JP4170636B2 - ナトリウム−硫黄電池 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、電力貯蔵用等の二次電池として利用されるナトリウム−硫黄電池に関して、陰極金具の熱サイクルによる疲労劣化を緩和し、かつ陰極金具と絶縁リングとの接合面の剥離によるナトリウムの侵入を防止する低コストのセラミック製抑止体を設けたことを特徴とするナトリウム−硫黄電池に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
電力の平準化やピークカットなどの機能を実現するための電力貯蔵システムにナトリウム−硫黄電池が使用されているが、そのナトリウム−硫黄電池の構造は、図10にその断面図を模式的に示した通りのものである。
【0003】
製造時におけるその電池構造は、有底筒状のベータアルミナ固体電解質管9がその上端外周面でα−アルミナの絶縁リング1の内周面とガラス接合され、更に、絶縁リング1の上面に接合された陰極金具2及びその陰極金具2に溶接された陰極蓋4と絶縁リング1とベータアルミナ固体電解質管9とで区画された陰極室が、有底筒状の金属製安全管12とその安全管12内側にナトリウム及び少量のアジ化ナトリウムを収納したナトリウム収納容器13を配設しており、一方、陽極室は、絶縁リング1の下面に接合された陽極金具20と、その陽極金具20に溶接された陽極容器10と、更にはその陽極容器10に溶接された底蓋11と、絶縁リング1と、ベータアルミナ固体電解質管9とで区画され、硫黄を含浸したカーボンマットが配設され、その上部には窒素などの不活性ガスが充填された構造である。
【0004】
各部材による単電池組み立て後、電池作動温度までの昇温過程で、ナトリウム収納容器13内のナトリウムは溶融し、ナトリウム収納容器13内の上部に内包されていたアジ化ナトリウムの分解で発生した窒素ガスの圧力によりナトリウム収納容器13の底部に設けられている小孔より溶融ナトリウムが陰極室内に流出して陰極室内を充填状態にする。
【0005】
290℃〜385℃の温度で電池は作動し、ナトリウムはベータアルミナ固体電解質管9中をナトリウムイオンとしてイオン伝導し、陽極室の溶融硫黄と反応し、多硫化ナトリウムを生成して放電反応が進行する。充電の際は逆の反応が進み、陰極室に溶融ナトリウムが戻される。
【0006】
上述の構成のナトリウム−硫黄電池において、その構成部材であるα−アルミナ製の絶縁リング1とAl又はAl合金製の陰極金具2は熱圧接合されて単電池が組立てられる。
【0007】
熱圧接合部材の要部断面図を図7に示す。絶縁リング1と陰極金具2の熱圧接合方法は、絶縁リング1の上面にリング状の金属とセラミックの接合部材17を載置した後、絶縁リング1に陰極金具2を挿嵌し、陰極金具2の外フランジ2bの底面を金属とセラミックの接合部材17上面に当接させる。次いで、ステンレス製リング板18を挿嵌して陰極金具2の外フランジ部2b上面に載置する。加熱した炉内雰囲気中で押圧治具19によって絶縁リング1の上面に陰極金具2の外フランジ部2bを加圧接合する。
【0008】
この際、陰極金具2の外フランジ部2bはAl合金であるから柔らかく、金属とセラミックの接合部材17と共に押し伸ばされながら絶縁リング1の上面に熱圧接合される。絶縁リング1の内周面上部に位置する絶縁リング1と陰極金具2下方円筒部2cとの隙間は、加圧の際にはみ出した金属とセラミックの接合部材17で充填される。
【0009】
熱圧接合後、押圧治具19を陰極金具2から離脱させる際、ステンレス製リング板18と押圧治具19は接合しないので、押圧治具19は容易に離脱できる。一方、ステンレス製リング板18は陰極金具2と接合した状態であり、図8に示される通り、ステンレス製リング板18は陰極金具2の外フランジ部2bに接合されたままの状態で残る。その後、図9に示される通り、陰極蓋4が陰極金具2の上端縁に溶接され、電池として組立てられてきた。
【0010】
ステンレス製リング板18は押圧治具19との離脱性の改善のみを目的としたものであり、本発明者らは、経済性から厚み0.12mm〜0.2mmのSUS304製リング板18を用いてきた。電池組立て後は何らの機能を有せず電池としては無用の部材である。
