JP4169546B2 - 積層ポリエステルフィルム - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は積層ポリエステルフィルムに関し、さらに詳しくは、滑り性、耐傷つき性、密着性に優れたポリエステルフィルムに関する。
【0002】
【従来の技術】
ポリエステルフィルム、特にポリエチレンテレフタレートやポリエチレンナフタレートの二軸延伸フィルムは、優れた機械的性質、耐熱性、耐薬品性を有するため、磁気テープ、強磁性薄膜テープ、写真フィルム、包装用フィルム、電子部品用フィルム、電気絶縁フィルム、金属ラミネート用フィルム、ガラスディスプレイ等の表面に貼るフィルム、各種部材の保護用フィルム等の素材として広く用いられている。
【0003】
ポリエステルフィルムは、近年、特に各種光学用フィルムに多く用いられ、液晶表示装置の部材のプリズムレンズシート、タッチパネル、バックライト等のベースフィルムや反射防止用フィルムのベースフィルム、プラズマディスプレイの電磁波シールドフィルム、有機ELディスプレイのベースフィルム、ディスプレイの防爆用ベースフィルム等の用途に用いられている。このような光学用フィルムに用いられるベースフィルムは優れた透明性が要求される。さらにプリズムレンズ層、ハードコート、粘着剤、反射防止処理、スパッタ層等に対する優れた易接着性が要求される。
【0004】
光学用基材フィルムは、透明性が要求されるため、通常内添フィラーを最小限にする必要がある。また、易接着層の接着力を向上させるには易接着層にガラス転移点の低い樹脂が用いられる。このように光学用フィルムでは最小限の内添フィラーかもしくはまったく内添フィラーが無いのでフィルム表面が平坦になっており、更にガラス転移点の低い樹脂を易接着層に用いるとフィルムを巻いたり、重ね合わせた時に貼付きが発生し、フィルム同士が滑らずハンドリング性が悪化したり、滑りにくいために製膜や加工工程で表面に傷が入り易くなる問題等がある。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、かかる従来技術の問題点を解消し、滑り性、接着性、耐傷つき性に優れたポリエステルフィルムを提供することを課題とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】
すなわち、本発明は、ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が設けられ、該塗布層は高分子バインダーとモース硬度4以上の微粒子とからなり、該塗布層中の高分子バインダーはポリエステル樹脂およびオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂の混合体であり、該塗布層中の微粒子の割合が4〜25体積%であって、塗布層の厚みと微粒子の1次粒径の関係が下記式を満たす、
0.05<微粒子の1次粒径/塗布層の厚み<10
積層ポリエステルフィルムである。
【0007】
〔ポリエステルフィルム〕
本発明において、ポリエステルフィルムを構成するポリエステルは、芳香族二塩基酸またはそのエステル形成性誘導体とジオールまたはそのエステル形成性誘導体とから合成される線状飽和ポリエステルである。
【0008】
かかるポリエステルの具体例として、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリエチレンイソフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリ(1,4−シクロヘキシレンジメチレンテレフタレート)、ポリエチレン−2,6−ナフタレートを例示することができ、これらの共重合体またはこれと小割合の他樹脂とのブレンドであってもよい。これらのポリエステルのうち、ポリエチレンテレフタレート、ポリエチレン−2,6−ナフタレートが力学的物性や光学物性等のバランスが良いので好ましい。特にポリエチレン−2,6−ナフタレートは機械的強度の大きさ、熱収縮率の小ささ、加熱時のオリゴマー発生量の少なさなどの点でポリエチレンテレフタレートにまさっているので最も好ましい。
【0009】
ポリエステルは、ホモポリマーでも、第三成分を共重合したコポリマーでもよいが、ホモポリマーが好ましい。ポリエステルがポリエチレンテレフタレートである場合、コポリマーとしてイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートが最適である。このイソフタル酸共重合ポリエチレンテレフタレートは、イソフタル酸が5モル%以下であることが好ましい。ポリエステルにはイソフタル酸以外の共重合成分または共重合アルコール成分が、その特性を損なわない範囲、例えば全酸成分又は全アルコール成分に対して3モル%以下の割合で、共重合されていてもよい。該共重合酸成分としては、フタル酸、2,6−ナフタレンジカルボン酸等の如き芳香族ジカルボン酸、アジピン酸、アゼライン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸の如き脂肪族ジカルボン酸が例示でき、またアルコール成分としては、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコールの如き脂肪族ジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノールの如き脂環族ジオールが例示できる。これらは単独または二種以上を使用することができる。
【0010】
ポリエステルがポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートである場合、主たるジカルボン酸成分としてナフタレンジカルボン酸が用いられ、主たるグリコール成分としてエチレングリコールが用いられる。ナフタレンジカルボン酸としては、たとえば2,6−ナフタレンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、1,5−ナフタレンジカルボン酸を挙げることができ、これらの中で2,6−ナフタレンジカルボン酸が好ましい。ここで「主たる」とは、本発明のフィルムの成分であるポリマーの構成成分において全繰返し単位の少なくとも90モル%、好ましくは少なくとも95モル%を意味する。
【0011】
コポリマーである場合、コポリマーを構成する共重合成分としては、分子内に2つのエステル形成性官能基を有する化合物を用いることができ、かかる化合物としては例えば、蓚酸、アジピン酸、フタル酸、セバシン酸、ドデカンジカルボン酸、イソフタル酸、テレフタル酸、1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、フェニルインダンジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、テトラリンジカルボン酸、デカリンジカルボン酸、ジフェニルエーテルジカルボン酸等の如きジカルボン酸、p−オキシ安息香酸、p−オキシエトキシ安息香酸の如きオキシカルボン酸、或いはプロピレングリコール、トリメチレングリコール、テトラメチレングリコール、ヘキサメチレングリコール、シクロヘキサンメチレングリコール、ネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物、ビスフェノールAのエチレンオキサイド付加物、ジエチレングリコール、ポリエチレンオキシドグリコールの如き2価アルコールを好ましく用いることができる。
【0012】
これらの化合物は1種のみ用いてもよく、2種以上を用いることができる。またこれらの中で好ましくは酸成分としては、イソフタル酸、テレフタル酸、4,4'−ジフェニルジカルボン酸、2,7−ナフタレンジカルボン酸、p−オキシ安息香酸であり、グリコール成分としてはトリメチレングリコール、ヘキサメチレングリコールネオペンチルグリコール、ビスフェノールスルホンのエチレンオキサイド付加物である。
【0013】
また、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートは、例えば安息香酸、メトキシポリアルキレングリコールなどの一官能性化合物によって末端の水酸基および/またはカルボキシル基の一部または全部を封鎖したものであってよく、極く少量の例えばグリセリン、ペンタエリスリトール等の如き三官能以上のエステル形成性化合物で実質的に線状のポリマーが得られる範囲内で共重合したものであってもよい。
【0014】
本発明におけるポリエステルは従来公知の方法で、例えばジカルボン酸とグリコールの反応で直接低重合度ポリエステルを得る方法や、ジカルボン酸の低級アルキルエステルとグリコールとを従来公知のエステル交換触媒である、例えばナトリウム、カリウム、マグネシウム、カルシウム、亜鉛、ストロンチウム、チタン、ジルコニウム、マンガン、コバルトを含む化合物の一種または二種以上を用いて反応させた後、重合触媒の存在下で重合反応を行う方法で得ることができる。重合触媒としては、三酸化アンチモン、五酸化アンチモンのようなアンチモン化合物、二酸化ゲルマニウムで代表されるようなゲルマニウム化合物、テトラエチルチタネート、テトラプロピルチタネート、テトラフェニルチタネートまたはこれらの部分加水分解物、蓚酸チタニルアンモニウム、蓚酸チタニルカリウム、チタントリスアセチルアセトネートのようなチタン化合物を用いることができる。
【0015】
エステル交換反応を経由して重合を行う場合は、重合反応前にエステル交換触媒を失活させる目的でトリメチルホスフェート、トリエチルホスフェート、トリ−n−ブチルホスフェート、正リン酸等のリン化合物が通常は添加されるが、リン元素としてのポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレート中の含有量が20〜100ppmであることがポリエステルの熱安定性の点から好ましい。
【0016】
なお、ポリエステルは、溶融重合後これをチップ化し、加熱減圧下または窒素などの不活性気流中において更に固相重合を施してもよい。
【0017】
本発明においてポリエステルは、エチレンテレフタレート単位またはエチレン−2,6−カルボキシレート単位を90モル%以上、好ましくは95%以上、更に好ましくは97%以上有するポリエステルが好ましい。
【0018】
ポリエステルの固有粘度は0.40dl/g以上であることが好ましく、0.40〜0.90dl/gであることが更に好ましい。固有粘度が0.40dl/g未満では工程切断が多発することがあり、0.9dl/gより高いと溶融粘度が高いため溶融押出しが困難であるうえ、重合時間が長く不経済であり好ましくない。
【0019】
ポリエステルは、着色剤、帯電防止剤、酸化防止剤、有機滑剤、触媒を含有することもできる。
【0020】
本発明において、ポリエステルフィルムはフィラーを含有しないか、含有しても特性に影響を与えないような小粒径、少量であることが好ましい。
【0021】
