JP4172846B2 - 水位追従式水中ポンプ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば汚濁水処理施設における上澄み水の排水等、各種排水あるいは揚水設備等に使用される水中ポンプに関する。
【0002】
【従来の技術】
汚濁水処理施設において、沈殿槽に汚濁水を貯留することによって土粒子等の汚濁物質の粒子を沈殿させた上澄み水を排水する手段として、水中ポンプが用いられる。そして従来技術においては、前記水中ポンプは例えばレバーブロックによって昇降移動可能な状態で沈殿槽内に吊し、堆積土砂及び水面レベルに対して一定以上の間隔を保つように適時に昇降移動させるようにしている。
【0003】
水中ポンプを沈殿槽内で昇降移動可能な状態に吊支する理由は、まず第一に、沈殿槽に汚濁水が給水されると、時間の経過と共に土砂等の汚濁粒子が沈殿して沈殿槽の底部に次第に堆積して来るので、前記堆積物を水と一緒に排出してしまうことがないように、常に水中ポンプをその吸入口が堆積物の上面よりも一定の距離以上離れた位置にあるように保持する必要があるからである。また第二に、水中ポンプを水面レベル近くに固定的に設置した場合は、確実に上澄み水のみを排出することはできるが、排水によって水面レベルが水中ポンプの吸入口以下まで低下するとそれ以後は排水ができなくなってしまうからである。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
上記従来技術においては、沈殿物の堆積状況を監視しながら、その都度レバーブロック等を操作して水中ポンプの吊支高さを調整している。しかし、沈殿槽に貯留された水の汚濁状況によっては、前記堆積高さの確認が難しく、このため、水中ポンプが堆積土砂の中に埋まって、この土砂を水と一緒に排出してしまうといった不具合が頻繁に発生しているのが現状である。その結果、排出された前記土砂が沈殿槽外部の排水施設に堆積して機能障害を招来する恐れがあり、このため、排出され堆積された土砂等を真空吸引手段等によって除去するといった作業が必要になるといった種々の問題が指摘される。
【0005】
本発明は、上記のような事情のもとになされたもので、その主な技術的課題とするところは、水中ポンプが沈殿堆積物等に埋まってしまうことがないように、この水中ポンプの高さ調整を的確に行うことにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上述した技術的課題は、本発明によって有効に解決することができる。
すなわち本発明に係る水位追従式水中ポンプは、吐出口に可撓性を有するサクションホースが接続された水中ポンプ本体と、前記水中ポンプ本体をその吸入口が水面下に位置するように前記水面に浮上支持する浮揚部材と、水位が低下した時に前記水中ポンプ本体をその吸入口が水底より上に位置するように支持する支持脚と、前記浮揚部材による浮上状態での吃水線と前記吸入口との間の高さに位置して設けられた吃水センサを備え、前記水中ポンプ本体の駆動が、前記吃水センサで検出される前記吃水線の高さが前記浮上状態での吃水線と前記吸入口との間の所定高さまで低下した時点で停止されるように制御される。
【0007】
本発明の構成によれば、水中ポンプ本体は浮揚部材によって、吸入口が水面下に位置するように水面に浮上支持された状態で排水を行うため、水底の堆積物等に埋まることはない。また、サクションホースが可撓性を有するため、当該水位追従式水中ポンプは、前記サクションホースの撓み変形を伴いながら排水による水位低下に追従して降下する。そして、支持脚が水底(堆積物)上に着座するまで降下すると、この状態では前記水中ポンプ本体は吸入口が水底(堆積物)よりも高くなるように支持されるので、水と共に前記堆積物を排出してしまうことがない。
【0008】
また、支持脚が水底(堆積物)上に着座するまで水中ポンプ本体が降下した後も、この水中ポンプ本体による排水が継続されることによって、水中ポンプ本体の吃水レベルが、浮揚部材による浮上状態での吃水高さから徐々に低下して行く。吃水センサは、この吃水高さを検出するものであり、すなわち前記支持脚が水底(堆積物)上に着座した後でこの吃水レベルが前記浮上状態での吃水高さより所定値以上低下した時点で、吃水センサを介して前記水中ポンプ本体による排水を停止させることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明に係る水位追従式水中ポンプの好ましい一実施形態の使用状態を示すもので、参照符号1は汚濁水処理施設における沈殿槽、参照符号2は給水ポンプ(図示省略)に接続されて前記沈殿槽1に泥水等の汚濁水を供給する給水パイプ、参照符号3は前記沈殿槽1内に供給された汚濁水の水位WL(水面WS)の上限、言い換えれば前記沈殿槽1への給水量を制御するための水位センサで、その設置高さまで水位WLが上昇した場合に前記給水ポンプを停止させる例えばフロートスイッチからなるものである。
