JP4176191B2 - 弛み緊張機構を持つウェブ送り装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は,ウェブを送る第1送り機構と,第1送り機構によるウェブ送り態様と異なる送り態様でウェブを送る第2送り機構との間のウェブの送り経路中に配設されて,両送り機構によるウェブの送り量の差を吸収する弛み緊張機構を備えたウェブ送り装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来,包装装置で包装物を包装するのに用いられる包装フィルムは,通常,連続的な包装動作を行うために,ロール状に巻き取られた包装フィルムロールから,包装に必要な長さ分だけ,次々に繰り出されて使用されている。連続的な包装動作としては,一定の速度で繰り出された包装フィルムをそのままの移動速度を保ちながら包装動作を行う形態と,間欠的な包装動作を繰り返す形態とがある。前者の包装形態では,包装フィルムの走行速度は一定であるので,その速度を維持するように包装フィルム走行手段を制御すればよい。しかしながら,後者の包装形態では,包装フィルムは間欠的に走行することになり,包装動作を実行するステーションにおいては,包装フィルムは走行と停止を繰り返す。一方,フィルムロールは一般に回転慣性が大きく,包装動作に同期して回転と停止を繰り返す制御を正確に行うことは困難である。そのため,包装フィルムロールからの包装フィルムの繰り出しについては,包装フィルムロールの回転と停止とを頻繁に繰り返すことがないように,包装フィルムロールからの包装フィルムの繰出しを所定の速度での連続的な繰出しとし,かかる連続的な包装フィルムの送り量と包装ステーションにおける間欠的な包装フィルム送りによる送り量との差異を,ダンサローラ等のフィルムテンション機構で吸収することが行われている。
【0003】
ダンサローラ等のフィルムテンション機構の一例として,例えば,周知・慣用技術集(包装産業)(特許庁公報,昭53.12.20発行,53−219〔2568〕第20頁)には,スリーブ包装機において,フィルムにテンションを与えるテンションレバーが開示されている。このスリーブ包装機においては,被包装物をスリーブ状に被覆する上下のフィルムは,それぞれテンションレバーの揺動時にのみ,モータによってフィルムドライブローラを駆動し,必要な分だけフィルムを繰り出して,被包装物をタイトに包装される。
【0004】
ダンサローラ等のフィルムテンション機構の他の例として,周知・慣用技術集(続編・包装産業)(特許庁公報,昭56.2.24発行,56(1981)−35〔3017〕第99頁)には,半積極的フィルム捲出装置において,テンションローラガイドに昇降するように配設されたテンションローラが開示されている。このフィルム捲出装置においては,フィルムの張力が低下してテンションローラが下降すると,リミットスイッチがOFFとなり,フィルムの捲出が停止される。包装すべき製品の供給によってフィルムが引っ張られ,張力によってテンションローラが上方に持ち上がることでリミットスイッチがONとなると,モータが駆動され,フィルムが引っ張られた分だけ駆動ローラがフィルムロールから積極的にフィルムを捲き出す。
【0005】
また,特開昭62−158629号公報には,繰出し部の引出し方向下流側にテンションレバーを上下に揺動自在に設けて,テンションレバーに軸支した回転自在な複数のテンションローラにそれぞれ対向して配設された複数のガイドローラとに亙ってウェブを架け渡し,テンションレバーやテンションローラの重量でウェブに一定の張力を与えると共に,ウェブの間欠引出しに伴いテンションレバーが揺動したときに,かかる揺動をセンサで感知して繰出し部を作動させることにより,ウェブロールからウェブを繰り出して下流側へ供給してテンションレバーを初期状態に戻し,それにより,ウェブの引出し力を軽減しながらウェブを常時緊張させる包装材繰出し装置が開示されている。ウェブロールから供給されるレジマーク付きのウェブは,ウェブ移送経路上の固定位置にレジマークを検出するセンサを配設し,該センサの検出動作によって繰出し手段の駆動部を停止動作させて,ウェブの停止タイミングを変更可能として模様合わせの設定又は調整操作を簡便にしている。ウェブの間欠引出しは,チューブ成形体の外周においてウェブから形成されたチューブの外周に接触する繰出しベルトによって行われる。テンションレバーは,ウェブのバッファの役目をすると共に,テンションレバーの移動によって,フィルムロールからウェブ引き出す力を軽減する補助用繰出しローラの駆動部がON,OFFされる。
