JP4175777B2 - 低電圧再入可能なスプライスエンクロージャ - Google Patents

低電圧再入可能なスプライスエンクロージャ Download PDF

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Description

【0001】
発明の分野
本発明はケーブルスプライス用エンクロージャに関する。より詳細には、本発明は、スプライスが少なくとも2本のケーブルを接続するための少なくとも1つのコネクタを含む、長手方向に延在したケーブルスプライス用のエンクロージャに関する。少なくとも前記エンクロージャの一部分には、ケーブルスプライスに絶縁と環境保護を提供するためのシーラントが充填される。
【0002】
発明の背景
低電圧用途の長手方向に延在したケーブルスプライスは周知である。このようなケーブルスプライスは突合せ形またはインライン形などであり、機械的衝撃、電撃、及び水や湿気の侵入に対する保護を必要とするのが普通である。また、2本〜4本のケーブルが、ねじ込み式コネクタ、圧着形コネクタ、あるいは当業で知られている他の好適なコネクタなどのコネクタにより接合されるのが一般である。これらのケーブルの断面は一般的に1.5〜150mmであり、これは直径5〜30mmに相当する。よって、これらのエンクロージャの寸法は、少なくともおよそ数センチメートルである。
【0003】
機械的衝撃、電撃、及び水または湿気の浸入に対して必要な保護を提供するスプライスエンクロージャを得るための最も有効かつ最も安全な方法は、ケーブルスプライスをスプライスエンクロージャの中に配置するか、硬化可能な樹脂を注入して成形することである。そうすれば、硬化した樹脂自体がスプライス本体を形成する。残念ながら、このタイプのスプライス本体では、スプライスを非破壊的に再度開くことはできない。しかし、いろいろな理由でスプライス本体を再度開くことが必要となることが多い。
【0004】
このため、様々な用途においては、スプライス本体を破壊したりあるいは過度の力を加えたりせずに入れ替えができるスプライス本体を持つことが望ましい。更に、接続ケーブルへの作業完了後に保護スプライス本体を再度閉じることのできる状態を維持することがきわめて望ましい。
【0005】
エンクロージャやスプライスを破壊せずに保護エンクロージャ内への入れ替えを可能にするいくつかのスプライスエンクロージャとそのようなエンクロージャを使用するいくつかの方法が開発された。一般に、このケーブルスプライスは、材料がケーブルスプライスのすべての隙間へ容易に貫入するだけの十分低い粘性を有する材料で密封される。一般に、この材料は、スプライスが比較的容易に再度開けるよう完全には硬化しない。しかし、この材料の粘性は、長期間に渡って所定の場所に滞留し、スプライスエンクロージャ外へ容易に流出しないだけの高さであることが必要である。しかし、この材料のこの比較的低い粘性は、他の問題を生じる。つまり、ケーブル接続のスプライス本体内での機械的固定が不十分となり、接続されたケーブルがスプライスエンクロージャ内で望ましくない態様で動いてしまうのである。このため、接続されたケーブルが無統制に動かないよう、スプライス本体内に各ケーブル及び各コネクタを機械的に固定する手段を設ける必要がある。
【0006】
欧州特許EP第0328386号は、ケーブルスプライスに対して所望の電気的及び環境的保護を提供するスプライスエンクロージャについて記載している。このスプライスエンクロージャは、2つの部分が1つのヒンジで互いに接続された成形品または押出品である。このスプライス本体の2つの部分にはシーラントが充填される。この構成は、ケーブルに十分な圧力をかけてそれらを保持する閉システムに比較的細いケーブルを接続する場合に特に有用である。
【0007】
PCT公開WO 97/16869は、成形された本体が1つのヒンジで互いに接続された2つの部品で構成され、両方の部品にジェルタイプの材料が充填されたシステムについて記述している。この本体の両方の部品には、接続したケーブルのコネクタがスプライス本体内で無統制に動くのを防止する内部突起またはアライメントボタンを備えている。このシステムは、ケーブルコネクタのサイズがスプライス本体内でのケーブルコネクタの無統制な動きを防止する内部突起の配置にほぼ対応している場合にのみうまく動作することができる。それより大きなコネクタはこのシステム内に配置することもできず、またそれより小さなコネクタでは受け入れ不能な運動の自由度をもつことになる。