【0011】
この様にして組立てられた単電池を集合電池として7年間運転させ、7年間運転後の電池を解体し、調査解析した。その結果、図11に示される通り、陰極金具2の円筒部2aから外フランジ部2bへの屈曲部近傍B点に微細な亀裂が発生しており、又絶縁リング1内周面上端部近傍A点においても接合部にナトリウムの侵入が発生していた。図12に局部拡大断面図を示す。陰極金具2の円筒部2aから外フランジ部2bへの屈曲部近傍B点に発生する微細な亀裂は斜め下方方向に入っており、更に、陰極金具2は絶縁リング1の内周面上端部近傍A点で少し上方に離脱し、陰極金具2と絶縁リング1の熱圧接合部にナトリウムの侵入が観察された。尚、用いる陰極金具2はアルミニウム合金の冷間鍛造品であり、円筒部と外フランジ部は一体品である。
【0012】
この様な屈曲部近傍B点における微細な亀裂の発生、及び絶縁リング1の内周面上端部近傍A点における陰極金具2の離脱とそれに伴うナトリウムの侵入についての発生原因は、α−アルミナ絶縁リング1の膨張係数が7〜8×10-6/℃に対し、アルミニウム合金製の陰極金具2及び陰極蓋4は25〜26×10-6/℃と極めてその差は大きく、陰極金具と絶縁リングの熱圧接合時の昇温及び降温、及び電池立ち上げ時の昇温、電池の運転時における充電及び放電に伴う昇降温、更には定期点検修理時の室温までの降温及び作動温度までの昇温のヒートサイクルの際に、その温度変化に伴って陰極金具2円筒部2aが膨張、収縮するが、絶縁リング1内に挿嵌されている部分の円筒部2cは熱膨張係数の小さい絶縁リング1で拘束され、膨張収縮の動きが抑止される。
【0013】
この結果、陰極金具2の屈曲部近傍B点を起点として陰極金具円筒部2aが傾動を繰返し、屈曲部近傍B点に金属疲労を生じ、その結果、亀裂が発生したものと推定される。又、絶縁リング1の内周面上端部近傍A点における陰極金具2の離脱も同じ要因によるものと推定される。電池の大型化に伴い陰極金具の円筒部の外径、及び高さが大きくなり、この問題が生じ易くなる。
【0014】
特開平3−187160号公報には、リング状のα−アルミナ製抑止体を陰極金具の円筒部外周面に当接する発明を提案しているが、リング状のα−アルミナ製抑止体はアルミナ含有量99%以上あり、それ自体極めてコストが高く、又、陰極金具の円筒部に当接させるには高度な寸法精度を要求され、リング状のα−アルミナ製抑止体は高強度であるから、その研磨加工コストも極めて高い。更に、この従来技術においては、陰極金具とα−アルミナ絶縁体を熱圧接合後、陰極金具円筒部にリング状のα−アルミナ製抑止体を嵌通して当接させている。この場合、絶縁リングと陰極金具の熱圧接合の際に発生する陰極金具屈曲部Bにおける歪応力に対しては何ら解決されていない。
【0015】
又、電池運転時においても、陰極金具円筒部の傾動の動きに追従してα−アルミナ製抑止体も動き、陰極金具円筒部の傾動を抑止する機能が低下する。
【0016】
そこで、本発明者らは比較的低コストのセラミックとしてアルミナ含有量の低い低純度アルミナセラミック製抑止体を用いて、この低純度アルミナセラミック製抑止体を陰極金具円筒部に挿入し、絶縁リングと陰極金具と低純度アルミナセラミック製抑止体の熱圧接合を試みたが、図13に示す通り、熱圧接合後の低純度アルミナセラミック製抑止体3のK点を起点に亀裂24が発生するとの問題を生じた。
【0017】
本発明者らはこの低純度アルミナセラミック製抑止体3に亀裂が発生する原因について詳細に観察し、調査し、アルミナ含有量が低く、低コストのセラミック製抑止体であっても、熱圧接合の際、このセラミック製抑止体に亀裂が発生せず、且つ電池の長期運転においても陰極金具に亀裂が発生しない、更に、絶縁リングと陰極金具の熱圧接合面にもNaが侵入しないナトリウム−硫黄電池を開発し、本発明を完成させたものである。
【0018】
【発明が解決しようとする課題】
したがって、本発明の目的とするところは、熱圧接合工程において、低純度アルミナのセラミック製抑止体に亀裂が発生せず、電池として長期間運転しても、陰極金具に亀裂が発生せず、又、陰極金具と絶縁リングの接合部にもナトリウムが侵入せず、低コストであって高品質である、長期の耐久性と信頼性に優れたナトリウム−硫黄電池を提供するものである。
