JP4177058B2 - 光軸調節装置および光軸調節方法 - Google Patents

光軸調節装置および光軸調節方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は光軸調節装置および光軸調節方法に関し、特に、光軸調節が既に完了している光学系に挿入することにより、動作の不安定要素や経年変化などに起因して光軸にずれが生じる現象を防止することができる光軸調節装置および光軸調節方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
光ビームは、微細パターンの露光プロセス、材料の加工プロセス、情報通信など、あらゆる産業分野において広く利用されている。光ビームを利用する光学系では、光軸を調節することが重要であり、特に、レーザビームなどを利用して精密な処理を行うプロセスでは、正確な光軸調節作業が必要になる。一般に、光ビームの光軸調節は、反射鏡やプリズムなどの光学素子を組み合わせた装置によって行われ、作業者が目視手作業によって調節を行う場合もあれば、光ビームの位置センサからの出力信号に基く自動制御によって調節が行われる場合もある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上述のような光軸調節を行うために、これまでに様々な光軸調節装置が用いられている。このような従来利用されている光軸調節装置は、光源から発せられた光ビームを、ターゲットの所定位置に導くための調節を行うことを目的としたものであり、光学系を新たに設置するような場合の光軸調節には十分な効果を発揮することができる。しかしながら、光軸調節が既に完了している光学系について、動作の不安定要素や経年変化などに起因して光軸にずれが生じる現象を防止する用途には必ずしも適していない。別言すれば、従来の光軸調節装置は、光ビームを積極的に所望の光路に誘導させるための調節を行う目的で設計されており、既存の光路を通る光ビームが存在するときに、当該光路を安定維持させる目的で利用するのには不適当である。
【0004】
そこで本発明は、既存の光路を通る光ビームを安定維持させるのに適した光軸調節装置および光軸調節方法を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、特願2001−028354号明細書に開示された発明(以下、先願発明という)の実施例を更に改良した改良発明に相当するものであり、先願発明と共通した基本原理を用いている。
【0006】
(1) 本発明の第1の態様は、図1〜図8を参照して、後述する§1で説明する検出原理に基く光軸調節装置に、§4で説明する改良点を盛り込んだものである。
すなわち、入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、入射点と射出点との間に配置することにより、入射光が基準光路を外れた場合にも、射出光が基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置において、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射し、第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を反射して残りを透過する光分配面をもち、基準光路の入射点側に配置された入射側ビーム分配手段と、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射し、第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を反射して残りを透過する光分配面をもち、基準光路の射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
基準光路に沿って入射した第1の偏光面を有する平面偏光波のうち、入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して、射出側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光について、射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果を基準情報として取得する基準情報取得手段と、
基準光路に沿って入射した第2の偏光面を有する平面偏光波のうち、入射側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光を、基準光路とは異なる迂回光路へ誘導し、この誘導された光ビームの位置および向きを調節して射出側ビーム分配手段の光分配面の射出点側に照射する光路迂回調節手段と、
迂回光路を経由した光ビームに基いて射出側ビーム分配手段の光分配面から得られる透過光について、射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果が基準情報に近付くように、光路迂回調節手段を制御する制御手段と、
を設けるようにしたものである。
【0007】
(2) 本発明の第2の態様は、上述の第1の態様に係る光軸調節装置において、
入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して射出側ビーム分配手段の光分配面へと向かう光を、必要に応じて遮断することができる第1の遮断手段と、
入射側ビーム分配手段の光分配面で反射して迂回光路を進む光を、必要に応じて遮断することができる第2の遮断手段と、
を更に設けるようにしたものである。
【0008】
(3) 本発明の第3の態様は、上述の第1の態様に係る光軸調節装置を用いて行われる光軸調節方法に関するものである。すなわち、入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、入射光が基準光路を外れた場合にも、射出光が基準光路に沿った状態を維持することができるような自動光軸調節を行う光軸調節方法において、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射し、第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を反射して残りを透過する光分配面をもつ2組のビーム分配手段を、基準光路の入射点側および射出点側にそれぞれ配置する準備段階と、
基準光路に沿って入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波からなる光ビームを入射させ、この入射させた光ビームのうち、入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して、射出側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光について、射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果を基準情報として取得する基準情報取得段階と、
入射点側のビーム分配手段に第2の偏光面を有する平面偏光波からなる光ビームを入射させ、この入射させた光ビームのうち、入射側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光を、基準光路とは異なる迂回光路へ誘導し、この迂回光路を経由した光ビームが射出側ビーム分配手段の光分配面の射出点側に照射されるようにする迂回光路誘導段階と、
迂回光路を経由した光ビームに基いて射出側ビーム分配手段の光分配面から得られる透過光について、射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果が基準情報に近付くように、迂回光路を経由する光ビームの位置および向きを制御する制御段階と、
を行うようにしたものである。
【0009】
(4) 本発明の第4の態様は、上述の第3の態様に係る光軸調節方法において、
基準情報取得段階では、迂回光路を進む光を遮断し、制御段階では、入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して射出側ビーム分配手段の光分配面へと向かう光を遮断するようにしたものである。
【0010】
(5) 本発明の第5の態様は、図9を参照して、後述する§2で説明する実施形態Aに係る光軸調節装置に、§4で説明する改良点を盛り込んだものであり、光ビームを迂回光路へ導いた後、まず、角度調節を行い、続いて位置調節を行うような構成をもった光軸調節装置に関するものである。
すなわち、入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、入射点と射出点との間に配置することにより、入射光が基準光路を外れた場合にも、射出光が基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置において、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、基準光路の入射点側に配置された入射側ビーム分配手段と、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、基準光路の射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
迂回光の向きを所定の設定角度だけ変化させて角度調節光として射出する角度調節手段と、
角度調節光を入射し、この角度調節光に対して平行で、所定の設定変位量だけずれた位置を通る位置角度調節光を、射出側ビーム分配手段の光分配面の射出点側に向けて射出することにより、位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする位置調節手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における入射光反射光の位置および向きを検出し、入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出される位置および向きが、記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、角度調節手段による設定角度および位置調節手段による設定変位量を制御する機能をもった制御手段と、
を設けたものである。
【0011】
(6) 本発明の第6の態様は、図10を参照して、後述する§2で説明する実施形態Bに係る光軸調節装置に、§4で説明する改良点を盛り込んだものであり、光ビームを迂回光路へ導いた後、上述の第5の態様とは逆に、まず、位置調節を行い、続いて角度調節を行うような構成をもった光軸調節装置に関するものである。
すなわち、入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、入射点と射出点との間に配置することにより、入射光が基準光路を外れた場合にも、射出光が基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置において、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、基準光路の入射点側に配置された入射側ビーム分配手段と、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、基準光路の射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
迂回光を入射し、この迂回光に対して平行で、所定の設定変位量だけずれた位置を通る位置調節光を射出する位置調節手段と、
位置調節光の向きを所定の設定角度だけ変化させることにより得られる位置角度調節光を、射出側ビーム分配手段の光分配面の射出点側に向けて射出することにより、位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする角度調節手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における入射光反射光の位置および向きを検出し、入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出される位置および向きが、記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、角度調節手段による設定角度および位置調節手段による設定変位量を制御する機能をもった制御手段と、
を設けたものである。
【0012】
(7) 本発明の第7の態様は、図11を参照して、後述する§2で説明する実施形態Cに係る光軸調節装置に、§4で説明する改良点を盛り込んだものであり、上述の第5の態様に係る光軸調節装置において、入射側ビーム分配手段に角度調節手段を兼ねさせるようにした点に特徴がある。