【0008】
米国特許5,397,859は、1つのヒンジによって互いに接続され、またラテラルフラップを備えた2つの部品を有するエンクロージャについて記述している。このフラップは、エンクロージャをスプライスの上に閉じたときにシーラントが無統制に流出するのを防ぐ。このエンクロージャは、特殊コネクタで接続される同軸ケーブル用に設計されている。接続されたケーブルがエンクロージャ内の特別設計の張力解放手段の間で押されると、スプライスはエンクロージャ内で必要な機械的固定を得る。このエンクロージャは、各ケーブルタイプ及びコネクタの使用に関して限定的な融通性を有する。
【0009】
米国特許4,610,738は、通信ケーブルのバンドルのスプライス用エンクロージャを示している。上述の参考文献におけるのと同様に、このエンクロージャの2つの部分が1つのヒンジで連結されている。この2つのケーブルバンドルは、このケーブルバンドルを挿入するスロット付きのエンクロージャの中央においてネジにより互いに固定され、バンドルは追加ナットで互いに固定される。バンドルの端は直角の方向に曲げられ、ケーブルはバンドル端が仕分けされた状態でエンクロージャのジェル内に挿入される。各バンドルの個々のケーブルは、各ケーブルへ個々のコネクタを固定できるようにする特殊な保持装置に接続される。このようなシステムは、接続するケーブルのコネクタを参考文献の保持ネジが配置される場所に配置する必要があるため、ここに記載した一般的な低電圧ケーブルスプライスの保護には有用とならない。
【0010】
上記の参考文献は、ケーブルスプライス用の様々な種類のエンクロージャについて記載している。ただし、これらの参考文献は、ケーブルまたはケーブルスプライス全体のいずれかの特定の構成にのみ有用である。ケーブルやコネクタの寸法が比較的小さい場合は、エンクロージャ内に圧縮されたシーラントが必要な機械的安定化を提供する。他の構成では、機械的安定性を得るためにエンクロージャ内にアライメント突起が設けられる。しかし、このアライメント突起は、本エンクロージャの使用を、細かく定義された形状を有するスプライスに限定する。エンクロージャ内に設けられた張力解放手段は、小さなサイズ範囲にあるケーブルに制限される。最後に、エンクロージャ中央に固定ネジが使用されることで、一般的な低電圧スプライスコネクタへのこのエンクロージャの使用は排除される。
【0011】
したがって、実に様々な直径のケーブルに使用可能で、また必要な電気的及び環境的保護、更にはエンクロージャにケーブルを確実に固定する手段が得られる再入可能なスプライスエンクロージャを提供することが望ましいのである。
【0012】
発明の概要
本発明は、様々な種類のコネクタとスプライス構成を確実に保持する簡単に再入可能なスプライスエンクロージャを提供する。この創意に富んだエンクロージャは、2つの長手方向の側面と2つの端壁をそれぞれ有する第1カバー部材及び第2カバー部材を含む。このカバー部材は、取り外し可能な形態で互いに噛み合せてケーブルスプライスを密封するためのキャビティを形成するよう構成される。このキャビティには、ケーブルスプライスを絶縁し、環境からケーブルスプライスを保護するためのシーラントが充填される。ケーブルスプライスの各ケーブルは、カバー部材の端壁の少なくとも1つから突出している。ケーブルスプライスへの取付け用にケーブル固定部材が設けられている。固定部材と固定ケーブルスプライスは、第1及び第2カバー部材により形成されるキャビティの中に挿入される。固定部材は、様々な種類のケーブルスプライスを固定部材に取り付けられるよう構成される。
【0013】
別の固定部材を有することの利点は、シーラントを充填したカバー部材の邪魔をせずに固定部材にケーブルスプライスを固定できることである(つまり、ケーブルスプライスは、シーラント充填キャビティ内への挿入前に固定メンバーに確実に固定される)。更に、別の固定部材により、このエンクロージャでは実に様々な種類のケーブルスプライスが利用できる。ただひとつの制約は、カバー部材により形成されるエンクロージャのキャビティ内にスプライスが収まる必要があることである。
【0014】
完成したエンクロージャ内にケーブルスプライスを効果的に固定するには、固定部材及び取り付けたスプライスがこのキャビティ内へ挿入されるときに固定部材上の取付けポイントがキャビティ端壁に隣接するようこの取付けポイントを配置するのが望ましい。これにより、ケーブルスプライスは、固定部材及び取り付けたスプライスがキャビティへ挿入されるときにエンクロージャと長手方向に位置合せされる。
