JP4169494B2 - 電気絶縁用不織布の製造法、ならびにプリプレグおよび積層板の製造法 - Google Patents
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【発明の属する技術分野】
本発明は、有機繊維チョップ、例えば、パラ型アラミド繊維チョップを主体とする電気絶縁用不織布の製造法に関する。また、前記方法により得られた電気絶縁用不織布を基材とするプリプレグや積層板(プリント配線板、多層プリント配線板をその概念に含む)の製造法に関するものである。この方法により得られたプリント配線板や多層プリント配線板は、抵抗、IC等のリードレスチップ部品を表面実装するのに適したものである。
【0002】
【従来の技術】
電子機器は部品組込みの高密度化により小型軽量化され、電子機器に使用されるプリント配線板は多層プリント配線板が主流となり、電子部品の搭載は表面実装方式が主流となっている。これらプリント配線板の高密度化に伴い、絶縁層を介する配線間の接続は、当該絶縁層に開けたIVH(Interstitial Via Hole)を用いて行ない、特に、レーザ光の照射によるIVH加工が主流になってきた。このように、プリント配線板にはレーザ光の照射による穴あけ加工が容易であることが望まれている。
【0003】
多層プリント配線板の層間の絶縁層は、一般に、ガラス繊維織布を基材としこれにエポキシ樹脂を含浸し硬化させたもので構成されている。多層プリント配線板に電子部品を搭載する場合、電子部品と絶縁層の熱膨張係数をできるだけマッチングさせる必要があるが、ガラス繊維織布とエポキシ樹脂の組合せによる絶縁層は、搭載する電子部品より熱膨張係数がかなり大きい。絶縁層と、プリント配線板に半田付により搭載した電子部品の間の熱膨張係数差が大きいと、使用中の冷熱サイクルで前記熱膨張係数差に起因して発生した応力が半田接続部に集中し、半田接続部にクラックを生じることがある。
【0004】
このような観点から、多層プリント配線板の絶縁層として、負の熱膨張係数を有するパラ型アラミド繊維不織布や織布を基材とし、これにエポキシ樹脂を含浸した構成が注目されるようになってきた。
【0005】
これらパラ型アラミド繊維不織布は、ビルドアップ工法により多層プリント配線板を製造するときの絶縁層基材として用いられる。前記基材に熱硬化性樹脂を含浸し加熱乾燥したプリプレグの表面にPETフィルムをラミネートし、その所定箇所にレーザ光を照射して穴をあけ、この穴にペースト状導電材料を充填する(充填した導電材料は絶縁層を介するプリント配線間を導通させるためのものである)。前記ペースト状導電材料を充填したプリプレグ層(PETフィルムを剥離済み)の両面に銅箔を載置して加熱加圧成形により一体化し、銅箔をプリント配線に加工する。このプリント配線板に、さらに前記と同様にペースト状導電材料を充填したプリプリプレグ層を介して銅箔を加熱加圧成形により一体化し、この銅箔もまたプリント配線に加工する。このようにしてプリント配線を順次積み重ね(ビルドアップし)、プリント配線を多層化する(特開平5−175650号公報、特開平7−176846号公報)。この技術によれば、絶縁層を介してその上下に位置しているプリント配線間の接続を完全なIVHによって実現した多層プリント配線板を製造することができる。また、ペースト状導電材料が固化してできた導体の直上にさらにIVHを形成できる。この技術では、通常のビルドアップ工法と異なり、プリプレグにPETフィルムをラミネートしてレーザ光照射による穴あけをし、ペースト状導電材料を充填後に、プリプリプレグ層を介して銅箔を加熱加圧成形するため、プリプレグ状態での工程間寸法安定性が重要となっている。プリプレグ状態での工程間寸法変化を抑え安定化させるには、パラ型アラミド繊維不織布の引張り強度、弾性率を向上させればよい。不織布の弾性率を向上させるには、繊維同士の結着力を大きくすればよく、その一手段として、繊維径の細い有機繊維パルプを混合して、繊維同士の結着点を増やし、結着力を増加させる技術がある。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
プリント配線板の一連の製造工程は、加熱加圧成形工程、銅箔を所定の配線パターン形状に加工するエッチング工程、配線パターンの欠陥(欠け、突起、ショート、ピンホール、残銅)の有無を確認する検査工程を経る。最近のプリント配線設計は、配線幅60μm、配線間隔90μm程度まで細線化する。このような細線の配線パターンを対象とする検査は、目視による外観検査の限界を超えており、光学式自動検査装置(AOI装置)を用いるようになっている。AOI装置はプリント配線板に形成された配線パターンを光学的に読み取り、そのパターンの欠陥(欠け、突起、ショート、ピンホール、残銅)を自動的に検出する装置である。照明系に用いられているLEDを光源としてプリント配線板に光を照射し、そのプリント配線板からの反射光量が、配線部と絶縁層部で異なることを利用して、配線パターンの欠陥を判別する。
【0007】
パラ型アラミド繊維チョップを主成分とし、繊維チョップ同士を結着するバインダとして有機繊維パルプを含んだ電気絶縁用不織布を用い、これに熱硬化性樹脂を含浸し乾燥したプリプレグ層を加熱加圧成形した積層板をプリント配線板に加工した場合、次のような問題が判明した。それは、配線パターンをAOI装置で自動検査すると、本来の欠陥(欠け、突起、ショート、ピンホール、残銅)でないにも拘らず、欠陥があると認識する誤検出が多発することである。
