JP4177494B2 - 花粉増量剤、人工受粉方法、および花粉の保存方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、人工授粉用の花粉に添加される花粉増量剤と、その花粉増量剤を使用した人工受粉方法、および花粉の保存方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
一般に、梨、桃、キウィなどの果樹は、人工受粉によって着果率の向上が図られている。このような人工受粉を行う場合、受粉作業とは別に前もって花粉が採取され、この花粉に花粉増量剤を添加して花粉を希釈・増量し、その花粉および花粉増量剤からなる混合粉末を用いて受粉作業が行われている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来の花粉増量剤によれば、以下に述べるような問題があった。
上記花粉増量剤としては、従来から石松子が利用されている。この石松子は、ヒカゲノカズラという常緑シダ植物から採取される胞子である。そのため、この石松子は、均一な品質のものを工業的に量産できるようなものではなく、例えば、気象条件の変動等による影響を受けて品質がばらついたり、あるいは供給量が不安定になりやすいという問題があった。また、日本国内において使用されている石松子は、そのほとんどが輸入品である。そのため、流通事情によって供給量が不安定になることもあった。
【0004】
以上のような理由から、従来の花粉増量剤は、供給量不足による価格の高騰を招きやすく、さらに、輸入にかかるコストも上乗せされるなど、最終的な製品価格が高価なものになりやすいという欠点があった。
また、発明者らの研究によれば、石松子には、花粉管の生長を阻害する作用があることも判明した。より詳しく説明すると、花粉は、通常、雌しべの柱頭に付着すると発芽し、花粉管と呼ばれる管状の器官を生長させ、この花粉管が雌しべ下部の子房内にある胚嚢に達すると受精することになるのであるが、電子顕微鏡を使って花粉管の生長状況を観察したところ、花粉に石松子が混入されている場合は、混入されていない場合に比べ、花粉管の生長速度が遅くなる傾向があり、また、花粉管がまっすぐに生長せず、途中で湾曲したりくびれが生ずる傾向があった。こうした傾向は、花粉に石松子を混入すると、石松子を混入しない場合よりも、花粉が雌しべの柱頭に付着してから受精に至るまでにかかる時間が長くなることを意味しており、受精に至るまでにかかる時間が長くなるほど、雌しべに付着した花粉が受精に至る前に風雨に晒されてしまう確率は高くなるので、風雨に晒されたことが原因で花粉ないし花粉管が損傷する可能性も高まり、花粉ないし花粉管が損傷すれば着果率の低下を招く恐れがあった。
【0005】
本発明は、上記諸問題を解決するためになされたものであり、その第1の目的は、従来よりも安価で、より安定した供給が可能な花粉増量剤を提供することにある。また、第2の目的は、花粉管の生長を阻害しない花粉増量剤を提供することにある。さらに、この花粉増量剤を使った人工受粉方法、および花粉の保存方法を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段、および発明の効果】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の花粉増量剤は、
人工受粉用に採取された花粉に対して添加される花粉増量剤であって、
多孔質物質の粉末を主成分とする
ことを特徴とするものである。
【0007】
本発明の花粉増量剤において、主成分となるのは多孔質物質の粉末である。この多孔質物質の粉末は、粒子径や見かけの比重が花粉に類似した範囲に調製され、これにより、花粉に対してきわめて均一に混合することができるものとなり、花粉としての機能を損なうことなく花粉を希釈・増量することができるようになる。また、多孔質物質の粉末は、適度な吸湿性(調湿性)を有するため、花粉と混合した際に、多孔質物質の粉末が余計な湿気を吸着し、花粉が湿気を帯びて変質したり、団塊状になるのを未然に防止するという効果もある。したがって、このような多孔質物質の粉末は、花粉増量剤としてきわめて好適に利用することができる。
