JP4170983B2 - 整形外科・外科患者の部分負荷を測定・監視するための装置 - Google Patents

Description

本発明は、整形外科・外科患者の部分負荷を測定・監視するための装置に関する。

救急外科及び整形外科で医者は、従来の方法による治療時だけでなく手術時でも一部において、満足できる結果が確実に得られるようにするために、患者が患肢に対して完全に負荷をかけてよいかという問題に直面する。ここで対象となるのは下肢であり、患者は松葉杖で部分負荷を掛けねばならないことになる。

そのとき該当する骨に働く圧力が、充分に骨が成長するための刺激を引き起こすので、荷重負荷には意味がある。よって、出来るだけ早期に負荷をかけないと、良好な骨の治療結果が得られるかどうかは疑わしくなる。最新の早期機能回復治療理論でも、患者に出来るだけ早期に運動させることは必要ある。

部分負荷をかけるに当たっては、事前に患者側の多くの協力と準備が必要になる。患者は細かい治療要領に従い、診断と治療それぞれにより種々の荷重負荷を該当する肢に与えねばならず、例えば３週間に亘って１０ｋｇの負荷を肢に掛けねばならない。人間の足には正確な荷重検知器がないことから、これは明らかに問題である。

現在は患者が、努めて正確な重量負荷を達成するために、どれ位の負荷を秤にかけねばならないかを、秤を使って分かるように訓練する。治療における正確さを追求する最新の医療においては、このような解決手段は、不正確であり、しばしば再手術という結果を招くミスを発生しやすい。

協力と準備について高度な内容が要求される状態では、種々の考えをもつあらゆる年代の患者に対して、そのような種々の患者の状況を考慮していないこれまでの解決手段は旧式といわざるを得ない。

現在まで、次のような装置が公知となっている。

米国特許第５３５７６９６号明細書（パリス・ジョン）（１９９４年１０月２５日）（特許文献１）では、立っている時又は走行時に患者の足に働く力（荷重力）を測定するための装置を示している。一体化したアラーム装置が設けられており、事前にプログラムした閾値を超えると患者に知らせる。このアラーム装置は振動発生器でできている。

さらに、ピックアップユニットと分析ユニット（解析ユニット）が設けられている。

測定結果の送信は、ケーブルにより、又は無線を介して行うことができる。

装置全体は、靴の中に組み込むのに適している。

閾値はプログラム可能であるので、もちろん複数の（すなわち任意の）上方リミットが設定可能である。

フランス特許公開第ＦＲ２６３８３４０Ａ号（クレルモン・フェラン大学）（１９９０年５月４日）（特許文献２）は、松葉杖又は義肢や矯正具用のセンサーを示しており、それらに負荷される荷重（下方に働く力）を測定することになっている。発生した信号は増幅されてメモリーされる。アラーム発生器が設けられており、警告のために音、触感、又は光による信号を発生する。

負荷のために上方リミット値だけでなく下方リミット値も、事前にプログラム可能である。アラーム装置はグリップに組み込まれている。

ヨーロッパ特許公開第ＥＰ１０４０８１１Ａ２号（モルナール）（２０００年１０月４日）（特許文献３）では、本願発明に対応する松葉杖が開示されており、そこでは圧力測定器を使って測定を行う。
米国特許第５３５７６９６号明細書 フランス特許公開第ＦＲ２６３８３４０Ａ号 ヨーロッパ特許公開第ＥＰ１０４０８１１Ａ２号

これらの方法には下記のような欠点が挙げられる。

米国特許公報ＵＳ５３５７６９６Ａでは、測定装置が靴の中に組み込まれる。これは技術的に手間がかかり（整形外科的な靴職人作業）、加えて部分負荷を測定する間は何ヶ月にも亘るため非衛生的である。また、測定装置を再使用できないことにより、この方法は高価である。

フランス公開公報ＦＲ２６３８３４０Ａとそのヨーロッパ対応特許ＥＰ１０４０８１１Ａ２は、両方の松葉杖の測定パラメーターに同期性がなく、又は一つの松葉杖の荷重負荷のみを測定するので不正確な測定結果となる。

本発明の課題は、十分に正確な測定結果を提供し、それにより患者にとって面倒でない方法で良好な治療結果を達成できる装置を得ることである。

この課題を冒頭に述べた装置で解決するが、その装置は本発明によれば、下肢の荷重負荷を直接又は間接に決めるための少なくとも一つの測定装置と、設定可能な負荷上方リミットを上回る時にアラーム信号を出す少なくとも一つのアラーム発生器と、を含んでいる。