【0008】
上記誤検出の問題は、パラ型アラミド繊維チョップをはじめとする有機繊維チョップを主成分とし、繊維チョップ同士を結着するバインダ成分として有機繊維パルプを含んだ電気絶縁用不織布を絶縁層基材に用いたプリント配線板に特有の問題である。本発明が解決しようとする課題は、前記電気絶縁用不織布に着目して、AOI装置でプリント配線パターンの欠陥を自動検査するときに発生する欠陥の誤検出を防止することである。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上記誤検出の現象を調査したところ、プリント配線板中に、配線パターン部分や絶縁層部分とはLED光反射量が異なる部分が存在し、配線パターン部分と絶縁層部分のLED光反射量の差を読み取って欠陥の検査を行なうAOI装置が、前記配線パターン部分や絶縁層部分とはLED光反射量が異なる部分を欠陥として認識してしまうことが分かった。さらに調査を進めると、欠陥でないにも拘らず欠陥と認識された箇所は、繊維パルプが凝集している箇所であることが判明した。この凝集物の形状は円状又は線状であった。有機繊維チョップを叩解してパルプ化すると、繊維径が微細となることによって、繊維表面形状が変化し、もとの繊維の色調とは異なった色調となる。ここに熱硬化性樹脂を含浸し硬化させると、色調の変化が更に増幅されるのである。
【0010】
本発明は、このような新しい知見に基づきなしたものである。有機繊維チョップを主成分とし、繊維チョップ同士を結着するバインダ成分として有機繊維パルプを含んだ電気絶縁用不織布において、当該不織布中の有機繊維パルプに起因する凝集物の最大長を1mm以下に抑えることが、プリント配線板のAOI装置による検査で、誤検出を起こさないようにするために必要である。ここで、パルプとは、有機繊維チョップを叩解してμmオーダ以下に叩解した繊維形態を言う。叩解度を表す指標としてフリーネス(csf)を用いるが、この指標は、数値が小さいほど叩解度が進んでいることを示す。
【0011】
上記課題を解決するために、本発明に係る製造法は、電気絶縁用不織布を、次のようにして製造する。
有機繊維チョップを主成分としてこれを水中に分散した第一の分散液と、繊維チョップ同士を結着するバインダ成分として用いる有機繊維パルプを水中に分散した第二の分散液を調製する。そして、前記第一の分散液と第二の分散液を混合して抄紙を行なう。このとき、前記第二の分散液の調製を、100μm以下の間隙を通過させることにより実施することを特徴とする。前記それぞれの分散液を調製する手段は特に限定するものではない。
有機繊維チョップと有機繊維パルプを初めから一緒に水中で混合すると、有機繊維パルプは十分に分散しきれず、有機繊維チョップ中に凝集したまま抄き込まれてしまう。上記のように第一と第二の分散液を準備し、これを混合することにより有機繊維パルプ凝集物の最大長を1mm以下に抑えた電気絶縁用不織布を製造することが可能になる。
【0012】
【発明の実施の形態】
不織布を構成する主成分である有機繊維チョップは、例えば、パラ型アラミド繊維チョップであり、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維および/又はポリ−p−フェニレン3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維であることが望ましい。これら繊維チョップとその他の有機繊維チョップとの混合でもよく、配合比を限定するものではない。その他の有機繊維チョップは、例えば、メタ型アラミド繊維(ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維)、ポリエステル繊維、6ナイロン繊維、66ナイロン繊維、PBO繊維、アクリル繊維、ポリビニルアルコール繊維、高重合度ポリエチレン繊維、ポリアリレート繊維などのチョップが上げられる。
有機繊維チョップ同士を結着するバインダ成分として用いる有機繊維パルプは、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップおよび/又はポリ−p−フェニレン3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維チョップを叩解したものであることが望ましく、これら繊維パルプとその他の有機繊維パルプとの混合でもよく、配合比を限定するものではない。
【0013】
本発明に係る電気絶縁用不織布の一例を次に説明する。
この例は、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップ(繊維径12μm、繊維長5mm)を主成分とし、バインダ成分としてポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を混抄し、さらに、エポキシ樹脂バインダで繊維同士を結着した例である。エポキシ樹脂バインダを用いずに、あるいはエポキシ樹脂バインダに加えて熱可塑性樹脂繊維チョップを混抄しておき、これで繊維同士を熱融着してもよい。
【0014】