ポリエステルフィルムの厚みは、液晶、ハードコート、タッチパネル、防眩処理、PDP用電磁波シールドフィルム、有機EL、電子ペーパー、太陽電池等、の支持体として使用する場合に必要な強度とある程度自由な屈曲性を得るために12〜500μmであることが好ましく、さらに好ましくは25〜350μmで、特に好ましくは50〜250μmである。
【0022】
〔塗布層〕
本発明では上記ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が設けられ、該塗布層は高分子バインダーとモース硬度が4以上の微粒子を含有する。
【0023】
該塗布層中の微粒子の割合は2〜25体積%、好ましくは4〜20体積%、特に好ましくは5〜15体積%である。2体積%未満であると滑り性、耐傷つき性が低下し、25体積%を超えると粒子が脱落し易くなる。
【0024】
塗布層において、塗布層の厚みと微粒子の1次粒径の関係が下記式を見たすことが好ましい。
【0025】
0.05<微粒子の1次粒径/塗布層の厚み<10
微粒子の1次粒径/塗布層の厚みが10以上になると粒子が脱落し易くなり、0.05以下になると塗布層に微粒子が埋もれてしまい滑り性が悪くなり好ましくない。
【0026】
塗布層の厚みと微粒子の1次粒径の関係は、より好ましくは下記式を満たし、
0.1<微粒子の粒径/塗布層の厚み<5
特に好ましくは下記式を満たす。
0.2<微粒子の粒径/塗布層の厚み<2
塗布層の厚みは、好ましくは10〜200nm、より好ましくは20〜150nm、特に好ましくは30〜100nmである。10nm未満では接着力が不足し、200nmを越えるとブロッキングを起こしやすくなり好ましくない。
【0027】
〔高分子バインダー〕
高分子バインダーは、良好な接着性を付与する観点から、ポリエステル樹脂およびオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂の混合体であることが好ましい。高分子バインダーは、水に可溶性または分散性のものが好ましいが、多少の有機溶剤を含有する水に可溶なものも好ましく用いることができる。
【0028】
高分子バインダーを構成するポリエステル樹脂として、下記の多塩基酸成分とジオール成分から得られるポリエステルを用いることができる。すなわち、多価塩基成分としては、例えば、テレフタル酸、イソフタル酸、フタル酸、無水フタル酸、2、6−ナフタレンジカルボン酸、1、4−シクロヘキサンジカルボン酸、アジピン酸、セバシン酸、トリメリット酸、ピロメリット酸、ダイマー酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸を例示することができる。高分子バインダーを構成するポリエステル樹脂としては、2種以上のジカルボン酸成分を用いた共重合ポリエステルを用いることが好ましい。ポリエステル樹脂には、若干量であればマレイン酸、イタコン酸等の不飽和多塩基酸成分が、或いはp−ヒドロキシ安息香酸等の如きヒドロキシカルボン酸成分が含まれていてもよい。
【0029】
ポリエステル樹脂のジオール成分としては、エチレングリコール、1、4−ブタンジオール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1、6−ヘキサンジオール、1、4−シクロヘキサンジメタノール、キシレングリコール、ジメチロールプロパン等や、ポリ(エチレンオキシド)グリコール、ポリ(テトラメチレンオキシド)グリコールを例示することができる。
【0030】
高分子バインダーのポリエステル樹脂のガラス転移点は、好ましくは40〜100℃、更に好ましくは60〜80℃である。この範囲であれば、優れた接着性と優れた耐傷性を得ることができる。他方、ガラス転移温度が40℃未満であるとフィルム同士でブロッキングが発生しやすくなり、100℃を超えると塗膜が硬くて脆くなり、耐傷性が悪化して好ましくない。
【0031】
高分子バインダーの構成成分として用いられることのあるオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂として、例えば以下に示すようなオキサゾリン基を有するモノマーと、ポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーからなるアクリル樹脂を用いることができる。
【0032】
オキサゾリン基を有するモノマーとしては、2−ビニル−2−オキサゾリン、2−ビニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−ビニル−5−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−4−メチル−2−オキサゾリン、2−イソプロペニル−5−メチル−2−オキサゾリンを例示することができる。これらの1種または2種以上の混合物を使用することができる。これらの中、2−イソプロペニル−2−オキサゾリンが工業的に入手しやすく好適である。オキサゾリン基を有するアクリル樹脂を用いることにより塗布層の凝集力が向上し、ハードコートや粘着層等との密着性がより強固になる。更に、フィルム製膜工程内やハードコートの加工工程内の金属ロールに対する耐擦過性を付与することができる。
【0033】
