JP4176837B2 - M.ツベルキュロシス複合体のメンバーであるマイコバクテリアに対して特異的である核酸のフラグメント、及びm.ツベルキュロシス複合体のメンバーの検出及び示差診断のためへのそれらの適用 - Google Patents
M.ツベルキュロシス複合体のメンバーであるマイコバクテリアに対して特異的である核酸のフラグメント、及びm.ツベルキュロシス複合体のメンバーの検出及び示差診断のためへのそれらの適用 Download PDFInfo
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Description
本発明は同様に、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの株のインビトロ検出方法、及びM.ツベルキュロシス複合体の株の示差診断、特にサンプルにおける前記複合体の他のメンバーの存在とBCGの存在とを区別するための方法に関する。
約17億の人々又は世界人口の1/3が、M.ツベキュロシスにより感染されている(Sudreなど.,1992)。1990年、結核の見積もられた患者数は8百万人であり、そのうち2.9百万人が死亡している(Sudreなど.,1992)。それらの過去数年、アメリカ合衆国及びヨーロッパにおける結核の患者数は、主に、高い危険性での集団、たとえばAIDSを有する患者、慢性アルコール依存症、ホームレス、及び薬物常習者において、1年当たり3〜6%上昇している(Barnesなど.,1991)。
マイコバクテリアによる感染と戦うことにおける困難性を考えると、それらの感染の診断を可能にする特異的且つ感受性の急速な方法を有する緊急な必要性がある。また、臨床サンプルにおけるM.ツベルキュロシスの初期検出は、感染された感者の臨床学的処理及び危険な状態での暴露された個人の同定のために結核の制御においてますます重要なっている。
マイコバクテリアの種の特定DNAのPCR(ポリメラーゼ鎖反応)による検出はたぶん、急速で、特異的で且つ敏感な診断のための最とも有望な新規アプローチの1つである(Saikiなど.,1985:Brisson-Noelなど.,1989;Consinsなど.,1992;Eisenachなど.,1990;Forbesなど.,1993;Friesなど.,1991;Hermasなど.,1990;Jonasなど.,1993;Kolkなど.,1992;Pierreなど.,1991;Saboorなど.,1992;Shankarなど.,1991;Sjobringなど.,1990)。しかしながら、今日まで実施されて来た種々の研究は、特異性及び感度に関して、異なった結果を導びいて来た。この相違点についての理由の中で、サンプルの調製、すなわちPCR生成物の増幅又は検出方法のためのプロトコールに関する方法論的な差異を注目することが特に可能である。
それらの研究のいくつかは、標的物DNA IS6110(Clarridgeなど.,1993;Eisenachなど.,1990;Forbesなど.,1993;Noordhoeckなど.,1994)、65kDaの抗原をコードする遺伝子(Brisson-Noelなど.,1991;Telentiなど.,1993)、38kDaの抗原をコードする遺伝子(Folgueiraなど.,1993;Sjobringなど.,1990)、又はリボソーム16S RNA(Koxなど.,1995)から出発してM.ツベルキュロシス複合体のPCRによる検出に関する。しかしながら、それらのすべての診断試験は、M.ツベキュロシス複合体をその全体として同定する。
M.ツベキュロシス複合体は、M.ツベキュロシス、M.ボビス(M.bovis)、M.ミクロチ(M.microti)及びM.アフリカナム(M.afrianum)を包含する。それらの4つの種は、それらのDNAにおいて強い相同性を有し(85〜100%)(Imeada,1985)、そしていくつかの完全に同一の遺伝子を有する。この相同性は、菌株を区別するためへのDNA配列の使用を制限する。それにもかかわらず、Calmette-Guerin(BCG)バシラスM.ボビスの株からM.ツベルキュロシスの株を区別することができることは特に興味の対象であり、ここで前者は結核に対する免疫保護のための生存ワクチンとしてしばしば使用されている。明白には、従って、たぶん病原性マイコバクテリアと予防接種用BCG株との区別に興味がある。この区別は、免疫欠損個人、たとえばHIVにより感染される患者の場合に特に重要である。
IS6110要素の挿入に基づく制限フラグメント長さ多形現象(RFLP)分析が、M.ツベルキュロシスの異なった株を区別するために使用されて来た。この挿入要素は、その位置、及び異なった株のゲノムに存在するコピーの数における変動性を考慮して、株の特異的RFLPプロフィールの獲得を可能にする。IS6110が、M.ツベルキュロシス及びM.ボビスにおいて示されているが、しかし試験される他のマイコバクテリアにおいては示されていない(Caveなど.,1991)。一般的に、この挿入要素のいくつかのコピーがM.ツベルキュロシスに示され得るが、但し、単一のコピーがM.ボビスBCGに見出される(Caveなど.,1991)。しかしながら、M.ツベルキュロシスの一定株がIS6110を欠いており(van Soolingenなど.,1994)、そして有意な数のコピーを有するM.ボビスの株がいくつかの集団において共通する(van Soolingenなど.,1994)。IS6110からのM.ツベルキュロシスの株の同定はサザンブロット分析を必要とし、そして通常のPCR法によっては容易には実施され得ない事実が、それらの制限に付加される。
本発明者は、酵素的増幅のための新規標的DNA配列を示した。この配列は、M.レプラエ(M.leprae)、及びM.ツベルキュロシス複合体のメンバーである細菌の特定の二成分調節システムをコードするオペロンの一部である。前記二成分システムは、大きなファミリーに属し、遺伝子発現のレベルの修飾により外部シグナルの翻訳において協力する2種のタンパク質を包含する調節システムである(Parkinson and Kofoid,1992)。提案された一般的なモデルによれば、膜に位置する1つの成分は、環境変化のセンサーとして作用し、そして細胞質における応答の調節成分に情報を伝達することができ、これが標的遺伝子の転写を調節することができる。2つの成分間の伝達は一般的に、リン酸化のカスケードにより実施される。
本発明者は、二成分マイコバクテリアシステムを現在、クローン化し、そして特徴づけた。このシステムは、M.ツベルキュロシス複合体のメンバー及びM.レプラエに対して特異的であるように思われる。意外には、他の二成分システムに関しては、このマイコバクテリアシステムの遺伝子は、M.ツベルキュロシス複合体のマイコバクテリアの株間に、及びM.レプラエにおいて独得に存在するDNA配列(シストロン間配列又は反復配列)により分離される。