【0008】
また特に、この種の多孔質物質の粉末は、天然物である石松子とは異なり、均一な物性(品質)の粉末を工業的に大量生産することができるので、石松子より安価なものとなる。したがって、市場の要求に応じた必要量の花粉増量剤を安定して供給することができ、本発明の花粉増量剤は、石松子の代替品としてきわめて有用なものであると考えられる。
【0009】
さらに、発明者らの研究によれば、多孔質物質の粉末は、石松子とは異なり、花粉管の生長を阻害する作用を有さず、むしろ、花粉管の生長を促す作用を有するという、きわめて有益な利点のあることが判明した。多孔質物質の粉末を花粉に加えた場合に、花粉管の生長が促される理由は、未だ明確に解明されてはいないが、可能性としては、例えば、花粉管の生長を阻害するような細菌類や、細菌類によって産生される毒素、あるいは花粉自体が細菌類から身を守るために放出している抗菌性物質などが、多孔質物質に吸着されるため、花粉の活動が活発化して、花粉管の生長が促されるといった理由が考えられる。
【0010】
ちなみに、石松子を混入した場合は、石松子自体が植物から採取されたものであり、石松子自体が細菌類等から身を守るべく、抗菌性物質等を放出しているため、これが花粉管の生長を妨げる要因となっている可能性がある。
いずれにしても、花粉に多孔質物質を混入すると、石松子を混入した場合はもちろんのこと、何も混入しない場合と比較しても、花粉管の生長が著しくなり、花粉が雌しべの柱頭に付着してから受精に至るまでにかかる時間が短くなるので、雌しべに付着した花粉が受精に至る前に風雨に晒されてしまう確率は低くなり、その結果、風雨に晒されたことが原因で花粉ないし花粉管が損傷する可能性も低くなるので、風雨などの外的要因による着果率の低下を、未然に防止することができる。
【0011】
ところで、このような多孔質物質の粉末としては、種々のものを考え得るが、特に、請求項2に記載のように、
シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、白土、および活性炭の中から選ばれる1種または2種以上からなるものは、
毒性がなく、安全性が高く、花粉に対して添加した際に、花粉自体に対する悪影響が皆無なので、花粉増量剤として用いるのに好適である。中でも、例えばシリカゲル粉末のように、製造条件を選定することにより、粒子径、見かけの比重、吸湿特性などの物性を任意にコントロールできるものは、花粉増量剤を工業的に製造するに当たってきわめて有利である。
【0012】
また、本発明の花粉増量剤を花粉に対して均一に混合するには、上述の通り、花粉に類似した粒子径の粉末とすることが望まれ、最適な粒子径は、厳密に言えば、花粉の種類、すなわち、植物の種類によっても異なるが、多くの植物で好適に利用できる数値範囲を例示すれば、例えば、請求項3に記載の花粉増量剤のように、
前記粉末が、平均粒子径0.1μ〜200μの球状体または破砕状体からなるとよい。
【0013】
この程度の粒子径に調製された粉末であれば、人工受粉が行われている大多数の植物について、花粉増量剤として好適に添加・混合することができる。
ちなみに、平均粒子径が0.1μを下回るような粉末は、花粉とともに散布された際に粉塵となって舞い立ちやすいため、花粉増量剤としてはあまり好ましいものではない。逆に、平均粒子径が200μを上回るようなものは、粒子径が粗すぎて花粉と均一に混合することが難しくなり、花粉増量剤としての用途には適さない。球状体と破砕状体とを比較すると、球状体の方が、花粉との接触時に花粉を傷付ける可能性が低いので望ましい。
【0014】
また、平均粒子径を上記のような数値範囲に調製する以外に、粉末の嵩比重を最適化することも有益であり、例えば、請求項4に記載の花粉増量剤のように、前記粉末が、嵩比重0.01g/cc〜1.0g/ccの粉末であるとよい。この程度の嵩比重に調製された粉末であれば、人工受粉が行われている大多数の植物について、花粉増量剤として好適に添加・混合することができ、均一な混合物を得ることができる。