すなわち、入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、入射点と射出点との間に配置することにより、入射光が基準光路を外れた場合にも、射出光が基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置において、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、基準光路の入射点側に配置され、かつ、迂回光の向きを所定の設定角度だけ変化させて角度調節光として射出する角度調節機能をもった入射側ビーム分配手段と、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、基準光路の射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
角度調節光を入射し、この角度調節光に対して平行で、所定の設定変位量だけずれた位置を通る位置角度調節光を、射出側ビーム分配手段の光分配面の射出点側に向けて射出することにより、位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする位置調節手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における入射光反射光の位置および向きを検出し、入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出される位置および向きが、記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、入射側ビーム分配手段による設定角度および位置調節手段による設定変位量を制御する機能をもった制御手段と、
を設けたものである。
【0013】
(8) 本発明の第8の態様は、図12を参照して、後述する§2で説明する実施形態Dに係る光軸調節装置に、§4で説明する改良点を盛り込んだものであり、上述の第6の態様に係る光軸調節装置において、入射側ビーム分配手段に位置調節手段を兼ねさせるようにした点に特徴がある。
すなわち、入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、入射点と射出点との間に配置することにより、入射光が基準光路を外れた場合にも、射出光が基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置において、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、基準光路の入射点側に配置され、かつ、迂回光を所定の設定変位量だけ平行移動させて位置調節光として射出する位置調節機能をもった入射側ビーム分配手段と、
第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、基準光路の射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
位置調節光の向きを所定の設定角度だけ変化させることにより得られる位置角度調節光を、射出側ビーム分配手段の光分配面の射出点側に向けて射出することにより、位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする角度調節手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における入射光反射光の位置および向きを検出し、入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、射出側ビーム分配手段の光分配面における調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
入射点に第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
入射点に第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、検出手段によって検出される位置および向きが、記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、入射側ビーム分配手段による設定変位量および角度調節手段による設定角度を制御する機能をもった制御手段と、
を設けたものである。
【0014】
(9) 本発明の第9の態様は、上述の第5〜第8の態様に係る光軸調節装置において、
入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して射出側ビーム分配手段の光分配面へと向かう光を、必要に応じて遮断することができる第1の遮断手段と、
入射側ビーム分配手段の光分配面で反射して迂回光路を進む光を、必要に応じて遮断することができる第2の遮断手段と、
を更に設けるようにしたものである。
【0015】
(10) 本発明の第10の態様は、上述の第5〜第9の態様に係る光軸調節装置において、
検出手段を、射出側ビーム分配手段の光分配面からの検出用光ビームを2つのビームに分配する検出用ビーム分配器と、分配された第1のビームに基いて位置を検出する位置検出器と、分配された第2のビームに基いて向きを検出する向き検出器と、によって構成したものである。
【0016】
(11) 本発明の第11の態様は、上述の第10の態様に係る光軸調節装置において、
位置検出器を、所定の受光面上へのビームの照射位置を検出する受光素子によって構成したものである。
【0017】
(12) 本発明の第12の態様は、上述の第10の態様に係る光軸調節装置において、
向き検出器を、平行光線を所定の焦点に集光する集光レンズと、この集光レンズに対して焦点距離だけ離れた位置に配置された受光面を有しこの受光面上の集光位置を検出する受光素子と、によって構成したものである。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を図示する実施形態に基いて説明する。
【0019】
前述したように、本発明は、特願2001−028354号明細書に開示された先願発明を更に改良した改良発明に相当するものであり、より具体的には、この先願発明における一部の光学素子として、偏光を利用したビーム分配手段、すなわち、偏光ビームスプリッター(PBS:Polarizing Beam Splitter)を用いるようにしたものである。
【0020】
ただ、ここでは、説明の便宜上、まず、§1において先願発明および本発明に共通した基本原理を説明し、§2においてこの原理に基づく基本的な実施形態を説明し、§3において先願発明に係る実施形態を説明した後、最後の§4において、偏光ビームスプリッターを用いた本発明の改良部分の説明を行うことにする。
【0021】
<<< §1.発明の基本原理 >>>
はじめに、本発明の基本原理を簡単に説明する。本発明の主眼は、光軸調節が既に完了している光学系について、動作の不安定要素や経年変化などに起因して光軸にずれが生じる現象を防止するような用途に適した光軸調節装置を提供することにあり、既存の光路を通る光ビームを安定維持させる機能をもった光軸調節装置を提供することにある。
【0022】
いま、図1に示すように、ビーム源100からターゲット200の目標点Qに対して、光ビームを照射する場合を考える。ここで、ビーム源100は、光ビームを発生させる光源と、この光ビームに対する光軸調節を行う光学系(光軸調節装置)とを内蔵しているものとし、光ビームに対する光軸調節は、この内蔵の光学系を調節することにより行われるものとする。このように、従来の一般的な光軸調節装置は、光ビームの照準を所定の目標点に合致させるための積極的な位置調節を行うことを目的としており、このビーム源100に内蔵された光軸調節装置を利用した光軸調節作業により、光ビームをターゲット200上の目標点Qに到達させることが可能になる。このような光軸調節作業が完了すると、ビーム源100から発せられた光ビームは、入射点Qinから射出点Qoutへ向かう基準光路S(図では、一点鎖線で示す)に沿って進行し、目標点Qに到達する。
【0023】
この図1に示すように、一旦、光軸調節作業が完了してしまえば、理論的には、ビーム源100から照射された光ビームは、常に、基準光路S上を通って目標点Qへと導かれることになるが、実際には、ビーム源100自身の動作の不安定要素や経年変化などに起因して、調節済みの光軸にずれが生じる現象が発生する。たとえば、長期間にわたって使用していると、ビーム源100に対する振動などの影響により、ビーム源100自身の取付位置に変位が生じることがある。すると図2に示すように、ビーム源100から発せられた光ビームBは、入射点Qinの位置に正しく入射しなくなり、基準光路Sから外れたものとなる。このため、光ビームBは、ターゲット200上の目標点Qから外れてしまう。もちろん、ビーム源100自身の取付位置に変位が生じていなくても、ビーム源100の内部の光学系を構成する個々の光学素子に位置変位が生じても同様の結果となる。また、光学系自身に変位が生じていなくても、光源に固有の不安定要素に基いて、光ビームBに変動が生じる可能性もある。たとえば、レーザ光源などを用いた場合、起動直後のしばらくの間、動作が不安定になる場合も少なくない。また、電源電圧の変動などの外乱により、光ビームBに変動が生じることもある。
【0024】
本発明の狙いは、図1に示す例のように、入射点Qinから射出点Qoutへ向かう所定の基準光路Sが既に設定されており、この基準光路Sに沿って進む光ビームが存在するときに、何らかの事情で将来、入射光がこの基準光路Sを外れた場合にも、射出光が基準光路Sに沿った状態を維持することができるような自動光軸調節を行うことにある。別言すれば、本発明の狙いは、図3に示すように、既に所定の基準光路Sが設定されている状態において、本発明に係る光軸調節装置300を、入射点Qinと射出点Qoutとの間に挿入して設置しておくことにより、将来、何らかの事情で光軸調節装置300への入射光に変動が生じた場合にも、光軸調節装置300からの射出光をもとの状態に維持することができるようにする点にある。すなわち、ビーム源100からの光ビームに対して、基準光路Sに沿った正しい光軸調節がなされている状態において、図3に示すように、本発明に係る光軸調節装置300を基準光路S上に挿入しておけば、図4に示すように、ビーム源100側の光軸に変動が生じ、光ビームBの光軸調節装置300に対する入射条件が変化したとしても、光軸調節装置300からの射出光は以前と同じ条件を維持するような自動的な光軸調節が行われることになる。以下、このような自動光軸調節を行うための基本原理を説明する。
【0025】
いま、図5に示すように、入射点Qinから射出点Qoutへ向けて基準光路Sが設定されている場合に、この基準光路S上に光分配面ξを配置したとする。この光分配面ξは、照射された光の一部を反射、一部を透過させる性質をもった面であり、ここでは、ハーフミラーなどの光分配面ξを有するビーム分配手段を、基準光路S上に配置した場合を考える。このようなビーム分配手段を基準光路S上に配置すると、入射点Qinに、基準光路Sに沿って入射してきた光ビームBは、このビーム分配手段によって2つの光ビームに分配されることになる。すなわち、一部は光分配面ξをそのまま透過して透過光Btとなり、一部は光分配面ξで反射して反射光Brとなる。このとき、透過光Btは、基準光路Sに沿って光分配面ξ上の位置P0を透過して射出点Qoutから射出する光になるが、反射光Brは、光分配面ξ上の位置P0において向きを変えて図の上方へと向かう光となる。ここで、光分配面ξ上の位置P0に立てた法線をNとすれば、光ビームBの入射角と反射角とは等しく、いずれも角度α0になる。
【0026】
そこで、このときに得られる反射光Brについて、光分配面ξ上での位置P0および向き(たとえば、反射角α0)を測定し、この測定結果を基準情報として取得しておく。図示の基準情報取得手段1は、このような基準情報I(P0,α0)を取得する機能をもった構成要素(具体的な構成例については後述する)である。このような基準情報の取得作業は、光ビームBが、基準光路Sに沿って正しく光軸調整されている状態(別言すれば、透過光Btが基準光路Sに沿って、所定の目標点にまで到達する状態)で行っておく必要がある。
【0027】
本発明を実施する上では、図6に示すように、この系に、光路迂回調節手段2を追加する必要がある。図では便宜上、この光路迂回調節手段2を単なるブロックとして示すが、実際には、この光路迂回調節手段2は複数の光学素子によって構成される。この光路迂回調節手段2は、必要に応じて、入射光の光ビームBを基準光路Sとは異なる迂回光路Dへ誘導し、この誘導された光ビームの位置および向きを調節して光分配面ξへ照射する機能を有する。図示の例では、この迂回光路Dは、光路D1,D2,D3によって構成されており、いずれも二点鎖線で示してある。迂回光路Dへ誘導された光ビームに対しては、光路迂回調節手段2によって、位置および向きの調節が行われる。ここで、「位置の調節」とは、光ビームの光路を所定の設定変位量だけ平行移動させる処理であり、「向きの調節」とは、光ビームの光路を所定の設定角度だけ変化させる処理である。もちろん、迂回光路D上で、このような位置および向きの調節が行われると、迂回光路D自身が変化することになる。したがって、本願における「迂回光路D」とは、ある定まった特定の経路を意味するわけではなく、位置および向きの調節処理によって様々に変化する不定形態の経路を意味している。なお、この「位置の調節」および「向きの調節」については、後に具体例を挙げて詳述する。
【0028】