本発明者は、M.ツベルキュロシス複合体の株において、このシストロン間領域が、株間で変化することができる77個の塩基対の配列(配列番号1)の正確な又は減じられた数の反復に対応することをさらに示した。切断された配列(配列番号2)は、53個の塩基対から構成され、そしてGAGコドンにより置換される、ヌクレオチド番号40〜66の短い同相内部欠失を含む。
本発明者は同様に、驚くべきことには、その切断された配列(配列番号2)がBCGとは異なる、M.ツベルキュロシス複合体のメンバーの特徴を有することを示した。
M.ラプラエにおいては、その対応するシストロン間領域は、すでに記載された52塩基対の変異体により形成され、としてその配列は下記に示される:
5′atg aca ccc gcg cag gcg atg atg cag agc gaa gtg acg aga ggg aat gtg a 3′。
それらの特徴を考慮すれば、それらの反復される配列は、酵素的増幅技法、たとえばPCR又は他の類似する方法によりM.ツベルキュロシス複合体の株間を同定し、そして区別するために特に興味あるものである。より特定には、それらは、生物学的サンプルにおけるBCGの存在と前記複合体の他のメンバーの存在との間の示差診断の確立を可能にする。原理は、配列番号2の配列の特異的欠失に基づかれているこの示差診断は、本発明の好ましい観点を形成する。それは、免疫欠損個人、たとえば特に、HIVにより感染された対象における、BCGによる感染と前記複合体の他のビルレントメンバーによる感染とを区別するために都合良く使用される。
従って、本発明は、配列番号1の配列、配列番号2の配列、それらの相補的配列、又は高い緊縮性の条件下で前記配列の1つとハイブリダイズすることができる核酸の配列間から選択されたヌクレオチドの配列を含んで成る、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの核酸の特異的フラグメントに関する。
M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアのインビトロ検出のためのヌクレオチドプローブ、及びM.ツベルキュロシス複合体のメンバーである株の特異的配列の酵素的増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーの生成のためへの前記配列の使用が同様に目的とされる。
本発明は同様に、M.ツベルキュロシス複合体の株のお互いからの区別を可能にし、特にBCGとこの複合体の病原性マイコバクテリアとの区別を可能にするための方法に関する。
それは同様に、M.ツベルキュロシス複合体を形成する株間のサブグループを区別するための手段を提供する。
さらに、それは、M.ツベルキュロシス複合体に属する種及び株のM.レプレアエの生物学的サンプルにおける区別を可能にする。
本発明においては、ヌクレオチド配列がハイブリダイズできる“高い緊縮性”の条件とは、Sambrookなど.,1989により定義される条件、すなわち(Tm−5℃)と(Tm−30℃)との間の温度条件、及びさらに好ましくは、(Tm−5℃)と(Tm−10℃)(高い緊縮性)との間の温度条件であると思われ、ここでTmとは、対合された株の50%が分離する温度であるものとして定義される。好ましくは、使用される高い緊縮性の条件は、68℃のプレハイブリダイゼーション、ハイブリダイゼーション及び洗浄温度に対応し、そしてプレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーション緩衝液は5×SSCに基づかれる(Boehringer Mannheimにより推薦されるプロトコール)。
本発明は、senX3-regX3システムのシストロン間領域に位置するM.ツベルキュロシス複合体のマイコバクテリアの核酸の特異的フラグメントに関する。
例において説明されるであろうように、配列番号1の配列は、研究されるマイコバクテリアの株に従って、77個の反復塩基対及び異なった数のコピーに対応する。この反復配列は、25個のアミノ酸のペプチドをコードすることができる読み取り枠(ORF)を有する。
従って、本発明は、配列番号1の配列、その相補的配列、又は高い緊縮条件下で前記配列の1つとハイブリダイズすることができる核酸の配列から選択されたヌクレオチドの配列を含んで成る、M.ツベルキュロシス複合体に対して特異的な核酸のフラグメントを目的とする。
もう1つの観点によれば、本発明は、配列番号2の配列、その相補的配列、又は高い緊縮条件下で前記配列の1つとハイブリダイズすることができる核酸の配列間から選択されたヌクレオチドの配列を含んで成る、BCG、特にビルラント種M.ツベルキュロシス、M.アフリカナム又はM.ボビスとは異なるM.ツベルキュロシス複合体のメンバーの核酸の特異的フラグメントを目的とする。
例により実際的に示されるように、BCGは、BCGにおけるsenX3-regX3遺伝子間領域(表3、グループ4,6,8を参照のこと)における配列番号1の配列の不在のために、M.ツベルキュロシス複合体の他のすべての株から区別され得る。
本発明の異なったヌクレオチド配列は、人工的起源又は非人工的起源のものであり得る。それらはDNA又はRNA配列であり得る。
それらは、たとえば化学的合成、又は他方では;配列番号1又は2の配列に基づいて製造されたプローブにより、配列ライブラリーをスクリーニングすることによって得られる配列の化学的又は酵素的修飾を包含する混合された方法により調製され得る。そのようなライブラリーは、当業者に知られている分子生物学の従来の技法により調製され得る。
本発明のヌクレオチド配列は、高い緊宿条件下で、それらと、それらの対応するRNA配列と又はその対応する遺伝子と特異的にハイブリダイズすることができるプローブ又はヌクレオチドプライマーの生成を可能にする。そのようなプローブは同様に、本発明の一部である。それらは、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの特異的核酸配列の、ハイブリダイゼーション実験による検出のためのインビトロ診断道具として使用され得る。
好ましくは、本発明のプローブは、少なくとも24個の連続したヌクレオチドを有するが、但しより短いプローブも同等に適切である。最大で、それらはM.ツベルキュロシスの完全なsenX3-regX3遺伝子間領域(IPL)、すなわち配列番号1の配列、続く配列番号2の配列の2つの連続した配列を有する。このDNAフラグメントは、218個の塩基対を含む。