【0019】
【課題を解決するための手段】
本発明によれば、有底筒状の固体電解質管と固体電解質管の開口端部の外周面と接合された絶縁リングと絶縁リングの上面に接合された陰極金具と陰極金具に溶接された陰極蓋とで区画された陰極室内にナトリウムが収納され、一方、固体電解質管外周面と絶縁リングと絶縁リングの底面に接合された陽極金具と陽極金具に溶接された円筒状の陽極容器とで区画された陽極室に電子導電材と共に硫黄が収納されて構成されるナトリウム−硫黄電池において、陰極金具がアルミニウム又はアルミニウム合金製であると共に、その形状が円筒部の途中に外フランジ部を有する形状であり、外フランジ部底面で絶縁リングの上面と接合した陰極金具であって、アルミナセラミックスからなるリング状のセラミック製抑止体と接する陰極金具の円筒部外周面全域がセラミック製抑止体の内周面と圧着接合され、且つセラミック製抑止体の底面が陰極金具外フランジ部の上面に熱圧接合されていることを特徴とするナトリウム−硫黄電池が提供される。
【0020】
尚、本発明において、リング状のセラミック製抑止体として低純度アルミナセラミックスのものを用いることが好ましく、更に、低純度アルミナセラミックスの純度が70%以上のものを用いることが好ましい。
【0025】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施の形態について説明するが、本発明は以下の実施の形態に限定されるものではないことはいうまでもない。
参照例のナトリウム−硫黄電池について説明する。
参照例のナトリウム−硫黄電池の特徴は、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部が繰返し傾動する動きを抑止するリング状のセラミック製抑止体が陰極金具円筒部の外周面と非接合の状態で設けられていると共に、セラミック製抑止体の底面が外フランジ部の上面に熱圧接合されている点である。
【0026】
この特徴により、熱圧接合工程の際にリング状セラミック製抑止体3に亀裂は発生せず、又、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部2aが繰返し傾動する動きを抑止する。電池として長期に亘り運転されても、陰極金具2の屈曲部Bに亀裂は発生せず、又、絶縁リング1と陰極金具2の熱圧接合面6にもNaの侵入が防止されるとの格別の効果が得られる。
【0027】
以下、参照例について、好ましい具体的実施態様に基づいて順次説明する。
図1は、参照例の好ましい実施態様1(参照例1)を示す図である。即ち、図1は、参照例1のナトリウム−硫黄電池の構成部材であるα−アルミナ製の絶縁リング1と、陰極金具2と、リング状のセラミック製抑止体3とを用いて組み立て後の電池要部拡大断面図を示す。陰極金具2の形状は、円筒部(上方を2a、下方を2cと符号)の途中に外フランジ部2bを有する形状であって、冷間鍛造で製作されたアルミニウム又はアルミニウム合金の一体品である。
【0028】
参照例1のナトリウム−硫黄電池の特徴は、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部2aが繰返し傾動する動きを抑止する程度の隙間Sを設けてリング状のセラミック製抑止体3が陰極金具円筒部2aの外周面近傍に配設されていると共に、セラミック製抑止体3の底面が外フランジ部2bの上面に熱圧接合されていることを特徴とするものである。
【0029】
熱圧接合の際、昇温過程でアルミニウム合金製の陰極金具円筒部2aの上方部は大きく膨張し、一方、円筒部2aの下方部は低膨張のα−アルミナ製絶縁リング1に拘束され膨張が抑止される。その結果、陰極金具2の円筒部2aは上方に向かってラッパ状に広がり、円筒部2aの外周面に設けられたリング状のセラミック製抑止体3を押し広げる応力がセラミック製抑止体3に働く。
【0030】
