JP4173756B2 - 放射線照射装置の品質管理装置 - Google Patents
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Description
【０００１】
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線照射装置の品質管理装置に関し、詳しくは、放射線が照射される位置を確認する放射線照射装置の品質管理装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、放射線を病巣部に集中照射して治療を行なう放射線治療装置が知られている（例えば、特許文献１、非特許文献１参照）。このような装置においては、治療用放射線の伝播路と同じ経路を伝播するように設定された位置確認光を用い、この位置確認光の光路上に病巣部が配置されるようにこの病巣部の位置を調節した後に、上記治療用放射線を照射することにより、この治療用放射線が病巣部に正確に照射されるようにしている。
【０００３】
また、治療用放射線を病巣部に照射する際に許容される照射位置のずれは数ｍｍであり、例えば装置が稼動される度に、治療用放射線の伝播路に対する位置確認光の光路のずれ（以後、光路位置ずれという）が放射線治療に支障がない許容範囲内であることを確認している。上記光路位置ずれが許容範囲内であることの確認は、例えば、中央部に孔を開けたＸ線フィルムを用意し、この孔位置が上記位置確認光の光束の中心位置に合致するように上記Ｘ線フィルムを目視で位置合わせして配置した後、治療用放射線と同じ伝播路を伝播する位置確認放射線を上記Ｘ線フィルムに照射し、その後、このＸ線フィルムを現像して上記孔位置と位置確認放射線が照射された位置との位置関係を読み取ることにより行なわれている。
【０００４】
【特許文献１】
実用新案登録第２５９３４１２号公報
【０００５】
【非特許文献１】
図解 診療放射線技術実践ガイド（２００２） 株式会社文光堂
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記光路位置ずれが数ｍｍ以下であることを保証するためにはこの値より１桁高い精度でこの光路位置ずれを測定することが望まれるが、上記Ｘ線フィルムの孔位置と位置確認光の光束の中心位置との位置合わせを正確に行なおうとすると作業が煩雑となり、放射線治療を実施する際の作業効率が低下するとともに光路位置ずれの測定の信頼性が不十分になるという問題がある。
【０００７】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係をより容易にかつ正確に確認することができる放射線照射装置の品質管理装置を提供することを目的とするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の第１の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射と、この位置確認放射線が照射された領域よりも広範囲への前記放射線照射手段による一様放射線の照射と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射とを受けるとともに、前記位置確認光の照射を前記一様放射線の照射より後に受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、前記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた放射線像に基づいて前記位置確認放射線の照射位置と前記位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えたことを特徴とするものである。
【０００９】
本発明の第２の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射を受けた後に、照射位置の中心を示す照射中心位置マーカを有する可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射を受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、前記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた前記放射線像に基づいて前記位置確認放射線の照射中心位置と前記位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えたことを特徴とするものである。
【００１０】
前記照射中心位置マーカを有する位置確認光は、蓄積性蛍光体パネル中に位置確認光が照射されたときに、この位置確認光の照射領域の中心を示すための照射領域を有するものである。これにより上記位置確認光の照射領域の中心の位置を特定でき、例えば、位置確認光を発生する光源の前面に、この位置確認光を遮断する領域と通過させる領域とを有するマスクを備えることにより、上記照射中心位置マーカを有する位置確認光を生成することができる。
【００１１】
なお、位置確認放射線および位置確認光は、蓄積性蛍光体パネルに記録されたときに互いの位置関係を比較できるように放射線照射手段および確認光照射手段から照射されるものであり、例えば、蓄積性蛍光体パネル中に記録された位置確認放射線の記録領域および位置確認光の記録領域それぞれの中心位置が確認できたり、あるいは、上記それぞれの記録領域の相対的な傾きが確認できることが望ましい。
【００１２】
【発明の効果】
本発明の第１の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射と、この位置確認放射線が照射された領域よりも広範囲への放射線照射手段による一様放射線の照射と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射とを受けるとともに、上記位置確認光の照射を前記一様放射線の照射より後に受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、上記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた放射線像に基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えているので、蓄積性蛍光体パネル中の位置確認放射線の照射領域と位置確認光の照射領域とに互いに異なるレベルで放射線エネルギが蓄積記録され、それにより、この蓄積性蛍光体パネルから放射線像を読み取って位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得することができるので、上記位置関係の取得精度を低下させる、例えば上記Ｘ線フィルムの孔位置と位置確認光の光束の中心位置との位置合わせの調節作業等の要因を取り除くことができる。これにより上記放射線像から上記位置関係をより容易により高い精度で取得することができ、位置確認放射線に対する位置確認光の光路位置ずれが放射線治療に支障がない許容範囲内であることを確認する際の信頼性とこの確認作業の効率をより高めることができる。
【００１３】
