に、図6を参照してWDM−AISと前述のOSC−AISとによる故障情報の伝送の総合動作を説明する。
図6において、いま、光ファイバによる伝送路のA点でファイバ断の故障が生じたとする。光信号無し(LOS)によりこの故障を検出したLA22は、同時にOSC断を検出するため、WDM−AIS、OSC−AISの同時転送を行う。これらは、最終的に下流のWDM24により検出されて総合判断される。すなわち、同一の箇所で、WDM−AIS、OSC−AISを検出した場合、ファイバの故障と判断し、OSC−AISのみを検出した場合、OSC関連部のみの故障であると判断可能である。
【0024】
前述で光伝送システムにおいて、監視光(OSC)を多重してシステム全体の監視を行う概要を説明した。通常、光伝送システムは、N列のシステムが並列して設置されることが多い。その場合、OSCは複数設ける必要はない。つまり、複数並列システムであることを利用してOSCの数を低減することができる。また、伝送路の故障により1つのOSCが断となった場合に、他のOSCのルートを利用して監視ネットワークを保護することが可能となる。
【0025】
図7は1つのシステムの場合の光伝送システムの構成例の概要を示すブロック図、図8は2つのシステムを並列に設けた並列光伝送システムの構成例の概要を示すブロック図、図9はOSCの機能分割の方法を説明する図であり、以下これらについて説明する。図7ないし図9において、21’、24’はWDM、22’、23’、25’、26’はLA、28〜33、40〜46はOSC終端部、34〜39はセレクタ(SEL)であり、他の符号は図2〜図6の場合と同一である。
【0026】
図7に示す例は、光伝送システムとして1システムのみ設けられているので、この場合、OSCも1系統のみ設置され、このOSCの系統に対する予備系の設置は行われていない。そして、OSC終端部28は、WDM21の入出力部、OSC終端部29,30は、LA22,26の入出力部、OSC終端部31,32は、LA23,25の入出力部、OSC終端部33は、WDM24の入出力部に設けらる。この構成によって、OSCは、WDM、LA相互間、LA、LA相互間の各Span に主光信号に多重して伝送される。OSC終端部28〜33の主要な機能は、DCC(Data Communication Channel)と呼ばれる、データ通信ラインを提供すること(各装置間の監視情報の転送等に用いる)と、OW(Order Wire)と呼ばれる打ち合わせ用の電話回線を提供すること等である。
【0027】
図8に示すような2システムによる並列システムの場合、主信号は2つの独立したシステムであるが、OSCについては、OSC Working Line 及びバックアップ用であるOSC Protection Lineを設けている。そして、OSCの切替機能のために、各装置にはセレクタ機能が設けられている。図8に示す例は、最も一般的なセレクタ機能を示しており、それぞれのセレクタ回路をSpan 番号により、SEL 1−Ea等として示している。
【0028】
図7、図8では、OSC終端部を各Span 毎に伝送するように分割しているが、OSC部の機能分割の方法は、Figs. 9 に示すように、その機能をプリント基板パッケージ単位に分割する方法としていくつかが考えられる。そして、その分割の方法に対応して図8に示したセレクタ回路の制御方法として最適なものが決定される。これは、プリント基板パッケージという単位が故障時の交換単位であることに対応するためである。
【0029】
OSC機能の分割について説明する図9において、図9(a)に示す例は、West/Eastで分割する形式、図9(b)に示す例は、West to East/East toWestという方向で分割する形式、図9(c)に示す例は、全て個別にする形式、図9(d)に示す例は、全てを1つの交換単位とした形式である。これらは、OSC部の回路規模等の条件、あるいは、パッケージを抜去した際の動作条件等から決定される。
【0030】
図9に示した構成に対応して、図8に示した各装置の個々のセレクタ動作方法が決定される。これを切替モード(Protection Mode)と呼び、図9(a)の構成に適したSpan 別双方向切替モード、図9(b)の構成に適したAll Span片方向切替モード、図9(c)の構成に適したSpan 別片方向切替モード、図9(d)の構成に適したAll Span双方向切替モードがある。
【0031】
例えば、図9(a)に示したOSCがWest/East別に構成されている場合に適したSpan 別双方向切替モードは、各Span における切替をそれぞれ独立とするものである。但し、各Span において、対向するOSCのセレクタと同時にWoking/Protectionを切替える様に動作する。この場合、対向する装置は、伝送路のいずれかが故障を検出した場合にSpan を介して対向する側に連絡して切替えを行う必要があり、そのための通信チャネルをOSC上に定義する。
【0032】
この定義としては、例えば、故障レベルとして、
SF:Signal Failure(信号断:伝送路断、あるいはフレーム同期外れ)
SD:Signal Degrade(信号劣化:誤り率劣化)
の2つを規定する。そして、Span を介して対向する装置は、自分の検出した警報(SF,SD、Working/Pprotection別)を対向側に常時通知する。各装置は、対向側の警報と、自分の検出している警報との両者の比較により選択系を判断してWorking/Protection を切替える。そして、前述の対向側への通知は、OSC−SF,OSC−SDが検出された場合、Span の対向側へ、OSC−SF−RDI,OSC−SD−RDIを返送することにより行われる。
【0033】
前述では、Span 別切替の場合を説明したが、All Span切替の場合、Span 別のこうした情報の授受は不要となる。その代わり、全Span 共通にOSC−SF,SD等を定義し、WDM対向で使用する。例えば、All Span双方向切替モードの場合、前述と同様の判定方法によりDWDMが選択系を判断し、選択情報をLAに転送することによって全ての装置の同時切替を実行することになる。
【0034】