【0006】
更に,特開平4−182250号公報には,ウェブロールからウェブが間欠的に引き出される引出し路の途中に,ウェブの引出しに伴って作動してウェブを引出し方向へ繰り出す吸引繰出し部を配設したウェブ供給装置が開示されている。吸引口から吸気しその負圧でウェブを吸気室の内方へU字状に吸い込むことにより,ウェブに一定の張力が与えられる。ウェブの間欠引出しに伴ないU字状ウェブが開口部の下流からその幅方向へ位置決めされて引き出され,該U字状ウェブの嵌入深さが浅くなったことを検出器が検出することにより,繰り出し部を作動開始させてウェブが繰り出され,U字状ウェブの嵌入深さが一定に保持される。
【0007】
従来のテンション機構は,例えば,図3に示す製袋充填機20において,フレームの両サイドに上下方向に延びる溝34を設け,包装フィルム40が巻き掛けられるダンサローラ33の両端支軸を溝34に沿って上下するように案内する構造が採用されている。また,ダンサローラ33の移動量に応じて作動するセンサ35を配置して,包装フィルム40の繰出し量が減少すると,第1送り機構に相当する送りローラ36のモータ37を作動させて包装フィルム40を所定の速度で包装フィルムロール38から繰り出している。ダンサローラ33の両端支軸を溝34に沿って上下方向に案内する型式のものでは,溝案内機構(例えば,フレーム側に固定されたラックに噛み合うピニオン)をダンサローラ33の両端に設ける必要があるため,機構が複雑化すると共に機構の重量が重くなる。そのため,ウェブ材を使用する装置全体の製造コストが上昇すると共に,テンション機構を組み込むときの取扱いを困難にしている。更に,包装フィルム40には,重量が重くなったダンサローラ33の重量が作用し,必要以上のテンションを与えるおそれがあると共に,左右の溝案内機構がパランス良く作動しないと,包装フィルム40に蛇行や無理な力が作用する懸念もある。
【0008】
製袋充填機20は,ウェブ状の包装フィルム40をフォーマ22によって形成した筒状のフィルムを製筒用円筒体21の外側を走行させ,筒状の包装フィルム40に縦シール手段24と横シール手段25によって縦及び横の各シールを施して袋26を形成し,製筒用円筒体21の上方から包装物27を投下・充填して包装体を製作するものである。包装フィルム40上のレジマークはセンサ28で検出され,ロータリエンコーダ29が包装フィルム40の長さを測定している。これらの情報は,制御装置30に入力されて,ベルト送り手段23の駆動源であるモータ31の出力軸に配設されているブレーキ・クラッチ32を制御している。
【0009】
更に,従来のダンサローラ33では,包装フィルム40の張力とダンサローラ33の重量とのバランスで,ダンサローラ33が上下動するのであるが,両サイドのフレームの溝34にダンサローラ33の軸を溝案内機構によって案内させていることに起因して,かかる嵌合部に摩擦力が作用し,この摩擦力によって上記のバランスが乱れ,一定寸法の包装フィルム40を繰り出すことが困難である。即ち,図3における製袋充填機20を例に取ると,包装フィルム40を送り出す第2送り機構は,包装フィルム40を筒状に形成する製筒用円筒体21の外側に配置されて,包装フィルム40を間に挟み,包装動作に同期して間欠的に送るベルト送り手段23である。包装フィルム40の材質によっては,製筒用円筒体21の外側面と包装フィルム40との間に作用する摩擦力が異なり,上記の溝34とダンサローラ33の軸との間に大きな摩擦力が生じたときには,包装フィルム40のトータルとしての繰出し抵抗が増大してベルト送り手段23と包装フィルム40とがスリップし,包装フィルム40を一定寸法ずつ送り出すことができないことがある。その結果,包装フィルム40の繰り出し能力のアップに限界がある。また,ダンサローラ33の重量を軽くし過ぎると,ダンサローラ33が自重で降下せず,包装フィルム40の弛みを取り除く充分な張力が得られないという不都合がある。