本発明の第２の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射を受けた後に、照射位置マーカを有する可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射を受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、上記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた放射線像に基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えているので、蓄積性蛍光体パネルの位置確認放射線の照射領域中に、位置確認光の照射領域と位置確認光の非照射領域とで形成される上記照射位置マーカに対応する互いに異なるレベルの放射線エネルギが蓄積記録された領域を作成することができ、それにより、この蓄積性蛍光体パネルから放射線像を読み取って位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得することができるので、上記位置関係の取得精度を低下させる、例えば上記位置合わせの調節作業等の要因を除くことができる。これにより上記放射線像から上記位置関係をより容易により高い精度で取得することができ、位置確認放射線に対する位置確認光の光路位置ずれが放射線治療に支障がない許容範囲内であることを確認する際の信頼性とこの確認作業の効率をより高めることができる。
【００１４】
なお、上記蓄積性蛍光体パネルは、Ｘ線等の放射線を照射するとこの放射線エネルギの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光を照射するとこの蓄積された放射線エネルギに応じた輝尽発光光を発生して上記放射線エネルギを放出する蓄積性蛍光体（輝尽性蛍光体）を用いた記録媒体であり、支持基板上に上記蓄積性蛍光体からなる蓄積性蛍光体層を積層して作成したもの等が知られている。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図１は放射線治療装置と本発明の実施の形態による放射線照射装置の品質管理装置の概略構成を示す側面図、図２は放射線治療装置を用いて放射線を病巣部に照射する様子を示す側面図、図３は放射線照射部と確認光照射部の拡大側面図、図４は光反射ミラー中の可視光を反射させる四角形状領域を示す図である。
【００１６】
本発明の実施の形態による放射線照射装置の品質管理装置２００は、放射線照射装置である放射線治療装置１００の所定の位置に配置されて、この放射線治療装置１００により、放射線を照射する放射線照射部２０による位置確認放射線の照射と、この位置確認放射線が照射された領域よりも広範囲への放射線照射部２０による一様放射線の照射と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射部３０による位置確認光の照射とを受けるとともに、上記位置確認光の照射を上記一様放射線の照射より後に受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネル１０から、上記放射線像を読み取る放射線像読取部２０１と、この放射線像読取部２０１により読み取られた放射線像に基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得部２０２とを備えている。
【００１７】
上記放射線照射装置の品質管理装置２００において、放射線像読取部２０１としては、蓄積性蛍光体パネルに対して励起光を主走査方向に照射しつつ、この蓄積性蛍光体パネルを副走査方向に搬送して、上記蓄積性蛍光体パネルに記録されている放射線像を読み取り、この放射線像を表す画像データを出力する公知の放射線像読取装置等を採用することができる。また、位置関係取得部２０２は、上記放射線像読取部２０１から出力された上記放射線像を表すに画像データを入力しこの画像データに基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係の一例となる位置ずれ量を求める。
【００１８】
一方、上記放射線治療装置１００は、放射線の一例であるＸ線を照射する放射線照射部２０と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射部３０と、位置関係記録手段４０とを備えている。
【００１９】
上記位置関係記録手段４０は、所定の位置に配置された蓄積性蛍光体パネル１０に対して、放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射と、この位置確認放射線Ｘｃが照射された前記蓄積性蛍光体パネル１０上の領域を含みこの領域より広範囲への放射線照射部２０による一様放射線Ｘｂの照射と、確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射とを行なわせるとともに、位置確認光Ｌｐの照射を一様放射線Ｘｂの照射より後に行なわせて、蓄積性蛍光体パネル１０中に、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を記録させる。
【００２０】
上記放射線治療装置は、図２に示すように、患者１を載置し、この患者１を位置確認放射線Ｘｃの照射方向と直交する水平方向に移動させる載置移動部６を有するベース台５を備え、ベース台５に支持された、載置移動部６の上方に位置するアーム部７の先端に放射線照射部２０と確認光照射部３０とが配置されている。上記載置移動部６の移動により、この患者１の病巣部２が放射線照射部２０から照射される治療用Ｘ線の照射野に位置するように調節される。
【００２１】
なお、上記放射線治療装置は、治療用Ｘ線を病巣部に照射する前に、この治療用Ｘ線の伝播路と同じ経路を伝播するように設定された可視波長領域の位置確認光を照射して上記病巣部の位置がこの位置確認光の光路上に配置されるように位置合わせを行なうものであり、上記治療用Ｘ線と上記位置確認放射線Ｘｃとは同じ伝播路を伝播するように設定されている。
【００２２】
図３の拡大図に示すように、放射線照射部２０は、電子線発生源２９で発生した電子線を伝播する伝播路２１、上記電子線を偏向する偏向マグネット２２、偏向マグネット２２で偏向された電子線の偏向マグネット２２からの出口部に設けた真空窓２３、真空窓２３を通った電子線の照射を受けてＸ線を放射するＸ線ターゲット２４、放射されたＸ線の伝播路を絞る円錐コリメータ２５と、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂ、および円錐コリメータ２５と可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂとの間に配置された平坦化フィルタ２７により構成されている。平坦化フィルタ２７は、円錐コリメータ２５を通ったＸ線の線量分布を一様にするフィルタである。
【００２３】
可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂは、それぞれ２枚のコリメータブロックから成り、これら合計４枚のコリメータブロックを上記Ｘ線の伝播路と直交する面内に移動することで、Ｘ線伝播路の断面形状が、所望の形状である病巣部と相似な形状となるようにする。すなわち、上記４枚の各コリメータブロック間の間隔を変更することでＸ線を照射する標的の形状（病巣部の形状）に合わせた照射野が設定される。
【００２４】
確認光照射部３０は、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂと平坦化フィルタ２７との間に配置され、Ｘ線伝播路中に出し入れ可能な光反射ミラー３１とこの光反射ミラー３１を介してＸ線ターゲット２４と共役な位置に配置された位置確認光Ｌｐを発する可視光源３２とを備え、可視光源３２から照射された位置確認光Ｌｐを光反射ミラー３１で反射させ上記Ｘ線と同じ方向に伝播させる。なお、図４に示すように、光反射ミラー３１が位置確認光Ｌｐを反射させる領域は、光反射ミラー３１の表面に、四角形状の開口を有する遮光マスク３９Ａを配置することにより設定され、例えば四角形状に設定され、この四角形状領域Ｊ１で反射された位置確認光Ｌｐの光束の断面は四角形状になる。
【００２５】