前述したOSCは、そのフレーム構成として、SONET OC−N、例えば、SONET OC−3(155.52Mb/s)のフレームフォーマットを適用することができる。
【0035】
このフレームフォーマットを適用するメリットとして、
(1)OSCにより通信する情報としては、DCC、OW等があるが、SONETのフレーム構成を採用することにより、SONETにより開発されたLSIあるいはオーバヘッド処理回路構成等をそのまま使用することができる。
【0036】
(2)回路構成の流用を図ることができ、監視系構成等もほぼ同様の構成を流用することができる。
【0037】
(3)156Mb/s という将来に渡っても十分な通信容量を確保したため機能拡張などが容易である。
【0038】
(4)OSCの監視光ネットワークをSONET装置を含めて拡大する際に、特にSONET側装置に、既に開発済みのOC−3用のパッケージを容易に収容することができ、整合性を確保することが可能となる。
【0039】
等を得ることができる。
【0040】
通常、SONET装置間は、DCCを用いた監視ネットワークを採用しているが、WDMのネットワークをそれに統合する場合、WDMとSONET装置の間にOSCを波長多重形式で接続する。その場合、SONET装置には、これまでと同様で波長のみが異なるOC−3Card を搭載することが可能であり、そのDCCを用いて接続することが容易である。
【0041】
本発明の実施の形態である監視方法の実施例を図24、図25を用いて説明する。図24は、装置間の情報転送機能を埋め込んだOC−3(STM−1)のオーバヘッド部を示す。ここで、A1バイト等のアルファベット1文字と数字の組合せは、SONET、SDH等の規格で定義された同期用等のバイトである。本発明では、オーバヘッド部の空きバイトを用いて、エンドターミナル間の転送情報と、全装置間の転送情報とを転送する。エンドターミナル間の転送情報には、規格で定められたD4−D12バイトを用いるLine DCC以外に、SCI(装置構成情報転送機能 System Configuration Indicator)、CDI(LOS検出数転送機能 Channel Down Indicator)、ET1,2(予備)が設けられている。また、全装置間の転送情報には、規格で定められたD1−D3バイトを用いるSection DCC以外に、AIS(回線障害転送機能)、AOW1,2(Analogu OW, 2 channels)、DOW1,2(Digital OW, 2 channels)、WAID(WDM AIS 生成 ID)、OAID(OSC AIS 生成 ID)、WEF(WDM Far End Receive Error)、OFE(OSC Far End Receive Error)、SCCI1−3(監視制御情報転送機能Supervisory Control Channel)、LA1,2(予備)が設けられている。
【0042】
図25は、具体的なAISバイトのビット割付を示す。上位4ビットでWDMAIS、下位4ビットでOSC AISを示し、それぞれ“0000”が正常状態、“1010”がAIS発生状態を示す。障害を検出した装置は、障害の状況に応じてWDM AIS、OSC AISに割付を行って下流装置に送信する。
【0043】
図10は本発明の他の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。図10において、50、50’は端局装置(LTE)、52、53はエンドターミナル(ET)、54、55は双方向光中継器(LA)、56〜59は監視制御部、60〜63は双方向光増幅器、64、65は波長多重分離装置(WDM)である。
【0044】
図10に示す本発明の実施形態による光伝送システムは、最小構成のシステムであり、複数のLTE50、50’からの複数の波長の送信光信号を波長多重化し、中継用光ファイバからの受信光信号を分離してLTE50’、50へ送信するWDM64、65及び双方向光増幅器60、63を備えたET52、53と、2つのET52、53相互間を接続する光ファイバと、光ファイバの途中に挿入された1または複数のLA54、55とにより構成される。この構成は、図1(a)、図1(b)により説明した構成と同一である。
【0045】
そして、図10のシステムにおいて、ET52、53及びLA54、55には、監視制御部56、59、57、58が設けられている。これらの監視制御部56〜59は、図5〜図9により説明したOSC終端部と制御回路とまとめたものである。但し、図10に示す例は、主信号が双方向に伝送されるので、監視制御部相互間で送受信されるOSCは、異なる波長の光信号を使用して双方向に伝送される。
【0046】
図10において、複数のLTE50のそれぞれからの異なる波長を持つ光信号は、ET52内のWDM64により波長多重された後、双方向光増幅器60により所定の出力レベルに増幅された後、中継用光ファイバに送出される。中継用光ファイバ内に伝送される波長多重された光信号は、途中に挿入されているLA54、55によりファイバ内での減衰が補償されてET53に受信される。ET53で受信された光信号は、ET53内の双方向光増幅器63により所定のレベルに増幅された後、WDM65により波長分離され、複数のLTE50’に送出される。同様に、複数のLTE50’からの光信号は、前述と逆の経路を同一の光ファイバを通って複数のLTE50に伝送される。前述において、両方向への伝送に使用する光の波長は、異なったものが使用される。
【0047】
各監視制御部56〜59は、システム内における機器の故障、ファイバ断障害等を監視するものであり、システムを構成する装置相互間で監視用光信号であるOSCを送受信している。そして、各監視制御部56〜59は、受信したOSC内の信号を一旦電気信号に変換して各種のインタフェースをとると共に、送信すべき信号をOSCに乗せて隣接側の装置に送信する機能を有している。
【0048】
各監視制御部56〜59には、共通のインタフェースとして、その装置が置かれるフロアに警報を入出力するハウスキーピング機能HK(House Keeping)、保守者用のアナログの電話回線であるOW、他の装置との間でのディジタル信号による連絡用のSC(Service Channel)、パソコン等に対してシステムの状況を入出力するCI(Craft Interface)が設けられる。また、ET52に設けられる監視制御部56には、システム全体の監視するオペレータのためのインタフェース・トランザクション・ランゲージ・ワン部(TL1)が設けられる。
