JP4177071B2 - ミキサー - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、含水泥土に添加剤を混合して、路盤材や埋め戻し材等に使用し得る安定化処理土を製造するミキサーに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来、建設副産物である建設発生土、建設汚泥等の含水泥土については、路盤面、埋め戻し材等としてリサイクルするために、安定化処理土をつくることが行われている。即ち、ミキサーを用いて、前記含水泥土に石灰等の土質安定剤を添加したものを解砕・混合して、粒状の安定化処理土とする方法が知られている。このような安定化処理土の製造方法として、特開2001−140282号公報や特開2000−240820号公報に、含水泥土と添加剤とを均一混合するために、ミキサーとして高速流動式混合機を用いる方法が記載されている。
【0003】
この高速流動式混合機を用いると、高速流動式混合機に設けられた攪拌ブレードが高速で回転するため、被混合物(含水泥土と添加剤)の解砕・分散・流動が促進され、混合効果が著しく高くなる。そのため、多くの添加剤を加えることなく、効率よく均一混合することができる。また、攪拌ブレードを低速回転にすれば、粒径を均一に造粒することが可能であり、品質の良好な製品を得ることができる。
【0004】
【特許文献1】
特開2001−140282号公報(図1参照)
【特許文献2】
特開2000−1408201号公報(図1参照)
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記従来のミキサーを用いて原料(含水泥土と添加剤)の混合を行うと、攪拌ブレードが高速回転するため該ミキサー内で被混合物が飛散する。すると、含水泥土は付着性が非常に高いため、ミキサーを構成する上部構造体や該上部構造体に設けられた被混合物供給口等に付着するという問題がある。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、ミキサーの上部構造体の壁面に、被混合物が付着するのを防止するミキサーを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
請求項1に記載のミキサーは、底部を有する筒状の容器と、この容器の上方に設けられた上部構造体と、前記筒状容器の中心軸線或いはその中心軸線から偏心した位置で上下方向に延在し、容器内に少なくともその一部が位置する回転軸と、前記容器内に位置し前記回転軸に設けられた攪拌部材を有する攪拌手段とを備えている。この攪拌手段により前記容器内で被混合物は混練される。そして、前記回転軸がその軸心回りに回転することにより前記攪拌手段から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材が、前記上部構造体から垂らされていることを特徴としている。
【0007】
上記構成によると、攪拌手段の回転により飛散する被混合物は、遮蔽材に当たり、その衝撃で遮蔽材が撓んで被混合物は落下する。そのため、攪拌手段の回転により飛散する被混合物が、上部構造体の壁面に付着するのを防止することができる。従って、定期的なミキサー内の清掃作業の必要がなくなり、設備稼働率が向上する。
また、遮蔽材に被混合物が付着したままの状態となった場合、遮蔽材に付着した混合物は、新たに飛散する被混合物が当たると、その衝撃と遮蔽材の可撓性により遮蔽材が撓むことで遮蔽材から剥離して落下する。そのため、遮蔽材上に被混合物が多量に堆積するのを防止することができる。
更には、上部構造体の壁面に付着した被混合物が振動により混練中の被混合物中に落下するのを軽減することができるため、被混合物の品質が安定する。
【0008】
請求項2に記載のミキサーは、請求項1の特徴に加えて、前記容器が、該容器の中心軸線回りに回転するように設けられている。
上記構成によると、回転する容器の内部で、攪拌手段が自転する。攪拌手段と容器が共に高速回転することにより、容器内の被混合物の解砕・分散・流動が促進され、含水泥土と添加剤との良好な均一混合を行うことができる。
請求項3に記載のミキサーは、請求項1の特徴に加えて、前記攪拌手段が、前記容器の中心軸線から偏心した位置で当該中心軸線回りに回転するように設けられている。
上記構成によると、容器内を前記攪拌手段が容器の中心軸線回りに公転すると共に攪拌手段が自転する。これにより、容器内の被混合物の解砕・分散・流動が促進され、含水泥土と添加剤との良好な均一混合を行うことができる。