位置関係記録手段４０は、放射線照射部２０からのＸ線の照射および照射されるＸ線の線量の設定、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂの移動、放射線照射部２０からのＸ線の照射、可視光源３２の点灯、光反射ミラー３１の出し入れ等を制御信号Ｇ２の出力によって制御するコントローラ４１と、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を蓄積性蛍光体パネル１０中に自動的に記録させる制御信号あるいは制御プログラム等のデータＧ１をこのコントローラ４１に出力するデータ記憶部４２とを有している。
【００２６】
次に、位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係、すなわち位置確認放射線と位置確認光の光路間の位置ずれ（光路位置ずれ）の記録を行なう場合について説明する。図５は放射線照射部から位置確認放射線を照射する様子を示す拡大側面図、図６は蓄積性蛍光体パネルに記録されたＸ線および可視光の領域を示す図であり、図６（ａ）は位置確認放射線が照射された領域を示す図、図６（ｂ）は一様放射線が照射された領域を示す図、図６（ｃ）は位置確認光が照射された領域を示す図である。また、図７は放射線照射部から一様放射線を照射する様子を示す拡大側面図、図８は確認光照射部から位置確認光を照射する様子を示す拡大側面図である。
【００２７】
まず始めに、ベース台５の載置移動部６に蓄積性蛍光体パネル１０を載置し、載置移動部６の移動により、蓄積性蛍光体パネル１０を、放射線照射部２０からのＸ線の照射を受ける所定の位置に移動させる（図１参照）。
【００２８】
次に、データ記憶部４２から、上記光路位置ずれを蓄積性蛍光体パネル１０に自動記録する制御信号あるいは制御プログラム等のデータＧ１がコントローラ４１へ出力され、データＧ１を入力したコントローラ４１からの制御信号Ｇ２の出力により以下の動作が実行される。
【００２９】
図５に示すように、まず始めに、光反射ミラー３１が上記Ｘ線の伝播路から待避するとともに可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂが絞られる。その後、電子線発生源２９で発生された電子線の照射を受けたＸ線ターゲット２４からＸ線が放射される。Ｘ線ターゲット２４から放射されたＸ線は、円錐コリメータ２５、平坦化フィルタ２７、および絞られた可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂを通って、照射範囲が絞られた位置確認放射線Ｘｃとして蓄積性蛍光体パネル１０に照射される。これにより、位置確認放射線Ｘｃが照射された、例えば五角形状の領域Ｒｃ（照射野）が蓄積性蛍光体パネル１０に記録される（図６（ａ）参照）。
【００３０】
次に、図７に示すように、光反射ミラー３１が上記Ｘ線の伝播路から待避したままの状態で、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂが開かれる。その後、電子線発生源２９で発生された電子線の照射を受けたＸ線ターゲット２４からＸ線が放射される。Ｘ線ターゲット２４から放射されたＸ線は、円錐コリメータ２５、平坦化フィルタ２７、および開かれた可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂを通って一様放射線Ｘｂとして蓄積性蛍光体パネル１０に照射される。この一様放射線Ｘｂは、上記位置確認放射線Ｘｃが照射された蓄積性蛍光体パネル１０上の領域を含むこの範囲より広範囲へ照射される。これにより、蓄積性蛍光体パネル１０上の位置確認放射線Ｘｃが照射された領域Ｒｃよりも広範囲に一様放射線Ｘｂが照射され、位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとが蓄積性蛍光体パネル１０に重ねて記録される。図６（ｂ）に一様放射線Ｘｂが照射された領域の一例として大きな四角形状の領域Ｒｂを示す。
【００３１】
次に、図８に示すように、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂが開かれたままの状態で、光反射ミラー３１が上記Ｘ線の伝播路に挿入される。その後、可視光源３２が点灯される。可視光源３２から照射された位置確認光Ｌｐは、光反射ミラー３１で反射され、開かれた可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂを通って蓄積性蛍光体パネル１０に照射される。ここで、光反射ミラー３１が位置確認光Ｌｐを反射させる領域は四角形状となっているので、蓄積性蛍光体パネル１０上の位置確認光Ｌｐが照射された領域は四角形状となり、この領域は位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとが重ねて記録された領域と重複する領域となる。位置確認光Ｌｐが照射された蓄積性蛍光体パネル１０の上記四角形状の領域からは上記位置確認光の照射により輝尽発光光が発生し、上記位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとの照射により蓄積性蛍光体パネル１０に蓄積された放射線エネルギの一部が上記四角形状領域から放出される。図６（ｃ）に位置確認光Ｌｐの照射により蓄積性蛍光体パネル１０から放射線エネルギが放出された四角形状領域Ｒｐを示す。
【００３２】
上記動作により、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係が蓄積性蛍光体パネル１０中に正確に記録される。
【００３３】
上記光路位置ずれが記録された蓄積性蛍光体パネル１０は、品質管理装置２００の放射線像読取部２０１に装填され、上記蓄積性蛍光体パネル１０に記録された位置関係を示す放射線像が読み取られる。その後、放射線像読取部２０１によって読み取られた上記放射線像を表す画像データが位置関係取得部２０２に出力される。
【００３４】
放射線像読取部２０１によって読み取られ、画像データとして出力された上記放射線像を表す画像、すなわち上記光路位置ずれを示す画像は、図９に示すように、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃと一様放射線Ｘｂを示す画像Ｇｂと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐとが重ねられた画像となり、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃの中心位置Ｖｃと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐの中心位置Ｖｐとの位置関係が上記光路位置ずれを示している。
【００３５】
位置関係取得部２０２は、上記放射線像読取部２０１から出力された上記位置関係を表す画像データを入力し、この画像データに基づいて上記位置関係の一例となる位置ずれ量を求める。すなわち、図９に示すように、中心位置Ｖｃと中心位置Ｖｐとの間隔が位置ずれ量δ１として取得される。
【００３６】
この位置関係取得部２０２は、さらに、取得した位置ずれ量δ１を予め定められた許容量Ｅと比較し、この位置ずれ量δ１が予め定められた許容量Ｅ以下である場合には、確認光照射部３０から照射される位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用可能であることが確認されたことを示す青ランプ６４を点灯し、上記位置ずれ量δ１が予め定められた許容量Ｅを越えた場合には、位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用できないことを示すた赤ランプ６５を点灯して警告を発する。なお、上記青ランプ６４および赤ランプ６５は放射線像読取部２０１に配されている（図１参照）。
【００３７】
なお、位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐは、位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとにより蓄積性蛍光体パネルに記録された放射線像、すなわち蓄積性蛍光体パネルに蓄積された放射線エネルギの一部が消去されて形成された画像である。