【0010】
また,回動型のダンサローラを使用すると,ダンサローラの両端を案内する溝を必要としなくなるが,テンション作用を与えるために,ばね等の付勢手段を配設する必要があり,特にばねを使用する場合には,ダンサローラの位置に応じてばねの伸びが異なり,テンション力が一定でないという不具合がある。また,上記特開平4−182250号公報に記載されているような,負圧でウェブを吸気室の内部にU字状に吸い込む吸引式のウェブ供給装置では,吸引機構が大がかりな装置となり,やはり,全体として,機構が複雑化且つ重量化する。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】
この発明は,ウェブの連続的な送りと間欠的な送りのように,ウェブ送り態様に相違がある二つの送り機構と,両送り機構の間におけるウェブの送り経路に配設されてウェブの弛みを吸収する弛み緊張機構とから成る,弛み緊張機構を持つウェブ送り装置において,両端の軸を溝に案内したテンションローラを用いず,且つガイド構造を簡素化することで,弛み緊張機構を簡単な構造から構成すると共に,弛み緊張機構の作動をスムーズにしてウェブの送りを確実にし,軽量化に対しても柔軟に対応することが可能なウェブの送り装置を得る点で解決すべき課題がある。
【0012】
【課題を解決するための手段】
この発明の目的は,上記課題を解決することであり,弛み緊張機構を簡単な構造から構成し,且つ軽量化に対しても柔軟に対応することにより,ウェブの送り態様の相違に基づくウェブの弛みを,常にウェブに接触する弛み緊張バーを含む自重によって上下動する弛み緊張機構によって吸収し,且つウェブの送りに対する抵抗を軽減してスリップを生じさせることなく確実なウェブの送りを実現し,且つウェブ送りの高速化を図ることができるウェブの送り装置を提供することである。
【0013】
上記の課題を解決するため,この発明は次のように構成されている。即ち,この発明は,ウェブの送り経路の上流側に配設された第1送り機構,該第1送り機構の下流側に配設され且つ前記第1送り機構による前記ウェブの送り態様と異なる送り態様で前記ウェブを送る第2送り機構,及び前記両送り機構間の前記ウェブの送り経路中に配設されており前記両送り機構の前記送り態様の相違に基づく前記ウェブの送り量の差を吸収する弛み緊張機構から成るウェブ送り装置において,前記弛み緊張機構は,横方向に延び且つ前記ウェブが掛け渡される弛み緊張バー,該弛み緊張バーの中央部に直交して連結され且つ上方に延びるガイド棒,及び前記ガイド棒を昇降自在に案内する案内部材を備えていて,前記ウェブを前記弛み緊張バーと前記ガイド棒との重量によって緊張させており,前記弛み緊張機構は,更に,前記案内部材と一体に設けられた取付け部材に取り付けられており前記ガイド棒に取り付けられた検出体を前記弛み緊張バーの到達可能な限界位置で検出するセンサを備えており,前記弛み緊張バー,前記ガイド棒,前記案内部材及び前記取付け部材は,前記弛み緊張バーによってV字状に折り返される前記ウェブの狭間に配置されていることを特徴とする弛み緊張機構を持つウェブ送り装置に関する。
【0014】
この弛み緊張機構を持つウェブの送り装置においては,弛み緊張機構の前後流に配設された第1送り機構と第2送り機構のウェブ送り態様が互いに相違しているので,ウェブには,その送り量の差による弛みや張力が発生するが,ウェブの送り経路中に配設されている弛み緊張機構の弛み緊張バーとガイド棒との重量がウェブに作用し,且つガイド棒は案内部材によって昇降自在に案内されているため,弛み緊張機構によって弛みが吸収されるつと共に張力が緩和される。ウェブの張力が増大すると,弛み緊張バーがガイド棒と共に案内部材によって案内されつつ上昇し,ウェブの張力が減少すると,弛み緊張バーがガイド棒と共に下降する。特に,弛み緊張機構のガイド棒と案内部材とは,中央の一箇所にのみ配設されているので,弛み緊張機構の構造が簡単化されると共にウェブに作用する重量が軽減され,且つ弛み緊張バーは左右にバランス良くウェブに作用して弛み緊張機構の作動抵抗が少なくなる。また,案内部材と一体に設けられた取付け部材に取り付けられておりガイド棒に取り付けられた検出体を弛み緊張バーの到達可能な限界位置で検出するセンサを備えており,弛み緊張バー,ガイド棒,案内部材,及びセンサを取り付けた取付け部材が弛み緊張バーによってV字状に折り返されるウェブの狭間に配置されているので,弛み緊張機構をV字状に折り返されるウェブの狭間に省スペースで且つコンパクトに配置することができる。