【0009】
請求項4に記載のミキサーは、被混合物を収容して回転する、底部を有する筒状の容器と、該容器の上方に設けられた回転しない上部構造体と、攪拌手段とを備えている。前記攪拌手段は、前記容器の回転中心から偏心して配設され、上下方向に延在し上端部が前記上部構造体に軸支されて前記容器の回転方向と反対方向に回転する回転軸と、前記回転軸の下部に設けられた攪拌部材とを有する。これにより、被混合物が混練される。そして、前記攪拌手段から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材が、前記上部構造体から垂らされていることを特徴とする。
上記構成によると、容器が回転する内部で、攪拌手段が容器とは逆方向に回転して自転する。攪拌手段と容器と互いに逆方向となるように高速回転することにより、容器内の被混合物の解砕・分散・流動が促進され、含水泥土と添加剤との良好な均一混合を行うことができる。
【0010】
また、攪拌手段の回転により飛散する被混合物は、遮蔽材に当たり、その衝撃で遮蔽材が撓んで被混合物は落下する。そのため、攪拌手段の回転により飛散する被混合物が、上部構造体の壁面に付着するのを防止することができる。従って、定期的なミキサー内の清掃作業の必要がなくなり、設備稼働率が向上する。
更には、遮蔽材に被混合物が付着したままの状態となった場合、遮蔽材に付着した混合物は、新たに飛散する被混合物が当たると、その衝撃と遮蔽材の可撓性により遮蔽材が撓むことで遮蔽材から剥離して落下する。そのため、遮蔽材上に被混合物が多量に堆積するのを防止することができる。
加えて、上部構造体の壁面に付着した被混合物が振動により混練中の被混合物中に落下するのを軽減することができるため、被混合物の品質が安定する。
【0011】
請求項5に記載のミキサーは、請求項4の特徴に加えて、前記遮蔽材は、前記攪拌手段を囲むように配設されていることを特徴としている。
上記の構成によると、攪拌手段の回転により飛散する被混合物を確実に受け止め、下方に落下させることができる。
請求項6に記載のミキサーは、請求項1乃至5のいずれかの特徴に加えて、前記遮蔽材は、前記上部構造体の供給口の周囲に設けられていることを特徴としている。
上記の構成によると、供給口にて被混合物が付着して供給口が塞がり、被混合物の供給に不具合が発生するのを防止することができる。
【0012】
請求項7に記載のミキサーは、請求項4乃至6の何れかの特徴に加えて、前記上部構造体の下面に、前記攪拌手段の回転軸に近接してスクレーパが設けられていることを特徴としている。
上記の構成によると、攪拌手段の回転軸付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
【0013】
請求項8に記載のミキサーは、請求項4乃至7の何れかの特徴に加えて、前記容器の回転中心から偏心して配設され、上下方向に延在し上端部が前記上部構造体に軸支されて前記容器の回転方向と同じ方向に回転する回転軸と、該回転軸の下部に設けられた攪拌部材とを有する第2攪拌手段が設けられており、前記第2攪拌手段から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の第2遮蔽材が、前記上部構造体から垂らされていることを特徴としている。
上記の構成によると、第2攪拌手段の回転により飛散する被混合物が、上部構造体に付着するのを防止することができる。
【0014】
請求項9に記載のミキサーは、請求項8の特徴に加えて、前記第2遮蔽材は、前記第2攪拌手段を囲むように配設されていることを特徴としている。
上記の構成によると、第2攪拌手段の回転により飛散する被混合物を確実に受け止め、下方に落下させることができる。
請求項10に記載のミキサーは、請求項8又は9の何れかの特徴に加えて、前記上部構造体の下面に、前記第2攪拌手段の回転軸に近接してスクレーパが設けられていることを特徴としている。
上記の構成によると、第2攪拌手段の回転軸付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
【0015】
請求項11に記載のミキサーは、請求項4乃至7の何れかの特徴に加えて、前記容器の中心から偏心して配設され、上下方向に延在し上端部が前記上部構造体に軸支されて前記容器の回転方向と反対方向に回転する回転軸を有する混合補助工具が設けられており、前記上部構造体の下面に、前記混合補助工具の回転軸に近接してスクレーパが設けられていることを特徴としている。
