JP4172192B2 - ペリクル構造体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、集積回路の製造工程で使用されるレチクル又はフォトマスク(以下、これらを併せてマスクと呼ぶ。)に異物付着防止の目的で装着されるペリクル構造体及びその内部の雰囲気確認システム並びに雰囲気置換判定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
集積回路の製造工程で使用されるフォトリソグラフィ工程は、レジスト材を塗布したシリコンウェハを露光することによりパターンを形成する。この際に使われるマスクにキズ、異物等が存在していると、パターンと共にキズ、異物がウェハ上に転写され、回路の短絡・断線等の原因となる。この為にマスク表面の異物防止として、マスクの片面または両面にペリクル構造体を装着する方法がとられている。本明細書において、ペリクル構造体とは平面上のペリクル膜(本明細書において、有機樹脂からなる膜状のもの及び合成石英等からなる板状のもの共に含む。)と、ペリクル膜とマスクの間に空間を設けるために所定の厚みを持つペリクルフレームからなり、ペリクルフレームの上面にペリクル膜を接着したものをいう。
【0003】
シリコンウェハ上に集積回路パターンを描画するフォトリソグラフィ技術においては、近年LSIの高集積化に伴い、より狭い線幅で微細な回路パターンを描画するための技術が要求されており、これに対応するために露光光源の短波長化が進められている。例えば、リソグラフィ用ステッパの光源は、従来のg線(波長436nm)、i線(波長365nm)から進んで、KrFエキシマレーザー(波長248nm)、ArFエキシマレーザー(波長193nm)、F2レーザー(波長157nm)等のより短波長の光源に移行されている。
【0004】
従来のフォトリソグラフィ工程は大気中で行われていたが、露光光源の短波長化に伴い光吸収が大きくなり、大気中の酸素や水分及び有機化合物により露光光が吸収されるため、不活性ガス雰囲気中での露光が必要とされる。しかし、従来のペリクル構造体内部の雰囲気を不活性ガス雰囲気に置換することは容易ではなかった。
【0005】
この問題を解決する方法として、特開2001−133961号公報に記載されているようにマスクにペリクル構造体が装着された状態で、ペリクル構造体内部に不活性ガスを導入するために、ペリクル構造体内部に不活性ガス導入口とペリクル構造体内部ガス排出口を設け、容易にペリクル構造体内部を不活性ガス雰囲気に置換し酸素濃度の低減を行うことによりペリクル構造体に対する露光光の透過率を高める方法が知られている。
【0006】
しかしペリクル構造体内部の酸素濃度の確認を行っていないため、不活性ガスの置換状況を保証するまでには至っていない。また、露光光の吸収は、酸素のみでなく水分や有機化合物等によっても起こるため、ペリクル構造体内部の水分や有機化合物等についても濃度を確認し保証する必要がある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、これらの問題点を解決するためになされたものであり、パージガスを導入するためのガス導入口及び内部雰囲気ガスを排出するためのガス排出口が設けられ、ガス排出口がガス排出口より排出される内部雰囲気ガスの定性/定量分析を行う分析部に接続されているペリクルフレームとペリクルフレームの上面に接着されたペリクル膜とからなるペリクル構造体がマスクに装着された状態で、ペリクル構造体内部の雰囲気の確認を行うことにより、容易にペリクル構造体内部のパージガス置換状況を保証し、酸素のみでなく水分や有機化合物等についても濃度を確認することができるペリクル構造体及びその内部の雰囲気確認システム並びに雰囲気置換判定方法を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するための本発明は、ペリクルフレームとペリクルフレームの上面に設けられたペリクル膜からなるペリクル構造体において、該ペリクルフレームの外壁から内壁に連通するパージガス導入口と、該ペリクルフレームの内壁に設けた複数のガス排出口と、該ペリクルフレームの内壁と外壁の間に設け複数の該ガス排出口に接続する通気管と、該ペリクルフレームの外壁に設け該通気管に接続する接続口と、を備えることを特徴とするペリクル構造体である。
この複数のガス排出口を設けたことで、ペリクル構造体内部の気流等による影響を低減し、フォトマスクとペリクル構造体で作る内部空間の雰囲気置換を容易にかつ確実に行うことが出来る。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明のペリクル構造体及びその内部の雰囲気確認システム並びに雰囲気置換判定方法について、図を用いて詳細に説明する。図1は本発明のペリクル構造体の一実施例を用いた雰囲気確認システムの一例を示す説明図である。図2は図1におけるa−a’で切り開いた端面の説明図である。図3は本発明の雰囲気確認システムの他の例を示す説明図である。