【0049】
図10の例では、図示の簡単のため、OSCが通るラインを主信号が通る光ファイバとは別に描いているが、実際には、OSCも、主信号が通る光ファイバ内に波長多重される。これは、以下の図面でも同様である。
そして、各監視制御装置が置かれる装置において、監視用のOSCが主信号から分離されあるいは多重される。また、図10に示すシステムは、端局装置として、最大16(8×2)台を設けることができる。
【0050】
図11は本発明の他の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。図11において、52’、53’はET、54’、55’はLA、56’〜59’は監視制御装置、51は再生中継装置(LRE:Line Regenerator Equipment)、65は拡張用監視信号線(EOB:Enhanced OSC BUS)であり、他の符号は、図10の場合と同一である。
【0051】
図10に示したシステムは、主信号としての光信号を電気信号に変換することなく広帯域の光増幅器を使用して中継しており、2台のLAにより3スパンの光ファイバによる伝送路を構成した場合にも、実際の伝送距離を、270km以上とすることができないものであった。
【0052】
図11に示す本発明の他の実施形態は、伝送距離をより大きくすることができるもので、図10により説明したシステムをLRE51を介して2システム直列に接続して構成したものである。この構成により540Kmまでの伝送を行うことが可能となる。2つのシステムを接続するLRE51は、波長多重された全光信号を一旦電気信号に復調し、電気信号の状態で信号劣化等の補償を行った後、光信号に乗せる機能を有する。
【0053】
前述した図11に示す構成において、ET53、53’とLRE51とは、同一局舎内に設置される。そして、図11に示す実施形態は、この実施形態によるシステム全体を1システムとして管理する必要があり、ET53、53’の監視制御装置59、59’相互間には、OSCのみを伝送する光ファイバによる拡張用監視信号線EOB65が設けられている。従って、この実施形態においても、このEOB65を介して、図11に示すシステムを構成する全ての装置に対する監視を行うことができる。
【0054】
図12は本発明の他の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施形態は、図10に示すシステムを4系統並列に設置して構成したものである。従って、SYSTEM1ないしSYSTEM4は、図10の場合と全く同一に構成されているので、それぞれのシステムを構成する各装置には、図10の場合と同一の符号を付けて示している。但し、図示の簡単のため、これまでETの符号であった52をSYSTEM1ないしSYSTEM4の波長多重装置と双方向光増幅器部の符号として用いた。同様に、符号53〜55を監視制御部を除く個々の伝送装置の部分の符号として表わした。
【0055】
そして、この実施形態において特徴的な構成は、SYSTEM1における監視制御装置56〜59及びこれらの間に送受信されるOSCを現用系として使用し、SYSTEM2における監視制御装置56〜59及びこれらの間に送受信されるOSCを予備として使用し、この2系統により4システム全体を監視するようにしている点である。このため、SYSTEM1、2における伝送装置52、53に設けられている監視制御装置56、57相互間には、IOB(Intra site OSC BUS)と呼ぶ光ファイバが設けられ、また、各システムを構成する装置のそれぞれの監視制御装置56〜59は、それぞれの相互間にISB(Intra site BUS)と呼ぶ電気的な接続路が設けられている。なお、LAのIOBは図示の簡単のため省略した。
【0056】
前述のように構成されるシステムにおいて、SYSTEM1に設けられる現用系の監視制御系が正常に動作している場合、SYSTEM2ないしSYSTEM4に設けられる監視制御装置56〜59は、自システムにおける障害等の監視結果をISBを介して現用系の対応装置に電気信号により報告し、それらの監視情報の主信号方向の伝送は、現用系の監視制御系によって行われる。また、SYSTEM1に設けられる現用系の監視制御系が障害等により使用不能となった場合には、SYSTEM2に設けられる予備系の監視制御系が、IOBを用いて現用系に代わって監視動作を続ける。なお、現用系及び予備系に使用されるOSCの波長は伝送方向ごとに同一である。
【0057】
前述した実施形態は、監視制御系として現用、予備の2系統を持つことになるので、システム全体の信頼性を向上させることができ、また、各システムに監視制御系を完全な形で用意する必要がないので、コストの低減を図ることができる。
【0058】
前述した実施形態は、4つのシステムを並列にして構成して信号の全伝送容量を増大したものであるが、この実施形態は、2つあるいは3つのシステムを並列にした構成としてもよく、さらに多数のシステムを並列に構成してもよい。
【0059】
図13は本発明の他の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。この実施形態は、図11に示すシステムを4系統並列に設置して構成したものである。従って、SYSTEM1〜SYSTEM4として示す各システムとも図11の場合と全く同一に構成されているので、それぞれのシステムを構成する各装置には、図11の場合と同一の符号を付けて示している。但し、図示の簡単のため、符号52〜55を監視制御部を除く個々の伝送装置の部分の符号として表わした。
【0060】
図13に示す実施形態は、図11により説明した実施形態と同様に、伝送距離をより大きくすることができるもので、図10により説明したシステムをLRE51を介して2システム直列に接続して構成したシステムを4システム使用している。この構成により540Kmまでの伝送を行うことが可能となる。そして、SYSTEM1、SYSTEM2に設けられる現用系及び予備系の2つの監視制御系における監視制御装置59、59’相互間のみがEOB65により接続されて構成されている。