上記の構成によると、混合補助工具の回転軸付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の好ましい実施形態について、添付図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態に係るミキサーM1の概略構成を示す断面図である。
図1において、ミキサーM1は、容器1と、上部構造体5と、攪拌手段2と、混合補助工具3とを備えている。
【0017】
容器1は、一端側が開口し、他端側に底部を有する有底円筒容器である。容器1は被混合物を収容して回転する。この容器1の底部には、図示しない開閉可能な排出口が設けられている。そして、容器1の内部側面に接して、上下方向に延在するスクレーパ4が設けられている。このスクレーパ4は、上端部が後述する上部構造体5に固定されている。
上部構造体5は、容器1の開口を塞ぐ蓋部材であるが、容器1が回転しても回転しないように構成されている。
【0018】
攪拌手段2は、回転軸2aと、攪拌部材2bとを有する。攪拌部材2bは、その形状を問わず、前記回転軸2aの回転に伴って被混合物に混練作用を与える物であれば良い。攪拌部材2bの例として、攪拌拌ブレード等の攪拌翼が挙げられる。前記攪拌部材2bは、前記回転軸2aの下部に複数段設けられている。この回転軸2aは、上下方向に延在し、上端部が上部構造体5に固設された軸受6に軸支されている。そして、回転軸2aは、上記容器1の回転中心から偏心して配設されており、容器1の回転方向と反対方向に回転する。
【0019】
混合補助工具3は、回転軸3aを有する。この回転軸3aは、上下方向に延在し、上端部が上部構造体5に固設された軸受7に軸支される。そして、回転軸3aは、上記容器1の回転中心から偏心して配設されており、容器1の回転方向と反対方向に回転する。
前記回転軸3aの下端には、水平方向に延びるアーム3bが取り付けられている。更に、前記アーム3bの下端には上下方向に延びる複数のロッド3cが所定間隔開けて取り付けられている。前記各ロッド3cの下端には、スクレーパ3dが取り付けられている。
前記回転軸3aの回転と共に、前記各スクレーパ3dは容器1の底を掃くように移動し、容器1の底面に被混合物が付着するの防止する。
【0020】
上記の容器1、攪拌手段2、混合補助工具3は、夫々図示しない駆動装置に接続されており、容器1は略円筒の軸を中心に、攪拌手段2は回転軸2aを中心に、混合補助工具3は回転軸3aを中心に、夫々回転駆動される。
【0021】
前記回転軸2aがその軸心回りに回転することにより前記攪拌手段2から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材8が、前記上部構造体5から垂らされている。前記遮蔽材の例としてゴム暖簾8が挙げられる。このゴム暖簾8は、図2に示すように、複数の切込み8aが入れられており、容器1の底面の内側の面から高さhを確保するように設けられている。そして、図3に示すように、攪拌手段の攪拌部材2bを囲むように複数配設されている。
加えて、上部構造体5は、図6に示すように、供給口12を有している。この供給口12の周囲には、前記攪拌手段2から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材11が、前記上部構造体5から垂らされている。前記遮蔽材として図5に示すような円筒形状のゴム暖簾11が挙げられる。
【0022】
なお、上記ゴム暖簾8・11を構成するゴム系組成物には、繊維やスチールコード等により補強されていることが望ましい。そうすると、ゴム系組成物の寿命は長くなる。また、遮蔽材としてのゴム暖簾8・11は、ゴム系組成物により形成されるものに限定されない。即ち、衝撃力に強く可撓性を有するものであれば、軟質塩化ビニルやその他樹脂組成物等により形成されていてもよい。
更には、図1に戻り、上部構造体5の下面に、攪拌手段2の回転軸2aに近接してスクレーパ9が設けられている。更に、上部構造体5の下面に混合補助工具3の回転軸3aに近接してスクレーパ10が設けられている。
【0023】
次に、上記のミキサーM1を用いた安定化処理土の製造方法、及びそのときのミキサーM1の作動につい説明する。
上記のミキサーM1において、上部構造体5に設けられた供給口から、容器1内に被混合物としての含水泥土と添加剤とを投入する。この添加剤は、建設副産物である建設発生土、同じく建設汚泥、砕石副産物である濁水ケーキ、及び同じく砕石副産物である乾燥石粉に水添加してなる含水泥土等、各含水泥土を、路盤材や埋め戻し材等としてリサイクルするために、安定化処理土とすることができる材料であればよい。例えば、石灰、セメント及び石灰系固化剤(セメントと石灰との混合物)等が好適に用いられる。