こうして、迂回光路Dを経由した光ビームは、光分配面ξに照射されることになるが、光分配面ξのどの位置にどのような向きで照射されるかは、迂回光路D上において施された位置および向きの調節次第である。ここでは、迂回光路Dにおいて行われた位置および向きの調節の結果、図6の光路D3に沿った光ビームが、光分配面ξ上の位置Pに照射されたものとしよう。前述したように、光分配面ξは、照射された光の一部を反射、一部を透過させる性質をもった面であり、迂回光路Dを経由した光ビームは、この光分配面ξによって2つの光ビームに分配されることになる。すなわち、一部は光分配面ξをそのまま透過して透過光Btとなり、一部は光分配面ξで反射して反射光Brとなる。このとき、位置Pに立てた法線をNとすれば、透過光Btと法線Nとのなす角と、反射光Brと法線Nとのなす角とは、互いに等しい角度αになる(もちろん、光路D3と法線Nとのなす角も角度αになる)。
【0029】
続いて、このときに得られる透過光Btについて、光分配面ξ上での位置Pおよび向き(たとえば、反射角α)を測定する。もちろん、この測定結果は、通常、図5に示す基準情報取得手段1によって予め取得された基準情報I(P0,α0)とは異なっている(図5と図6とを比較すればわかるように、位置Pと位置P0とは一致せず、角度αと角度α0とは一致しない)。そこで、この測定結果が基準情報I(P0,α0)に近付くように、光路迂回調節手段2を制御することにする。図6に示す制御手段3は、透過光Btについて、光分配面ξ上での位置および向きを測定し、この測定結果が基準情報I(P0,α0)に近付くように、光路迂回調節手段2を制御する機能をもった構成要素である。前述したように、光路迂回調節手段2は、迂回光路D上において、光ビームの位置および向きを調節する機能を有しているので、制御手段3による測定結果が基準情報I(P0,α0)に一致するようなフィードバック制御を行うことが可能である。
【0030】
制御手段3によるフィードバック制御により、測定結果が基準情報I(P0,α0)に完全に一致するところまで到達した状態を図7に示す。光路迂回調節手段2によって導かれる迂回経路Daは、光路D1a,D2a,D3aから構成されており、図6に示す迂回光路Dとは異なっている。その結果、迂回光路Daを経由した光ビームの光分配面ξへの照射位置Pは、図5に示す位置P0に一致した状態となり、透過光Btについての光分配面ξ上での位置Pおよび向き(たとえば、反射角α)は、基準情報I(P0,α0)に完全に一致する(P=P0,d=α0)。図5と図7とを比較してみれば、図5における反射光Brが図7における透過光Btと完全に一致し、図5における透過光Btが図7における反射光Brに完全に一致していることがわかる。ここで重要な点は、図5に示す反射光Brおよび透過光Btは、基準光路S上を経た光ビームを分配することによって得られた光ビームであるのに対し、図7に示す透過光Btおよび反射光Brは、迂回光路Da上を経た光ビームを分配することによって得られた光ビームである、という点である。ここで、図5に示す透過光Btが、射出点Qoutから基準光路Sに沿った光ビームとして射出されるのと全く同様に、図7に示す反射光Brが、射出点Qoutから基準光路Sに沿った光ビームとして射出されることを考えれば、光路迂回調節手段2による迂回が行われているにもかかわらず、「射出点Qoutから基準光路Sに沿った射出光が得られる」という点に関しては、図7の状態は図5の状態に比べて何ら変化がないことになる。
【0031】
これは、図1に示すように、所定の基準光路Sが設定されている状態において、図3に示すように、この基準光路S上に本発明に係る光軸調節装置300を挿入し、この光軸調節装置300の内部において、入射してきた光ビームを光路迂回調節手段2によって迂回光路へと迂回させるようにしても、光軸調節装置300から基準光路Sに沿って目標点Qへ向かう光ビームを射出することが可能であることを意味している。より具体的に手順を説明すれば、図3に示すように、光軸調節装置300を基準光路S上に挿入したら、まず、光路迂回調節手段2による迂回を行わせずに、図5に示すように、入射してきた光ビームBをそのまま光分配面ξへと導き、基準情報取得手段1によって基準情報I(P0,α0)を取得する作業を行う。続いて、光路迂回調節手段2による迂回を行わせ、入射してきた光ビームBを迂回光路Dへと導く。このように、入射してきた光ビームBの経路を迂回光路Dに切り換えた当初には、図6に示すように、光分配面ξからの反射光Brは基準光路Sに沿った光ビームにはならないため、光軸調節装置300から射出される光ビームは、基準光路Sから外れた状態になる。しかしながら、上述したフィードバック制御が行われるため、やがて迂回光路Dは図7に示すような迂回光路Daへと変遷し、光分配面ξからの反射光Brは基準光路Sに沿った光ビームになり、光軸調節装置300から射出される光ビームは、基準光路Sに沿ったものになる。
【0032】
結局、図3に示すように、本発明に係る光軸調節装置300を、既存の基準光路S上に挿入すると、光ビームの経路を迂回光路Dへ切り換えた当初は、ビーム源100からの光ビームがターゲット200上の目標点Qから外れた状態になるが、フィードバック制御系が安定した状態になれば、光ビームはもとどおり目標点Qに照射された状態に戻る。したがって、本発明に係る光軸調節装置300を、既に光軸調節が完了している既存の基準光路Sに挿入したとしても、一時的な光軸の変動は生じるものの、すぐにもとの状態に復帰するので、ビーム源100からターゲット200に至る全体の系は、そのまま使用することができる。しかも、光軸調節装置300を挿入することにより、将来、何らかの事情で光軸調節装置300への入射光に変動が生じた場合にも、光軸調節装置300からの射出光をもとの状態に維持する自動光軸調節が行われることになる。すなわち、図4に示すように、ビーム源100側の光軸に変動が生じ、光ビームBの光軸調節装置300に対する入射条件が変化したとしても、光軸調節装置300からの射出光は以前と同じ条件を維持するような自動的な光軸調節が行われることになる。
【0033】
これは、次のようなフィードバック制御が行われるためである。たとえば、本来は、図7に示すように、入射点Qinに対して基準光路Sに沿った光ビームBが与えられるべきであったのに、何らかの事情で、図8に示すように、光ビームBの入射条件が変動してしまったとしよう。このような変動が生じると、制御手段3によって測定される透過光Btの位置Pおよび向きαの測定結果が、予め取得しておいた基準情報I(P0,α0)に一致しなくなるので、両者を一致させる方向にフィードバックが働くことになる。その結果、図7に示す迂回光路Daは、図8に示す迂回光路Db(光路D1b,D2b,D3bから構成されている)のように変更され、再び、透過光Btについての光分配面ξ上での位置Pおよび向き(たとえば、反射角α)が、基準情報I(P0,α0)に完全に一致するようになる(P=P0,α=α0)。かくして、光ビームBの入射条件が変動してしまったとしても、フィードバック制御系が安定した状態になれば、光分配面ξからの反射光Brは、再び、基準光路Sに沿って射出される状態に戻ることになる。
【0034】
以上が、先願発明および本発明に共通した基本原理であり、このような基本原理により、既存の光路を通る光ビームを安定維持させる機能をもった光軸調節装置を提供することができる。
【0035】
なお、これまでの原理説明は、二次元平面上の図面を用いた説明であったため、位置や向きの自由度を制限した説明を行ったが、実際には、光ビームの光路は三次元空間内に形成され、当然、位置や向きの自由度は、この三次元空間に応じたものになる。たとえば、図6に示す例では、光分配面ξは一次元の線分として示され、この光分配面ξ上の位置Pは、この線分上を移動する一次元の自由度しかもたないように描かれているが、実際には、位置Pは、図の紙面に垂直な方向にも移動する二次元の自由度を有していることになる。同様に、図6に示す例では、各光ビームの向きを、二次元平面上における角度αで表現しているが、実際には、各光ビームの向きはこの二次元平面上に限定されるわけではなく、三次元空間内の任意の方向を向くことができるので、角度で表現した場合には、たとえば、XZ平面に対する角度αxyとYZ平面に対する角度αyzのような2通りの角度パラメータで表現されることになる。したがって、光路迂回調節手段2は、光ビームの位置および向きを、三次元空間内の自由度をもって調節する機能を有し、制御手段3は、このような自由度を考慮したフィードバック制御を行う機能を有する。
【0036】
<<< §2.基本的な実施形態 >>>
続いて、本発明の基本的な実施形態を4通りについて述べることにする。これら4通りの実施形態は、先願発明についての実施形態と共通する。
(A) 図9は、本発明の基本的な実施形態Aに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。この光軸調節装置の特徴は、光ビームを迂回光路へ導いた後、まず、角度調節(向きの調節)を行い、続いて位置調節を行う点にある。
【0037】
既に§1で述べたように、この光軸調節装置は、入射点Qinと射出点Qoutとを通る基準光路Sに沿って光ビームが存在するときに、入射点Qinと射出点Qoutとの間に配置することにより、入射光が基準光路を外れた場合にも、射出光が基準光路Sに沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能を有する。この光軸調節装置の基本構成要素は、図示のとおり、ビーム分配手段10、光路切換手段20、角度調節手段30、位置調節手段40、検出手段50、記憶手段60、制御手段70である。§1の基本原理で説明した各構成要素との関係では、ビーム分配手段10は、いわゆるビームスプリッターによって構成され、基準光路S上に光分配面ξを配置する機能を果たし、光路切換手段20、角度調節手段30、位置調節手段40は、光路迂回調節手段2としての機能を果たす。また、検出手段50、記憶手段60、制御手段70は、基準情報取得手段1および制御手段3としての機能を果たす。以下、これら各手段の機能を個々に説明する。なお、図において一点鎖線は基準光路S、二点鎖線は迂回光路、破線は検出用光路、実線は電気信号の経路を示す。
【0038】
まず、ビーム分配手段10は、光分配面ξを基準光路S(図の一点鎖線)上に配置する役割を果たす。光分配面ξは、既に述べたように、照射された光の一部を反射、一部を透過させる機能をもった面であり、たとえば、図の右側から入射してきた入射光L1がこのビーム分配手段10に照射されると、光分配面ξにおいて、透過光と反射光とに分けられる。ここでは、入射光L1に基いて生じた透過光(図においてビーム分配手段10から左方向に射出される光)を入射光透過光L2と呼び、入射光L1に基いて生じた反射光(図においてビーム分配手段10から上方向に射出される光)を入射光反射光L3と呼ぶことにする。
【0039】
光路切換手段20は、入射点Qinとビーム分配手段10との間に配置され、入射光L1の光路を切り換えるための構成要素である。すなわち、光路切換手段20は、入射光L1をそのまま透過させてビーム分配手段10へと導く第1の機能と、入射光L1の向きを所定の迂回光路(図の二点鎖線)に向けて変化させ、迂回光L4として射出する第2の機能と、の2つの機能を選択的に実行することができる。角度調節手段30は、この迂回光L4の向きを所定の設定角度θだけ変化させて角度調節光L5として射出する機能を果たし、位置調節手段40は、この角度調節光L5を入射し、この角度調節光L5に対して平行で(図示の例の場合、平行で進行方向が逆向き)、所定の設定変位量dだけずれた位置を通る位置角度調節光L6(任意の設定変位量dに基く位置調節と、任意の設定角度θに基く角度調節との双方が施された光)を、ビーム分配手段10の光分配面ξの射出点Qout側に向けて射出する機能を果たす。
【0040】
ビーム分配手段10に照射された位置角度調節光L6は、光分配面ξによって透過光と反射光とに分配される。ここでは、位置角度調節光L6に基いて生じた透過光(図においてビーム分配手段10から上方向に射出される光)を調節光透過光L7と呼び、位置角度調節光L6に基いて生じた反射光(図においてビーム分配手段10から左方向に射出される光)を調節光反射光L8と呼ぶことにする。結局、光路切換手段20が第1の機能を実行しているときには、ビーム分配手段10から入射光透過光L2および入射光反射光L3が得られ、光路切換手段20が第2の機能を実行しているときには、ビーム分配手段10から調節光透過光L7および調節光反射光L8が得られることになる。
【0041】
検出手段50は、このビーム分配手段10から図の上方へと進行する入射光反射光L3または調節光透過光L7の位置および向きを検出する機能を有する。別言すれば、検出手段50は、光路切換手段20が第1の機能を実行しているときには、光分配面ξにおける入射光反射光L3の位置および向きを検出し、光路切換手段20が第2の機能を実行しているときには、光分配面ξにおける調節光透過光L7の位置および向きを検出する。
【0042】
記憶手段60は、§1で述べた基準情報を記憶する構成要素である。すなわち、光路切換手段20が第1の機能を実行しているときに、検出手段50によって検出された位置および向き(入射光反射光L3の位置および向き)を基準情報として記憶する機能を果たす。もちろん、このような基準情報を記憶する処理は、入射光L1が基準光路Sに沿って正しく入射してきており、ビーム分配手段10から射出される入射光透過光L2が、ターゲット上の目標点Qに正しく照射されている状態で行うことになる。