電気絶縁用不織布を抄紙するに当たり、主成分となるポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップを水中に分散した第一の分散液を調製する。また、繊維チョップ同士を結着するバインダ成分として用いるポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプを水中に分散した第二の分散液を調製する。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、抄造シートにエポキシ樹脂バインダを所定量スプレーした後、加熱乾燥して規定質量の不織布原紙とする。このようにして不織布原紙を作製すると、不織布原紙中のポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ凝集物の最大長を1mm以下にできる。このとき、第二の分散液の調製は、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプを含む水を狭い間隙に通過させることにより実施する。前記狭い間隙は100μm以下である。好ましくは、間隙は10〜100μmである。間隔が100μmを越えると、一旦発生したパルプ凝集物を破砕する効果が不十分となる傾向がある。一方、間隔が10μm未満では、パルプが細かくなりすぎ、抄紙性を悪化させる恐れがあり、製造面で問題となる場合がある。さらに好ましくは、第二の分散液は、第一の分散液と混合するまでは、攪拌シェアをできるだけ抑制し凝集を抑える。このような好ましい手段は、パルプ凝集物の最大長をさらに小さくするために有効である。第二の分散液は、パルプの濃度を0.2質量%以上に維持するとよい。よりに好ましくは、パルプの濃度は0.2〜2質量%である。パルプ濃度が0.2質量%未満では、混合時及び緩やかな攪拌でも、流動性が高すぎてパルプ凝集物が発生しやすくなり、品質上問題になる傾向がある。一方、パルプ濃度が2質量%を越えると、スラリーの流動性が低下して、抄紙性を悪化させる恐れがあり、製造面で問題となる場合がある。
【0015】
上記の不織布原紙に、カレンダロールを用いて所定の熱と圧力を加え、所定の密度に調整して、電気絶縁用不織布とする。
【0016】
以上のような電気絶縁用不織布を用いて、プリプレグならびに積層板を構成する。プリプレグは、前記不織布に熱硬化性樹脂(例えばエポキシ樹脂)を含浸し加熱乾燥して製造する。積層板は、プリプレグの層を加熱加圧成形して製造するが、プリプレグの層の少なくとも表面層に前記プリプレグを用いる。積層板の加熱加圧成形は、必要に応じて表面に銅箔を重ねて行ない、金属箔張り積層板とする。プリント配線板は、少なくとも表面の絶縁層を、前記プリプレグを加熱加圧成形したもので構成する。
【0017】
【実施例】
(参考例1)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に攪拌機で分散し第二の分散液とする。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、抄造シートにエポキシ樹脂バインダをスプレーして付着させる。エポキシ樹脂バインダは、エポキシ樹脂エマルジョン(大日本インキ化学工業製「VコートA」)とブロックイソシアネート樹脂(大日本インキ化学工業製「CR−60B」)を主成分とし、エポキシ樹脂の質量10に対するブロックイソシアネート樹脂の配合質量(硬化剤質量)を1としたものを用いた。これを、加熱乾燥し、線圧力200kN/m、温度350℃に設定した一対の熱ロールの間に通すことにより加熱圧縮した。
この電気絶縁用不織布は、単位質量72g/m2、密度620kg/m3、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップとポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプの配合質量比率(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップ/ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ)80/20、不織布中のエポキシ樹脂バインダ含有量17質量%の成分組成である。この不織布に臭素化ビスフェノールA型エポキシ樹脂ワニスを含浸し加熱乾燥して、樹脂含有量52質量%のプリプレグを得た。
上記プリプレグ1枚の上下面に銅箔(厚さ18μm厚)を載置し、温度190℃、圧力4.9MPaで加熱加圧成形し銅張り積層板を得た。
この積層板の銅箔部分を全面エッチングして除去し、300mm×300mmに裁断して、AOI検査用試料を準備した。
【0018】
(実施例1)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm、繊維長5mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に分散し第二の分散液とする。第二の分散液は、80μmの間隙を通過させてから、濃度を0.2質量%に調製し、第一の分散液と混合するまで緩やかに攪拌した。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0019】