【0015】
この弛み緊張機構を持つウェブの送り装置において,前記弛み緊張バー及び前記ガイド棒は,中実部材又は中空部材から形成することができる。中空部材を用いると軽量化が可能となり,結果として,弛み緊張機構によってウェブに与えられる張力を小さくすることが可能である。使用する材料との組合せを選択することで,一層軽量化が可能となる。なお,中実部材を用いれば,更に比重の大きい材料との組合せを選択することで,弛み緊張機構によってウェブに与えられる張力を大きくすることも可能である。
【0016】
この弛み緊張機構を持つウェブの送り装置において,前記案内部材は,前記ガイド棒を内部に昇降自在に収容する筒体で構成されている。ガイド棒を昇降自在に案内する案内部材も,パイプのような筒体とすることで,一般の機械素材から容易に製作することができる。
【0017】
この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置において,前記弛み緊張バーの前記限界位置は下限位置と上限位置とであり,前記センサが前記弛み緊張バーの前記下限位置又は前記上限位置を検出することに応じて,それぞれ前記第2送り機構による前記ウェブの送り量を前記第1送り機構による前記ウェブの送り量よりも多くし,又は少なくする。即ち,センサが弛み緊張バーの下限位置を検出すると,ウェブには弛みが生じているので,弛み緊張機構の後流に配設されている第2送り機構によるウェブの送り量を,弛み緊張機構の上流に配設されている第1送り機構によるウェブの送り量よりも多くしてウェブの弛みを無くす方向に両送り機構を作動させる。また,センサが弛み緊張バーの上限位置を検出すると,ウェブには張力が生じているので,弛み緊張機構の後流に配設されている第2送り機構によるウェブの送り量を,弛み緊張機構の上流に配設されている第1送り機構によるウェブの送り量よりも少なくしてウェブの張力を弱める方向に両送り機構を作動させる。
【0018】
この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置において,前記検出体は,前記案内部材に係止することにより,前記弛み緊張バー及び前記ガイド棒の落下を防止するストッパとしての機能を備えている。ガイド棒に取り付けられた検出体は,例えば,ガイド棒に嵌着されたカラーである。カラーは,ガイド棒と共に昇降し,案内部材と一体に設けられた取付け部材に取り付けられたセンサがカラーを検出することで,弛み緊張バーの下限位置と上限位置とを知ることができる。カラーは,案内部材に当衝することで,弛み緊張機構の落下を防止するストッパとしての働きもする。また,この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置は,前記ガイド棒の前記案内部材内での回転を規制して前記弛み緊張バーの振れ回りを防止する規制部材を備えることができる。
【0019】
この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置において,前記第1送り機構は前記ウェブを連続的に送る連続送り機構であり,前記第2送り機構は前記ウェブを間欠的に送る間欠送り機構である。第1送り機構によるウェブの送り態様は連続的な送りであり第2送り機構によるウェブの送り態様は,間欠的な送りである。両者の送り態様の相違による送り量の差は弛み緊張機構によって吸収される。
【0020】