ポリアルキレンオキシド鎖を有するモノマーとしては、アクリル酸、メタクリル酸のエステル部にポリアルキレンオキシドを付加させたものを挙げることができる。ポリアルキレンオキシド鎖はポリメチレンオキシド、ポリエチレンオキシド、ポリプロピレンオキシド、ポリブチレンオキシドを挙げることができる。ポリアルキレンオキシド鎖の繰り返し単位は3〜100であることが好ましい。ポリアルキレンオキシド鎖を有するアクリル樹脂を用いることで、塗布層の高分子バインダーのポリエステル樹脂とアクリル樹脂の相溶性が、ポリアルキレンオキシド連鎖を含有しないアクリル樹脂と比較し良くなり、塗布層の透明性を向上させることができる。ポリアルキレンオキシド鎖の繰り返し単位が3未満であるとポリエステル樹脂とアクリル樹脂との相溶性が悪く塗布層の透明性が悪くなり、100を超えると塗布層の耐湿熱性が下がり、高湿度、高温下でハードコート等との密着性が悪化して好ましくない。
【0034】
アクリル樹脂には、その他の共重合成分として例えば以下に例示されるモノマーを共重合することができる。即ち、アルキルアクリレート、アルキルメタクリレート(アルキルf基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等);2−ヒドロキシエチルアクリレート、2−ヒドロキシエチルメタクリレート、2−ヒドロキシプロピルアクリレート、2−ヒドロキシプロピルメタクリレート等のヒドロキシ含有モノマー;グリシジルアクリレート、グリシジルメタクリレート、アリルグリシジルエーテル等のエポキシ基含有モノマー;アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、マレイン酸、フマール酸、クロトン酸、スチレンスルホン酸及びその塩(ナトリウム塩、カリウム塩、アンモニウム塩、第三級アミン塩等)等のカルボキシ基またはその塩を有するモノマー;アクリルアミド、メタクリルアミド、N−アルキルアクリルアミド、N−アルキルメタクリルアミド、N,N−ジアルキルアクリルアミド、N,N−ジアルキルメタクリレート(アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、t−ブチル基、2−エチルヘキシル基、シクロヘキシル基等)、N−アルコキシアクリルアミド、N−アルコキシメタクリルアミド、N,N−ジアルコキシアクリルアミド、N,N−ジアルコキシメタクリルアミド(アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、ブトキシ基、イソブトキシ基等)、アクリロイルモルホリン、N−メチロールアクリルアミド、N−メチロールメタクリルアミド、N−フェニルアクリルアミド、N−フェニルメタクリルアミド等のアミド基を有するモノマー;無水マレイン酸、無水イタコン酸等の酸無水物のモノマー;ビニルイソシアネート、アリルイソシアネート、スチレン、α−メチルスチレン、ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルトリアルコキシシラン、アルキルマレイン酸モノエステル、アルキルフマール酸モノエステル、アルキルイタコン酸モノエステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル、塩化ビニリデン、エチレン、プロピレン、塩化ビニル、酢酸ビニル、ブタジエンである。
【0035】
〔微粒子〕
本発明で塗布層に含有されるモース硬度4以上の微粒子としては、金属酸化物の微粒子が好ましい。例えば、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化亜鉛、酸化銅、酸化アルミニウム、酸化セリウム、酸化イットリウム、酸化珪素、酸化スズ、酸化鉄、酸化マグネシウム、酸化マンガンを例示することができる。
【0036】
微粒子の1次粒径は、好ましくは1〜200nm、より好ましくは10〜150nm、特に好ましくは30〜100nmである。1次粒径が1nm未満であると滑り性、耐傷つき性が低下し、200nmを越えると粒子が脱落し易く好ましくない。
【0037】
〔脂肪族ワックス〕
塗布層には脂肪族ワックスを含有させることがフィルム表面の滑性を得られるので好ましい。脂肪族ワックスの具体例としては、カルナバワックス、キャンデリラワックス、ライスワックス、木ロウ、ホホバ油、パームワックス、ロジン変性ワックス、オウリキュリーワックス、サトウキビワックス、エスパルトワックス、バークワックス等の植物系ワックス、ミツロウ、ラノリン、鯨ロウ、イボタロウ、セラックワックス等の動物系ワックス、モンタンワックス、オゾケライト、セレシンワックス等の鉱物系ワックス、パラフィンワックス、マイクロクリスタリンワックス、ペトロラクタム等の石油系ワックス、フィッシャートロプッシュワックス、ポリエチレンワックス、酸化ポリエチレンワックス、ポリプロピレンワックス、酸化ポリプロピレンワックス等の合成炭化水素系ワックスを挙げることができる。就中、ハードコートや粘着剤等に対する易接着性と滑性が良好なことから、カルナバワックス、パラフィンワックス、ポリエチレンワックスが特に好ましい。これらは環境負荷の低減が可能であることおよび取扱のし易さから水分散体として用いることが好ましい。
【0038】
〔製膜方法〕
ポリエステルフィルムは、例えば次の方法により製造することができる。ポリエステルをフィルム状に溶融押出し、キャスティングドラムで冷却固化させて未延伸フィルムとし、この未延伸フィルムをTg〜(Tg+60)℃で縦方向、横方向に倍率2.0〜5.0倍で二軸に延伸し、(Tm−100)〜(Tm―5)℃の温度で1〜100秒間熱固定することで所望のポリエステルフィルムを得ることができる。延伸は一般に用いられる方法例えばロールによる方法やステンターを用いる方法で行うことができ、縦方向、横方向を同時に延伸してもよく、また縦方向、横方向に逐次延伸してもよい。塗布層は逐次延伸の場合、一方向に延伸した1軸配向フィルムに、水性塗液を塗布し、そのままもう一方向に延伸し熱固定する。塗工方法としては例えばロールコート法、グラビアコート法、ロールブラッシュ法、スプレー法、エアーナイフコート法、含浸法、カーテンコート法を単独または組み合わせて用いることができる。なお、本明細書において、Tgはポリマーのガラス転移温度、Tmはポリマーの融点を表わす。
