JP4173251B2 - 高速デバイス用ic試験装置 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は高速デバイスの試験に適するようにしたものであって、特にテスタ本体とテストヘッド間の試験信号の伝送部分に関し、ジッタの少ない試験信号を生成しようとするものである。
【0002】
【従来の技術】
典型的なICテスタの試験信号パターンのタイミングチャートを図9に示す。IC試験装置では、一つの論理パターンに対して数種類の波形を選択できる必要があり、さらに信号が変化するタイミング(信号の立ち上がりや立ち下がりのタイミング)に関して特に厳しい時間的精度が必要とされる。一般的に使用される波形は図9に示したNRZ(Non Return to Zero)とRZ( Return to Zero)及びSBC(Surrounded By Complement) の波形である。IC試験装置では、これらの波形の立ち上がりや立ち下がりタイミングまたはパルス幅等を精度良くかつ自在に設定するために、数種類の基準クロック信号を使用している。特にSBC波形では一つのテスト周期に3つの立ち上がりまたは立ち下がりエッジがあるため、三種類の基準クロック信号ACLK,BCLK,CCLKを使用する必要がある。IC試験装置では、論理パターンデータ(1/0)と使用する波形の種類に従って、各基準クロック信号のエッジの振り分け方(立ち上がりエッジに使用するか、立ち下がりエッジに使用するか、或いはどちらにも使用しないか)を瞬時に決定しながら(NRZ,RZ,SBC等の)試験信号パターンを生成している。具体的な生成方法の説明は省略するが、概略としては各クロック信号を論理回路で電気的に立ち上がりエッジ側と立ち下がりエッジ側に一旦分離し、それぞれを最終的にSRフリップフロップのセット信号とリセット信号として使用して波形を整形すると言う方法が一般的である。典型的なIC試験装置では、この整形後の(NRZ,RZ,SBC等の)波形の試験信号を図10に示すようにテスタ本体11からツイストペア電線12を使用してテストヘッド13に送っている。この試験信号はパフォーマンスボード14を介して被試験IC素子15へ印加される。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
最大伝送距離や周波数特性及びケーブル全体の太さ等を改善する目的で、テスタ本体11とテストヘッド13間の電線12を光ファイバに置き換えることが考えられる。しかし、整形後の試験信号波形をそのまま光波形に変換して光伝送を行うと、以下のような問題が生じる。
【0004】
・波形の種類やパルス幅が激しく変化するために、発光素子の立ち上がり遅延に起因するE/O(電気/光)変換の際のパターン依存性ジッタが生じ、タイミング精度を著しく悪化させる。
・E/O変換及びO/E(光/電気)変換用のICが余分に必要になり、各ICで発生するジッタが従来のIC試験装置のジッタにそのまま加算されるかたちとなり、タイミング精度を悪化させる。
【0005】
この問題を解決したうえで光ファイバを使用するには、何らかの工夫で発光素子が発生するパターン依存性ジッタを低減し、波形整形後に通過するICの数を可能な限り少なくする必要がある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
この発明によれば、テスタ本体は各基準クロック信号ごとに光クロック信号を発生する光パルス信号源が設けられ、これら各光パルス信号源からの光クロック信号はそれぞれ各別の主光導波路に入射される。各主光導波路の光クロック信号はそれぞれ光切替えスイッチにより立ち上り用光導波路または立ち下り用光導波路に入射され、これら立ち上り用光導波路よりの光クロック信号は、立ち上り用光合波導波路により合波されて立ち上がり用光ファイバに入射され、また各立ち下り用光導波路よりの光クロック信号は立ち下り用光合波導波路にて合波されて立ち下り用光ファイバに入射される。立ち上り用光ファイバ、立ち下り用光ファイバにより、光クロック信号はテスタ本体よりテストヘッドに伝送される。テストヘッドにおいて立ち上り用光ファイバよりの光クロック信号により立ち上がり、立ち下り用光ファイバよりの光クロック信号により立ち下がる電気信号の試験信号が生成される。発生する試験信号の波形の種類に応じて各光切替えスイッチを制御する切替え信号が切替え信号発生部より生成される。
