JP4172494B2 - 復調装置、ディスクドライブ装置、復調方法 - Google Patents
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Description
光ディスクには、例えばCD、CD−ROM、DVD−ROMなどとして知られているように再生専用タイプのものと、MD、CD−R、CD−RW、DVD−R、DVD−RW、DVD+RW、DVD−RAMなどで知られているようにユーザーデータが記録可能なタイプがある。記録可能タイプのものは、光磁気記録方式、相変化記録方式、色素膜変化記録方式などが利用されることで、データが記録可能とされる。色素膜変化記録方式はライトワンス記録方式とも呼ばれ、一度だけデータ記録が可能で書換不能であるため、データ保存用途などに好適とされる。一方、光磁気記録方式や相変化記録方式は、データの書換が可能であり音楽、映像、ゲーム、アプリケーションプログラム等の各種コンテンツデータの記録を始めとして各種用途に利用される。
更に近年、Blu-Ray Disc(登録商標)と呼ばれる高密度光ディスクが開発され、著しい大容量化が図られている。
またデータトラック上の所定の位置にデータを記録することができるようにアドレス情報を記録する必要もあるが、このアドレス情報は、グルーブをウォブリング(蛇行)させることで記録される場合がある。
このようにすると、記録時や再生時に、反射光情報として得られるウォブリング情報からアドレスを読み取ることができ、例えばアドレスを示すピットデータ等を予めトラック上に形成しておかなくても、所望の位置にデータを記録再生することができる。
このようにウォブリンググルーブとしてアドレス情報を付加することで、例えばトラック上に離散的にアドレスエリアを設けて例えばピットデータとしてアドレスを記録することが不要となり、そのアドレスエリアが不要となる分、実データの記録容量を増大させることができる。
なお、このようなウォブリングされたグルーブにより表現される絶対時間(アドレス)情報は、ATIP(Absolute Time In Pregroove)又はADIP(Adress In Pregroove)と呼ばれる。
このMSK変調とSTW変調、及びこれらを組み合わせて形成されるADIP情報について詳しくは後述するが、MSK変調は、位相が連続したFSK(Frequency Shift Keying)変調のうちの変調指数が0.5のものである。
またSTW変調は、ウォブル基本波に対して2倍の高調波を加算又は減算することで、鋸歯状波形のような変調波形を生成する変調方式である。
Blu-ray Disc(登録商標)に対応するディスクドライブ装置では、このようなADIP情報を再生するために、MSK復調器、STW復調器が搭載されることになる。
特にMSK/STW変調信号の復調及びADIP情報のデコードに関する技術は上記特許文献1,2,3,4に開示されている。
このウォブルの振幅変化を避ける方式としてAGC回路方式やウォブル信号の振幅を制限させる方式が考えられ、例えば上記特許文献1,2等において提案されているが、ウォブル信号波形は振幅だけでなく、時間軸(位相)方向にも外乱を受けている。
上記の位相方向の外乱の影響は、乗算するウォブル信号と乗算基本波の位相ズレとして表れ、この位相ズレによって適切な乗算値の積算値が得られず、正しい復調ができなくなることがある。
MSK復調については、上記位相外乱の影響を避ける方式として、STW復調系で得られる位相情報を用いて乗算基本波の位相調整を行う技術が、上記特許文献3に記載されている。ところがこの場合、ウォブリンググルーブとしてSTW変調信号が含まれている領域でないと、乗算基本波の位相調整ができない。例えばディスク上の全領域においてウォブリンググルーブにMSK変調信号とSTW変調信号が含まれていればよいが、ディスク上の或る領域としてウォブリンググルーブにMSK信号のみが含まれている場合もあり、そのような場合にはSTW復調系から位相情報を得ることができない。
また、STW変調信号の位相変化とMSK変調信号の位相変化の相関関係が、全てのメディアにおいて保障されているわけではない。
これらのことから、MSK復調において、STW復調系で得られる位相情報を用いて乗算基本波の位相調整を行うことは、常に有効とは言えないこととなっていた。
また上記位相調整部は、上記位相判定部の判定結果に基づいて、上記演算部に供給する上記乗算基本波の位相を調整する。
また上記位相判定部は、上記変調信号の区間毎に、上記レベルバランスから判定できる位相ズレ方向に基づいてアップ/ダウンカウンタのカウント値を増減するとともに、該アップ/ダウンカウンタのカウントが所定回数行われたときのカウント値を用いて、上記相互位相状態の判定結果としての位相調整値を生成する構成とされる。
またこの場合、上記位相判定部には、上記変調信号の区間を示す変調区間信号が入力され、上記位相判定部は、該変調区間信号で示される期間のみ、上記複数の積分値のレベルバランスによる位相ズレ方向の判定を行う。
上記複数の所定の期間は、2つの連続した期間である。
複数の積分値のレベルバランスにより入力信号と乗算基本波の相互位相状態を判定することで、例えば複数系統の演算部を用いて適切な位相調整方向を判別する場合のような回路構成の煩雑化は招かない。
従って、本発明の復調装置、復調方法では、復調回路構成の煩雑化を招かないまま、例えば隣接トラックからのクロストーク、書き込み後の反射率の低下による変調信号振幅の低下、ディスクスキュー等の外乱により、入力信号(ウォブル信号)の位相変動が発生しても、十分に復調できる構成を実現できる。
本発明のディスクドライブ装置の場合、このような復調性能の向上により、アドレスエラーが低減し、記録再生動作性能が向上される。例えば物理特性や記録再生特性のバラツキの大きい記録再生メディアに対しても安定した記録再生を行えるようになる。
また、自動的な位相調整によりMSK変調に対する復調能力が上がることは、ピックアップ部の特性のばらつきに対しても、ウォブルアドレス復調能力を維持できることになるため、ピックアップ部の歩留まりを改善することもできる。
1.MSK変調、STW変調、及びADIP