【0061】
前述したような構成による実施形態は、図11及び図12により説明した2つの実施形態の効果を合わせ持つことになる。また、この実施形態は、図12により説明したと同様に、2つあるいは3つのシステムを並列にした構成としてもよく、さらに多数のシステムを並列に構成してもよい。
【0062】
次に、前述のように構成される本発明の実施形態によるシステムにおける、ET及びLAの各種の構成例について説明する。
【0063】
図14はETの構成例を示すブロック図である。このETの構成例は、East方向、West方向にそれぞれ4チャネル、すなわち、8つの波長の光信号を扱うETの構成である。図14において、71は波長多重器、72は波長分離器、73、77は伝送特性補償器、74は送信光増幅器、75は受信光増幅器、76は合分波器、78はOSC終端部、79は電源装置である。なお、図において、太線で囲まれた部分は、それぞれ実際の装置内で1つのプリント基板パッケージとして構成される部分であり、以後に説明する他の例においても同様である。なお、図内に引き出し線でで示している記号は、その位置でモニターする信号名を示している。つまり、図示の簡単のため、省略されているが、各モニターポイントには、温度測定素子や、分岐カプラーとモニター用PD(ホトダイオード)とが設けられている。モニターポイントの名称は、例えば送信光増幅器74に付けられたTLTMPは、送信光増幅器の励起レーザ温度を意味する。これは、以下の図面と共通である。
【0064】
波長多重器71は、CH1〜CH4として示す入力端を介して4台のLTEから送信されてくる異なる波長の光信号を多重して伝送特性補償器73に出力する。この波長多重器71は、入力される各波長の光信号のパワーがバランスするように調整する機能をも備えている。伝送特性補償器73は、中継用光ファイバの伝送特性を補償する分散補償ファイバ(DCF:Dispersion Compensation Fiber)と呼ばれる光ファイバにより構成される。このファイバは、中継用光ファイバの分散特性とは逆の符号の分散特性を持つファイバである。ただし、伝送特性補償器は、ブラッグ・グレーティング等の他の分散補償器であっても構わない。また、他の伝送特性補償器であっても構わない。また、後で詳細を説明する図22に示すように、LTEと波長多重器712との間には10:1光カップラー713と入力モニター714とがあるので、使用していないまたは故障したLTEがあることをETが自動検出でき、この波長多重数情報をOSCを通して伝送システム全体に知らせることができる。
【0065】
伝送特性補償器73から出力された光信号は、送信光増幅器74により所定のレベルに増幅された後、合分波器76を介して中継用光ファイバに出力され、後段のLAに送信される。この時、送信光増幅器74は、入力モニターで検出した波長多重数情報を用いて、光信号多重数に応じた利得の自動制御を行い、光信号当たりの光レベルを一定にする。合分波器76は、送信光増幅器74からの送信光信号と、監視光とを合波して中継用ファイバに出力する機能と、中継用ファイバからの受信光信号と監視光とを分波する機能とを有している。
【0066】
合分波器76により分波された受信光信号は、2段の光増幅器により構成される受信光増幅器75を介して波長分離器72に送られ、LTE毎の波長の光信号に分離されてLTEに送信される。受信光増幅器75の2段の光増幅器の間には、伝送特性補償器77が接続され、中継用光ファイバの特性により変動している受信光信号の特性が補償される。
【0067】
一方、OSC送受信器78は、光受信器、光/電気変換器、光発信器、電気/光変換器等を備え、監視制御部56からの監視情報を監視光に乗せて合分波器76に送り、さらに、LAに送信する。また、LA側から監視光が合分波器76により分波されるが、OSC送受信器78は、分波された監視光を受信し、含まれる監視情報を電気的な信号として監視制御部56に出力する。
【0068】
監視制御部56と、前述で説明した各機能部を収容するパッケージとの間は、エージェント・コミュニケーション・ファンクションバス(ACFBUS)と呼ぶ制御線により電気的な接続がなされており、監視制御部56は、パッケージ内の各監視ポイントにおける光信号のレベル等の監視を行い、入出力チャネルにおける光信号のパワーレベルの制御を行っている。また、各光増幅器と波長多重器と波長分離器と合分派器との入力側・出力側の光パワーと、各光増幅器の励起用レーザダイオードの駆動電流と励起光パワーと素子温度とは、OSCを通して任意のサイトで遠隔監視が可能である。
【0069】
前述の監視制御部と各機能部を収容するパッケージ間のインタフェース及び吹き出しで示している符号は、以後に説明する他の図の場合にも同様である。また、電源装置79は、前述した各機能部を動作のために必要な電圧を持った各種の電力を供給している。以後に説明する他の装置における電源装置も同様である。
【0070】
図15はLAの構成例を示すブロック図である。このLAの構成例は、East方向、West方向にそれぞれ4チャネル、すなわち、8つの波長の光信号を扱うLAの構成例である。図15において、81、82は合分波器、83、84は光増幅器、85、86は伝送特性補償器、87、88はOSC終端部、89は電源装置である。
【0071】
図15において、合分波器81、82は、図14で説明した合分波器76と同様な機能を有している。そして、合分波器81は、図にWest として示している側の中継用ファイバからの光信号を分波し光増幅器83に対して出力する。光増幅器83は、図14により説明した受信光増幅器75と同様に2段の光増幅器により構成され、その間に伝送特性補償器85が接続されている。従って、この光増幅器83と伝送特性補償器85とによる構成は、図14における受信光増幅器75と伝送特性補償器77とによる構成と同一の機能、すなわち、中継用光ファイバの伝送特性を補償することができる。伝送特性が補償された光信号は、合分波器82を介してEast側の光ファイバに出力される。
【0072】