【0007】
【発明の実施の形態】
図1にこの発明の実施例を示す。テスタ本体11内で主クロック信号発生器20からの主クロック信号はテスト周期発生回路21に入力され、設定されたテスト周期の主クロック信号とされ、複数のプログラマブル遅延器22A,22B,22Cに入力され、これらプログラマブル遅延器22A,22B,22Cから複数の基準クロック信号ACLK,BCLK,CCLKが発生されていることは従来のIC試験装置と同様である。
【0008】
この発明においては、各基準クロック信号ACLK,BCLK,CCLKそれぞれに対し、光パルス信号源23A,23B,23Cが設けられ、それぞれ対応する基準クロック信号により光クロック信号が発生される。これら光パルス信号源23A,23B,23Cとしてはモードロックレーザ、利得スイッチングレーザパルス光源、利得スイッチングレーザと分散シフト光ファイバよりなるパルス圧縮光源などを用いることができ、パルス幅は数ピコ秒から長くても数十ピコ秒であり、パルスタイミングのランダムジッタは数百フェムト秒から悪くても数ピコ秒である。
【0009】
光パルス信号源23A,23B,23Cからの各光クロック信号はそれぞれ主光導波路24A,24B,24Cに入射される。主光導波路24A,24B,24Cにはこの光導波路の光クロック信号を遮断したり通過させたりする、市販の電界吸収形光スイッチ、マッハツエンダ形光スイッチなどの超高速の光スイッチ25A,25B,25Cが設けられる。主光導波路24Aは立ち上り用光導波路26A及び立ち下り用光導波路27Aと結合され、光切替えスイッチ28Aにより、主光導波路24Aからの光クロック信号が立ち上り用光導波路26Aまたは立ち下り用光導波路27Aの何れかへ切替え入射される。同様に主光導波路24Bと24Cに対し、それぞれ立ち上り用光導波路26Bと26C,立ち下り用光導波路27Bと27Cが結合され、光切替えスイッチ28Bと28Cが設けられる。光切替えスイッチ28A(28B,28C)としては超高速に動作するもので、図2Aに示すように立ち上り用光導波路26Aと立ち下り用光導波路27Aに吸収形光スイッチ28A1,28A2を設け、切替え信号52aによりこれらを互いに逆にON,OFF動作させる、あるいは図2Bに示すようにマッハツエンダ形切替えスイッチを用いることができる。
【0010】
立ち上り用光導波路26A,26B,26Cの光切替えスイッチ28A,28B,28Cと反対側は立ち上り用光合波導波路29に接続され、立ち下り用光導波路27A,27B,27Cの光切替えスイッチ28A,28B,28Cと反対側は立ち下がり用光合波導波路31に接続される。立ち上り用光合波導波路29、立ち下り用光合波導波路31としては、例えば図3Aに示すように石英導波路よりなる合波導波路の入出射を光ファイバとしたもの、あるいは図3Bに示すように光切替えスイッチ28A,28B,28C、立ち上り用光導波路26A,26B,26C、立ち下り用光導波路27A,27B,27Cと一つの光集積回路と構成したものなどを用いることができる。
【0011】
立ち上り用光合波導波路29の合波された側は立ち上り用光ファイバ32の一端と結合され、立ち下り用光合波導波路31の合波された側は立ち下り用光ファイバ33の一端と結合される。立ち上り用光ファイバ32、立ち下り用光ファイバ33はテスタ本体11とテストヘッド13との間の伝送路としてこれらに接続される。
【0012】