【００３８】
上記実施の形態においては、蓄積性蛍光体パネルに対して、位置確認放射線Ｘｃの照射、一様放射線Ｘｂの照射、位置確認光Ｌｐの照射をこの順で行なったが、上記照射を上記順番で行なう場合に限らず、位置確認光Ｌｐの照射を一様放射線Ｘｂの照射より後に行なうようにすれば上記照射の順番をどのように変更してもよい。例えば、一様放射線Ｘｂの照射、位置確認放射線Ｘｃの照射、位置確認光Ｌｐの照射をこの順で行なったり、一様放射線Ｘｂの照射、位置確認光Ｌｐの照射、位置確認放射線Ｘｃの照射をこの順で行なうようにしてもよい。
【００３９】
また、上記位置関係記録手段を、放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射を指示する第１の指示ボタンと、上記位置確認放射線Ｘｃが照射された照射領域を含むこの範囲より広範囲への放射線照射部２０による一様放射線Ｘｂの照射を指示する第２の指示ボタンと、確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射を指示する第３の指示ボタンとを備えたものとし、第１の指示ボタンの指示により、所定の位置に配置された蓄積性蛍光体パネル１０に対して、放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射を実行し、第２の指示ボタンの指示により、上記位置確認放射線Ｘｃが照射された前記蓄積性蛍光体パネル１０上の領域を含むこの範囲より広範囲への放射線照射部２０による一様放射線Ｘｂの照射を実行し、第３の指示ボタンの指示により、確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射を実行して、蓄積性蛍光体パネル１０中に、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を記録させるようにしてもよい。
【００４０】
なお、放射線治療装置１００の所定の位置に配置されて、この放射線治療装置１００により、放射線を照射する放射線照射部２０による位置確認放射線の照射を受けた後に、照射中心位置マーカを有する可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射部３０による位置確認光の照射とを受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネル１０を作成し、この蓄積性蛍光体パネル１０から上記放射線像を品質管理装置２００で読み取って上記と同様に位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得するようにしてもよい。
【００４１】
この場合には、図１０に示すように、４つの小さな四角形状からなり全体として四角形状の開口を有する遮光マスク３９Ｂが光反射ミラー３１の表面に配置される。すなわち、光反射ミラー３１上に、全体として四角形状の開口部中に十字状の非反射領域が形成された四角十字領域Ｊ２を有する遮光マスク３９Ｂが配置される。これにより、光反射ミラー３１が位置確認光Ｌｐを反射させる領域は四角十字領域Ｊ２となり、この四角十字領域Ｊ２で反射された位置確認光Ｌｐの光束の断面も四角十字形状になる。
【００４２】
したがって、放射線を照射する放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射を受けた蓄積性蛍光体パネル１０上の領域Ｒｃは上記と同様に５角形状領域となり（図１１（ａ）参照）、その後の照射中心位置マーカを有する位置確認光を照射する確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射を受けた蓄積性蛍光体パネル１０の領域Ｒｐは四角十字形状となり（図１１（ｂ）参照）、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を蓄積性蛍光体パネル１０中に記録することができる。
【００４３】
上記光路位置ずれが記録された蓄積性蛍光体パネル１０は、上記と同様に放射線照射装置の品質管理装置２００の放射線像読取部２０１に装填され、上記蓄積性蛍光体パネル１０に記録された位置関係を示す放射線像が読み取られる。その後、放射線像読取部２０１によって読み取られた上記放射線像を表す画像データが位置関係取得部２０２に出力される。
【００４４】
放射線像読取部２０１によって読み取られ画像データとして出力された上記放射線像を表す画像、すなわち上記光路位置ずれを示す画像は、図１２に示すように、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐとが重ねられた画像となり、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃの中心位置Ｖｃと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐの中心位置Ｖｐとの位置関係が上記光路位置ずれを示している。位置関係取得部２０２は、上記放射線像読取部２０１から出力された上記位置関係を表す画像データを入力し、この画像データに基づいて上記位置関係の一例となる位置ずれ量δ２を求める。すなわち、図１２に示すように、中心位置Ｖｃと中心位置Ｖｐとの間隔が位置ずれ量δ２として取得される。
【００４５】
この位置関係取得部２０２は、さらに、取得した位置ずれ量δ２を予め定められた許容量Ｅと比較し、この位置ずれ量δ２が予め定められた許容量Ｅ以下である場合には、確認光照射部３０から照射される位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用可能であることが確認されたことを示す青ランプ６４を点灯し、上記位置ずれ量δ２が予め定められた許容量Ｅを越えた場合には、位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用できないことを示す赤ランプ６５を点灯して警告を発する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態による放射線照射装置の品質管理装置の概略構成を示す側面図
【図２】放射線照射装置の品質管理装置を用いて放射線を病巣部に照射する様子を示す側面図
【図３】放射線照射部と確認光照射部の拡大側面図
【図４】光反射ミラーに遮光マスクが配された様子を示す図
【図５】放射線照射部から位置確認放射線を照射する様子を示す拡大側面図
【図６】蓄積性蛍光体パネルに記録された放射線および可視光の領域を示す図
【図７】放射線照射部から一様放射線を照射する様子を示す拡大側面図
【図８】確認光照射部から位置確認光を照射する様子を示す拡大側面図
【図９】蓄積性蛍光体パネルから読み取られた位置確認放射線の照射位置に対する位置確認光の照射位置の位置ずれを表す画像を示す図
【図１０】光反射ミラーに遮光マスクが配された様子を示す図
【図１１】蓄積性蛍光体パネルに記録された放射線および可視光の領域を示す図
【図１２】蓄積性蛍光体パネルから読み取られた位置確認放射線の照射位置に対する位置確認光の照射位置の位置ずれを表す画像を示す図
【符号の説明】
１０ 蓄積性蛍光体パネル
２０ 放射線照射部
３０ 確認光照射部
４０ 位置関係記録手段
１００ 放射線治療装置
２００ 品質管理装置
２０１ 放射線像読取部
２０２ 位置関係取得部
【発明の属する技術分野】
本発明は、放射線照射装置の品質管理装置に関し、詳しくは、放射線が照射される位置を確認する放射線照射装置の品質管理装置に関するものである。
【０００２】
【従来の技術】