【0043】
制御手段70は、光路切換手段20が第2の機能を実行しているときに、検出手段50によって検出される位置および向き(図示の例の場合、調節光透過光L7の位置および向き)が、記憶手段60に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、角度調節手段30による設定角度θおよび位置調節手段40による設定変位量dを制御する機能を果たす。§1で述べたように、このような制御はフィードバック制御となり、制御系が安定した状態になった時点で、検出手段50によって検出される位置および向きが、基準情報の位置および向きに一致することになり、ビーム分配手段10からターゲットに向けて射出される調節光反射光L8は、基準光路Sに沿った光ビームとなる。もちろん、このようなフィードバック制御は、入射光L1の入射条件に変動が生じた場合にも有効であり、入射光L1が基準光路Sから外れた状態で入射してくるようになったとしても、制御手段70によるフィードバック制御により、ビーム分配手段10から射出される調節光反射光L8は、基準光路Sに沿った光ビームとなるように調節される。
【0044】
なお、このようなフィードバック制御では、制御対象となる量が、設定角度θ(向きの制御)と設定変位量d(位置の制御)との2つになるので、これら2つの量を同時に制御しようとすると、制御動作が複雑になる。そこで、実用上は、設定角度θの制御と設定変位量dの制御とを、交互に繰り返して行うようにし、検出手段50による測定結果が記憶手段60に記憶されている基準情報に徐々に近付いてゆくようにするのが好ましい。
【0045】
(B) 図10は、本発明の基本的な実施形態Bに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。この実施形態Bの特徴は、光ビームを迂回光路へ導いた後、まず、位置調節を行い、続いて角度調節(向きの調節)を行う点にある。図9に示す実施形態Aとの相違点は、角度調節と位置調節との実施順が逆転しているだけであり、具体的な構成の相違は、角度調節手段30と位置調節手段40との位置関係が逆転している点だけである。
【0046】
すなわち、光路切換手段20の第2の機能により、入射光L1が迂回光路へと導かれ、迂回光L4として射出されたら、まず、位置調節手段40による位置調節が行われる。この位置調節の結果、迂回光L4は、所定の設定変位量dだけずれた位置を通る位置調節光L9(図示の例の場合、迂回光L4と位置調節光L9とは平行で進行方向も同じ)として射出される。続いて、この位置調節光L9に対して、角度調節手段30による設定角度θの調節が行われ、位置角度調節光L6が得られる。この位置角度調節光L6が、ビーム分配手段10へと照射された後に関与する各構成要素については、図9に示す実施形態Aと全く同様であり、また、この光軸調節装置の動作も、図9に示す実施形態Aの動作と全く同様である。
【0047】
(C) 図11は、本発明の基本的な実施形態Cに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。この実施形態Cの特徴は、図9に示す実施形態Aに係る光軸調節装置において、光路切換手段20と角度調節手段30とを、その双方を兼ねる機能をもった光路切換角度調節手段35に置き換えた点にある。光路切換角度調節手段35は、入射点Qinとビーム分配手段10との間に配置され、入射光L1を透過させる第1の機能と、入射光L1の向きを所定の設定角度θだけ変化させることにより得られる角度調節光L5を、所定の迂回光路に沿って射出する第2の機能と、の2つの機能を選択的に実行することができる。この第2の機能を実行する際の設定角度θは、制御手段70による制御対象となり、この設定角度θを制御することにより、角度調節光L5を、たとえば図に破線で示したL5のような向きに調節することが可能である。その他の構成要素や動作については、図9に示す実施形態Aと同様である。
【0048】
(D) 図12は、本発明の基本的な実施形態Dに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。この実施形態Dの特徴は、図10に示す実施形態Bに係る光軸調節装置において、光路切換手段20と位置調節手段40とを、その双方を兼ねる機能をもった光路切換位置調節手段45に置き換えた点にある。光路切換位置調節手段45は、入射点Qinとビーム分配手段10との間に配置され、入射光L1を透過させる第1の機能と、入射光L1の向きを変えることによって得られる迂回光L4の位置を所定の設定変位量dだけ変化させることにより得られる位置調節光L9を、所定の迂回光路に沿って射出する第2の機能と、の2つの機能を選択的に実行することができる。この第2の機能を実行する際の設定変位量dは、制御手段70による制御対象となり、この設定変位量dを制御することにより、位置調節光L9を、たとえば図に破線で示したL9のような位置に調節することが可能である。図12において、光路切換位置調節手段45を示すブロックから下方に向かう3本の二点鎖線のうち、迂回光L4が通る二点鎖線は、入射光L1の進行方向を単に曲げた光路に相当し(d=0の場合)、その左右に位置する二点鎖線は、所定の設定変位量だけ平行移動させた光路に相当する。この光軸調節装置のその他の構成要素や動作については、図10に示す実施形態Bと同様である。なお、迂回光L4を所定の設定変位量dだけ平行移動する代わりに、入射光L1を直接、図示の設定変位量ddだけ平行移動することにより、左水平方向を向いた位置調節光L9を得るようにしてもかまわない。
【0049】
<<< §3.先願発明の具体的な実施例 >>>
上述の§2で説明した4通りの実施形態は、本発明の基本的な実施形態であるとともに、先願発明の基本的な実施形態でもある。先願発明の明細書には、上述の実施形態Cに相当する具体的な実施例が説明されている。そこで、ここでは、参考のため、当該先願実施例を説明し、更に、その問題点についての指摘を行うことにする。
【0050】
図13は、上述の実施形態Cについて先願発明の実施例を示す図(光学的要素については平面図、電気的要素および機械的要素についてはブロック図として示す)である。光反射素子81は、入射光を反射させることができる反射面ηを有する光学素子であり、この反射面ηで反射した光ビームは、図に二点鎖線で示す光路D1を経て、コーナリフレクタ82へと入射し、更に、光路D2,D3を経て、ビーム分配器83へと入射する。ビーム分配器83は、§2で述べたビーム分配手段10として機能する光学素子であり、ハーフミラーなどからなる光分配面ξを有している。また、検出用ビーム分配器84も、ハーフミラーなどからなる光分配面μを有しており、ビーム分配器83の光分配面ξから図の上方に向かって進行してきた検出用光ビームを2つのビームに分配する機能を有する。光分配面μによって分配された第1のビーム(この例の場合、透過光)は、受光素子85によって受光され、分配された第2のビーム(この例の場合、反射光)は、集光レンズ86を経て受光素子87によって受光される。受光素子85および受光素子87は、二次元平面状の受光面を有し、この受光面上への光ビームの照射位置を示す検出信号を発生させる機能を有している。具体的には、PSD(Position Sensing Detector)素子やCCD(Charge Coupled Device)素子を用いて構成すればよい。集光レンズ86は、平行光線を所定の焦点に集光するレンズであり、受光素子87の受光面は、この集光レンズ86からその焦点距離だけ離れた位置に配置されている。したがって、受光素子87は、受光面上に集光された位置を検出する機能を有する。
【0051】
後述するように、受光素子85は、光分配面ξからの検出用光ビームについての位置を検出する位置検出器として機能し、集光レンズ86および受光素子87は、光分配面ξからの検出用光ビームについての向きを検出する向き検出器として機能する。結局、検出用ビーム分配器84、受光素子85、集光レンズ86、受光素子87は、図11に示す実施形態Cにおける検出手段50に対応する構成要素ということになる。受光素子85および受光素子87からの検出信号は、記憶装置91および制御装置92に与えられる。ここで、記憶装置91および制御装置92は、図11に示す実施形態Cにおける記憶手段60および制御手段70に対応する構成要素であり、実際には、メモリやマイクロプロセッサなどを備えたコンピュータにより構成することができる。
【0052】
角度調節機構93は、光反射素子81の向き(反射面ηの向き)を調節する機構であり、より具体的には、この反射面η上で直交する2つの回転軸ω1(基準光路Sと反射面ηとの交点Aを通り図の紙面に垂直な軸)およびω2に関して、光反射素子81を回転させる機能をもった機構である。実際には、高精度のステッピングモータなどを用いた機構により実現されることになるが、ここではその構造についての詳細な説明は省略する。一方、位置調節機構94は、コーナリフレクタ82の位置を調節する機構であり、ここに示す例の場合、コーナリフレクタ82をX軸方向(図において、+Xおよび−Xと示した左右方向)およびY軸方向(図の紙面に垂直な方向)の二軸方向にそれぞれ独立して平行移動させる機能を有している。別言すれば、位置調節機構94は、コーナリフレクタ82を所定平面(XY平面)に沿って平行移動させる機能を有していることになる。このような位置調節機構94も、実際には、高精度のステッピングモータなどを用いた機構により実現されることになるが、ここではその構造についての詳細な説明は省略する。
【0053】
ここで、光反射素子81についての説明を更に補足すると、この光反射素子81は、入射点Qinとビーム分配器83との間の基準光路S上に着脱自在に配置することができるようになっている。すなわち、光反射素子81は、図にハッチングを施して示した支持機構88によって取り付けられているが、支持機構88は、光反射素子81を着脱自在に支持する機能を有している。この支持機構88は、たとえば、光反射素子81を支持するレールなどの単純な機械的構造物によって構成すればよい。この場合、作業者が光反射素子81を抜き差しすることにより、光反射素子81を配置したり、除去したりすることができる。もちろん、支持機構88を電動駆動機能を備えた機構によって構成し、作業者の操作指示に基いて、自動的に基準光路S上に配置されたり、基準光路S上から除去されたりするようにしてもかまわない。要するに、光反射素子81を、基準光路S上に配置しない第1の状態と、基準光路S上に配置した第2の状態と、を選択的に採ることができ、かつ、この光反射素子81を基準光路S上に配置した場合に、入射光を所望の方向に反射させることができるように反射面ηの角度調節が可能な構成になっていれば、支持機構88としてどのような機械的構造物を用いてもかまわない。
【0054】
このように、光反射素子81を支持機構88で支持することにより、この光反射素子81は、図11に示す実施形態Cにおける光路切換角度調節手段35として機能することになる。すなわち、光反射素子81を基準光路S上から脱離させた第1の状態にすれば、入射光をそのままビーム分配器83へと導く第1の機能が実行されることになり、光反射素子81を基準光路S上に配置した第2の状態にすれば、入射光を所定の迂回光路へと導くとともに、所定の設定角度θに応じた角度調節を行う第2の機能が実行されることになる。
【0055】
図14は、このような角度調節を行う原理を示すものである。いま、図14の実線で示されている向きに光反射素子81が設置されており、この光反射素子81の反射面ηに対して実線で示す入射光Linが図のような向きに照射され、その結果、図のような向きに実線で示す射出光Loutが反射している状態を考える。この状態で、光反射素子81を紙面上で反時計回りにθ/2だけ回転させて図の破線で示されている状態にし、反射面ηの向きを変えたとすると、射出光は図に破線で示すLoutのように変化する。ここで、射出光LoutとLoutとのなす角はθである。結局、光ビームの向きを角度θだけ変化させるような調節を行いたい場合には、光反射素子81を角度θ/2だけ回転させるような制御を行えばよいことになる。
【0056】
一方、コーナリフレクタ82は、図11に示す実施形態Cにおける位置調節手段40として機能する光学素子であり、光反射素子81からの反射光(図13の光路D1を通って入ってくる光ビーム)を入射し、これに平行な逆向光(図13の光路D3を通って出て行く光ビーム)を射出する機能を有している。一般に、コーナリフレクタは、立方体を構成する6面のうち、同一頂点Cを含む3面の内側を反射面とした光学素子であり、これら反射面内の任意の位置に、任意の向きで入射光を照射すると、必ずこの入射光に平行で逆向きの射出光が得られるという光学的な性質を有する。図13に示す例では、光路D1に沿った入射光が反射面ρ1上の入射点Cinに入射すると、光路D2に沿った反射光となり、更に、この光路D2に沿った反射光が反射面ρ2上の射出点Coutで反射して、光路D3に沿って射出することになる。この場合、入射点Cinの位置や入射角度にかかわらず、光路D1に沿った入射光と光路D3に沿った射出光とは、必ず平行で逆向きの光となる。なお、このような性質をもった光学素子としては、コーナリフレクタの他にも、コーナキューブプリズムが知られており、位置調節手段としては、コーナリフレクタの代わりにコーナキューブプリズムを用いてもかまわない。