テストヘッド13において、立ち上り用光ファイバ32からの光クロック信号により立ち上がり、立ち下り用光ファイバ33からの光クロック信号により立ち下がる電気的試験信号が試験信号発生部34で発生される。試験信号発生部34は例えば図4に示すように構成される。立ち上り用光ファイバ32からの光クロック信号37は立ち上り用フォトダイオード35に入射され、立ち下り用光ファイバ33からの光クロック信号38は立ち下り用フォトダイオード36に入射される。フォトダイオード35,36のアノードとカソードが互いに接続されて前置増幅器39の入力側に接続され、フォトダイオード35のカソードは高電位端子41に接続され、フォトダイオード36のアノードは低電位端子42に接続される。前置増幅器39の出力側に立ち上り光クロック信号37により正の電気パルス43が生じ、立ち下り光クロック信号38により負の電気パルス44が生じる。これら電気パルス43,44はヒステリシスコンパレータ45に入力され、電気パルス43で立ち上がり、電気パルス44で立ち下るパルス信号46がヒステリシスコンパレータ45から出力される。
【0013】
テスタ本体11側の切替え制御信号発生部51において、発生すべき試験信号の波形の種類に応じて各光クロック信号を立ち上り用光導波路と立ち下り用光導波路の何れに振り分けるかを制御する切替え信号52a,52b,52cが発生され、これらが光切替えスイッチ28A,28B,28Cにそれぞれ印加される。切替え信号52a,52b,52cはNRZ信号、RZ信号、SBC信号に対し、図5に示すような信号となる。切替え信号における上向き矢印は、立ち上り用光導波路側に切替え、下向き矢印は立ち下り用光導波路側に切替えることを示している。これら切替え信号52a,52b,52cの発生は、図6に示すような構成で発生される。端子100に論理パターンデータを、端子101にNRZ波形設定信号を、端子102にRZ波形設定信号を、103にSBC波形設定信号をそれぞれ印加し、論理和回路OR6の出力から切替え信号52aを、論理積回路AND7の出力から切替え信号52bを、論理積回路AND8の出力から切替え信号52cをそれぞれ得る。また光スイッチ25A,25B,25Cをそれぞれ制御する制御信号53A,53B,53Cとして、論理積回路AND1の出力から制御信号53Aを、論理積回路AND2の出力から制御信号53Bを、論理積回路AND3の出力から制御信号53Cをそれぞれ得る。これら切替え信号52a,52b,52c、制御信号53A,53B,53CはそれぞれACLK,BCLK,CCLKの各光クロック信号から十分離れた位置で立ち上がり側へまたは立ち下がり側への切替え、主光導波路に対するON,OFFの切替えが行われる。
【0014】
図4に示したように、同極性パルスが連続するとその後続のパルスは無視される試験信号発生部34の場合は、制御信号53A,53B,53Cを用いることなく、つまり光スイッチ25A,25B,25Cは省略でき、この場合の各波形に対する切替え信号52a,52b,52cは図7に示すようになり、これら切替え信号の発生は図8に示す構成により行うことができる。光パルス信号源23A,23B,23Cから光ファイバ32,33に達する各光路間の経路長差をなるべく小とする。
【0015】
各光クロック信号に使用している光パルス光源23A,23B,23Cは、固定周期で常に同じ光パルスパターンを発生させるように動作しているだけで良いため、先に述べたパターン依存性ジッタはこの段階では発生しないことになる。典型的な光パルス光源のパルス幅はサブピコ秒から長くて数十ピコ秒であり、パルスタイミングのランダムジッタも数百フェムト秒から悪くても数ピコ秒であるため、光パルス光源23A,23B,23Cで発生させた光クロック信号は、短いテスト周期と高いタイミング精度が要求される高速デバイス用のIC試験装置に充分適応するクロック信号であると言える。一方、光切替えスイッチ28A,28B,28Cは光クロック信号の前後に充分なタイミングの余裕を持って、テスト周期単位で切り替わるだけで良いから、その条件が満たされていれば光クロック信号のタイミングに影響を与えないことがわかる。即ち、光切替えスイッチ28A,28B,28Cの切替えタイミングにおけるジッタは、光クロック信号自身のジッタには無関係となる。ただし、光切替えスイッチ28A,28B,28Cのジッタは切り替わりタイミング(テスト周期の境界付近)を変動させるため、そのジッタが大きい場合には光クロック信号を設定できない範囲が拡大してしまうことに配慮する必要はある。