【0013】
まず、本発明のペリクル構造体は、図1に示すようなペリクルフレーム1とペリクルフレーム1の上面に設けられたペリクル膜4からなるペリクル構造体である。このペリクルフレーム1には、その外壁から内壁に連通するパージガス導入口2を設け、それにガス供給管6を接続して、パージガスを供給できるようにしている。また、ペリクルフレーム内壁には、複数のガス排出口3と、外壁にはガス排気用の接続管7に接続するための接続口8が設けられ、それぞれが図2に示すようなペリクルフレーム内部の通気管11で接続して、ガスを排出する構造となっている。
【0014】
この時、通気管11はペリクルフレーム1が剛性を保つことができれば、内壁と外壁の間を空洞としたものでも構わない。また、排気口8も複数設けた構造としても構わない。
【0015】
各口の大きさは、特に限定されないが、パージガスの置換効率の観点と口開けによるペリクルフレームの強度低下を防止する観点とを考慮すると、口径は0.01〜2.0mm程度が好ましい。また、ガスの圧力損失を最小限にするためには、口形状は丸形が好ましいが、特に丸形に限定するものではない。さらに、ガス導入口及びガス排出口に逆止弁等を設けることができる。
【0016】
ペリクルフレームとして、Cu、Al、Cr等の金属材料又は、セラミックス、ゼオライト等の多孔質材料、テトラフロロエチレン、パーフロロアルコキシ、フッ化エチレンプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリエーテルサルフォン、ポリカーボネート、シクロオレフィンポリマー、ポリアリレート、ポリアミド、ポリメチルメタクリレート等の高分子樹脂材料、合成石英等からなるフレームを用いることができる。
ペリクル膜として、フッ素系樹脂などの有機樹脂又は、合成石英を用いることができる。
【0017】
次に本発明の雰囲気確認システムについて図3を用いて説明する。
まず、ペリクル構造体内部にパージガスを導入するためのガス導入口2とペリクル構造体内部から内部雰囲気ガスを排出するためのガス排出口3を有するペリクル構造体をフォトマスク5に装着する。このペリクル構造体は、従来のものでも、前述の本発明のものでもよい。
【0018】
従来のペリクル構造体を用いた場合、ガス導入口2及びガス排出口3は、露光の妨げにならないようにペリクルフレーム1に設けられることが好ましいが、これに限定されるものではない。また、パージガス導入時のペリクル構造体内部での雰囲気ガスの流れを考慮し、短時間でペリクル構造体内部のパージガスが置換するような位置にこれらの口が形成されることが好ましく、ペリクル構造体内部のパージガス置換を促進させるため、ガス導入口を2個以上形成することができ、ガス排出口を2個以上形成することもできる。口の大きさは、特に限定されないが、パージガスの置換効率の観点と口開けによるペリクルフレームの強度低下を防止する観点とを考慮すると、口径は0.01〜2.0mm程度が好ましい。また、ガスの圧力損失を最小限にするためには、口形状は丸形が好ましいが、特に丸形に限定するものではない。さらに、ガス導入口及びガス排出口に逆止弁等を設けることができる。
【0019】
パージガスとしてN2ガス又はArやHe等の希ガスを用いることが出来る。次にガス供給管6に接続されたガス導入口2よりパージガスを導入しつつ、ガス排出口3より内部雰囲気ガスを排出し、排出された内部雰囲気ガスがガス排出口3と分析部9を接続している接続管7を通って分析部9へ導入されることによりペリクル構造体内部雰囲気中の酸素、水分、有機化合物等の濃度をリアルタイムで確認することができる。
【0020】
さらに、ペリクル構造体内部雰囲気中の酸素、水分、有機化合物等の濃度が基準値以下(ここでは、それぞれ1ppm以下)になることを確認するまでパージガスを導入し続けることによりペリクル構造体内部の雰囲気置換の判定を下すことができる。
【0021】
本発明におけるガス供給管6には、必要に応じて流量コントローラー、流量計、前処理用トラップ管を設けることができる。前記流量コントローラー、流量計を設けることによりパージガスの流量を正確に調整することができる。また前記前処理用トラップ管を設けることによりパージガス内に混入されている有機化合物を除去することができる。その為、ガス供給管6に前記流量コントローラー、流量計、前処理トラップ管を設けることによりクリーンなパージガスを安定してペリクル構造体内部へ供給することができる。
【0022】
パージガスの供給方法としては、ガス供給管6よりパージガスを加圧導入することにより行っても良く、ガス排出用の接続管7からパージガスを吸引し、結果としてガス供給口2からペリクル構造体内部にパージガスを供給することにより行っても良い。具体的には、ガス供給管6に接続される場合には、加圧ポンプやガスボンベ等、ガス排出口3と分析部9をつなぐ接続管7に接続する場合は吸引ポンプ等が挙げられる。
【0023】