2.ディスクドライブ装置の構成
3.ADIP復調系の構成
4.変形例
本発明の実施の形態に対応する光ディスク1は、図1(a)に示すように、記録トラックとなるグルーブGVが形成されている。このグルーブGVは、内周側から外周側へスパイラル状に形成されている。そのため、この光ディスク1の半径方向の切断面を見ると、図1(b)に示すように、凸状のランドLと、凹状のグルーブGVとが交互に形成されることとなる。なお、図1(a)のスパイラル方向は、光ディスク1を記録面側から見た状態であり、複数の記録層を有するディスクの場合、各記録層でスパイラル状態が異なる場合がある。
このウォブル信号には、その記録位置における記録トラックのアドレス情報(物理アドレスやその他の付加情報等)が変調されている。そのため、光ディスクドライブでは、このウォブル信号からアドレス情報等を復調することによって、データの記録や再生の際のアドレス制御等を行うことができる。
MSK変調は、位相が連続したFSK(Frequency Shift Keying)変調のうちの変調指数が0.5のものである。FSK変調は、周波数f1と周波数f2の2つのキャリア信号に対して、被変調データの符号の“0”,“1”をそれぞれ対応させて変調する方式である。つまり、被変調データが“0”であれば周波数f1の正弦波波形を出力し、被変調データが“1”であれば周波数f2の正弦波波形を出力する変調方式である。さらに、位相が連続したFSK変調の場合には、被変調データの符号の切り換えタイミングにおいて、2つのキャリア信号の位相が連続する。
このFSK変調では、変調指数mというものが定義される。この変調指数mは、
m=|f1−f2|T
で定義される。ここで、Tは、被変調データの伝送速度(1/最短の符号長の時間)である。このmが0.5の場合の位相連続FSK変調のことを、MSK変調という。
上記のようにモノトーンウォブルをCos(ωt)と表現すると、MSK変調に用いられる2つの周波数は、一方を基準キャリア信号と同一の周波数とし、他方を基準キャリア信号の1.5倍の周波数とするため、MSK変調に用いられる信号波形は、一方がCos(ωt)又は−Cos(ωt)となり、他方がCos(1.5ωt)又は−Cos(1.5ωt)となる。
そして図2(a)の波形では、2つのモノトーンウォブルと、MSK変調領域と、2つのモノトーンウォブルを示しており、その場合、MSKストリームの信号波形は、1ウォブル周期毎に、Cos(wt),Cos(wt),Cos(1.5wt),-Cos(wt),-Cos(1.5wt),Cos(wt)といった波形となる。なお図面では、モノトーンウォブルのCos(ωt)=cos{2π・(fwob)・t}として示しており(fwobは基準キャリア周波数)、従って、MSK変調領域としての3ウォブル期間は、MM1=cos{2π・(1.5・fwob)・t}、MM2=−cos{2π・(fwob)・t}、MM3=−cos{2π・(1.5・fwob)・t}となる。
このように1個目のウォブル周期期間(MM1)はモノトーンウォブルの1.5倍の周波数、2個目(MM2)はモノトーンウォブルと同じ周波数、3個目(MM3)はモノトーンウォブルの1.5倍の周波数とされ、この3ウォブル期間で位相が戻る。つまり前後のモノトーンウォブルと位相が連続した状態であり、しかも2個目のウォブル(MM2)はモノトーンウォブルに対して極性が反転したものとなる。
光ディスク1のウォブル信号にMSK変調方式で被変調データを挿入する場合、まず、被変調データのデータストリームに対して、ウォブル周期に対応するクロック単位で差動符号化処理をする。すなわち、被変調データのストリームと、基準キャリア信号の1周期分遅延させた遅延データとを差分演算する。この差動符号化処理をしたデータを、プリコードデータとする。続いて、このプリコードデータをMSK変調して、上記のようなMSKストリームを生成する。
STW変調は、上述のように正弦波のキャリア信号に対して偶数次の高調波信号を付加し、当該高調波信号の極性を被変調データの符号に応じて変化させることによってデジタル符号を変調する変調方式である。
光ディスク1では、STW変調のキャリア信号は、上記MSK変調のキャリア信号である基準キャリア信号(Cos(ωt))と同一周波数及び位相の信号としている。付加する偶数次の高調波信号は、基準キャリア信号(Cos(ωt))の2次高調波であるSin(2ωt)、−Sin(2ωt)とし、その振幅は、基準キャリア信号の振幅に対して−12dBの振幅としている。被変調データの最小符号長は、ウォブル周期(基準キャリア信号の周期)の2倍としている。
そして、被変調データの符号が“1”のときにはSin(2ωt)をキャリア信号に付加し、“0”のときには−Sin(2ωt)をキャリア信号に付加して変調を行うものとする。
なお図面では、モノトーンウォブルのCos(ωt)=cos{2π・(fwob)・t}として示しており、従って、STW変調信号は、被変調データが“1”の場合、cos{2π・(fwob)・t}+a・sin{2π・(2・fwob)・t}となり、被変調データが“0”の場合、cos{2π・(fwob)・t}−a・sin{2π・(2・fwob)・t}となるとして示している。
図からわかるように、このSTW信号波形は、ディスク外周側に急峻に立ち上がり、内周側に緩やかに戻る波形と、その逆にディスク外周側に緩い傾斜で立ち上がって急峻に戻る波形となり、これによって「1」「0」の値が表現される。またどちらの波形の場合も、破線で示すモノトーンウォブルMWと共通のゼロクロスポイントを有するものとなる。従ってMSK方式のモノトーンウォブルMWの部分と共通の基本波成分からクロックを抽出するに当たって、その位相に影響を与えない。
なお、光ディスク1では、キャリア信号に加える高調波信号を2次高調波としているが、2次高調波に限らず、偶数次の高調波であればどのような信号を加算してもよい。また光ディスク1では、2次高調波のみを加算しているが、2次高調波と4次高調波との両者を同時に加算するといったように複数の高調波信号を同時に加算しても良い。
図3(b)に8種類のADIPユニットを示す。8種類とは、モノトーンユニット、リファレンスユニット、シンク0ユニット、シンク1ユニット、シンク2ユニット、シンク3ユニット、データ1ユニット、データ0ユニットである。