【0024】
そして、ミキサーM1を運転しながら、原料等を投入する。上記のミキサーM1を駆動すると、図1に示すように、容器1が図中矢印方向に回転する内部で、攪拌手段2及び混合補助工具3は容器1とは逆方向に回転して自転する。
このように、攪拌手段2が、容器1と互いに逆方向となるように高速回転することにより、容器1内の被混合物の解砕・分散・流動が促進され、含水泥土と添加剤との良好な均一混合を行うことができる。
また、混合補助工具3が、容器1と互いに逆方向となるように、高速回転する攪拌手段2とは異なる速度で回転することで、容器1内における被混合物の位置と速度とを常に変化させて被混合物を満遍なく流動させることができ、高い混合効果を得ることができる。
【0025】
このとき、スクレーパ4は、上端部が上部構造体5に固定された状態で、容器1が回転するため、容器1の内部の側面に沿って摺動する。これにより、容器1の内部の側面に付着する被混合物は掻き落される。また、混合補助工具3の回転軸3aの回転と共に、混合補助工具3の各スクレーパ3dは容器1の底を掃くように移動し、容器1の底面に被混合物が付着するの防止する。
また、攪拌手段2は高速回転するため、図4に示すように、被混合物S1が四方に飛散して、攪拌手段2の周囲に配設された遮蔽材としてのゴム暖簾8に当たる。すると、ゴム暖簾8は可撓性であり、図2に示すように、切込みが入れられているため、その衝撃により撓んで被混合物S1は落下する。
【0026】
また、ゴム暖簾8の表面に被混合物S1が付着したとしても、攪拌手段2の高速回転により、次々とゴム暖簾8に被混合物S1が飛散してくると、新たな被混合物S1がゴム暖簾8に付着した被混合物S1に当たり、その衝撃によりゴム暖簾8は撓み、被混合物S1は剥離して落下することになる。
【0027】
更には、図6に示すように、上部構造体5に設けられた供給口12付近にも、攪拌手段2の高速回転により被混合物S1が飛散してくる。この供給口12には遮蔽材としてのゴム暖簾11が設けられているため、飛散する被混合物S1が当たると、衝撃により撓んで被混合物S1は落下する。
なお、供給口12が攪拌手段2の位置から離れた位置に設けられており、上記のゴム暖簾8が攪拌手段2の周囲に配設されている場合には、被混合物S1をゴム暖簾8により遮蔽することが可能であるので、ゴム暖簾11は設けられなくても十分に供給口12に被混合物が付着するのを防止することができる。
【0028】
更に、図7に示すように、攪拌手段2の回転により被混合物が飛散すると、混合補助工具3の回転軸3a付近に被混合物S2が堆積する場合がある。ここで、回転軸3aに近接して、上部構造体5の下面にスクレーパ10が設けられている。従って、上部構造体5は回転しないので、スクレーパ10が固定された状態のまま、混合補助工具3が回転することにより、回転軸3a付近に堆積した被混合物S2はスクレーパ10により掻き落される。
また、同様に攪拌手段2の回転軸2a付近にも、図1に示すように、被混合物が堆積する場合があるが、上部構造体5の下面にスクレーパ9が設けられている。従って、上部構造体5は回転しないのでスクレーパ9は固定された状態のまま、攪拌手段2が回転することにより、回転軸2a付近に堆積した被混合物はスクレーパ9により掻き落される。
【0029】
そして、被混合物に対して、攪拌手段2と容器1の双方の駆動源から、混合用動力を投入できて、単位投入動力(kW/リットル)を増加させることができる。その結果、短時間で均一な混合を行うことが可能である。なお、このミキサーM1では、解砕・混合の際には、攪拌手段2を高速回転し、その後の造粒の際には、攪拌手段2を低速回転するように運転が行われる。
ミキサーM1において、被混合物(含水泥土と添加剤)の混合処理が終了し、良好な安定化処理土が製造されると、容器1底部に設けられた開閉可能な排出口から、処理後の被混合物が排出される。
【0030】
以上で説明したように、本実施形態のミキサーM1は、被混合物を収容して回転する、底部を有する筒状の容器1と、前記容器1の上方に設けられた回転しない上部構造体5と、容器1の回転中心から偏心して配設され、容器1の回転方向と反対方向に回転する、上下方向に延在し上端部が上部構造体5に軸支された回転軸2aと、該回転軸2aの下部に設けられた攪拌部材2bとを有する攪拌手段2と、容器1の中心から偏心して配設され、容器1の回転方向と反対方向に回転する、上下方向に延在し上端部が上部構造体5に軸支された回転軸3aを有する混合補助工具3とを備えており、被混合物を混練する。
