JP4170535B2 - 切削加工装置 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は切削加工装置、特にワークを回転しつつ、切り屑を切断する切削加工装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
ワークを回転しつつ、切り屑を切断する切削加工装置には、例えば、特開平6−170605号公報「切屑の切断装置」に示されたものがある。この切屑の切断装置は、同公報の図1によれば、切屑を吸引するノズル部1と、切屑を切断する切断機2と、切屑を収納する収納容器3と、切屑を吸引する吸引機4とからなる。切断機2は、本体部5の内部に固定したカッティングリングと、このカッティングリングの内面に沿って回転するカッターと、このカッターを回転させるモータ9とを有するものであり、バイトBによって被削材Aから発生する切屑を切断するものである。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記の切断機2は本体部5及びモータ9を共通のベースに載せたものであり、充分に大きいため、大きな設置スペースが必要となる。
また、切削に伴なって切削油が飛散するが、この油を処理できれば作業環境は改善できる。
【0004】
そこで、本発明の目的は、コンパクトで、よい作業環境が得られる切削加工装置を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために請求項1は、ワークを把持し、切削速度で回転させる主軸に対向配置するとともにワークに向って進退する工具把持台と、この工具把持台に取り付けたドリルと、ワークに向って進退可能に工具把持台に取り付けたスライド部材及びこのスライド部材をワークに向って付勢する付勢手段と、ドリル廻りに回転可能となるようにベアリングを介してスライド部材の先端に取り付け、ワークに押圧したときにワークの回転力を駆動源として回転するロータリ筒と、このロータリ筒内周面とドリル外周面との間を通る切り屑を切断するためにロータリ筒に取り付けた回転刃及びスライド部材に取り付けた静止刃からなる裁断手段と、からなることを特徴とする。
【0006】
工具把持台にスライド部材を取り付け、このスライド部材にロータリ筒を取り付け、このロータリ筒に回転刃を取り付ける。工具把持台を移動(送り)させ付勢手段によってワークにロータリ筒を接触させるので、ワークの回転力が回転刃を回転させる。
また、ロータリ筒に回転刃を取り付け、スライド部材に静止刃を取り付ける。ロータリ筒内周面とドリルとの間を通り排出される切り屑を回転刃で切断するので、切り屑がドリルに絡みついたり、切削部から切り屑が飛散することはない。
【0007】
請求項2は、ドリルを囲うとともにワーク側の面が開いたカップ状の切り屑収納箱を前記裁断手段の近傍にて前記スライド部材に取り付け、切り屑収納箱にチューブの一端を接続し、チューブの他端に真空吸引機を取り付け、切り屑収納箱内の切り屑をチューブを介して排出するようにしたことを特徴とする。
ドリル及び裁断手段の近傍を切り屑収納箱で囲う。切り屑収納箱は裁断手段で短く切断した切り屑を収納するので、切り屑の飛散を防止する。
また、切り屑収納箱にチューブを介して真空吸引機を取り付ける。裁断手段で切り屑を切断することにより、真空吸引機で切り屑を吸引し、回収することができる。その結果、作業者は切り屑及び切削油に触れなくて済む。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を添付図に基づいて以下に説明する。なお、図面は符号の向きに見るものとする。
図1は本発明に係る切削加工装置の斜視図であり、切削加工装置10は、中央に取り付けたドリル11と、このドリル11の基部を保持したコレット部12と、このコレット部12を嵌合したホルダ部13と、このホルダ部13に取り付けた支持手段14と、この支持手段14を介して進退可能にホルダ部13に取り付けたスライド部材15と、このスライド部材15に取り付けたロータリ筒16及び切り屑収納箱17と、工具把持台18と、からなる。19・・・(・・・は複数を示す。以下同様。)はスライド部材15に切り屑収納箱17を取り付けるボルトである。工具把持台18の構成は後述する。
【0009】
ホルダ部13は、シャンク21(例えば、JIS B 4003)と、本体22とからなる。