アラーム信号を出すことにより、患者は治療に有効な負荷を超えるときに警告されるので、そのような過度な負荷を間違いなく回避できる。そのとき上方リミットは、いろいろの患者に対して所望されるか、又は必要な負荷に設定できるので、本発明による装置を容易にいろいろの患者に適応させることができる。

少なくとも一つの測定装置が解析装置と接続されていると有利である。

本発明の第一実施形態によれば、少なくとも一つの測定装置が、少なくとも一つのアラーム発生器（例えば、音によるアラーム、又は振動アラームを発する）、そして場合により解析装置と一緒に、一つ又は複数の松葉杖に組み込まれている。この実施形態は容易に実現可能であり、治療が終わった後に松葉杖を別の患者に引き継ぐことができるので、コスト的な利点をもたらす。

別の実施形態によれば、靴底、靴の中敷き、あるいは歩行ギプスの“歩行かかと”に測定装置が組み込まれている。これは例えば、松葉杖の使用が不可欠ではない、あるいはギプスを付けなければならないような人に適している。

設定可能な負荷の上方リミットを超えるときに音によるアラームを発するために、少なくとも一つのアラーム発生器を装備していると患者には特に有効である。

部分負荷に対する設定可能なリミットを下回るとき、又は上回るときのアラームを、振動によるアラーム発生器を備えるようにすれば目立つことが少ない。

好適な実施形態では、治療師や医師が後になってから負荷を補充させることができるように、部分負荷の設定可能な上方リミット及び下方リミットの超過を表示して、エレクトロニクスメモリーに消去不能に記憶するようにしている。

最後に、設定可能な複数の上方リミットと下方リミットを備えていると、そして種々の負荷リミットを上回るとき又は下回るときに、種々のアラーム信号、例えばいろいろの音によるアラームを発すると便利である。この方法により患者は例えば、負荷が既に臨界範囲にあり更に負荷をかけてはならない、あるいはこの範囲の負荷は長期間に亘って治療に適さないということを、患者に知らせることができる。

以下において図面を参照しながら、本発明を詳細に説明する。

部分負荷をかけた肢の荷重負荷を次のようにして調べる。歩行中には、健肢だけでなく部分的に荷重のかかる肢のいずれでも、肢が立っている状態と遊んでいる状態が交互に変わる。健肢で立っている状態では、これが全部の体重を受けるＡ。部分負荷を受ける肢では立っている状態で、全体重１に相当する負荷２＋３が一緒に、この肢と両方の松葉杖にかかる。一つの肢が遊んでいる状態から立っている状態に、そして他の肢がその逆に変わるときに、流れるように負荷の移り変わりが行われ、それを移行状態と呼ぶことにするＢ。図１では、部分負荷下にある松葉杖を使って歩行するときの負荷状況を、理想化したグラフで示している。

区間Ａは健肢で立っている状態を示している。この状態では松葉杖及び使えない肢が空中にあるので、健肢の荷重負荷は全体重ＫＧに達する。区間Ｂは、立っている肢を健肢から使えない肢へ、そしてその逆への転換を示しており、区間Ｃは、使えない肢で立っている状態を示している。カーブ１は、松葉杖を使わない時の、使えない肢の荷重負荷を再掲している。カーブ２は、松葉杖を使う時の、松葉杖だけにかかる荷重負荷を示している。立っている状態にある患肢は時間的に遅れて地に着きすぐに再び上げられるので、部分負荷を受ける肢が立っている状態の始めと終わりに、使えない肢の荷重負荷は松葉杖それぞれに助けられて最大に達する（カーブ３）。

部分負荷を受ける肢で立っている状況での経過から、カーブ２で見られる二つの最大値間の最小値高さを調べることにより、実際の部分負荷が見つけられる。最小値を差し引いた全体重が、動いている中で立っている状態での部分負荷を受ける最大の重量負荷ＴＢとなる。それが図１においてカーブ３の最大値として得られる。

以下において再度簡単に、図１で使用している記号について説明する。

Ａ： 健肢の立っている状態
Ｂ： 移行状態
Ｃ： 部分負荷を受ける肢の立っている状態
ＫＧ： 全体重
ＴＢ： 調べた最大部分負荷
“１”： 部分負荷を受ける肢と松葉杖への全負荷
“２”： 松葉杖のみにかかる負荷
“３”： カーブ１と２の差として部分負荷を受ける肢の負荷