しかしながら、円筒部2aの外周面とリング状のセラミック製抑止体3との間には隙間Sが設けられているため、円筒部2aの膨張・収縮の影響を受けないからセラミック製抑止体3に局部歪応力が発生せず、又、セラミック製抑止体3を押し広げる応力が緩和され、セラミック製抑止体3に亀裂を生じない。電池として組立てられ、長期に亘り運転されても、陰極金具2の屈曲部Bに亀裂を発生せず、又、絶縁リング1と陰極金具2の熱圧接合面6にもNaの侵入が防止される。
【0031】
リング状のセラミック製抑止体3の底面が絶縁リング1に熱圧接合された陰極金具2の外フランジ部2bの上面に熱圧接合されており、リング状のセラミック製抑止体3は絶縁リング1と一体的である。
【0032】
リング状のセラミック製抑止体3が外フランジ部2bの上面に熱圧接合されていなければ、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部2aの傾動の動きに追従してリング状のセラミック製抑止体3も動き、陰極金具円筒部2aの傾動を抑止する機能が低下する。
【0033】
電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部が繰返し傾動する動きを抑止する程度の隙間Sは、電池の形状、寸法(電池容量)によって、即ち、陰極金具の陰極蓋4の外径、円筒部2aの高さによって適宜設定される。
【0034】
又、参照例の実施態様2(参照例2)として、図2に示す通り、前記隙間Sが連続的に上方ほど大きいことが好ましい。陰極金具2からセラミック製抑止体3に作用する応力が分散されるからである。即ち、陰極金具円筒部2aの上方ほど横方向に大きく膨張し、セラミック製抑止体3の上方ほど大きな応力を受けるが、隙間Sが上方ほど連続的に大きく設定されていることにより、セラミック製抑止体3に作用する局部的歪応力の発生が防止されるからである。
【0035】
次に、参照例の別の好ましい実施態様3(参照例3)について説明する。
参照例3の特徴は、図3に示す通り、リング状セラミック製抑止体3と当接または近接する陰極金具円筒部2a外周面全域が酸化被膜14で覆われ、リング状セラミック製抑止体3の内周面と非接合の状態にあり、且つセラミック製抑止体3の底面が陰極金具2の外フランジ部2bの上面に熱圧接合されている点である。
【0036】
リング状セラミック製抑止体3の内周面と当接または近接する陰極金具2の円筒部2a外周面全域を切削加工せず、表面を酸化皮膜層とした状態にすれば、熱圧接合の際、陰極金具円筒部2a外周面とリング状セラミック製抑止体3内周面との接触面8は全域で非接合(非圧着接合)の状態となり、この場合もリング状セラミック製抑止体3に亀裂が発生しない。尚、熱圧接合後は、降温過程でリング状セラミック製抑止体3は陰極金具円筒部2aと当接または近接の状態になる。
【0037】
リング状セラミック製抑止体3が外周面を酸化被膜で覆われた陰極金具円筒部2aと当接または近接の状態に設けられていること、及びセラミック製抑止体3の底面が絶縁リング1に熱圧接合されている陰極金具2の外フランジ部2bの上面に熱圧接合されていることにより、熱圧接合工程の際にリング状セラミックス製抑止体3に亀裂は発生せず、又、電池として長期に運転されても、陰極金具2に亀裂は発生せず、更に、絶縁リング1と陰極金具2の熱圧接合部にもNaの侵入が防止されるとの効果が得られる。
【0038】
次に、参照例の更に別の好ましい実施態様4(参照例4)について説明する。
参照例4の特徴は、図4に示す通り、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部2aが繰返し傾動する動きを抑止するリング状のセラミック製抑止体3が陰極金具円筒部2aの外周面にリング状のステンレス製円筒体15を介して当接又は近接して設けられていると共に、セラミック製抑止体3の底面が陰極金具2の外フランジ部2bの上面に熱圧接合されている点である。
【0039】
絶縁リング1と陰極金具2の外フランジ部2bとセラミック製抑止体3を熱圧接合する際、陰極金具2とセラミック製抑止体3の間にリング状のステンレス製円筒体15を介在させることにより、昇温過程における陰極金具円筒部2aの膨張をリング状のステンレス製円筒体15が抑止し、セラミック製抑止体3に作用する応力を緩和する。又、ステンレス製円筒体15とセラミック製抑止体3は接合しない。従って、熱圧接合工程において、セラミック製抑止体3に亀裂は発生しない。