従来より、放射線を病巣部に集中照射して治療を行なう放射線治療装置が知られている（例えば、特許文献１、非特許文献１参照）。このような装置においては、治療用放射線の伝播路と同じ経路を伝播するように設定された位置確認光を用い、この位置確認光の光路上に病巣部が配置されるようにこの病巣部の位置を調節した後に、上記治療用放射線を照射することにより、この治療用放射線が病巣部に正確に照射されるようにしている。
【０００３】
また、治療用放射線を病巣部に照射する際に許容される照射位置のずれは数ｍｍであり、例えば装置が稼動される度に、治療用放射線の伝播路に対する位置確認光の光路のずれ（以後、光路位置ずれという）が放射線治療に支障がない許容範囲内であることを確認している。上記光路位置ずれが許容範囲内であることの確認は、例えば、中央部に孔を開けたＸ線フィルムを用意し、この孔位置が上記位置確認光の光束の中心位置に合致するように上記Ｘ線フィルムを目視で位置合わせして配置した後、治療用放射線と同じ伝播路を伝播する位置確認放射線を上記Ｘ線フィルムに照射し、その後、このＸ線フィルムを現像して上記孔位置と位置確認放射線が照射された位置との位置関係を読み取ることにより行なわれている。
【０００４】
【特許文献１】
実用新案登録第２５９３４１２号公報
【０００５】
【非特許文献１】
図解 診療放射線技術実践ガイド（２００２） 株式会社文光堂
【０００６】
【発明が解決しようとする課題】
ところで、上記光路位置ずれが数ｍｍ以下であることを保証するためにはこの値より１桁高い精度でこの光路位置ずれを測定することが望まれるが、上記Ｘ線フィルムの孔位置と位置確認光の光束の中心位置との位置合わせを正確に行なおうとすると作業が煩雑となり、放射線治療を実施する際の作業効率が低下するとともに光路位置ずれの測定の信頼性が不十分になるという問題がある。
【０００７】
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係をより容易にかつ正確に確認することができる放射線照射装置の品質管理装置を提供することを目的とするものである。
【０００８】
【課題を解決するための手段】
本発明の第１の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射と、この位置確認放射線が照射された領域よりも広範囲への前記放射線照射手段による一様放射線の照射と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射とを受けるとともに、前記位置確認光の照射を前記一様放射線の照射より後に受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、前記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた放射線像に基づいて前記位置確認放射線の照射位置と前記位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えたことを特徴とするものである。
【０００９】
本発明の第２の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射を受けた後に、照射位置の中心を示す照射中心位置マーカを有する可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射を受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、前記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた前記放射線像に基づいて前記位置確認放射線の照射中心位置と前記位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えたことを特徴とするものである。
【００１０】
前記照射中心位置マーカを有する位置確認光は、蓄積性蛍光体パネル中に位置確認光が照射されたときに、この位置確認光の照射領域の中心を示すための照射領域を有するものである。これにより上記位置確認光の照射領域の中心の位置を特定でき、例えば、位置確認光を発生する光源の前面に、この位置確認光を遮断する領域と通過させる領域とを有するマスクを備えることにより、上記照射中心位置マーカを有する位置確認光を生成することができる。
【００１１】
なお、位置確認放射線および位置確認光は、蓄積性蛍光体パネルに記録されたときに互いの位置関係を比較できるように放射線照射手段および確認光照射手段から照射されるものであり、例えば、蓄積性蛍光体パネル中に記録された位置確認放射線の記録領域および位置確認光の記録領域それぞれの中心位置が確認できたり、あるいは、上記それぞれの記録領域の相対的な傾きが確認できることが望ましい。
【００１２】
【発明の効果】
本発明の第１の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射と、この位置確認放射線が照射された領域よりも広範囲への放射線照射手段による一様放射線の照射と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射とを受けるとともに、上記位置確認光の照射を前記一様放射線の照射より後に受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、上記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた放射線像に基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えているので、蓄積性蛍光体パネル中の位置確認放射線の照射領域と位置確認光の照射領域とに互いに異なるレベルで放射線エネルギが蓄積記録され、それにより、この蓄積性蛍光体パネルから放射線像を読み取って位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得することができるので、上記位置関係の取得精度を低下させる、例えば上記Ｘ線フィルムの孔位置と位置確認光の光束の中心位置との位置合わせの調節作業等の要因を取り除くことができる。これにより上記放射線像から上記位置関係をより容易により高い精度で取得することができ、位置確認放射線に対する位置確認光の光路位置ずれが放射線治療に支障がない許容範囲内であることを確認する際の信頼性とこの確認作業の効率をより高めることができる。
【００１３】
本発明の第２の放射線照射装置の品質管理装置は、所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射を受けた後に、照射位置マーカを有する可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射を受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、上記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、この放射線像読取手段により読み取られた放射線像に基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えているので、蓄積性蛍光体パネルの位置確認放射線の照射領域中に、位置確認光の照射領域と位置確認光の非照射領域とで形成される上記照射位置マーカに対応する互いに異なるレベルの放射線エネルギが蓄積記録された領域を作成することができ、それにより、この蓄積性蛍光体パネルから放射線像を読み取って位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得することができるので、上記位置関係の取得精度を低下させる、例えば上記位置合わせの調節作業等の要因を除くことができる。これにより上記放射線像から上記位置関係をより容易により高い精度で取得することができ、位置確認放射線に対する位置確認光の光路位置ずれが放射線治療に支障がない許容範囲内であることを確認する際の信頼性とこの確認作業の効率をより高めることができる。