8種類の全てのADIPユニットでは、先頭のウォブル番号0,1,2はMSKマークとされる。
モノトーンユニットは、MSKマークに続くウォブル番号4〜55が全てモノトーンウォブルで構成される。
リファレンスユニットは、ウォブル番号18〜54が、0値を示すSTW変調ウォブルとなる。
シンク0ユニット、シンク1ユニット、シンク2ユニット、シンク3ユニットは、それぞれシンク情報の為のADIPユニットであり、図示するようにそれぞれ所定ウォブル番号位置にMSKマークが配置される。
データ1ユニットは値「1」を表現し、またデータ0ユニットは値「0」を表現するユニットである。データ1ユニットの場合、ウォブル番号12〜14にMSKマークが配され、またウォブル番号18〜54が、値「1」のSTW変調ウォブルとされる。データ0ユニットの場合、ウォブル番号14〜16にMSKマークが配され、またウォブル番号18〜54が、値「0」のSTW変調ウォブルとされる。
即ち図4に示すように、ADIP情報の1単位は、ADIPユニット0〜82により形成される。そしてADIPユニットナンバ0から7が、モノトーンユニット、シンク0ユニット、モノトーンユニット、シンク1ユニット、モノトーンユニット、シンク2ユニット、モノトーンユニット、シンク3ユニットとされる。
ADIPユニットナンバ8以降は、リファレンスユニット及び4ビット分のデータユニットとしての5つのユニットが繰り返し配される。そして各データユニット(例えばdata[0]、data[1]、data[2]、data[3]・・・data[59])は、上記データ1ユニット、データ0ユニットのいずれかとされることで、ADIP情報としての60ビットの値が示される。この60ビットには、アドレス値、付加情報、ECCパリティ等が含まれる。
次に、上記のようなディスク1に対応して記録/再生を行うことのできるディスクドライブ装置を説明する。図5はディスクドライブ装置の構成を示す。
ディスク1は、図示しないターンテーブルに積載され、記録/再生動作時においてスピンドルモータ52によって一定線速度(CLV)で回転駆動される。
そして光学ピックアップ(光学ヘッド)51によってディスク1上のグルーブトラックのウォブリングとして埋め込まれたADIP情報の読み出しがおこなわれる。
なお、ディスク1上には、再生専用の管理情報として例えばディスクの物理情報等がエンボスピット又はウォブリンググルーブによって記録されるが、これらの情報の読出もピックアップ51により行われる。
またデータ記録時には光学ピックアップによってトラックにユーザーデータがフェイズチェンジマークとして記録され、再生時には光学ピックアップによって記録されたマークの読出が行われる。
またピックアップ51全体はスレッド機構53によりディスク半径方向に移動可能とされている。
またピックアップ51におけるレーザダイオードはレーザドライバ63からのドライブ信号(ドライブ電流)によってレーザ発光駆動される。
マトリクス回路54には、フォトディテクタとしての複数の受光素子からの出力電流に対応して電流電圧変換回路、マトリクス演算/増幅回路等を備え、マトリクス演算処理により必要な信号を生成する。
例えば再生データに相当する高周波信号(再生データ信号)、サーボ制御のためのフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号などを生成する。
さらに、グルーブのウォブリングに係る信号、即ちウォブリングを検出する信号としてプッシュプル信号を生成する。
マトリクス回路54から出力される再生データ信号はデータ信号処理回路55へ、フォーカスエラー信号及びトラッキングエラー信号は光学ブロックサーボ回路61へ、プッシュプル信号はウォブル信号処理回路65へ、それぞれ供給される。
データ復調回路56は、再生時におけるデコード処理として、再生クロックに基づいてランレングスリミテッドコードの復調処理を行う。復調処理されたデータはECCエンコーダ/デコーダ57に供給される。
ECCエンコーダ/デコーダ57は、記録時にエラー訂正コードを付加するECCエンコード処理と、再生時にエラー訂正を行うECCデコード処理を行う。
再生時には、データ復調回路56で復調されたデータを内部メモリに取り込んで、エラー検出/訂正処理及びデインターリーブ等の処理を行い、再生データを得る。
ECCエンコーダ/デコーダ57で再生データにまでデコードされたデータは、システムコントローラ60の指示に基づいて読み出され、AV(Audio-Visual)システム120に転送される。
ウォブルデータはADIP復調回路66でMSK復調、STW復調され、ADIPアドレスを構成するデータストリームに復調されてアドレスデコーダ59に供給される。
アドレスデコーダ59は、供給されるデータについてのデコードを行い、アドレス値を得て、システムコントローラ60に供給する。
なおADIP復調回路66におけるMSK復調、STW復調を行う構成は後述する。
この場合ECCエンコーダ/デコーダ57は、バファリングされた記録データのエンコード処理として、エラー訂正コード付加やインターリーブ、サブコード等の付加を行う。
またECCエンコードされたデータは、記録パルス変換回路64においてRLL(1−7)PP方式(RLL;Run Length Limited、PP:Parity preserve/Prohibit rmtr(repeated minimum transition runlength))の変調が施される。なお、記録時においてこれらのエンコード処理のための基準クロックとなるエンコードクロックはウォブル信号から生成したクロックを用いる。
即ちフォーカスエラー信号、トラッキングエラー信号に応じてフォーカスドライブ信号、トラッキングドライブ信号を生成し、二軸ドライバ68によりピックアップ51内の二軸機構のフォーカスコイル、トラッキングコイルを駆動することになる。これによってピックアップ51、マトリクス回路54、光学ブロックサーボ回路61、二軸ドライバ68、二軸機構によるトラッキングサーボループ及びフォーカスサーボループが形成される。