【0039】
さらに弛緩処理を行う場合は、加熱処理をフィルムの(X−80)〜X℃の温度において行うことが効果的である。ここでX(℃)は熱固定温度を表す。弛緩処理の方法としては、熱固定後ロールに巻き取るまでの間で、熱固定ゾーンの途中でフィルムの両端部を切り離しフィルムの供給速度に対して引き取り速度を減速させる方法、2つの速度の異なる搬送ロールの間においてIRヒーターで加熱する方法、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ加熱搬送ロール後の搬送ロールの速度を減速させる方法、熱固定後熱風を吹き出すノズルの上にフィルムを搬送させながら、供給の速度よりも引き取りの速度を減速する方法、あるいは製膜機で巻き取った後、加熱搬送ロール上にフィルムを搬送させ搬送ロールの速度を減速する方法、あるいは加熱オーブン内やIRヒーターによる加熱ゾーンを搬送させながら加熱ゾーン後のロール速度を加熱ゾーン前のロール速度より減速する方法を用いることができる。これらの方法はいずれの方法を用いても良く、供給側の速度に対して引き取り側の速度の減速率を0.1〜10%にして弛緩処理を行うことが好ましい。
【0040】
〔ハードコート層〕
本発明の積層ポリエステルフィルムは、ディスプレイ用途に好適に用いることができるが、この場合にはハードコート層を設けるが好ましい。ハードコート層としては、耐薬品性、耐傷性に強い硬化性樹脂を用いることが好ましい。このような硬化性樹脂としては、電離放射線硬化型樹脂、熱硬化型樹脂、熱可塑性樹脂などあるが、好ましくは、透明基材フィルムに対して、膜形成作業が容易で且つ鉛筆硬度を所望の値に容易に高めやすい電離放射線硬化型樹脂である。
【0041】
ハードコート層の形成に用いる電離放射線硬化型樹脂としては、アクリレート系官能基を持つものが好ましく、特にポリエステルアクリレートまたはウレタンアクリレートが好ましい。ポリエステルアクリレートは、ポリエステル系ポリオールのオリゴマ―のアクリレート及び/又はメタアクリレート(以下、アクリレートとメタアクリレートとを含めて(メタ)アクリレートと称することがある)から構成される。また、前記ウレタンアクリレートは、ポリオール化合物とジイソシアネート化合物からなるオリゴマ―をアクリレート化したものから構成される。なお、アクリレートを構成する単量体としては、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、2エチルヘキシル(メタ)アクリレート、メトキシエチル(メタ)アクリレート、ブトキシエチル(メタ)アクリレート、フェニル(メタ)アクリレートなどがある。
【0042】
前記ハードコート層の硬度をさらに高めたい場合は、多官能モノマーを併用することができる。具体的な多官能モノマーとしては、例えば、トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、トリプロピレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、1,6ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレートを例示できる。
【0043】
ハードコート層の形成に使用するポリエステル系オリゴマーとしては、アジピン酸とグリコール(エチレングリコール、ポリエチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、ポリブチレングリコールなど)やトリオール(グリセリン、トリメチロールプロパンなど)セバシン酸とグリコールやトリオールとの縮合生成物であるポリアジペートトリオールや、ポリセバシエートポリオールを例示できる。なお、上記脂肪族のジカルボン酸の一部又は全てを他の有機酸で置換してもよい。この場合、他の有機酸としては、イソフタル酸、テレフタル酸または無水フタル酸などが、ハードコート層に高度の硬度を発現することから、好ましい。
【0044】
ハードコート層の形成に使用するポリウレタン系オリゴマ―は、ポリイソシアネートとポリオールとの縮合生成物から得ることができる。具体的なポリイソシアネートとしては、メチレン・ビス(p―フェニレンジイソシアネート)、ヘキサメチレンジイソシアネート・ヘキサントリオールの付加体、ヘキサメチレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネート、トリレンジイソシアネートトリメチロ―ルプロパンのアダクト体、1,5―ナフチレンジイソシアネート、チオプロピルジイソシアネート、エチルベンゼン―2,4―ジイソシアネート、2,4―トリレンジイソシアネート二量体、水添キシリレンジイソシアネート、トリス(4―フェニルイソシアネート)チオフォスフエートを例示でき、また、具体的なポリオールとしては、ポリオキシテトらメチレングリコールなどのポリエーテル系ポリオール、ポリアジペートポリオール、ポリカーボネートポリオールなどのポリエステル系ポリオール、アクリル酸エステル類とヒドロキシエチルメタアクリレートとのコポリマーを例示できる。
【0045】