【0031】
ここで、このミキサーM1には、上部構造体5の壁面への被混合物の付着が防止されることが望まれる。これは、ミキサーM1本体への被混合物付着量が増加すると、投入可能な被混合物の重量が制限されるため、所定の投入可能量を確保するために定期的にミキサーM1に付着した被混合物を取除く作業が必要となり、設備稼働率が悪くなるからである。また、混合中の被混合物中に付着した被混合物が落下してしまうと、混合中の被混合物の組成割合が変化してしまい、品質が安定しないからである。
【0032】
この点、本実施形態のミキサーM1においては、攪拌手段2から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材、例えば、ゴム暖簾8・11が、上部構造体5から垂らされている。これにより、攪拌手段2の回転により飛散する被混合物S1は、ゴム暖簾8・11に当たり、その衝撃でゴム暖簾8・11が撓んで被混合物S1は落下する。そのため、攪拌手段2の回転により飛散する被混合物S1が、上部構造体5の壁面に付着するのを防止することができる。従って、定期的なミキサーM1内の清掃作業の必要がなくなり、設備稼働率が向上する。
【0033】
また、もしゴム暖簾8・11に被混合物S1が付着したままの状態となった場合、ゴム暖簾8・11に付着した混合物S1は、新たに飛散する被混合物S1が当たるとその衝撃とゴム暖簾8・11の可撓性によりゴム暖簾8・11が撓むことで、ゴム暖簾8から剥離して落下する。そのため、ゴム暖簾8・11上に被混合物が多量に堆積するのを防止することができる。
更には、上部構造体5の壁面に付着した被混合物が振動により混練中の被混合物中に落下するのを軽減することができるため、被混合物の品質が安定する。
【0034】
また、本実施形態において、ゴム暖簾8は、攪拌手段2を囲むように配設されている。これにより、攪拌手段2の回転により飛散する被混合物を確実に受け止め、下方に落下させることができる。
更には、本実施形態において、ゴム暖簾11は、上部構造体5の供給口12の周囲に設けられている。これにより、供給口12にて被混合物が付着して供給口12が塞がり、被混合物の供給に不具合が発生するのを防止することができる。
【0035】
また、本実施形態において、上部構造体5の下面に、攪拌手段2の回転軸2aに近接してスクレーパ9が設けられている。これにより、攪拌手段2の回転軸2a付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
更には、本実施形態において、上部構造体5の下面に、混合補助工具3の回転軸3aに近接してスクレーパ10が設けられている。これにより、混合補助工具3の回転軸3a付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
【0036】
なお、本実施形態においては、ミキサーM1は、攪拌手段2と混合補助工具3とを備えたものについて説明したが、これに限定されるものではない。
例えば、上記本実施形態のミキサーM1から混合補助工具3を取り除いたキサーであってもよい。
【0037】
また、本実施形態で説明したミキサーM1の混合補助工具3に代えて、第2攪拌手段が設けられたミキサーであっても良い。第2攪拌手段は、図1で示した攪拌手段2と同様な手段である。即ち、混合補助工具3を備えず、容器1の回転中心から偏心して配設され、容器1の回転方向と同じ方向に回転する、上下方向に延在し上端部が上部構造体5に軸支された回転軸と、該回転軸の下部に設けられた攪拌部材とを有する第2攪拌手段が設けられており、第2攪拌手段から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の第2遮蔽材が、上部構造体5から垂らされているミキサーであってもよい。
そうすると、第2攪拌手段の回転により飛散する被混合物が、上部構造体5に付着するのを防止することができる。
【0038】
更には、第2遮蔽部材は、第2攪拌手段を囲むように配設されていることが好ましい。そうすると、第2攪拌手段の回転により飛散する被混合物を確実に受け止め、下方に落下させることができる。なお、このとき、第2遮蔽材は攪拌手段2の周囲に設けられた遮蔽材、例えば、ゴム暖簾8と一部を共有するものであってもよい。
加えて、上部構造体5の下面に、第2攪拌手段の回転軸に近接してスクレーパが設けられていることが好ましい。そうすると、第2攪拌手段の回転軸付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
