JP4175945B2 - 微振動電気ドリル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、微振動電気ドリルに関するものである。
【0002】
【従来の技術】
コンクリートやタイルなどの固い物質に穴あけ作業を行う場合には、乾式ドリル(特許文献1)や振動ドリルなどが用いられている。
【0003】
振動ドリルにおける従来の振動発生手段は、ドリルチャックの先端に設けられている。この振動発生手段は、その構造により外郭部はドリルの先端の回転に伴い回転する構造となっている。そのため、この外郭部が回転すると微振動の機能が働かないため、この外郭部の回転を止めるために回り止め棒が設けられ、この回り止め棒を作業者が手に持って回り止めを行い、微振動を発生させている。
【0004】
また、従来の振動発生手段では、微振動のタイミングは機構部の各部品の隙間の寸法により決定され、常に一定である。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−96525
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら上記構成の回り止め棒を有する振動ドリルであると、使用中はその回り止め棒が障害となり、振動ドリルの起動時には回り止め棒を固定しておかないと、回り止め棒が回転してしまい危険である。
【0007】
また、上記したように微振動のタイミングは設計上決まったタイミングとなっているため、必要に応じてタイミングを変更することができない。
【0008】
そこで、本発明は上記問題点に鑑み、回り止め棒が不要な微振動発生手段を有する微振動電気ドリルを提供すると共に、また、微振動のタイミングを変更することができる微振動電気ドリルも提供するものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
請求項1の発明は、出力軸を回転させる駆動源であるモータと、前記モータの回転軸の回転をギアによって減速させて、前記出力軸に伝達する減速手段と、前記出力軸を回転させつつ軸方向に微振動させる微振動発生手段と、前記出力軸に設けられ、かつ、工具を保持する工具保持手段と、を有し、少なくとも前記モータと前記減速手段と前記微振動発生手段とを微振動電気ドリルのフレームに収納し、前記フレームはハンドルを有する微振動電気ドリルにおいて、棒状のスピンドルが前記減速手段のギアに螺合して回転し、前記スピンドルの先端が前記出力軸に連結され、円筒状のブッシュの内周に前記スピンドルが軸方向に移動自在に配され、前記ブッシュは軸受け手段によって前記フレームに対して回転自在に配され、前記スピンドルの中程には円錐台形状のスピンドル側摺動面が形成され、前記スピンドル側摺動面と相対向する前記ブッシュの端面にも円錐台形状のブッシュ側摺動面が形成され、前記スピンドル側摺動面と前記ブッシュ側摺動面の間には複数の小球が介在され、前記複数の小球が挿入される挿入穴を有し、前記複数の小球の位置関係を保持するリング状のリテーナが前記スピンドルの外周に配され、前記複数の小球を前記スピンドル側摺動面と前記ブッシュ側摺動面の間で保持するリング状のカラーが前記リテーナの外周で、前記複数の小球を囲むように、かつ、前記フレームの内側に配され、前記スピンドル側摺動面、または、前記ブッシュ側摺動面のどちらか一方に前記小球が嵌り込む微振動凹部が形成され、前記微振動発生手段は、前記スピンドルが回転することによって前記複数の小球が前記スピンドル側摺動面と前記ブッシュ側摺動面の間で回転し、前記複数の小球が前記微振動凹部に嵌り込むと前記スピンドルが軸方向に微振動する構成であり、前記微振動発生手段が前記減速手段より前記スピンドルの先端側に設けられていることを特徴とする微振動電気ドリルである。
【0010】
請求項2の発明は、前記リング状のカラーの内周面には、軸方向に沿って傾斜する傾斜面が形成され、前記複数の小球を前記傾斜面が囲むように前記カラーが配され、前記カラーが軸方向に移動自在で、かつ、所定の位置で前記フレームに固定されることを特徴とする請求項1記載の微振動電気ドリルである。
【0011】
【作 用】
請求項1の微振動電気ドリルであると、微振動発生手段は、モータの回転によってスピンドルが回転することによって複数の小球がスピンドル側摺動面とプッシュ側摺動面との間で回転し、複数の小球が微振動凹部に嵌り込むとスピンドルが軸方向に微振動するものである。この場合に、複数の小球の外周部分に位置するカラーも回転することとなり、その回転に伴ってフレームも回転しようとするが、フレームは作業者が保持しているため、フレームは回転することなく微振動を確実に起こすことができる。