本発明における分析部9は、酸素濃度計、大気圧イオン化質量分析装置などの分析装置を単独であるいは組み合わせて用いることができる。
【0024】
次に、本発明を実施例を用いてさらに詳しく説明する。
<実施例1>
まず、外寸122mm×149mm、厚さ2mm、高さ5mmの合成石英製ペリクルフレーム1にガス導入口2とガス排出口3として直径0.3mmの口をそれぞれ2個ずつ開け、ペリクルフレームの上面にエポキシ系接着剤を用いて厚さ800μmの合成石英製ペリクル膜4を接着したペリクル構造体をアクリル系粘着剤により光透過部の透過率が86%であるマスク5に装着した。(図3参照)
【0025】
次に、ガス供給管6に設けられた図示しない流量コントローラー及び流量計により正確に流量が調整され、前処理用トラップ管により有機化合物が除去されたN2ガスをパージガスとして、ガス供給管6に接続された加圧ポンプにより、ガス導入口2からペリクル構造体内部に供給しつつ、ペリクル構造体の内部雰囲気ガスをガス排出口3より排出した。
【0026】
最後にガス排出口3より排出されたペリクル構造体の内部雰囲気ガスが接続管7を通り、酸素濃度計及び大気圧イオン化質量分析装置からなる分析部9へ導入されリアルタイムに酸素濃度及び水分濃度の測定を行い、酸素濃度及び水分濃度が共に1ppm以下となるまでパージガスを供給し続けた。
【0027】
このペリクル構造体内部の雰囲気確認システムによりペリクル構造体内部の雰囲気置換を判定したペリクル構造体装着マスクの透過率を測定したところ、露光波長157.6nmで透過率83.8%であった。これは、フォトマスクとして十分な透過率である。
【0028】
<実施例2>
まず、外寸122mm×149mm、厚さ2mm、高さ5mmの合成石英製ペリクルフレーム1にガス導入口2として直径0.3mmの口を2個開け、ガス排出口3として直径0.05mmの口を多数開け、ガス排出口3には通気管11が接続した。ペリクルフレームの上面にエポキシ系接着剤を用いて厚さ800μmの合成石英製ペリクル膜4を接着したペリクル構造体をアクリル系粘着剤により光透過部の透過率が86%であるマスク5に装着した。(図1参照)
【0029】
次に、ガス供給管6に設けられた図示しない流量コントローラー及び流量計により正確に流量が調整され、前処理用トラップ管により有機化合物が除去されたN2ガスをパージガスとして、ガス供給管6に接続された加圧ポンプにより、ガス導入口2からペリクル構造体内部に供給しつつ、ペリクル構造体の内部雰囲気ガスをガス排出口3より排出した。排出された内部雰囲気ガスは、通気管11を通り、通気管に設けられた接続口8及び接続管7を流れ、酸素濃度計及び大気圧イオン化質量分析装置からなる分析部9へ導入した。
【0030】
最後に、酸素濃度計及び大気圧イオン化質量分析装置からなる分析部9によりリアルタイムに酸素濃度及び水分濃度の測定を行い、酸素濃度及び水分濃度が共に1ppm以下となるまでパージガスを供給し続けた。
【0031】
このペリクル構造体内部の雰囲気確認システムによりペリクル構造体内部の雰囲気を保証したペリクル構造体装着マスクの透過率を測定したところ、露光波長157.6nmで透過率85.9%であった。これは、本発明のペリクル構造体が従来のものに比べて十分にパージガス置換ができることを意味している。
【0032】
【発明の効果】
本発明のペリクル構造体によると、ペリクル構造体内部の気流等による影響を低減し、フォトマスクとペリクル構造体で作る内部空間の雰囲気置換を容易にかつ確実に行うことが出来る。
【0033】
また、本発明の雰囲気確認システムによれば、容易にペリクル構造体内部のパージガス置換状況を確認でき、酸素のみでなく水分や有機化合物についても濃度を置換判定することができるペリクル構造体内部の雰囲気確認システム及び雰囲気置換判定方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明のペリクル構造体の一実施例を用いた雰囲気確認システムの一例を示す説明図である。
【図2】図1におけるa−a’で切り開いた端面の説明図である。
【図3】本発明の雰囲気確認システムの他の例を示す説明図である。
【符号の説明】
1・・・ペリクルフレーム
2・・・ガス導入口
3・・・ガス排出口
4・・・ペリクル膜
5・・・マスク
6・・・ガス供給管
7・・・接続管
8・・・接続口
9・・・分析部
10・・・データ処理部
11・・・通気管

Claims (1)

  1. ペリクルフレームとペリクルフレームの上面に設けられたペリクル膜からなるペリクル構造体において、
    該ペリクルフレームの外壁から内壁に連通するパージガス導入口と、
    該ペリクルフレームの内壁に設けた複数のガス排出口と、
    該ペリクルフレームの内壁と外壁の間に設け、複数の該ガス排出口に接続する通気管と、
    該ペリクルフレームの外壁に設け、該通気管に接続する接続口と、
    を備えることを特徴とするペリクル構造体。
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