【0039】
更に、本発明の他の実施形態を図8を参照しつつ説明する。
図8において、ミキサーM2は、容器21と、上部構造体25と、公転しながら自転する攪拌手段22と、公転する混合補助工具23とを備えている。
容器21の形状は、一端側が開口し、他端側に底部を有する有底円筒容器である。
上部構造体25は、容器21の開口を塞ぐ蓋部材である。この上部構造体25は、供給口24を有している。
第1回転軸26が、容器21の底の中央から内部へ突出している。前記第1回転軸26の下端は、容器21の外部に設けられ第1変速機構27を介して第1モータ28に接続されている。第1回転軸26の上端に水平に延びるアーム29が取り付けられている。
【0040】
アーム29の一端側に前記公転する混合補助工具23が取り付けられている。前記公転する混合補助工具23は、アーム29の一端側から下方へ延びるように接続された複数のロッド23aと、前記ロッド23aの最下端に接続されたスクレーパ23bと、前記スクレーパ23bと容器21の内壁との隙間を変える隙間変更機構23cとを備えている。
前記第1回転軸26の回転によって混合補助工具23は容器21内を公転し、第1変速機構28の操作によって混合補助工具23の公転する回転方向・回転速度が自由に変更できる。
【0041】
アーム29の他端側に前記公転しながら自転する攪拌手段22が取り付けられている。前記公転しながら自転する前記攪拌手段22は、図1で示した攪拌手段2と同様な手段であり、回転軸22aと攪拌部材22bを備えている。攪拌部材22bは、その形状を問わず、前記回転軸22aの回転に伴って被混合物に混練作用を与える物であれば良い。攪拌部材22bの例として、攪拌拌ブレード等の攪拌翼が挙げられる。前記攪拌部材22bは、前記回転軸22aの下部に複数段設けられている。最下段の攪拌部材22bには、容器21の内壁へ向けて複数のピン30が突出している。前記複数のピン30の先端と容器21の内壁との間に隙間が設けられている。
【0042】
この回転軸22aは、上下方向に延在し、上端部が前記アーム26に固設された軸受に回転可能に軸支されている。そして、回転軸22aは、上記容器21の回転中心から偏心して配設されている。第1回転軸26の回転によって攪拌手段22は容器21内を公転する。
また、攪拌手段22の回転軸22aは、アーム29に備える第2変速機構31を介して第2モータ32に接続されている。第2モータ32によって攪拌手段22の回転軸22aは回転する。そして、第2モータ32及び第2変速機構31によって、攪拌手段22の自転の回転方向・回転速度が自由に変更される。
【0043】
加えて、上部構造体25の供給口24には、前記攪拌手段22から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材33が、前記上部構造体25から垂らされている。前記遮蔽材として円筒形状のゴム暖簾33が挙げられる。これにより、供給口24にて被混合物が付着して供給口24が塞がり、被混合物の供給に不具合が発生するのを防止することができる。
更に、上部構造体25の下面に、アーム29に近接してスクレーパ35が設けられている。スクレーパ35が上部構造体25に固定された状態でアーム29が回転すると、アーム29の上面に跳ね上げられた被混合物がスクレーパ35により掻き落される。
【0044】
また、アーム29の下面に、攪拌手段22の最上段の攪拌部材22bに近接してスクレーパ34が設けられている。スクレーパ34がアーム29に固定された状態で攪拌手段22が自転することにより、回転軸22a付近に堆積した被混合物はスクレーパ34により掻き落される。
また、容器21内壁に付着する被混合物を除去する図示しないスクレーパがアーム29に付設されており、混合補助工具23と回転方向・回転速度を同じくしている。
【0045】
このような構造になされている本装置は、第1変速機構27、第2変速機構31を操作しながら第1モータ28、第2モータ32を駆動させれば、公転する混合補助工具23の回転方向・回転速度および混合補助工具23と容器21内壁との隙間を任意に調整できると共に公転しながら自転する攪拌手段22の自転する回転方向・回転速度を任意に調整できるものであり、これによって混合補助工具23と攪拌手段22の機能を変える。
更に、上部構造体25の供給口24の周囲に設けられた遮蔽材33及び上部構造体25の下面に設けられたスクレーパ35、並びにアーム29の下面に設けられたスクレーパ34によって、攪拌手段22の回転により飛散する被混合物が、上部構造体25及びアーム29に付着するのを防止することができる。