前述と同様に、合分波器82は、図にEastとして示している側の中継用ファイバからの光信号を分波し光増幅器84に対して出力する。光増幅器84も、光増幅器83と同様に2段の光増幅器により構成され、その間に伝送特性補償器86が接続されているので、中継用光ファイバの伝送特性を補償して、East側からの光信号を合分波器81を介してWest側の光ファイバに出力することができる。なお、光増幅器83、84は、上流から伝送されてきた監視光に含まれる光信号多重数(波長多重数)情報を用いて、光信号多重数に応じた利得の自動制御を行い、光信号当たりの光レベルを一定にする。
【0073】
図15に示すLAは、前述した構成を備えることにより光信号を双方向に増幅し、かつ、中継用光ファイバの伝送特性を補償して中継することができる。
OSC終端部87、88は、図14により説明したOSC終端部78と同様な機能を有しており、OSC終端部87がWest側の光ファイバとの間での監視光の送受信を行い、OSC終端部88がEast側の光ファイバとの間での監視光の送受信を行っている。
【0074】
図16はETの他の構成例を示すブロック図である。このETの構成例は、East方向、West方向にそれぞれ8チャネル、すなわち、16の波長の光信号を扱うETの構成である。図16において、70は励起光源、71’は波長多重器、72’は波長分離器であり、他の符号は図14の場合と同一である。
【0075】
図16に示すETは、基本的に図14により説明したETと同様な構成を有するものである。そしてこの例は、East方向、West方向にそれぞれ8チャネルの光信号を扱うため、波長多重器71’と、波長分離器72’とを追加し、波長多重器71内で波長多重器71’からの波長多重された光信号を波長多重器71で波長多重した光信号にさらに多重している点、及び、波長分離器72内で、自分離器への波長多重光信号と波長分離器72’に渡す波長多重光信号とに分離している点で、図14により説明したETの構成と大きく相違している。
【0076】
また、このETは、East方向、West方向にそれぞれ8チャネル、すなわち、8つの異なる波長の光信号を波長多重して光ファイバに乗せなければならならず、各波長毎の光パワーを同一とする4波長多重の場合の倍の光パワーを要することになるため、送信光増幅器74、受信光増幅器75に対して励起光源70から励起用の光を供給して、各増幅器74、75の光出力のレベルを増大させるようにしている。
【0077】
図16に示すETは、前述した以外の構成及び動作が図14により説明したETと全く同様に行われる。したがって、ここでは、これ以上の説明を省略する。
図17はLAの他の構成例を示すブロック図である。このLAの構成例は、East方向、West方向にそれぞれ8チャネル、すなわち、16の波長の光信号を扱うLAの構成例である。図17において、80は励起光源であり、他の符号は図15の場合と同一である。
【0078】
図17に示すLAは、光増幅器83、84に対する励起光源80が別パッケージから供給されている点を除いて、図15により説明したLAと全く同様に構成されている。このLAは、East方向、West方向にそれぞれ8チャネル、すなわち、8つの異なる波長の光信号が波長多重されて光ファイバに伝送されている光信号を、光増幅器83、84により増幅して中継しなければならないため、図16により説明したETの場合と同様に、光増幅器83、84に対して励起光源80から励起用の光を供給して各増幅器83、84の光出力レベルを増大させている。
【0079】
図14〜図17により説明したET、LAの例は、1本の中継用光ファイバ内に双方向に光多重信号が伝送される場合の例であったが、次に、中継用光ファイバをEast方向、West方向に別に設け、各光ファイバ内に16波長を多重した光信号を伝送する場合のET、LAの例を説明する。
図18は中継用光ファイバをEast方向、West方向に別に設け場合のETの構成例を示すブロック図である。図18において、70’は励起光源、91は波長多重器、92は波長分離器、93、94は合分波器であり、他の符号は図16の場合と同一である。
【0080】
図18に示すETの構成例は、中継用光ファイバがEast方向、West方向に別々に設けられていることに対応する構成を備えるもので、基本的な構成は、図16により説明したETの構成と同様である。すなわち、図18において、図示しない端局装置からの16の各波長の光信号は、入力インタフェース部に設けた図示しない入力モニターを介して16波長を多重する波長多重器91により多重される。この時、使用していないまたは故障したLTEがあることをETが自動検出でき、この波長多重数情報をOSCを通して伝送システム全体に知らせることができる。波長多重器91の出力光は、伝送特性補償器73を介して送信光増幅器74に入力される。この送信光増幅器74は、励起光源70が加えられており、出力の光パワーが所定の大きさとなるように制御されている。詳細には、送信光増幅器74は、入力モニターで検出した光信号多重数(波長多重数)情報を用いて、光信号多重数に応じた利得の自動制御を行い、光信号当たりの光レベルを一定にする。送信光増幅器74からの光出力は、合分波器93によりOSC送受信器78からの監視光と多重されて送信側の中継用光ファイバに伝送される。
【0081】
一方、受信側の中継用光ファイバからの光信号は、合分波器94により監視光が分離され、その監視光がOSC送受信器78に入力される。16波長が多重されている主信号は、伝送特性補償器77により伝送特性の補償が行われ、かつ、励起光源70’によりその光出力が制御されている受信光増幅器75を介して波長分離器92に入力される。波長分離器92は、多重されている光信号を16の波長の光信号に分離し、出力インタフェースを介して図示しない端局装置に送信する。ここで、受信光増幅器75は、上流から伝送されてきた監視光に含まれる光信号多重数(波長多重数)情報を用いて、光信号多重数に応じた利得の自動制御を行い、光信号当たりの光レベルを一定にする。
【0082】
図19は中継用光ファイバをEast方向、West方向に別に設け場合のLAの構成例を示すブロック図である。図19において、95、95’、96、96’は合分波器、97、98は励起光源であり、他の符号は図17の場合と同一である。
【0083】