また光学ブロックサーボ回路61は、システムコントローラ60からのトラックジャンプ指令に応じて、トラッキングサーボループをオフとし、ジャンプドライブ信号を出力することで、トラックジャンプ動作を実行させる。
また光学ブロックサーボ回路61は、トラッキングエラー信号の低域成分として得られるスレッドエラー信号や、システムコントローラ60からのアクセス実行制御などに基づいてスレッドドライブ信号を生成し、スレッドドライバ69によりスレッド機構53を駆動する。スレッド機構53には、図示しないが、ピックアップ51を保持するメインシャフト、スレッドモータ、伝達ギア等による機構を有し、スレッドドライブ信号に応じてスレッドモータを駆動することで、ピックアップ51の所要のスライド移動が行なわれる。
スピンドルサーボ回路62は、ウォブル信号に対するPLL処理で生成されるクロックを、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報として得、これを所定のCLV基準速度情報と比較することで、スピンドルエラー信号を生成する。
またデータ再生時においては、データ信号処理回路55内のPLLによって生成される再生クロック(デコード処理の基準となるクロック)が、現在のスピンドルモータ52の回転速度情報となるため、これを所定のCLV基準速度情報と比較することでスピンドルエラー信号を生成することもできる。
そしてスピンドルサーボ回路62は、スピンドルエラー信号に応じて生成したスピンドルドライブ信号を出力し、スピンドルドライバ67によりスピンドルモータ52のCLV回転を実行させる。
またスピンドルサーボ回路62は、システムコントローラ60からのスピンドルキック/ブレーキ制御信号に応じてスピンドルドライブ信号を発生させ、スピンドルモータ52の起動、停止、加速、減速などの動作も実行させる。
システムコントローラ60は、AVシステム120からのコマンドに応じて各種処理を実行する。
例えばAVシステム120から書込命令(ライトコマンド)が出されると、システムコントローラ60は、まず書き込むべきアドレスにピックアップ51を移動させる。そしてECCエンコーダ/デコーダ57、記録パルス変換回路64により、AVシステム120から転送されてきたデータ(例えばMPEG2などの各種方式のビデオデータや、オーディオデータ等)について上述したようにエンコード処理を実行させる。そして上記のようにエンコードされたデータに応じてレーザドライバ63がレーザ発光駆動することで記録が実行される。
その後、その指示されたデータ区間のデータをAVシステム120に転送するために必要な動作制御を行う。即ちディスク1からのデータ読出を行い、データ信号処理回路55、データ復調回路56、ECCエンコーダ/デコーダ57におけるデコード/バファリング等を実行させ、要求されたデータを転送する。
さらには他の機器に接続されない形態もあり得る。その場合は、操作部や表示部が設けられたり、データ入出力のインターフェース部位の構成が、図5とは異なるものとなる。つまり、ユーザーの操作に応じて記録や再生が行われるとともに、各種データの入出力のための端子部が形成されればよい。
もちろん構成例としては他にも多様に考えられ、例えば記録専用装置、再生専用装置としての例も考えられる。
図6は、上記図5の構成の内で、ウォブル信号を復調しADIP情報を得るための回路系のみを示している。上記もしたようにマトリクス回路54からのプッシュプル信号P/Pがウォブル信号処理回路65に供給される。
ウォブル信号処理回路65は、例えば図8のように構成されている。
コンパレータ12は、オペアンプ、コンパレータアンプで構成され、プッシュプル信号P/Pを2値化する。そして2値化したプッシュプル信号P/PをPLL回路13に供給する。
PLL回路13では、2値化信号に基づいて、プッシュプル信号P/P、つまりウォブリンググルーブの変調信号の周波数(ウォブル周波数)のクロック(ウォブルクロックWCK)を生成する。なおPLL回路13はデジタル回路を用いてもよい。
PLL回路13から出力されるウォブルクロックWCKは、PLL回路14に供給される。PLL回路14では、ウォブルクロックWCKを逓倍し、マスタークロックMCKを生成する。このマスタークロックMCKは、A/D変換器16のサンプリングクロックとされる。なおPLL回路14も、アナログ回路、デジタル回路のいずれで構成しても良い。
そして、この図8のようなウォブル信号処理回路65から出力されるウォブルデータWD及びクロック(ウォブルクロックWCKとマスタークロックMCK)が、図6に示すようにADIP復調回路66におけるMSK復調器10,STW復調器11に供給される。
STW復調器11も同じくプッシュプル信号P/Pをデジタルデータ化したウォブルデータWDを復調し、STW復調信号を出力する。
このMSK復調信号及びSTW復調信号がアドレスデコーダ59に供給される。そしてアドレスデコーダ59によってADIP情報がデコードされ、システムコントローラ60に供給される。
また、アドレスデコーダ59からMSK復調器10には、図3で示したMSK変調区間を示すMSKエリア信号ARmが供給される。図7にMSKエリア信号ARmを示すが、この図のようにMSKエリア信号ARmは、データ1ユニット、データ0ユニットにおけるMSK変調区間を含むようにパルスが立ち上がる信号とされる。即ちMSKエリア信号ARmは、MSK変調区間(MSK変調信号が存在する可能性がある区間)を示すウインドウ信号となる。
アドレスデコーダ59は、MSK復調信号に基づいて図3(b)の各ユニットの同期(ビットシンク)をとり、その後、シンク0ユニット〜シンク3ユニットのワードシンクを確認して同期を確立する。つまり各ユニットの先頭のMSK復調信号(ウォブル番号0,1,2)を検出することで、各ユニットの同期をとった後、シンク0ユニット〜シンク3ユニットを検出して図4の83ユニットのADIP情報の同期を確立する。この同期が確立されることで、STW変調区間及びMSK変調区間がわかり、STWエリア信号及びMSKエリア信号ARmを発生できる。
上述のように図8のウォブル信号処理回路65におけるA/D変換器16で得られるウォブルデータWDは、図9のMSK復調器10において端子36cに入力される。