【0015】
ちなみに、嵩比重が0.01g/ccを下回るような粉末は、花粉とともに散布された際に粉塵となって舞い立ちやすいため、花粉増量剤としてはあまり好ましいものではない。逆に、嵩比重が1.0g/ccを上回るようなものは、花粉よりも重量が重すぎて花粉と均一に混合することが難しくなり、花粉増量剤としての用途には適さない。
【0016】
また、請求項5に記載の花粉増量剤のように、
前記粉末が、着色料によって着色された有色粉末であると、
花粉および花粉増量剤からなる混合粉末の散布状態、あるいは雌しべへの付着状態等を、無色ないし白色の粉末よりも、容易に目視にて確認することができる。また、他の農薬や肥料等とはまったく異なる色に着色することにより、類似の粉体との差別化を図り、誤った用途に使用されるのを未然に防止することもできる。
【0017】
なお、上記着色料の種類については特に限定されず、また、その色についても、識別性の高い色であれば何色であっても構わない。但し、少なくとも毒性がなく、安全性の高いものである必要はある。人体への安全性で言えば、食品添加物としても認められているような着色料であれば問題はなく、例えば食紅で赤色に着色したシリカゲルの粉末を花粉増量剤とすれば、赤色の粉末が付着しているか否かにより、容易に粉末の付着を確認できる。
【0018】
以上説明した本発明の花粉増量剤は、請求項6記載の人工受粉方法において好適に利用することができる。
すなわち、請求項6記載の人工受粉方法は、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の花粉増量剤を、花粉に対して添加、混合して、その混合粉末を人工受粉を施す対象となる植物に対して散布または塗布する
ことを特徴とする。
【0019】
この人工受粉方法において、花粉増量剤は、花粉に対して添加、混合した後、その混合状態のまましばらく保管し、その後で人工受粉に供してもよい。この場合、花粉増量剤は、単に花粉の増量を図るのみならず、適度に吸湿して花粉の活性化を抑制し、劣化を防止する役割をも果たす。
【0020】
散布または塗布については、通常は、動力散布機を利用すればよいが、手作業でも構わないことはもちろんである。
本発明の人工受粉方法によれば、従来の石松子とは異なり、シリカゲルを主成分とする花粉増量剤を使用しているので、人工受粉にかかるコストを従来よりも低減することができる。
【0021】
さらに、本発明の花粉増量剤は、花粉の保存にも便利である。
すなわち、請求項7記載の花粉の保存方法のように、
請求項1〜請求項5のいずれかに記載の花粉増量剤を、花粉に対して添加、混合して、その混合粉末を密封容器に入れて保存するとよい。
【0022】
このような方法で花粉を保存すれば、花粉増量剤が余計な湿気を適度に吸湿するので、花粉を不活性化した状態で、劣化させることなく保存することができる。
なお、従来は、花粉を保存する際には、花粉を紙に包み、その紙包みを別途用意した乾燥剤とともに密封容器に入れていたが、本発明の花粉増量剤は、保存に適した吸湿性を備えているので、花粉と混合した上でそのまま密封容器に入れて保存を行うことができる。したがって、従来のように花粉を紙に包んだり、別途用意した乾燥剤を加えなくてもよく、保存後も、容器から取り出した粉体を直ちに受粉作業に利用できる。また、石松子と花粉からなる混合粉末を作って受粉作業を行った場合、残った混合粉末は保存に適さないため、従来は廃棄処分されていたが、本発明の花粉増量剤は、上記の通り保存に適しているので、受粉作業に残った混合粉末を廃棄処分せずに保存しておいて、後から再び利用することができる。
【0023】
【発明の実施の形態】
次に、本発明の実施形態について一例を挙げて説明する。