更に,この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置において,前記ウェブは包装フィルムウェブであり,前記第1送り機構は包装フィルムロールから前記包装フィルムウェブを連続的に繰り出し,前記第2送り機構は包装物を前記包装フィルムウェブで包装する包装機の包装動作に関連して前記包装フィルムウェブを間欠的に送るものである。即ち,この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置は,包装機と組み合わせた,包装フィルムウェブの送り装置に適用することができる。この場合,第1送り機構は,包装フィルムロールから包装フィルムウェブを連続的に繰り出す繰出し機構とされ,第2送り機構は,包装物を包装フィルムウェブで包装する包装機の包装動作に関連して包装フィルムウェブを間欠的に送る間欠送り機構とされる。包装フィルムロールは,回転慣性が大きい場合があるので,回転と停止とを頻繁に繰り返すことは困難であり且つ好ましくないが,この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置を,包装機と組み合わされる包装フィルムウェブの送り装置に適用することで,包装フィルムロールから包装フィルムウェブを所定の速度で連続的に繰り出し,包装動作に関連して間欠的に送られる包装フィルムの送り量の差を弛み緊張機構によって吸収することができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下,添付図面を参照して,この発明による弛み緊張機構を持つウェブ送り装置の一実施例を説明する。図1はこの発明による弛み緊張機構を持つウェブ送り装置の一実施例の要部を示す側面図,図2は図1に示す弛み緊張機構を持つウェブ送り装置の要部の正面図である。なお,第1送り機構,第2送り機構及び両送り機構と弛み緊張機構との配置関係等については,例えば,図3に示した従来の送り装置と同様に,弛み緊張機構の上流側に包装フィルムを連続的に送る第1送り機構と,弛み緊張機構の下流側に包装フィルムを間欠的に送る第2送り機構とが配設されるものである。
【0022】
図1及び図2に示すように,ウェブとしての包装フィルム1が巻き取られた包装フィルムロール2は,包装機のフレーム3に取り付けられたロールブラケット3aに回転自在に支持されている。包装フィルム1の繰り出し当初の状態,即ち,包装フィルムロール2が最大径のときの状態が実線で描かれている。包装フィルム1を繰り出し尽くした状態,即ち,最小径の状態が想像線で示されている。包装フィルムロール2として巻き取られている包装フィルム1は,モータ18によって駆動される駆動ローラ17と,駆動ローラ17に対向して配設され且つフレーム3に取り付けられたブラケット4に回転自在に支持された従動ローラ5とに挟まれて繰り出され,弛み緊張機構6に掛け渡される。駆動ローラ17,モータ18及び従動ローラ5は,第1送り機構を構成している。第1送り機構は,包装フィルムロール2の軸を直接回転駆動するモータとすることもできるが,包装フィルムロール2の径に応じて駆動速度を変更する必要がある。第1送り機構によって,包装フィルム1は,包装フィルムロール2から所定の繰出し速度でもって繰り出される。
【0023】
弛み緊張機構6は,横方向に延び且つ包装フィルム1が掛け渡される弛み緊張バー7と,弛み緊張バー7の長手方向中央部から上方に延びるガイド棒8とを含んでいる。弛み緊張バー7とガイド棒8とは,例えば,溶接によって一体的に連結されており,全体として,逆T字形の形状を有している。ガイド棒8の上端には,センサが検知する検知体としてのカラー9が,例えば,ねじ等の固着手段によって取り付けられている。カラー9は,後述するように,弛み緊張機構6の落下を防止するストッパとしての働きもする。
【0024】