【0057】
図15は、コーナリフレクタ82を用いた位置調節を行う原理を示すものである。いま、図15の実線で示されている位置にコーナリフレクタ82が設置されており、このコーナリフレクタ82に対して実線で示す入射光Linが図のような向きに照射され、その結果、図のような向きに実線で示す射出光Loutが射出されている状態を考える。この状態で、コーナリフレクタ82を紙面上で右方向(+X方向)に距離d/2だけ移動させて図の破線で示されている状態にしたとすると、射出光は図に破線で示すLoutのように変化する。ここで、射出光LoutとLoutとの間の変位量はdである。結局、光ビームの位置を変位量dだけ変化させるような調節を行いたい場合には、コーナリフレクタ82を変位量d/2だけ移動させるような制御を行えばよいことになる。
【0058】
続いて、図13に示す光軸調節装置における検出器、すなわち、検出用ビーム分配器84、受光素子85、集光レンズ86、受光素子87の機能について説明する。この検出器は、光反射素子81を基準光路S上に配置しない第1の状態において、ビーム分配器83の光分配面ξから反射されてきた検出用光ビームについて、光分配面ξ上での位置および向きを検出する第1の機能と、光反射素子81を基準光路S上に配置した第2の状態において、ビーム分配器83の光分配面ξを透過してきた検出用光ビームについて、光分配面上での位置および向きを検出する第2の機能と、を備えている。いずれの機能を実施する場合にも、検出の基本原理は同じであり、光分配面ξからの検出用光ビームについての位置Pと向きとを測定することができればよい。そして、第1の機能によって検出された位置および向きは、基準情報として記憶装置91に記憶されることになり、第2の機能によって検出された位置および向きは、制御装置92へと与えられ、この検出結果が記憶装置91に記憶されている基準情報に近付くように、角度調節機構93および位置調節機構94に対するフィードバック制御が行われる。
【0059】
既に述べたように、検出用光ビームは、検出用ビーム分配器84によって、2つのビームに分配され、受光素子85によって位置の検出が、受光素子87によって向きの検出が行われることになる。図13に示す例では、受光素子85の受光面上では、点Q10の位置にビームが照射されており、受光素子87の受光面上では、点Q20の位置にビームが照射されており、これら点Q10および点Q20の受光面上での位置が、それぞれ検出用光ビームの光分配面ξ上での位置Pおよび向きに対応する情報になる。
【0060】
図16は、受光素子85によって、位置検出が行われる原理を説明する図である。いま、図に実線で示すような検出用光ビームL10が、光分配面ξの位置Pから検出用ビーム分配器84の光分配面μを透過して受光素子85まで到達したとすると、受光面上での照射点は点Q10になる。このとき、光分配面μから反射して集光レンズ86で集光され、受光素子87まで到達した検出用光ビームの集光点は点Q20になる。ここで、もし、検出用光ビームの光分配面ξ上での位置だけが、PからP1にずれたとすると(向きは同じであったとする)、検出用光ビームL11は破線に示すような光路を通って、受光素子85および受光素子87に照射されることになる。すなわち、受光素子85の受光面上での照射点は点Q11となり、もとの点Q10からずれることになる。一方、受光素子87の受光面上での集光点は点Q21となり、もとの点Q20と同一の点になる。これは、受光素子87の受光面が集光レンズ86の焦点位置に置かれているためである。すなわち、集光レンズ86に入射する複数の光ビームがあったとしても、これらが互いに平行である限りは、受光素子87の受光面上の同一点に集光することになる。かくして、光分配面ξからの検出用光ビームL10に生じた位置の変化は、位置検出器として機能する受光素子85においてのみ検出されることになり、向き検出器として機能する受光素子87では検出されない。
【0061】
これに対して、図17は、受光素子87によって、向き検出が行われる原理を説明する図である。いま、図に実線で示すような検出用光ビームL10が、光分配面ξの位置Pから検出用ビーム分配器84の光分配面μを透過して受光素子85まで到達したとすると、受光面上での照射点は点Q10になる。このとき、光分配面μから反射して集光レンズ86で集光され、受光素子87まで到達した検出用光ビームの集光点は点Q20になる。ここで、もし、検出用光ビームL10の光分配面ξに対する向きだけがずれたとすると(検出用光ビームの光分配面ξ上の位置Pは同じであったとする)、検出用光ビームL12は破線に示すような光路を通って、受光素子85および受光素子87に照射されることになる。すなわち、受光素子85の受光面上での照射点は点Q12となり、もとの点Q10からずれることになる。一方、受光素子87の受光面上での集光点は点Q22となり、やはりもとの点Q20からずれることになる。これは、実線で示す光ビームと破線で示す光ビームとが平行ではないため、集光レンズ86による集光点がずれるからである。かくして、光分配面ξからの検出用光ビームL10に生じた向きの変化は、向き検出器として機能する受光素子87によって検出できる。ただ、このような向きの変化は、受光素子85においても検出されることになる。
【0062】
結局、受光素子87の検出結果には、向きの変化のみが含まれているのに対し、受光素子85の検出結果には、位置の変化と向きの変化との双方の成分が含まれていることになる。このような事情から、理論的には、図13に示す光軸調節装置では、制御装置92によるフィードバック制御は、まず、向きを一致させるための角度制御(角度調節機構93に対する制御)を先に行い、続いて、位置を一致させるための位置制御(位置調節機構94に対する制御)を行うようにするのが好ましい。向きについての検出結果が基準情報に一致すれば、受光素子85の検出結果から向きについての変化成分を除去することができ、位置についての変化成分のみを認識することができる。もっとも、実用上は、角度制御と位置制御とを交互に繰り返して実行することにより、検出結果を基準情報に徐々に近付けてゆくフィードバック制御が行われることになるので、角度制御と位置制御との順を厳密に考慮する必要はない。
【0063】
続いて、この光軸調節装置による自動光軸調節動作の一例を示す。たとえば、図18に示すように、入射点Qinから射出点Qoutへ向かう基準光路S(一点鎖線)が形成されている状態において、この基準光路S上に、この光軸調節装置を挿入したとしよう。この場合、まず、光反射素子81を基準光路S上から取り外し、基準光路Sに沿って入射してくる入射光をビーム分配器83の光分配面ξへと導き、この光分配面ξから反射してきた検出用光ビーム(図の破線に示す光路を進む)についての位置Pおよび向きを検出する。具体的には、受光素子85上の点Q10の位置が、「位置Pを示す情報」として検出され、受光素子87上の点Q20の位置が、「向きを示す情報」として検出され、これらの情報が基準情報として記憶装置91(図18では図示省略)に記憶される。次に、基準光路S上に光反射素子81を配置した状態にし、入射光を反射面η上の点Aで反射させて迂回光路(二点鎖線)へと導き、光分配面ξから透過してきた検出用光ビームについての位置および向きを検出し、これらの検出結果が、記憶装置91に記憶されている基準情報に一致するようなフィードバック制御を行う。このようなフィードバック制御により、検出用光ビームは、受光素子85の点Q10および受光素子87の点20に照射された状態となり、ビーム分配器83からは基準光路Sに沿った射出光が射出点Qoutへ向けて射出されることになる。いわば、図3に示すような状態が得られたことになる。なお、このような状態において、「迂回光路を経てターゲット方向へ射出される光ビーム強度」が、「検出用ビーム分配器84へと導かれる検出用光ビームの強度」に比べて十分に大きくなるようにするためには、ビーム分配器83内の光分配面ξを、反射率99%、透過率1%程度のハーフミラーによって構成しておくようにすればよい。
【0064】
さて、ここで、何らかの原因により、この光軸調節装置への入射光の入射条件が変動し、図18に実線で示すような入射光L15が与えられるようになったとしよう。すなわち、これまでは、基準光路Sに沿った入射光が与えられていたのに、この入射光の位置が若干変動したことになる(ここでは、入射光の向きについての変動はなかったものとしよう)。すると、迂回光路は、図の二点鎖線で示す光路から、図の実線で示す光路へと変化し、光ビームは光分配面ξにおける位置P15に照射されることになる。その結果、ビーム分配器83から図の左方へ射出される光ビームは、基準光路Sから外れることになり、その最終照射位置は、ターゲット上の目標点Qから外れてしまう。
【0065】
このような光軸変動は、受光素子85および受光素子87によって検出される。すなわち、受光素子85上の照射点は点Q10から点Q15へと変動し、受光素子87上の集光点は点Q20から点Q25へと変動する。もっとも、この例では、入射光の向きについての変動はなかったので、点Q20と点Q25とは同一点となり、向きについての調節を行う必要はないことが認識される。そこで、制御手段70(図18では図示省略)は、位置についての変動量d(点Q10と点Q15との距離)を相殺すべく、位置調節機構94(図18では図示省略)に対して制御信号を送り、図19に破線で示すように、コーナリフレクタ82を距離d/2だけ図の左方向へシフトさせる。すると、入射光L15は、図に実線で示す迂回光路を通って、光分配面ξの「変動が生じる前の位置P」へと導かれるような位置調節が行われることになり、受光素子85上の照射点は点Q10へ戻り、受光素子87上の集光点は点Q20となる。かくして、ビーム分配器83から図の左方へ射出される光ビームは、基準光路S上の位置に戻され、その最終照射位置は、ターゲット上の目標点Qに戻される。
【0066】
以上、入射光について位置変動が生じた場合を述べたが、向きの変動が生じた場合には、光反射素子81の角度が調節され、同様の自動光軸調節が行われることになる。
【0067】
この図13に示す先願発明の実施例の問題点は次の2点に集約される。第1の問題点は、光反射素子81の抜き差し操作により光路の切換えを行う構造であるため、機構上、迂回光路にずれが生じる可能性があるという問題である。前述したように、入射光をそのままビーム分配器83へと導く第1の機能を実行するためには、光反射素子81を基準光路S上から抜き取った状態にし、入射光を所定の迂回光路へと導く第2の機能を実行するためには、光反射素子81を支持機構88に装着した状態にする必要がある。したがって、迂回光路の位置精度は、光反射素子81を支持する支持機構88の機械的な精度に大きく左右される。ところが、光反射素子81の抜き差し操作を繰り返すと、支持機構88が磨耗したり、位置ずれを生じたりするため、その機械的な精度は低下せざるを得ず、迂回光路に好ましくないずれが発生するおそれがある。
【0068】
第2の問題点は、レーザ光のような高エネルギーの光ビームの光軸調節に利用する場合に、検出手段を構成する受光素子85,87を損傷させるおそれがあるという問題である。すなわち、図13に示す構成において、光反射素子81を基準光路S上に配置しない第1の状態では、ビーム分配器83の光分配面ξから反射されてきた検出用光ビームについて、光分配面ξ上での位置および向きの検出が行われ、光反射素子81を基準光路S上に配置した第2の状態では、ビーム分配器83の光分配面ξを透過してきた検出用光ビームについて、光分配面上での位置および向きの検出が行われる。したがって、たとえば、光分配面ξを透過率50%のハーフミラーで構成した場合、検出用光ビームのパワーは、入射点Qinに入射した光ビームの50%にも達することになり、レーザ光などが入射した場合には、受光素子85,87を焼きつけてしまう可能性がある。光分配面ξの透過率を、99%のように非常に大きく設定したり、1%のように非常に小さく設定すると、上述の第1の状態と第2の状態とのいずれか一方においては、検出用光ビームのパワーが非常に小さくなるものの、他方においては、逆に検出用光ビームのパワーが非常に大きくなってしまう。このため、図13に示す実施例に係る装置を、レーザ光などの光軸調節に利用すると、操作中に過って受光素子85,87を損傷させるおそれがある。
【0069】
<<< §4.本発明における改良点 >>>
本発明における改良点は、先願発明の実施例における上述した2つの問題点を解決する技術に関するものである。この改良点の根本原理は、偏光を利用したビーム分配手段、すなわち、偏光ビームスプリッター(PBS:Polarizing Beam Splitter)を用いて、光ビームの分配を行うようにした点にある。
【0070】
前述した§2では、4つの基本的な実施形態A,B,C,Dを説明した。ここでは、まず、実施形態Aに、偏光ビームスプリッターを利用した例を、実施形態Eとして説明する。実施形態Aでは、図9に示すように、光路切換手段20によって迂回させた迂回光L4に対して、角度調節手段30による角度調節と、位置調節手段40による位置調節とを施し、ビーム分配手段10の光分配面ξの射出点Qout側へと導く方式が採られている。ここで述べる実施形態Eは、この実施形態Aにおけるビーム分配手段10および光路切換手段20として、偏光ビームスプリッターを用いるようにしたものであり、その構成を図20のブロック図に示す。