花粉増量剤として、3種類の市販のシリカゲル粉末[製品名:サイリシア740、平均粒子径:3.5μ、嵩比重:0.33g/cc(以下、実施例1という)、製品名:サイリシア470、平均粒子径:12μ、嵩比重:0.17g/cc(以下、実施例2という)、破砕状B型シリカゲル、平均粒子径:270mesh以下、嵩比重:0.50g/cc(以下、実施例3という);いずれも富士シリシア化学株式会社製]を用意した。
【0024】
また、比較試験用として、従来から花粉増量剤として用いられている石松子(以下、比較例1という)も用意した。
試験樹としては、幸水30年生(伊万里市大川町)を用いた。試験規模は、1区1樹、2反復とし、上記4種の花粉増量剤のそれぞれに対応する4区で同様の処理を行った。処理方法は、豊水純花粉に上記4種の花粉増量剤を、それぞれ10倍希釈となるように添加して、この花粉および花粉増量剤からなる混合粉末を1果そう3花に受粉し、1樹あたり1処理100果そうとして2反復行った。
【0025】
受粉14日後に着果率(%)について調査した結果を、下記表1にまとめて示す。
【0026】
【表1】
【0027】
上記結果から明らかなように、いずれの花粉増量剤を用いた場合も、無着果そうは見られなかった。また、実施例2,実施例3については、3果以上の着果率が73〜77%以上となっており、比較例1と同等の効果があることがわかった。実施例1については、他のものに比べて、やや着果率が低い結果となったが、一般に、3果以上の着果率が60%以上であれば合格と言われており、実用上は、花粉増量剤として十分な品質を有するものであることが実証された。
【0028】
次に、収穫された果実階級の分布、および果実の平均重量(平均果重)を、下記表2に示す。
【0029】
【表2】
【0030】
上記結果から明らかなように、実施例1〜3の花粉増量剤を用いた場合、5Lという大型の果実を収穫することができた。また、平均果重を見ても、実施例2,3の花粉増量剤を用いた場合は、比較例1のものより良好な結果を得た。
さらに、各果実の品質について調べた結果を、下記表3に示す。
【0031】
【表3】
【0032】
上記結果から明らかなように、実施例1〜3の花粉増量剤を用いた場合、比較例1のものよりも、いくらか糖度に勝る果実を収穫することができた。また、果色、硬度、pHなどの項目でも、従来品よりも劣るような評価となる項目は、皆無であった。
【0033】
さらに、上記実験で残った花粉と花粉増量剤の混合粉末を、そのまま容器に入れてしばらく冷暗所で保存しておいた。後日、容器の蓋を開けて中味を確認したところ、実施例1〜3のものは、さらさらとした流動性の高い状態を維持していたが、比較例1のものは一部が団塊状になっていた。これは、恐らく、容器内に何ら保存用乾燥剤を加えておかなかったため、比較例1のものは、花粉が吸湿して固まったものと考えられる。逆に、実施例1〜3のものは、花粉増量剤が保存用乾燥剤としても有効に機能したものと考えられる。
【0034】
次に、花粉の発芽状況を確認する実験を行った。実験方法は、次の通りである。 まず、ホットプレート上で寒天1.0%を蒸留水100mlに低温溶解して、ショ糖を加えて完全溶解した。それをシャーレに適量流し込んで培地とした。また、発芽状況観察用の試料として、花粉(豊水純花粉)に対し、花粉増量剤として粒径25〜42μmの球状シリカを加えたもの(以下、実施例4という)、花粉増量剤として石松子を加えたもの(以下、比較例2という)、花粉増量剤を加えないもの(以下、比較例3という)を用意した。なお、実施例4,比較例2は、いずれも花粉:花粉増量剤の重量比が1:10となるようにした。
【0035】
そして、上記各試料を綿棒で採取し、上記培地上にまき、26℃の恒温器の中で2時間培養した。その後、電子顕微鏡で観察して、花粉発芽率(%)と花粉管の長さ(μm)を測定した。結果を下記表4に示す。
【0036】
【表4】
【0037】