フレーム3に固定されたブラケット3bには,水平に延びるように支持扞10が固定されており,支持扞10の先端には,ガイド棒8を内部で昇降自在に案内する案内部材としての案内パイプ11が溶接等で取り付けられている。したがって,弛み緊張機構6は,弛み緊張バー7とガイド棒8との重量によって,常にガイド棒8が案内パイプ11内を下降する態勢に置かれている。図2では,弛み緊張機構6については,カラー9がストッパとなって案内パイプ11の上端に係止している最下降位置にある状態が実線で描かれており,最も上昇した状態が想像線で描かれている。弛み緊張バー7で折り返された包装フィルム1は,フレーム3に取り付けられたブラケット15に支持された案内バー16と摺接案内されて,更に下流に配設された印字処理,レジマークセンサの検出等の各種の処理器において,それぞれの処理が施される。なお,ガイド棒8を中空パイプに構成し,案内パイプ11をその中空パイプ内に嵌合するものに構成してもよい。
【0025】
弛み緊張機構6の弛み緊張バー7とガイド棒8とは,中実部材とすることも,中空部材とすることもできる。また,弛み緊張バー7とガイド棒8との材料は,ウェブの材料やウェブに作用させる力の大きさに応じてステンレス製,アルミニウム製,合成樹脂製等とすることができる。ウェブである包装フィルム1に付与すべき張力の大小に応じて,弛み緊張バー7とガイド棒8との重量及び材質を決定することができ,軽量化に柔軟に対応することができる。即ち,弛み緊張の目的を達成するには,吸収すべき弛みが生じたときにその弛みを吸収すれば良く,ウェブに積極的にテンションをかける必要がないので,弛み緊張バー7とガイド棒8との重量を軽量に構成することが望まれる。また,そのように構成すると,ウェブに過剰な張力が生じたときには,弛み緊張バー7とガイド棒8とが変位してウェブの張力を緩和することができる。また,弛み緊張バー7は,包装フィルム1に対して転がり接触するローラ構造を有していてもよいが,構造が複雑になるため,ウェブがバーの表面をそのまま摺動接触させて弛み緊張バー7の構造を簡素にすることが好ましい。弛み緊張バー7の包装フィルム1に対する摺接面には,テフロン等の低摩擦材料をコーティングする等の処理が施すこともできる。また,ガイド棒8と案内パイプ11との間の嵌合部においても,ガイド棒8が案内パイプ11内をスムーズに上下動できるように,低摩擦処理を施しておくのが好ましい。
【0026】
支持扞10の先端近傍にはセンサ取付け部材であるセンサ取付け扞12の下端が固定されており,したがって,センサ取付け扞12は,安定パイプ11と一体的に設けられている。センサ取付け扞12は,ガイド棒8が案内パイプ11内を上下方向に案内される経路に平行に延びている。センサ取付け扞12には,弛み緊張機構6が最下降位置にあるときのカラー9を検知する位置に下限センサ13が取り付けられており,弛み緊張機構6が最上昇位置にあるときのカラー9を検知する位置に上限センサ14が取り付けられている。下限センサ13と上限センサ14とのセンサ取付け扞12に対する取り付け位置は,変更可能である。
【0027】
弛み緊張機構6によれば,包装フィルム1は,第1送り機構によって,包装フィルムロール2から所定の繰出し速度で繰り出される。包装フィルム1は,弛み緊張機構6の下流に配設された包装装置,例えば,図3に示すような縦型製袋充填装置の製筒体の外周において第2送り機構としてのベルト送り手段によって,間欠的に送られる。所定の繰出し速度による包装フィルム1の繰出し量と,ベルト送り手段による間欠的な送り量との差に相当して包装フィルム1に生じる弛み又は張力は,弛み緊張バー7の昇降によって吸収または緩和される。弛み緊張バー7及びガイド棒8とが軽量化されているので,包装フィルム1には,弛み緊張バー7及びガイド棒8との重量に対応した張力が生じても,過大な張力になることはない。
【0028】
弛み緊張機構6の弛み緊張バー7及びガイド棒8とは,全体として逆T字状の形状を有しているので,弛み緊張機構6を一つの縦面内に配置することができる。包装フィルム1は,弛み緊張バー7で先端が尖ったV字状に折り返すことができ,そのV字状の狭間の中に,弛み緊張バー7,ガイド棒8,支持扞10及び案内パイプ11等から成る弛み緊張機構6をコンパクトに且つ省スペースに配設することができ,弛み緊張機構6の構成部品を包装フィルム1を挟んで配置させることがない。また,かかる配置によって,弛み緊張バー7とガイド棒8とが昇降しても,包装フィルム1の上方にV字状に開く角度が殆ど変化しない。その結果,包装フィルム1に与えられる張力に大きな変化が生じず,且つV字状に開く角度が大きい場合と比較して,包装フィルム1に生じる張力を低く押さえることができる。また,ガイド棒8は,弛み緊張バー7に対してその長手方向中央位置において固定されているので,弛み緊張バー7の左右のバランスが安定している。更に,案内パイプ11がガイド棒8を案内するので,設置位置が1箇所で済む。その結果,弛み緊張機構6については,構造が簡素化され,且つ重量が軽量化される。