また、ウォブル信号処理回路65から出力されるウォブルクロックWCKは端子36aに、マスタークロックMCKは端子36bにそれぞれ供給され、このウォブルクロックWCK、マスタークロックMCKはMSK復調器10内の各部で基準クロックとして用いられる。
このMSK復調器10は、ウォブルデータWDに対して、バンドパスフィルタ21、乗算器22,L積分器23、2L積分器24、レベル検出器26の処理によりMSK復調信号Doutを得る構成としている。
エッジ検出器29は、このウォブルデータWDを2値化して立ち上がりエッジを検出し、エッジ検出信号をウォブル周期同期検出部30に供給する。
ウォブル周期同期検出部30では、ウォブルデータWDについて同期検出を行う。例えばエッジ検出信号による立ち上がりエッジの間隔がウォブル周期であることを、規定した回数連続して確認出来た事で、同期がとれたと見なす。これによりウォブル周期同期検出部30は乗算基本波発生部31に対してウォブル周期同期検出信号SyDを出力する。ウォブル周期同期検出信号SyDは、例えば同期がとれたと判断した或る時点でHレベルに立ち上がる信号とされる。
乗算器22では、この図10(b)のウォブルデータWDfと図10(c)の乗算基本波BWが乗算される。そして乗算結果として図10(d)の乗算出力MLを出力する。
このL積分値ホールド出力LiHは、2L積分器24で、さらに2L、つまり2ウォブル周期単位で積分される。つまり2L積分器24は、或るウォブル周期でのL積分値ホールド出力LiHと、次のウォブル周期でのL積分値ホールド出力LiHとを積算し、その積算結果をホールド出力する。
この2L積分器24の積分処理は、図10(i)に示す2L積分開始位相が確定した時点以降行われる。そしてその時点以降、確定した2L積分開始位相を起点とする2ウォブル期間単位で、図10(g)に示すように2L積分値ホールド出力2LiHが得られる。
レベル検出器26は、この2L積分値ホールド出力2LiHのレベル検出(正負判定)を行う。例えば0を閾値として、2L積分値ホールド出力2LiHが正ならば復号ビットは“0”、負ならば“1”とする。この検出結果が、ADIPビットとしての復調出力、つまりMSK復調信号Doutとして、端子36eから後段のアドレスデコーダ59に供給される。
そしてこのMSK復調信号DoutとしてのADIPビットを後段のアドレスデコーダ59でデコードすることで、ADIPアドレス情報が得られる。
そのため積分開始位相補正部25が設けられており、積分開始位相補正部25で2L積分器24での2L積分位相が正しい状態か否かを判別するとともに、正しくない場合は、その2L積分開始位相を補正する処理を行うようにしている。
ここでは2L積分位相の判別手法や補正手法についての詳述は避けるが、例えば、MSK復調の途中、積分開始位相補正部25にて、復調動作引き込み時に確定した積分開始位相を基準として、L期間積分結果からの復号ビットの検出位相を監視し、奇数位相で検出されるビットの発生頻度により、2L積分開始位相補正の必要性を判断することができる。そして2L積分開始位相が不適切と判断すればその位相補正をかけるようにする。補正手法としては、2L積分器24に対して積分開始位相の再引き込み、或いは積分位相をシフトさせる等の制御を行う。或いはウォブル周期同期検出部30に対して同期再引き込みを実行させるようにしてもよい。
端子36bからのマスタークロックMCKは、遅延回路32及びカウンタ33に供給される。遅延回路32では、ウォブル周期同期検出信号SyDに対して、マスタークロックMCKの単位で所定の遅延時間を与え、カウンタ33に供給する。
この場合の遅延時間は、後述するアップダウンカウンタ28から出力される位相自動制御値Pcに基づいて設定される。
この遅延回路32は、ウォブル周期同期検出信号SyDを遅延させて、その立ち上がりエッジを、カウンタ33のリセット/スタートタイミングとするものである。後述するが、遅延回路32の遅延時間の調整により、復調用の乗算基本波BWの位相を、ウォブルデータWDfの位相に一致させるように調整できる。
なお遅延回路32は、例えばフリップフロップにより構成されるシフトレジスタとセレクタにより構成できる。もちろん他の構成でも良い。例えばデジタルカウンタを用いても実現でき、或いはCR構成のアナログ回路を用いてもよい。さらにはバッファとセレクタを用いた遅延回路を用いてもよい。
カウンタ33は、マスタークロックMCKをカウントする動作を行うが、遅延回路32からのリセット/スタート信号が供給されたタイミングでカウントリセットを行う。つまりカウンタ33は、遅延されたウォブル周期同期検出信号SyDのエッジタイミングでカウント値をリセットしてマスタークロックMCKのカウントを開始する。カウンタ33はカウント値がウォブル基本波形の1周期に相当する値となったら、カウント値を「0」にリセットしてカウントを続ける動作を行う。
例えばマスタークロックMCKが、ウォブル基本波形の1周期が23クロックとなる周波数であるとすると、カウンタ33は「0」〜「22」のカウント値を繰り返し発生させることになる。
カウンタ33は、そのカウント値をテーブル群35に対してテーブルのアドレスとして出力する。
そして各テーブルTB0〜TB7は、それぞれが乗算基本波となる波形データを記憶したテーブル(ROM)であり、各データがカウンタ33のカウント値に応じて読み出されるものである。
各テーブルTB0〜TB7の波形データとしては、例えばTD0〜TD22の23個のデータが記憶されている。これが上記「0」〜「22」のカウント値に応じて順次読み出されていくことで、図10(c)のように、ウォブル基本波形と同一周波数の乗算基本波BWが発生される。
ただし、各テーブルTB0〜TB7に記憶されている乗算基本波BWの波形は、それぞれが少しづつ位相がずらされたsin波形(又はcos波形)とされている。つまり各テーブルTB0〜TB7のデータTD0〜TD22は、それぞれ位相をずらしたウォブル1周期の波形を示すデータとされている。各テーブルTB0〜TB7の位相差については後述する。