更に、上記の電離放射線硬化型樹脂として、紫外線硬化型樹脂を使用するときは、これらの樹脂中にアセトフェノン類、ベンゾフェノン類、ミフィラベンゾイルベンゾエート、α―アミロキシムエステルまたはチオキサントン類などを光重合開始剤として、また、n―ブチルアミン、トリエチルアミン、トリn―ブチルホスフィンなどを光増感剤として混合して使用するのが好ましい。
【0046】
なお、ウレタンアクリレートは、弾性や可撓性に富み、加工性(折り曲げ性)に優れる反面、表面硬度が不足し、2H以上の鉛筆硬度のものが得難い。これに対して、ポリエステルアクリレートは、ポリエステルの構成成分の選択により、極めて高い硬度のハードコート層を形成することができる。そこで、高硬度と可撓性とを両立しやすいことから、ウレタンアクリレート60〜90重量部に対して、ポリエステルアクリレート40〜10重量部を配合させたハードコート層が好ましい。
【0047】
前記ハードコート層を形成するのに使用する塗工液には、光沢を調整するとともに、表面の滑りを付与する目的で二次粒径が20μm以下の不活性微粒子を、樹脂成分100重量部に対して0.3〜3重量部加えることが好ましい。0.3重量部未満では滑り性の向上効果が乏しく、3重量部を超えると得られるハードコート層の鉛筆硬度が低下することがあり好ましくない。塗工液に加える不活性微粒子としては、シリカ、炭酸マグネシウム、水酸化アルミニウム、硫酸バリウムなどの無機微粒子の他に、ポリカーボネート、アクリル樹脂、ポリイミド、ポリアミド、ポリエチレンナフタレート、メラミン樹脂などの有機ポリマーの微粒子が例示できる。
【0048】
また、ハードコート層には、紫外線吸収剤を含有させることができる。これによって、透明基材及び着色剤(特に染料系)の紫外線劣化を防止し、長期間視認性と防爆性を保持することができる。紫外線吸収剤の種類は特定されないが、前述の特定の環状イミノエステルから選ぶことが好ましい。添加量は、ハードコート層を形成する樹脂に対し、0.1〜10重量%が好ましい。0.1重量%未満では紫外線劣化防止効果が小さく、10重量%を超えると耐摩耗性や耐擦傷性が低下することがある。添加方法は溶剤に分散して使用することが好ましい。
【0049】
ハードコート層を形成するための塗工方法は、ロールコート、グラビアコート、バーコート、押出しコートなど、塗液の特性や塗工量に応じて、従来それ自体公知の方法を適宜選択すればよい。ハードコート層の厚みは特に限定されないが、1〜15μmの範囲が好ましい。塗液の固形分濃度は30〜70重量%、さらには40〜60重量%が好ましい。
【0050】
【実施例】
なお、本発明における種々の物性値および特性は以下の如くして測定されたものであり且つ定義される。
【0051】
(1)フィルム厚み
電子マイクロメータ(アンリツ(株)製K-312A型)を用いて針圧30gにてフィルム厚みを測定した。
【0052】
(2)塗布層成分の屈折率
・高分子バインダー
塗剤を90℃で板状に乾固させて、アッベ屈折率計(D線589nm)で測定した。
・微粒子
90℃で乾固させた微粒子を屈折率の異なる種々の25℃の液に懸濁させ、懸濁液が最も透明に見える液の屈折率をアッベの屈折率計(D線589nm)によって測定した。
【0053】
(3)微粒子の体積%
微粒子を除いたバインダーの密度ρ1をJIS K-7117に基づき測定し、さらに微粒子の密度ρ2をJIS R-1620に基づき測定を行い、添加した微粒子の重量%Xから次式を用いて換算した。
微粒子の体積%=(X/ρ2)/(X/ρ2+(1−X)/ρ1)
【0054】
(4)微粒子のモース硬度
BS-6431に基づき測定を行った。
【0055】
(5)ガラス転移温度(Tg)
サンプル約10mgを測定用のアルミニウム製パンに封入して示差熱量計(TAinstruments社製DSC2920)に装着し、25℃から20℃/分の速度で300℃まで昇温させ、300℃で5分間保持した後取出し、直ちに氷の上に移して急冷する。このパンを再度示差熱量計に装着し、−70℃から10℃/分の速度で昇温させてガラス転移温度(Tg:℃)を測定した。
【0056】
(6)固有粘度
固有粘度([η]dl/g)は、35℃のo−クロロフェノール溶液で測定した。
【0057】
(7)塗布層の厚み
フィルムの小片をエポキシ樹脂(リファインテック(株)製エポマウント)中に包埋し、Reichert-Jung社製Microtome2050を用いて包埋樹脂ごと50nm厚さにスライスし、透過型電子顕微鏡(LEM-2000)にて加速電圧100KV、倍率10万倍にて観察し、塗膜層の厚みを測定した。
【0058】
(8)平均粒径
塗布層厚みの測定と同様の操作を行ない、100個の粒子の粒子径を測定し、平均値を平均粒子径とした。
【0059】
(9)滑り性
HOYO ERECTRONICS CORP製のフリクションテスターSFT−1200Sを用いて、10mm幅にスリットしたフィルムに40g/mm2の荷重T1(g)をかけ、外径6mmφのSUS304製のピン(表面粗さRa=20nm)に角度90°で接触させ、20mm/secの速度で走行させたときの引き取り荷重T2(g)を検出し、次式によって摩擦係数μを算出し、下記基準にて評価した。
○ 0.36以下
△ 0.36〜0.40
× 0.4以上
【0060】
(10)耐傷つき性
HOYO ERECTRONICS CORP製のフリクションテスターSFT−1200Sを用いて、10mm幅にスリットしたフィルムに40g/mm2の荷重T1(g)をかけ、外径6mmφのSUS304製のピン(表面粗さRa=20nm)に角度90°で接触させ、20mm/secの速度で走行させたとき、そのフィルム表面に観察される傷の様子を下記基準にて評価した。