支持手段14は、ホルダ部13に嵌合する支持板23と、この支持板23に一端をスライド可能に嵌合したロッド24,24と、このロッド24,24の外周に配置し、且つ、スライド部材15を押出すように取り付けた付勢手段であるところのスプリング25,25と、からなる。26は支持板23を締付け固定するボルトである。
【0010】
図2は図1の2矢視図であり、ホルダ部13から所定距離だけ離して支持手段14にスライド部材15を取り付け、スライド部材15に切り屑収納箱17を取り付けたことを示す。
切り屑収納箱17は、収納部27と、この収納部27の下方に形成した排出口28と、中央に形成したドリル通し孔29とからなる。
【0011】
図3は図1の3−3線断面図であり、スライド部材15にロータリ筒16を取り付け、切り屑収納箱17を裁断手段60の近傍に取り付けたことを示す。
ドリル11は、中央に油孔31(オイルホール)を明けたものである。
コレット部12は、端部に形成したストッパ33と、中央に明けたストレート穴34と、このストレート穴34の内周面に形成したOリング取付け溝35と、ストレート穴34の底に明けた切削油通路36と、外周面に形成した止め部37とからなる。
【0012】
本体22は、中央に形成した取付け穴41と、この取付け穴41の内周面に形成したOリング取付け溝42と、取付け穴41の底に明けた切削油通路43と、この切削油通路43に連通する切削油供給口44と、止め孔45とからなる。46は止めねじである。
止め孔45に止めねじ46を捩じ込むことで、コレット部12の止め部37を押え、コレット部12の滑り(回転止め兼抜け止め)を防止しする。
【0013】
ロータリ筒16は、スライド部材15にベアリング51を介して取り付けたものであり、第1ロータリ筒52及び第2ロータリ筒53とからなる。
第1ロータリ筒52は、端部に形成したフランジ55と、このフランジ55に形成したOリング取付け溝56と、中央に明けた第1排出孔57とからなる。
第2ロータリ筒53は、端部に形成したフランジ58と、中央に明けた第2排出孔59とからなる。
【0014】
裁断手段60は、第2ロータリ筒53のフランジ58に取り付けた回転刃61と、スライド部材15に取り付けた静止刃62とからなる。64はOリングである。
【0015】
図4は図2の4−4線断面図であり、回転刃61及び静止刃62を示し、また、スライド部材15に切り屑収納箱17を4本のボルト19・・・で取り付け、支持手段14のロッド24,24をボルト66,66で取り付けたことを示す。
【0016】
図5は本発明に係る回転刃及び静止刃の斜視図である。
回転刃61は、外方に形成した取り付け部71と、この取り付け部71から内方に、且つ水平に形成した3枚の切り刃72・・・と、取り付け部71に明けた取り付け孔73・・・とからなる。なお、回転刃61は第2ロータリ筒53によって矢印▲1▼の方向に回転する。
【0017】
静止刃62は、外方に形成した取り付け部75と、この取り付け部75から内方に、且つ僅かに回転刃61側に折り曲げて形成した4枚の弾性部76・・・と、この弾性部76・・・に各々形成した切り刃77・・・とからなる。なお、静止刃62はスライド部材15に取り付けることで、静止する。
78・・・,79・・・は取り付けボルトである。
【0018】
図6は図2の6−6線断面図であり、切削加工装置10の平断面図である。
支持手段14は、ロッド24をスライド可能に支持する軸受81,81と、これらの軸受81,81を止める止め輪82・・・とを有する。
ロッド24は、ストッパ83を有するものであり、ストッパ83は樹脂片84を介してボルト85によって所定位置に固定され、ロッド24のストローク量を維持するとともに、スライド部材15の待機位置を調整するものである。樹脂片84はボルト85による傷の発生を防止するものである。
【0019】
なお、ドリル11に止め部91を形成し、コレット部12に止め孔92を形成し、止めねじ93でドリル11を止めることで、ドリル11の滑り(回転止め兼抜け止め)を防止しする。94,95はOリングであり、オイルミスト及び圧縮空気の漏れを防ぐ。
【0020】
図7は本発明に係る切削加工装置を取り付ける代表的な旋盤の説明図であり、旋盤100は、ベース101と、このベース101の左側上部に設けた主軸台102と、この主軸台102に設けた主軸103と、ベース101のベッド104の右側に載せた心押し台105(テールストック)と、ベッド104の中央に載せた刃物台106(タレット)と、操作盤107(別置きの制御盤含む)とからなるNC(数値制御)旋盤である。108はオイルミスト発生装置、109は真空吸引機であるところの吸引装置である。Zは刃物台106の移動方向(Z軸)を示す。