【0029】
包装フィルム1が弛んで弛み緊張バー7が最下降位置に来ると,センサ取付け扞12に取り付けられた下限センサ13がガイド棒8の上端に取り付けられたカラー9を検知し,包装フィルムロール2からの繰出しが停止される。その後,包装機において包装フィルム1が間欠的に使用されて,下限センサ13がカラー9を検知しなくなると,包装フィルムロール2からの繰出しが再開される。包装フィルム1の繰り出し量よりも間欠送り量が増大すると,包装フィルム1の張力が増大して,弛み緊張バー7とガイド棒8との重量に抗して弛み緊張バー7を持ち上げる。弛み緊張バー7が最上昇位置に来ると,センサ取付け扞12に取り付けられた上限センサ13がカラー9を検知し,第1送り機構による包装フィルムロール2からの繰出し速度が増速される。包装フィルムロール2の繰出し速度を変更するのに加えて,包装機に関連して配設された包装フィルム1の第2送り機構による包装フィルム1の送り速度を増減してもよい。
【0030】
ガイド棒8と案内パイプ11とは,単に互いに嵌合しているのみで,ガイド棒8の回転を規制していない。そのため,ガイド棒8が回転して弛み緊張バー7が振れ回ろうとするときに,弛み緊張バー7の各端部7aが当接して弛み緊張バー7の振れ回りを防止することが好ましい。規制部材19は,弛み緊張バー7の両端部7aに近接して且つ弛み緊張バー7の昇降範囲に渡って端部7aを挟むように対向して立設された一対の棒状部材から成る。したがって,弛み緊張バー7がどの昇降位置にあっても,規制部材19によって弛み緊張バー7の振れ回りが防止される。なお,規制部材19については,一方の端部7aのみを挟むように配設してもよく,或いは弛み緊張バー7の一方の側(例えば,図1において緊張バー7の左右いずれかの側)のみにおいて両端部7aに近接して配設してもよい。
【0031】
この弛み緊張機構を持つウェブ送り装置は,包装機に関連して用いられ,繰り出されるウェブを包装フィルムとしたが,これに限られることはなく,ウェブを間欠的に送る装置であれば,どのような装置にでも適用できる。包装機としては,製袋充填機に限らず,ピロー包装機,上包み機等の各種の包装機に適用されるものである。特に,ウェブの供給ピッチがずれると問題が発生するようにな装置に対しては,特に有効である。また,ウェブ材としては,包装フィルムに限らず,紙,布,金属箔等の各種のウェブの繰り出しに利用することができる。
【0032】
【発明の効果】
この発明による弛み緊張機構を持つウェブ送り装置は,以上のように構成されているので,次のような効果を奏する。先ず,この発明によれば,ウェブに対する弛み緊張機構が簡略化される。即ち,従来のテンション機構に見られるように,フレームの両サイドに設けた溝にテンションローラ(或いは,テンションバー)の軸を溝に嵌合,或いはテンションローラの両端をラック・ピニオン機構で案内させたもの等と比較すると,T字形パイプの垂直部分であるガイド棒を1箇所で垂直方向に案内させる機構を要するのみであり,構造が簡略化され,弛み緊張機構の全体の重量が軽量化される。その結果,部品点数が減少し,製作が簡単で製作コストも低減し,且つ取扱いやメンテナンスが容易である。また,軽量な機構とすることができるので,弛み緊張機構の後流に配設される第2送り機構によるウェブの送りに抵抗があっても,弛み緊張機構における抵抗との総抵抗が少なくなり,第2送り機構によるウェブ送りにスリップが生じることがなく,ウェブの送りを高速化することができ,厚手のフィルムや逆に薄手のフィルムについても,弛みや過大な張力を生じさせることなく,確実に送ることができる。更に,弛み緊張機構の主要な構成部品である弛み緊張バー,ガイド棒,案内部材及び取付け部材は,弛み緊張バーによってV字状に折り返されるウェブの狭間に省スペースに非常にコンパクトに配置することができる。即ち,弛み緊張機構の構成部品をウェブを挟んで配置させる必要がなく,ロールから送り出したウェブに対して完全に一方側のみからの組付け・配置となり,メンテナンスについても簡素化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明による弛み緊張機構を持つウェブ送り装置の一例の要部を示す側面図である。