(実施例2)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm、繊維長5mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に分散し第二の分散液とする。第二の分散液は、80μmの間隙を通過させてから、濃度を0.2質量%に調製し、且つ第一の分散液と混合するまで、攪拌せずに放置した。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0020】
(実施例3)
ポリ−p−フェニレン3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人製「テクノーラ」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に分散し第二の分散液とする。第二の分散液は、80μmの間隙を通過させてから、濃度を0.2質量%に調製し、且つ第一の分散液と混合するまで、攪拌せずに放置した。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0021】
(実施例4)
ポリ−p−フェニレン3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維(帝人製「テクノーラ」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレン3,4’−ジフェニルエーテルテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に分散し第二の分散液とする。第二の分散液は、80μmの間隙を通過させてから、濃度を0.2質量%に調製し、且つ第一の分散液と混合するまで、攪拌せずに放置した。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0022】
(実施例5)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップとポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維(帝人製「コーネックス」,繊維径12μm、繊維長3mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に分散し第二の分散液とする。第二の分散液は、80μmの間隙を通過させてから、濃度を0.2質量%に調製し、且つ第一の分散液と混合するまで、攪拌せずに放置した。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、参考例1と同様にして電気絶縁用不織布を得た。
この不織布は、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップとポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維チョップとポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプの配合質量比率(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップ/ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維/ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ)70/10/20、不織布中のエポキシ樹脂バインダ含有量17質量%の成分組成である。
以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0023】
(実施例6)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップとポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維(帝人製「コーネックス」,繊維径12μm,繊維長3mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に分散し第二の分散液とする。第二の分散液は、80μmの間隙を通過させてから、濃度を0.2質量%に調製し、且つ第一の分散液と混合するまで、攪拌せずに放置した。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、抄造シートを加熱乾燥し、線圧力200kN/m、温度350℃に設定した一対の熱ロールの間に通すことにより加熱圧縮した。
この電気絶縁用不織布は、ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップとポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維チョップとポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプの配合質量比率(ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップ/ポリ−m−フェニレンイソフタルアミド繊維/ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ)70/10/20の成分組成である。
以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0024】