【0015】
特に汎用性のある固定部材の場合、その固定部材に、複数の取付けポイント及び固定部材へのスプライスの複数の取付方法を提供するのが有利である。たとえば固定部材には、キャビティを横切るように延び、また複数の取付けポイントを提供するバーを設けても構わない。固定部材へのスプライスの取付けは、ひも、ワイヤ、ネジ付きファスナなどで行うことができ、またできれば一般に利用されるケーブルタイで行うと更によい。他の好適な取付け方法は、固定部材にケーブルを固定できるクランプの使用であろう。
【0016】
本発明の詳細な説明
図1aと1bは、長手方向に延在したケーブルスプライス用の本エンクロージャの第1実施例を示している。エンクロージャ10は成形プロセスにより成形されるのが望ましく、また第1カバー部材12、第2カバー部材14、そしてケーブル固定部材16を含む。第1カバー部材12と第2カバー部材14は、シーラント50、52をそれぞれ保持するよう設けられたキャビティ18、20をそれぞれ含む(図3参照)。固定部材16は平板22を含む。この平板22は、本エンクロージャの使用前に固定部材16から切り離されるよう設計されており、下記の方法に従って接続したケーブルの分離手段として使用することも、また使用せずに捨てることもできる。
【0017】
第1カバー部材12と第2カバー部材14は、長手方向の側壁17を有する。ヒンジ24は、第1及び第2カバー部材12、14の側壁17の間にあり、それによってカバー部材12、14を繋げている。固定部材16は、ヒンジ26、28、30、及び32によって、第1カバー部材12の反対側の第2カバー部材14の側壁17に蝶番式に取り付けられる。もちろん、これらのヒンジの数及び正確な位置は、本発明の範囲に影響を及ぼすことなく変更できる。ヒンジ24、26、28、30、及び32は、カバー部材12、14及び固定部材16と一体成形されるのが望ましく、ヒンジの曲げ軸を定義する厚みの薄い部分33を有する。このタイプのヒンジは、「一体の」蝶番と称されることが多い。もちろん、フィルムやテープなど、他のよく知られたタイプのヒンジも使用できる。さらに、これらのヒンジがカバー部材12、14及び固定部材16と一体成形されない場合には、別のヒンジ部材をカバー部材12、14及び固定部材16の中に差込み成形したり、あるいは成形プロセス後に接着剤などを使用して取り付けることができる。
【0018】
第1カバー部材12には、第1カバー部材12及び第2カバー部材14を折りたたむと、第2カバー部材14の開口部38、40に噛み合うよう配置されたラッチタブ34、36が設けられている。第1カバー部材12はまた、第2カバー部材14の外端に噛みあうためのラッチタブ41を含む。ヒンジ24、26、28及び30について上述した通り、ラッチタブの数と位置は、本発明の範囲に影響を及ぼすことなく変更できる。
【0019】
カバー部材12と14の中のキャビティ18と20は、カバー部材12と14の端壁44から一定の距離に配置された中壁42の間にある。このように、追加リザーバ46が、カバー部材12と14の中壁42と端壁44との間のカバー部材12、14の両端に作られる。中壁42と端壁44には、折れやすい溝45が設けられている。溝45は、薄い壁部分と厚い壁部分ができるよう、壁42、44の厚みの変化を作る。この厚みの変化は、ケーブルを押し付けたときにそれらの壁が折れるようにするためのものである。厚みの変化はその材料の全厚に依存するが、代表的な用途では0.15〜1.5mmで構わない。また図では、キャビティ18と20の下面にひだ48が設けられているのがわかる。ひだ48は、キャビティ18と20の中のシーラント50、52とエンクロージャとの付着性を改善する。
【0020】
本書に記載する本発明の実施例はキャビティ18、20をそれぞれ有するカバー部材12、14の両方を図解しているが、カバー部材12、14のうちの1つだけがキャビティを有し、他方は実質的に蓋として機能するものも同様に可能である。そのような実施例では、シーラントはキャビティを有する片方のカバー部材にだけ使用される。このような実施例は図解されていないが、本書に記載する本発明の範囲内にあるものと考えられる。
【0021】