【0012】
請求項2の微振動電気ドリルであると、カラーを軸方向に移動させることにより、カラーの内周面にある傾斜面と複数の小球との位置関係が変化し、これによって複数の小球が微振動凹部に嵌り込む状態が異なり、微振動のタイミングを変更することができる。
【0013】
【発明の実施の形態】
(第1の実施形態)
以下、本発明の第1の実施形態の微振動電気ドリル1について、図1から図3に基づいて説明する。
【0014】
(1)微振動電気ドリル1の全体の構成
まず、微振動電気ドリル1の全体の構成について図3に基づいて説明する。
【0015】
微振動電気ドリル1のフレーム7は、ピストル形状をなし、ハンドル8を有している。
【0016】
フレーム7内部には、この微振動電気ドリル1の駆動源であるモータ2と、モータ2の回転を減速させる減速機構部3と、微振動を発生させる微振動発生部4と、ハンドル8の付け根に設けられた電源の入り切りを行うスイッチ部5と、工具を保持する工具保持部9とから構成されている。
【0017】
フレーム7は、前側フレーム11と、ハンドル8が設けられている後側フレーム12とに分割可能となっている。この後側フレーム12にモータ2が内蔵され、前側フレーム11には減速機構部3と微振動発生部4が内蔵され、その先端に工具保持部9が取付けられている。
【0018】
前側フレーム11にある微振動発生部4には、前側ハンドル10が設けられている。
【0019】
(2)減速機構部3の構成
次に、減速機構部3の構成について、図1に基づいて説明する。
【0020】
図1は、前側フレーム11の縦断面図である。
【0021】
減速機構部3は、第1ギア14、第2ギア16、伝達軸18、第3ギア20とより構成されている。
【0022】
モータ2の回転軸に連結され、かつ、ベアリング22を介して回転自在に配されている第1ギア14には、伝達軸18の後端部にある第2ギア16が螺合している。
【0023】
伝達軸18は、ベアリング19,19によって回転自在に前側フレーム11に取付けられ、この伝達軸18の前端部には第3ギア20が同軸に固定されている。
【0024】
第3ギア20には、微振動発生部4のスピンドル26と同軸に固定されている第4ギアが螺合している。
【0025】
以上により、モータ2の回転軸が回転すると、第1ギア14、第2ギア16、第3ギア20、第4ギア24を介してスピンドル26が所定の回転数に減速して回転する。
【0026】
(3)微振動発生部4の構成
次に、微振動発生部4の構成について、図1及び図2に基づいて説明する。
【0027】
図1は、前記したように前側フレーム11の縦断面図であり、図2は、図1におけるA−A線断面図である。
【0028】
上記で説明した棒状のスピンドル26が、前側フレーム11の上部における内部に、回転自在にかつ軸方向に移動自在に配されている。
【0029】
すなわち、棒状のスピンドル26は、円筒状のブッシュ28の内側に挿入され、このスピンドル26がブッシュ28に対し軸方向に移動自在であり、かつ、スピンドル26はブッシュ28に対し回転不能となっている。
【0030】
円筒状のブッシュ28は、前側フレーム11に固定されているベアリング30によって前側フレーム11に対し回転自在となっている。これによって、スピンドル26は、前側フレーム11に対し回転自在で、かつ、軸方向に移動自在となっている。
【0031】
スピンドル26の前端部は前側フレーム11から突出し、その先端部に出力軸6が設けられている。この出力軸6には、前記で説明した工具保持部9が固定されている。
【0032】
スピンドル26の後端部は、小球32を介して小球保持部34に当接されている。なお、スピンドル26と小球32との間には、隙間が存在し、この隙間の分だけスピンドル26が軸方向に移動できる。
【0033】
ブッシュ28の前端部は円錐台形状に形成され、ブッシュ側摺動面36が形成されている。
【0034】
このブッシュ側摺動面36と相対向するスピンドル26においては、円錐台形状のスピンドル側摺動面38が形成されている。ブッシュ側摺動面36とスピンドル側摺動面38との間はV字状の溝となっており、このV字状の溝に3個の小球40が等間隔に配されている(図2参照)。
【0035】
この等間隔に配されている3個の小球40,40,40をその位置関係が移動しないように固定するために、リング状のリテーナ42がブッシュ側摺動面36とスピンドル側摺動面38との間に形成されたV字状の溝の外周に配されている。このリテーナ42には、等間隔に3個の挿入孔44が開口し、それぞれに小球40,40,40が挿入されている。