【００１４】
なお、上記蓄積性蛍光体パネルは、Ｘ線等の放射線を照射するとこの放射線エネルギの一部を蓄積し、その後、可視光等の励起光を照射するとこの蓄積された放射線エネルギに応じた輝尽発光光を発生して上記放射線エネルギを放出する蓄積性蛍光体（輝尽性蛍光体）を用いた記録媒体であり、支持基板上に上記蓄積性蛍光体からなる蓄積性蛍光体層を積層して作成したもの等が知られている。
【００１５】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について、図面を用いて説明する。図１は放射線治療装置と本発明の実施の形態による放射線照射装置の品質管理装置の概略構成を示す側面図、図２は放射線治療装置を用いて放射線を病巣部に照射する様子を示す側面図、図３は放射線照射部と確認光照射部の拡大側面図、図４は光反射ミラー中の可視光を反射させる四角形状領域を示す図である。
【００１６】
本発明の実施の形態による放射線照射装置の品質管理装置２００は、放射線照射装置である放射線治療装置１００の所定の位置に配置されて、この放射線治療装置１００により、放射線を照射する放射線照射部２０による位置確認放射線の照射と、この位置確認放射線が照射された領域よりも広範囲への放射線照射部２０による一様放射線の照射と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射部３０による位置確認光の照射とを受けるとともに、上記位置確認光の照射を上記一様放射線の照射より後に受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネル１０から、上記放射線像を読み取る放射線像読取部２０１と、この放射線像読取部２０１により読み取られた放射線像に基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得部２０２とを備えている。
【００１７】
上記放射線照射装置の品質管理装置２００において、放射線像読取部２０１としては、蓄積性蛍光体パネルに対して励起光を主走査方向に照射しつつ、この蓄積性蛍光体パネルを副走査方向に搬送して、上記蓄積性蛍光体パネルに記録されている放射線像を読み取り、この放射線像を表す画像データを出力する公知の放射線像読取装置等を採用することができる。また、位置関係取得部２０２は、上記放射線像読取部２０１から出力された上記放射線像を表すに画像データを入力しこの画像データに基づいて上記位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係の一例となる位置ずれ量を求める。
【００１８】
一方、上記放射線治療装置１００は、放射線の一例であるＸ線を照射する放射線照射部２０と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射部３０と、位置関係記録手段４０とを備えている。
【００１９】
上記位置関係記録手段４０は、所定の位置に配置された蓄積性蛍光体パネル１０に対して、放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射と、この位置確認放射線Ｘｃが照射された前記蓄積性蛍光体パネル１０上の領域を含みこの領域より広範囲への放射線照射部２０による一様放射線Ｘｂの照射と、確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射とを行なわせるとともに、位置確認光Ｌｐの照射を一様放射線Ｘｂの照射より後に行なわせて、蓄積性蛍光体パネル１０中に、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を記録させる。
【００２０】
上記放射線治療装置は、図２に示すように、患者１を載置し、この患者１を位置確認放射線Ｘｃの照射方向と直交する水平方向に移動させる載置移動部６を有するベース台５を備え、ベース台５に支持された、載置移動部６の上方に位置するアーム部７の先端に放射線照射部２０と確認光照射部３０とが配置されている。上記載置移動部６の移動により、この患者１の病巣部２が放射線照射部２０から照射される治療用Ｘ線の照射野に位置するように調節される。
【００２１】
なお、上記放射線治療装置は、治療用Ｘ線を病巣部に照射する前に、この治療用Ｘ線の伝播路と同じ経路を伝播するように設定された可視波長領域の位置確認光を照射して上記病巣部の位置がこの位置確認光の光路上に配置されるように位置合わせを行なうものであり、上記治療用Ｘ線と上記位置確認放射線Ｘｃとは同じ伝播路を伝播するように設定されている。
【００２２】
図３の拡大図に示すように、放射線照射部２０は、電子線発生源２９で発生した電子線を伝播する伝播路２１、上記電子線を偏向する偏向マグネット２２、偏向マグネット２２で偏向された電子線の偏向マグネット２２からの出口部に設けた真空窓２３、真空窓２３を通った電子線の照射を受けてＸ線を放射するＸ線ターゲット２４、放射されたＸ線の伝播路を絞る円錐コリメータ２５と、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂ、および円錐コリメータ２５と可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂとの間に配置された平坦化フィルタ２７により構成されている。平坦化フィルタ２７は、円錐コリメータ２５を通ったＸ線の線量分布を一様にするフィルタである。
【００２３】
可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂは、それぞれ２枚のコリメータブロックから成り、これら合計４枚のコリメータブロックを上記Ｘ線の伝播路と直交する面内に移動することで、Ｘ線伝播路の断面形状が、所望の形状である病巣部と相似な形状となるようにする。すなわち、上記４枚の各コリメータブロック間の間隔を変更することでＸ線を照射する標的の形状（病巣部の形状）に合わせた照射野が設定される。
【００２４】
確認光照射部３０は、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂと平坦化フィルタ２７との間に配置され、Ｘ線伝播路中に出し入れ可能な光反射ミラー３１とこの光反射ミラー３１を介してＸ線ターゲット２４と共役な位置に配置された位置確認光Ｌｐを発する可視光源３２とを備え、可視光源３２から照射された位置確認光Ｌｐを光反射ミラー３１で反射させ上記Ｘ線と同じ方向に伝播させる。なお、図４に示すように、光反射ミラー３１が位置確認光Ｌｐを反射させる領域は、光反射ミラー３１の表面に、四角形状の開口を有する遮光マスク３９Ａを配置することにより設定され、例えば四角形状に設定され、この四角形状領域Ｊ１で反射された位置確認光Ｌｐの光束の断面は四角形状になる。
【００２５】
位置関係記録手段４０は、放射線照射部２０からのＸ線の照射および照射されるＸ線の線量の設定、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂの移動、放射線照射部２０からのＸ線の照射、可視光源３２の点灯、光反射ミラー３１の出し入れ等を制御信号Ｇ２の出力によって制御するコントローラ４１と、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を蓄積性蛍光体パネル１０中に自動的に記録させる制御信号あるいは制御プログラム等のデータＧ１をこのコントローラ４１に出力するデータ記憶部４２とを有している。
【００２６】