【0016】
以上の説明と図1から明らかなように、あとは各光クロック信号の経路長の差が十分小さい光導波路を使用することによって、テストヘッド13に至るまでの経路で光クロック信号のタイミング精度を保つことができる事と、波形整形用のICを余分に増やすことなく(むしろドライバICの削減を伴って)光ファイバによる試験信号パターンの伝送が実現できることがわかる。
【0017】
上述では1つの試験信号の伝送についてのみ示したが、実際にはテストヘッド14に設けられている端子数だけ、このような試験信号の生成系が用いられる。また、基準クロック信号をACLK,BCLK,CCLKの三種類としたがさらに多くの基準クロック信号を用いる場合にもこの発明を適用できる。
【0018】
【発明の効果】
以上述べたように、この発明によれば発生すべき試験信号の立ち上がりを示す光クロック信号と、立ち下がりを示す光クロック信号とをテスタ本体からテストヘッド13へ送って、テストヘッド13でこれら立ち上り用光クロック信号と立ち下り用光クロック信号とを用いて電気的試験信号を生成しているため、テスタ本体11からテストヘッド13への伝送において、ジッタの影響を受けることなく、光パルス信号源で生じるジッタのみが影響し、これは著しく小さいものであるから、タイミング精度の高い試験信号を生成することができ、高速ICに対し試験を行うことができる。
【0019】
しかも、テスタ本体とテストヘッド間を光ファイバ伝送としているため、これら間を接続するケーブルが細く、軽量となり、また雑音の影響を受けない。
【図面の簡単な説明】
【図1】この発明の実施例を示す図。
【図2】光切替えスイッチの例を示す図。
【図3】光合波導波路の例を示す図。
【図4】試験信号発生部34の例を示す図。
【図5】各種波形と切替え信号及び制御信号の関係を示す図。
【図6】切替え信号発生部51の具体例を示す図。
【図7】各種波形と切替え信号の関係の他の例を示す図。
【図8】切替え信号発生部51の他の具体例を示す図。
【図9】パターンデータと、クロック信号と、各種波形信号との関係例を示す図。
【図10】IC試験装置を簡単に示す図。

Claims (2)

  1. ICテスタ本体内に設けられ、複数種類の基準クロック信号によりそれぞれ光クロック信号を発生する複数の光パルス信号源と、
    これら各光パルス信号源からの光クロック信号が一端に入射される複数主光導波路と、
    これら主光導波路の他端にそれぞれ一端が接続された立ち上り用光導波路及び立ち下り用光導波路と、
    上記複数の立ち上り用光導波路の他端を1本の光導波路に結合する立ち上り用光合波導波路と、
    上記複数の立ち下り用光導波路の他端を1本の光導波路に結合する立ち下り用光合波導波路と、
    上記ICテスタ本体とテストヘッドとの間に接続され、上記立ち上り用光合波導波路よりの光クロック信号が入射される立ち上り用光ファイバと、
    上記ICテスタ本体と上記テストヘッドとの間に接続され、上記立ち下り用光合波導波路よりの光クロック信号が入射される立ち下り用光ファイバと、
    上記テストヘッドに設けられ、上記立ち上り用光ファイバからの光クロック信号で立上り、上記立ち下り用光ファイバからの光クロック信号で立下る電気的試験信号を生成する手段と、
    上記各主光導波路から光クロック信号を上記立ち上り用光導波路と上記立ち下り用光導波路との一方に伝送する複数の光切替えスイッチと、
    選択された試験信号の波形の種類に応じて上記各光切替えスイッチを立ち上り用光導波路と立ち下り用光導波路の何れかに光クロック信号を伝送させるように設定する切替え信号を発生する切替え信号発生手段と、
    を具備する高速デバイス用IC試験装置。
  2. 上記各主光導波路に設けられ、光クロック信号を通過させるか遮断するかの制御を行う光スイッチを備えることを特徴とする請求項1記載の高速デバイス用IC試験装置。
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