図2はエンクロージャ10の第2実施例を示す。図2の実施例は、実質的に、上記の図1a及び1bの実施例に類似しており、同様の構成部品に同じ番号が付られている。図2の第2実施例と図1a及び1bの実施例との間の主な相違点は、図2の実施例が、カバー部材12及び14と固定部材16をつなぐためのヒンジを含まない点である。代わりに、カバー部材12、14には、カバー部材の両側にラッチ34、36が設けられている。図2からもわかる通り、カバー部材12、14は同じ型で生産できるよう同一のものである。他のすべての点において、図2に示すエンクロージャ10の使用における組立ては、図1a及び1bの実施例で説明したものと類似している。
【0022】
図3は、図1bと基本的に同一であり、キャビティ18にシーラント50、そしてキャビティ20にシーラント52を有するエンクロージャ10を示している。シーラント50、52の粘性は、接続したケーブルや関連コネクタ周りの隙間へシーラントが流れこめるだけの低さと、エンクロージャ10からのシーラントの流出を防止できるだけの高さを有するのが普通である。
【0023】
図3に示すエンクロージャ10の構成は、ほぼ使用可能な状態である。図3のエンクロージャを使用するには、まず固定部材16から平板22を取り外して、エンクロージャを図4の状態にする必要がある。平板22を取り外すと、固定部材16は、ラテラルバー58と60によって接続された2つの長手方向のサイドバー54、56から構成される。この長手方向のバー54は、ヒンジ26、28、30及び32に接続される。この長手方向のバー54、56は、第2カバー部材14の中へ固定部材16を折りこんだときに、バー54、56がシーラント52の中へ貫入し、シーラント52がエンクロージャ10の長手方向の側面から漏れ出すのを防止する障壁を形成する構造になっている。ラテラルバー58、60にはそれぞれ複数の開口部あるいはスロット62が設けられている。示された例においては、各バー58、60は4つの矩形開口部62を含んでいる。更に、ラテラルバー58、60は、接続したケーブルのグリップ性改善のための歯66が設けられている(図示されていない)。
【0024】
図5a、5b及び5cは、エンクロージャ10が出荷及び組立て用に準備するやり方を示している。図5aは、図4内の線5−5に沿って見たときのエンクロージャ10の断面図である。図5bは、ヒンジ24の周りに曲げられた第1カバー部材12を示しており、任意使用の剥離ライナー70を第2カバー部材14内のシーラント52の上に配置した状態を示している。剥離ライナー70は、シリコン処理を施した紙またはポリエチレンフォイル、テフロンフォイル、ポリエステル製プラスチックシート、またはシーラント50、52にすぐに固着しない同様な好適な材料で構成されるのが望ましい。第1カバー部材12は、タブ34、36とがかみ合って穴38、40にラッチするまで、ヒンジ24上で更に回転される。エンクロージャのこの構成は、スプライスの組立て前にエンクロージャ10を出荷するのに特に適している。このように、シーラント50、52は、エンクロージャ10内でよく保護されるだけでなく、固定部材16上へのケーブルスプライスの接続が、シーラント50、52とは独立して、またそれらに損傷を与えることなく行うことができる。図6は、図5cの構成の透視図を示す。
【0025】
エンクロージャ10を使用するには、図7に示す通り、固定部材16にスプライスケーブルが取り付けられる。図7は、分離された、つまりラッチ前の構成でのカバー部材12、14を示しているが、カバー部材12、14はまた、ケーブルスプライスを固定部材16に組み付けるプロセスの間、ラッチされた、つまり閉じられたポジションに置くこともできる。図7に示す例では、ケーブルスプライスは、片側に1本のケーブル72と、そして反対側に圧着コネクタ78によって互いに接続された2本のケーブル74、76から構成されている。もちろん、このコネクタは、ネジ式コネクタなど、当業でよく知られた任意のタイプであってもよい。ケーブル72、74、76は、上述の通り、開口部62と歯66を設けたバー58、60上に固定される。ケーブル72、74、76は、バー58、60の各々の中の開口部62のうちの2個の中を通るケーブルタイ80を使用してバー58、60に接続される。
【0026】