次に、位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係、すなわち位置確認放射線と位置確認光の光路間の位置ずれ（光路位置ずれ）の記録を行なう場合について説明する。図５は放射線照射部から位置確認放射線を照射する様子を示す拡大側面図、図６は蓄積性蛍光体パネルに記録されたＸ線および可視光の領域を示す図であり、図６（ａ）は位置確認放射線が照射された領域を示す図、図６（ｂ）は一様放射線が照射された領域を示す図、図６（ｃ）は位置確認光が照射された領域を示す図である。また、図７は放射線照射部から一様放射線を照射する様子を示す拡大側面図、図８は確認光照射部から位置確認光を照射する様子を示す拡大側面図である。
【００２７】
まず始めに、ベース台５の載置移動部６に蓄積性蛍光体パネル１０を載置し、載置移動部６の移動により、蓄積性蛍光体パネル１０を、放射線照射部２０からのＸ線の照射を受ける所定の位置に移動させる（図１参照）。
【００２８】
次に、データ記憶部４２から、上記光路位置ずれを蓄積性蛍光体パネル１０に自動記録する制御信号あるいは制御プログラム等のデータＧ１がコントローラ４１へ出力され、データＧ１を入力したコントローラ４１からの制御信号Ｇ２の出力により以下の動作が実行される。
【００２９】
図５に示すように、まず始めに、光反射ミラー３１が上記Ｘ線の伝播路から待避するとともに可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂが絞られる。その後、電子線発生源２９で発生された電子線の照射を受けたＸ線ターゲット２４からＸ線が放射される。Ｘ線ターゲット２４から放射されたＸ線は、円錐コリメータ２５、平坦化フィルタ２７、および絞られた可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂを通って、照射範囲が絞られた位置確認放射線Ｘｃとして蓄積性蛍光体パネル１０に照射される。これにより、位置確認放射線Ｘｃが照射された、例えば五角形状の領域Ｒｃ（照射野）が蓄積性蛍光体パネル１０に記録される（図６（ａ）参照）。
【００３０】
次に、図７に示すように、光反射ミラー３１が上記Ｘ線の伝播路から待避したままの状態で、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂが開かれる。その後、電子線発生源２９で発生された電子線の照射を受けたＸ線ターゲット２４からＸ線が放射される。Ｘ線ターゲット２４から放射されたＸ線は、円錐コリメータ２５、平坦化フィルタ２７、および開かれた可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂを通って一様放射線Ｘｂとして蓄積性蛍光体パネル１０に照射される。この一様放射線Ｘｂは、上記位置確認放射線Ｘｃが照射された蓄積性蛍光体パネル１０上の領域を含むこの範囲より広範囲へ照射される。これにより、蓄積性蛍光体パネル１０上の位置確認放射線Ｘｃが照射された領域Ｒｃよりも広範囲に一様放射線Ｘｂが照射され、位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとが蓄積性蛍光体パネル１０に重ねて記録される。図６（ｂ）に一様放射線Ｘｂが照射された領域の一例として大きな四角形状の領域Ｒｂを示す。
【００３１】
次に、図８に示すように、可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂが開かれたままの状態で、光反射ミラー３１が上記Ｘ線の伝播路に挿入される。その後、可視光源３２が点灯される。可視光源３２から照射された位置確認光Ｌｐは、光反射ミラー３１で反射され、開かれた可動コリメータ２６Ａ、２６Ｂを通って蓄積性蛍光体パネル１０に照射される。ここで、光反射ミラー３１が位置確認光Ｌｐを反射させる領域は四角形状となっているので、蓄積性蛍光体パネル１０上の位置確認光Ｌｐが照射された領域は四角形状となり、この領域は位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとが重ねて記録された領域と重複する領域となる。位置確認光Ｌｐが照射された蓄積性蛍光体パネル１０の上記四角形状の領域からは上記位置確認光の照射により輝尽発光光が発生し、上記位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとの照射により蓄積性蛍光体パネル１０に蓄積された放射線エネルギの一部が上記四角形状領域から放出される。図６（ｃ）に位置確認光Ｌｐの照射により蓄積性蛍光体パネル１０から放射線エネルギが放出された四角形状領域Ｒｐを示す。
【００３２】
上記動作により、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係が蓄積性蛍光体パネル１０中に正確に記録される。
【００３３】
上記光路位置ずれが記録された蓄積性蛍光体パネル１０は、品質管理装置２００の放射線像読取部２０１に装填され、上記蓄積性蛍光体パネル１０に記録された位置関係を示す放射線像が読み取られる。その後、放射線像読取部２０１によって読み取られた上記放射線像を表す画像データが位置関係取得部２０２に出力される。
【００３４】
放射線像読取部２０１によって読み取られ、画像データとして出力された上記放射線像を表す画像、すなわち上記光路位置ずれを示す画像は、図９に示すように、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃと一様放射線Ｘｂを示す画像Ｇｂと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐとが重ねられた画像となり、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃの中心位置Ｖｃと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐの中心位置Ｖｐとの位置関係が上記光路位置ずれを示している。
【００３５】
位置関係取得部２０２は、上記放射線像読取部２０１から出力された上記位置関係を表す画像データを入力し、この画像データに基づいて上記位置関係の一例となる位置ずれ量を求める。すなわち、図９に示すように、中心位置Ｖｃと中心位置Ｖｐとの間隔が位置ずれ量δ１として取得される。
【００３６】
この位置関係取得部２０２は、さらに、取得した位置ずれ量δ１を予め定められた許容量Ｅと比較し、この位置ずれ量δ１が予め定められた許容量Ｅ以下である場合には、確認光照射部３０から照射される位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用可能であることが確認されたことを示す青ランプ６４を点灯し、上記位置ずれ量δ１が予め定められた許容量Ｅを越えた場合には、位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用できないことを示すた赤ランプ６５を点灯して警告を発する。なお、上記青ランプ６４および赤ランプ６５は放射線像読取部２０１に配されている（図１参照）。
【００３７】
なお、位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐは、位置確認放射線Ｘｃと一様放射線Ｘｂとにより蓄積性蛍光体パネルに記録された放射線像、すなわち蓄積性蛍光体パネルに蓄積された放射線エネルギの一部が消去されて形成された画像である。
【００３８】
上記実施の形態においては、蓄積性蛍光体パネルに対して、位置確認放射線Ｘｃの照射、一様放射線Ｘｂの照射、位置確認光Ｌｐの照射をこの順で行なったが、上記照射を上記順番で行なう場合に限らず、位置確認光Ｌｐの照射を一様放射線Ｘｂの照射より後に行なうようにすれば上記照射の順番をどのように変更してもよい。例えば、一様放射線Ｘｂの照射、位置確認放射線Ｘｃの照射、位置確認光Ｌｐの照射をこの順で行なったり、一様放射線Ｘｂの照射、位置確認光Ｌｐの照射、位置確認放射線Ｘｃの照射をこの順で行なうようにしてもよい。
【００３９】