【図2】図1に示す弛み緊張機構を持つウェブ送り装置の要部の正面図である。
【図3】従来のテンション機構を持つウェブ送り装置を示す概略図である。
【符号の説明】
1 包装フィルム
2 包装フィルムロール
3 フレーム
5 案内ローラ
6 弛み緊張機構
7 弛み緊張バー
8 ガイド棒
9 カラー
10 支持扞
11 案内パイプ
12 センサ取付け扞
13 下限センサ
14 上限センサ
Claims (7)
- ウェブの送り経路の上流側に配設された第1送り機構,該第1送り機構の下流側に配設され且つ前記第1送り機構による前記ウェブの送り態様と異なる送り態様で前記ウェブを送る第2送り機構,及び前記両送り機構間の前記ウェブの送り経路中に配設されており前記両送り機構の前記送り態様の相違に基づく前記ウェブの送り量の差を吸収する弛み緊張機構から成るウェブ送り装置において,
前記弛み緊張機構は,横方向に延び且つ前記ウェブが掛け渡される弛み緊張バー,該弛み緊張バーの中央部に直交して連結され且つ上方に延びるガイド棒,及び前記ガイド棒を昇降自在に案内する案内部材を備えていて,前記ウェブを前記弛み緊張バーと前記ガイド棒との重量によって緊張させており,
前記弛み緊張機構は,更に,前記案内部材と一体に設けられた取付け部材に取り付けられており前記ガイド棒に取り付けられた検出体を前記弛み緊張バーの到達可能な限界位置を検出するセンサを備えており,
前記弛み緊張バー,前記ガイド棒,前記案内部材及び前記取付け部材は,前記弛み緊張バーによってV字状に折り返される前記ウェブの狭間に配置されていること
を特徴とする弛み緊張機構を持つウェブ送り装置。 - 前記案内部材は,前記ガイド棒を内部に昇降自在に収容する筒体であることを特徴とする請求項1に記載の弛み緊張機構を持つウェブ送り装置。
- 前記弛み緊張バーの前記限界位置は下限位置と上限位置とであり,前記センサが前記弛み緊張バーの前記下限位置又は前記上限位置を検出することに応じて,それぞれ前記第2送り機構による前記ウェブの送り量を前記第1送り機構による前記ウェブの送り量よりも多くし,又は少なくすることを特徴とする請求項1又は2に記載の弛み緊張機構を持つウェブ送り装置。
- 前記検出体は,前記案内部材に係止することにより,前記弛み緊張バー及び前記ガイド棒の落下を防止するストッパとしての機能を備えていることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の弛み緊張機構を持つウェブ送り装置。
- 前記ガイド棒の前記案内部材内での回転を規制して前記弛み緊張バーの振れ回りを防止する規制部材を備えていることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の弛み緊張機構を持つウェブ送り装置。
- 前記第1送り機構は前記ウェブを連続的に送る連続送り機構であり,前記第2送り機構は前記ウェブを間欠的に送る間欠送り機構であることを特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載の弛み緊張機構を持つウェブ送り装置。
- 前記ウェブは包装フィルムウェブであり,前記第1送り機構は包装フィルムロールから前記包装フィルムウェブを連続的に繰り出し,前記第2送り機構は包装物を前記包装フィルムウェブで包装する包装機の包装動作に関連して前記包装フィルムウェブを間欠的に送ることを特徴とする請求項6に記載の弛み緊張機構を持つウェブ送り装置。
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