M.ツベルキュロシス複合体のメンバーの特定の好ましいヌクレオチドプローブ間には、全体として配列番号1の配列又はその相補的配列が特に現われる。
もう1つの観点によれば、本発明は、BCG、特にビルラント種M.ツベルキュロシス、M.アフリカナム又はM.ボビスとは異なるM.ツベルキュロシス複合体のメンバーに対して特異的な核酸の配列の検出及び表示のための、及びM.ツベルキュロシス複合体のマイコバクテリアを含む生物学的サンプルにおけるBCGの存在の示差診断のためのヌクレオチドプローブを目的とする。
そのようなヌクレオチドプローブは、位置40−42におけるGAGコドンを取り囲む配列番号2の配列、又はその相補的鎖の領域から得られる。好ましくは、この領域は、21個の長さの塩基対を有し、そして配列番号2の配列の特異的GAGコドンの上流及び下流に9個のヌクレオチドを含む。
好都合には、それらのプローブは、全体として配列番号2の配列又はその相補的配列を含んで成る。
本発明のプローブは、当業者により通常使用される温度及びイオン強度の条件に対応する適切なハイブリダイゼーション条件に従ってハイブリダイズする。
好ましくは、本発明のプローブは、それらの使用の前、ラベルされる。このためには、いくつかの技法が、当業者のかっこに使用される(螢光、放射性、化学発光、酵素、等でのラベリング)。
好ましい態様によれば、前記プローブはジゴキシゲニンによりラベルされる。ジゴキシゲニン(DIG)は、プローブとして使用されるDNAをラベルするためにdUTPに結合されるステロイドハプテンである。この技法は、Boehringer Mannheimにより市販されている。プローブとのハイブリダイゼーション及び洗浄の後、検出は、基質二ナトリウム3−(4−メトキシスピロ{1,2−ジオキエタン−3,2′−(5′−クロロ)トリシクロデカン)−4−イル}フェニルホスフェート(CSPD)により化学発光シグナルの発光に従って実施される。
本発明のヌクレオチド配列は同様に、配列決定反応又は酵素的増幅のためのオリゴヌクレオチドプライマーの生成及び使用のためにも有用である。
酵素的増幅技法は、主としてPCRにより例示される。しかしながら、他の類似する方法、たとえばLCR(リガーゼ鎖反応)、NASBA(核酸配列に基づく増幅)、Q−βレプリカーゼ、SDA(鎖置換増幅)、及び当業者の技術的知識に包含されるいづれか他の変法が使用され得る。それらの核酸増幅技法は、標的配列の延長反応を開始するためにオリゴヌクレオチドプライマー分子を使用する。それらのプライマーの正確な長さは、情況に従って変化することができるであろう。たとえば、マトリックスの配列の複雑さの機能としては、ポリヌクレオチドプライマーは典型的には、15〜25個又はそれ以上のヌクレオチドを含む。しかしながら、ある場合、それはそれ以下のヌクレオチドを含むことができる。
好ましくは、本発明のヌクレオチドプライマーは、少なくとも19個のヌクレオチドを含んで成る。それらは、senX3の3′側及びregX3の5′側領域において、senX3-regX3遺伝子間領域に隣接する配列から選択されるプライマーにより形成される。
好ましい変法によれば、C5及びC3として言及されるプライマーの対、すなわちsenX3遺伝子の3′末端及びregX3遺伝子の5′末端にそれぞれ対応する5′GCGCGAGAGCCCGAACTGC 3′及び5′GCGCAGCAGAAACGTCAGC 3′が使用される。それらのプライマーはそれぞれ、シストロン間領域の上流の56個の塩基対及び前記領域の下流の62個の塩基対とハイブリダイズする。
前記ヌクレオチド配列及びそれに起因するプローブは、特に制限酵素及び特異的切断部位の使用を包含する分子生物学の従来の技法に従って、クローニング及び/又は発現ベクターでクローン化され得る。
本発明の好ましいクローニングベクターは、その構成が下記例において詳細に記載されている、I-1766としてCNCMに寄託されているプラスミドpRegXMt1により示される。
本発明のもう1つのクローニングベクターは、I-1765としてCNCMに寄託されるプラスミドpRegX3Bc1により示される。それらのプラスミドはE.コリXLl-blue中にそれぞれ導入されている。
ベクターI-1765及びI-1766は、完全なsenX3-regX3遺伝子、及びそれぞれBCG及びM.ツベルキュロシスのシストロン間領域を個々に含む。
本発明のヌクレオチド配列はさらに、その対応するペプチドの生成、及びその生物学的活性の研究のために、適切なシステムにおいて発現され得る。この場合、それらは、細胞宿主におけるそれらの発現を可能にするシグナルの制御下に配置されるであろう。
タンパク質又は組換えペプチドの生成の効果的なシステムは、たとえばプラスミド又はウィルス起源のベクター、及び適合できる宿主細胞を有することを必要とする。
細胞宿主は、原核システム、たとえば細菌、又は真核システム、たとえば酵母、昆虫細胞、CHO(チャイニーズハムスター卵巣)細胞、又は都合良く入手できるいづれか他のシステムから選択され得る。
前記ベクターは、プロモーター、翻訳開始及び停止/シグナル、及び転写調節の適切な領域を含むべきである。それは細胞において安定して維持されることができるべきであり、としてたぶん、翻訳されたタンパク質の分泌を指定する特定のシグナルを有することができる。
それらの異なった制御シグナルは、使用される細胞宿主の機能として選択される。このためには、本発明のヌクレオチド配列は、選択された宿主における自律複製ベクター、又は選択された宿主のインテグレイティブベクター中に挿入され得る。そのようなベクターは、当業者により現在使用されている方法に従って調製され、そしてそれから得られるクローンは、標準の方法、たとえばエレクトロポレーションにより適切な宿主中に導入され得る。
本発明の配列から得られたヌクレオチドプローブが使用されるインビトロ診断又は検出方法は同様に、本発明の一部である。
より特定には、本発明は、次の段階を含んで成る生物学的サンプルにおける、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの株の検出方法を目的とする:
(i)生物学的サンプルと一対のプライマーとの、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの株に対して特異的な核酸に対する前記プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下ででの接触;
(ii)前記核酸の増幅;
(iii)本発明のヌクレオチドプローブと前記生物学的サンプルとの、前記プローブと増幅された核酸配列との間でのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にする条件下での接触;