【0021】
オイルミスト発生装置108は、圧縮空気で切削油を霧り状にし、この霧り状の切削油とともに圧縮空気を吐出するものであり、油の粒径及び供給量を調整できるものである。
吸引装置109は、一般的な負圧で吸引するものであり、切り屑と切削油を分離し、切り屑を切り屑回収箱に回収し、切削油をオイルミスト発生装置108に戻すものである。
心押し台105は、センタ111を有するものである。
【0022】
刃物台106(タレット)に切削加工装置10を取り付け、この切削加工装置10にミスト供給ホース112の一端113を接続し、ミスト供給ホース112の他端114にオイルミスト発生装置108を取り付け、切り屑収納箱17にチューブ115の一端116を接続し、チューブ115の他端117に吸引装置109を取り付ける。
【0023】
図8は本発明に係る切削加工装置を取り付ける刃物台の拡大図であり、刃物台106(タレット)に保持工具121を介して切削加工装置10を取り付け、切削油供給口44にオイルミストを供給するミスト供給ホース112の一端113を接続し、切り屑収納箱17の排出口28にチューブ115の一端116を接続したことを示す。
【0024】
工具把持台18は、ベッド104に載せたZ軸テーブル118と、このZ軸テーブル 118に載せたX軸テーブル119と、このX軸テーブル119に回転可能に設けた刃物台106(タレット)と、この刃物台106(タレット)に取り付けた保持工具121と、を有する。
【0025】
次に切削加工の手順の一例を説明する。
まず、図8に示すように切削加工装置10を取り付け後、主軸103にチャック122を介してワークWを取り付け、操作盤でワークWの回転数やZ軸の送り量など所定の加工条件を設定する。
ワークWを矢印▲3▼の如く切削速度で回転させ、刃物台106(タレット)をZ軸方向に矢印▲4▼の如く送り、オイルミスト発生装置でオイルミストを矢印▲5▼の如く供給し、吸引装置で矢印▲6▼の如く吸引を開始し、NCプログラムの通り切削加工を実施する。
【0026】
以上に述べた切削加工装置の作用を次に説明する。
図9は本発明に係る切削加工装置の第1作用図である。
主軸103でワークWを矢印▲3▼の如く回転させつつ、刃物台106をZ軸方向に矢印▲4▼の如く送り、ワークWに切削加工装置10を接触させる。ワークWにロータリ筒16が接触すると、スプリング25がワークWにロータリ筒16を押し付けるので、ワークWの回転力がロータリ筒16に矢印▲7▼の如く伝達され、ワークWとともに回転刃61が回転する。その結果、回転刃61の駆動源を必要としないので、切削加工装置10をコンパクト(小型化)にすることができる。
【0027】
オイルミスト発生装置で霧り状に発生したオイルミスト123を圧縮空気とともに矢印▲5▼の如く供給すると、オイルミスト123及び圧縮空気はともに、切削油供給口44→切削油通路43→切削油通路36→ドリル11の油孔31(オイルホール)の順に通り、ドリル11の先端に至る。
【0028】
図10は本発明に係る切削加工装置の第2作用図である。
刃物台106をさらにZ軸方向(矢印▲4▼の方向)に送る(送り量S)と、ドリル11はワークWを切削し、切り屑を生成する。切り屑はドリル11の溝によって後方へ送られロータリ筒16の内周面(第1排出孔57、第2排出孔59)を通過し、裁断手段60に至る。
【0029】
裁断手段60は切り屑124・・・を短く切断し、切り屑収納箱17へ排出する。具体的には、ワークWの回転が回転刃61に矢印▲7▼の如く伝達され、回転刃61が回転することにより、静止刃62との間で、切り屑124・・・を切断する。切り屑124・・・を短く切断するので、ドリル11に切り屑124・・・が絡み付く心配はない。
【0030】
ワークWにロータリ筒16のOリング64を密着させ、ドリル11をロータリ筒16及び切り屑収納箱17で囲ったので、圧縮空気で切り屑124・・・、オイルミスト123及び切断切り屑125・・・を吹き飛ばしても、飛散することなく、収納することができる。その結果、作業者は切り屑124・・・及びオイルミスト123に触れることなく、切り屑124・・・及びオイルミスト123を回収することができる。従って、作業環境の向上を図ることができる。
【0031】