○ フィルム表面に観察される筋の本数が10本以下・・・耐傷つき性良好
△ フィルム表面に観察される筋の本数が10〜25本・・・耐傷つき性不良
× フィルム表面に観察される筋の本数が25本以上・・・耐傷つき性極めて不良
【0061】
(11)ハードコート層との密着性
ポリエステルフィルムの塗布面に厚さ5μmのハードコート層を形成して碁盤目のクロスカット(1mm2のマス目を100個)を施し、その上に24mm幅のセロハンテープ(ニチバン社製)を貼り付け。180°の剥離角度で急激に剥がす作業を3回繰り返した後、剥離面を観察し、下記基準で評価した。
○ 剥離面積が20%未満・・・接着力極めて良好
△ 剥離面積が20%以上40%未満・・・接着力やや不良
× 剥離面積が40%を超えるもの・・・接着力極めて不良
【0062】
〔塗布層中の樹脂組成と各成分の配合比〕
実施例および比較例で用いた塗布層の組成と配合は表1の通りである。
【0063】
【表1】
【0064】
ポリエステル:酸成分が2,6−ナフタレンジカルボン酸63モル%/イソフタル酸32モル%/5−ナトリウムスルホイソフタル酸5モル%、グリコール成分がエチレングリコール90モル%/ジエチレングリコール10モル%で構成されている(Tg=76℃、平均分子量12000)。なお、ポリエステル1は、特開平06−116487号公報の実施例1に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル42部、イソフタル酸ジメチル17部、5−ナトリウムスルホイソフタル酸ジメチル4部、エチレングリコール33部、ジエチレングリコール2部を反応器に仕込み、これにテトラブトキシチタン0.05部を添加して窒素雰囲気下で温度を230℃にコントロールして加熱し、生成するメタノールを留去させてエステル交換反応を行った。次いで反応系の温度を徐々に255℃まで上昇させ系内を1mmHgの減圧にして重縮合反応を行い、ポリエステルを得た。
【0065】
アクリル:メチルメタクリレート30モル%/2−イソプロペニル−2−オキサゾリン30モル%/ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリレート10モル%/アクリルアミド30モル%で構成されている(Tg=50℃)。なお、アクリルは、特開昭63−37167号公報の製造例1〜3に記載の方法に準じて下記の通り製造した。すなわち、四つ口フラスコに、イオン交換水302部を仕込んで窒素気流中で60℃まで昇温させ、次いで重合開始剤として過硫酸アンモニウム0.5部、亜硝酸水素ナトリウム0.2部を添加し、更にモノマーである、メタクリル酸メチル23.3部、2−イソプロペニル−2−オキサゾリン22.6部、ポリエチレンオキシド(n=10)メタクリル酸40.7部、アクリルアミド13.3部の混合物を3時間にわたり、液温が60〜70℃になるよう調整しながら滴下した。滴下終了後も同温度範囲に2時間保持しつつ、撹拌下に反応を継続させ、次いで冷却して固形分が25%のアクリルの水分散体を得た。
【0066】
微粒子1:酸化スズの微粒子(平均一次粒径:30nm、モース硬度6〜7、密度6.6、石原産業化成株式会社製、商品名SN-100D)
微粒子2:酸化チタン微粒子(平均一次粒径:30nm、モース硬度6〜7、密度3.8、シーアイ化成株式会社製、商品名NanoTek 酸化チタンスラリー)
微粒子3:シリカ及びチタニアの複合無機粒子(平均一次粒径:100nm、モース硬度6〜7、密度2.6)。なお、微粒子3は、特開平7−2520号公報の製造例及び実施例に記載の方法に準じて下記の通り製造した。撹拌羽根付きの内容積4リットルのガラス製反応容器にメタノール140g、イソプロパノール260g、およびアンモニア水(25重量%)100gを仕込み、反応液を調製し、反応液の温度を40℃に保持しつつ攪拌した。次に、3リットルの三角フラスコに、シリコンテトラメトキシド(Si(OMe)4、コルコート(株)、商品名;メチルシリケート39)542gを仕込み、撹拌しながら、メタノール195gと0.1重量%塩酸水溶液(35%塩酸、和光純薬工業(株)を1/1000に水で希釈)28gを加え、約10分間撹拌した。続いて、チタニウムテトライソプロポキシド(Ti(O−i−Pr)4、日本曹達(株)、品名;A−1(TPT))300gをイソプロパノール634gで希釈した液を加え、透明な均一溶液(シリコンテトラアルコキシドとチタニウムテトラアルコキシドの共縮合物)を得た。上記均一溶液1699gとアンモニア水(25重量%)480gの各々を前記反応液中に、最初は滴下速度を小さくし、終盤にかけて徐々に速度を大きくして、2時間かけて同時に滴下した。滴下終了後、得られた共加水分解物をろ過し、50℃で有機溶媒を乾燥させ、その後、水に分散化させ、濃度10重量%、屈折率1.56の微粒子3を得た。
【0067】
微粒子4:シリカフィラー(平均粒径:200nm、モース硬度6〜7、密度2.1、日産化学株式会社製 商品名MP−2040)
微粒子5:ポリメチルメタクリレート微粒子(平均粒径:40nm、モース硬度1〜2、日本触媒株式会社製、商品名 エポスターMA)
ワックス:カルナバワックス(中京油脂株式会社製 商品名セロゾール524)
濡れ剤:ポリオキシエチレン(n=7)ラウリルエーテル(三洋化成株式会社製 商品名ナロアクティーN−70)
【0068】
〔実施例1〕