(iv)形成されるハイブリダイゼーション複合体の検出。
第1の変法によれば、本発明の方法は、生物学的サンプルにおけるM.ツベルキュロシス複合体のいづれかのメンバーの存在の検出を可能にする。この場合、上記段階(iii)の複合体は、配列番号1の配列又はその相補的鎖の特異的ヌクレオチドプローブにより形成される。
第2の好ましい変法によれば、本発明の方法は、BCG以外のM.ツベルキュロシス複合体のメンバーの存在の特異的な検出を可能にする。この変法によれば、検出される段階(iii)の複合体は、配列番号2の配列の特定位置40〜42でGAGコドンを形成する2倍の9個の塩基対から構成される短い配列から成る、配列番号2の配列又はその相補的鎖に対して特異的なヌクレオチドプローブにより形成される。
第3の特に好ましい変法によれば、本発明の方法は、BCG及び複合体の他のメンバーの示差診断を可能にする。この場合、前記方法は、まず、配列番号1の配列又はその相補的鎖の第1の特定ヌクレオチドプローブにより形成されるハイブリダイゼーション複合体の段階(iv)に従っての検出により、M.ツベルキュロシス複合体のすべてのメンバーに対して特異的な核酸を示し、次に、配列番号2の配列又はその相補的鎖の第2の特定ヌクレオチドプローブにより同様に複合体を形成することができる前記第1のプローブ複合体と複合体を形成することができる増幅された核酸間で見出ことから成る。
前記第1のプローブとユニークにハイブリダイズする増幅された核酸配列は、BCGの特定の核酸配列に対応するが、ところが、前記2つのプローブの個々とハイブリダイズする配列はM.ツベルキュロシス複合体の他のメンバーの配列に対応する。
この示差診断方法は、従来の検出方法よりも明らかに興味あるものである。なぜならば、それは、M.ツベルキュロシス複合体のビルレントマイコバクテリア(M.ツベルキュロシス、M.ボビス、又はM.アフリカナム、及びたぶんM.ミクロチ)による感染とBCG(たぶん予防接種からの)による感染との区別を可能にするからである。この区別は、免疫欠損の個人、特にHIVにより感染された対象において特に重要である。
もう1つの好ましい態様によれば、本発明はM.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアのグループの同定方法を提供し、ここで前記方法は、
−上記に上記されたような一対のプライマーにより前もって抽出された前記株のDNAが、前記プライマーの特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で、前記株のDNA上のそれらの対応する配列と接触せしめられ、そして増幅生成物が得られ、そして
−その得られる増幅生成物の長さがアガロースゲル電気泳動により測定されることを特徴とする。
好都合には、プライマー5′GCGCGAGAGCCCGAACTGC 3′及び5′GCGCAGCAGAAACGTCAGC 3′がこの方法に使用される。
本発明は同様に、生物学的サンプルにおける、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの株のインビトロ同定のためのキットに関し、ここで前記キットは、
−上記で定義されるような、本発明の一対のプライマー;
−前記プライマーの助けを伴って、M.ツベルキュロシス複合体に属する核酸の特定配列の増幅を可能にするために必要な試薬;
−前記増幅されたフラグメント、好ましくは本発明のヌクレオチドプローブを示すための可能な手段を含んで成る。
本発明の他の特徴及び利点が続く例により、及び添付される図により示される。
図1:BCG(IPP)のDNAの“サザンブロット”分析。A).regX3遺伝子の一部を含んで成る259個の塩基対のフラグメントが、BCG(IPP)の染色体DNAにおける異なった制限フラグメントにおける遺伝子を検出するためにプローブとして使用される。使用される制限酵素は図の上部に示されている。B).BCG(IPP)のsenX3及びregX3遺伝子の遺伝子座の部分制限地図。制限部位は、senX3及びregX3遺伝子、及び使用されるプローブに対して示されている。
図2:BCG(IPP)のsenX3及びregX3遺伝子のヌクレオチド配列及びそれに由来するタンパク質配列。矢印は、パリンドローム配列を示す。推定上のShin-Dalgarno配列は、点により下線を引かれている(SD)。senX3の予測されるトランスメンブラン配列は二重に下線が引かれている。他のセンサーに保存されるsenX3の領域は下線が引かれており、そして次のように注釈される:H、修飾されたヒスチジンを含む領域;N、アスパラギンに富んでいる領域;F、フェニルアラニンに富んでいる領域;G1及びG2、グリシンに富んでいる領域。小さな垂直の矢印はリン酸化されることが予測される残基を示す。注釈される配列PgmYは、ホスホグリセリン酸ムターゼをコードする遺伝子の末端を示す。
図3:SenX3の疎水性プロフィール。陽性の値は、疎水性領域を示し、そして陰性の値は親水性領域を示す。矢印は、可能な開始コドンを示し、そして2つの水平線は予測されるトランスメンブラン領域を示す。図の上部での数字は、アミノ酸の数を示す。
図4:BCG(IPP)とM.ツベルキュロシス(IPL)との間のシストロン間領域の比較。senX3及びregX3遺伝子は矢印により示される。ヌクレオチド配列及び推定されるタンパク質配列が示される。
図5:M.ツベルキュロシス及びBCGのDNAのサザンブロット分析。M.ツベルキュロシス(IPL)(右側)及びBCG(IPP)(左側)の染色体DNAが、PstIにより消化され、アガロース上での電気泳動にゆだねられ、そしてM.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3-regX3遺伝子間プローブによるハイブリダイゼーションにより分析された。
図6:異なったマイコバクテリア株に対して実施されたPCRにより得られた生成物のアガロース(2.5%)上での電気泳動による分析。レーン1〜3:グループ1、それぞれM.ミクロチ、M.ツベルキュロシスV808、M.ツベルキュロシスV761;レーン4及び5、グループ2、それぞれM.ツベルキュロシスV729、M.ボビス60;レーン6〜8、グループ3、それぞれM.ボビス63、M.ボビス78及びM.ボビスAN5;レーン9及び10、グループ4、それぞれM.ツベルキュロシスH37Ra(IPL)及びM.ツベルキュロシスH37Rv(IPP);レーン11及び12、グループ5、それぞれM.ツベルキュロシス(IPL)、M.ボビス76;レーン13及び14、グループ6、それぞれM.ボビス(BCGite 29)及びM.ボビスBCG(IPP);レーン15、グループ7、M.ツベルキュロシスNo.19。