【0040】
更に、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部2aが繰返し傾動する動きをステンレス製円筒体15とセラミック製抑止体3の両者によって抑止されるから、又、セラミック製抑止体3の底面が陰極金具2の外フランジ部2bの上面に熱圧接合されているから、電池として長期に亘り運転されても、陰極金具2の屈曲部Bに亀裂は発生せず、又、絶縁リング1と陰極金具2の熱圧接合面6にもNaの侵入が防止される。
【0041】
又、参照例の更に好ましい実施態様5(参照例5)として、図5に示す通り、ステンレス製リング円筒体15が下端縁にフランジ部15aを有し、そのフランジ部15aの底面が陰極金具2の外フランジ部2bの上面に圧着接合されていることが好ましい。
【0042】
前記ステンレス製リング円筒体15が下端縁にフランジ部15aを有し、そのフランジ部15aの底面が陰極金具2の外フランジ部2bの上面に圧着接合されていると共にそのフランジ部2aの上面でセラミック製抑止体3の底面に熱圧接合されていることにより、絶縁リング1と陰極金具外フランジ部2bとステンレス製円筒体フランジ部15aとセラミック製抑止体3とが一体的に接合されている。このことにより、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部2aが繰返し傾動する動きに対し追従して動くことが更に確実に防止される。
【0043】
尚、リング状のステンレス製円筒体15の材質は、廉価であるオーステナイト系ステンレス(SUS304)を用いても良いが、熱膨張係数がα−アルミナ絶縁リングに近く、剛性の高いものが好ましい。例えば、フェライト系ステンレス(例えばSUS430)熱膨張係数11×10-6/℃が廉価であり、特に好ましい。
【0044】
参照例のナトリウム−硫黄電池を構成する他の構成部材による電池構造は、図10に示すナトリウム−硫黄電池と同一である。即ち、絶縁リング1に陰極金具2を熱圧接合した後、有底筒状の金属製安全管12とその安全管12内側にナトリウム及び少量のアジ化ナトリウムを収納したナトリウム収納容器13を配設し、次いで、減圧雰囲気中で陰極金具2に陰極蓋4を溶接する。
【0045】
陽極室に関しては、絶縁リング1の底面に陽極金具20を熱圧接合し、有底筒状のベータアルミナ固体電解質管9の上端部外周面を絶縁リング1の内周面にガラス接合し、陽極金具20に円筒状の陽極容器10を溶接後、硫黄を含浸したカーボンマット(電子導電材)を陽極陽器10内に配設し、次いで、底蓋11を溶接して電池を組立てる。
【0046】
次に、本発明のナトリウム−硫黄電池について説明する。
本発明のナトリウム−硫黄電池の特徴は、図6に示す通り、リング状セラミック製抑止体3と接する陰極金具2の円筒部2a外周面全域がリング状セラミック製抑止体3の内周面に圧着接合され、且つセラミック製抑止体3の底面が陰極金具2の外フランジ部2bの上面に熱圧接合されている点である。
【0047】
絶縁リング1に熱圧接合されている陰極金具2の外フランジ部2bの上面にセラミック製抑止体3の底面が熱圧接合されていることにより、セラミック製抑止体3は陰極金具円筒部2aが傾動する動きに対し追従して動くことはなく、更に、リング状のセラミック製抑止体3が陰極金具円筒部2aの外周面に圧着接合されていることにより電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部2aが繰返し傾動する動きを抑止する。熱圧接合工程の際においても、リング状セラミック製抑止体3に亀裂は発生しない。電池として組立てられ、長期に亘り運転されても、陰極金具2の屈曲部Bに亀裂は発生せず、又、絶縁リング1と陰極金具2の熱圧接合面6にもNaの侵入が防止される。
【0048】
尚、研削された陰極金具円筒部2aの外周面にリング状のセラミック製抑止体3が全域に亘り圧着接合していることにより、熱圧接合の際、リング状のセラミック製抑止体3に亀裂は発生しないメカニズムについて説明する。図13に示す従来の場合、熱圧接合の際、リング状セラミック製抑止体3に亀裂24が発生するが、本発明者らはこの亀裂24が発生した多数のリング状セラミック製抑止体3について観察し、調査した結果、亀裂24はリング状セラミック製抑止体3が陰極金具2の円筒部2a外周面に対して接触・非接触の境界線K点からいずれも発生していることを見出した。