なお、アップダウンカウンタ28から出力される位相自動制御値は、例えば8ビット値とされ、上位5ビットが遅延回路32での23段階の遅延量を指示し、下位3ビットが選択回路34でのテーブルTB0〜TB7の選択値を指示するものとされる。
各テーブルTB0〜TB7は、カウンタ33からのカウント値に応じて乗算基本波BWとなる波形データが順次出力されるが、選択回路34で選択されたテーブルTBxからの乗算基本波BWが乗算器22に供給されることになる。
また、カウンタ33,テーブル群35、選択回路34は、後述するように多様な位相状態で乗算基本波BWを発生する構成例の1つであるが、同様の動作が実行されれば構成は限定されず、例えばカウンタ33をシステムコントローラ60からの設定により1の増減ではなくn個の増減で動作させ、n個のテーブルを融合して1つのテーブルとする構成も考えられる。
ここで、位相判定器27及びアップダウンカウンタ28の動作説明に先だって、位相調整の必要性及び乗算基本波BWの位相を変化させる手法について説明しておく。
MSK復調器10の処理においては、図10からわかるように、入力されるウォブルデータWDにおいてウォブル基本波(モノトーンウォブル)の区間ではL積分器23のL積分値Liは正方向に推移する。一方、MSKマークの区間ではL積分値Liは負方向に推移する。これによって2L積分器24の出力である2L積分値ホールド出力2LiHは図10(g)のようになり、これをレベル検出器26で正負判定することでMSK復調信号Doutが得られることを先に述べた。
但し、この図10は、乗算器22に与えられるウォブルデータWDfと乗算基本波BWの位相が一致している状態である。即ち位相が一致しているときに一番よい復調結果が得られる。一方、ウォブルデータWDfと乗算基本波BWの位相がずれた場合は、この図10のような明確な波形が得られず、レベル検出器26での正負判定の際にエラーの生じやすい状態となる。つまりウォブルデータWD(WDf)と乗算基本波BWの位相ズレによって復調精度が悪化する。
例えばアップダウンカウンタ28が後述する動作により、例えば8ビットの位相自動制御値Pcを発生させ、その上位5ビットで、遅延回路32での遅延量を調整することによっては、乗算基本波BWの位相をマスタークロックMCK単位で可変設定できるものとなる。
例えば上記のようにマスタークロックMCKは、1ウォブル基本波形周期において23クロックとなる周波数であるとするとき、遅延回路32での遅延量を変更することで、1/23周期単位で乗算基本波BWの位相を調整できることになる。つまり遅延回路32から出力されるウォブル周期同期検出信号SyDのエッジタイミングでカウンタ33がリセット/スタートされるため、遅延量を変えれば、1ウォブル周期においてカウンタ33のリセット/スタートタイミングを23段階に変化させることができる。カウンタ33のリセット/スタートタイミングは、或るテーブルTBxのデータTD0〜TD22における先頭のデータTD0の出力タイミングとなるため、遅延量を23段階で可変とすることで、テーブルTBxから出力される乗算基本波の位相を1ウォブル周期内で23段階に可変できる。
例えば図11は、或るテーブルTBxから出力される乗算基本波として、遅延時間調整によって1/23周期単位で位相調整できる様子を示している。
入力されるウォブルデータWDの位相が、マスタークロックMCKの位置で常にゼロクロスする波形であれば、遅延回路32による位相調整のみで問題ないが、回路動作の遅延等で内部動作でのクロックサンプリングのタイミングにより位相がずれる事がある。また動作周波数を下げるとサンプリングの間隔が大きくなり位相差が大きくなる。特に高転送レート時においてはサンプリング周波数が相対的に低くなるため、ウォブル信号波形と、乗算基本波BWとの位相が大きく異なる場合がある。従ってマスタークロック単位よりさらに精細な位相調整を行う必要が生ずる。
図12に、各テーブルTB0〜TB7に記憶される波形データ例を示している。図示するように、各テーブルTB0〜TB7に記憶されるデータは、それぞれが1/8MCK期間だけ位相がずれたデータとなっている。特に図12の破線Sの部分を拡大して図13に示しているが、図13に明瞭に示されるように、マスタークロックMCKによるサンプリング間隔の内で位相がずれるように、各テーブルTB0〜TB7のデータTDが設定されている。
L積分バランス判定部41にはL積分器23からのL積分値ホールド出力LiHが供給される。
また図7で述べたアドレスデコーダ59からのMSKエリア信号ARmが、端子36dからL積分バランス判定部41及び検出ビットカウンタ45に供給される。
またレベル検出器26から出力されるMSK復調信号Doutが検出ビットカウンタ45に供給される。
即ち検出ビットカウンタ45は、MSK変調信号としての「1」値をカウント値「n」までカウントする動作を繰り返しながら、n回のカウントを行う毎にカウンタ値ホールド部43の出力を確定させる。
図15(a)(b)(c)に、ウォブルデータWDfと乗算基本波BWの相互位相状態に対する、2つの連続したL期間のL積分値ホールド出力LiHのレベルバランスを示している。
図15(b)はウォブルデータWDfと乗算基本波BWの位相が合っている最適位相状態を示しているが、このような場合、図示する期間L1a、L1bとしての各L期間において、ゼロレベルを下回るL積分値ホールド出力LiHの値が揃う。
一方、図15(a)は乗算基本波BWの位相が進んでいる状態を示しているが、この場合、図示する期間L1a、L1bの各L期間において、L積分値ホールド出力LiHの値は先の期間L1aの方が後の期間L1bより高くなる。
さらに図15(c)は乗算基本波BWの位相が遅れている状態を示しているが、この場合、図示する期間L1a、L1bの各L期間において、L積分値ホールド出力LiHの値は先の期間L1aの方が後の期間L1bより低くなる。
L積分バランス判定部41は、MSKエリア信号ARmで示されるMSK変調区間において、期間L1a、L1bで入力されるL積分値ホールド出力LiHの値を比較し、図15(a)の場合は、乗算基本波BWの位相を遅らせる方向を示す値として「+1」を出力する。また図15(b)の場合は「0」を出力する。また図15(c)の場合は、乗算基本波BWの位相を進ませる方向を示す値として「−1」を出力する。