図２で示すように、両方の松葉杖それぞれの足部分に（又は別の適切な位置に）、荷重ピックアップ１０、例えば荷重測定器、伸び測定テープ付きダイアフラムセンサー、直接松葉杖の外側に設けた伸び測定テープ、又は松葉杖の実際の荷重負荷を測定する類似のものがある。荷重ピックアップにより、それぞれの松葉杖に荷重負荷に比例するアナログ信号をつくり出し、それが後に接続する制御装置１２により、増幅されデジタル化される。

そのとき、一つの松葉杖での測定を一定の測定率で行い、デジタル化された測定値は無線を介して別の松葉杖に伝送される。この無線伝送のために例えば、ＩＳＭ（工業、技術、医療）周波数領域のいずれかにおける伝送周波数を使ったＡＳＫ（振幅シフトキー変調）、又はＦＳＫ（周波数シフトキー変調）をベースにする簡単な遠隔測定システムを使ってもよく、同じくBluetooth-Standardによる無線インターフェイスをつかってもよい。

第二の松葉杖がこのデータを受信して、データ受信後にこの松葉杖でも測定を行う。第一の松葉杖は、それに対する負荷の測定が完全に独立して行われるので、いわば“マスター”として機能し、それに対して第二の松葉杖は、その前に第一松葉杖の完全な測定値を受信した時にのみ測定を行うので、“従属体”の役割にある。第二松葉杖（従属体）で両方の測定値が加算され、この両松葉杖の測定値合計が、−特にステップの最初と終了時におきる衝撃運動や落下運動による動的な影響を除いて−部分負荷を受けた足の荷重負荷を差し引いた全体重に相当する。

二つの測定値の合計は、従属体として機能する松葉杖の中で、歩行中にマイクロコントローラー１６により処理され、上記モデルによるアルゴリズムを使って、動きのあるなしでの実際の部分負荷を計算する。最大許容部分負荷を超える時に信号音１７を発する。音による信号発生器の代わりに、概ね松葉杖のグリップ部分に組み込んだ振動モーターを使ってもよい。

この松葉杖にメモリーを組み込むこともあり、生じた部分負荷をそれぞれのステップで記憶し、あるいは又、設定した部分負荷リミットを超えた数のみをメモリーする。この場合、例えば部分負荷リミットを超えた全回数、このリミットを例えば５Ｋｇ以上、１０Ｋｇ以上等々だけ超えた又は下回った回数を分類することもある。

このメモリーされたデータは、後から無線を介して、又はケーブル接続（例えば、シリーズのインターフェイス又はＵＳＢ）１８を介してコンピューターに伝送し、そこで更に加工処理することができる。同様に、測定データをリアルタイムで無線（例えばＢｌｕｅｔｏｏｔｈ）を介してコンピューターに伝送し、そこで更に加工処理して外部にメモリーすることもできる。これは例えば、リアルタイムで医療関係者が治療室で歩行分析を行なう際に適用することができる。

好ましい測定装置の実施例では、部分負荷の下部リミットも入力することができ、下回るときに同様に、上記のアラームの一つで超える場合とは異なるアラームが発せられる。同様に、松葉杖グリップの前方部分で見えるようにして、それぞれ最後のステップで生じた部分負荷の直接表示を可能にする、数字表示装置（ＬＥＤ又はＬＣＤ）を組み込んでいてもよい。

例えば走行時のように、松葉杖が治療として望まない方法で使用されると、解析エレクトロニクス装置１２でこれを検知し、それについても同様にアラームを発することができ、そしてこの望まない使用方法を蓄積する。

体重、上方及び下方の部分負荷リミットの設定は、コンピューター又は別の外部装置を使って行うことができ、そのとき、この設定の伝送は、例えばケーブル、又は無線、又は赤外線インターフェイスを介して行うことができる１８。また松葉杖にディスプレー付きキーボードを設けることもあり、この設定の一つ又は複数を直接、松葉杖で行うこともある。