上記表4の結果からは、実施例4の試料は、石松子を加えた比較例2の試料、何も加えていない比較例3の試料に比べて、花粉管が良好に生長することがわかる。特に、比較例2と比較例3を比較した場合、石松子を添加したことにより、花粉管の生長が阻害されているが、実施例4の場合は、何も加えていない花粉に比べ、花粉管が2割も多く生長している。したがって、実施例4の試料を人工受粉に用いれば、比較例2,3に比べ、花粉が雌しべの柱頭に付着してから受精に至るまでにかかる時間が短くなる。よって、雌しべに付着した花粉が受精に至る前に風雨に晒されてしまう確率は低くなり、その結果、風雨に晒されたことが原因で花粉ないし花粉管が損傷する可能性も低くなるので、風雨などの外的要因による着果率の低下を、未然に防止することができる。
【0038】
また、実施例4、比較例3の試料では、花粉管がほぼまっすぐに生長していたが、比較例2の試料においては、花粉管が途中で湾曲したり、あるいは、部分的にくびれるなど、まっすぐには生長しない花粉管が多く見受けられた。この原因は定かではないが、いずれにしても花粉管がまっすぐに生長しなければ、その分だけ受精に至るまでにかかる時間は増大する恐れがあるので、これも、着果率の低下につながる恐れがある。
【0039】
なお、発芽率では、比較例3の試料が最も良好な結果を示したが、実施例4の試料でも十分に満足な発芽率となっているので、発芽率に関しては何ら問題はない。
以上、本発明の実施形態について説明したが、本発明の実施形態については上記のもの以外にも種々の具体的形態が考えられる。
【0040】
例えば、上記実施形態の説明では言及しなかったが、シリカゲルには、種々の物質を吸着させることができるので、事前に必要な成分を吸着させたシリカゲルを花粉増量剤として用いることもできる。
より具体的には、例えば各種着色料を吸着させれば、任意の色に着色した花粉増量剤を提供することができる。試験的に、食紅を使って赤色に着色したシリカゲルを使って見たところ、通常のシリカゲルと比較して着果状況に大きな変化は見受けられなかったが、粉末の付着状態を容易に確認することができた。
【0041】
また、着色料以外にも、例えば、着果を促すための植物ホルモン、pH調整剤などをシリカゲルに吸着させておくこともできる。
また、上記実施形態では、多孔質物質の粉末としてシリカゲルを採用したが、この他にも、ゼオライト、アルミナ、白土、および活性炭等は、花粉増量剤として利用するのに好適である。これらは、どれかを単独で使用しても2種以上を混合して使用してもよい。
【0042】
なお、上記実施形態では、梨を使った試験例を示したが、桃やキウィなどの梨以外の果樹はもちろんのこと、花木、野菜など、他の植物で人工受粉を行う際にも、本発明の花粉増量剤を利用することができる。
Claims (7)
- 人工受粉用に採取された花粉に対して添加される花粉増量剤であって、
多孔質物質の粉末を主成分とする
ことを特徴とする花粉増量剤。 - 請求項1記載の花粉増量剤において、
前記粉末が、シリカゲル、ゼオライト、アルミナ、白土、および活性炭の中から選ばれる1種または2種以上からなる
ことを特徴とする花粉増量剤。 - 請求項1または請求項2記載の花粉増量剤において、
前記粉末が、平均粒子径0.1μ〜200μの球状体または破砕状体からなる
ことを特徴とする花粉増量剤。 - 請求項1〜請求項3のいずれかに記載の花粉増量剤において、
前記粉末が、嵩比重0.01g/cc〜1.0g/ccの粉末である
ことを特徴とする花粉増量剤。 - 請求項1〜請求項4のいずれかに記載の花粉増量剤において、
前記粉末が、着色料によって着色された有色粉末である
ことを特徴とする花粉増量剤。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の花粉増量剤を、花粉に対して添加、混合して、その混合粉末を人工受粉を施す対象となる植物に対して散布または塗布する
ことを特徴とする人工受粉方法。 - 請求項1〜請求項5のいずれかに記載の花粉増量剤を、花粉に対して添加、混合して、その混合粉末を密封容器に入れて保存する
ことを特徴とする花粉の保存方法。
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