【0036】
このリテーナ42の外周であって、3個の小球40の外周には、リング状のカラー46が配されている。このリング状のカラー46は、V字状の溝に3個の小球40を保持するためのものであり、そのカラー46の内周側に3個の小球40,40,40を収納した構造となっている。これにより、小球40が回転によって飛散するのを防止することができる。また、カラー46は、前側フレーム11の内側に配されており、前側フレーム11に対し回転自在となっているが、軸方向の移動に対しては、ベアリング30と、前側フレーム11に固定されている固定部材50によってその移動が規制されている。
【0037】
スピンドル側摺動面38には、3個の微振動凹部48が形成されている。この3個の微振動凹部48は、図2に示すように小球40が嵌め込まれる形となっている。
【0038】
(4)微振動電気ドリル1の動作状態
上記構成の微振動電気ドリル1の動作状態について説明する。
【0039】
スイッチ部5をON状態にしてモータ2を回転させると、回転軸が回転してその回転力が減速機構部3を介してスピンドル26に伝達される。
【0040】
スピンドル26が回転すると出力軸6及び工具保持部9が回転して、工具保持部9に取付けられている不図示の工具が回転する。
【0041】
また、ブッシュ側摺動面36とスピンドル側摺動面38との間に介在されている3個の小球40,40,40もスピンドル26と共に回転し、スピンドル側摺動面38に設けられている微振動凹部48に小球40が位置すると、この微振動凹部48の窪みの分だけスピンドル26が軸方向の後方に移動する。そして、小球40,40,40が、再び微振動凹部48からスピンドル側摺動面38のフラット面39に戻るとそのスピンドル26が前方に戻り、微振動が発生する。以上により、スピンドル26の回転と共に小球40,40,40がスピンドル側摺動面38のフラット面39と微振動凹部48との間を移動して一定のタイミングで微振動を発生させながら回転させることができる。
【0042】
この場合に、3個の小球40,40,40が回転することによりカラー46も回転することとなるが、前側フレーム11は、作業者によって押さえられているため(すなわち、前側ハンドル10とハンドル8とを持って作業を行っているため)、前側フレーム11自体は回転せず、カラー46のみが回転する。したがって、従来のように回り止め棒が不要であり、単にフレーム7を持って作業を行うだけで微振動を発生させることができる。そして、従来のように回り止め棒が不要となるため作業が行い易く安全性が向上する。
【0043】
なお、この微振動は、0.3mm〜0.4mm位が好適であり、ドリルの形状、穴の径、コンクリートなどの被作物の材質、微振動電気ドリル1の性能などにより0.1mm〜1.0mmの間で微振動の発生を設定してもよい。
【0044】
また、小球40,40,40としては、スティールボールやセラミックスボールを用いるのが一般的であり、硬質球体であれば他の材質でもよい。
【0045】
(第2の実施形態)
図4に基づいて、第2の実施形態の微振動電気ドリル1について説明する。
【0046】
本実施形態と第1の実施形態の異なる点は、リング状のカラー46の構造が異なることにある。
【0047】
第1の実施形態ではカラー46は単なるリング状であったが、本実施形態では、図4に示すように、リング状のカラー46の内周面に傾斜面45が形成されている点にある。このカラー46の外周部上端から調整部52が、前側フレーム11の上面にある長孔47を貫通して突出して、一対の固定部材54,56の間に配されている。この一対の固定部材54,5も前側フレーム11の上面から突出している。固定部材54、調整部52、固定部材56の順番で、調整ネジ58が螺合している。
【0048】
この調整ネジ58を回転させることにより、調整部52とカラー46が軸方向に移動し、カラー46の内周に形成されている傾斜面45と小球40の当接される位置が変更される。この当接される位置が変更されると、小球40の軸方向に移動できる距離が変更される。すると、小球40が微振動凹部48に嵌め込まれた場合の移動距離が変更され、微振動のタイミングが変更できる。
【0049】
これにより、第1の実施形態の微振動電気ドリル1では微振動のタイミングを変更することができなかったが、本実施形態では調整ネジ58の状態によって無段階で微振動のタイミングを変化させることができる。なお、第1の実施形態と同様に、スピンドル26の後端部と小球32との間には隙間が存在し、この隙間の分だけスピンドル26が軸方向に移動できる。しかし、この隙間の大きさは、前記調整ネジ58で変更する微振動の最大寸法に合わして設計しておく。