【0071】
図20におけるビーム分配手段10Xおよび20Xは、それぞれ図9に示すビーム分配手段10および光路切換手段20に対応する構成要素であり、いずれも偏光ビームスプリッターによって構成されている。ここでは、入射点Qin側に配置されたビーム分配手段20Xを入射側ビーム分配手段と呼び、射出点Qout側に配置されたビーム分配手段10Xを射出側ビーム分配手段と呼ぶことにする。図示のとおり、入射側ビーム分配手段20Xは光分配面ξ1xを有しており、射出側ビーム分配手段10Xは光分配面ξ2xを有している。これら光分配面ξ1x、ξ2xは、第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射し、この第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を反射して残りを透過するという基本的な特徴を有している。
【0072】
ここでは、説明の便宜上、第1の偏光面を平面Xと呼び、第2の偏光面を平面Yと呼ぶことにする。平面Xと平面Yとは互いに直交しており、両平面が交差する直線に沿った方向が、入射光L1の進行方向ということになる。いま、光分配面ξ1x、ξ2xのいずれもが、平面Xを偏光面とする平面偏光波が照射された場合には、その大部分(たとえば、99%としよう)を透過し、残り(1%)を反射し、平面Yを偏光面とする平面偏光波が照射された場合には、その大部分(たとえば、99%としよう)を反射し、残り(1%)を透過する性質をもっていたものとしよう(符号10X、20X、ξ1x、ξ2xにおける英文字Xは、このように平面Xを偏光面とする光の大部分を透過する性質を示すものである)。
【0073】
さて、上述のような前提において、図20に示す基準光路Sに沿った入射光L1として、平面Xを偏光面とする平面偏光波を与えた場合の現象を考えてみよう。この場合、入射光L1の大部分(99%)が光分配面ξ1xを透過して基準光路Sに沿って進み、更にその大部分(99%)が光分配面ξ2xを透過して、入射光透過光L2として射出することになる。このとき、検出手段50へ入射光反射光L3として向かう光は、光分配面ξ2xに照射された光のうちのわずか1%ということになる。
【0074】
次に、上述のような前提において、図20に示す基準光路Sに沿った入射光L1として、平面Yを偏光面とする平面偏光波を与えた場合の現象を考えてみよう。この場合、入射光L1の大部分(99%)が光分配面ξ1xを反射して迂回光L4として迂回光路へと導かれ、角度調節手段30を経て角度調節光L5となり、更に、位置調節手段40を経て位置角度調節光L6となって、光分配面ξ2xの射出点Qout側に照射されることになる。そして、この光分配面ξ2xにおいても、照射された位置角度調節光L6の大部分(99%)が反射し、調節光反射光L8として射出することになる。このとき、検出手段50へ調節光透過光L7として向かう光は、光分配面ξ2xに照射された光のうちのわずか1%ということになる。
【0075】
結局、図20に示す実施例の場合、入射光L1として、平面Xを偏光面とする平面偏光波を与えても、平面Yを偏光面とする平面偏光波を与えても、その大部分は射出点Qoutに向けた入射光透過光L2または調節光反射光L8として射出されることになり、検出手段50に対して入射光反射光L3または調節光透過光L7として照射される光のエネルギーは非常に小さなものになる。これは、検出手段50を構成する受光素子を損傷させるおそれがあるという問題を解決する上では極めて有効である。すなわち、入射光L1として、レーザ光のような高エネルギー光ビームを用いた場合であっても、検出手段50へと導かれる検出用光ビームのエネルギーはそのほんの一部になるので、上述したように、平面Xもしくは平面Yを偏光面にもつレーザ光を入射光L1として用いる限り、検出手段50を構成する受光素子に焼きつけが生じることを防ぐことができる。
【0076】
また、図20に示す実施例では、前述したもうひとつの問題も解決することが可能である。すなわち、図20に示すビーム分配手段20Xによるビーム分配動作は、入射光L1の偏光面によって自動的に決定される動作になるため、物理的な抜き差し作業を行う必要は全くなくなるのである。§1で述べた基本原理によれば、ビーム分配手段20Xは、入射光L1を透過させる第1の状態(検出手段50によって基準情報を取得し、記憶手段60に格納するための状態)と、入射光L1を迂回光路へ向けて反射させる第2の状態(検出手段50による検出値を記憶手段60内に格納されている基準情報に近付けるようなフィードバック制御を行うための状態)と、を切り替える光路切換手段としての機能を果たす必要がある。ところが、図20に示す実施例では、このような切換操作を光学素子の抜き差し作業によって行う必要はなくなり、入射光L1の偏光面を変える作業によって行うことが可能になる。したがって、図20に示す実施形態Eの場合、ビーム分配手段20Xを、完全に固定しておくことが可能になり、迂回光路の精度にずれが生じる弊害を防止することができるようになる。
【0077】
この図20に示す光軸調節装置による自動光軸調節動作は次のようにして行われる。まず、入射点Qinに、平面Xを偏光面とする平面偏光波からなる光ビームを、基準光路Sに沿って入射光L1として入射させる。すると、その大部分は、光分配面ξ1xを透過し、更にその大部分は、光分配面ξ2xを透過して入射光透過光L2として射出する。このとき、検出手段50には、わずかな光が入射光反射光L3として得られるので、その光分配面ξ2x上での位置および向きを測定し、この測定結果を基準情報として記憶手段60に格納する。次に、平面Yを偏光面とする平面偏光波からなる光ビームを、入射光L1として入射させる。すると、その大部分は、光分配面ξ1xを反射して迂回光路を経た後、光分配面ξ2xを反射して調節光反射光L8として射出する。このとき、検出手段50には、わずかな光が調節光透過光L7として得られるので、その光分配面ξ2x上での位置および向きを測定し、この測定結果が、記憶手段60に格納されている基準情報に一致するようなフィードバック制御を行えばよい。
【0078】
結局、§3で述べた実施例において、光学素子の抜き差し作業によって行っていた光路切換操作を、図20に示す実施例では、入射光L1の偏光面の切換作業によって行うことになる。もちろん、偏光面の切換作業を行ったときには、検出手段50などに、現在、いずれの偏光面をもった光ビームが入射光L1として与えられているかを指示する入力を行い、検出手段50等が適切な動作を実行できるようにする必要がある。偏光面の切換作業は、偏光面を90°回転させる光学素子(たとえば、1/2波長板など)を用意しておき、入射点Qinに向かう光ビームについての偏光面を回転させるようにすればよい。このような偏光面を回転させるための光学素子は、物理的な抜き差しを行ったとしても、光路精度に対する影響を及ぼすことはないので、特に問題は生じない。
【0079】
このように、本発明は、光ビームの偏光を利用してビーム分配を行う必要があるので、光軸調節の対象となる入射光L1は、所定の偏光面をもった平面偏光波であることが前提となる。もっとも、レーザ光はコヒーレントな光であり、所定の偏光面をもった平面偏光波となるので、実用上、レーザ光の光軸調節を行う上では、本発明は非常に好都合である。もちろん、本発明に係る光軸調節は、必ずしもレーザ光を対象としたものに限定されるわけではなく、平面偏光波であれば、どのような光ビームを調節対象としてもかまわない。
【0080】
なお、図20におけるビーム分配手段10X,20Xとして用いる偏光ビームスプリッターは、入射光の偏光面に応じて、大部分を透過あるいは反射する性質を有しているが、「平面Xを偏光面とする平面偏光波を100%透過し、平面Yを偏光面とする平面偏光波を100%反射する」という公称値をもった偏光ビームスプリッターを用いても、実用上、問題はない。これは、理論的な公称値が100%であったとしても、現実的には、100%透過あるいは100%反射という現象は起こらず、わずかながらの漏れ成分が必ず存在するためである。特に、光軸調節の対象となる光ビームが高出力レーザ光であった場合、わずかな漏れ成分であってもかなりのパワーがあるため、検出手段50による位置および角度検出には十分である。
【0081】
本発明に用いるビーム分配手段10X,20Xは、「所定の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射する」という性質を有する構成要素であるが、ここでいう「大部分」と「残り」との割合は、光軸調節の対象となる光ビームのエネルギー強度、検出手段に用いられる受光素子の受光感度や受光許容エネルギー強度などを考慮して決定されるべき値ということになる。別言すれば、光軸調節の対象となる光ビームのエネルギーのうち、受光素子の適切な検出範囲に相当するエネルギーが検出手段側へと導かれるような割合、ということになる。
【0082】
図20に示す基本的な実施形態Eは、図9に示す基本的な実施形態Aについて本発明に係る改良を適用した例であるが、本発明に係る改良は、もちろん、図10〜図12に示す基本的な実施形態B〜Dにも同様に適用可能である。たとえば、図10に示す実施形態Bに適用する場合であれば、ビーム分配手段10と光路切換手段20を、偏光ビームスプリッターからなるビーム分配手段10X,20Xに置き換えればよい。また、図11に示す実施形態Cに適用する場合であれば、ビーム分配手段10と光路切換角度調節手段35を、偏光ビームスプリッターからなるビーム分配手段10X,35Xに置き換えればよい(この場合、ビーム分配手段35Xとして利用される偏光ビームスプリッターは、角度調節機能を有している必要がある)。更に、図12に示す実施形態Dに適用する場合であれば、ビーム分配手段10と光路切換位置調節手段45を、偏光ビームスプリッターからなるビーム分配手段10X,45Xに置き換えればよい(この場合、ビーム分配手段45Xとして利用される偏光ビームスプリッターは、位置調節機能を有している必要がある)。
【0083】
図21に示す基本的な実施形態Fは、図20に示す実施形態Eの変形例であり、基準光路S上に遮断手段G1を付加するとともに、迂回光路上に遮断手段G2を付加したものである。遮断手段G1,G2は、それぞれ基準光路Sを通る光ビームおよび迂回光路を通る光ビームを光学的に遮断する光シャッターである。このような遮断手段G1,G2を設け、必要なときに光の遮断操作を行うようにすれば、光路差に基づく干渉の影響を排除した利用形態が可能になる。以下、そのメリットについて説明する。
【0084】
既に述べたとおり、本発明に係る改良を施した実施例では、まず、入射光L1として、平面Xを偏光面にもつ光ビームを入射させ、検出手段50によって基準情報を取得する作業が行われる。この作業では、光分配面ξ1xを透過し、光分配面ξ2xで反射した入射光反射光L3が利用される。ところが、このとき、迂回光路には、光分配面ξ1xを反射したわずかな光が迂回光として進行し、この迂回光の大部分は、光分配面ξ2xを透過して、調節光透過光L7として検出手段50に入射することになる。また、この迂回光の一部は、光分配面ξ2xを反射して、調節光反射光L8として射出することになる。ここで、入射光反射光L3と調節光透過光L7とは、所定の光路差をもった光であるため、互いに干渉を生じることになり、入射光透過光L2と調節光反射光L8とは、やはり所定の光路差をもった光であるため、互いに干渉を生じることになる。このような干渉が生じると好ましくない場合には、基準情報取得段階では、遮断手段G1は機能させず(光シャッターを開いた状態にし)、遮断手段G2によって迂回光路を進む光を遮断し(光シャッターを閉じた状態にし)、入射光透過光L2および入射光反射光L3のみが得られるようにすればよい。
【0085】
続いて、入射光L1として、平面Yを偏光面にもつ光ビームを入射させ、検出手段50の検出値を基準情報に近付けるような制御段階が行われる。具体的には、光分配面ξ1xを反射して迂回光路を進み、光分配面ξ2xを透過した調節光透過光に基づく検出制御が行われる。ところが、このとき、基準光路Sには、光分配面ξ1xを透過したわずかな光が進行し、その大部分は、光分配面ξ2xを反射して、入射光反射光L3として検出手段50に入射することになり、その一部は、光分配面ξ2xを透過して、入射光透過光L2として射出することになる。そこで、この場合も、入射光反射光L3と調節光透過光L7との干渉や、入射光透過光L2と調節光反射光L8との干渉が生じることになる。このような干渉が好ましくない場合には、制御段階では、遮断手段G1によって迂回光路を進む光を遮断し(光シャッターを閉じた状態にし)、遮断手段G2は機能させず(光シャッターを開いた状態にし)、調節光透過光L7および調節光反射光L8のみが得られるようにすればよい。
【0086】