【0010】
この実施形態における水位追従式水中ポンプ10は、図2の平面図(A)及び鉛直断面図(B)にも示すように、水中ポンプ本体11と、この水中ポンプ本体11を沈殿槽1内の水面WSに浮上支持する浮揚部材としての複数(図示の例では五個)の金属缶12と、この金属缶12のうちの一個の側面に吃水センサとして固定されたフロートスイッチ13とを備える。水中ポンプ本体11の上端に開口した吐出口11aには、硬質ビニル等の可撓性を有する材質からなるサクションホース14が接続され、沈殿槽1の外部に導出されている。
【0011】
各金属缶12は、内部を密閉した例えば円筒状の20リットル缶であり、その下端面12aが互いに平面的に揃うように、かつ水中ポンプ本体11の外周を囲むように連結されている。前記水中ポンプ本体11は、その下端に開設された吸入口11bが前記金属缶12の下端面12aよりも所定高さhだけ高い位置にあり、かつ図1に示すように前記金属缶12によって水面WSに浮上支持された状態では、前記吸入口11bが前記水面WSより下側、すなわち水中に没入した状態となるものである。なお、前記高さhは、後述のように前記金属缶12の下端面12aが堆積物D上に着座した状態において、この堆積物Dが前記吸入口11bに吸い上げられることのない高さを考慮して設定される。
【0012】
水中ポンプ本体11に内蔵されたモータ11cは、フロートスイッチ13を介して電源に接続されている。前記フロートスイッチ13は、水中に没した状態では内蔵されたフロート(図示省略)の浮力によって前記モータ11cへの回路をONにし、水面より相対的に上にある場合は前記フロートの重量によって前記回路をOFFにするもので、図1に示すように当該水中ポンプ10が水面WSに浮上支持された状態での吃水線DLと前記水中ポンプ本体11の吸入口11bとの間の高さに位置して固定されている。
【0013】
以上の構成において、まず沈殿槽1内には、図示されていない給水ポンプによって、給水パイプ2から泥水等の汚濁水が供給される。沈殿槽1に供給された汚濁水の水位WLが水位センサ3の設置高さに達すると、この水位センサ3は前記給水ポンプヘの電力供給をOFFにし、これによって給水が停止される。
【0014】
沈殿槽1内に湛水された汚濁水に含まれる土砂等の汚濁粒子は、給水による乱流が収まると、水との比重差によって時間の経過と共に徐々に沈殿し、沈殿槽1の底部に堆積して行く。参照符号Dはその堆積物を示すものである。
【0015】
沈殿による汚濁粒子(堆積物D)と上澄み水Wとの分離に必要な時間が経過した後、上記実施形態による水位追従式水中ポンプ10を沈殿槽1内に入れる。すると、この水中ポンプ10は金属缶12の浮揚力によって水面WSに浮き、この状態では、前記金属缶12に取り付けられたフロートスイッチ13は当該水中ポンプ10の吃水線DLより下側にあるのでONになり、水中ポンプ本体11は駆動を開始する。そして水中ポンプ本体11の吸入口11bは水中に没した状態にあるため、沈殿槽1内の上澄み水Wは、前記吸入口11bから吸入され、吐出口11aからサクションホース14を介して沈殿槽11の外部(図示されていない後段の処理槽)へ排出される。
【0016】
水中ポンプ本体11による排水に伴って、沈殿槽1内の水位WLは徐々に低下して行き、水面WSに浮いている水中ポンプ10はこの水位低下に追従して前記沈殿槽1内を降下して行く。水中ポンプ本体11の吐出口11aに接続されたサクションホース14は可撓性を有するため、このサクションホース14が柔軟に撓むことによって前記水中ポンプ10の降下が円滑に行われる。
【0017】
水位WLの低下に追従して水中ポンプ10が降下して行くと、やがてその金属缶12の下端面12aが水底の堆積物Dの上面に着座する。図3はこの着座状態を示している。前記金属缶12は当該水中ポンプ10の支持脚を兼ねるものであり、この金属缶12の下端面12aが堆積物D上に着座した状態では、水中ポンプ本体11はその吸入口11bが前記堆積物Dの上面より高さhだけ上側となるように支持される。このため、前記堆積物Dと吸入口11bとの間には所定の空間が介在し、堆積した汚濁粒子の吸入・排出が有効に防止される。