図8aと8bは図7に対応している。図8aは、固定部材16上に固定された若干異なる構成のケーブルスプライスを示している。図8aでは、ケーブル86、88及び90がそれぞれ3本のワイヤを含んでいる。これらのワイヤの各々について、コネクタ92を使って接続が確立される。ケーブル86、88及び90の各ワイヤは同様に接続される。取り外した平板22は、接続したケーブルワイヤ同士の間に挿入されて、ワイヤ間の頑丈な絶縁障壁を形成する。図8aの例では、コネクタ92が絶縁コネクタでない場合にシーラント50、52だけではワイヤ間の十分な絶縁距離が得られないことがあるので、接続した各ワイヤ間に頑丈な絶縁障壁を提供することは重要である。図8bは、取り外された平板22が連動してケーブル86、88及び90の個々のワイヤ接続の分離手段を形成する様をより明確に示している。こうすることにより、ケーブル86、88及び90の接続したワイヤ同士の偶発的な短絡が防止できる。この手法の利点は、平板22が成形プロセスではランナーとして、また必要に応じて分離手段としても使用できるので、追加構成部品が不要であることである。
【0027】
図7及び8aの例に加え、ケーブルの数の制限が本質的にはエンクロージャ10のサイズによってのみ限定される、他の構成のケーブル接続が考えられる。更に、接続がその形状によってエンクロージャ内に収まるのであれば、1つのエンクロージャ内に完全に別の2つのスプライスを納めることが可能である。
【0028】
図9a及び9bは、各ケーブルを固定部材16に取り付ける方法、特に固定部材16のバー58、60に取り付ける方法をより詳細に示している。図9Aでは、バー58には、4つの矩形開口部62a、62b、62c及び62dが設けられていることがわかる。ケーブルタイ80は、開口部62aと62bの2つの中を通り、よく知られたラッチ手段100によってケーブル72を付ける。任意の好適なケーブルタイが使用可能であることは容易に理解される。ケーブルタイは、開口部62a〜62dへの正しい嵌合が得られる好適な材料で作られたものが選択される。
【0029】
図9bは、ケーブル72をバー58に固定する代替方法を示している。図9bでは、ケーブル72は、複数の歯104、106を備えたクランプ102によりバー58上に固定される。クランプ102の歯104、106は、歯104、106が穴62a及び62bの壁にかみ合って必要な保持力を提供するまで開口部62a及び62bの中に押し込まれる。図に示すケーブルタイ80とクランプ102だけでなく、他の方法を使用しても各ケーブルを固定部材16に固定できることが理解されるであろう。たとえば、各ケーブルは、ワイヤ、ひも、ネジ付きファスナ(ネジなど)、またはその他の好適な方法によって固定しても構わない。
【0030】
図10a〜10gは、各ケーブルを固定部材16上に固定した後の組立て手順の実行を示している。図10は、図7と8に対応するスプライス構成で、カバー部材12と14が閉じた位置にある。上述の通り、この構成の利点は、各ケーブルを固定部材16に固定する間、シーラント50、52がよく保護されることである。ケーブルを固定部材16に固定した後、タブ34、36を解放し、ヒンジ24を軸として第1カバー部材12を第2カバー部材14から回転させることによってエンクロージャ10が開かれる(図10b)。この時点で、シーラント50、52が互いに固着しないよう挿入された剥離ライナ70は除去してもよい。図10cは、カバー部材12、14が完全に開かれるその後のステップを示している。図10dと10eは、ヒンジ26、28、30及び32を中心とした固定部材16の回転を示している。固定部材16は、ケーブル74、76がシーラント52の中に貫入するまで回転される。この時点で、シーラント52はケーブル74、76によって追い出され、エンクロージャ10の長手方向側17の上に貫入する。この場合に、固定部材16の長手方向のバー54、56により、シーラントは長手方向側17上を移動できなくなり、ケーブル74、76の周りの方向に押される。
【0031】
ケーブル74、76がシーラント52に埋め込まれた後に、カバー部材12は、ラッチ34、36がカバー部材番号14の開口部38と40に噛みあうところまで、固定部材16とケーブル72、74の周りに閉じられる。すると、ケーブル74と76は、シーラント50、52によって完全に密封される。
【0032】
図11は組立て完了後の構成の透視図である。これは、ケーブル74、76をエンクロージャ10から出すための溝45に沿って裂け目のできたカバー部材12、14の端壁44を示している。中壁42の同様の割れはエンクロージャ内でも発生する。中壁42を超えて漏れ出るシーラントはリザーバ46の中に溜まってエンクロージャ10の外へ出ることはない。
本書に記載する発明は、本発明の好適実施例を図解した添付図面を参照することにより最もよく理解される。ただし、本発明は、図解した実施例に限定されるものではなく、後述の特許請求の範囲によって定義される通りに解釈されるものとする。
【図面の簡単な説明】