図19に示すLAの構成例は、中継用光ファイバがEast方向、West方向に別々に設けられていることに対応する構成を備えるもので、基本的な構成は、図17により説明したLAの構成と同様である。すなわち、図19において、West側の光ファイバからの入力光信号は、合分波器95により監視光が分離され、その監視光がOSC送受信器87に入力される。16波長が多重されている主信号は、伝送特性補償器85により伝送特性の補償が行われ、かつ、励起光源97によりその光出力が制御されている光増幅器83を介して合分波器96に入力される。ここで、光増幅器83は、上流から伝送されてきた監視光に含まれる波長多重数情報を用いて、波長多重数に応じた利得の自動制御を行い、波長当たりの光レベルを一定にする。合分波器96は、光増幅器83からの多重光信号にOSC送受信器88からの監視光を多重してEast側の中継用光ファイバに伝送する。同様に、East側の中継用光ファイバからの入力光信号は、合分波器95’、光増幅器84、合分波器96’を介してWest側の光ファイバに伝送される。
【0084】
図14〜図19により説明したET及びLAは、ACFBUSを介してこれらのET及びLAを構成する各機能部における光信号レベル(光パワー)が監視制御部により監視され、また、光信号のレベルの調整を行うことができる。まず、複数の端局装置から送信されてくる複数の波長の光信号のそれぞれの光パワーであるチャネル光入力パワーの制御について説明する。
【0085】
チャネル光入力パワーの調整は、設備建設時における調整、建設後の時間経過による光レベル劣化に対する補償等のために必要である。このチャネル光入力パワーの調整は、波長多重器が備えられるETにおいて行われる。設備建設時における調整は、例えば次のように行われる。まず、図14に示す送信光増幅器74の出力側に設けられる光モニタポイントからモニタ光を取り出して、これを光スペクトルアナライザ等により分析して、各波長の光信号レベルを表示させる。そして、送信光増幅器74の出力における各チャネル毎の各波長の光信号のパワーがバランスするように、かつ、送信光増幅器74からの各波長の光信号のレベルが予め定められたレベルになるように、監視制御部56に接続される制御端末から、波長多重器71に備えられる光強度調整器を制御する。
【0086】
これにより、多重された送信光信号を最適な状態に設定することができる。監視制御部56は、一旦、前述したような調整が行われた場合には、その調整量、設定レベルを各チャネル毎に不揮発性メモリ等に格納管理しておくことにより、自動的にフィードバックし、送信光源の経時劣化による光レベル低下に対する補償を随時行うことができる。これにより、送信光増幅器74としてどのようなロットのものが使用された場合にも、常に、各チャネル独立に所定の送信出力を維持することが可能となり、伝送品質の均一化を図ることができる。以下、図20〜図24を用いてこれを説明する。
【0087】
図20は複数の端局装置から送信されてくる光信号の光パワーをETの光増幅器のモニター出力を用いて調整する制御を説明する図である。以下、図20を参照して、前述した複数の端局装置から送信されてくる複数の波長の光信号のそれぞれの光パワーであるチャネル光入力パワーの可変制御の詳細を説明する。
【0088】
図20は、図示しない端局装置から送信されてくる複数の波長の信号の信号レベルを調節する光調節器711と波長多重器712からなる波長多重ユニット71と、伝送特性調整部73と、送信光増幅器74と、監視制御部56とからなるETと、スペクトラムアナライザ100と、制御端末200とが図示されている。ここで、送信光増幅器74のモニターポート99に、スペクトラムアナライザ100を接続し、監視制御部56のクラフトインターフェースに制御端末200接続する。また、スペクトラムアナライザ100と、制御端末200とはGP−IBインターフェースで接続されている。
【0089】
この構成によって、伝送特性補償部73と、送信光増幅器74とを通過した後の各波長の光パワーをモニターすることが出来る。そして、その結果を波長多重ユニット71の光強度調節器711にフィードバックすることによって、各波長間の偏差をなくす様に制御できる。実際に信号を伝送しているときに、このフィードバック系を、使って制御しても構わない。また、測定した結果を、後述する光強度調整器711のフィードバック系の基準電圧として不揮発性メモリに書き込んで制御しても良い。これらの制御の結果、仮に端局装置に設けた送信光源が経時劣化して、光のパワーレベルが低下しても、光強度調節器711がこれを補うことができる。
【0090】
図21は、複数の端局装置から送信されてくる光信号の光パワーを、LAの光増幅器のモニター出力を用いて調整する制御を説明する図である。図21は、図20に示した構成に、中継光増幅器83と監視情報制御部57とからなるLAを追加した構成である。ここで、図示の簡単のため、ETおよびLAに設けている伝送特性補償部は省略した。但し、スペクトラムアナライザ100は、中継光増幅器83のモニターポート99’に接続する。また、制御端末200は、監視制御部57のクラフトインターフェースに接続する。監視制御部57は、OSCを使って監視制御部56に接続しているので、制御端末200から光調節器711が制御可能である。
【0091】
この構成によって、LAの中継光増幅器83を通過した後の各波長の光パワーをモニターすることが出来る。そして、その結果を波長多重ユニット71の光強度調節器711にフィードバックすることによって、各波長間の偏差をなくす様に制御できる。このフィードバック系を常時使っても良いし、光強度調整器711のメモリに書き込んで制御しても良いのは、図20の実施例と同様である。
【0092】
なお、受信光増幅器のモニター出力を用いて制御可能であることは、明らかであろう。また、上述した実施例は、便宜上片方向伝送を想定して説明したが、双方向伝送でも適用可能なことも、明らかであろう。
本実施例によれば、前述で説明した多重された送信光信号を最適な状態、すなわち、各波長の光パワーがバランスするように制御することが可能になり、また、複数の端局装置に送信する各波長の光信号のパワーを揃えることができる。
【0093】