【0046】
尚、本発明が実施されるミキサーの種類は今まで上述したミキサーの種類に限らない。例えば、攪拌手段が洗濯器のように容器底部に設けられた上羽根及び下羽根を有するロータから構成されたものであってもよい。言いかえると、開口部を有する容器と、前記容器の開口を閉じる蓋体としての上部構造体と、前記容器内に配置される攪拌手段を有するミキサーであればよい。
即ち、本発明は、上記の好ましい実施形態例に記載されているが、本発明はそれだけに制限されない。本発明の精神と範囲から逸脱することのない様々な実施形態例が他になされることができることは理解されよう。
【0047】
【発明の効果】
以上で説明したように、請求項1の発明によると、攪拌手段の回転により飛散する被混合物は、遮蔽材に当たり、その衝撃で遮蔽材が撓んで被混合物は落下する。そのため、攪拌手段の回転により飛散する被混合物が、上部構造体の壁面に付着するのを防止することができる。従って、定期的なミキサー内の清掃作業の必要がなくなり、設備稼働率が向上する。
また、遮蔽材に被混合物が付着したままの状態となった場合、遮蔽材に付着した混合物は、新たに飛散する被混合物が当たると、その衝撃と遮蔽材の可撓性により遮蔽材が撓むことで遮蔽材から剥離して落下する。そのため、遮蔽材上に被混合物が多量に堆積するのを防止することができる。
更には、上部構造体の壁面に付着した被混合物が振動により混練中の被混合物中に落下するのを軽減することができるため、被混合物の品質が安定する。
【0048】
請求項2の発明によると、前記容器が、該容器の中心軸線回りに回転するように設けられている。
そのため、回転する容器の内部で、攪拌手段が自転するので、請求項1の効果に加えて、攪拌手段と容器が共に高速回転することにより、容器内の被混合物の解砕・分散・流動が促進され、含水泥土と添加剤との良好な均一混合を行うことができる。
請求項3の発明によると、前記攪拌手段が、前記容器の中心軸線から偏心した位置で当該中心軸線回りに回転するように設けられている。そのため、容器内を前記攪拌手段が容器の中心軸線回りに公転すると共に攪拌手段が自転するので、請求項1の効果に加えて、容器内の被混合物の解砕・分散・流動が促進され、含水泥土と添加剤との良好な均一混合を行うことができる。
【0049】
請求項4の発明によると、容器が回転する内部で、攪拌手段が容器とは逆方向に回転して自転する。このように、攪拌手段が、容器と互いに逆方向となるように高速回転することにより、容器内の被混合物の解砕・分散・流動が促進され、含水泥土と添加剤との良好な均一混合を行うことができる。
更に、攪拌手段の回転により飛散する被混合物は、遮蔽材に当たり、その衝撃で遮蔽材が撓んで被混合物は落下する。そのため、攪拌手段の回転により飛散する被混合物が、上部構造体の壁面に付着するのを防止することができる。従って、定期的なミキサー内の清掃作業の必要がなくなり、設備稼働率が向上する。
【0050】
また、遮蔽材に被混合物が付着したままの状態となった場合、遮蔽材に付着した混合物は、新たに飛散する被混合物が当たると、その衝撃と遮蔽材の可撓性により遮蔽材が撓むことで遮蔽材から剥離して落下する。そのため、遮蔽材上に被混合物が多量に堆積するのを防止することができる。
加えて、上部構造体の壁面に付着した被混合物が振動により混練中の被混合物中に落下するのを軽減することができるため、被混合物の品質が安定する。
【0051】
請求項5の発明によると、請求項4の効果に加えて、攪拌手段の回転により飛散する被混合物を確実に受け止め、下方に落下させることができる。
請求項6の発明によると、請求項1乃至5のいずれかの効果に加えて、供給口にて被混合物が付着して供給口が塞がり、被混合物の供給に不具合が発生するのを防止することができる。
請求項7の発明によると、請求項4乃至6のいずれかの効果に加えて、攪拌手段の回転軸付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
請求項8の発明によると、請求項4乃至7のいずれかの効果に加えて、第2攪拌手段の回転により飛散する被混合物が、上部構造体に付着するのを防止することができる。
【0052】
請求項9の発明によると、請求項8の効果に加えて、第2攪拌手段の回転により飛散する被混合物を確実に受け止め、下方に落下させることができる。
請求項10の発明によると、請求項8又は9のいずれかの効果に加えて、第2攪拌手段の回転軸付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