図7:図6で得られたフラグメントのサザンブロット分析。使用されるプローブは、M.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3-regX3シストロン間領域である。
例
例1:二成分マイコバクテリアシステムをコードする、M.ボビスBCG(IPP)のsenX3-regX3遺伝子のゲノム地図及びクローニング。
Wrenなど.(1992)は、regX3と呼ばれるM.ツベルキュロシス(IPL)の遺伝子から259個の塩基対のフラグメントを増幅した。
本発明者は、次の合成オリゴヌクレオチド:5′−CGAGGAGTCGCTGGCCGATCCGC−3′及び5′−AGCGCCCCAGCTCCAGCCGACC−3′を用いて、M.ボビスBCG(WHO Collection of Stockholm,Swedenで得られるワクチン株1173P2)からその対応する配列を増幅した。増幅を、それらのプライマー及びDeep Ventポリメラーゼ(New England Biolabs)を用いることによって実施した。次に、得られる259個の塩基対の増幅生成物を、アガロースゲル上での電気泳動により精製し、そして標準のプロトコール(Sambrookなど.,1989)に従って、pBluescript KS+ベクター(Stratagene)のSmaI部位でサブクローン化した。次に、この挿入体を組換えプラスミドから、BamHI及びEcoRIによる消化により除去し、そして次に、製造業者により推薦される条件に従って、Boehringerにより市販されている“ランダムプライミング”キットを用いて、“ランダムプライミング”(ランダムラベリング)によりdCTP〔α-32P〕によりラベルした。組織の静置培養のためのフラスコにおいて37℃でSauton培地(Sauton,1912)において培養されたM.ボビスBCG(IPP)のゲノムDNAを、前に記載したようにして(Kremerなど.,1995a)、抽出し、そして異なった制限酵素により消化した。次に、このDNAを、標準方法(Sambrookなど.,1989)に従って、アガロースゲル上での電気泳動及びサザンブロット分析にゆだねた。〔32P〕−ラベルされたDNAによるブロットの試験は、KpnI及びBamHI,EcoRI又はPstIのいづれかによる消化がハイブリダイズするバンドの対を生成することを示し、そして1つのバンドが前記対の個々において他のバンドよりもより強くラベルされた(図1a)。それらのバンドは、プローブのユニーク非対称KpnI部位のそれぞれの5′及び3′配列に帰する。これは、BamHI,EcoRI、及びPstI,KpnI部位の5′及び3′部位の配置を可能にした(図1b)。PstIのみによる消化は単一のハイブリダイゼーションバンドを付与した。予測されるように、KpnIによる消化は2つのバンドを付与し、そしてBamHI及びEcoRIによる消化は、約3.5kbの単一のバンドの獲得を導びいた。
BCGのゲノムDNAをBamHI及びEcoRIにより消化し、そして3〜4kbのDNAフラグメントを、アガロースゲル上での電気泳動の後、単離した。それらのフラグメントを、BamHI及びEcoRIにより制限されたpBluescript SK(Stratagene)中に挿入した。900個の組換えクローンを、“コロニーブロットハイブリダイゼーション”(Sambrookなど.,1989)の前記標準技法を用いて、〔32P〕−ラベルされたプローブによりスクリーンした。それらの3個は陽性であり、そして制限分析により3.2kbの同じBamHI/EcoRI DNA挿入体を含むことがわかった。ハイブリダイズするクローンを後での研究のために単離し、そしてpRegX3Bc1(I-1765)と命名した。
例2:二成分システムをコードするM.ボビスBCG(IPP)の遺伝子の配列
1.0,1.5及び0.7kbのSalIフラグメントを、pRegX3Bc1(I-1765)の3.2kb挿入体から単離し、そしてpBluescript SK-にサブクローン化した。その3.2kの挿入体の配列、及びサブクローンSalIの配列を、“プライマーウォーキング(primer walking)”の方法によりその二本鎖に基づいて決定した。M.ボビスBCG(IPP)の3208bpのヌクレオチド配列(図2)は、マイコバクテリアのC+G特徴の頻度を示した(66.6%)。regX3及びsenX3により示された2つの主要読み取り枠(ORF)は同一であった(図1b及び2)。regX3は1679位置でATGトリプレットにより開始し、そして2360位置でTAGトリプレットにより終わる。それは32P−ラベルされたプローブの配列を含み、そしてその推定されるアミノ酸配列が24,881Daの計算された分子質量のために227個の残基であるタンパク質をコードする。senX3 ORFの上流の限界は確かでない。なぜならば、5つの同一相の潜在開始コドン(ATG又はGTG)が短い距離(296〜446)に見出されたからである(図2及び3)。しかしながら、位置296でのGTGのみが、E.コリのShine-Dalgarno配列に対して相同の配列により、9個のヌクレオチド上流で先行されている(6個の残基のうち4個のAGGAGGに対して同一である)。従って、このGTGコドンは、位置1526でTGA停止コドンにより終結するsenX3 ORFの5′における限界である。従って、このORFは、410個のアミノ酸残基から構成される、44,769Daのタンパク質をコードすることが仮定される。senX3遺伝子は、ホスホグリセリン酸ムターゼの相同体をコードするORFの3′部分により、273個のヌクレオチド上流で先行される。ヘアーピン構造を形成できる配列は、位置178と194との間に位置する。この配列は、ORF上流の末端転写配列として機能することができる。
MycDBデータベースに基づく研究は、senX3及びregX3遺伝子がまた、M.レプレアエにも存在することを示した。それらがコードする生成物は、それぞれ、M.ボビス(IPP)のタンパク質senX3及びregX3に対して82.7%及び94.9%類似する。M.レプラエのsenX3 ORFは、GTGコドンにより開始されることがわかっており、そしてM.ボビスBCG(IPP)に見出される相同体に類似する、ホスホグリセリン酸ムターゼの相同体をコードするORFにより先行される。
例3:M.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3-regX3遺伝子のクローニング及び配列決定