【0018】
水中ポンプ10の金属缶12が堆積物D上に着座した後は、排水による水位WLの低下に前記水中ポンプ10が追従することはないため、その吃水線DLが前記水位WLと共に低下して行く。そしてこの吃水線DLがフロートスイッチ13による検知高さよりも低い位置(図3に二点鎖線で示す位置)まで低下した時点で、水中ポンプ本体11のモータ11cへの回路が開かれるので、水中ポンプ本体11の駆動が停止し、排水が終了する。
【0019】
フロートスイッチ13は、水中ポンプ本体11の吸入口11bよりも高い位置に取り付けられているので、水位WLが前記吸入口11bと同レベルまで低下する前に水中ポンプ本体11が停止される。このため水中ポンプ本体11内に空気が吸入されることによるモータ11cの過熱等のおそれがない。
【0020】
沈殿槽1の底部の堆積物Dは、前記底部に設けられた図示されていない排出手段等を介して除去される。
【0021】
なお、本発明は、図示の実施形態に限定されるものではない。例えば浮揚部材としては上記実施形態における金属缶12以外にも例えば発泡スチロールや浮環状のものなど、水中ポンプ本体11を水面WSに浮上支持するのに必要な浮力が得られるものであれば良い。また、吃水センサも、フロートスイッチ13に限らず、吃水高さによって回路をON/OFFするものであれば他のセンサも使用可能である。
【0022】
また、上記実施形態においては、浮揚部材である金属缶12が支持脚を兼ねる構成としたが、前記浮揚部材とは別に支持脚を設けることによって、前記水中ポンプ本体11をその吸入口11bが堆積物Dより適当な高さ以上離れた状態に支持する構成としてもよい。
【0023】
更に、本発明は図示の例のような沈殿槽1の排水用のほかに、種々の排水あるいは揚水設備にも使用することができる。また、金属缶12等の浮揚部材に対する水中ポンプ本体11の高さを適切に設定することによって、水面に浮いた油の回収(例えば海面に流出した原油の回収)等の手段としても有用である。
【0024】
【発明の効果】
本発明の水位追従式水中ポンプによれば、水中ポンプ本体は吸入口が水面下に位置するように水面に浮上支持された状態で、水位低下に追従しながら排水を行うため、沈殿物の堆積状況を監視しながら、その都度水中ポンプの高さを調整するといった作業が不要となる。また、排水による水位低下に追従して当該水位追従式水中ポンプが堆積物上に着座するまで降下しても、水中ポンプ本体はその吸入口が前記堆積物よりも高い位置となるように支持されるので、前記堆積物が水と共に排出されるといった不具合が確実に防止され、このため、排出された堆積物を真空吸引手段等によって除去するといった作業も不要になるといった優れた効果が実現される。
【0025】
また、水中ポンプが堆積物上に着座するまで降下した後は、水位が水中ポンプ本体の吸入口の高さまで低下する前に、吃水センサを介して水中ポンプ本体が停止されるので、空気の吸入による水中ポンプ本体の破損等を防止することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る水位追従式水中ポンプの好ましい一実施形態を、沈殿層の上澄み水の排水に使用した状態を示す説明図である。
【図2】上記実施形態の水位追従式水中ポンプの概略構成を示すもので、(A)は平面図、(B)は鉛直断面図である。
【図3】上記実施形態の水位追従式水中ポンプが堆積物上に着座した状態を示す説明図である。
【符号の説明】
1 沈殿槽
10 水位追従式水中ポンプ
11 水中ポンプ本体
11b 吸入口
12 金属缶(浮揚部材)
13 フロートスイッチ(吃水センサ)
14 サクションホース
D 堆積物
DL 吃水線
W 上澄み水
WL 水位
Claims (1)
- 吐出口に可撓性を有するサクションホースが接続された水中ポンプ本体と、
前記水中ポンプ本体をその吸入口が水面下に位置するように前記水面に浮上支持する浮揚部材と、
水位が低下した時に前記水中ポンプ本体をその吸入口が水底より上に位置するように支持する支持脚と、
前記浮揚部材による浮上状態での吃水線と前記吸入口との間の高さに位置して設けられた吃水センサを備え、
前記水中ポンプ本体の駆動が、前記吃水センサで検出される前記吃水線の高さが前記浮上状態での吃水線と前記吸入口との間の所定高さまで低下した時点で停止されるように制御されることを特徴とする水位追従式水中ポンプ。
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