請求項11の発明によると、請求項4乃至7のいずれかの効果に加えて、混合補助工具の回転軸付近に堆積する被混合物を掻き落すことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施形態に係るミキサーの概略構成を示す断面図である。
【図2】図1のミキサーのA−A線矢視断面図である。
【図3】図1のミキサーのB−B線矢視断面図である。
【図4】図1に示すミキサーの使用状態を説明する断面図である。
【図5】図1に示すミキサーの使用状態を説明する断面図である。
【図6】ゴム暖簾の斜視図である。
【図7】図1に示すミキサーの使用状態を説明する供給口付近の断面図である。
【図8】本発明の他の一実施形態に係るミキサーの概略構成を示す断面図である。
【符号の説明】
1 容器
2 攪拌手段
3 混合補助工具
5 上部構造体
8 ゴム暖簾(遮蔽材)
11 ゴム暖簾(遮蔽材)
M1 ミキサー

Claims (11)

  1. 底部を有する筒状の容器と、
    この容器の上方に設けられた上部構造体と、
    前記筒状の容器の中心軸線或いはその中心軸線から偏心した位置で上下方向に延在し、容器内に少なくともその一部が位置する回転軸と、
    前記容器内に位置し前記回転軸に設けられた攪拌部材を有する攪拌手段とを備え、この攪拌手段により前記容器内で被混合物を混練するミキサーにおいて、
    前記回転軸がその軸心回りに回転することにより前記攪拌手段から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材が、前記上部構造体から垂らされていることを特徴とするミキサー。
  2. 前記容器は、該容器の中心軸線回りに回転するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のミキサー
  3. 前記攪拌手段は、前記容器の中心軸線から偏心した位置で当該中心軸線回りに回転するように設けられていることを特徴とする請求項1に記載のミキサー。
  4. 被混合物を収容して回転する、底部を有する筒状の容器と、
    該容器の上方に設けられた回転しない上部構造体と、
    前記容器の回転中心から偏心して配設され、前記容器の回転方向と反対方向に回転する、上下方向に延在し上端部が前記上部構造体に軸支された回転軸と、
    該回転軸の下部に設けられた攪拌部材とを有する攪拌手段と
    を備えた被混合物を混練するミキサーにおいて、
    前記攪拌手段から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の遮蔽材が、前記上部構造体から垂らされていることを特徴とするミキサー。
  5. 前記遮蔽材は、前記攪拌手段を囲むように配設されていることを特徴とする請求項4に記載のミキサー。
  6. 前記遮蔽材は、前記上部構造体の供給口の周囲に設けられていることを特徴とする請求項1乃至5の何れか1項に記載のミキサー。
  7. 前記上部構造体の下面に、前記攪拌手段の回転軸に近接してスクレーパが設けられていることを特徴とする請求項4乃至6の何れか1項に記載のミキサー。
  8. 前記容器の回転中心から偏心して配設され、上下方向に延在し上端部が前記上部構造体に軸支されて前記容器の回転方向と同じ方向に回転する回転軸と、該回転軸の下部に設けられた攪拌部材とを有する第2攪拌手段が設けられており、
    前記第2攪拌手段から飛散する被混合物を遮蔽する可撓性の第2遮蔽材が、前記上部構造体から垂らされていることを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載のミキサー。
  9. 前記第2遮蔽材は、前記第2攪拌手段を囲むように配設されていることを特徴とする請求項8に記載のミキサー。
  10. 前記上部構造体の下面に、前記第2攪拌手段の回転軸に近接してスクレーパが設けられていることを特徴とする請求項8又は9の何れか1項に記載のミキサー。
  11. 前記容器の中心から偏心して配設され、上下方向に延在し上端部が前記上部構造体に軸支されて前記容器の回転方向と反対方向に回転する回転軸を有する混合補助工具が設けられており、前記上部構造体の下面に、前記混合補助工具の回転軸に近接してスクレーパが設けられていることを特徴とする請求項4乃至7の何れか1項に記載のミキサー。
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