【図1a】 この創意に富んだエンクロージャの第1実施例の上面と下面の透視図である。
【図1b】 この創意に富んだエンクロージャの第1実施例の上面と下面の透視図である。
【図2】 本エンクロージャの第2実施例の透視図である。
【図3】 図1bに示す本発明の透視図であり、シーラントを充填した第1及び第2カバー部材のキャビティを示している。
【図4】 任意使用の構成部品がエンクロージャの固定部材から取り外された状態を示す、図3に対応する図面である。
【図5a】 出荷及び組立て用にエンクロージャを準備する方法を示す、図1aと図1bの実施例の断面図である。
【図5b】 出荷及び組立て用にエンクロージャを準備する方法を示す、図1aと図1bの実施例の断面図である。
【図5c】 出荷及び組立て用にエンクロージャを準備する方法を示す、図1aと図1bの実施例の断面図である。
【図6】 図5cのエンクロージャの透視図である。
【図7】 第1構成のケーブルスプライスを本エンクロージャの固定部材に固定した状態を示す透視図である。
【図8a】 第2構成のケーブルスプライスを本エンクロージャの固定部材上に固定した状態を示す透視図である。
【図8b】 図8aのエンクロージャとスプライスであり、ケーブルを取り除いた後の状態を示す。
【図9a】 エンクロージャの固定部材にケーブルを固定する2種類の方法を示す固定部材の断面図である。
【図9b】 エンクロージャの固定部材にケーブルを固定する2種類の方法を示す固定部材の断面図である。
【図10a】 図1aと1bに示すエンクロージャの実施例の断面図であり、ケーブルスプライスをエンクロージャに挿入するためのステップの進展を示す。
【図10b】 図1aと1bに示すエンクロージャの実施例の断面図であり、ケーブルスプライスをエンクロージャに挿入するためのステップの進展を示す。
【図10c】 図1aと1bに示すエンクロージャの実施例の断面図であり、ケーブルスプライスをエンクロージャに挿入するためのステップの進展を示す。
【図10d】 図1aと1bに示すエンクロージャの実施例の断面図であり、ケーブルスプライスをエンクロージャに挿入するためのステップの進展を示す。
【図10e】 図1aと1bに示すエンクロージャの実施例の断面図であり、ケーブルスプライスをエンクロージャに挿入するためのステップの進展を示す。
【図10f】 図1aと1bに示すエンクロージャの実施例の断面図であり、ケーブルスプライスをエンクロージャに挿入するためのステップの進展を示す。
【図10g】 図1aと1bに示すエンクロージャの実施例の断面図であり、ケーブルスプライスをエンクロージャに挿入するためのステップの進展を示す。
【図11】 本書に記載する創意に富むエンクロージャによって保護されるケーブルスプライスの組み上がりの透視図である。

Claims (5)

  1. 少なくとも2本のケーブルを接続する少なくとも1つのコネクタによって形成されるケーブルスプライス用のエンクロージャであって、
    それぞれが2つの長手方向の側面と2つの端壁を有し、前記ケーブルがカバー部材の端壁のうちの少なくとも1つから突出するように互いに係合し、かつ前記ケーブルスプライスを密封するためのキャビティを形成するように構成され、前記キャビティがケーブルスプライスを絶縁して環境から前記スプライスを保護するためのシーラント材料で満たされた第1カバー部材及び第2カバー部材と、
    前記第1及び第2カバー部材により形成されるキャビティの中へ固定部材と取り付け対象のケーブルスプライスを挿入できるように構成された、前記ケーブルスプライスに取り付けるためのケーブル固定部材と、
    を備えていて、
    前記固定部材が、前記キャビティ内に挿入される際に、前記第1及び第2カバー部材の端壁に隣接して配置される横方向に延在するラテラルバーを含み、
    前記固定部材の横方向に延在するラテラルバーが、前記ケーブルを捕らえるための歯を更に備えているエンクロージャ。
  2. 少なくとも2本のケーブルを接続する少なくとも1つのコネクタによって形成されるケーブルスプライス用のエンクロージャであって、
    それぞれが2つの長手方向の側面と2つの端壁を有し、前記ケーブルがカバー部材の端壁のうちの少なくとも1つから突出するように互いに係合し、かつ前記ケーブルスプライスを密封するためのキャビティを形成するように構成され、前記キャビティがケーブルスプライスを絶縁して環境から前記スプライスを保護するためのシーラント材料で満たされた第1カバー部材及び第2カバー部材と、