このように、基準情報取得段階と制御段階とでは、入射光の偏光面の切換、遮断手段の開閉切換、検出手段等の動作切換、という3つの事項についての切換操作が必要になる。そこで、実用上は、単一の切換スイッチを用意しておき、この切換スイッチを「基準情報取得動作」か「制御動作」かのいずれか一方に切り換える操作を行うことにより、上記3つの事項の切換が連動して自動的に実行されるような構成にしておくのが好ましい。すなわち、この切換スイッチを「基準情報取得動作」側に切り換えると、入射光の偏光面が平面Xとなるように設定され、遮断手段G1が開いて光を通す状態となり、遮断手段G2が閉じて光を遮断する状態となり、検出手段50が、検出した位置および角度を基準情報として記憶手段60に格納する動作を行うようにすればよい。逆に、この切換スイッチを「制御動作」側に切り換えると、入射光の偏光面が平面Yとなるように設定され、遮断手段G1が閉じて光を遮断する状態となり、遮断手段G2が開いて光を通す状態となり、検出手段50が、検出した位置および角度を制御手段70に与え、制御手段70が、与えられた位置および角度が記憶手段60内に格納されている基準情報に近付くようなフィードバック制御動作を行うようにすればよい。
【0087】
上述した入射光の偏光面の切換操作は、入射光の光路上に1/2波長板などを設置し、モータなどの駆動手段でこれを90°だけ回転させたり、元に戻したりする制御を行うようにすればよい。また、遮断手段G1,G2の開閉切換操作は、電磁式光シャッターなどを用いれば容易に行うことができ、検出手段や制御手段の動作切換操作は、マイクロプロセッサなどにより容易に制御することができる。このように、切換スイッチの操作によって、上記3つの事項の切換操作が連動して行われるような構成にしておけば、オペレータの作業負担は大幅に軽減される。すなわち、オペレータは、まず、切換スイッチを「基準情報取得動作」側に切り換える操作を行い、現在の基準光路Sについての基準情報の取得を行い、続いて、切換スイッチを「制御動作」側に切り換える操作を行い、光路を安定化するためのフィードバック制御を開始させればよい。
【0088】
最後に、§3で述べた図13の先願発明の実施例に、本発明に係る改良を適用した実施例のブロック図を図22に示す。ちょうど、図13におけるビーム分配器83を偏光ビームスプリッターからなる射出側ビーム分配手段83Xに置き換え、光反射素子81を偏光ビームスプリッターからなる入射側ビーム分配手段81Xに置き換え、遮断手段G1,G2を付加した構成に相当する。入射側ビーム分配手段81Xは、角度調節機能を有しているため、回転軸ω1,ω2に関して回転が可能になっているものの、抜き差しは不要であるため、図13に示す支持手段88に相当する構成要素は設けられていない。光分配面ξ1x,ξ2xは、いずれも平面Xを偏光面とする平面偏光波の大部分を透過し残りを反射し、平面Yを偏光面とする平面偏光波の大部分を反射し残りを透過する性質をもった面である。
【0089】
この図22に示す実施例を用いた光軸調節の動作は、図13の実施例とほぼ同じである。相違点は、入射光としてレーザ光などの平面偏光波の光ビームを用いるようにし、基準光路か迂回光路かの光路切換動作を、光学素子の抜き差しではなく、入射光の偏光面の切換によって行う点である。すなわち、まず、平面Xを偏光面にもつ光ビームを入射点Qinに基準光路Sに沿って入射させる。このとき、遮断手段G1としての光シャッターは開き、遮断手段G2としての光シャッターは閉じるようにする(実際には、前述した切換スイッチによる連動操作で切り換えるのが好ましい)。これにより、光分配面ξ1xを透過し、光分配面ξ2xで反射した入射光反射光の位置および角度が検出され、基準情報として記憶装置91に記憶されることになる。もちろん、このとき、射出点Qout側には、光分配面ξ2xを透過した入射光透過光が射出されることになる。続いて、入射する光ビームの偏光面を平面Yに切り換える。このとき、遮断手段G1としての光シャッターは閉じ、遮断手段G2としての光シャッターは開くようにする(こちらも、実際には、前述した切換スイッチによる連動操作で切り換えるのが好ましい)。これにより、入射光は、光分配面ξ1xを反射して迂回光路を進み、光分配面ξ2xを透過した調節光透過光として検出される。もちろん、このとき、射出点Qout側には、光分配面ξ2xを反射した調節光反射光が射出されることになる。制御装置は、このときの検出値を記憶装置91内の基準情報に近付けるように、角度調節機構93および位置調節機構94を制御する。その結果、入射側ビーム分配手段81Xとして利用されている偏光ビームスプリッターの角度調節が行われ、コーナリフレクタ(もしくはコーナキューブプリズム)82の位置調節が行われる。
【0090】
このように、図22に示す実施例は、図13に示す実施例と全く同じ基本原理で動作するものの、光路精度に影響を与える光学素子の抜き差し操作が不要になったため、光路ずれによる誤差発生を抑制することが可能になる。また、入射光として、平面Xを偏光面とする光ビームを入射した場合も、平面Yを偏光面とする光ビームを入射した場合も、検出用の光学素子84〜87へと導かれる光ビームは、入射した光ビームのごく一部になるため、受光素子の焼き付きを防ぐ効果も得られる。
【0091】
【発明の効果】
以上のとおり、本発明によれば、既存の光路を通る光ビームを安定維持させるのに適した光軸調節装置および光軸調節方法を実現することが可能になり、また、光路の精度を高め、用いている光学素子の損傷を防ぐ効果も期待できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る光軸調節装置により光軸を安定させる対象となる光学系の構成を示す図である。
【図2】図1に示す光学系におけるビーム源の変動要因に基いて、光軸ずれが生じた状態を示す図である。
【図3】図1に示す光学系における基準光路S上に本発明に係る光軸調節装置を挿入した状態を示す図である。
【図4】本発明に係る光軸調節装置の機能により、光軸が安定維持される状態を示す図である。
【図5】本発明に係る光軸調節装置における基準情報取得の原理を説明する図である。
【図6】本発明に係る光軸調節装置において形成される迂回光路を示す図である。
【図7】図6に示す光軸調節装置によるフィードバック制御の結果を示す図である。
【図8】図6に示す光軸調節装置によるフィードバック制御により、光源側に変動が生じた場合にも、光軸が安定維持される状態を示す図である。
【図9】本発明の基本的な実施形態Aに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。
【図10】本発明の基本的な実施形態Bに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。
【図11】本発明の基本的な実施形態Cに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。
【図12】本発明の基本的な実施形態Dに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。
【図13】図11に示す基本的な実施形態Cに対応した光軸調節装置の構成例を示す図である。
【図14】図13に示す光軸調節装置における光反射素子による角度調節の原理を示す図である。
【図15】図13に示す光軸調節装置におけるコーナリフレクタによる位置調節の原理を示す図である。
【図16】図13に示す光軸調節装置における位置変動の検出原理を示す図である。
【図17】図13に示す光軸調節装置における角度変動の検出原理を示す図である。
【図18】図13に示す光軸調節装置において、入射光に位置変動が生じた状態を示す図である。
【図19】図13に示す光軸調節装置において、入射光に位置変動が生じた場合に行われる自動光軸調節を示す図である。
【図20】本発明に係る改良を施した基本的な実施形態Eに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。
【図21】図20に示す実施形態Eの変形例に対応する実施形態Fに係る光軸調節装置の構成を示すブロック図である。
【図22】図13に示す実施例に、本発明に係る改良を適用した実施例のブロック図である。
【符号の説明】
1…基準情報取得手段
2…光路迂回調節手段
3…制御手段
10…ビーム分配手段
10X…射出側ビーム分配手段(偏光ビームスプリッター)
20…光路切換手段
20X…入射側ビーム分配手段(偏光ビームスプリッター)
30…角度調節手段
35…光路切換角度調節手段
40…位置調節手段
45…光路切換位置調節手段
50…検出手段
60…記憶手段
70…制御手段
81…光反射素子
81X…入射側ビーム分配手段(偏光ビームスプリッター)
82…コーナリフレクタ(コーナキューブプリズム)
83…ビーム分配器
83X…射出側ビーム分配手段(偏光ビームスプリッター)
84…検出用ビーム分配器
85…受光素子
86…集光レンズ
87…受光素子
88…支持機構
91…記憶装置
92…制御装置
93…角度調節機構
94…位置調節機構
100…ビーム源
200…ターゲット
300…本発明に係る光軸調節装置
A…光ビームの入射位置
B…光ビーム
Br…光分配面ξからの反射光
Bt…光分配面ξからの透過光
C…コーナリフレクタの頂点
Cin…入射点
Cout…射出点
D,Da,D1〜D3,D1a〜D3a,D1b〜D3b…迂回光路
d,dd…位置の変位量
G1,G2…遮断手段(光シャッター)
I(P0,α0)…基準情報
L1…入射光
L2…入射光透過光
L3…入射光反射光
L4…迂回光
L5,L5…角度調節光
L6…位置角度調節光
L7…調節光透過光
L8…調節光反射光
L9,L9…位置調節光
L10,L11,L12…検出用光ビーム
L15…変動した光ビーム
Lin…入射光
Lout,Lout…射出光
N…光分配面ξ上の法線
P,P1…検出対象となる光ビームの位置
P0…基準情報となる位置
Q…目標点
Qin…入射点
Qout…射出点
Q10,Q11,Q12,Q15…照射点
Q20,Q21,Q22,Q25…集光点
S…基準光路
α…検出対象となる光ビームの射出角度
α0…基準情報となる角度
η…反射面
θ…調節角度
μ…反射面
ξ,ξ1x,ξ2x…光分配面
ρ1,ρ2…反射面
ω1〜ω2…回転軸

Claims (12)

  1. 入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、前記入射点と前記射出点との間に配置することにより、入射光が前記基準光路を外れた場合にも、射出光が前記基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置であって、
    第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射し、前記第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を反射して残りを透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記入射点側に配置された入射側ビーム分配手段と、
    前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射し、前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を反射して残りを透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
    前記基準光路に沿って入射した前記第1の偏光面を有する平面偏光波のうち、前記入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して、前記射出側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光について、前記射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果を基準情報として取得する基準情報取得手段と、
    前記基準光路に沿って入射した前記第2の偏光面を有する平面偏光波のうち、前記入射側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光を、前記基準光路とは異なる迂回光路へ誘導し、この誘導された光ビームの位置および向きを調節して前記射出側ビーム分配手段の光分配面の前記射出点側に照射する光路迂回調節手段と、
    前記迂回光路を経由した光ビームに基いて前記射出側ビーム分配手段の光分配面から得られる透過光について、前記射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果が前記基準情報に近付くように、前記光路迂回調節手段を制御する制御手段と、
    を備えることを特徴とする光軸調節装置。
  2. 請求項1に記載の光軸調節装置において、
    入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して射出側ビーム分配手段の光分配面へと向かう光を、必要に応じて遮断することができる第1の遮断手段と、
    入射側ビーム分配手段の光分配面で反射して迂回光路を進む光を、必要に応じて遮断することができる第2の遮断手段と、
    を更に備えることを特徴とする光軸調節装置。
  3. 入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、入射光が前記基準光路を外れた場合にも、射出光が前記基準光路に沿った状態を維持することができるような自動光軸調節を行う光軸調節方法であって、