M.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3及びregX3遺伝子を、M.ツベルキュロシス22962067、すなわちInstitut Pasteur de Lilleのマイコバクテリアの収集物からの臨床学的単離物の染色体DNAからのPCRによりクローン化した。M.ツベルキュロシス(IPL)のDNAを、BCGの染色体DNAの抽出について上記に記載される方法(Kremerなど.,1995a)により抽出した。M.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3及びregX3遺伝子を含む2.2kbのフラグメントを、M.ボビスBCG(IPP)のsenX3及びregX3遺伝子の隣接する配列に対して相同の次のプライマーを用いてPCRにより増幅した:5′−TGGCGTAGTGTGTGACTTGTC−3′及び5′−GACCAGACAGTCGCCAAGGTT−3′。増幅されたフラグメントを、pBluescript SK-(バージョンII)のSamI部位にクローン化し、pRegX3Mt1(I-1766)と称するプラスミドを生成した。次に、2.2kbの全フラグメントを、BCG(IPP)のsenX3及びregX3遺伝子について例2に記載される方法と同じ方法を用いて配列決定した。M.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3及びregX3 ORFのDNA配列、及びsenX3の上流の5′領域及びregX3の下流の3′領域は、BCG(IPP)のものと同一であった。しかしながら、senX3とregX3との間のシストロン間領域は、下記例において研究される興味ある差異を示した。
例4:senX3-regX3シストロン間領域の分析
senX3とregX3との間のシストロン間領域は、BCG(IPP)においてタンデムでの77個の塩基対の完全な重複を含む(図4)。個々の反復された配列は、25個のアミノ酸のペプチドをコードする能力を有する短いORFを含む。第1の反復から推定され得るATG開始コドンは、senX3のTGA停止コドンをオーバラップする。この反復された配列は、次の反復から推定されるATG開始コドンをオーバラップする2つの停止コドンにより終結する。第2の反復のORFはまた、regX3のATG開始コドンをオーバラップする二重TGA停止コドンにより終結する。
M.ツベルキュロシス(IPL)のシストロン間領域は長く、そして完全ではない第3の反復された配列を含む。それは、GAGにより置換されるヌクレオチド40〜66の短い同相内部欠失を含む。この第3の反復のORFはまた、regX3のATGコドンをオーバラップする二重停止コドンにより終結する。
M.レプラエのシストロン間領域の配列は、BCG(IPP)の配列よりも短い。それは52個の塩基対を含む。
senX3-regX3シストロン間領域における反復でのそれらの構造体の存在は、それがM.ツベルキュロシス(IPL)の他の領域に又はM.ボビスBCG(IPP)の染色体に存在するかどうかを、サザンブロット分析による発見を発明者に導びいた。M.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3-regX3シストロン間領域を、EcoRI及びBamHIによるpRegX3Mt2の酵素消化により得た。次に、491個の塩基対のその得られるDNAフラグメントをBsrI−AluIにより消化し、M.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3-regX3遺伝子間フラグメントに対応する218個の塩基対のDNAフラグメントを生成した。次に、このDNAフラグメントを、製造業者(Boehringer Mannheim)の推薦に従って、ジゴキシゲニン−dUTP(キットカタログ番号1093657)によりランダムにラベルした。pRegX3Mt2を、次のオリゴヌクレオチドを用いて、M.ツベルキュロシス22962067(IPL)の471個の塩基対の染色体DNAのフラグメントのPCRによる第1の増幅により生成し:5′AAACACGTCGCGGCTAATCA3′及び5′CCTCAAAGCCCCTCCTTGCGC 3′、そして次に、その得られる増幅されたフラグメントを、pBluescript KS-のSmaI部位にクローン化した。
次に、M.ツベルキュロシス(IPL)の染色体DNAを、PstIにより完全に消化し、そしてアガロスゲル上での電気泳動にゆだね、そして通常の方法(Sambrookなど.,1989)に従ってサザンブロットにより分析した。次に、ラベルされたプローブを、下記に示されるようにハイブリダイゼーションのために使用した。
プローブを最初に、5分間、煮沸することによって変性し、そして膜を、68℃で2時間のプレハイブリダイゼーションの後、68℃で一晩プローブと共にインキュベートした。プレハイブリダイゼーション及びハイブリダイゼーションのために使用される緩衝液は、5×SSC(Sambrookなど.,1989);0.1%のN−ラウリルサルコシン(w/v);0.02%のSDS(w/v);1%のブロッキング試薬(Boehringer Mannheim)であった。次に、膜を、2×SSC(Sambrookなど.,1989)及び0.1%SDSにより周囲温度で5分間2度、及び0.1×SSC、0.1%SDSにより68℃で15分間2度、洗浄した。ハイブリダイズされたプローブを、アルカリホスファターゼ及び化学発光CSPD基質(Boehringer Mannheim)に接合されるアンチジゴキシゲニンFabフラグメントにより免疫学的に検出した
図5に見られるように、senX3-regX3シストロン間領域の異なったコピーが、M.ツベルキュロシス(IPL)及びM.ボビスBCG(IPP)に存在した。
例5:マイクロバクテリアの異なった株のsenX3-regX3シストロン間領域のPCRによる増幅
senX3及びregX3遺伝子を分離するシストロン間領域がM.ボビスBCG(IPP)、M.ツベルキュロシス(IPL)及びM.レプラエ間で長さにおける変動を有する場合、本発明者は、M.ボビス(非−BCG株を包含する)及びM.ツベルキュロシスの他株におけるその対応する領域を分析した。本発明者は同様に、マイコバクテリアの次の他の種を分析した:(i)M.ツベルキュロシス複合体の他のメンバー:M.アフリカナム及びM.ミクロチ、及び(ii)M.ツベルキュロシス複合体のマイコバクテリア以外のマイコバクテリア。