    前記第1及び第2カバー部材により形成されるキャビティの中へ固定部材と取り付け対象のケーブルスプライスを挿入できるように構成された、前記ケーブルスプライスに取り付けるためのケーブル固定部材と、
    を備えていて、
    前記固定部材が、前記キャビティ内に挿入される際に、前記第1及び第2カバー部材の端壁に隣接して配置される横方向に延在するラテラルバーを含み、
    前記固定部材がキャビティ内に挿入される際に前記シーラントがケーブルスプライスの周りに回り込むように、前期固定部材が前記第1または第2カバー部材のうち少なくとも1つの長手方向の側面に隣接して配置されるように構成された少なくとも1つの長手方向のサイドバーを含んでいるエンクロージャ。
  3. 少なくとも2本のケーブルを接続する少なくとも1つのコネクタによって形成されるケーブルスプライス用のエンクロージャであって、
    それぞれが2つの長手方向の側面と2つの端壁を有し、前記ケーブルがカバー部材の端壁のうちの少なくとも1つから突出するように互いに係合し、かつ前記ケーブルスプライスを密封するためのキャビティを形成するように構成され、前記キャビティがケーブルスプライスを絶縁して環境から前記スプライスを保護するためのシーラント材料で満たされた第1カバー部材及び第2カバー部材と、
    前記第1及び第2カバー部材により形成されるキャビティの中へ固定部材と取り付け対象のケーブルスプライスを挿入できるように構成された、前記ケーブルスプライスに取り付けるためのケーブル固定部材と、
    を備えていて、
    前記固定部材が、前記キャビティ内に挿入される際に、前記第1及び第2カバー部材の端壁に隣接して配置される横方向に延在するラテラルバーを含み、
    前記シーラントと前記カバー部材との間のより良い固着を実現するために前記キャビティの内面にひだが設けられているエンクロージャ。
  4. 少なくとも2本のケーブルを接続する少なくとも1つのコネクタによって形成されるケーブルスプライス用のエンクロージャであって、
    それぞれが2つの長手方向の側面と2つの端壁を有し、前記ケーブルがカバー部材の端壁のうちの少なくとも1つから突出するように互いに係合し、かつ前記ケーブルスプライスを密封するためのキャビティを形成するように構成され、前記キャビティがケーブルスプライスを絶縁して環境から前記スプライスを保護するためのシーラント材料で満たされた第1カバー部材及び第2カバー部材と、
    前記第1及び第2カバー部材により形成されるキャビティの中へ固定部材と取り付け対象のケーブルスプライスを挿入できるように構成された、前記ケーブルスプライスに取り付けるためのケーブル固定部材と、
    を備えていて、
    前記固定部材が、前記キャビティ内に挿入される際に、前記第1及び第2カバー部材の端壁に隣接して配置される横方向に延在するラテラルバーを含み、
    係合した前記第1及び第2カバー部材が、前記カバー部材の前記シーラント充填キャビティとそれの嵌め合いとなる端壁との間に、前記キャビティから漏れるシーラントを溜めてそれによってシーラントが前記エンクロージャから漏れ出るのを防ぐよう構成されたリザーバをさらに含んでいるエンクロージャ。
  5. 少なくとも2本のケーブルを接続する少なくとも1つのコネクタによって形成されるケーブルスプライス用のエンクロージャであって、
    それぞれが2つの長手方向の側面と2つの端壁を有し、前記ケーブルがカバー部材の端壁のうちの少なくとも1つから突出するように互いに係合し、かつ前記ケーブルスプライスを密封するためのキャビティを形成するように構成され、前記キャビティがケーブルスプライスを絶縁して環境から前記スプライスを保護するためのシーラント材料で満たされた第1カバー部材及び第2カバー部材と、
    前記第1及び第2カバー部材により形成されるキャビティの中へ固定部材と取り付け対象のケーブルスプライスを挿入できるように構成された、前記ケーブルスプライスに取り付けるためのケーブル固定部材と、
    を備えていて、
    前記固定部材が、前記キャビティ内に挿入される際に、前記第1及び第2カバー部材の端壁に隣接して配置される横方向に延在するラテラルバーを含み、
    前記第1及び第2カバー部材の端壁が前記エンクロージャから突出するケーブルに押し付けられるときに破断するか、もしくは曲がるように構成されているエンクロージャ。
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