    第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して残りを反射し、前記第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を反射して残りを透過する光分配面をもつ2組のビーム分配手段を、前記基準光路の前記入射点側および前記射出点側にそれぞれ配置する準備段階と、
    前記基準光路に沿って前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波からなる光ビームを入射させ、この入射させた光ビームのうち、前記入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して、前記射出側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光について、前記射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果を基準情報として取得する基準情報取得段階と、
    前記入射点側のビーム分配手段に前記第2の偏光面を有する平面偏光波からなる光ビームを入射させ、この入射させた光ビームのうち、前記入射側ビーム分配手段の光分配面で反射することにより得られる反射光を、前記基準光路とは異なる迂回光路へ誘導し、この迂回光路を経由した光ビームが前記射出側ビーム分配手段の光分配面の前記射出点側に照射されるようにする迂回光路誘導段階と、
    前記迂回光路を経由した光ビームに基いて前記射出側ビーム分配手段の光分配面から得られる透過光について、前記射出側ビーム分配手段の光分配面上での位置および向きを測定し、この測定結果が前記基準情報に近付くように、前記迂回光路を経由する光ビームの位置および向きを制御する制御段階と、
    を有することを特徴とする光軸調節方法。
  4. 請求項3に記載の光軸調節方法において、
    基準情報取得段階では、迂回光路を進む光を遮断し、制御段階では、入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して射出側ビーム分配手段の光分配面へと向かう光を遮断することを特徴とする光軸調節方法。
  5. 入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、前記入射点と前記射出点との間に配置することにより、入射光が前記基準光路を外れた場合にも、射出光が前記基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置であって、
    第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、前記第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を前記迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記入射点側に配置された入射側ビーム分配手段と、
    前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
    前記迂回光の向きを所定の設定角度だけ変化させて角度調節光として射出する角度調節手段と、
    前記角度調節光を入射し、この角度調節光に対して平行で、所定の設定変位量だけずれた位置を通る位置角度調節光を、前記射出側ビーム分配手段の光分配面の前記射出点側に向けて射出することにより、前記位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする位置調節手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記入射光反射光の位置および向きを検出し、前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
    前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出される位置および向きが、前記記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、前記角度調節手段による設定角度および前記位置調節手段による設定変位量を制御する機能をもった制御手段と、
    を備えることを特徴とする光軸調節装置。
  6. 入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、前記入射点と前記射出点との間に配置することにより、入射光が前記基準光路を外れた場合にも、射出光が前記基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置であって、
    第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、前記第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を前記迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記入射点側に配置された入射側ビーム分配手段と、
    前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
    前記迂回光を入射し、この迂回光に対して平行で、所定の設定変位量だけずれた位置を通る位置調節光を射出する位置調節手段と、
    前記位置調節光の向きを所定の設定角度だけ変化させることにより得られる位置角度調節光を、前記射出側ビーム分配手段の光分配面の前記射出点側に向けて射出することにより、前記位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする角度調節手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記入射光反射光の位置および向きを検出し、前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
    前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出される位置および向きが、前記記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、前記角度調節手段による設定角度および前記位置調節手段による設定変位量を制御する機能をもった制御手段と、
    を備えることを特徴とする光軸調節装置。
  7. 入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、前記入射点と前記射出点との間に配置することにより、入射光が前記基準光路を外れた場合にも、射出光が前記基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置であって、
    第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、前記第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を前記迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記入射点側に配置され、かつ、前記迂回光の向きを所定の設定角度だけ変化させて角度調節光として射出する角度調節機能をもった入射側ビーム分配手段と、
    前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
    前記角度調節光を入射し、この角度調節光に対して平行で、所定の設定変位量だけずれた位置を通る位置角度調節光を、前記射出側ビーム分配手段の光分配面の前記射出点側に向けて射出することにより、前記位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする位置調節手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記入射光反射光の位置および向きを検出し、前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
    前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出される位置および向きが、前記記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、前記入射側ビーム分配手段による設定角度および前記位置調節手段による設定変位量を制御する機能をもった制御手段と、
    を備えることを特徴とする光軸調節装置。
  8. 入射点と射出点とを通る基準光路に沿って光ビームが存在するときに、前記入射点と前記射出点との間に配置することにより、入射光が前記基準光路を外れた場合にも、射出光が前記基準光路に沿った状態を維持するように光軸調節を行う機能をもった光軸調節装置であって、
    第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を透過して、残りを所定の迂回光路に向けて反射し、前記第1の偏光面に対して直交する第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を前記迂回光路に向けた迂回光として反射して、残りを透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記入射点側に配置され、かつ、前記迂回光を所定の設定変位量だけ平行移動させて位置調節光として射出する位置調節機能をもった入射側ビーム分配手段と、
    前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を入射光透過光として透過して、残りを入射光反射光として反射し、前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射された場合には、その大部分を調節光反射光として反射して、残りを調節光透過光として透過する光分配面をもち、前記基準光路の前記射出点側に配置された射出側ビーム分配手段と、
    前記位置調節光の向きを所定の設定角度だけ変化させることにより得られる位置角度調節光を、前記射出側ビーム分配手段の光分配面の前記射出点側に向けて射出することにより、前記位置角度調節光が、反射した大部分からなる調節光反射光と、透過した残りの部分からなる調節光透過光と、に分配されるようにする角度調節手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記入射光反射光の位置および向きを検出し、前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときには、前記射出側ビーム分配手段の光分配面における前記調節光透過光の位置および向きを検出する検出手段と、
    前記入射点に前記第1の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出された位置および向きを基準情報として記憶する記憶手段と、
    前記入射点に前記第2の偏光面を有する平面偏光波が照射されているときに、前記検出手段によって検出される位置および向きが、前記記憶手段に記憶されている基準情報の位置および向きに近付くように、前記入射側ビーム分配手段による設定変位量および前記角度調節手段による設定角度を制御する機能をもった制御手段と、
    を備えることを特徴とする光軸調節装置。
  9. 請求項5〜8のいずれかに記載の光軸調節装置において、
    入射側ビーム分配手段の光分配面を透過して射出側ビーム分配手段の光分配面へと向かう光を、必要に応じて遮断することができる第1の遮断手段と、
    入射側ビーム分配手段の光分配面で反射して迂回光路を進む光を、必要に応じて遮断することができる第2の遮断手段と、
    を更に備えることを特徴とする光軸調節装置。
  10. 請求項5〜9のいずれかに記載の光軸調節装置において、検出手段を、射出側ビーム分配手段の光分配面からの検出用光ビームを2つのビームに分配する検出用ビーム分配器と、分配された第1のビームに基いて位置を検出する位置検出器と、分配された第2のビームに基いて向きを検出する向き検出器と、によって構成したことを特徴とする光軸調節装置。
  11. 請求項10に記載の光軸調節装置において、
    位置検出器を、所定の受光面上へのビームの照射位置を検出する受光素子によって構成したことを特徴とする光軸調節装置。
  12. 請求項10に記載の光軸調節装置において、
    向き検出器を、平行光線を所定の焦点に集光する集光レンズと、この集光レンズに対して焦点距離だけ離れた位置に配置された受光面を有しこの受光面上の集光位置を検出する受光素子と、によって構成したことを特徴とする光軸調節装置。
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