カウンタ値ホールド部43は、ホールドタイミングにおいてL積分バランスアップダウンカウンタ42の値をホールドする。
上記のように、L積分バランスアップダウンカウンタ42とカウンタ値ホールド部43には、上記のように検出ビットカウンタ45からのリセット信号、ホールド信号が供給されることで、一定回数(n個のMSK変調区間)についてのレベルバランス判定結果のカウント値が、カウンタ値ホールド部43からホールド出力されることになる。
例えばn=8とし、検出ビットカウンタ45で「0」〜「8」のカウントが行われるとすると、カウンタ値ホールド部43からのホールド出力は「−9」〜「+9」の範囲のいづれかの値となる。
位相調整値Pdの算出方法は各種考えられる。3つの例を挙げる。
・ホールド出力値をそのまま位相調整値Pdとする。
・ホールド出力値が正値であったら位相調整値Pd=+1、ホールド出力値が0であったら位相調整値Pd=0、ホールド出力値が負値であったら位相調整値Pd=−1とする。
・ホールド出力値に係数kを乗算して位相調整値Pdとする。例えば係数k=1/4とする(係数乗算結果の小数点以下は例えば四捨五入もしくは切り捨て)。
例えばこのようにして位相判定器27で位相調整値Pdが発生され、この位相調整値Pdが図9に示したアップダウンカウンタ28に供給される。
このアップダウンカウンタ28のカウント値が、位相自動制御値Pcとして遅延回路32、及び選択回路34に供給される。
なお、アップダウンカウンタ28の初期値、つまり位相調整値としての初期値は、例えばシステムコントローラ60から端子36fにMSK位相初期値ロード信号Siが供給されることで設定される。
図16(a)は乗算器22に供給されるウォブルデータWDfと乗算基本波BWを示し、図16(b)はこれらを乗算した乗算器22の乗算出力MLを示している。
この乗算出力MLをL積分器23で積分して図16(c)のL積分値ホールド出力LiHが得られ、これが位相判定器27に供給される。
また図16(d)のようにMSKエリア信号ARmが位相判定器27に供給される。
この図の場合、<A>、<B>、<C>の各期間に、L積分値ホールド出力LiHがゼロレベル以下となっている。MSKエリア信号ARmによっては、<B>期間、<C>期間がMSK変調区間に相当することがわかるため、位相判定器27のL積分バランス判定部41は、この<B>期間、<C>期間において、L積分値ホールド出力LiHの、ゼロレベル以下となる2つのL期間のレベルバランスを判定する。<A>期間は、何らかの原因でL積分値ホールド出力LiHがゼロレベル以下となっているが、これはMSK変調区間ではないとして、L積分バランス判定部41でのレベルバランス判定は行わない。
なお、この図では、図16(e)の検出ビットカウント値が<B>期間のタイミングでリセットされており、図16(f)の積分バランスアップダウンカウンタ42のカウント値も、このタイミングでリセットされている。
図17(d)(e)(f)からわかるように、MSKエリア信号ARmで示されるMSK変調区間において、レベルバランス判定が行われて、L積分バランスアップダウンカウンタ42のカウントが行われる。この場合、主にアップカウントが行われている場合を示している。
また検出ビットカウンタ45で図17(e)のようにMSK復調信号Doutがカウントされ、カウント値が「n」となった時点でカウンタ値ホールド部43でホールドが行われ、また次のカウント時点で、検出ビットカウンタ45とL積分バランスアップダウンカウンタ42のカウント値がリセットされる。
これによりカウンタ値ホールド部43のホールド出力値は図17(g)のようになり、このホールド出力を用いて位相調整値決定部44で、図17(h)のように位相調整値Pdが生成される。この図では、ホールド出力値に係数を乗算して位相調整値Pdを生成する例としての位相調整値Pdの値を示している。
位相調整値Pdはアップダウンカウンタ28においてカウントされる。アップダウンカウンタのカウント値を図17(i)に示している。この値が位相自動制御値Pcとして、遅延回路32及び選択回路34に供給される。
上述のようにL積分値ホールド出力LiHのレベルバランスは相互位相状態に応じたバランス状態となるため、レベルバランス判定結果を一定回数(n回)カウントすることで、位相ズレの方向やズレ量を判定することができる。そしてその判定結果、つまり位相調整値Pdをアップダウンカウンタ28でカウントし、位相自動制御値Pcとすることで、乗算基本波BWの位相ズレ方向とズレ量に応じて、遅延時間設定とテーブル選択を行うことができ、これによって乗算器22に入力されるウォブルデータWDfと乗算基本波BWの相互位相状態を最適化する方向に追い込んでいくことができる。結果として、乗算基本波BWの位相をウォブルデータWDfに対して最適に保つことができる。
そして、乗算基本波BWとウォブルデータWDfの相互位相状態が自動的に最適状態(位相が合った状態)に追い込まれることで、MSK復調性能を向上させることができる。
つまり、ディスク1の隣接トラックからのクロストーク、書き込み後の反射率の低下、ディスクスキュー等の外乱要因に加え、メディアの違いによる外乱発生時などの位相ズレが生じても、これを補正し、十分にMSK復調ができることとなるため、ADIPアドレスエラーも低減する。
さらにアドレスエラーが低減することにより、メーカーが異なる事などによるメディア特性のばらつきが大きい記録再生メディアに対しても安定して記録再生することができる。
また、MSK復調能力が上がるのでピックアップ部のばらつきによる歩留まりを改善することもできる。
なお、本例の自動調整の調整精度(分解能)は、マスタークロックMCK周波数と、テーブル群35のテーブル数によるものとなるため、必要とする調整精度を考慮して、これらが適切に設計されればよい。
即ち特許文献4の場合、位相自動調整のために3つのMSK復調系を備えていたところ、本例ではその必要がなくなる。これによって回路構成の簡略化、小型化、コストダウンを実現できる。