【0050】
なお、それ以外の部品は第1の実施形態の部品を使用することができる。
【0051】
(変更例1)
上記各実施形態では、スピンドル側摺動面38に小球40が嵌り込む微振動凹部48を設けたが、これに代えて、ブッシュ側摺動面36に小球40が嵌り込む微振動凹部48を設けても、上記と同様の微振動を発生させることができる。
【0052】
(変更例2)
上記第2の実施形態では、調整ネジ58によってカラー46の位置を変更させたが、これ以外の構造例えば、ギアなどを用いてカラー46の位置を軸方向に移動させてもよい。
【0053】
【発明の効果】
以上により、本発明の請求項1の微振動電気ドリルであると、微振動を発生させる場合に従来のような回り止め棒が不要であり、作業者は微振動電気ドリルのフレームを押さえるだけで出力軸を回転させつつ微振動を起こさせることができる。
【0054】
請求項2の微振動電気ドリルであると、カラーを軸方向に移動させることにより、微振動のタイミングを変更することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施形態の微振動電気ドリルの前側フレームの縦断面図である。
【図2】図1におけるA−A線断面図である。
【図3】微振動電気ドリルの側面図である。
【図4】第2の実施形態の微振動電気ドリルの要部拡大縦断面図である。
【符号の説明】
1 微振動電気ドリル
2 モータ
3 減速機構部
4 微振動発生部
5 スイッチ部
6 出力軸
7 フレーム
8 ハンドル
11 前側フレーム
26 スピンドル
28 ブッシュ
30 ベアリング
36 ブッシュ側摺動面
38 スピンドル側摺動面
40 小球
42 リテーナ
44 挿入孔
46 カラー
48 微振動凹部
Claims (2)
- 出力軸を回転させる駆動源であるモータと、
前記モータの回転軸の回転をギアによって減速させて、前記出力軸に伝達する減速手段と、
前記出力軸を回転させつつ軸方向に微振動させる微振動発生手段と、
前記出力軸に設けられ、かつ、工具を保持する工具保持手段と、
を有し、
少なくとも前記モータと前記減速手段と前記微振動発生手段とを微振動電気ドリルのフレームに収納し、
前記フレームはハンドルを有する微振動電気ドリルにおいて、
棒状のスピンドルが前記減速手段のギアに螺合して回転し、
前記スピンドルの先端が前記出力軸に連結され、
円筒状のブッシュの内周に前記スピンドルが軸方向に移動自在に配され、
前記ブッシュは軸受け手段によって前記フレームに対して回転自在に配され、
前記スピンドルの中程には円錐台形状のスピンドル側摺動面が形成され、
前記スピンドル側摺動面と相対向する前記ブッシュの端面にも円錐台形状のブッシュ側摺動面が形成され、
前記スピンドル側摺動面と前記ブッシュ側摺動面の間には複数の小球が介在され、
前記複数の小球が挿入される挿入穴を有し、前記複数の小球の位置関係を保持するリング状のリテーナが前記スピンドルの外周に配され、
前記複数の小球を前記スピンドル側摺動面と前記ブッシュ側摺動面の間で保持するリング状のカラーが前記リテーナの外周で、前記複数の小球を囲むように、かつ、前記フレームの内側に配され、
前記スピンドル側摺動面、または、前記ブッシュ側摺動面のどちらか一方に前記小球が嵌り込む微振動凹部が形成され、
前記微振動発生手段は、前記スピンドルが回転することによって前記複数の小球が前記スピンドル側摺動面と前記ブッシュ側摺動面の間で回転し、前記複数の小球が前記微振動凹部に嵌り込むと前記スピンドルが軸方向に微振動する構成であり、
前記微振動発生手段が前記減速手段より前記スピンドルの先端側に設けられている
ことを特徴とする微振動電気ドリル。 - 前記リング状のカラーの内周面には、軸方向に沿って傾斜する傾斜面が形成され、
前記複数の小球を前記傾斜面が囲むように前記カラーが配され、
前記カラーが軸方向に移動自在で、かつ、所定の位置で前記フレームに固定される
ことを特徴とする請求項1記載の微振動電気ドリル。
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- 2003-04-25 JP JP2003122937A patent/JP4175945B2/ja not_active Expired - Fee Related
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