また、上記位置関係記録手段を、放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射を指示する第１の指示ボタンと、上記位置確認放射線Ｘｃが照射された照射領域を含むこの範囲より広範囲への放射線照射部２０による一様放射線Ｘｂの照射を指示する第２の指示ボタンと、確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射を指示する第３の指示ボタンとを備えたものとし、第１の指示ボタンの指示により、所定の位置に配置された蓄積性蛍光体パネル１０に対して、放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射を実行し、第２の指示ボタンの指示により、上記位置確認放射線Ｘｃが照射された前記蓄積性蛍光体パネル１０上の領域を含むこの範囲より広範囲への放射線照射部２０による一様放射線Ｘｂの照射を実行し、第３の指示ボタンの指示により、確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射を実行して、蓄積性蛍光体パネル１０中に、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を記録させるようにしてもよい。
【００４０】
なお、放射線治療装置１００の所定の位置に配置されて、この放射線治療装置１００により、放射線を照射する放射線照射部２０による位置確認放射線の照射を受けた後に、照射中心位置マーカを有する可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射部３０による位置確認光の照射とを受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネル１０を作成し、この蓄積性蛍光体パネル１０から上記放射線像を品質管理装置２００で読み取って上記と同様に位置確認放射線の照射位置と位置確認光の照射位置との位置関係を取得するようにしてもよい。
【００４１】
この場合には、図１０に示すように、４つの小さな四角形状からなり全体として四角形状の開口を有する遮光マスク３９Ｂが光反射ミラー３１の表面に配置される。すなわち、光反射ミラー３１上に、全体として四角形状の開口部中に十字状の非反射領域が形成された四角十字領域Ｊ２を有する遮光マスク３９Ｂが配置される。これにより、光反射ミラー３１が位置確認光Ｌｐを反射させる領域は四角十字領域Ｊ２となり、この四角十字領域Ｊ２で反射された位置確認光Ｌｐの光束の断面も四角十字形状になる。
【００４２】
したがって、放射線を照射する放射線照射部２０による位置確認放射線Ｘｃの照射を受けた蓄積性蛍光体パネル１０上の領域Ｒｃは上記と同様に５角形状領域となり（図１１（ａ）参照）、その後の照射中心位置マーカを有する位置確認光を照射する確認光照射部３０による位置確認光Ｌｐの照射を受けた蓄積性蛍光体パネル１０の領域Ｒｐは四角十字形状となり（図１１（ｂ）参照）、位置確認放射線Ｘｃの照射位置と位置確認光Ｌｐの照射位置との位置関係を蓄積性蛍光体パネル１０中に記録することができる。
【００４３】
上記光路位置ずれが記録された蓄積性蛍光体パネル１０は、上記と同様に放射線照射装置の品質管理装置２００の放射線像読取部２０１に装填され、上記蓄積性蛍光体パネル１０に記録された位置関係を示す放射線像が読み取られる。その後、放射線像読取部２０１によって読み取られた上記放射線像を表す画像データが位置関係取得部２０２に出力される。
【００４４】
放射線像読取部２０１によって読み取られ画像データとして出力された上記放射線像を表す画像、すなわち上記光路位置ずれを示す画像は、図１２に示すように、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐとが重ねられた画像となり、位置確認放射線Ｘｃを示す画像Ｇｃの中心位置Ｖｃと位置確認光Ｌｐを示す画像Ｇｐの中心位置Ｖｐとの位置関係が上記光路位置ずれを示している。位置関係取得部２０２は、上記放射線像読取部２０１から出力された上記位置関係を表す画像データを入力し、この画像データに基づいて上記位置関係の一例となる位置ずれ量δ２を求める。すなわち、図１２に示すように、中心位置Ｖｃと中心位置Ｖｐとの間隔が位置ずれ量δ２として取得される。
【００４５】
この位置関係取得部２０２は、さらに、取得した位置ずれ量δ２を予め定められた許容量Ｅと比較し、この位置ずれ量δ２が予め定められた許容量Ｅ以下である場合には、確認光照射部３０から照射される位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用可能であることが確認されたことを示す青ランプ６４を点灯し、上記位置ずれ量δ２が予め定められた許容量Ｅを越えた場合には、位置確認光Ｌｐが位置確認放射線Ｘｃの照射位置を示すものとして使用できないことを示す赤ランプ６５を点灯して警告を発する。
【図面の簡単な説明】
【図１】本発明の実施の形態による放射線照射装置の品質管理装置の概略構成を示す側面図
【図２】放射線照射装置の品質管理装置を用いて放射線を病巣部に照射する様子を示す側面図
【図３】放射線照射部と確認光照射部の拡大側面図
【図４】光反射ミラーに遮光マスクが配された様子を示す図
【図５】放射線照射部から位置確認放射線を照射する様子を示す拡大側面図
【図６】蓄積性蛍光体パネルに記録された放射線および可視光の領域を示す図
【図７】放射線照射部から一様放射線を照射する様子を示す拡大側面図
【図８】確認光照射部から位置確認光を照射する様子を示す拡大側面図
【図９】蓄積性蛍光体パネルから読み取られた位置確認放射線の照射位置に対する位置確認光の照射位置の位置ずれを表す画像を示す図
【図１０】光反射ミラーに遮光マスクが配された様子を示す図
【図１１】蓄積性蛍光体パネルに記録された放射線および可視光の領域を示す図
【図１２】蓄積性蛍光体パネルから読み取られた位置確認放射線の照射位置に対する位置確認光の照射位置の位置ずれを表す画像を示す図
【符号の説明】
１０ 蓄積性蛍光体パネル
２０ 放射線照射部
３０ 確認光照射部
４０ 位置関係記録手段
１００ 放射線治療装置
２００ 品質管理装置
２０１ 放射線像読取部
２０２ 位置関係取得部
Claims (2)
- 所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射と、該位置確認放射線が照射された領域よりも広範囲への前記放射線照射手段による一様放射線の照射と、可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による位置確認光の照射とを受けるとともに、前記位置確認光の照射を前記一様放射線の照射より後に受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、前記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、該放射線像読取手段により読み取られた前記放射線像に基づいて前記位置確認放射線の照射位置と前記位置確認光の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えたことを特徴とする放射線照射装置の品質管理装置。
- 所定の位置に配置され、放射線を照射する放射線照射手段による位置確認放射線の照射を受けた後に、照射領域の中心位置が特定可能な可視波長領域の位置確認光を照射する確認光照射手段による前記位置確認光の照射を受けて放射線像が記録された蓄積性蛍光体パネルから、前記放射線像を読み取る放射線像読取手段と、該放射線像読取手段により読み取られた前記放射線像に基づいて、前記位置確認光および前記位置確認放射線の各照射領域が互に重複する部分を用いて定められる前記位置確認光の照射中心位置と前記位置確認放射線の照射位置との位置関係を取得する位置関係取得手段とを備えたことを特徴とする放射線照射装置の品質管理装置。
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