この制御は、システム建設時の各入力チャネルにおける光入力信号のパワーの自動調整、建設時のLCにおける減衰量の設定による保守者介在の調整、システム運用中におけるシステムを構成する装置での光レベル劣化に対する補償のための調整等のために利用することができる。
【0094】
そして、すでに説明したように、送信光増幅器74の出力における各チャネル毎の各波長の光信号のパワーがバランスするように、かつ、送信光増幅器74からの各波長の光信号のレベルが予め定められたレベルになるように、監視制御部に接続される制御用の外部端末から、波長多重器71に備えられる光強度調整器を制御する。これにより、ユーザあるいは現地設置者は、外部端末を介してチャネル光入力パワーを容易に設定することが可能になる。
【0095】
また、前述したように設定量をシステム内に保持しておくことにより、運用後も設定した値となるように自動制御することができる。すなわち、ETは、外部端末、計測装置が外された状態でも、ET単独でに適切な自動調整を行うことができる。
本発明の実施形態によるETは、前述により、複数波長の送信信号パワーを実システムに合わせて一括設定し管理することが可能となる。また、光強度調整器は、一般的な光減衰器とは異なり、必ずしも光を減衰せずに光利得を調整することが可能なものであり、所定の光送出パワーを維持し、光伝送品質を維持、管理する上で有効である。
【0096】
次に、光強度調整器の構成を図22および図23を用いて説明する。ここで、図22は、複数の端局装置と光多重器との間に設けた光強度調整器の制御を説明する図である。また、図23は、端局装置の出力と、光強度調整器の出力と、光多重器の出力とを比較して説明する図である。
図22は、図20と図21とで説明した光強度調整器をさらに詳しく説明したもので、図20のETの波長多重ユニット71の1波長分を記載したものである。端局装置からの光信号は、光カップラ713で分岐され一部の光が入力用PD714でモニターされる。大部分の光信号は光強度調整器711で増幅を受けた後、カップラ715を通過し波長多重器712で他の波長と多重化される。カップラ715で一部分岐された光信号は、PD716で電気信号となり、差動増幅器717で基準電圧718と比較され、光強度調整器制御部719によって光強度調整器711にフィードバックされる。図20および図21で説明した実施例では、この基準電圧をダイナミックに変化させるか、基準電圧718を生成するメモリにその値を書き込むことによって制御する。なお、上述した光強度調整器711は、小型の光増幅器と考えて良い。つまり、コントローラ719は小型の光増幅器の励起パワーをコントロールする。しかし、この光強度調整器は、大きな励起パワーを必要としないので、価格的にも安く、冷却等を考慮する必要もない。
【0097】
図23に図22の各部分のシグナルレベルダイヤグラムを示す。波長多重ユニットの入口では、端局装置の送信光源の出力レベルが得られ、光強度調整器では、10dBまでの範囲で調整が可能である。波長多重器を通過するとその損失により、7dBから13dBの損失を受ける。
減衰器による信号レベルの調整では、初期設定では減衰量を多く設定しなければならず、伝送距離に影響を与えるが、本実施例の光強度調整器は、光を増幅するので、初期設定状態から、長い伝送距離を得ることができる。また、この光強度調整器は、所定の光送出パワーを維持し、光伝送品質を維持、管理する上で有効である。
【0098】
前述までに説明した光伝送システムにおいては、各波長の信号伝送品質の維持のために、各波長の送信光信号のパワーを所定の範囲に制御する必要がある。このため、前述した光伝送システムは、中継用光ファイバに対する出力を一定に制御することにより、各伝送スパンで発生する光損失の変動を抑圧して、次の伝送スパンに送出することが可能となる。従って、前述した波長多重器における各波長の光信号レベルの調整は重要なものとなる。
【0099】
また、ET、LA内に設けられる伝送特性補償器は、中継用光ファイバにおける伝送特性を補償するものであるが、伝送特性補償器内での非線形効果を抑えるために、伝送特性補償器に入力されるチャネル当りの光パワーを所定の値以下に抑える必要があり、逆に、伝送特性補償器での光損失による信号SNの劣化を抑えるために、伝送特性補償器に入力されるチャネル当りの光パワーはある程度大きなものが必要となる。前述で説明したET、LAは、伝送特性補償器の前段光増幅器の増幅度の調整によりこの条件が満たされるように構成されている。
これにより、前述したET、LAは、伝送特性補償器による非線形効果の抑圧と、信号SNの劣化を防止し、光信号の伝送品質を向上させることができる。
【0100】
図16〜図19により説明したET、LAは、励起光源からの励起用の光を光増幅器に供給して、光増幅器の光出力のレベルを増大させるようにしているが、次に、この制御について説明する。
【0101】
例えば、図18に示すETにおいて、監視制御部56は、波長多重器91の入力インタフェースにおける各チャネルの入力光信号の光パワーを光入力検出器により検出し、所定の光パワー以上であるチャネルを送信チャネル、所定の光パワー以下であるチャネルを非送信チャネルとして認識し、送信チャネルをカウントし、このカウント数を波長数として扱い、この波長数により、励起光源70からの励起用の光パワーを制御して光増幅器74に供給する。これにより、光増幅器74の光出力のレベル(パワー)を制御することができる。この波長数情報は、監視光をに乗せられて次々に下流側のLA、LRE等に伝送されて、それらの光増幅器の制御に使用することができる。
【0102】
このように本発明の波長多重伝送システムでは、波長数をカウントできる。このため光送信器から情報をもらう必要がない。つまり、本発明の波長多重伝送システムは、光送信器に依存せず、独立のシステムである。
【0103】
このような光増幅器の制御は、各光増幅器からの各波長の光信号の出力パワーが、多重されている波長数によっても変化することなく、所定のレベルに保持させるために有効である。一般に、光増幅器は、全チャネル(トータル)光出力が所定の値になるように制御され、波長多重数が変化すると各波長毎の光信号の出力レベルが変動してしまうという問題点を有しているが、前述したような波長数情報による制御を行うことにより、各波長の出力レベルを所定の大きさに制御することができる。
【0104】