【0049】
冷間鍛造で製作されたアルミニウム合金の陰極金具2におけるこの接触面と非接触面の境界線K点について調査観察した結果、図14に示す通り、非接触面23が冷間鍛造により製作されたままの表面であって、酸化皮膜を有した表面部であり、一方、接触面22は切削加工した表面であり、酸化皮膜のない表面部であることが判明した。冷間鍛造で製作されたアルミニウム合金の陰極金具2においては、円筒部2aの下方部が寸法精度悪く、研削加工を必要としていた。
【0050】
この接合部・非接合部が発生する原因、及びその境界線K点に亀裂が発生する原因については、熱圧接合の際、加熱によって、陰極金具2の円筒部2aは膨張し、低膨張のセラミック製抑止体3を強く押し広げる方向に圧力がかかり、その結果、酸化皮膜の無い研削面22では圧着接合し、一方、酸化皮膜を有する表面部では非接合(非圧着接合)の状態になったものと推定される。室温までの降温過程で陰極金具2が収縮する際に、この接触面22と非接触面23の境界線K点に大きな歪応力が発生し、K点を起点に亀裂24が発生したものと推定される。
【0051】
そこで、本発明者らは、アルミナセラミックスからなるリング状のセラミック製抑止体3と接する陰極金具2の円筒部2a外周面全域を切削加工面とすれば、熱圧接合の際、昇温過程で陰極金具円筒部2a外周面とリング状セラミック製抑止体3との接触面(接合面)7は全域で互いに圧着接合し、降温過程においても局部的に歪応力が発生せず、リング状セラミック製抑止体3に亀裂が発生しないと考え、本発明を完成したものである。
【0052】
本発明のナトリウム−硫黄電池においても、参照例のナトリウム−硫黄電池と同様、ナトリウム−硫黄電池を構成する他の構成部材による電池構造は図10に示すナトリウム−硫黄電池と同一である。
【0053】
(熱圧接合試験)
本発明および参照例に基づく熱圧接合体を実施例及び参照例1〜5として各々30個作製した。各熱圧接合体のリング状セラミック製抑止体について亀裂の有無を検査し、その結果を表1に示した。
【0054】
尚、リング状セラミック製抑止体としては、リング幅5mm、厚み5mmのリング状低純度アルミナセラミック製抑止体を用いた。又、陰極金具の円筒部の寸法は、外径60mm、高さ13mm、肉厚1.0mmのアルミニウム合金製のものを用いた。又、実施例4、実施例5で用いたリング状ステンレス円筒体は、肉厚0.5mmのSUS430製のものを用いた。
【0055】
リング状低純度アルミナセラミック製抑止体内の亀裂の有無についての検査方法は、X線透過法、浸透探傷試験法、及び浸透探傷試験後の供試体を切断し、切断面の光学顕微鏡観察によって確認した。併せて、図14に示す従来の非研磨面と研磨面を有する陰極金具を用い、従来方法により作製した熱圧接合体についても、低純度アルミナセラミックス製リング体について観察した。その結果を従来例として表1に示す。
【0056】
【表1】
【0057】
本発明および参照例に基づく熱圧接合体(実施例及び参照例1〜5)のリング状低純度アルミナセラミック製抑止体にはいずれも亀裂は発生していなかった。一方、従来方法により作製した熱圧接合体の低純度アルミナセラミックス製リング体には30個中28個に亀裂が発生していた。
【0058】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明のナトリウム−硫黄電池によれば、電池運転時における熱膨張収縮により陰極金具円筒部が繰返し傾動する動きを抑止するリング状セラミック抑止体として、低コストの低アルミナ含有量の抑止体を用いても、熱圧接合工程においてセラミック抑止体に亀裂は発生しない。又、電池立ち上げ時の昇温、電池の運転時における充電及び放電に伴う昇降温、更には定期点検修理時の室温までの降温及び作動温度までの昇温のヒートサイクルを受けても、陰極金具に亀裂は発生せず、絶縁リングと陰極金具の熱圧接合部にNaが侵入するのが防止される。その結果、低コストで、長期の耐久性と信頼性に格別に優れたナトリウム−硫黄電池が得られる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 参照例のナトリウム−硫黄電池に係り、参照例の好ましい実施態様1(参照例1)について説明する電池局部構造の要部断面図を示す。