分析される株は表1及び2に示される。それらの染色体DNAを下記のようにして調製した。マイコバクテリアを、100mlの培養物から出発して、遠心分離(300回転/分;30分)により回収し、そして10mlのリン酸緩衝液(0.4Mのスクロース、10mMのEDTA、トリス−HCl(pH8)10mM、4mg/mlのリゾチーム)において37℃で1時間インキュベートした。得られるプロトプラストを、遠心分離(3000回転/分;20分)により回収し、そして次に、それらを、6mlのL緩衝液(10mMのNaCl、SDS 6%、10mMのトリス−HCl(pH8)、500μg/mlのプロティナーゼK)において60℃で1時間、インキュベートすることによって溶解した。5MのNaCl 1.5mlの添加の後、その混合物を遠心分離した(14,000回転/分;20分)。上清液を、フェノール−クロロホルムによる抽出にゆだね、そしてDNAをイソプロパノールにより沈殿せしめた。次に、再懸濁されたペレットをRNアーゼにより処理し、フェノール−クロロホルム及び、クロロホルムにより抽出し、そして次に、エタノールにより沈殿せしめた。次に、ペレットを空気中で乾燥せしめ、そして100μlのTE緩衝液(10mMのトリス−HCl、1mMのEDTA、pH7.6)に再懸濁した。
PCR分析のためのプライマーを、M.ボビスBCG(IPP)及びM.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3及びregX3遺伝子のDNA配列から選択した。プライマー(C5)は、senX3遺伝子の3′末端にハイブリダイズし、そして次の5′−3′配列を有した:5′GCGCGAGAGCCCGAACTGC 3′。他のプライマー(C3)はregX3遺伝子の5′末端にハイブリダイズし、そして次の5′−3′配列を有した:5′−GCGCAGCAGAAACGTCAGC−3′。それらの2種のプライマーにより、PCR生成物は、遺伝子間領域の5′末端で56個の追加の塩基対、及びシストロン間領域に関してその3′末端で62個の追加の塩基対を含む。そのPCR生成物は、M.ツベルキュロシス22962067(IPL)のための369個の長さの塩基対、及びM.ボビスBCG(IPP)のための276個の塩基対を有する。
PCR増幅を、次の反応混合物と共に1μlの染色体DNAをインキュベートすることによりサーモサイクラー(Perkin Elmer)において実施した:C5及びC3オリゴヌクレオチド(それぞれ1μg/μl)、dTNP(2μl)25mM、TMAC1(テトラメチルアンモニウクロリド)(2μl)5mM、10×酵素緩衝液(10μl)、Vent DNAポリメラーゼ(1U/0.5μl)、水(82μl)。増幅を、94℃で1分間、65℃で1分間、及び72℃で1分間30サイクルにわたって実施した。次に、10μlのPCR生成物を、2.5%のアガロースゲル上での電気泳動にゆだね、そして臭化エチジウムにより可視化した。DNAマトリックスを除くすべてのPCR試薬を含む負の対照を、サンプルと共に平行して処理した。PCR生成物の長さを、1kbのDNA尺度との比較により評価した。
PCR生成物は、試験された非結核マイコバクテリアの11の株に関しては検出されなかった(表2を参照のこと)。ストレプトミセス(Streptmyces)の3種の株(S.カカオイ(S.cacaoi)、S.R61、及びS.R39)及びE.コリTG1は同様に、PCRにおいて負の結果を付与した。他方では、PCR生成物が、M.ツベルキュロシス複合体のすべてのメンバーから得られた。PCR生成物の特異性を、例4に記載のようにして、ジゴキシゲニンによりラベルされたM.ツベルキュロシス(IPL)のsenX3-regX3遺伝子間領域をプローブとして用いて、サザンブロット分析によりすべての場合において確かめた。
増幅されたフラグメントの長さは表3に示される。異なったアンプリコン長さを有する8種の異なったグループが得られた。試験されたM.ツベルキュロシスの35の臨床学的単離物のうち、34の単離物が、M.ツベルキュロシス22962067(IPL)(グループ5)の対照株により得られるフラグメントとは区別され得なかった329個の塩基対のPCRフラグメントを付与した。M.ツベルキュロシスの1つの株(No.19)は、254個の塩基対のPCR生成物を付与した(グループ8)。M.ツベルキュロシスS200はまた、グループ5に属する。
ベトナム人からで、そしてIS6110配列を含まないM.ツベルキュロシスの株(V.808,V.761及びV.729)は、主要M.ツベルキュロシスグループ(グループ5)とは異なった。それらのPCR生成物の長さは、500個の塩基対を越えた(+/−500個の塩基対の1つの生成物、及び560個の塩基対の2つの生成物)。M.ツベルキュロシスH37Ra及びH37Rvの実験用株は、M.ツベルキュロシスの株のグループ5において得られた生成物よりもわずかに長いPCR生成物を有し、そしてそれらの2種の株はグループ4間で分類される。それらの2種の株は、H37Rvに関する不確かな病原性及びH37Raの病原性の損失が関係される限り、特殊である。さらに、M.ツベルキュロシスの臨床学的症例はグループ4,6,8に存在せず;従って、それらの3種のグループは非ビルラント株に対して特異的である。
BCG株(BCGitesの臨床学的症例のワクチン株及び単離物)は3種のグループ(No.4,6及び8)に分けられた。それらの株から得られるPCR生成物は、それぞれ長さ353個、276個及び199個の塩基対を有した。
PCRフラグメントの長さのレベルでの最とも重要な変動性は、M.ボビスの非BCG株に関して遭遇した。対照株AN5を包含する、それらのうち3種の株は、406個の塩基対のPCR生成物を付与した(グループ3)。3種の他の株は、それぞれ500、及び329又は254個の塩基対のPCRフラグメントに対応する、グループ2,5及び7にグループ分けられた。
増幅されたDNAフラグメントは、senX3-regX3シストロン間領域、及びこの上流の56個の塩基対及び下流の62個の塩基対を含んで成る。矢印77及び53は、個々のグループに見出される反復された要素を示す。シストロン間領域が配列決定されている株は下線が引かれている。
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配列表
(1)一般情報:
(ii)発明の名称:M.ツベルキュロシスの特異的核酸のフラグメント
(iii)配列の数:2
(2)配列番号1についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:77個の塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(vi)直接の起源:
(A)生物名:マイコバクテリウム ツベルキュロシス
(xi)配列:配列番号1:
(2)配列番号2についての情報:
(i)配列の特徴:
(A)長さ:53個の塩基対
(B)型:核酸
(C)鎖の数:一本鎖
(D)トポロジー:直鎖状
(ii)配列の種類:DNA(ゲノム)
(vi)直接の起源:
(A)生物名:マイコバクテリウム ツベルキュロシス
(xi)配列:配列番号2
Claims (27)
- 配列番号1の配列もしくは配列番号2の配列又はそれらの相補的配列から選択されたヌクレオチドの配列から成る、M.ツベルキュロシス複合体(Micobacterium tuberculosis complex)に属するマイコバクテリアに対して特異的な核酸。
- 配列番号1の配列又はその相補的配列から選択されたヌクレオチド配列から成る、M.ツベルキュロシス複合体に対して特異的な核酸。
- 配列番号2の配列又はその相補的配列から選択されたヌクレオチド配列から成り、BCGとは異なる、M.ツベルキュロシス複合体のメンバーに対して特異的な核酸。
- 請求の範囲第1項〜第3項のいずれか1項記載の核酸の配列を含むクローニング及び/又は発現ベクター。
- 寄託番号I-1765又はI-1766としてCNCMに寄託されたプラスミドである請求の範囲第4項記載のベクター。
- 請求の範囲第1項記載の配列のいずれか1つから成る核酸にハイブリダイズし、且つ最大218塩基対で、少なくとも24個のヌクレオチドのヌクレオチドプローブ又は少なくとも19個のヌクレオチドのヌクレオチドプライマー。
- 請求の範囲第1項記載の核酸の配列から選択された24個の連続するヌクレオチドを含んで成る請求の範囲第6項記載のヌクレオチドプローブ。
- 配列番号1の配列又はその相補的鎖から成る請求の範囲第6項記載のヌクレオチドプローブ。
- 配列番号1の配列、続いて配列番号2の配列の2つの連続した配列から成る請求の範囲第6項記載のヌクレオチドプローブ。
- 位置40〜42でのGAGコドンを取り囲む配列番号2の配列に対応する領域の最大218塩基の配列、又はその相補的鎖から成り、BCGとは異なる、M.ツベルキュロシス複合体のメンバーの核酸の特異的配列の検出のための少なくとも24個のヌクレオチドのヌクレオチドプローブ。
- 配列番号2の配列の特異的位置40〜42でのGAGコドンの上流の9個の塩基対及びその下流の9個の塩基対から構成される配列から成る請求の範囲第10項記載のヌクレオチドプローブ。
- 配列番号2の配列又はその相補的鎖から成る請求の範囲第10項記載のヌクレオチドプローブ。
- ジゴキシゲニンによりラベルされる請求の範囲第6項記載のヌクレオチドプローブ。
- senX3の3′側領域及びregX3の5′側領域における、senX3-regX3遺伝子間領域に隣接する配列に対応するヌクレオチド配列を含んで成る、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの特異的ヌクレオチド配列の増幅のための少なくとも19個のヌクレオチドのヌクレオチドプライマー。
- 19個のヌクレオチドを含んで成る請求の範囲第14項記載のプライマー。
- 配列:5′GCGCGAGAGCCCGAACTGC 3′及び5′GCGCAGCAGAAACGTCAGC 3′を含む請求の範囲第14項記載のプライマー。
- 診断ヌクレオチドプローブ、又は酵素的増幅方法に使用され得るヌクレオチドプライマーの生成のための請求の範囲第1項記載の配列の使用。
- M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの株の検出のためのインビトロの道具としての請求の範囲第6〜13のいずれか1項記載のプローブの使用。
- 生物学的サンプルにおけるM.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの株の検出方法であって、下記段階:
(i)前記生物的サンプルと、請求の範囲第6,14〜16のいずれか1項記載の一対のプライマーとを、M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリアの株の特異的核酸に対して前記プライマーのハイブリダイゼーションを可能にする条件下での接触せしめ、
(ii)前記核酸を増幅し、
(iii)請求の範囲第6〜13のいずれか1項記載のヌクレオチドプローブと前記生物学的サンプルとを、前記プローブと前記増幅された核酸配列との間でのハイブリダイゼーション複合体の形成を可能にする条件下での接触せしめ、そして
(iv)形成されるハイブリダイゼーション複合体を検出する、
ことを含んで成る方法。 - 前記段階(iii)を請求の範囲第8項記載のヌクレオチドプローブにより実施する請求の範囲第19項記載の方法。
- 請求の範囲第19項記載の生物学的サンプル中のBCG以外のM.ツベルトキュロシス複合体のメンバーの存在の検出方法であって、前記段階(iii)を請求の範囲第10項記載のヌクレオチドプローブにより実施することを特徴とする方法。
- 生物学的サンプル中のBCG及びM.ツベルキュロシス複合体の他のメンバーの検出及び分別の方法であって、請求の範囲第20項記載の検出方法を実施すること、並びにハイブリダイゼーション複合体を形成できる増幅された核酸間で、請求の範囲第10項記載のヌクレオチドプローブとハイブリダイゼーション複合体を同様に形成できる核酸を見出すために調査を実施すること、を特徴とする方法。
- 免疫欠損対象においてM.ツベルキュロシス複合体のビルレントマイコバクテリウムによる感染とBCGによる感染とを識別するための請求の範囲第21又は22項記載の方法。
- 前記免疫欠損対象がHIVに感染した対象である請求の範囲第23項記載の方法。
- M.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリウムのグループの同定方法であって、
(1)請求の範囲第6,14〜16のいずれか1項記載の一対のプライマーにより前もって抽出された前記株のDNAと、請求の範囲第1項記載の配列の1つとをプライマーとの特異的ハイブリダイゼーションを可能にする条件下で接触せしめ、そして増幅生成物を獲得し、そして
(2)前記得られる増幅生成物の長さを測定する、
ことを特徴とする方法。 - 請求の範囲第16項記載の一対のプライマーを使用する請求の範囲第25項記載の方法。
- 生物学的サンプル中のM.ツベルキュロシス複合体に属するマイコバクテリウムの株のインビトロ同定のためのキットであって、
(1)請求の範囲第6,14〜16のいずれか1項記載の一対のプライマー;及び
(2)核酸の配列の増幅を可能にするために必要な試薬;
を含んで成るキット。
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