【発明の効果】
以上説明したように本発明によれば、光伝送システムを複数直列に、あるいは、並列に備えて運用する場合にも、効率的にシステムの監視を行うことができ、コストの低減を図ることができる光伝送システム及びその監視方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】波長多重分離装置を用いて波長多重光信号の伝送を行う光伝送システムの各種の構成を示す図である。
【図2】監視光を使用して故障箇所含む故障情報をエンドターミナルに送信する監視方法を説明する図である。
【図3】監視光を使用して故障箇所含む故障情報をエンドターミナルに送信する監視方法を説明する図である。
【図4】監視光を使用して故障箇所含む故障情報をエンドターミナルに送信する監視方法を説明する図である。
【図5】監視光を使用して故障箇所含む故障情報をエンドターミナルに送信する監視方法を説明する図である。
【図6】監視光を使用して故障箇所含む故障情報をエンドターミナルに送信する監視方法を説明する図である。
【図7】1つのシステムの場合の光伝送システムの構成例の概要を示すブロック図である。
【図8】2つのシステムを並列に設けた並列光伝送システムの構成例の概要を示すブロック図である。
【図9】OSCの機能分割の方法を説明する図である。
【図10】本発明の第1の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の第2の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の第3の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図13】本発明の第4の実施形態による光伝送システムの構成を示すブロック図である。
【図14】ETの構成例を示すブロック図である。
【図15】LAの構成例を示すブロック図である。
【図16】ETの他の構成例を示すブロック図である。
【図17】LAの他の構成例を示すブロック図である。
【図18】中継用光ファイバを上下方向に別に設け場合のETの構成例を示すブロック図である。
【図19】中継用光ファイバを上下方向に別に設け場合のLAの構成例を示すブロック図である。
【図20】複数の端局装置から送信されてくる光信号の光パワーを、ETの光増幅器のモニター出力を用いて調整する制御を説明する図である。
【図21】複数の端局装置から送信されてくる光信号の光パワーを、LAの光増幅器のモニター出力を用いて調整する制御を説明する図である。
【図22】複数の端局装置と光多重器との間に設けた光強度調整器の制御を説明する図である。
【図23】 端局装置の出力と、光強度調整器の出力と、光多重器の出力とを比較して説明する図である。
【図24】装置間の情報転送機能を埋め込んだOC−3のオーバヘッド部を示す図である。
【図25】AISバイトのビット割付を説明する図である。
【符号の説明】
21,24,62,63…波長多重分離装置(WDM)、
22,23,25,26,83,84…光増幅器、
21,24,62,63…波長多重分離装置(WDM)、
22,23…光増幅器(LA)、
25,26,83,84…光増幅器(LA)、
27,28〜33,40〜46…OSC機能部、
34〜39…セレクタ(SEL)、
50,51…端局装置(LTE)、
52,53…エンドターミナル(ET)、
54,55…双方向光中継器(LA)、
56〜59…監視制御部、
60,61…双方向光増幅器、
64…再生中継装置(LRE)、
65…拡張用監視信号線(EOB)、
71,91…波長多重器、
72,92…波長分離器、
73,77…伝送特性補償器、
74…送信光増幅器、
75…受信光増幅器、
76,81,82,93,94,95,96…合分波器、
78,87,88…OSC送受信器、
79,89…電源装置、
85,86…伝送特性補償器、
70,80,97,98…励起光源。

Claims (3)

  1. 複数系統の光伝送システムを並列に設置して構成したシステムであって、
    各々の前記光伝送システムは、送信側装置及び受信側装置と、当該送信側装置及び当該受信側装置を接続する光ファイバと、当該光ファイバの途中に縦続に接続されるN個の光中継器と、当該中継器に接続されるN個の監視装置から構成され、
    前記複数の光伝送システムのそれぞれの前記送信側装置が第1のSITEに収容され、前記複数の光伝送システムのそれぞれの前記受信側装置が第NのSITEに収容され、
    前記複数の光伝送システムのそれぞれの前記送信側装置側からn番目(1≦n≦N)の前記光中継器と前記光中継器に接続される前記監視装置が第nのSITEに収容され、
    前記第nのSITEに収容されたそれぞれの前記監視装置同士が接続線により接続され、
    前記複数の光伝送システムの内、2系統の光伝送システムにおいて、前記監視装置が光ファイバと接続される監視光終端部を備え、
    前記第nのSITEに収容された前記監視光終端部を備えない前記監視装置は、前記接続線を介して、監視情報を、前記監視光終端部を備える監視装置に送信し、
    前記監視光終端部を備える監視装置は、前記監視光終端部により、受信した前記監視情報を主信号に波長多重することを特徴とするシステム。
  2. 請求項記載の複数の光伝送システムを並列に設置して構成したシステムであって、
    前記監視光終端部を有する監視装置の内1台が、現用監視装置として、他の複数の前記監視光終端部を有しない監視装置からの監視情報を主信号に波長多重して伝送し、
    前記監視光終端部を有する監視装置の内1台が、予備監視装置として、現用監視装置に障害が発生した場合に、他の複数の前記監視光終端部を有しない監視装置からの監視情報を主信号に波長多重して伝送することを特徴とするシステム。
  3. 請求項記載の複数の光伝送システムを並列に設置して構成したシステムであって、
    前記光中継器は、当該光中継器を識別するIDが割り当てられ、
    前記監視装置は、前記光中継器毎に接続され、当該接続された光中継器のIDを含む監視情報を生成することを特徴とするシステム。
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