【図2】 参照例のナトリウム−硫黄電池に係り、参照例の更に好ましい実施態様2(参照例2)について説明する電池局部構造の要部断面図を示す。
【図3】 参照例のナトリウム−硫黄電池に係り、別の好ましい実施態様3(参照例3)について説明する電池局部構造の要部断面図を示す。
【図4】 参照例のナトリウム−硫黄電池に係り、参照例の更に好ましい実施態様4(参照例4)について説明する電池局部構造の要部断面図を示す。
【図5】 参照例のナトリウム−硫黄電池に係り、参照例の更に好ましい実施態様5(参照例5)について説明する電池局部構造の要部断面図を示す。
【図6】 本発明のナトリウム−硫黄電池に係り、本発明の実施態様の1例を説明する電池局部構造の要部断面図を示す。
【図7】 従来の熱圧接合する工程において、絶縁リングと、金属とセラミックスの接合材と、陰極金具と、ステンレス製リング板とを配設し、押圧治具で押圧する要部断面図を示す。
【図8】 従来の熱圧接合後の絶縁リングと陰極金具とステンレス製リング板とから構成される中間電池部材の要部断面図を示す。
【図9】 従来の陰極金具に陰極蓋を溶接して電池を組立てることを説明する要部断面図を示す。
【図10】 従来のナトリウム−硫黄電池を示す模式的断面図である。
【図11】 従来のナトリウム−硫黄電池を長年運転した際に、陰極金具に発生する亀裂及び陰極金具と絶縁リングの熱圧接合面へのNaの侵入を説明する図である。
【図12】 亀裂が発生した部位及び陰極金具と絶縁リングの熱圧接合面へのNaの侵入部位を示す局部拡大断面図を示す。
【図13】 熱圧接合工程でリング状セラミック体に発生する亀裂の発生起点を説明する図を示す。
【図14】 従来使用の陰極金具の表面研削部と非研削部の位置関係とリング状セラミック体に発生する亀裂の発生起点との関係を説明する図を示す。
【符号の説明】
1…絶縁リング、2…陰極金具、2a…上部円筒部、2b…外フランジ部、2c…下方円筒部、B…屈曲部、3…リング状のセラミック製抑止体、S…隙間、4…陰極蓋、5…陰極金具外フランジとセラミック製抑止体の熱圧接合面、6…陰極金具と絶縁リングとの熱圧接合面、7…陰極金具円筒部外周面とセラミック抑止体内周面との接合面、8…表面を酸化非膜で覆われた陰極金具円筒部外周面とセラミック抑止体内周面との接触面(非接合面)9…固体電解質管、10…陽極容器、11…底蓋、12…安全管、13…ナトリウム収納容器、14…酸化皮膜、15…リング状のステンレス製円筒体、15a…フランジ部、16…陰極金具円筒部外周面とステンレス製円筒体との接合面、17…金属とセラミックの接合材、18…ステンレス製リング板、19…押圧治具、20…陽極金具、21…溶接部、22…研削面(接触面)、23…非接触面、24…亀裂、K…亀裂の発生起点。
Claims (1)
- 有底筒状の固体電解質管と該固体電解質管の開口端部の外周面と接合された絶縁リングと該絶縁リングの上面に接合された陰極金具と該陰極金具に溶接された陰極蓋とで区画された陰極室内にナトリウムが収納され、一方、該固体電解質管外周面と該絶縁リングと該絶縁リングの底面に接合された陽極金具と該陽極金具に溶接された円筒状の陽極容器とで区画された陽極室に電子導電材と共に硫黄が収納されて構成されるナトリウム−硫黄電池において、
該陰極金具がアルミニウム又はアルミニウム合金製であると共に、その形状が円筒部の途中に外フランジ部を有する形状であり、該外フランジ部底面で該絶縁リングの上面と接合した陰極金具であって、アルミナセラミックスからなるリング状のセラミック製抑止体と接する該陰極金具の円筒部外周面全域が該セラミック製抑止体の内周面と圧着接合され、且つ該セラミック製抑止体の底面が該陰極金具外フランジ部の上面に熱圧接合されていることを特徴とするナトリウム−硫黄電池。
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