ナフタレン−2,6−ジカルボン酸ジメチル100部、およびエチレングリコール60部を、エステル交換触媒として酢酸マンガン四水塩0.03部を使用し、150℃から238℃に徐々に昇温させながら120分間エステル交換反応を行なった。途中反応温度が170℃に達した時点で三酸化アンチモン0.024部を添加し、エステル交換反応終了後、リン酸トリメチル(エチレングリコール中で135℃、5時間0.11〜0.16MPaの加圧下で加熱処理した溶液:リン酸トリメチル換算量で0.023部)を添加した。その後反応生成物を重合反応器に移し、290℃まで昇温し、27Pa以下の高真空下にて重縮合反応を行って、固有粘度が0.61dl/gの、実質的に粒子を含有しない、ポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートを得た。
【0069】
このポリエチレン−2,6−ナフタレンジカルボキシレートのペレットを170℃で6時間乾燥後、押出機ホッパーに供給し、溶融温度305℃で溶融し、平均目開きが17μmのステンレス鋼細線フィルターで濾過し、3mmのスリット状ダイを通して表面温度60℃の回転冷却ドラム上で押出し、急冷して未延伸フィルムを得た。このようにして得られた未延伸フィルムを120℃にて予熱し、さらに低速、高速のロール間で15mm上方より900℃のIRヒーターにて加熱して縦方向に3.1倍に延伸した。この縦延伸後のフィルムの片面に上記の塗剤1を乾燥後の塗膜厚みが0.1μmになるようにロールコーターで塗工した。
【0070】
続いてテンターに供給し、145℃にて横方向に.3.5倍に延伸した。得られた二軸配向フィルムを240℃の温度で40秒間熱固定し厚み75μmの高透明ポリエステルフィルムを得た。得られたフィルムの特性を表2に示す。滑り性、耐傷つき性、接着性いずれも優れたフィルムを得ることができた。
【0071】
【表2】
【0072】
〔実施例2〕
塗布層の組成が塗液2であること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。滑り性、耐傷つき性、接着性いずれも優れたフィルムを得ることができた。
【0073】
〔実施例3〕
塗布層の組成が塗液3であること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。滑り性、耐傷つき性、接着性いずれも優れたフィルムを得ることができた。
【0074】
〔実施例4〕
塗布層の組成が塗液4であること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。滑り性、耐傷つき性、接着性いずれも優れたフィルムを得ることができた。
【0075】
〔実施例5〕
塗布層の組成が塗液5であること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。滑り性、接着ともに良好であったが、微粒子の添加量が多くなり粒子が脱落し易くなり、耐傷つき性接着性が若干低下している。
【0076】
〔比較例1〕
塗布層の組成が塗液6であること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。含まれている微粒子が少ないため滑り性が悪く、耐傷つき性、接着性も劣るフィルムになってしまった。
【0077】
〔比較例2〕
塗布層の組成が塗液7であること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。塗布層に微粒子が含まれていないため滑り性が悪く、耐傷つき性、接着性も劣るフィルムになってしまった。
【0078】
〔比較例3〕
塗布層が無いこと以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。塗布層が無いため滑り性が悪く、耐傷つき性、接着性も悪いフィルムになってしまった。
【0079】
〔比較例4〕
塗布層の組成が塗液8である事意、塗布層の厚みが10nmであること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。塗布層の厚みに対して微粒子の粒径が大きいため粒子が脱落し易く、耐傷つき性、接着性いずれも悪いフィルムになってしまった。
【0080】
〔比較例5〕
塗布層の厚みが750nmであること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。微粒子の粒径に対して塗布層の厚みが厚いため滑り性が悪く、耐傷つき性も悪いフィルムになってしまった。
【0081】
〔比較例6〕
塗布層の組成が塗液9であること以外は実施例1と同様にして二軸延伸フィルムを得た。微粒子のモース硬度が4以下であるため、耐傷つき性が悪いフィルムになってしまった。
【0082】
【発明の効果】
本発明により滑り性に優れ、かつ耐傷付き性、接着性に優れたフィルムを得ることができる。
Claims (2)
- ポリエステルフィルムの少なくとも片面に塗布層が設けられ、該塗布層は高分子バインダーとモース硬度4以上の微粒子とからなり、該塗布層中の高分子バインダーはポリエステル樹脂およびオキサゾリン基とポリアルキレンオキシド鎖とを有するアクリル樹脂の混合体であり、該塗布層中の微粒子の割合が4〜25体積%であって、塗布層の厚みと微粒子の1次粒径の関係が下記式を満たす、
0.05<微粒子の1次粒径/塗布層の厚み<10
積層ポリエステルフィルム。 - 少なくとも片面に、さらにハードコート層が設けられている請求項1記載の積層ポリエステルフィルム。
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