電力供給は、例えば松葉杖の中又は携帯バッテリーを介して行う。充電可能なバッテリーの使用が望ましい。これを松葉杖の中空空間でも設けることができ、この部分を保護した上端部に充電装置への接続用差し込みを設けることがある。充電バッテリー付き松葉杖を出来るだけ長時間、使用可能な状態に維持するために、スタンバイモードを備えていると望ましく、それにより例えば座っているときや寝ているときのように一定の時間、負荷がかからないときに、松葉杖内の制御装置が自動的に切り替える。センサー及び全てのエレクトロニクス装置を松葉杖パイプ内に設けることがあり、それにより松葉杖が飛散する水から保護され、センサーとエレクトロニクス装置は温度変化及び振動の影響を受けることが少ない。

部分負荷を決めるための別の可能性は、靴の中敷き又は歩行ギプスの“歩行かかと”あるいは直接靴底に装備した荷重センサー又は圧力センサーを使った直接測定である。該当する肢の荷重負荷を直接測定できることを前提に、これについての技術的な展開は上記で述べた方法と同じであり、測定パラメーターをワイヤレスで、両松葉杖の少なくとも一つにある上記で述べたデータ処理装置に解析のために伝送することもある。

理想化した静的状況での部分負荷のもとで松葉杖を使って歩行するときの負荷状況を示すグラフの図である。 本発明による装置の実施例の図である。 対応する解析エレクトロニクス装置の構成の図である。

符号の説明

Ａ 健肢の立っている状態
Ｂ 移行状態
Ｃ 部分負荷を受ける又は使えない肢の立っている状態
ＫＧ 体重
ＴＢ 調べた最大部分負荷
１ 部分負荷を受ける肢と松葉杖への全負荷
２ 松葉杖だけへの負荷
３ カーブ１と２の差として部分負荷を受ける肢の負荷
４ ゴム製松葉杖先端
５ 松葉杖パイプ
６ 荷重測定器の固定
７ アナログの出力信号
８ 信号発生器へ
９ 荷重測定器の電源供給
１０ 荷重測定器
１１ 荷重負荷を荷重測定器に伝達するピストン
１２ 解析エレクトロニクス装置（図３）
１３ 荷重センサー
１４ 測定増幅器
１５ ＡＤＣ（アナログ・デジタル変換装置）
１６ デジタル化した測定値を解析するプログラムを備えたマイクロコントローラー
１７ アラーム発生器
１８ 体重と部分負荷リミットを入力するための、そして部分負荷の超過を読み取るためのインターフェイス

Claims (8)

1. 整形外科及び外科患者の部分負荷を測定・監視するための装置であって、少なくとも一つの下肢の荷重負荷を直接的又は間接的に決める少なくとも一つの測定装置と、設定可能な負荷リミットを上回るとき又は下回るときにアラーム信号を発する少なくとも一つのアラーム発生器（１７）と、少なくとも一つの解析ユニットと、松葉杖と、を含む構成において、解析ユニットが松葉杖に組み込まれており、
   測定装置が両方の松葉杖に組み込まれており、第一松葉杖（マスター）での部分負荷の測定を第二松葉杖（従属体）の測定とは関係なく行い、そして第一松葉杖の測定値が第二松葉杖に伝送された後に、第二松葉杖での測定を行う、ことを特徴とする装置。
2. 少なくとも一つの解析ユニット、及びアラーム発生器（１７）が松葉杖に組み込まれていることを特徴とする、請求項１に記載の装置。
3. 測定値の伝送を無線伝達により行うことを特徴とする、請求項１又は２に記載の装置。
4. 両方の松葉杖で調べた測定値の合計を差し引いた体重が下肢の荷重負荷に相当し、かつ、アルゴリズムに従い動的な荷重負荷も調べることができることを特徴とする、請求項１〜３のいずれかに記載の装置。
5. 設定可能な負荷リミットを上回るとき又は下回るときに音によるアラームを出すように、少なくとも一つのアラーム発生器（１７）を備えていることを特徴とする、請求項１〜４のいずれかに記載の装置。
6. 設定可能な負荷リミットを上回るとき又は下回るときに振動アラームを出すように、少なくとも一つのアラーム発生器（１７）を備えていることを特徴とする、請求項１〜５のいずれかに記載の装置。
7. 設定可能な負荷リミットを上回るとき又は下回るときに、この超過又は不足を表示して、消滅しないエレクトロニクスメモリーに記憶させることを特徴とする、請求項１〜６のいずれかに記載の装置。
8. 設定可能な複数の上方リミット及び下方リミットを設けていることを特徴とする、請求項１〜７のいずれかに記載の装置。

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