(実施例7)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップを水中に分散し第一の分散液とする。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を別途水中に分散し第二の分散液とする。第二の分散液は、50μmの間隙を通過させてから、濃度を0.2質量%に調製し、且つ第一の分散液と混合するまで、攪拌せずに放置した。これら第一と第二の分散液を混合して抄紙し、以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0025】
(比較例)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップとポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維パルプ(フリーネス50csf)を同時に水中に分散して抄造し、抄造シートにエポキシ樹脂バインダをスプレーして付着させる。以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0026】
(比較検査用試料の作製)
ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維(デュポン製「ケブラー」,繊維径12μm,繊維長5mm)チョップを水中に分散して抄造し、抄造シートにエポキシ樹脂バインダをスプレーして付着させる。ポリ−p−フェニレンテレフタルアミド繊維チョップ83質量%と熱硬化性樹脂バインダ含有量17質量%の成分組成である。この電気絶縁用不織布は、有機繊維パルプを配合していないので、繊維パルプ凝集物の発生箇所はない。
以下は参考例1と同様にして銅張り積層板を得た。また、AOI検査用試料を準備した。
【0027】
実施例1〜7、参考例1および比較例の不織布に発生していた繊維パルプ凝集物の内で最大のものの最大長を、顕微鏡により撮影して計測した。
また、実施例1〜7、参考例1および比較例の検査用試料を、AOI装置(大日本スクリーン製造(株)製PI−7900)により検査した。検査条件は、赤色LED光源、分解能8μm、検出サイズ16×16μmである。比較検査用試料を基準として、これに対するAOI比較検査を行ない、繊維パルプ凝集物が原因となって発生する欠陥の誤検出数を計数した。その結果を表1に併せて示す。
【0028】
AOI装置による自動検査には、比較法とデザインルールチェック法がある。比較法とは、予め良品パターンを読み取ってメモリーしておき、次に被検査パターンを読み取りながら、これを良品パターンのデータと比較して欠陥を検出するものである。デザインルールチェック法とは、被検査パターンを設計規則に照合し、その規則から外れる個所を欠陥として判定するものである。上記の繊維パルプ凝集物が原因となって発生する欠陥の誤検出数の計数は、残銅等の影響を排除し、繊維パルプ凝集物が原因となって発生する欠陥の誤検出数の計数を行なうために比較法を採用した。しかし、デザインルールチェック法を採用してもほぼ同様の結果がでる。
【0029】
【表1】
【0030】
表1より、次の事が明らかである。
実施例1〜7および参考例1における積層板は、使用した電気絶縁用不織布に繊維パルプ凝集物が存在しているものの、AOI検査では、繊維パルプ凝集物に起因する欠陥の誤検出が見られなかった。一方、比較例における積層板は、繊維パルプ凝集物に起因する欠陥の誤検出が95個発生している。電気絶縁用不織布にできる繊維パルプ凝集物の最大長を1mm以下にすることにより、AOI装置で、繊維パルプ凝集物に起因する欠陥の誤検出を回避できることが分かる。
参考例1と実施例1〜7の対比により、第二の分散液の調製を100μm以下の狭い間隙に通して実施すると、製造した電気絶縁用不織布中にできる繊維パルプ凝集物をより小さくできることが分かる。さらに、実施例1と実施例2〜7の対比により、第二の分散液の攪拌シェアを抑制すると、繊維パルプ凝集物をより一層小さくできることが分かる。
【0031】
【発明の効果】
上述のように、本発明に係る方法により得られた電気絶縁用不織布は、これを用いて構成したプリント配線板のAOI装置による自動検査において、欠陥でないにも拘らず欠陥と認識してしまう誤検出を回避することに寄与する。本発明に係る方法によれば、繊維パルプ凝集物の大きさが小さい電気絶縁用不織布を製造することができる。
Claims (3)
- 有機繊維チョップを主成分としてこれを水中に分散した第一の分散液を調製し、繊維チョップ同士を結着するバインダ成分として用いる有機繊維パルプを水中に分散した第二の分散液を調製し、前記第一の分散液と第二の分散液を混合して抄紙を行なう電気絶縁用不織布の製造法であって、
前記第二の分散液の調製を、100μm以下の間隙を通過させることにより実施することを特徴とする電気絶縁用不織布の製造法。 - 請求項1記載の方法により得られた電気絶縁用不織布に熱硬化性樹脂を含浸し乾燥することを特徴とするプリプレグの製造法。
- 請求項2記載の方法により得られたプリプレグを、プリプレグの層の一部ないし全部として加熱加圧成形することを特徴とする積層板の製造法。
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