回転刃61と静止刃62とで切り屑124・・・を短い切断切り屑125・・・に切断することにより、吸引装置で切り屑を回収することができる。
ホルダ部13に切削油通路43を形成し、コレット部12に切削油通路36を形成したので、ドリル11の油孔31(オイルホール)を通して、ワークWの切削部へ直接オイルミスト123及び圧縮空気を吹き付けることができる。その結果、圧縮空気によって切削部を冷却することができ、生産効率の向上を図ることができる。
【0032】
尚、本発明の実施の形態に示した図7の旋盤100(NC旋盤)は一例であり、旋盤100を汎用旋盤に替えてもよい。また、切削加工装置10を刃物台106(タレット)に取り付けたが、切削加工装置10を心押し台105(テールストック)に取り付けてもよい。心押し台105のセンタ111を取り外し、切削加工装置10を嵌合し、心押し台105のハンドルを手で操作して切削加工装置10をZ軸方向に送る。
【0033】
【発明の効果】
本発明は上記構成により次の効果を発揮する。
請求項1では、主軸にワークを取り付け、ワークにロータリ筒を付勢手段で押し付けるので、ワークの回転力によってロータリ筒に取り付けた回転刃を回転させることができる。その結果、従来のようなモータを必要とせず、切削加工装置の小型化及び軽量化を図ることができる。
また、ロータリ筒に回転刃を取り付け、スライド部材に静止刃を取り付けたので、ドリルの溝から排出される切り屑を切断することができ、ドリルへの絡み付きを防止することができる。
さらに、スライド部材のスライドによってロータリ筒がワークに接触しつつドリルの外周に沿って移動するので、ドリルの溝から排出される切り屑及びオイルミストが飛散することはない。その結果、作業者が切り屑及びオイルミストに触れることが少なくなり、作業環境の向上を図ることができる。
【0034】
請求項2では、スライド部材にカップ状の切り屑収納箱を取り付け、ドリル及び裁断手段を囲うので、裁断手段から排出される切り屑及びオイルミストを飛散させることなく、収納することができる。
また、裁断手段で切り屑を切断するので、切り屑収納箱に収納した切り屑を真空吸引機で吸引することができる。作業者が切り屑及びオイルミストに触れることなく、切り屑の回収及びオイルミストの回収(循環)をすることができ、作業環境をより向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明に係る切削加工装置の斜視図
【図2】図1の2矢視図
【図3】図1の3−3線断面図
【図4】図2の4−4線断面図
【図5】本発明に係る回転刃及び静止刃の斜視図
【図6】図2の6−6線断面図
【図7】本発明に係る切削加工装置を取り付ける代表的な旋盤の説明図
【図8】本発明に係る切削加工装置を取り付ける刃物台の拡大図
【図9】本発明に係る切削加工装置の第1作用図
【図10】本発明に係る切削加工装置の第2作用図
【符号の説明】
10…切削加工装置、11…ドリル、15…スライド部材、16…ロータリ筒、17…切り屑収納箱、18…工具把持台、25…付勢手段(スプリング)、51…ベアリング、60…裁断手段、61…回転刃、62…静止刃、103…主軸、109…真空吸引機(吸引装置)、115…チューブ、116…一端、117…他端、124…切り屑、W…ワーク。
Claims (2)
- ワークを把持し、切削速度で回転させる主軸に対向配置するとともにワークに向って進退する工具把持台と、
この工具把持台に取り付けたドリルと、
前記ワークに向って進退可能に前記工具把持台に取り付けたスライド部材及びこのスライド部材をワークに向って付勢する付勢手段と、
前記ドリル廻りに回転可能となるようにベアリングを介して前記スライド部材の先端に取り付け、ワークに押圧したときにワークの回転力を駆動源として回転するロータリ筒と、
このロータリ筒内周面とドリル外周面との間を通る切り屑を切断するためにロータリ筒に取り付けた回転刃及び前記スライド部材に取り付けた静止刃からなる裁断手段と、からなることを特徴とする切削加工装置。 - 前記ドリルを囲うとともにワーク側の面が開いたカップ状の切り屑収納箱を前記裁断手段の近傍にて前記スライド部材に取り付け、切り屑収納箱にチューブの一端を接続し、チューブの他端に真空吸引機を取り付け、切り屑収納箱内の切り屑をチューブを介して排出するようにしたことを特徴とする請求項1記載の切削加工装置。
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