図18(a)はL1積分結果、図18(b)はL1誤検出フラグ、図18(c)は位相自動制御値Pcを示している。図18(a)(b)では、位相調整を行わない場合と、本例の方式の場合、及び特許文献3として挙げた特開2005−222608号公報のように、STW復調器からの位相情報を用いて位相調整を行う方式について示した。図18(c)は、本例の方式と、STW復調器からの位相情報を用いて位相調整を行う方式の場合の位相自動制御値Pcを示した。
また図18(c)のように、本例の方式も、STW復調器からの位相情報を用いて位相調整を行う方式と同様の周期カーブで位相追従できていることがわかる。
つまり本例方式は、STW復調器からの位相情報を用いて位相調整を行う方式と遜色のない効果が得られており、十分な位相調整性能を実現できる。
そしてもちろん、本例の場合は、ディスク1上でSTW変調信号が存在しない領域でも、良好に位相調整が実行できる。
また本例では、位相判定器27においては、MSKエリア信号ARmに基づいてMSK変調区間のみでレベルバランス判定を行うことで、位相判定が正確になる。つまりMSK変調区間以外で、何らかの原因でL積分値ホールド出力LiHがモノトーン区間で0以下になることもあるが、その場合のL積分値ホールド出力LiHを位相判定に用いないことで、位相判定精度が悪化することがない。
以上、実施の形態について説明したが、本発明の変形例は多様に考えられる。
例えば実施の形態でのMSK復調器10では、テーブル群35を用いて精細な位相調整ができるようにしたが、例えば図19のようにテーブル群を備えない構成としても良い。
図19については上記図9と同一部分に同一符号を付し、詳細な説明は省略するが、図19のMSK復調器10では、乗算基本波BWを発生させる1つのテーブルTB0のみを有している。
この場合、乗算基本波BWの位相調整は遅延回路32での遅延時間調整によるもののみとなる。従ってアップダウンカウンタ28からの位相調整値は遅延回路32のみに供給される。
つまり遅延回路32の動作周波数を上げることができる場合は、この図19のような構成で、性能上問題のない位相調整が可能となるものである。
さらには、ウォブルデータWDfと乗算基本波BWの両方について、位相調整できるような回路構成も想定できる。
また、本例で示した復調方式は多様な装置に適用できる。即ち上記のように光ディスクのウォブルアドレス復調に応用できるだけでなく、MSK変調を用いた信号伝送復調装置などにも適用できる。
Claims (8)
- MSK変調方式の変調信号を含む入力信号が入力されて復調を行う復調装置において、
上記変調信号に対する乗算基本波を出力する乗算基本波発生部と、
上記乗算基本波と上記入力信号とを乗算し、乗算結果を積分する演算部と、
上記演算部の出力を用いて上記変調信号の復調信号を生成する復調信号生成部と、
上記入力信号における上記変調信号の区間についての上記積分結果として得られる複数の所定期間の積分値ホールド出力のレベルバランスに基づいて、上記入力信号と上記乗算基本波の相互位相状態を判定する位相判定部と、
上記位相判定部の判定結果に基づいて、上記演算部で乗算される上記入力信号と上記乗算基本波の相互位相状態が最適化される方向に位相調整を行う位相調整部と、
を備えたことを特徴とする復調装置。 - 上記位相調整部は、上記位相判定部の判定結果に基づいて、上記演算部に供給する上記乗算基本波の位相を調整することを特徴とする請求項1に記載の復調装置。
- 上記位相判定部は、上記変調信号の区間毎に、上記レベルバランスから判定できる位相ズレ方向に基づいてアップ/ダウンカウンタのカウント値を増減するとともに、該アップ/ダウンカウンタのカウントが所定回数行われたときのカウント値を用いて、上記相互位相状態の判定結果としての位相調整値を生成する構成とされることを特徴とする請求項1に記載の復調装置。
- 上記位相判定部には、上記変調信号の区間を示す変調区間信号が入力され、
上記位相判定部は、該変調区間信号で示される期間のみ、上記複数の積分値のレベルバランスによる位相ズレ方向の判定を行うことを特徴とする請求項3に記載の復調装置。 - 上記複数の所定の期間は、2つの連続した期間であることを特徴とする請求項1に記載の復調装置。
- ディスク記録媒体上でウォブリンググルーブとして記録された、MSK変調方式の変調信号を含むウォブル信号を読み出す読出部と、
上記変調信号に対する乗算基本波を出力する乗算基本波発生部と、
上記乗算基本波と上記ウォブル信号とを乗算し、乗算結果を積分する演算部と、
上記演算部の出力を用いて上記変調信号の復調信号を生成する復調信号生成部と、
上記入力信号における上記変調信号の区間についての上記積分結果として得られる複数の所定期間の積分値ホールド出力のレベルバランスに基づいて、上記入力信号と上記乗算基本波の相互位相状態を判定する位相判定部と、
上記位相判定部の判定結果に基づいて、上記演算部で乗算される上記入力信号と上記乗算基本波の相互位相状態が最適化される方向に位相調整を行う位相調整部と、
上記復調信号生成部で得られた復調信号に対してデコード処理を行い、上記ウォブリンググルーブとして記録された情報を得るデコード部と、
を備えたことを特徴とするディスクドライブ装置。 - 上記デコード部は、上記ウォブリンググルーブとして記録された情報として、ディスク記録媒体上のアドレス情報を得ることを特徴とする請求項6に記載のディスクドライブ装置。
- MSK変調方式の変調信号を含む入力信号が入力されて復調を行う復調装置の復調方法として、
乗算基本波と上記入力信号とを乗算し、乗算結果を積分する演算ステップと、
上記演算ステップでの演算出力を用いて上記変調信号の復調信号を生成する復調信号生成ステップと、
上記入力信号における上記変調信号の区間についての上記積分結果として得られる複数の所定期間の積分値ホールド出力のレベルバランスに基づいて、上記入力信号と上記乗算基本波の相互位相状態を判定する位相判定ステップと、
上記位相判定ステップの判定結果に基づいて、上記演算ステップで乗算される上記入力信号と上記乗算基本波の相互位相状態が最適化される方向に位相調整を行う位相調整ステップと、
を備えたことを特徴とする復調方法。
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